---イッセー---
気が付くと、ベッドの上にいた。手足には包帯が巻かれている。色々な管が身体中に差し込まれていた。
「俺はどうしたんだ?」
俺の呟きに反応して、
「イッセー君、気が付いたか?勝負は完敗だったぞ」
義兄さんだ。えっ?完敗?何でだ?何もしていないのに…
「亘君のやることに文句は言わないでくれよ、イッセー君。約束だからね」
「約束?していないですよ」
俺は約束した記憶が無い。アイツが勝手に言っただけで、俺は約束はしていない。
「はぁ?何を言っているんだ?」
「だって、まだ始まっていない」
試合開始の合図の前に、奇襲された気がする。アイツの反則負けだな♪
「開始の合図前に、ゼノヴィア君がフライングしたんだ。本来なら、不戦敗だぞ!」
えっ?俺達がフライングしたのか?
「彼は約束を護って、命まで取らなかった」
「リアスは?」
俺の婚約者はどうなったんだ?
「おい、そこは仲間の心配が先で無いのか?」
アイツの声がした。その声を聞いただけで、怒りが一気に湧き上がり、怒りは力となっていき、戦闘意欲へとなっていった。
「リアスを返せ!ドライグぅぅぅぅぅ~!頼む!」
『バランスブレイカー』
ドライグの声と共に、俺は禁手化状態の赤い鎧を着込み、アイツの前に立った。そんな俺に対して、指を鳴らしたアイツ。たったそれだけの動作で、俺には激痛が襲い掛かってきた。これは…
『何?サマエルの毒だと?』
ドライグの声に緊迫感を感じる。サマエルの毒?マズイ…意識が遠のいて行く。
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気が付くと、集中治療室にいた。
「イッセー君、何をやっているんだ?お見舞いに来た彼に、戦闘をしかけるって。彼は呆れていたよ。今回も殺さない程度で収めてくれたよ。感謝するんだな」
感謝?出来る訳ないだろ!ドラゴンに対して、サマエルの毒だぞ!許せる行為では無い。
「イッセーさん、大丈夫ですか?」
心配しているようなアーシアの声がした。
「当たり前だろ?俺はアーシアを幸せにするんだから」
俺の言葉を聞いて、哀しそうな表情をするアーシア。
「どうして、そんなことが言えるんですか?分かっています?私を幸せにするって、どういうことか?」
え?何を言っているんだ?アーシアとゼノヴィアとイリナの4人で楽しく、幸せに暮らすんだろ?何が問題なんだ?
「アーシアを含む教会トリオと4人で、のんびりと暮らしたい。そう、夢を語り合っただろ?そうだろう、アーシア」
涙をポロポロと流しながら、アーシアが頷いた。俺の言っていることに間違いは無いんだ。そう確信したが、では何が問題なんだ?
「そうです。イッセーさんとは、そういう夢を語りました。でも、その場合…リアスお姉さんはどうなるんですか?あの夢にはリアスお姉さんは、含まれていないんですよ~!」
あっ…問題点に気が付いた。そうだ、リアスを…
「リアスを助けに行かないと!」
「イッセーさん!」
アーシアに頬を叩かれた。えっ?なんで?
「いいですか?あの方のおっしゃった2択を覚えていないんですか?」
泣きながら俺に縋り付き、質問をしてきたアーシア。2択?俺には選択の余地は無い。ハーレム王になるんだから♪
「俺は、アーシア達もリアスも幸せにする。約束する!なんせ、俺はハーレム王になるんだからな♪」
「イッセー君、いい?その2つは両立しないのよ」
イリナが会話に割り込んできた。両立しない?なんで?
「なんでだ?今まで通りでいいんじゃないのか?」
「良い訳無いだろ?聖属性要素のある教会トリオと、純血悪魔のリアスさんが一緒に暮らせる訳無いだろ?まして、リアスさんが当主になった時、アウロスの田園地帯に、一緒に住めないと思うぞ。あそこはアガレス領だからな!」
ゼノヴィアまで割り込んできた。
「私達とは、アウロスの田園地帯に住むんだろ?リアスさんは、どこに住むんだ?」
「うん?隣に家を建てれば、行き来が楽だな。そうだ!あの辺りを、グレモリー領にすれば良いじゃん♪」
「こいつに何を言っても無駄だぞ、アーシア」
ゼノヴィアが、妙な事を言う。何が無駄なんだ?アーシアは、更に哀しそうな顔をしている。どんな状況なんだ?はて?
「イッセーに言っておく。リアスさんは、彼と結婚をする。お前との婚約は破棄になった」
何?何でだ?
「どういう事だ?おい、ゼノヴィア」
ゼノヴィアは、俺を睨むように仁王立ちしている。
「アーシア君の質問が、最後通達だったのだ。イッセー君、俺は残念だ。リアスを選ばない君に、がっかりだよ」
義兄さんが、残念そうな顔をした。
「何を言っているんですか?俺はリアスとの婚約を破棄しません。リアスも幸せにします!あんな、どこの馬の骨かもわからないヤツと、リアスを一緒になんか出来ません」
「”も”じゃダメなんだよ、イッセー君。それでは、彼が納得しない。彼はリアスを護る為なら、手段を選ばない。自らの命さえも捨てるだろう。君はそれが出来るのか?アーシア君達と未来を語る君に、リアスだけの為に命を捧げられるのか?」
「できます。俺は、アーシアもリアスも、みんなも護り、みんなを幸せにします!ハーレム王として、総ての女性を幸せにしますよ!」
格好良く言い切る俺。しかし、義兄さんの表情は険しかった。
「では、なんで、隔離結界領域に来ようとしなかったのだ?」
えっ?
「彼は来てくれた。俺達を解放して、一人で立ち向かってくれた。君はなんで、同じ様な行動をしなかったんだ?来ようともせず、君は未亡人予備軍のグレイフィアに言い寄っていたそうだね」
それは…ハーレム王として当然な行為…とは、口に出せない雰囲気である。
「前世の記憶が残るアザゼルに聞いたよ。彼は前世でも一人で隔離結界領域へと向かったそうだ。リアスにも前世の記憶が残っているようで、彼はアイツらを一人で殲滅し、ボロボロな身体で老婆となったリアスの元に戻ったそうだ。君は彼のような行動が取れるのか?リアスの為に…リアス達に哀しい想いをさせない為に、どうなんだ、イッセー君!」
出来無い…生きて帰る自信がまるで無いから。特攻隊の後追いなんか出来る訳が無い。まして、老婆の元には戻らないかな…
「それは、アイツがバカだから出来ることでしょ?」
一人の女に固執するなんて、俺には出来無い。それでは、ハーレム王の夢は閉ざされてしまうから。一人の女の為に、そこまでするアイツはバカに違いない。
「バカかぁ…たぶん、そうかもしれない。ただねぇ、彼はリアスを護る為に、強くなる努力をしたんだと思う。あぁ言う事態をも想定してな。で、君はどうなんだ?リアスから独立して、君にとっての『王』であるリアスだけを護る為に、強くなろうとしているかな?」
仲間と共に強くなるようにしている。それだけじゃ、ダメなのか?
「君の言うように、彼はバカだと思う。リアスの為だけに…たった一人で、戦い続けるなんて…」
義兄さんは泣き笑いな表情になった。
「でもなぁ、俺は、彼の不器用さは嫌いじゃない。アザゼルもそうだと。不器用なりに正直に生きているってね。君はどうなんだ?アーシア君とリアス、どちらが一番なんだ?」
え…っと…両方って言うのは正解では無さそうだな。
「ハーレム王になるって夢、応援している。ただ、その夢にリアスを巻き込まないでくれ。リーアは…寂しがり屋なんだ。リーアが望むことが出来無いのならば、もう関わらないでくれ。頼む」
魔王様が俺に頭を下げた。
---シュウ---
サーゼクスさんから許しを得た。喜ぶリアス。結婚証明書だけ先に発行して、リアスに手渡した。
「亘が書いたの?」
「まぁ、一応聖者だから…ここの聖堂の司祭をやっているし…」
自分で自分の結婚証明書を書いたのは初めてかな?
「式は誰を呼んでいいかな?」
「う~ん、二人くらいだと、サーゼクスさんとグレイフィアさん?」
「そうだね。ソーナとお兄様かな…」
あぁ、親友か。ソーナかぁ…記憶が戻ると厄介だな。うん、なるべく接触しないようにしよう。
「で、亘。お姉様はいらっしゃるの?」
「まぁ、呼べば来ると思う。招待は当日でも大丈夫だと思う。姉ちゃんが忙しい時って、僕も忙しからね」
姉弟で同じ職場だからな。たぶん、呼ばないでも来そうではあるけど…暇さえ有れば、僕の意識をモニタリングしている姉ちゃん。
「そうなんだ…ねぇ、私以外に奥さんっているの?」
不安そうな表情のリアス。
「いるよ。逢う?」
正直に答える僕。
「えっ?居るの?一夫多妻制?」
驚いているリアス。まぁ、一般的に悪魔でも、一夫多妻制は無いもんな。
「僕の世界のリアス達に騙されたんだよ」
僕の初めての結婚式の話を、リアスにした。
「うっ、違う世界の私達とは言え、大変、ご迷惑をお掛けしました」
苦笑いしているリアス。
「あれはあれで楽しい想い出だけど、ダメージはデカかったよ。だって、軽い気持ちで行ったら、三人花嫁の結婚式で、招待客がもういたんだから。司祭は僕の養父だし、拒否なんか出来る雰囲気じゃなかったよ」
「そっか…私もそういう結婚式がいいなぁ…ソーナとか、記憶が戻らないかな?」
え?コイツ、地雷を踏む気か?これ以上、妻は増やしたく無い。僕よりも幸せにしてくれる者ってたくさんいると思うし。リアスだって、そうだよ。なんで、僕なのかな?
「ねぇ、奥様達に逢える?」
恐る恐る訊いてきたリアス。
「う~ん、逢えるよ、全員の居場所は把握しているから」
「逢いたい…私の知らない亘を知りたい。ねぇ、お願い♪」
あのクリティカルな笑顔を前にして、頷いていた僕…マズい、最大の弱みになりつつある。白音の笑顔は卒業して、このリアスの笑顔に改宗かな…
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まず、メイビス、フィア、深雪にキャッスルドランに来て貰った。そして、僕にとっての始祖リアスを紹介した。
「ふ~ん…行き着く処は紅髪なんだ♪」
って、メイビス。特にそういうことは無いんだけど…
「一体何名のリアスをゲットするんですか?」
って、フィア。コレクションしている訳では無いと思いたい。
「シュウさんの好みが、たまにわからなくなります」
って、深雪。う~ん、見た目では無いからね。魂が問題かな。
「よろしくお願いします♪」
リアスは丁寧に頭を下げた。妻1号のリアスを知る者にとっては、アンビリバボーな光景かもしれない。リアスの謙虚さを前にして、固まる三名の妻達。僕達の知る紅髪あるあるには無いからなぁ。紅髪イコール高飛車な女、我が強い女、独占欲の強い女だったのだけど、目の前のリアスには、そういう要素はまるで無いし…
次に、僕の世界のアウロスの自宅へ向かった。そこで、面通したのが…固まる二人のリアス。
「えっ?どこの世界の私?」
って、妻1号。
「私って、歳取るとこうなるんですか」
って、始祖様。ちなみに、同化吸収されないように始祖リアスに、僕の駒を入れた。新機能としてID番号設定なる物をつけ、異なるID番号であれば、同化吸収しないようにシステム改良を施した。しばらくの間、リアス同士によるリアス談義をしていた。
で、サンデッキに出て、始祖リアスを抱き締めて、翼を展開して空を滑空していく。
「翼…亘…天使なの?」
リアスの顔が、急激に強張っていく。あぁ、悪魔が天使に抱かれているって、有り得ないことだよね。通常なら、天使は堕天し、悪魔は灰化してしまうだろうから。
「まぁ、そんな感じだよ。あぁ、灰化はしないから、強張らないでね。僕の駒によって、リアスは転生ドラゴンにしてあるから、大丈夫なんだよ」
リアスの頬に軽く口づけをした。
「うん♪」
彼女のクリティカルな笑顔に、心が蕩けていく。ダメだ…白音以上の破壊力だ。始祖様の笑顔の前でメロメロになっていく僕。堕天してもいいよってくらい。
『エロ神は堕天しないから、大丈夫だよ♪』
って、姉ちゃんから念話が飛んで来た。相変わらずモニタリングしているのか、あのブラコン姉は…
しばらく滑空をした後、アウロス学園のグラウンドに着地した。そこにヴァイラが迎えに来てくれた。
「いらっしゃいませ♪」
笑顔でリアスを迎えるヴァイラ。
「え…あの~…シーグヴァイラさんですか?」
少し戸惑い気味のリアス。
「はい、そうです。ようこそ、アウロス学園に♪」
「学園長ですか?」
「私は副園長です。園長はソーナです。で、そこにいるシュウは、通りすがりの放蕩亭主よ。ねぇ、あなた♪」
確かに、放蕩亭主ではある。
「放蕩亭主なんですか?」
新たな事実に驚くリアス。
「そうなの。でもね、そうさせているのは、私達、妻サイドよ。彼が学園内にいると教師陣がビビるから。ははは」
「えっ?」
手の内を見せるヴァイラ。その事実に驚いているリアス。亭主に放蕩させる妻達なんか、他にいないだろうな。まして、浮気オーケーって許可も出ているし…
「学園の教師陣相手に、手合わせをしちゃうのよ。生徒達の前で。生徒達には無様な姿を見せたくないのよ、教師陣も講師陣もみんなね。だから、学園に寄りつかないように、お小遣いが無くなった時と緊急要件以外は、来ないように言いつけて有るのよ」
「え?それは…ははは」
何故、そうなったかの理由を知ると、苦笑いし始めたリアスであった。その後、事務仕事の終わったソーナと面会をして、彼女の世界へと戻った。
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「どうだった?」
感想を恐る恐る訊いてみた。
「う~ん、興味深いわ。私の知らない亘…今はシュウだっけ。シュウの人柄が分かった気がする」
「どうしょうも無く、ダメダメ亭主でしょ?ねぇ、結婚は止める?今ならまだ間に合うよ」
ダメダメ加減を見せつけて、結婚を回避したい僕。僕よりも、リアスを幸せにしてくれる者っていると思うし、僕は片道切符が多いから…一緒になれば苦労を掛けてしまうと思うし。
「絶対に止めないからね。今度こそ、一緒に添い遂げたい。最初、一夫多妻って聞いて、ハーレムを想像して少し引いたけど、全然思っている事と違ったよ。みんな今の境遇に不満を持っていないし、シュウはみんなと平等に接していた。なによりも、エッチな対象で見ていないって処かな?みんな、仕事のパートナーとしての自負を持っているみたいだったし」
エッチな対象か…エスプレイは好きだけど、交わることに興味は無いかな。相手が望むなら叶えるけど。そんな僕の本質を理解している女性じゃないと、傍に置けないかな。基本エロ神ベースだし。
あぁ、あの問題妻はどうするかな?う~ん…隠し立ては良くないよな。事実だけ告げておくか。
「実は後一人いるんだけど…問題児な妻なので、今回はパスしたんだよ」
「えっ?まだいたの?」
驚きを隠せないリアス。
「おバカすぎて…って、いうか僕には、まったく結婚した覚えが無いんだけど、相手は結婚したって言い張るっているんだ」
「どなたですか?」
「ソーナの姉…魔王…」
「あぁ…ソーナと張り合っているんだ。シュウの世界でも…」
納得しているようなリアス。たぶん、どこの世界でも同じなんだと思う。
「で、誰を招待する?」
「ソーナを呼んだら、来ちゃうかな?」
あぁ、来ちゃうかもな…まぁ、強制転移させれば、余分なヤツは付いて来られないけどな。
「じゃ、ソーナとサーゼクスさんでいいかな?」
「はい♪」
幸せそうな笑顔で返事を返してきたリアス。彼女がリアスおぶリアスかな…