---シュウ---
「また、来ます…突然、来てしまって申し訳ありません」
クラリスが謝っている。
「で、ねぇ。来年、シュウさんと高校行きたいのよ。私達は♪」
って、ユリス。高校?何の話だ?
「どういう意味だ?僕は学校へ通っていないけど…」
「約束したでしょ?高校に通うようになったら、一緒に通うって!」
ユリスが激高している。約束したっけかな…あっ!
「あれって、一誠だろ?身体を共有していた頃だったし」
「そうだけど…だって、身体を共有しているなんて、知らなかったし…」
僕とユリスとの会話を見守るクラリスが寂しそうな表情を浮かべている。楽しみにしていたのかな…
「事案優先にするぞ。それで良ければ、高校へ一緒に入学する」
「うん♪クラリスも一緒だよ♪」
リアス並に、感情がジェットコースターなユリス。名前を出されたクラリスが嬉しそうだから、良いか。
「では、次回は、予定を窺ってから来ますね」
って、クラリス。ユリスは僕に縋っているが、クラリスは、正面に座っていた。まだ、男性恐怖症は治っていないようだ。精神疾患では、僕の能力でも時間がかかる。まして、男性恐怖症ともなると…交わって癒やすことも、ストレスになってしまう。なので、『安堵』なオーラで、徐々に心を癒やすしかない。
「そうしてくれる。悪いなぁ、せっかく来てくれたのに」
クラリスとユリスは、転移術で深雪が送りに行ってくれた。次は、蘭かぁ…
「で、蘭…」
「ごめんなさい…」
「いや、それはいいんだけど…僕、あっちに出張中で、当分の間、傍に居てあげられないけど、いいのか?」
「うん…待っています。行き先もわかっているし。待てます」
それならいいか…蘭を蘭の部屋に案内する。
「この部屋を使ってくれ。分からないことは、メイド達…リーラに訊いてくれるか?」
「はい…あの…」
何かを言いたげな蘭。
「どうした?」
「先程のお話を聞いてしまって…私も一緒の高校に通いたい…ダメですか?」
う~ん…人間で特殊能力の無い蘭…編入は難しい。
「1年からだけど、いいかな?編入は出来無いから」
「はい♪で…あの…」
あぁ、学費か…あそこは一応私立だしなぁ…
「学費は心配しないでいいよ。理事長に団体割引を強請るから♪」
「団体割引?有るんですか?」
「無いと思う…まぁ、融通は利くと思う。だから、心配しないでいいよ。これでも複合企業財体のトップだし」
「そうなんですか…」
あれ?言ってなかったっけ?
「複合企業財体の『夢創』のトップだよ。だから、学費は気にしないでいいよ」
「はい♪ありがとうございます」
その夜、蘭と蘭の部屋で添い寝…蘭が疲れていたので、エロ行為は無しだ。
---蘭---
連休が終わり、学校へ。引っ越した分、通学距離が遠い…まぁ、しょうがないことだ。学校へ行くと、園子と世良ちゃんが寄って来た。
「聞いたよ。新一君と別れたんだって?」
「うん。あんなヤツはダメだよ。勝手に私の大切な物を捨てちゃうんだから」
記憶を供物に出されたとは、言えないのでぼやかした表現にした。
「え~、大切な物を勝手に?それは酷いなぁ」
「でしょ?だから」
「で、どこに引っ越したの?」
園子が引っ越したことを知っていた。お父さんが喋ったのかな?
「ちょっと、遠くにね。通学が少し大変になっちゃったけど」
「自宅に戻らなかったの?」
世良ちゃんが興味深そうに訊いてきた。
「うん。ちょっと、お父さんとヤリ合っちゃって…」
「ねぇ、どこに引っ越したのよ~♪」
って、園子が…で、帰りに付いて来る二人。合宿所みたいって言ったら、余計に興味を持ってしまったようだ。スマホで、二人を連れて行っていいかを、リーラさんに確認すると、大丈夫らしい。シュウさんは、部屋で仕事をしているから、邪魔しなければ良いそうだ。
電車を乗り継いで駒王町へ…
「こんなに遠くに?通うのは大変だよね」
「だから、来年、近くの高校に通うの」
「転校?何で?」
「一緒に生きたい人の傍にいたいから♪」
「一緒にいた人?」
園子が聞き間違えたようだけど、訂正しないでおく。
「ねぇねぇ、誰?」
「秘密よ♪」
「しかし、塀が途切れないよね。なんてデカイ敷地なんだ?」
世良ちゃんが呟いた。
「そうね、これは広いわね」
園子が呟くに頷いている。園子の家の敷地より広いらしい。まぁ、住んでいる人数が違うから…
塀の切れ目…剣術の道場がある区画だ。それを越して、正門を目指す。
「まだ?」
「もうすぐよ」
角を曲がると正門が見えて来た。
「えぇ~、あんなに遠いの…誰の持ち家よ~」
門の前に来ると『兵藤』と表札が掲げられている。
「兵藤?お金持ちにいたかな?そんな苗字の人…」
鈴木財閥の娘である園子が、首をかしげて考えている。門を入っていき、ドアの横にある呼び鈴を押すと、ドアが開き、メイドさん達が出迎えてくれた。
「かわいいメイドさん達…どなたの屋敷よ?」
園子が驚いている。玄関に入り、靴を脱ぎ、リビングに行く。そこで、一誠君達がおやつを食べていた。
「蘭さん達も、焼きプリンで良いですか?」
リーラさんが訊いてきた。
「はい、お願いします」
しばらくすると、私達の前に、紅茶と共に、プリン・アラ・モードが運ばれて来た。
「ここはどなたのお屋敷?」
園子がひそひそ声で訊いてきた。
「う~ん…」
答えに困り、リーラさんを見つめる。
「ここは、兵藤誠・一香夫妻のお屋敷ですよ」
と、園子達に説明をしてくれた。
「兵藤誠って、現代の英雄の?じゃ、蘭は彼らの息子さんの玉の輿?」
「違うわよ。彼は、フィアンセが既にいるわよ」
って、一誠君達を指す。
「え?じゃ、誰なの?蘭のお相手って…」
再び返答に困り、リーラさんを見る私。
「蘭さんのお相手ですか?複合企業財体『夢創』のCEOですよ♪」
「「えっ!」」
驚きの声を上げる園子と世良ちゃん。
「世界の富のほとんどを手中に収めている?」
え?そうなの?そんなにお金持ちなの?驚く私。
「そんなに、富とか名誉に拘らない方です」
シュウさんの話をする時、楽しそう名表情になるリーラさん。
「リーラ…珈琲くれる?あぁ、疲れた~」
シュウさんが部屋から出て来て、リビングの椅子に腰掛けた。
「はい♪すぐにお持ちいたします」
シュウさんは分厚い資料に目を通し始めた。
「ねぇ、蘭の相手って、彼?」
えっ?
「視線で分かるわよ。ねぇ、紹介してくれる♪」
「ダメだよ。仕事中だし…」
でも、少しは私を気にして欲しいなぁ。そんな私の心を読んだのか、シュウさんは、私に近寄って来て、背中から抱き締めてくれた。
「おかえり、蘭♪」
「ただいま、戻りました。お仕事は…」
「一休みだよ。あぁ、明日から出張だ。当分、帰れない。すまないな」
「いえ…お帰りをお待ちしています」
私達を唖然とした表情でみている園子と世良ちゃん。
「シュウさん、ちょっと、よろしいですか?」
深雪さんが、シュウさんに声を掛けてきた。
「あぁ、ディープスノウの件か?」
「はい」
「すまない、蘭。また、後でな」
シュウさんは、分厚い資料をリーラさんに手渡すと、深雪さんと共に隣の社屋へと向かったようだ。
「すごい美人…蘭のライバル?」
「違います…彼女はディープスノウ社のCEOの奥様の深雪さんですよ」
って、フィアさんがフォローしてくれた。
「ディープスノウ社…あぁ、最近イケイケな企業よね」
って、園子。そうなんだ。私はほとんど何も知らずに、ここに住み込んでしまった。いいのかな?
『蘭は蘭のままでいいんだよ』
って、シュウさんの声が脳裏で響いた。嬉しい気分、幸せな気分になっていく。
「で、蘭の部屋は?」
「申し訳ありません。居住区には、関係者以外立ち入りは出来ません」
リーラさんが、代わりに答えてくれた。一般の人に見られるとダメな物がある為、制限されていた。大家さん自体、傭兵だから…
「そうなんだ…」
「うん、ゴメンね。でも、一人部屋で、ベッドと本棚、後机程度しか無いわよ。食事とかはここで食べるし、お風呂はお風呂場が別にあるし、部屋では勉強と寝ることしかしないのよ」
寝ること…シュウさんと…なんて言えないけど…
「私もここに越してこようかな?空き部屋って無いの?」
って、園子…
「申し訳ありません。一般の方の募集はしておりません」
って、リーラさん。
---鈴木園子---
蘭の住んでいるあの屋敷が怪しい。一般人の入居は募集していない?どういう意味?鈴木財閥の力を使って探りを入れてみる。蘭が何かに巻き込まれる前に、救い出さないとダメだと思うから。
しかし…探りを入れに行った者達は、行方不明になっていった。どういうこと?犯罪組織絡みなのかな?蘭に訊くと、違うと言われたけど…目暮警部に相談をしてみた。
「園子君、彼には手を出さない方がいい」
「どういうことですか?」
「君の放った密偵なんだが、全員、公安に逮捕されているぞ。鈴木財閥自体も公安の監視対象にされているかもしれない」
「ど…どういう意味ですか?」
何か、踏んではいけない尻尾を踏んだらしい。目暮警部に、取調室に連れて行かれた。
「ここなら、盗聴はされないかな。いいかね、警察でも介入できない者達がいるんだ」
警察でも介入出来無い?誰なら出来るんだ?
「後、お金で解決出来無いこともある。命を粗末にするなよ」
ちょっと待ってよ~
「それって、彼は何者なんですか?蘭のことが心配なんですよ、私はね」
「僕か?自由人だよ」
えっ?後ろから、蘭の彼氏の声が聞こえた。ドアは私の目の前に有り、誰も入室していない。なのに…
「目暮さん、これはどういう趣向ですか?」
目暮警部の顔から血の気が失せている。
「まぁ、いい。鈴木財閥は敵対ってことでいいんだな。じゃ、帰るよ」
彼はドアを開けて出て行った。
「目暮警部…」
「もう、詮索はしない方がいい…あれは、最後通告だぞ、園子君」
最後通告?お祖父様に連絡をして、上の方から圧力を掛けて貰った。しかし…
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私は取り調べ室にいる。先程とは違う取り調べ室だ。
「上から圧力だと?高校生のくせに、やることがエグいなぁ」
とても美人な刑事に取り調べを受けている。警視総監を脅迫した罪らしい。
「まぁ、おかげで、腐った政治家を狩ることができたよ。感謝の言葉を与えるよ、鈴木園子さん」
上から圧力…政治家数名で警視総監に、圧力をかけたそうだ。それは罠だった。鈴木財閥を叩く為の…この女刑事さんの父親は警視総監で…罠を仕掛けたのは、彼女の関係者である蘭の彼氏だった。
「これで、わかっただろ?お前の知りたかった彼の正体がさぁ♪」
楽しそうに言う女刑事さん。ドエスか?!彼の正体…警察庁の秘密工作員らしい。証拠が中々出て来ない、政治家絡みの案件に罠を張っているらしかった。
「複合企業財体のCEOって、ガセなんですか?」
「いや、事実だよ。経済人が警察の手先って盲点だろ?」
彼の存在自体が罠なのか…
「警察庁と彼の間は良好だよ。今も、調査に協力してもらっているしね」
「私はどうなるんですか?」
「どうされたい?何もしなければ、前科一犯かな?未成年ではあるが、金にモノを言わせた行動は、看過できないからな」
「どうすれば…」
「もう、彼に関わるな。いいな。最後通告だ。これ以上、関われば、鈴木財閥は消える。消えれば、もうお前は金にモノを言わせなくなる。わかるよな?高校生だし♪」
脅し…
「そうそう、工藤新一君にも頼るなよ。彼も最後通告を受けているんだ」
新一君も…
---シュウ---
冴子が動いてくれたおかげで、鈴木財閥からのちょっかいは無くなり、周囲は平穏になっていった。これで、メメ案件に、集中できそうだ。蘭に挨拶をして、メメ達の待つ、あの場所へと向かった。AMPからキディ、那魅を借りて…