※この作品はR-18です。

神器なき男2   作:もっち~!

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VS複合企業財体

---一誠---

 

もうすぐ夏休みな7月の第一週目の土曜日、僕は父さんと或る場所に向かっていた。

 

「一誠、こんな場所に里なんかあるのか?」

 

ここは京都にある山の奥深く、うっそうとした森の中である。こんな森の中に里村が有るとは信じていない父さん。

 

「有るよ」

 

僕は目の前の風景で、違和感を持った箇所を見つけた。ここかな?父さんの手を握って、その場所を先に進むと、一瞬、光に包まれて、目が慣れてくると、目の前には田園風景が広がっていた。

 

「本当かよ。あのうっそうとした森に、いきなりこの風景かぁ~」

 

父さんが驚いていた。

 

「おい!お前らは何者だ?」

 

侵入者である僕達は、得物を手にした村人達に囲まれた。

 

「鬼門童夢に会いたい。シュウ・ヨハネが会いに来たと伝えてください」

 

僕は、近くにいた村人に声をかけた。

 

「シュウ・ヨハネ?ちょっと、待ってくれ…」

 

一番強そうな者が、屋敷の方へ走っていく。しばらくすると、戻って来て、僕達を案内してくれた。

 

大きな屋敷の門をくぐり、屋敷の主が出迎えてくれた。

 

「お目にかかれて光栄です。シュウ・ヨハネ・鬼門さん」

 

主に挨拶された。僕の事は、地獄経由で聞いているそうだった。こことは違う別世界での息子であるということも。

 

「初めまして、鬼門童夢さん……僕の事はシュウと呼んでください。童夢さん」

 

僕の世界においての、僕の実の父親、童夢父さんに挨拶とお願いをした。頷く、童夢さん。そして、奥の間に通された。

 

「楽な姿勢で良いです。お座りください」

 

僕と誠父さんは座った。

 

「で、御用件はなんでしょうか?」

 

「僕の後ろ盾になってくれる者を紹介してください」

 

僕はお願いをした。

 

「うん?兵藤誠殿ではダメなのか?」

 

「経済的な後ろ盾がほしいんです。誠父さんの力とは違う、経済力とか社会的圧力とかが欲しいのです」

 

「やりたいことがあるんですね」

 

「はい。経済的な支援をしたいんですが、僕はこの世界では幼稚園児です。そのようなことは表立ってできませんから」

 

「う~ん、鬼門家は表立ったことはしていないから…知っているとは思いますが」

 

「そうなんだけど…他に頼れる兵藤家、式森家も同じ状況なんです。どこか頼れる企業、団体はありませんか?」

 

「あぁ、いることはいます。九鬼帝という者なんですが、この村の者の末裔に当たります。この村を出た9匹の鬼が創業した会社ですが、今はデカくなったようです」

 

あっ…九鬼家かぁ…この世界にもあるのか…他の世界では因縁があるけど…う~む…

 

「僕なんかがいっても相手してくれるかな?」

 

「鬼門家の証をお持ちですよね?」

 

「いや、器(身体)が違うから…無いかな?」

 

「では、証をお持ちください」

 

童夢父さんが、僕の額に鬼門家の証を刻んでくれた。

 

「うん?えっ…シュウ…まさか…遣い人…様?」

 

「え?器違いだから、絶対神の紋章はないはずだけど…」

 

「魂に刻まれている証は、器が変わっても消えませんよ。そうだ、闇雲家を訪ねてみては?この国の神社仏閣、神事を取り仕切っている家です。そこなら、コネがあるかもしれません」

 

闇雲家…ヤマトが世話になっている家だな…この世界でもAMPという組織はあるのだろうか?

 

「訪ねてみます。色々ありがとうございます」

 

僕は礼を言って、頭を下げた。

 

「固いことは無しにしましょう。世界は違っても鬼門の者なんですから、また困ったことがあれば、連絡をください。地上では、烏間という者がパイプになりますから」

 

烏間?九十九屋のかな?

 

「どうすれば、呼べるんですか?」

 

「先程の証に名前を念じれば、届きます。あと、今更ですが、鬼門の証に念を籠めれば、本来の姿になれるはすです。時間的な制約はあるかもしれませんが」

 

本来の…僕は言われた通り念を籠めて、力を解放した。すると、天使の翼を持った鬼に変身できた♪

 

「それが、シュウの本来の姿なのか?」

 

誠父さんが驚いている。童夢父さんは、ほくそ笑んでいた。

 

「なかなか立派な身体だ。天使の翼もあるのかぁ…なるほどね、天国でも地獄でも自由自在な訳だ。ははは」

 

童夢父さんは納得した顔付きで何度も頷いている。一方の誠父さんは、少しビビっているようだ。まぁ、幼稚園児がいきなり、鬼に変身したんだから、当然かな?

 

そして、僕と誠父さんは、次の場所を目指して、転移をして行った。

 

 

------

 

次に訪れた場所…闇雲神社。闇雲家の現当主が、神事を行っている神社である。門をくぐり、社務所で用件を伝えた。社務所で働いているのは、式神っぽいなぁ。スルーしておこう。

 

当主が会ってくれるそうで、奥の間に通された。

 

「で、鬼門家の者が何の用?」

 

黒髪であどけなさが、残る巫女姿の少女…闇雲那魅の第一印象だ。

 

「僕の後ろ盾になってください」

 

「はぁ?鬼の後ろ盾に?」

 

僕は本来の姿に変身した。僕の姿に驚く那魅さん。

 

「天使の翼を持った鬼…綺麗…」

 

え?そういう感想…そんな意外な感想をされるとは…

 

「なるほど…高位波動を感じます」

 

目の前で、印を切り舞い踊る那魅さん。

 

「あなたの魂を見ました。美しいですね♪」

 

え?この人もネクロマンサーなのかな?

 

「闇雲家の紋章を刻みました。でも、すでにあるのは何故ですか?」

 

ここに至る経緯を説明した。

 

「そういうことですか。悪神の罠にはまり…もし良ければ、私達に力を貸して頂けませんか?兵藤家と式森家の力は心強いですから」

 

この世界でもAMP(対怪異用特殊警察)はあるみたいだ。

 

「世の中の為になるなら、協力をします。でも、一誠はまだ幼稚園児で…」

 

父さんが承諾した。

 

「あぁ、幼稚園児でスタミナ不足なのね。本来の姿も維持するには時間的な制約が有りそうですね」

 

「うん、そうなんだよ。すぐに眠くなるのが弱点なんだ」

 

「では、将来の戦力になって貰おうかな♪そうだ、後ろ盾の件ですが、マーベリック財団も協力してくれると思いますよ」

 

おぉ、心強いかも。マーベリック財団とは、発明王のステファン・L・マーベリックの発明による特許で得る収入を財源にしている財団だ。

 

その後、那魅さん経由で、九鬼財閥も後ろ盾にできた。これで、経済的な支援ができる。

 

 

------

 

翌日、母さんとマーベリック財団の現トップ、レビア・マーベリックさんの家を訪れた。レビアさんはスタイル抜群で、母さんですら見とれていた。幼稚園児でなければ、襲い掛かっていたかもしれない…

 

「で、どこを支援したいの?」

 

那魅さんが用件を伝えてくれたおかげで、いきなり本題に入った。

 

「養護施設「若葉の家」と、リーゼルタニアの「孤児院」です。まぁ、リーゼルタニアは国自体も。貧富の差が激しいらしいから」

 

「若葉の家」は刀華の育った施設。資金難らしい。リーゼルタニアはユリスの祖国。ここも資金難だそうだ。複合企業財体に巣くわれて、経済を破綻させられたらしい。今は傀儡政権となり、企業体からの寄付で賄っているそうだ。

 

「リーゼルタニアにどう打って出る?」

 

「ふふふ、プログラムの改竄なんていうのは?」

 

リーゼルタニアを調べた結果、複数の企業の集まりである複合企業財体。その集団において、理念を共通にするために精神調整プログラムというモノが入れられているようだった。

 

「なるほど…ハッキングかぁ。それは私がやろう。あとは?」

 

「あとは、あの集団を潰すっていうのは?」

 

「どう潰すんだ?」

 

「株価操作とかかな?今、株取引に長けている仲間に、あの集団の株を買い足してもらっているんだ」

 

「資金は莫大だぞ?うちの財団だけでは、無理だな」

 

「うん?僕の財だけで大丈夫。この星に流通するお金の3倍くらい持っているから」

 

「「はぁい?」」

 

母さんとレビアさんが驚いた。そうだろう、そうだろう。財テク戦士のリーラさんに頼んで、この星の2倍だった僕の財を3倍に増やして貰って、ユリスを虐める奴に仕返しを仕掛けているところだ。

 

「どんだけ、持っているんだ?」

 

「色々な世界を渡り歩いたから、貴金属類は豊富に持っているんだ♪」

 

「最強の幼稚園児だな…マーベリック財団の後ろ盾なんか、いらないんじゃない?」

 

「僕は表に出られない。だから、必要なんです。マーベリック財団なら、お金持ちのイメージがあるし♪」

 

「一誠、お前が大人なら、プロポーズしたかもなぁ、ははは」

 

え?結婚する気あるのかな?ヤマトに聞いた話だと、どの世界でも独身を謳歌しているようだけど…

 

「いつ、決行するんだ?」

 

「資金援助は早急にお願いします。集団潰しはリーゼルタニアに行く日に決行します。世界同時ストップ安に直面したら、あの集団はどうなるかな?」

 

「売り抜くのか?」

 

「売れるだけ一気に行きます」

 

「知り合いのディーラーにも、声を掛けても良いな?大損させる訳に、いかないからな」

 

「決行の前日に連絡します。決行日には取引開始直後に開始です。予約を入れておいてください」

 

「了解だ」

 

 

------

 

目が覚めたら水曜の昼だった。日曜の夜に帰って来て、その後に爆睡をしたようだ。ハードスケジュールだったもんなぁ…

 

で、なんで、ユリスとステラと刀華が、全裸で添い寝をしているのだ?こいつら、授業は良いのか?若い女性のフェロモンは良い香りだ…しかし、幼稚園児の僕の身体は、何も変化しない。凹む…

 

そうだ…証に念を籠めて、本来の姿に変身をした。どのくらいで変身が解除されるのかな?全裸の3名の手足を拘束して、視覚、聴覚の情報を奪う。そして、刺激を与えていく。もがき、喘ぎ始める獲物達。真っ暗闇で音がしない世界にいる彼女達。囚われの姫達を弄び、湧き出る体液を飲み干していく。そして、挿入。

 

1時間くらい経つが変身状態は解けない。うん?エロ行為だと、時間制約は無いのか?あと、この身体だと、刺激が鈍い…鬼ならではの耐性の高さの顕れなのか?かといって、激しく責めると、彼女達の身体が危ない…幼稚園児姿に戻った僕。そして、三人の乳首を代わる代わる咥えて、乳を吸おうとするが出ない…

 

『イチゴミルク』

 

と、念じるが、イチゴミルクは出てこなかった。そこまでの能力はまだ覚醒していないみたいだ。

 

「うん?イッセー君?何をしたのよ~」

 

ステラの声がした。あっ…変身を解いた為、視覚&聴覚ブロックのエフェクトは無くなったようだ。

 

「いや…能力の開発…と…言うか…」

 

「イッセー君、拘束を解きなさいよ!」

 

ユリスの声は怒っている。

 

「兵藤君…責任を取ってね…」

 

刀華…幼稚園児にそれは無理だよ~

 

拘束を解いた。三人に取り囲まれた。どうしよ~

 

話合いをした結果、本来の姿で一人2ラウンドで手を打ってもらった。その反動でさらに二日の爆睡を要して、その週は連続欠席になった…

 

 

------

 

翌週末、家に戻った。刀華達3名は、トレーニングルームで、ドラゴン相手に鍛錬をしていた。僕は父さんの部屋にいる。

 

「見て来たが、一誠が言っていたほどの厚みはなかったぞ」

 

父さんには、ハルケギニア大陸を調査して貰ってきた。60階以上の階層、それを地下に埋め込むだけの大陸の厚みがあるかを、見て来てもらったのだ。

 

「下層に行く程広くなる、ピラミッド形状だろ?あの大陸に埋めるには無理だな」

 

では、どこに?今までに積み重ねてきた、記憶と知識に検索をかけていく僕。う~、どこだろう?隠す場所?

 

「彼女達の国に古い文献はあったのかい?」

 

「ユリスの国は、企業体の傀儡になっちゃったから、企業体に没収されたようだよ。ステラの国は、歴史があるみたいだけど、言語が今と違うらしくて、読めない文献があったって」

 

「企業体って、複合企業財体か?」

 

「うん、父さん、そこに顔が利く?」

 

「いや、あまり接点はない。俺は、神格筋の依頼が殆どだからな」

 

どうしよう…あっ…あれは手元にあるのだろうか?僕は不思議な袋に手を突っ込み、捜し物を念じた…手にそれが転移してきたのを感じて、袋から手を出すと、1冊の本を持っていた。

 

「その書物はなんだい?」

 

「僕の中の人の愛読書…『世界不思議大辞典』です。知恵の精霊とリンクしているんだよ」

 

「知恵の精霊?エデンの園にある、知恵の実のなる樹に、宿っていると言われている?」

 

「うん♪そうだ!父さん、エデンの園に行こう!」

 

「おい、簡単に言うな。俺の能力では、そこには転移できない」

 

父さんが言い終わる頃には、エデンの園に転移していた。

 

「着いたよ、父さん」

 

「はぁい?」

 

周囲を見回している父さん。

 

「僕が行きたいって念じると、ここに強制転移してくれるんだ♪」

 

「誰がそんなことを?」

 

「私です♪」

 

ニコニコしているガブリエルが現れた。

 

「どっ、どなたですか?」

 

「セラフのガブリエルです。一誠君のファン…と、言うより、シュウ様に恋しています♪」

 

乙女になっているガブリエル。遠くに苦笑いしているミカエルさんがいた。僕は、湖の湖畔に生えている知恵の樹に手を当てて、念じた。

 

『迷宮都市オラリオの場所を教えてください』

 

『リーゼルタニアにある湖の中…複合企業財体の利権を生む資材は、魔石だ。冒険者達が迷宮から持ち帰った魔石。それが浅い地層に眠っている。それを掘り出しているのだ。やつらをリーゼルタニアから追い出さないと、迷宮の蓋を開けかねない』

 

え…湖の中かぁ…

 

『ロキ以外に今の時代に残っている悪神は?』

 

『ロキの息子…二代目悪神ロキ…父親はオーディン…』

 

おぃおぃ…あのじじぃ…平坦胸好きなのか?

 

『オーディンは女性なら誰でもOKのようだ』

 

あのエロ神め~

 

『脅威はロキ、オーディンだけ?』

 

『息子のロキとリリンは悪仲間だ。注意しろ。神々のたそがれを起こそうとしている』

 

『どこにいる?』

 

『別の世界に逃亡中だ。捕捉不能…困ったことだ』

 

最悪の結末に突き進むのか?

 

『それを阻止するために、お前が召喚された。頼むぞ、シュウ!』

 

それが、僕がここにいる理由?僕は、父さん達のいる場所に戻った。

 

「どうしたんだ?一誠」

 

僕は父さんに、知恵の精霊から得た情報を伝えた。

 

「神々のたそがれだと…ソレを阻止するために、シュウとマリアさんが召喚されたのか?」

 

「のようです。悪神ロキの罠で飛ばされたと思っていたけど、悪神ロキの悪さを阻止するために派遣されたようです」

 

「ロキとリリンかぁ…とんでもないタッグチームだな」

 

ガブリエルは、僕の話した内容を、ミカエルさんに伝えるべく、走り去った。

 

「オーディンがとんでもないよ。アイツが手を出さなければ…」

 

「でも、賽は振られたんだろ?まずは、リーゼルタニアを死守しよう」

 

「父さん、協力をして」

 

「当たり前だ。幼稚園児だけにさせられない。事態によっては数馬君も呼び出す。俺の人脈を遣って、死守する。一誠の方の作戦はいけそうなのか?」

 

「売買の規制に抵触しなければ、売り抜けられるはず。売り抜けられれば、資金は1.5倍位に増えるよ♪」

 

 

------

 

移動できる仲間は、リーゼルタニア周辺に、散ってもらった。伊豆湖には情報収集を頼んでいる。万が一の事態に備えて、シルキーにも向かってもらった。数が必要な場合は、天界、冥界、地獄から援軍が来てくれることになっている。

 

ステラとユリスには一緒には行けないことを告げた。理由は、僕が幼稚園児で、親同伴でないと飛行機に乗れないから…僕と父さんで転移して先に行く事を告げた。まずは、リーゼルタニア。その後に、ステラの国で文献購読するという予定だ。

 

夏休みまでもうすぐという頃、刀華に呼び止められた。

 

「兵藤君、ありがとう…」

 

最初、なんの事かわからなかったけど、「若葉の家」の支援の事のようだ。影からの援助のはずが、マーベリック財団の方が口を滑らして、あしながおじさんならぬ、単なる幼稚園児の名前を出したそうだった。

 

「これで、当面、運営ができるって…」

 

「支援は継続させるから、刀華は財政なんかで頭を悩ませなくて良いからね」

 

「私の身体を供物に…」

 

「僕は幼稚園児なので、貰っても困ります。それに、仲間なんだから助けるのは当たり前。見返りなんか期待していない。だから、気にしないで良いから」

 

「じゃ、兵藤君が大きくなった、お付きの者になろうかな?」

 

「心強いです。お願いします」

 

話が一段落着いたところで、今度はユリスが声をかけてきた。

 

「うちの国にも財政を支援してくれて、ありがとう…」

 

あぁ?こっちでも口を滑らしたのか?

 

「ユリスの国の件はまだ終わっていない。ユリスより先に行って、掃除しておくから」

 

「掃除?何を?…まさか…ダメだよ、イッセー君。共同企業体にケンカなんか売ったら」

 

「ケンカ?僕達の勢力のジャマなんだよ。アイツらは」

 

「イッセー君の勢力って?」

 

「この星を愛する者達かな?ロマンティック風に言うとね」

 

「幼稚園児に似つかわしくないよ」

 

刀華につっこまれた。まぁ、たしかに。中の人はロマンチストというより、エロ大好きなだけだし。

 

 

-------

 

そして、夏休み…ユリスとステラは帰国する準備を終えて、空港へと向かった。刀華は、財団の人と今後の運営方針を決めるとかで、施設に帰った。僕は父さんに迎えに来て貰い、リーゼルタニアに向けて二人で転移をしていく。

 

リーゼルタニアは、二つの顔を持っていた。昔からの国民が住む王宮があるエリアは、昔ながらの建物ばかりで、寂れている感じがする。しかし、湖の向こう側は、共同企業体の近代的な都市が広がっている。

 

「父さん。間違っているよね?」

 

「あぁ、企業が国を乗っ取るって良くないなぁ」

 

僕は転移する前に、明日決行だとレビアさんとリーラさんに告げた。明日の朝から戦争だよ。僕は戦闘時にはどのくらい本来の姿で戦えるのだろうか?

 

『心配しないで良い。主様は見ていれば良いのじゃ』

 

と、忍。魂に宿る仲間達は、戦う気が満々のようだ。僕の出る幕はないかな?

 

その日はリーゼルタニアの宿に泊まった。翌朝、ディール攻撃が始まったと知らせが、父さんに届いた。レビアさんも、ハッキング攻撃を開始したそうで、湖の向こう側は、停電したようだ。

 

戦況が父さんに続々と届く。

 

複合企業財体を構成する、6つの企業の株式の価値が、下落し続けている。取引開始5分でストップ安だそうだ。どんだけ多くのディーラーが参加したんだ?

 

しかし、その情報は湖の向こうに見える大都市には伝わっていないそうだ。停電したせいで、通信インフラも不通になり、情報がまるで入らない状態になったらしい。レビアさんの話では、あの都市を制御するセンターコンピュータをハックして、あれこれ弄り倒して、埋め込んだプログラムを総て実行した後に、初期化したそうだ。

 

各国の市場が開くと、同じようにストップ安に次々と陥り、取引ができない状態になっていく。6つの企業が、関わる総ての企業の株価に影響を及ぼしていく。値を戻そうと、それぞれの企業が買い増しをするが、売りの量が膨大なために、なかなか値が戻らない。

 

色々な名義で20%ほど持っているので、相手の資金調達不能待ちだ。金融機関にも手を打っていた。マーベリック財団、九鬼財閥、鬼門家、兵藤家、式森家、闇雲家と、使える手札を総て使って、金融機関に圧力をかけていた。

 

富を管理していた複合企業財体のセンターコンピュータ。データを根こそぎ奪い、初期化したため、どこにどれだけの富があるのかの把握ができないようだ。

 

新たに情報が届いた。金庫が開かないらしい。センターコンピュータで管理していたらしく、どうやっても開かないらしい。盗難防止目的で頑強につくったせいで、外からどうやっても開かないそうだ。エマージェンシーキーなる物があるらしいが、これもセンターコンピュータで一元管理していたようで、詰む一歩手前らしい。

 

「高性能なコンピュータシステムを過信しすぎている」って、レビアさんの感想も届いた、バックアップは必要だよ。まぁ、バックアップを利用されての、セキュリティ突破が怖かったのかもな。複合企業体だから、全社が集まるココだけで管理をしていたのかもしれない。あれこれと予想をする僕。

 

そして、ユリスが帰国して来るまでに、勝負はついた。資金調達が出来なくなった複合企業財体を、マーベリック財団で買収した。資金は僕の貯金から出した。複合企業財体の役員達は目先の大金に目が眩んだのだった。

 

今回の戦いのMVPは、レビアさんの精神調整プログラムの改竄だな。あれで、役員達は大金に目が眩んだんだから…

 

ディールに参加協力してくれた投資グループも含め、手に入った富を、仲間全員で山分けした。リーゼルタニアという不動産以外はね。これで、気兼ねなく湖の調査ができる。

 

 

 

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