---ガノッサ---
俺はガノッサ・マクシミリアン。異世界への扉を開くという偉業を、為し得た偉大なる大魔導師だ。俺の偉業に嫉妬してジャマをした、俺の師であるギゲルフ・リキュール。命と引き換えに扉を閉めやがった。
異世界は、俺達のいる宇宙とは違う、異なる秩序が支配する宇宙にある邪界という世界だった。妖魔という種族が住み、他の星々の種族を蹂躙して、征服しているようだった。
そこで俺はその世界の王、ルシフェルに、
「扉の向こうの世界も手に入れないか?」
と、持ちかけた。ルシフェル自体は、あまり乗る気ではなかったが、多くの妖魔が俺の申し出に賛同してくれた。それなのに…ギゲルフのせいで、侵攻する前に扉は閉ざされてしまった。
門の前で悔しがっていた俺に、声をかけてきた人物達がいた。悔しがっている理由をきかれたので、答えた。ここ、次元の狭間にいるってことは、こいつらも真面ではないから。
「その門を開くの協力してやる」
理由を聞き、そう申し出てきた。
「見返りはないぞ」
「俺達は”神々のたそがれ”が観たいだけだ。異世界の門かぁ。そそるなぁ。恐怖に震える声が響く世界なんって。ふふふ」
声を掛けてきた人物は、神の王と名乗るロキと、初代魔王の息子のリゼヴィム・ルシファーだそうだ。
「人間の王、神の王、悪魔の王の三本の矢だねん♪これは強さだな、ふふふ」
三本の矢かぁ…随分と人間臭いことを言うな、この魔王の息子は。俺と同じ色の者達のようで、すぐに意気投合した。
”神々のたそがれ”というのは、ラグナロクのことで、世界の終末を意味する。そう、この世界は妖魔によって蹂躙される。そして、俺達の手で妖魔を蹂躙し、異世界を手にしようと計画をした。
ロキとリゼヴィムは、この世界に存在する最終兵器を、隠し持っているそうだ。それを使えば、妖魔なんか全滅させるのは容易いらしい。
俺達の課題、あの門を再び開けるために、カギを探すことだ。大体の当たりはついている。あとは、ソイツをどうコチラ側に誘い込むかだな。
---一香---
誠さんの留守中に、我が家にサーゼクスと、人間ではない女性が来た。私に、話し合いの立ち会い人になってほしいという、サーゼクス。不倫のもつれ話か?
私の部屋に通した。他の者に聞かれたくないみたいだったので。別れ話か?興味あるなぁ、他人の不幸な話は。ははは。彼女は見た目、私より上かな?
「一香殿、彼女はAMPという組織のトップで、ラリー・シャイアンです」
紹介をされた。なんだ、仕事絡みか、残念だ。うん?AMPというと…
「対怪異用特殊警察?」
「そうです。人外犯罪に対処するために、設立されています」
「人間ではないみたいだけど…」
最初に感じたことを質問してみた。
「妖魔と人間のハーフです」
「妖魔?そんな種族きいたことないけど…」
「妖魔は…この世界、いやこの宇宙とは違う宇宙にいる種族です」
「違う宇宙?ハーフって事は、この宇宙に妖魔は移り住んでいるってこと?」
なんか、私の知識の範疇を超えた話になりそうだ。シュウが居れば、どうにかなるのかな?
「サーゼクス、シュウは今いないんだけど」
「わかっています。リーゼルタニアに展開していますよね。セラフォルーとファルビウムが参戦しています」
「リーゼルタニア?そこに何かあるのか?」
ラリーさんがきいてきた。
「何かというか…シュウの探し物があるらしいんだけど…」
「シュウとは何者だ?」
あっ…名前を出すなって言われていたんだ。ヤバっ…
「何者…う~、どう言えば良いかな?サーゼクス」
と、甘えたような声で、サーゼクスにまかせた。
「一香殿…甘えるような声は反則ですよ…う~、どう言えば良いかな?この世界の者ではないです。別の世界から迷い込んだ者と言えば良いかな?」
「その者も妖魔なのか?」
「う~、どうかな?妖魔という者が今一わからないので、断言はできませんが、エロ神様です」
あぁ、言っちゃったよ~。知らないよ、グレイフィアに仕返しされても…
「エロ神?神なのか?神族なのか?」
「神です。神格階位2位の本物です」
「そうか…その者であれば、対抗できるかもな。そのシュウという者に会いたいんだが」
「あぁ…それは無理かな…魂だけの存在だから…」
って、私の隣に、ファルビウムの転移陣が現れて、一誠が転移してきた。
「サーゼクスさんに呼ばれたんだけど、何かな?作戦中の呼び出しは、高いよ♪」
エロ神が現れた。
「母さん、僕はエロ神じゃないよ!幼稚園児だからねっ!そこを間違えないでください」
あぁ、心が読まれるんだ…
「あっ、母さん、禁句を口にしたね?後でお仕置きね♪」
そうだ、記憶も読まれるんだ…凹む私。
「で、ラリーさんは、何用かな?」
「君がシュウか?」
「不正解だ。僕は兵藤一誠。僕の中の人がシュウ・ヨハネ・鬼門だ」
「ヨハネ…まさか…」
ラリーさんの顔が強張っていく。
「そう…なるほど…ルシファーホークか?」
「「ルシファーホーク?」」
私とサーゼクスが同時に声をあげた。
「そう…たぶん、彼女はハーフだね。波動を読み取れるから」
「なぁ。もしかして、ネメシスと知り合いのヨハネか?」
「あぁ、そうだよ。ネメシスが、侵攻を指揮しているんじゃないよな?」
「彼女は阻止した側だ。ヨハネの居る世界を護りたいそうだ」
「えぇ、一誠、ネメシスって何?ルシファーホークって何?」
わからない単語を息子に聞く私。
「ルシファーホークは、こことは違う宇宙の悪魔のこと。ネメシスは、その宇宙、邪界と呼ばれる宇宙の女神だよ。僕とは知り合い…あぁ、一誠の姿で言っても説得力ないか」
一誠が変身した。天使の翼を持つ鬼の姿になった。
「これが、僕の本来の姿だ。ラリー、母さん、サーゼクスさん」
美しくも神々しい翼…あっ、私の神滅具の禁手状態の翼のようだ。さすが、親子だな。
「で、各宇宙の絶対神達が集まる会議で、お互いお供で付いていき、そして知り合った」
「あなたの事は、聞いております。それで、この宇宙と邪界を繋ぐ門を、無くしてくれと言われているんです」
「それは無くさないとダメだな。絶対神の間以外にあったら、ダメな物だ。でも、今の僕には無理だ。会話とかエロ行為の時には、この姿でいられるけど、まだ戦闘の時には時間的な制約があるから、無理だ」
何だ?戦闘では無理でエロ行為なら大丈夫って?
「すまん、一香…基本エロ神なんで…」
あぁ、禁句を口にしたことを、根に持っている。あの身体で、お仕置き…されたいような…あはっ♪
「一香、妄想は後にしてくれ…」
心での独り言も筒抜け…しまった…
「どのくらいで、戦えるようになる?」
「あと、15年くらい…器が大人にならないと、プールできる魔力の上限が低すぎるから」
「15年かぁ…長いなぁ。そこまで、保てば良いが」
「門の状態は?」
「締まっている。しかし、カギを使えば開いてしまう」
「カギを使えなくするか…それも、まだできないなぁ」
「そうそう、リーゼルタニアには何があるんだ?」
「確証はないけど、たぶん…この世界のラスボスだ」
「そんな物が?」
「知っている神が抑えてくれていたから、封印を施して、今も護ってくれていると信じたい。でも、僕の知っている場所と地形が大幅に違うんだ。何があったかを調べるために、リーゼルタニア周辺で調査を続けようと思っている。レビアさんに聞いていない?」
驚いたような顔をしたラリーさん。レビアさんって、同性の私が見ても、うっとりとするボディの人ねぇ♪
「そうか…レビアと那魅が言っていた子供って…AMPに協力してくれるって…」
「戦えるようになったらな」
「いや、知識と知恵は、使えるんだろ?」
「使用料は高いぞ!ふふふ…あっ、そうだ、二代目悪神ロキと、リゼヴィム・ルシファーが、ラスボス絡みでの敵になる者達だ。見つけ次第、トレースをしてほしい。今、別の宇宙に行って、捕捉できないみたいなんだ」
「邪界にいるのか?」
「可能性はある。門は邪界への門だけなんだろ?」
「今のところ、把握できているのはな」
「じゃ、僕は、リーゼルタニアに戻るよ…サーゼクスさん、この魔法陣に魔力を注いで」
長距離な転移なためか、シュウはサーゼクスの魔力で転移をしていった。
---ラリー---
署に戻り、署長室の自分の席で、あれこれ考える。
門を発現させ、門を開いたのは、ガノッサ・マクシミリアン。
その門を閉じて鍵を掛けたのは、ガノッサの師である大魔導士ギゲルフ・リキュール。
そうなると、鍵は…ギゲルフの子供かぁ…
シュウの追っているラスボス絡みの人物、二代目悪神ロキとリゼヴィム・ルシファー。たぶん、それらの者達とガノッサは通じているのだろうな。
狙いは何だ?
『たぶん、「神々のたそがれ」の高みの見物だろうな』
何者の気配を感じない室内。私に念話が届いた。どこから?背中越しに胸を掴まれた。
「何者だ?」
あっ…久しく感じていなかった刺激が、脳髄に届く。
うぅ…乳首を手の平で転がされているようだ…襲い掛かっている者の姿は見えない。気配すら感じない。
『殺そうと思えば。いつでもやれるよ♪』
あぁん…私の口から喘ぎ声が漏れていく。息づかいも荒くなっていく私。意識が…
『見た目は年増だけど、身体は乙女みたいだね♪』
下腹部を責められている。何だろう、この感覚は…鼻先かな?ソレでクリ●リスを刺激しつつ、割れ目を舐められているようだ。
いやっ…口からヨダレが垂れている。でも、身体が動かない、いや動きたくない。この刺激から離れたくない、って思えてきている私。
あぅ…有り得ない…でも感じる。産道の内部を舐められている。舌はどんどん先に舐め進んでいる。その先には子宮が…
ついに、子宮を舐め回れているような感覚に陥る。鏡に映る私の顔は、恍惚な表情である。自分のヨダレで、シャツの色が変色している…
意識が飛ぶ寸前に言葉を聞いた。
『生きている証拠だ。この感覚を忘れるな!死んだら、この感覚は得られなくなるからな!』
私を弄んだ者は、私に死ぬなと、言っているようだ…
---一誠---
あれこれして、父さんの元に戻ると、眠気が…たぶん、父さんに倒れ込んだのかな?
意識が戻ると、僕の顔を心配そうに見る、父さんとユリスがいた。
「父さん…」
「一誠、疲れたんだろう。2日ほど爆睡をしたぞ」
「イッセー君!」
僕に抱きつくユリス。心配かけちゃったなぁ…くぅ…
---シュウ---
一誠の睡眠中に、別空間で女神ネメシスと会った。
「シュウ…ごめんなさい。私には抑え付ける力が無いの」
開口一番、彼女が謝ってきた。彼女は、二人の場合は僕の事を「シュウ」と呼び、公の席では「ヨハネ」と呼んでいた。
「わかっている。君はそういう力がないことを」
「どうすれば良い?」
「僕が戦えるようになるまで、時間を稼いでほしい。門は、僕が必ず消すから」
「シュウ…あなたと同じ宇宙に産まれたかった…」
「ごめん。僕に、ネメシスの願いを叶える力が無くて…」
「ううん、あなたのその気持ちだけで、充分だよ。わかった。出来るだけ時間を稼いでみる」
「ありがとう…いつか、僕が君の世界に行けるようになるから、待っていてくれ」
「待っているよ、シュウ…」
---一誠---
意識が戻ると、ユリスが…全裸のユリスが添え寝をしていた。ユリスのしなやかな腕の皮膚が、僕の首の皮膚を刺激する。あれ?朝立ち?まだ幼稚園児なのに…股間に手をやると、確かに勃起していた。うん?なんでだ?
『主様、妖魔といたしたじゃろ?それで、器に変化が起きたようじゃ』
忍から念話が届いた。器?あぁ、僕の身体かぁ。変化って?
『この宇宙とは違うルールの、他の宇宙の波動を受けたのじゃ。この世界とは違う成長をし始めたのかもしぬ』
あぁ、ラリーさんはハーフだもんな。多少、あっちの波動も持っているよな。この世界とは違う成長って、何だろう?僕の中の人の知識を検索する…あちらの世界の人は性行為ができるようになる年齢が低い…らしい。あはっ♪
以前見た書物の頁が脳裏に浮かぶ。これって、禁断の魔術ギルドにあった書物…そういうこと…禁断の魔術は、邪界の魔術を応用して、先人達が術式プログラムしたようだ。ということは、古くから邪界から訪問者がいたって事になるなぁ。妖術もそうなのかな?妖怪と妖魔の関係が知りたいなぁ…
「イッセー君!起きた?」
ユリスの声で、現実の世界に引き戻された。
「おはよう、ユリス…」
「おはよう、イッセー君」
目覚めの口づけを頂いた。
「ランチを食べよう!」
ドレスを着ていくユリス。あぁ、そうだよな。ここではプリンセスだものな。
「ねぇ、父さんは?」
「湖の調査に行っているよ。善くない物が封印されているか、調査するんだって」
僕が爆睡中に、父さんは調べていてくれたのか。
僕を着せ替え人形のように、服を着せてくれているユリス。
「イッセー君の寝ている間に、採寸して作ったおいたんだ♪」
サイズがぴったりのモーニング…幼稚園児には不釣り合いだと思います。そして、ユリスにエスコートされて、食堂なのかな?大きなテーブルのある広間に連れていかれた。
「お兄様、イッセー君をお連れしました」
ユリスの兄のようだ。見た目は20代かな?
「この度はリーゼルタニアを統合企業財体から救ってくれて、感謝する。僕は、この国の国王でユリスの兄、ヨルベルト・マリー・ヨハネス・ハインリヒ・フォン・リースフェルトです」
国王なんだ…この若さで…
「幼稚園児の兵藤一誠です。よろしくお願いします」
「で、ユリスを射止めたのは、君かな?中の人かな?」
しゃがんで、僕の耳元でイタズラっぽく囁いた。
「お兄様!」
真っ赤な顔のユリスが、窘めて?くれた。
「中の人でも挨拶をした方は良いですか?」
「出来れば、お会いしたい」
僕は変身をした。天使の翼を持った鬼に。
「天使と鬼のハーフ、シュウ・ヨハネ・鬼門です」
優しい視線を放つユリスの兄。
「ふ~ん、鬼かぁ…ユリスが選んだんだ、間違いはないだろう。ユリスのことを頼みますよ」
僕は幼稚園児に戻った。
「頼まれても…まだ、幼稚園児ですよ」
「君が適齢期になるまで、待つよ。でも、ユリスが浮気したら、僕の養子になってほしいなぁ」
「もう、お兄様…何をおっしゃっているんですか?」
真っ赤な顔のユリスが喰ってかかっている。
「必要な物はあるかな?」
ユリスをスルーして、僕に話しかけてくれた。
「この辺りの古地図とかありますか?なんで、あれが湖の底にあるのか、不思議なんですよ」
「古地図かぁ…企業体に没収されたからな…」
「湖のあっち側のどこかにあるかな?」
「たぶん…」
それを探すことにしよう。ユリスと兄のヨルベルトとの三人でランチをした。質素ではあるが、美味しかった。パンケーキ最高だ!
食後、普段着に着替えて、湖の向こう側に、探索に出掛けた。まだ、飛べない僕は、シルキーを呼び出して、運んでもらった。
「小っちゃい父ちゃんも良いなぁ~」
すりすりっと、頬を擦り合わせる娘。
「お前、元に戻ったらお仕置きだからな!」
「あはっ♪あと、15年はスリスリできる♪」
こ、こっ、こいつ…娘の玩具にされるとは…
向こう岸の都市部に着いた。僕達の勢力の者で、調査をしているので、廃墟ということはないが、まぁ大きさの割には人口は少ないかな。
ファルビウムさんと、アザゼル率いる堕天使チームで、没収された書物や、金目の物、価値のある物を探していた。
「金庫は開いたの?」
アザゼルにきいた。
「あぁ、開いたけど、あまりコレと言った物はなかった。株券とか紙幣とかだな。財団のチームに引き渡して、山分け対象にするようだ。あぁっと、必要な企業の株は財団で保持するそうだ」
財団とは、レビアさんのマーベリック財団のことである。
「古地図が欲しいんだけど…」
あん?なんだ、この波動は?
「ファルビーさん、アザゼル、何か来る」
僕が叫んで、警告を発した。念話でセラフォルー、シルキー、父さんにも知らせた。空には、この世界にはいなそうな物が飛んで来た。
「あ?キメラか?どこから出て来たんだ?」
アザゼル率いる堕天使チームが迎撃に向かった。
『リヴァさん』
『誠だな、了解!』
リヴァさんの龍門が発現して、リヴァイアサンを召還して、湖に入水していった。空を見上げると、あれってキメラでないって、キングギドラだと思う。キングギドラは三本の首を巧みに操り、堕天使を翻弄している。
「イッセー、なんだ?あれって、ドラゴンか?」
「たぶん…宇宙超怪獣かな。この宇宙のではないから、確実じゃないよ~」
「さっそく、アイツらの仕業か?」
「そうでしょ。他に、他の宇宙から連れて来れないでしょ」
確か八岐大蛇の亜種だったから、アレが効くかな?僕は変身をして、ドラゴンスレイヤーを手にして、天使の翼を展開して、キングギドラに向かっていく。三つの頭部の口から、光線が放たれてくる。引力光線だっけ?反重力光線だっけ?悩んでいる間に、光線はすべて、身体を透過していった。
キングギドラの目の前に到達して、ドラゴンスレイヤーで、僕の印を刻み込んだ。すると、キングギドラは消えて、僕の手のひらにカプセルが出現した。へ?カプセル怪獣?う~、ウィンダムが欲しいなぁ、って、念じたら、カプセルが4つ増えた。何が入っているんだろう?全部のカプセルには「ネメシスより愛を込めて♪」と刻印されていた。おい…そんな、一瞬の気の緩みのせいか、突然変身状態が切れて、落下していく僕。地上に激突する前にセラフォルーに抱き抱えられた。
「わぁ~い、イッセー君だ♪」
すりすりっと、僕に頬をすり寄せるセラフォルー…シルキーとは似た者姉妹なのか?