---誠---
一誠の口から出た真実。俺は一誠を寝かしつけて、知り合いの神、破壊神であるシヴァを訪ねた。彼に、一誠の言ったことが真実かを確かめたのだ。
「そうか、誠殿の息子に着地したのか。う~、それは良かったのか、悪かったのか」
回り道をせずに発言するシヴァにしては、言い淀んでいる印象だ。
「何か、言いにくいことでもあるのか?」
「う~、言いにくいというか、言って良い事なのか…そうだ、彼の上司と、直接会話すると良い。今、繋いでもらうから」
繋いでもらう?どういうことだ。その時、頭の中に直接声が届き始めた。念話で会話かぁ。
『そうじゃ、そこに儂が行くことはできないからな。儂は宇宙を司る絶対神と呼ばれる存在じゃ』
絶対神って神々の頂点にいる神かぁ。
『そうじゃ。と言っても、儂の配下は最高神とシュウだけじゃが』
あいつも配下なのか?
『あぁ、奴は神格階位2位。儂の直下にいる者でな、儂の特務機関の団長を務めている猛者じゃ』
絶対神の特務機関の団長だって…確か…鬼畜って呼ばれていたような…
『今は赤子同然で、奴自身は何もできないが、奴がその気になれば、現状でもそちらの世界を壊滅させることは可能じゃ』
何もできないのに?
『奴の魂が弾かれた時にじゃ、儂が奴の仲間の一部を、奴の魂に宿らせたのじゃよ。奴との繋がりが切れた場合、大変な事になるかもしれないのでな』
仲間の一部?繋がりが切れるとどうなるんだ?
『管理人格がいなくなれば、ヤツラは暴走するじゃろう。どいつもこいつも2週間もあれば、星1つを壊滅することが容易いヤツラでな、野放しにすることができん。なので奴の魂に繋げていたのだが、今回は魂に宿らせたのじゃ』
俺の息子は、どれだけの戦力持ちなんだ?
『今回、そなたが目にした鎧は、『無限の龍神』オーフィスで、武器は『龍喰者』サマエルが力を貸したようじゃ』
伝説級のドラゴンじゃないか…昔いたとかいうドラゴン達…
『奴はドラゴンマスターじゃから、ドラゴンが懐きやすいのじゃ。後は…『怪異の王』キスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードというバンパイアも宿っておる』
伝説級のバンパイアじゃないか…俺の息子って、何者だ?
『奴は鬼と天使のハーフな最強の魔物じゃった。今は人間の赤子ではあるので、能力の大半が使えないがな。そちらに行く前、奴は一瞬で星1つを壊滅できる力を有していたのじゃ』
一瞬で?ラスボスでもそこまで凶悪じゃないだろう?
『まぁ、心配事はそこじゃ。今回、奴の安全弁になる存在が一緒におらんから。暴走した場合は、魂に宿した者達に頼るしかないが…抑えきれるかが問題じゃ』
俺の息子はラスボスか?伝説級のドラゴンやバンパイアでも抑えられないって…
『う~、身体が一新したことで、暴走のリスクは減っておるはずじゃ。あと、注意事項というか、奴は破綻した性癖を持つエスプレイヤーなド変態で、最強の英雄じゃ。要するにじゃ、神族でも男なら躊躇せずに殺すし、女神で好みなら下僕にするという、悪魔以上に残忍な奴じゃ。扱いには注意してくれ』
悪魔より凶悪だろう?聖なるオーラでも怯まないなんて。
『英雄、色を好むってことじゃ。扱い方さえ間違わなければ、奴は仲間想いの最強の戦士じゃ。仲間の為なら、命だって捨てる覚悟すら持っているのじゃ』
そこで、念話は切れた。
「そんな訳だ。味方の分には問題はないと思う」
シヴァは苦笑いをしていた。
「敵になったら…」
「この星は壊滅だろうな。敵には躊躇しないそうだから…あ、絶対神様が口に出さなかったけど…獣の数字…誠殿の息子に使役させているぞ。息子の扱いを間違えるなよ」
シヴァが真剣な顔付きで言った。獣の数字って、おい、ソレはまずいだろ…ってか、使役させているのか…どんだけ強かったんだ、アイツ?
「他の星の最高神仲間から聞いた話だが、別世界の誠殿を一撃で葬ったそうだぞ」
真剣な表情を崩さずにシヴァが言った。おい、一撃だって…
「今のアイツは、魔力が無いに等しいから問題はないが、禁術系魔術すら使えるそうだぞ」
魔導戦士でもあるのか…開いた口が塞がらない。
シヴァに礼を言って、家に帰り、一香に聞いた話を伝えた。息子の真実を知り驚く彼女。しかし、
「そうか、そうだったのね」
って、呟き、頬を赤らめた。何?おい、まさか…
「誠さん、息子にヤキモチとか八つ当たりしたら、私が許しませんよ。たぶん、私だけでなくてリーラと娘達も許さないかな。うふ♪」
アイツ、母親と姉妹とメイドに手をかけたなぁ…ここでも開いた口が塞がらない俺であった。
---一誠---
朝起きると、昨日の疲れもなく、身体が軽い。寝ている間に『回復再生』スキルが活性化して、断裂した筋肉などを再生したようだ。そうだ、剣術とか格闘術を鍛錬しないと、守りたい者が守れないな。どこで学びかな?
父さんの部屋に行き、父さんに相談した。
「格闘術か?兵藤家に行けば、基本は教えてくれるとは思うけど。剣術は…あっ、それより、一緒に来てほしい場所がある。今日は幼稚園は欠席でいいから」
って、父さんに連れられて、どこかに転移した。
転移した先は、グリゴリだった。グリゴリとは堕天使だけで構成している組織のことで、別名は「神の子を見張る者」だ。実際問題、胡散臭い研究をしている所だ。
「アザゼル、すまない。息子の一誠だ」
僕は総督のアザゼルに紹介された。
「ほぉ、こいつがバラキエルの救世主か」
僕は、検査装置に固定されて、検査をされていった。この世界のアザゼルが骨董屋のオヤジではないのに、僕は驚いたよ。
「誠殿…お前の息子は何者だ?」
アザゼルの声が震えていた。
「アザゼル、どうしたんだ?」
父さんが、アザゼルの異変に驚きを隠せないでいた。
「グリゴリの誇る検査装置で検査できない…って、どういうことだ?」
「アザゼル、問診したらどうだ?」
「それしかないが…」
僕は検査装置から解放された。そして、アザゼルに向けてある黒呪文を唱えた。
「ブレイザー・シャイニング・オア・ダークネス・ブレード総督」
アザゼルの顔が恐怖で歪む。
「お前…それをどうして…」
僕の首を締め上げるアザゼル。直ぐに、父さんが反応して、アザゼルを叩きのめした。
「俺の息子に何をするんだ?アザゼルよ」
「お前の息子は何者だ?なんで俺の黒歴史を知っているんだ?」
僕を殺してでも、葬りたい黒歴史なのか、この世界では、ふふふ。
「僕は何でも知っている。アザゼルの事は知っている」
アザゼルを追い込んで遊ぶ僕。
「誠殿…お前の息子は悪魔か?」
「すまない、アザゼル。悪魔より残虐らしい」
父さんは、僕の上司に話を聞いたそうだ。そうだよ、悪魔なんかかわいい種族だよ。ふふふ。
その後、僕は父さんに連れられて、違う場所に転移した。転移した先は、グレモリー邸だ。懐かしさを感じるな。
「誠殿、彼が息子さんの一誠君?」
「そうです。ジオティクスさん、ヴェネラナさん」
僕はリアスの両親に紹介された。
「兵藤一誠です。よろしくお願いします、ジオティクスさん、ヴェネラナさん」
挨拶をすると、二人に抱っこされたり、頬ずりされたり、小動物扱いされていく。
「そうだ、うちの娘を紹介してあげよう、リアス、おいで!」
部屋の奥から、サーゼクスさんと共にリアスが出て来た。
「一誠君、紹介するよ。息子のサーゼクスと娘のリアスだ」
「サーゼクスさん、リアスさん、こんにちわ」
「サーゼクス、息子が剣術を習いたいみたいなんだ。眷属の沖田君に頼めないかな?」
「誠殿の頼みは叶えますよ。道場の方へ向かいましょうか」
僕と父さんとサーゼクスさんで転移しようとすると、リアスが近寄って来て、4人で転移した。
沖田先生の道場…懐かしいなぁ。まだ、木場はいないみたいだ。
沖田先生指導の元、素振り、刀裁き、打ち込みなどをこなしていった。
「君は、剣術は初めてなのかい?」
どう答えて良いのか分からないので、僕は父さんの方を見た。
「そのことなんだけど、沖田君、サーゼクス。う~、なんて言えば良いかな…」
父さんもどう答えて良いのか、悩んでいるようだ。
「前世でのスキルをある程度、引き継いでいるみたいなんだ」
驚きの表情を浮かべる二人。沖田先生が動いた。
「一誠君、手合わせをお願いできるかな?」
僕は頷き、沖田先生と木刀にて試合をすることになった。沖田先生の動きは手に取るようにわかる。問題は現在の僕の身体がそれに反応できるかだ。沖田先生の放つ一撃一撃を確実に、刀で受け止める。筋肉が再生強化されたみたいで、昨日より動けそうだ。僕は距離を中距離にして、飛ぶ斬撃を放っていく。沖田先生の表情は驚いているみたいだ。僕は、ホーミングタイプの飛ぶ斬撃を放ってみる。でも、そこまではスキルが発動できないみたいだが、沖田先生の防御の為の刃先の寸前で、斬撃の軌道が変化して、先生の身体にヒットしていく。
「そこまでだ」
父さんの声で、試合は終了した。
「一誠君、すご~い♪」
リアスが抱きついてきた。うん?この歳で胸に膨らみがあるのか?姉さん達よりも、抱きつかれ心地が良い♪
「まさか、子供に当てられるとは…」
先生が凹んでいるみたいだ。
「誠殿…沖田にダメージを与えられるとは…」
「あぁ、サーゼクスよ、俺も驚いている。あの歳で、あのスキルは驚きだよ」
大人達の僕を見る視線が鋭い。刺さるようで、心地良い刺激を感じる。
「一誠、剣は何を持っているんだ?」
「サマエルの剣だけかな?」
『シュウ、ドラゴンスレイヤーは私と一緒にいる。村雨、村正は不思議な袋にある』
サマエルの声が頭に届いた。不思議な袋?そういえば、今日の夢で、袋を貰った記憶があるなぁ。念のため、妖刀二降りを念じると、僕の腰に装備された。
「あっ、あと、妖刀村雨、妖刀村正、ドラゴンスレイヤーも持っています」
村雨を抜き、サーゼクスさんの目の前に刃先を向ける。村雨から漂う聖のオーラで顔が歪んでいく。
「いっ、一誠君、その刀は?」
サーゼクスさんは息苦しいのか、息も荒くなっていた。
「妖刀村雨、常時、聖水が染み出ている妖刀です」
後ずさりしながら、身構えるサーゼクスさん。僕達の間に父さんが割って入る形で、立ち塞がった。
「一誠、それは、ここでは抜くな。悪魔に対して失礼だぞ」
僕は村雨を鞘に収めて、村正を引き抜き、父さんに向けた。
今度は、父さんの顔が歪んでいく。
「一誠、それは何だ?」
「妖刀村正、魔人を一撃で屠れる、死神の宿る刀だよ、父さん」
「魔人を…まさか、お前…」
「試してみる?父さん?魔人の血を引き次いでいるんだよね?」
そんな緊迫したムードを壊すように、
「ダメだよ、一誠君」
リアスが背中から抱きついてきた。僕は刀を鞘に収めて、
「リアス、ありがとう。闇に飲まれそうだったよ」
ムードブレイカーにお礼を言っておく。実際、少しヤバかった。闇に対する抵抗力がまだ乏しいのだろう。危うく、父さんを屠ってしまうところだった。
その後、父さんとサーゼクスさんと相談した結果、人間界にあるサーゼクスさんの家から、ここに転移できるようにしてくれて、週末に鍛錬する機会をもらえることになった。
そして、僕は父さんと二人で転移した。今度の転移先は、ここって確か…
「くそオヤジ、頼みがある」
父さんが老人、たしか誠の父、源氏だっけかな、に声をかけた。
「はぁ?帰って来て、いきなりソレか?礼儀とかお前にはないの?」
「息子の一誠だ。こいつに格闘術を教えてやってほしい」
「ねぇ、お兄様、この子、お兄様の子供?」
叔母に当たる、悠璃、楼羅姉妹が、僕に抱きついてきた。
「誠の子供なの?まぁ、かわいいわね」
って、祖母に当たる羅輝に抱き抱え上げられる。
「母上、ずるいです」
「お母さん、私も抱きたいよ~」
ここでも小動物のような扱いに…父さんが祖父に耳打ちをすると、驚いた表情をして、僕を見つめる祖父、源氏。
「こいつが魔人を…まさか…」
僕が魔人を屠ったのは、この世界ではないんだが、まぁ、別世界で起きた出来事は、最高神達の井戸端会議で噂話として、広まる場合があると聞いていたの、それかな。
「一誠、道場に来い。儂が自ら稽古をつけてやる」
祖父が教えてくれるようだ。祖母、叔母達から解放されて、父さんと道場に向かった。そして、兵藤本家の門下生が見ている前で、僕は祖父と手合わせを始めた。沖田先生との手合わせをしたことで、筋肉が再生強化されたみたいだ。先程より、力も瞬発力も有りそうだ。
別世界で、源氏と対戦をしたことがないが、誠の対戦は見た事があるので、兵藤流の格闘術は、頭に入っている。祖父の繰り出す手技、足技を防御したり、避けたりして、ダメージを貰わないようにしていく。しかし、どうにも避けられそうもない中段の蹴りが来た。僕は咄嗟にキャプチュードをして、祖父を後方へ投げ捨てた。そして、状態を前屈気味にして、後方宙返りからの、ムーンサルトキックを叩き込んだ。いきなりのプロレス技に対応できなかった祖父の頭部に、僕の踵が叩き込まれた。
「勝負あり」
父さんの声がかかり、試合は終了した。気絶している祖父を背に、門下生の一人一人に、挨拶と自己紹介を冷静にしている僕。父さんの方を見ると、半ばあきれていた。
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門下生の手によって、奥の間に運ばれた祖父。
「儂が…孫に…負ける日が来るなんて…」
兵藤家現当主の祖父が凹んでいた。
「くそオヤジ、負けたら、息子の鍛錬にならんだろう?」
そこに畳み掛けるように、父さんが祖父に文句を言っていた。
「一誠、鍛錬場所を変えるぞ。ここじゃダメだ」
「え~お兄様、ご無体な…」
叔母達が、父さんを引き留めようとするが、それを振り切って僕達親子は転移した。
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次に転移した先は、砂漠の一軒家。ここって初代孫悟空さんの家だよな。
「誠殿、どうしたんじゃ?」
「闘戦勝仏様、お久しぶりでございます。これは息子の一誠です。この子に戦闘術の鍛錬をしてもらえませんか?」
「誠殿、オヤジ様にしてもらえば良いのでは?」
「俺のくそオヤジは、息子に惨敗しました」
初代孫悟空さんが驚いた表情をした。
「兵藤源氏殿が、惨敗?まさか…」
そして、家の外でお手合わせをすることになった。弟子の美猴とは何度も対戦しているので、だいたいの手の内は知っている。如意棒だけは注意しないと、今の僕では避けられずに大ダメージは必至だろうな。
どうしよう…レベルに関係ないスキルだと…瞑想とかは?僕は周囲の気と自分の気を調和させて、気配を消していく。気配は消えたはずなのだが、中距離以上の索敵のできない僕には、無理な戦略かもしれない。
『一誠、忘れていると思うが、ドラゴンが4匹以上いると、龍門って開けるんだぞ』
クロウの声が聞こえた。そうだった。忘れていたよ。魔力無くても開けるじゃん。チームドラゴン出撃だ。開けられる龍門を総て開いて、おまかせした。しばらくすると、初代孫悟空の発した呻き声がしたので、チームドラゴンに帰宅してもらった。
---誠---
目の前で起きた惨劇。あの闘戦勝仏様が逃げ惑い、ついには囲まれてボコられていた。なんだ、あの戦力は…笑うしかない息子の戦力。確かに、4匹以上のドラゴンがいれば、龍門が開けるらしいとは聞いていたが、息子はこんなに大量にドラゴンを所持していたのか。
ドラゴンだけでこの戦力って反則だな。まだ、隠し持っている戦力が更なる反則級だし。こいつらを束ねた息子の本来の戦力って、想像できないくらいだろうな。
一誠にドラゴンを出した理由を聞くと、攻撃レンジとは無関係な如意棒が怖かったらしい。
そして、更に転移をして、息子の鍛錬場所を探すことにした。
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次に訪れたのはヴァルハラ。北の神格オーディンが治めている地域だ。
「おぉ、誠殿、よく来たな」
オーディンに迎えられた。一誠は、ヴァルキリー達で目の保養をしているようだ。
「こいつが息子の一誠です」
「ほぉ、なかなかの面構えだな。で、用件はなんじゃ?」
「息子の鍛錬場所を探しています」
「兵藤源氏がおるだろ?」
「惨敗しました」
「闘戦勝仏は?」
「瀕死の状態です」
「おぃおぃ…充分強いじゃないか」
「息子の希望なんで…」
「ここじゃ無理だ。ヴァルキリー達の癒やしの対象になっているようじゃぞ。ほれ」
オーディンが指を差した方向を見ると、一誠はヴァルキリー達に囲まれて、抱かれたり、頬ずりをされたり、小動物扱いされていた。
「確かに…ここじゃダメみたいですね」
苦笑いするしかない状況だ。
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そして、冥界に戻り、元龍王で、今は最上級悪魔になったタンニーンに預けた。取り敢えず、1週間預けてみようと思う。どう化けるんだ、息子は。
家に一人で戻ると、一香と娘達、リーラの怒りを買っていた。一誠を前触れ無しに連れ出して、預けてきたことが原因のようだった。
「父さん、一誠を置いてきたの?最低の親だよ」
「ひどい、父親だな」
「誠さん、息子を返してよ!」
それはもう、俺ですらタジタジになる位の怒りのオーラが襲いかかってきた。
我が家の女性陣が、冷静になってきたので、一誠の鍛錬状況を伝えた。
「一誠は、そんなに強いの?式森の家にも連れて行かないと」
一香の機嫌が良くなったが、あいつに魔術系は危険だろう。魔力ゼロの状況で、この強さだし。
---一誠----
タンニーンに預けられてしまった。育児放棄に近いだろう、父さん。
「おい小僧、俺から逃げ回ってみろ」
タンニーンが、僕を追いかけ始めた。単なる人間、それも幼稚園児にそれは無理だろうと思うのだが、問答無用で炎の玉を吐き出して、僕目がけて撃ち込んで来た。
『タンニーンか、戦いたいぞ』
と、クロウ。お前ではダメだ。纏えないだろ。
『やってみようぜ、纏えるかもしれないぞ、シュウ』
そうなの?ではクロウに力を借りることにした。その結果、黒い鎧を纏うことが出来た。背中にドラゴンの翼を展開して、タンニーンの前に立ち塞がる。
「お前は、何者だ?そのドラゴンのオーラは…え?まさか…邪龍クロウ・クルワッハか?」
『正解だ、タンニーン。この子供の助太刀をするぞ。人間の幼稚園児に惨いことをするんだな、最上級悪魔ともなると』
タンニーンと空中戦を繰り広げる。動きはクロウと相談して決めた。今の僕にできることは限られているから。
『シュウ、疲れたら言えよ。今のお前は体力がなさ過ぎる』
了解だ、クロウ。疲れるまで…そう、10分くらい、タンニーンと接近戦を楽しんだ。が、疲れが蓄積してきた。クロウ、ダメだ…
クロウは僕をタンニーンから遠ざけて、岩陰に隠してくれてから、力を解除してくれた。クロウ、サンキュー。少し休もうっと。
どの位経っただろうか、急に誰かに呼ばれた気がした。タンニーンに見付かったかな?違う、女の子の声だ。僕は岩陰から出るとタンニーンに見付かってしまった。
「そこにいたのか、小僧」
「タンニーン、女の子の助けを求める声を聞いたんだ。力を貸してください」
僕は、タンニーンにお願いをした。まだ回復しきっていないから。声がした方にタンニーンに連れて言って貰うと、猫1匹に女の子一人が悪魔達に囲まれていた。
「タンニーン、あそこだよ」
「これはフェアでないな」
彼らの傍の降り立った。
「おい、何を揉めているのだ?」
タンニーンが悪魔達に声を掛けた。
「はぁ?ドラゴン風情は黙っていろ。こいつを眷属にするところだ」
「この子はダメ、私だけでいいしょ?そういう約束だったでしょ?」
「はぁ?妹も能力あるなら、眷属にするのは当然だろ?」
うん?この展開、聞いたことがある…あっ…僕は、彼女達の前に立ち、悪魔から守ろうとする。
「無理やり眷属にするのは、いけないことだろ?」
「はぁ?ガキの出る幕でない。痛い目に遭いたくなかった、どきな!」
退ける訳ないだろう?僕の大事な者なんだからな。この場で引いたら、絶対に後悔すると思う。だから、全力で戦い、守る。
僕は妖刀村雨と村正を手にした。
「おい、死にたい奴はどいつだ?」
「生意気なクソガキだ。あの姉妹の目の前で料理してやろう。俺様に逆らったらどうなるか見せてや…」
言い終わる前に、一番悪そうな悪魔の首を刎ねた。その状況に怯む、眷属達。
「次はどいつだよ?」
『力を貸すぜ、シュウよ』
トライが目の前の獲物に死を予感させるオーラを放っていく。膝がわらっている獲物達。
「そこまでだ、一誠君」
これからって時に、知っている声が僕を止めた。トライは力を解除して、僕の魂に戻っていく。
「この場は俺にまかせてもらえないかな、一誠君」
サーゼクスさんが僕の頭を撫でながら言った。
「一誠君の言った通り、無理矢理に、眷属にするのはダメだ。と言っても、既に『王』は屠られたのか…」
僕は悪魔を殺した。悪魔の国の冥界で。
「サーゼクスさん、僕は悪魔を殺しました。この場で殺されてもかまいません。でも、彼女達は必ず助けてください。お願いします」
僕はサーゼクスさんに頭を下げた。
「う~、一誠君。君を殺すと、妹のリーアが哀しむ。かと言って罪は罪だしなぁ。わかった、俺と一緒に来て貰う。君達もだ」
僕が守ろうとした彼女達と一緒にどこかに転移した。
-------
僕は牢屋に入れられた。彼女達は尋問されているようだ。声が漏れ聞こえてくるので、わかった。
どの位経ったのかな?僕は寝ていたようだ。岩むき出しの床で寝たせいで、体中が痛い。彼女達の声は聞こえなくなっていた。サーゼクスさんは保護してくれたのかな?
会ったことのない悪魔が来て、僕を牢屋から出してくれて、どこかに連れて行かれた。この風景は見覚えがある。冥府だ。僕は冥府の奥にある。永久封印のエリアに連れて行かれた。そうなるよね。人間の幼稚園児が悪魔を殺したんだから。そして、僕は永久封印された。
---サーゼクス---
一誠君の手で殺された悪魔の家族と交渉をしていた。無理矢理、眷属にした姉妹を解放することの条件は、一誠君の引き渡しだった。憎悪の対象だものな、一誠君は。悪魔の王である俺は、悪魔の立場で物事を決めないと行けない。一誠君、すまない。俺は、条件を飲み、姉妹の保護は成功した。
保護した姉妹を、家に連れて帰った。今後はグレモリー家で面倒をみることにしたのだ。解放されたというのに表情の冴えない姉妹。原因は一誠君のことだよな。
「お兄様、一誠君はどこ?彼女達を助けたって、一誠君なんでしょ?悪魔だったら、助けたりしないもん」
悪魔だったら、見ない振りでスルーするよ。リアスの言う通りだ。リアスにどう説明しようか悩んでいる時に、転移陣が現れて、見知った人物達が転移してきた。
「サーゼクスちゃん、誠殿の息子さんはどうしたのよ?」
と、魔王のセラフォルー。
「おい、サーゼクス。外交問題になるぞ。相手は兵藤家の跡取りだぞ」
と、同じく魔王のアジュカ。
「相手の家族に引き渡した。殺さないことを条件にして」
「約束を守ると信じているの?」
セラフォルーの言う通り、信じてはいないが、この場合しょうがないだろう。冥界で最上級悪魔を殺したのだから。
「タンニーンに聞いたぞ。息子は悪い事をしていないようだが、どうなんだ、サーゼクス」
誠殿の視線は、怒りに満ちあふれていた。気持ちはわかる。しかしだ…
「冥界で最上級悪魔を、一誠君は殺したんだぞ。誠殿、その意味は判るでしょ?」
「あぁ、理由はどうあれ、冥界での悪魔は何をしても問題ないってことか?ルールって物は守らないと意味がないんだぞ。無理矢理の眷属化の禁止って、罰則がないし、やっても見ない振りって、どういうことだ。アジュカ」
怒りの矛先が、俺からアジュカに移ったみたいだ。
「すまない、誠殿。悪魔は身勝手な生物なんだ」
「息子は正しいと思ったことをして、死刑なのか?おい、セラフォルー、どうなんだ?」
「ごめんなさい…」
「たぶん、息子は死を覚悟して、彼女達を助けようとしたんだろう。お前達、悪魔は間違っている!」
リアスが涙を流しながら、誠殿に土下座をして謝っていた。
「ごめんなさいごめんなさいごめんなさい」
誠殿は跪き、リアスを起こした。
「リアス、一誠が命をかけて守った姉妹のことを頼むよ」
そう言うとリアスの頭を撫でて立ち上がった。
「分かった。サーゼクスよ。お前ら悪魔の言い分は分かった。俺一人で助けに行く。俺が助けに行く分には問題ないだろ?俺は悪魔じゃないんだからな」
そういうと、誠殿は転移していった。
「サーゼクスちゃん、いいの?」
リアスは僕の腹を叩いていた。「お兄様なんか嫌い」と言い続けながら…はぁ、そうだよな。俺は最低の魔王だ。
「良い訳ないだろうセラフォルー。助けに行こう。但し、マスクを被ってね」
------
誠殿の後を追って、一誠君を助けに向かうと、最悪の結果が待っていた。一誠君は殺されてはいなかったが、冥府に送られて、永久封印されたそうだ。冥府は冥界の王と言えども、なんの権限もない。ハーデスという神が取り仕切る、冥界とは別の世界なのだ。
「冥府送りだと?重犯罪者扱いじゃないか。死刑よりも重いだろう?」
誠殿の言う通り、死刑であれば転生の機会があるが、冥府での永久封印だと、転生すらできない、永久的な禁固刑になる。
「おい、サーゼクスよ。腐った悪魔を殺して、冥府送りってどういうことだ?」
詰め寄られるが、言い返せない。誠殿と思っていることは同じだから。俺は判断を誤ったんだと思う。ルールにちゃんと則って、一誠君も魔王として裁けば良かったのだ。何も被害者に、彼を引き渡す事をしなくても良かったのだ。後の祭りだけど…今俺に出来る事は…
「俺が冥府に行って、一誠を連れ帰る。魔王は辞任する。いいな?アジュカ」
「サーゼクス、それで問題は解決しないぞ。封印した場所がわからないと、連れ戻れない。アイツらに場所を吐かせるのが先だ」
被害者面した家族を睨むアジュカ。こいつもキレているようだ。
「アジュカ、俺はハーデスと交渉をしてみる。先に行くぞ」
誠殿は転移していった。
---一誠---
『封印無効』のスキルで、脱出した僕。さて、どうするかな?ここは寒いんだよな。何か無いか探すと、マントを着た小さいな死神が近寄って来た。後ろから抱きついてみた。うん?女の子みたいだ。
「えっ?」
急に抱きつかれて、後ろを振り向いた瞬間、僕と口づけをしてしまったおんなの子。兎に角寒かった僕は、彼女に抱きついて暖を取るという作戦に。
「暖かい…あなた、暖かいのね」
女の子が僕に囁いた。
「生きている証だよ。君も暖かいよ…」
------
僕は意識を失ったようで、目が覚めると知らない場所にいた。
「あっ、目が覚めたんだね」
先程の女の子が、僕に近づいてきた。
「ここは?」
「私の家よ。君はどうして、あんな場所にいたの?」
「永久封印の刑を受けて、脱走したんだよ。僕は兵藤一誠です。ありがとう」
「私は、ハーフ死神のベンニーアよ。あなたは人間?」
「そうです。君は人間とのハーフなのかな?」
「正解です♪」
彼女は、最上級死神オルクスの娘だそうで、僕と出会ったのは、永久封印エリアの見回りの最中だったらしい。
「一緒に脱走する?」
彼女に提案をした。この世界しか知らない彼女は、僕の提案に乗る気があるようだ。
「冥府から、どうやって脱走をするの?」
「方法は持っている。だけど、僕は魔力をロストしているので、無理なんだ。でも、君の魔力を使えば、脱出できるよ」
ハーフ死神のベンニーアに悪魔の囁きをする僕。悩み始めた彼女。うん?そうだ。袋が使えるならば、袋に手を入れて、僕の駒を2つ取り出した。1つを自分自身に入れた。
「その駒は何?」
ベンニーアが不思議そうに僕が手にしている駒を見ている。
「地上にベンニーアが一緒に来てくれるならば、君に入れる駒だよ。これを入れれば、君も地上で普通に暮らせるようになるんだ」
また、悩み始めた彼女。僕は駒を入れたことにより、転生ドラゴンとなった。この状態であれば、魔力の上限が上がる。転移魔法なら使えるくらいになるはずだ。
「一誠君、私も連れて行ってください。ここって、何も無くてつまらないから」
僕は頷き、彼女に僕の駒を入れて、転移するための魔法陣を床に発現した。
「この魔法陣に入って、魔力を込めてね」
二人で魔法陣に入り、二人で魔力を込めた。光の渦が僕達を飲み込む。転生ドラゴンとなったベンニーアは光のオーラを受けてもダメージを受けなくなっている。
「駒の威力って凄い。光のオーラを受けても大丈夫なんだ」
感心しているベンニーア。そして、僕達は人間界の僕の家に転移した。突然僕達が転移してきたことに、母さんとリーラさんが驚いていた。
「一誠…無事だったの?」
「一誠様…その娘は誰ですか?」
「ただいま帰りました。自力で脱走して、途中彼女の手助けを受けて、無事に帰りつきました。彼女は、ハーフ死神ベンニーアです。母さん、ここに住まわせてください。お願いします」
僕は母さんに頭を下げてお願いをした。
「ねぇ、ダメって言ったら?」
「彼女と二人で、この家を出て行きます。彼女を連れて来た以上、僕には彼女に対して責任がありますから」
「それじゃ、ダメって言えないわよね。わかったわ、一誠。ベンニーア、私達と一緒に暮らしましょ」
ベンニーアは笑顔で頷き、
「お願いします♪」
受け入れて貰えて、喜んでいた。
---誠----
ハーデスとの交渉が難航していた時に、一香から念話が入った。一誠が自力で脱走して、無事に帰宅したこと、ベンニーアというハーフ死神も連れ帰ったことが知らされた。
はぁ?自力で、永久封印から脱出できるか、あいつは…
念話で得た情報をハーデスに知らせた。初めてハーデスの驚く顔が見られたのは儲けものだった。一誠が自力で脱出した場所を、ハーデスと共に見に行くと、カギは壊れていないし、カギ穴も使われた形跡もなかった。不思議がるハーデス。
そこで、一香を経由して一誠に、どうやったのかを確認すると…『封印無効』『結界無効』のスキル持ちだったことが判明した。更に、種族変更をする能力が復活して、今はベンニーア共々転生ドラゴンになったようだ。これもハーデスに伝えると、顎の骨が外れて落ちた…
そうそう、サーゼクス達が冥府に攻撃しないように、悪魔側にも状況を連絡した。一誠の脱出劇には魔王達も驚いたようだった。
一誠は、ラスボス級としての力が戻りつつあるようだ。まぁ、正しいことをしている分には頼もしい味方だから、良しとした。