※この作品はR-18です。

神器なき男2   作:もっち~!

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あの街へ
因縁なる街へ


---シュウ---

 

剣の鍛錬場所が見付からなかった僕は、ある日の夜、何の気無しに神様にお願いをした。

 

『剣の鍛錬に最適な場所を教えてください』

 

っと、絶対神にもなった僕が、神様にお願いって言うのも変な話ではあるが、

 

『その願いを叶えよう。そこで鍛錬を積み、謎を解き明かしなさい』

 

って、知らない人の声が聞こえて、僕は懐かしいけど、二度と行きたくなかった街に転移させられていた。

 

『そちらで何百年過ごそうが、あちらの世界では、あなたの睡眠時間、およそ10時間しか経ちませんから、あせらずに活動しなさい』

 

って聞こえた。質問しようとすると、念話が途切れた。僕にこんな試練をさせるのは、ドエスな新しい上司、絶対神を束ね、宇宙という物を生み出した神の仕業であろう。

 

こうして、僕は無一文でオラリオの街に放り出された。さて、どうする。宿と飯の心配である。どこかのファミリアに入団して、ある程度稼いで独立が妥当だと思うが、今の僕は一誠の姿、見た目が子供すぎる子供であった。

 

通りを歩いていると、ロキ・ファミリアのホームを見つけた。門番をしている人に、

 

「入団をしたいのですが…」

 

と、声を掛けたのだが

 

「子供の遊び場ではない」

 

と、追い返された。正しい対応だと思うが、少し空しい。ここがダメだと、後どこがあるかな?通りではヘスティアがバイトに勤しんでいた。あの経済力では、ベル以外は養えないよな…で、その後、数カ所のファミリアのホームを訪れたが、どこも同じ対応だった。入団って、年齢制限があるのかな?

 

夕方近くに、ミアさんのお店に辿り着いた。裏口に『住み込みの従業員募集』と書かれていた。僕は、裏口から声をかけた。

 

「すみません。張り紙を見たのですが、働かしてくださ~い!」

 

「君、まだ子供だね?親御さんの了承は取れているの?」

 

リューが声を掛けてきた。

 

「両親は神を信仰する者に殺されて、身寄りがないんです」

 

と、半分ウソの話をした。母親は確かに殺されているが、父親は存命中だし。

 

「うん?両親をどこかのファミリアに殺されたの?う~ん、ちょっと待ってね」

 

奥に引き込み、たぶん店主のミアさんに、説明してくれているのだろう。しばらくすると、大柄な女性、ミア・グランドが現れた。

 

「身寄りがないのか…しっかり、働いてくれるんだろうな?」

 

「はい、住む場所と食事を頂ければ、がんばります」

 

と、伝えた。ここがダメだと、後がない気がするし。

 

「わかった。1週間は見習いで給料は無しだ。いいかな?」

 

「住む場所と食事があれば、大丈夫です。あっ、僕の名前は、シュウと言います。よろしくお願いします」

 

っと、その日の夜から洗い場での仕事となった。オラリオ一の繁盛店『豊饒の女主人』である、洗い物は次から次にやってきた。洗い場の高さに届かなかったので、台の上に乗っての作業。動けるのは、台の面積だけ。なので、洗い上がる度に、

 

「終わりました。運んでください」

 

っと、声をかけている。洗い物も鍛錬のウチと思い、手を抜かずにがんばる。邪界で戦って以来だな、こんなに働いているのって…

 

店がクローズになると、後片付けをしていく。お店に住んでいるミアさん、リュー以外は帰宅していった。ミアさんは売上の集計、リューは明日の仕込みをしていた。僕は何の気無しに、包丁を見ていて気づく。そういうや、ミアさんは力尽くで包丁を使っていたよな。その包丁は刃が欠けていた。材質は包丁というより剣などに使うヤツだ。不思議な袋から、ぞの材質に見合う砥石を出し、研いでいった。

 

研ぎ終わった頃、気づいた。ミアさんとリューが僕の作業を見ていたことに。一心不乱に研いでいて気づかなかったよ。

 

「その包丁を研げるのかい?」

 

ミアさんにきかれた。僕は研ぎ終わった包丁の刃面に紙を落とすと、綺麗に切れた。

 

「シュウ、お前はスミスなのか?」

 

スミスとは、この街では鍛冶職人のことを言う。

 

「違います。僕は剣士です。鍛冶仕事は剣士としての基本ですから」

 

と、答えた。ミアさんとリューが顔を見合わせた。

 

「なぁ、リューと手合わせをしてみないか?」

 

ミアさんに言われた。リュー・リオンは、Lv.4の凄腕の元冒険者で【疾風】の二つ名を持っている。

 

「リューを殺したくない…だから、無理です」

 

「シュウ、これでも私は」

 

「レベル4の元冒険者ですよね?」

 

僕の言葉に、リューとミアさんが驚いていた。

 

「なんで知っているの?」

 

リューの瞳は、得体の知れない物を見るような、恐怖の色に染まっていた。

 

「お世話になりました。もう、居られませんね」

 

僕はその場から逃げるように出て行った。出て行ったのは良いのだが、外は真っ暗で、食事もしていないし…眠い。僕はミアさんのお店の床下で、睡眠を取ることにした。

 

翌朝、目が覚めると、顔の辺りが妙に柔らかくて、気持ち良い物に接していた。昨夜は、床下に潜り込んで…くぅ…

 

「シュウ、仕事よ。起きなさい!」

 

って、声で起こされた。ここはどこ?恐る恐る目を開けると、リューがいた。

 

「ここは?」

 

「私の部屋よ。ダメだよ、床下で寝ちゃ!」

 

って。あぁ、床下で寝ているのを保護されたようだった。

 

「君も訳有りなんでしょ?言えるようになったら、聞かせてね」

 

と、部屋を出て行くリュー。言えるなら、今言いたい。でもこの身体では信じて貰えないだろうな…

 

部屋を出ると、ミアさんにお風呂場に連れ込まれて、全身をゴシゴシと洗われた。

 

「シュウ、飯屋の店員が床下で寝るんじゃないよ。まったく~」

 

と、言われた。あぁ、そうですね。ごもっともです。そして、朝方、弁当を売って、その後、まかない料理で、やっと食事…おいしい。

 

「シュウ、スミスなら鍋とかの修理できるか?」

 

と、ミアさん。

 

「炉があればできます」

 

しっかり、スミスだと思われている僕。

 

「で、リューと手合わせをしてくれ」

 

と、また無理を…

 

「お前の剣士としての腕を見たい」

 

って。あぁ、ミアさんも元冒険者だものな。それも凄腕だったって、他の世界で言っていたなぁ。やらないとダメだろうな。

 

食事休み、お店の裏手で、ミアさん立ち会いで、リューと手合わせ。僕の得物は一番ダメージが少ないと思われる妖刀村雨。それを腰に差し、構えた。リューは細身のレイピアを手にしていた。ミアさんのコイントスで、勝負開始。開始直後に、村雨の峰で飛ぶ斬撃をリューの腹部に1発入れて、お終い…

 

「え?その距離で、リューを一撃か?」

 

ミアさんが驚いていた。ヤリの間合い位の距離はあったから。リューは何も出来ずに、地面に倒れていた。

 

「峰撃ちしましたけど、これ以上威力は抑えられないので…リュー、ごめんね」

 

リューのそばにより、彼女を気遣った。

 

「確かに剣士だな…どこで、そんなスキルを…この街に、飛ぶ斬撃使いなんていない」

 

って、ミアさん。意識を失ったリューをミアさんがベッドまで運び、僕はリューのそばにいて、意識が戻るのを待った。

 

「うっ…ここは…私…どうしたの?」

 

リューが目覚めて、僕にきいた。

 

「ごめん。リューにあんな事をしたくなかった…ごめんなさい」

 

リューに縋って、謝った。リューは腹部に痛みが残っていたようで、腹部をさすりながら、

 

「そっか。私、負けたんだね…何も出来ずに…シュウ、君は何者?」

 

僕を見つめるリュー。話さなきゃいけない雰囲気。でも、信じて貰えるだろうか?

 

「僕は、他の世界から飛ばされてきた、時の放浪者。並行世界のアストレア・ファミリアで、リュー達と知り合った」

 

リューの表情に変化が…涙ぐみ始めた。

 

「アストレア・ファミリアで知り合ったんだ…アリーゼとかも知っているの?」

 

「もちろん、知っている。リューとアリーゼに可愛がられていた」

 

なぜか、僕の言う言葉を信じるリュー。

 

「アストレア・ファミリア…その名を知る者は、ここには、ミアさんと主神達くらいしかいない。それを知っているってことは、そう言うことなんだね、シュウ」

 

僕の頬に自分の頬を寄せて、僕を抱きしめてくれた。

 

「アストレア様の居場所も知っているの?」

 

「この世界では、わからないけど。同じ場所の可能性はある。ここから南西にある森の中の家だよ」

 

「そう…ねぇ、今度の休みに連れて行って。私、アストレア様に謝りたい」

 

 

ミアさんのお店で働き始めてから、初めての休日。リューと森にいる。記憶を頼りに、森の中を歩き、目的の家に辿り着いた。

 

「並行世界ではここだったけど…」

 

リューはドアをノックして、家の中に入っていった。僕は彼女の後に付いていく。

 

「アストレア様…お久しぶりです…リュー…リュー・リオンです」

 

目的の女神は、その家にいた。生気を感じられない表情で、椅子に座っていた。

 

「リュー…リューなの?」

 

無表情だった女神だったが、リューの声に反応した。僕は、回復魔法をアストレアにかけた。乾ききった肌に潤いが戻り、皺だらけの皮膚はスベスベになっていく。

 

「シュウ、魔法も使えるの?」

 

リューの問いに頷く。リューと別れた時のアストレアの姿に戻ったのかは分からないが、リューはアストレアを優しく抱きしめた。

 

「あの時は、ごめんなさい。神の恩恵が無くなると、復讐できないから、生きてって…ごめんなさい…」

 

リューはアストレアに謝っていた。リューの所属していたアストレア・ファミリアは、リュー以外のメンバーは他のファミリアの罠により壊滅された。その復讐をリューは一人で背負い込み、仇のファミリアのメンバーの本人、家族、関係者を全員殺害した。復讐を終えたリューは、生きがいを失い、街角で野垂れ死になる寸前に、ミアさんに拾われて今に至っていた。

 

「いいの…主神として当然のことを。子供達のしたいようにさせるのが、親の務めよ」

 

アストレアはリューの頭を優しく撫でた。

 

「で、あなたは誰?」

 

アストレアが僕に尋ねた。どう答えようかな?

 

「彼が、私をアストレア様に引き合わせてくれました」

 

と、僕が答えるよりも早く、リューが答えていた。

 

「あなたは何者?」

 

僕を見つめるアストレア。そして、椅子から降りて、僕に跪いた。オーラを読まれたようだ。

 

「まさか…ありがとうございます。こんな私にこういう日を授けて頂き、幸せです」

 

って、おぃおぃ、リューの僕を見る目つきが変わっていく。

 

「アストレア様、どういうことですか?」

 

「リュー、あの方は、神様ですよ。子供の姿ですけど、私には見えます。貴方様の本来の姿が」

 

油断していた。アストレアクラスの女神だと、見えるんだ。はぁ、正体バレバレじゃん。凹む僕。

 

「シュウが神様?えっ?」

 

リューが驚いている。

 

「神様って言っても、エロ神だよ…それも子供姿だから、エロい事できないし…ペナルティーだよ…」

 

にこやかなアストレア。驚きの表情のリュー。

 

「エロ神…」

 

「単なるエロ神では無いですよね?少なくとも、私より神格階位は上だし♪」

 

アストレアが元気になったきたから、いいっか。

 

「アストレア、一緒にオラリオに戻らないか?リューと暮らしなよ。こんなしけた場所は、君には似合わない」

 

僕はアストレアに手を差し出した。

 

「仰せの通りに…私は貴方の下僕となります。絶対神様♪」

 

モロバレだ…手を握り、凹む僕。

 

「ぜっ…絶対神…それって…一番エライ神様…」

 

「そうですよ、リュー。失礼な態度はしていませんよね?」

 

「アストレア…お願いだから、リュー以外には僕の正体はばらさないで…活動がしにくくなるからさぁ~」

 

「シュウ…それって、アストレア様の言っていることが正しいってこと?」

 

どっちに転んでも最悪な展開なのか…これもペナルティーの一部なのか?

 

『女難の相もペナルティーの一部よ。私のかわいい下僕よ♪』

 

って、ドエス上司からの念話も入った。ドエス上司は僕の配下の者達が脅したことを根に持っているようだ。

 

『持っていないわよ。かわいい下僕には、苦難の道を歩ませる主義なの』

 

って、僕の心を読んでの念話が届いた。ドエスめ~。アストレアが笑っていた。ドエス上司は彼女にも念話を傍受させているようだ。くそっ~!

 

「シュウ様、良い上司を持ちましたね」

 

って…ドエスプレイヤーの僕を手玉に取る、ドエス上司に凹む僕。

 

「シュウ様、リュー、これからもよろしくお願いします」

 

って、アストレアから言われた。リューは戸惑っているみたいだ。まぁ、そうだろう。僕はリューに取って、有り得ない存在だろうから。

 

僕達三名でミアさんのお店に戻った。リューがミアさんにアストレアを紹介した。事情を知っているミアさんは、快くリューとの同居を認めていた。

 

そして、

 

「シュウ、アストレア様に、神の恩恵を受けて、リューとダンジョンに行ってきなさい」

 

って、ミアさんが僕に言った。

 

「剣士なんだろ?だったら、冒険をして来いよ。但し、休みの日にだぞ」

 

っと。僕って、神の恩恵って受けられるのかな?リューの部屋に向かい、アストレアに背中を見せて、契約をしてみるが…出来なかった。

 

「上位の神に対して、私の恩恵は無理ですね」

 

って。無理だよな。リューは、彼女にステータスを更新してもらった。

 

「シュウ様、二つ名は見えました。『神殺し』『鬼畜』『エロ神』って…女神キラーですか?」

 

と、アストレアから質問が出た。そのキーワードだとそうなるし、女神キラーなのも事実ではある。しかし…否定をしておく。

 

「だから、ペナルティーでエロ行為が出来ないんだよ…」

 

「ペナルティーで子供の姿なの?」

 

あきれたようなリュー。そんな目で見ないで~本当の姿になれるのかな?オーラを溜め込んで変身をしてみた。一瞬だけ、変身したような気がした。

 

「それが本当の姿なの?」

 

一瞬であったが、リューには見えたようだ。良かった。

 

「きれいな純白な翼…でも、イメージと違いすぎるよ」

 

どんなイメージだったんだろうか?

 

 

次の休みの日に、リューと潜った。僕の課題は素早く確実に屠ること。あんな敵に2日も掛かったなんて、自慢できないもんな。四刀流に磨きをかけていく。

 

「シュウ…四刀流って有り得ないぞ。それも飛ぶ斬撃って…」

 

目が点になっているリュー。半日くらいで、安全地帯である18階に到達。

 

「おい、お前ら、どこのファミリアだ?」

 

18階に到達して、休んでいると、声を掛けられた。

 

「名乗るようなファミリアではないです」

 

「なぁ、ロキ・ファミリアに改宗しないか?」

 

「入団申し込みに行ったら、断れました。なので、改宗しません」

 

「断った?誰がだ?」

 

「おい、ベートしつこいぞ」

 

リューがしつこい獣人のベートにキレかかっている。

 

「お前は、ミアさんの店の店員か?二人だけなのか?なら、二人とも、ロキ・ファミリアに改宗しろ」

 

命令形かよ…

 

「どうした、ベート。何を揉めているんだ?」

 

アマゾネスのティオナと剣姫のアイズが寄ってきた。

 

「いや、期待の新人さんを発掘中だ」

 

「ティオナ、こいつがしつこいんだ。どうにかしてくれよ」

 

っと、ティオナに声を掛けた。

 

「ベート、お前、問題起こすなよ。すまないなぁ、迷惑をかけて…って、なんで、私の名前を知っているんだ?」

 

しまった…どうしよ。

 

「ティオナは有名人だからだ」

 

リューが助け舟を出してくれた。

 

「リューの知り合いなんだ?」

 

アイズがリューに声をかけた。

 

「あぁ、ミアさんのお店の同僚だ。今日は休みなので、二人で潜っていた。それだけだ。ロキ・ファミリアは改宗しろって、命令するようファミリアだって、初めて知ったよ、アイズ」

 

「そんなことを言ったの?ごめんなさい」

 

ベートを睨むアイズ。ベートは、二人にまかせて、僕達は地上に向けて、帰路を歩むことにした。が、ベートが追ってきた。

 

「改宗するまで、付いて行くからな」

 

っと…うん?こいつ、ロキ・ファミリアに1年以上いるよな。それならば、ふふふ。

 

言葉巧みにベートをアストレアの居る部屋まで、誘導した。そして、ベートに掛けられているロキの契約を解除して、アストレアの恩恵を契約させた。

 

「お前…何をした…」

 

事が終了してから、事態の異常さに気づいたカモ。

 

「ロキの恩恵を解除して、アストレアの恩恵に書き換えた。だって、僕達、先週、アストレアの恩恵を受けたばかりでさ。1年以上経過しないと改宗って出来ないんだろ?」

 

血の気の失せた顔になったベート。手遅れだよ。

 

「アストレア、有望な新人メンバーが出来て良かったなぁ♪」

 

「えぇ♪元ロキ・ファミリアの狂犬さんでしたっけ?」

 

「おい、元に戻せ~」

 

「はぁい?1年経たないと改宗出来ないんだよな?」

 

凹むベート。

 

「さすが、鬼畜だぁ」

 

リューがぼそっと言った。そうだよ。鬼の子供だし♪

 

「ミアさん、新しい店員さんできたよ~」

 

ドアを開けて、店長に報告する僕。

 

 

---フィン(ロキ・ファミリア団長)---

 

ベートから報告を受けた。改宗させようとして、逆に改宗されたって。何をしているんだ?ティオナ達からベートの強引な勧誘もわかっていたけど。相手のホームに付いて行って、何をされているんだ?

 

改宗作業を終えている以上、改宗は成立する。ロキになんて言って報告をすれば良いんだ?

 

「で、どこのファミリアに改宗したのだ?」

 

「アストレア・ファミリアです。ホームは『豊穣の女主人』の2階です」

 

はぁ?ホームは間借りなのか。それに聞いたことのないファミリアだな。

 

「で、お前はどうして執拗に改宗させようとしたんだ?」

 

「四刀流で斬撃が飛んだ。あんな剣使いを見た事がない。剣術は、アイズより上だ。へたするとオッタルすら危ない」

 

四刀流?飛ぶ斬撃?それが本当だとすると、確かに欲しい人材ではある。だが…

 

「ベート、お前が抜けたら意味がないだろう?おい、どうするんだ?」

 

凹むベート。

 

「なんや、騒々しいやん」

 

主神のロキが入って来た。

 

「どないしたんや?ベート、フィン」

 

ベートも俺も無言を通す。なんと言って報告すれば良いか分からないから。

 

「だまっていては、わからへん。ゆうてみ、フィン。怒らんから」

 

すでに声が怒っているロキ。いつかバレることだしな。

 

「ベートがアストレア・ファミリアに改宗しました」

 

「はぁ?アストレア?あそこは、もう無いはずだが。ベート、夢でも見たんとちゃうか?」

 

無い?どういうことだ?

 

「ロキ、無いってどういう事だ?」

 

「あそこは、パス・パレード喰らって、全員、モンスターに喰われおったぞ。ふふふ」

 

パス・パレードの罠を喰らって、潰されたファミリアがあったと聞いたことがある。そこか。それがなんで復活してんだ?

 

 

俺はベートを伴い、『豊穣の女主人』に向かった。

 

「フィンか?まだ開店前だぞ」

 

リューから声を掛けられた。

 

「アストレア様に会いたい。ベートの事だ」

 

ベートはバツが悪そうな態度であった。

 

「会って、どうするんだ?改宗するか?」

 

「改宗する訳ないだろ?ベートの改宗を取り消せ!」

 

「フィン、1年経たないと改宗はできない。それがルールだ」

 

知らない少年が声を掛けてきた。

 

「ロキ・ファミリアのようなデカイ処は、ギルドのルールは無視かな?」

 

「君は?」

 

「僕は、アストレア・ファミリアの団長のシュウだ。よろしく♪」

 

って…彼も小人族なのか?それにしては、身体の線が細い気がする。

 

「じゃ、フィンだけ、入って。主神に会わせるから。ふふふ」

 

俺は、彼に促されて、2階へと階段を昇っていった。背中が妙にムズムズする。なんでだ?部屋に通されると、一瞬、空気が揺らめき、目の前にアストレア様と思われる、女性が座っていた。

 

「アストレア・ファミリアにようこそ♪、フィン・ディムナさん。改宗に感謝します♪」

 

って…え?

 

「もう、ロキの恩恵は解除して、彼女の恩恵に書き換えた。1年間は戻れない。そのまま、戻って、背中をロキに見せて、殺されるかどうか、試すのも一興だよ」

 

あの少年が、俺に信じられない宣告をした。少年は証拠とばかり、俺のステータスをコピーした羊皮紙を見せた。そこには確かに『所属アストレア・ファミリア』と書かれていた。

 

 

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