---シュウ---
夢の世界で寝て、更に夢を見るのは、なんだかなぁではあるが、夢でドエスな上司が話しかけてきた。今度は、どんな難題だ?
『第一ステージクリアです。商品としてホームとなる建物、土地をプレゼントです』
第一ステージって何だ?賞品でなくて商品って何だ?と、突っ込むがスルーされた。
『あと、アストレア・ファミリアを正式なファミリアとして、認定しました。ギルドで確認してみてね。あと何だっけ…そうそう、あなたの、心が病んだ妻達を送ります。そちらの世界で癒やしてあげてね。またね~♪』
っと…えぇ~っと、ツッコミ所が満載なんだが。この世界のルールに踏み込んだらいかんだろうに?管轄外だろうに。あの上司の前では、僕は常識人になれる気がする。
で、僕の妻達?ヴァイラとリアスのことかな?なんか、この先、暗雲が…
そんな悪夢を見て、目覚めた僕。朝食を食べたら、狩りの再開だ。
全日程を終えて、地上に戻った僕達。『豊穣の女主人』の隣の建物に向かう。昨日は無かったはずの見覚えのある建物があった。これって、前回使ったホームだよな。3階建てで、1階の奥には鍛冶場があるやつ。
ドアを開けて恐る恐る入ってみる。えぇ~!
「あなた、おかえりなさい」
っと、ヴァイラ。
「なんで、子供姿なの?」
って、リアス。ここまでは予想の範囲だが、
「シュウ!あなたのセラフォルーが参上しました」
って…
「おぃ、セラフォルー姉さん。いつ、お前と結婚した?」
「そんな昔のことは覚えてないです~♪」
おバカはシルキーだけでいいのに…
「ねぇ、どういうことかな?」
って、後ろからリューに声を掛けられた。リューの後ろには、アストレア、仲間達、ミアさんが立っていた。僕はドエス上司に伝えられた内容を説明したのだが、
「子供なのに、奥様が3人も?」
って、驚かれた。
「いや、ここにはいない者もいるし…」
「一体、何人と結婚したの?」
「三人としたのは記憶にあるけど…そこのおバカとは結婚した覚えはない。ソイツの妹と結婚したはずなんだけど」
「ちょっと、シュウ!おバカとか、ソイツ呼ばわりはやめてよ~」
っと、セラフォルーに抗議された。では、
「じゃ、お姉さん♪」
「もっと、いや~」
「なぁ、紹介してもらえるかな?」
っと、フィン。君だけだよ、建設的な会話をしてくれそうなのは。
「この人は僕の第3夫人のシーグヴァイラ・アガレス。僕のいた世界の悪魔界の大公家の娘さん」
っと、ヴァイラの両肩に優しく手を載せて、紹介した。
「で、コイツは、第1夫人と名乗っているリアス・グレモリー。同じく悪魔界の魔王の妹。僕のいた世界では、魔王は4人いたんだけど、その一人の妹さんだ」
っと、リアスの頭を撫でながら紹介した。
「このおバカは、結婚した記憶はないんだけど、魔王セラフォルー・レヴィアタン。僕の第2夫人であるソーナ・シトリーのお姉さんだよ」
と、こめかみをグリグリしながら紹介した。
「ひどいよ~なんで私だけ、惨いことするのよ~」
「セラフォルーは頑丈だから、特別待遇」
「特別なんだ~嬉しいよ~♪」
「なぁ、おバカだろ?」
凹む僕。
「なんか、気苦労が激しそうだな」
って、フィンが心配してくれた。天然娘のアイズは、すでに三人と仲良く話始めていた。適応力はあるんだな。
「ミアさん、ここは鍛冶場があるから、ナベとかも修理可能です」
「そうなのかい。じゃ、仕事の合間に頼むね」
って、ミアさんはお店に戻っていった。
「で、2階は女性専用フロアで、食卓、台所がある。3階は男専用のフロアだ。お風呂はそれぞれのフロアにあるから、混浴は禁止ね」
っと、簡単な説明をしておく。
「あとは…そうだ、ギルドに行って来ないと」
僕が出掛けようとすると、オーフィス、忍、アイズが付いてこようとしている。
「ねぇ、シュウ。ジャガ丸くん…餌付けしてね♪」
って、アイズ。頷く、オーフィス、忍。はぁ、ギルドの前に屋台へゴーだな。
「じゃ、留守番を頼むよ」
って、残りの者に声をかけて、ヘスティアの屋台に向かった。僕の腕に絡むように腕を組んでいるアイズ。僕をどういう位置づけで見ているのかな?少し気になる。
屋台で、ジャガ丸くんを5人前買って、アイズに2人前を渡しておく。そして、近くのベンチで食することに。
「ねぇ、シュウの手から食べたい♪」
この世界のアイズは甘えキャラなのか?手で摘まんで、アイズの口の中にポイっと入れる。ソレを見て、オーフィス、忍がマネをする。そして、僕の指はジャガ丸くん味になった気がする。
そんな仲睦まじい場面に、遭遇してほしくなかった者が現れた。アイズ大好き少女のレフィーヤだ。
「アイズさん、何をしているんですか?」
「うん?シュウに餌付けしてもらっているんだよ♪」
「はぁい?剣姫たる者が餌付けって…洗脳でもされましたか?」
「え?レフィーヤって、脳みそ洗えるんだ。凄いなぁ」
天然ブリが炸裂している。
「いや、そうじゃなくて。おい、お前、アイズさんに何をしたんだ?」
あっ、こっちに火の粉が…
「うん?ジャガ丸くんの餌付けだけど?レフィーヤは、耳タブを舐めた方がいいんだよね?」
顔が真っ赤になったレフィーヤ。
「アレって…お前か?」
「何も知りませんって顔で、良く言えたよね。あんなイヤらしい言葉のオンパレード♪」
更に真っ赤に染まったレフィーヤ。
「あぁ…あのね…その…」
「ほくろの位置を全部言い当てようか?舐めながら全身を見たから」
おぉ、耳の奥の方まで紅潮してきている。淫乱堕ちかな?
「やめて…ください」
震えるような小さな声で俯き加減でそう言ったレフィーヤ。
「今後、僕の前であぁいう態度で出ないでね?レフィーヤお姉さん♪」
心が折れたレフィーヤを残して、僕達はギルドに向かった。
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ギルドでは、アストレア・ファミリアが正式なファミリアになったことを告げられた。専任ギルド員としてハーフエルフのエイナ・チュールが面倒なことに対応してくれることになった。
「で、取り敢えず、リューだけ、団員として登録かな」
「シュウ、私も!」
「ロキにバレるぞ」
「かまわない」
って、アイズ。なので、リューとアイズだけを登録した。
「団長は登録されないんですか?」
っと、エイナさん。
「僕はステータス出ないというか、恩恵が得られないから、どうなのかな?」
「大丈夫です。すべて特例扱いにしなさいと、上から指示がありましたから」
そういうことならと、団長として僕、あと、忍、オーフィス、妻3名も登録した。
「ここだけの話、特例の皆さんって、どんな種族なんですか?」
っと、興味津々なのかエイナさんがきいてきた。
「僕は種族不明で、あとは、バンパイア、ドラゴン、悪魔だよ」
「なるほど…それは特例ですね」
「それで、ロキ・ファミリアから何か言ってきた?」
「アストレア・ファミリアの過去の資料を閲覧して、リューさんに付いて調べていきました」
「あと…そうだ、どこか良い換金場所ないかな?」
「レートは良くも悪くもないですが、ギルドで良ければ、取引します」
不思議な袋に仕舞っておいた、今回の遠征で手に入ったドロップ品を、エイナさんの前に山積みにした。
「とりあえず、これを資金にしたい。どうかな?」
「わかりました。後ほど、換金したお金を届けるようにします。今すぐにっていう量ではないですよね?」
「よろしくお願いします」
そして、ギルドを立ち去る僕達。帰り道、僕の指をしゃぶっているアイズ。ジャガ丸くん味だものな…
「アイズお姉ちゃん、噛まないでね」
指でオーケーサインを見せるアイズ。餌付けされすぎだぞ。
と、目の前に、また会いたくない者達が現れた。
「随分と仲睦まじいなぁ」
って、ティオナ。
「いつの間に、そういう関係になったんだ、アイズ」
って、ティオネ。でも、アイズはスルー。いや、ジャガ丸くん味の指に夢中で、耳が日曜日みたいだ。
「おい、アイズ!」
ティオナが得物を手にして斬りつけてきた。しかし、アイズが剣で防ぐ。
「ティオナ、ジャマするな!私にとっての至福の時間をジャマする者は、誰であろうとも許さない」
剣を持つと凄腕の剣士に見えるのは凄い。
「こんな往来の激しい場所で、ロキ・ファミリアは強盗か?夕べは『豊穣の女主人』に押し込み強盗したし。犯罪系なファミリアだな?」
っと、嘘八百も交えて、大声で言ってみた。周囲の通行人達が、ティオナ、ティオネを指差してゴソゴソと言っている。どう出るんだ?オーフィス、忍は危険性がないと判断したみたいで、ポッカ~ンとした表情で成り行きを見守っていた。
「お前…許さない…」
ティオナは僕に斬り掛かってきた。みぞおちに拳を入れ、水面蹴りで膝の裏から撃ち抜いた。力無く地面に叩き付けられるティオナ。
「ティオナ…ねぇ、大丈夫?」
ティオネが、ティオナの身体を揺すって、心配をしている。この隙に、僕達はホームに転移した。
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「ただいま!」
フィン、ベートがまったりとしていた。リューは、悪妻、良妻と話込んでいる。僕のネタを仕入れているのか?
「フィンとベート以外は登録してきた」
「え?アイズは登録したのか?」
フィンの驚きの声に、躊躇無く頷くアイズ。
「勇気あるなぁ」
って、ベート。
「帰り道に襲われたので、レフィーヤとティオネは叩いたから」
「感づかれたのか?」
フィンは心配そうにきいて来た。
「いや、昨晩の続きみたいだ。というか、アイズお姉ちゃんの…」
僕の指をしゃぶり始めた彼女。
「あぁ、ジャガ丸くんを摘まんだ指か」
アイズの奇行に少し引き気味のベート。たぶん。ベートの知らないアイズの姿なのだろう。
「で、俺達はどうすれば良いのかな?」
「まかせる。潜るのは、また次の休みだし、それまで身の振り方を考えておいて」
「ねぇ、シュウ…味がしない…」
哀しそうなアイズの声が…指がふやけているんですが…凹む僕。
「剣術の稽古を付けて!」
「わかった。地下にトレーニングルームがあるから、そこで」
そして、二刀流講座を開催した。僕達の横では、ヴァイラ、リアスがリューに剣術を習っていた。ベートは…女の子姿の二人と鬼ごっこしているし。
---リヴェリア---
レフィーヤから退団したいと相談を受けた。理由を聞くと、一身上の都合っていうだけで、他の理由を口にしない。
「昨晩、怪しい術に嵌まったことが原因か?」
図星のようで、顔を紅潮させて俯いてしまった。たぶん、あの場にいた4名全員が辱めにあったんだと思う。他の者には絶対に言えない行為の数々。口から漏れ出た、普段言わない言葉の数々…
「それだけでは無いです。あんなアイズさんを見た事が無い。それがショックでした。彼と一緒にいるアイズさんは、とても穏やかな顔で幸せそうでした」
アイズも一緒にいるのか?アイツの外泊の原因って…
「私は羨ましい気分で一杯です。こんな気分で、ダンジョンを冒険なんかできないです。ごめんなさい!」
頭を下げて、部屋を出て行ったレフィーヤ。何を言っても退団するな、あれでは。アイズも退団したいのかな?このまま外泊を続けて追放処分待ちか?どっちにしても、ロキに報告するのが、気の重い作業になりそうだ。
「大変です、副団長!」
ティオネが血の気の引いた顔で、部屋に入って来た。
「どうしたんだ?」
「ギルドで確認をしたのですが、アイズさんが改宗していました。改宗先はアストレア・ファミリアで、そのファミリアは正式なファミリアとして設立されていました」
昨日の時点で、無かっただろうに。何があったんだ?
「団長はリューか?」
「いえ、副団長がリューです。団長はシュウ・ヨハネ・鬼門という人物で、種族、レベル、ステータスは不明だそうです」
何者なんだ?あの少年は。魔導師であるのは間違えないと思うが、無詠唱だった。それが、私にとっては衝撃的な事実だ。この世界の魔法は長い詠唱で発動する物が殆どで、短い詠唱の物もあるが、無詠唱っていうのは初めてだった。
それも、アレって何系統になるんだ?
「あと、ティオナが、あの少年に伸されました」
ティオナが?
「どうやって?魔法か?」
「違います。蹴り一発で…」
魔導師でないのか?近接攻撃持ちの魔導師か?それだと厄介だな。
「アイズが…あの少年を庇っていたのが、ショックです」
その場で泣きくずれたティオネ。
---ヘファイストス(鍛冶系ファミリア主神)---
「エイナさん、こんなに大量に…どこのファミリアだ?これって、50階より下でないとドロップしない魔石ばかりだが」
ギルド員のエイナが、換金したいと大量の魔石を持ち込んできた。どれも、高額取引な物ばかりをだ。
「どことは言えません。私達、ギルドが責任を持って取引をします。ここで換金できなければ、今後を含めて他のファミリアと取引をしますが」
物腰は柔らかではあるが、強気な交渉をするエイナ。こいつ、やり手のギルド員だものな。
「う~、今後も取引をしたい。なので、換金は応じるが、どこが持ち込んだかを教えてくれないか?」
「申し上げられません。名乗って、狙われるのが怖いので、ギルドに委託されたんですよ。信用をされている私達が、そのファミリア名を明かすと思いますか?」
たしかに、大金を持っているとわかれば、襲われるな。あのロキ・ファミリアですら、評判の店に強盗に入ったそうだし。
「わかった。聞かないで、取引をする。その代わり、今後も優先的に頼むぞ」
「はい。そうします」
ガード専任のギルド員と共に、引き上げたエイナ。
---ミアハ(薬剤系ファミリア主神)---
「カドモスの泉の水が…こんな量の持ち込みは初めてです」
ギルド員のエイナさんが持ち込んだ量は、通常の10倍以上だった。
「換金できますか?」
「ローンでいいですか?」
「たぶん、大丈夫ですよ。あと、カドモスと砲龍の角もあるんですが」
これも、通常の持ち込み量の10倍以上だ。
「これもローンでいいですか?」
「必ず、払ってくださいね♪」
って、笑顔のエイナさんが怖い…
「でも、こんなに大量に持ち込むって、どこか持ち込んだんですか?」
僕の眷属のナァーザがエイナさんに質問した。
「名前は出せません。砲龍を簡単に屠れるファミリアってことですよ」
「え…どこだ?無いと思うけど…」
「推理するのは自由です。では、ミアハ様、支払をよろしくお願いします」
っと、エイナさんが出て行かれた。
「どう思う、ナァーザ?」
「ロキくらいしか浮かばないですが、最近遠征に出ていませんよね。一部の団員は金に困ってミアさんのお店に強盗に入ったそうですよ」
「ロキの酒代が莫大なんだろうな…じゃ、どこのファミリアだ?」
「無いんですよ。考えても…砲龍を簡単にって、オッタルさんでもきついでしょ?」
「竜の壺に行かないと、ここまでの量は難しいだろうな…」
---シュウ---
ギルドに転移して、エイナさんから換金できた分だけ、いただいた。
「手数料はいいの?」
「いりません。いただいたら、バチが当たりそうです」
「そう…ギルドが財政難になったら、必ず言ってよ。寄付するからね」
「ありがとうございます。今はお気持ちだけで良いです」
僕は、エイナさんを祝福をした。
「重ね重ねありがとうございます。こんなに癒やされる仕事は初めてです。担当になれて良かったです」
エイナさんは、上から口外しないことを条件に、僕の正体を知ったみたいだ。なので、僕を見る目、信用度、信頼度が高い。
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翌日、材質集めに中古市場にリュー、アイズ、オーフィス、忍と向かった。ミアさんのお店で使う分と、僕達のファミリアで使う分をだ。材質として使うので、切れ味や防御力は関係なく、材質が良ければ買い込んでいく。大量に買っても、オーフィス、忍の積載量はそこいらのポーターに負けないくらいだし。
「アイズとリューか?妙な組み合わせだな?」
鍛冶系ファミリアの主神、ヘファイストスが近づいてきた。
「あぁ、お店で使う材料を買い込みに来たんだ」
と、リューが答えた。
「アイズはどうしているんだ?」
アイズはスルーした。いや、材質の見極めを優先にしているみたいだ。
「材質の見極めを手伝ってもらっているんだ」
代わりにリューが返事をした。
「で、この子供達に見えるのはポーターか?」
「おい、シュウをポーターって言うなよ!」
突然、アイズがキレた。まずいなぁ。
「アイズお姉ちゃん、ダメだよ。騒ぎを起こすのは。ねっ」
アイズの胴体に手を回して、彼女の気を調整してみる。
「あぁ、ごめんなさい、シュウ」
アイズが、僕を抱きしめた。これで落ち着いてくれたか?
「なるほど、アイズのお気に入りの少年か?」
「そういうことだ。ちょっかいは出さないでください、ヘファイストス様」
リューが会話を担当してくれるので、少し安心。
「では、彼はポーターでなくて、なんなんだ?」
「スミスだよ。台所用品系のな」
「スミスだと?少年、私のファミリアに来ないか?」
そう来たか。アイズがキレる前に、僕が返事をしておこう。
「ごめんね。僕、団長だから、改宗はしません!」