緊急事案発生
---シュウ---
今夜の夢は趣向が違っていた。
『緊急事案が発生しました。本来の業務をしなさい。ここには、緊急事案が終わった後、戻してあげます』
って、ドエスな上司の声がして、目覚めた。目覚めたのは、誠、一香夫婦の家の一誠の部屋のベッドであった。緊急事案?なんだ?
今日は小学校に通う日だから、一誠の魂に身体をまかせて、午後3時過ぎの僕の時間帯になるまで、念話で情報収集をしようと思う。念話でナヴィに緊急事案の内容を聞き出した。
僕の管轄外の宇宙でタイムリープ(時間跳躍)をしたヤツがいたらしい。ただのタイムリープであれば、さほど問題にはならない。そんな能力を持っているヤツはゴロゴロいるし。問題なのは、同じ世界内でのタイムリープではなく、並行世界の過去へのタイムリープであること。タイムリープ後の世界は、必ず滅亡していること。この2点が問題なのだ。要するにこの能力者は、並行世界を渡り歩いて滅亡させまくっている破壊者であるのだ。
管轄をしている絶対神は、お手上げの状態で、滅亡していく世界の数々を見ているしかできないらしい。
ドエスな上司からの依頼は、破壊者であるタイプリープを繰り返しているバカを、捕獲して能力の解除、破壊原因の究明、破壊要因の排除だそうだ。で、この事案を行うに当たって、この問題のある世界を、僕の管轄している宇宙に移動させるそうだ。なんか、僕の管轄する宇宙って、問題のある世界ばかりの気がするが…
『気のせいだよ…気づくなよ!』
って、上司から念話が届く。気のせいじゃないじゃん…まぁ、平和ボケするよりはいいか。元管轄していた絶対神から、問題の世界の情勢の資料を送って貰うように手配をした。準備していかないと、なんかヤバそうだし。たぶん、僕の経験したことのない世界だろうし。一番の問題は言語系だ。これは、事前にある程度、読み書きできるレベルにして置かないと、地図すら読めないし。あぁ、メンバーも決めないと…なんか、やることが山積みだ。
---サーゼクス(シュウの世界)---
魔王の間で会議をしていると、氷漬けのセラフォルーに変化があった。表面にヒビが出来はじめて、徐々に氷の塊が崩れていった。セラフォルーの身体が暖かみを帯びたのか、アイツの周囲の氷は解けていった。そして…
「セラフォルー、ただいま帰りました♪」
って、笑顔のセラフォルーがそこに立っていた。
「お前…何したいんだ?」
ファルビウムが呆れたように言った。
「シュウに会ってきた。でね…色々と頑張っている姿を見て、彼の妻として、頑張らないとって思ってね♪」
「なぁ、お前、いつ、シュウ君と結婚したんだ?」
アジュカが笑いながら言った。
「そんな昔のことは、忘れたよ~」
「頑張るって、何をですか?もう魔王でも何でもないのに?」
ガイアが現実を言い渡した。
「え?魔王でない?なんで?」
セラフォルーが不思議そうな顔で悩んでいる。
「お前、暴走して氷積めになっただろ?だから、魔王の地位を剥奪して、新魔王にガイアが就いたんだよ」
僕が現状を伝えた。
「え…私の今の立場は…シュウの妻だけ?」
「オバさん、それも却下だよ。シルキーと双子のような義理の母は要りません」
ガイアが真面目な顔で、そう伝えた。
「え…じゃ…私の今の立場って?」
泣きそうな顔のセラフォルー。
「前魔王様です。セラフォルーオバさん♪」
ガイアの言葉が引き金となり、泣きくずれたセラフォルー…
---シュウ---
学校から帰ってきた一誠。で、僕と人格を入れ替えて、せつなの元へ転移した。
「どうしました?」
せつなが明るい時間帯に現れたことに驚いていた。
「緊急事案が発生したんだ。協力してほしい」
「どういった事ですか?」
今回の緊急時間の内容をせつなに説明した。
「う~ん、私はどうすれば良いですか?」
「タイムリープを発動する前に捕獲するつもりだけど、捕獲を失敗した場合は、並行世界に飛び込む前に、せつなに捕獲してほしいんだ。時空管理局のメンバーにも応援を要請しておくので、単独でどうこうってことはないんだけど、どうかな?」
「それならば、お受けします。時間を移動したり、時間を止めたりは禁忌なんです」
「あぁ、その禁忌は僕がするから大丈夫。その禁忌の理由は、絶対神の業務内容だからだ。今回のバカ者は破壊神の領域も侵しているらしいし、問題が多いんだ」
「ふ~ん、絶対神って大変なんですね~♪」
真面目な受け答えをしていたせつなが、甘えるように僕に寄り添ってきた。
「だから、僕は単なるエロ神で良いって言ったんだよ」
凹み気味の僕は、せつなの胸の谷間に顔を埋めた。そのまま、彼女は僕を抱き抱える様にして、寝転んだ。
「今日はこのまま、寝ますか?」
「そうしたいんだけど、準備が山積みなんだよ」
僕は頬を彼女の胸に押し付けて、彼女の乳房の感触を愉しむ。
「今度、時間が出来たら、たっぷりとお願いしますね♪」
せつなは笑顔でそういった。後ろ髪が引かれるなぁ…でも、僕は次の場所に転移した。
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転移した先は、建設中の本拠である。僕の管轄する宇宙の中心に建設していた。宇宙の中心には星があり、その星の回りに宇宙ステーションを建設しているのだ。
目的の人物を探して、声をかけた。
「ハニー、書物に目を通してくれたかな?」
書物とは、ウラノスの部屋にあった、オラリオ関連と思しき書物である。
「先程、転送されていたことに気が付いて、今リアと一緒にデータベース化にしています」
「探していたデータは有りそうかな?」
「まだ、全部に目を通していませんが、地図らしい物は無いですね」
「あと、ウラノスから聞いた情報なんだが、神を恨む悪意の塊を封印しているらしいんだよ。それって、僕ってことだよね?」
「うん?それはないですよ。シュウは悪意の塊では無く、エロの塊ですから」
ハニーが笑顔で否定してきた。
「そうなるのか…じゃ、後なんだろうか?候補になる悪意の塊って…」
「そうですね。シュウさんというより、副団長って可能性が大きいですよ」
「ヤマトか…僕が浄化する前のアイツだと、条件に見合うなぁ。そうなるとパンドラの壺って説が有力になるかな」
「開けてみないと、わからないって感じですね」
「あぁ、あと、遠征先の言語とか情勢とかは、何かわかったかな?」
「それは、ウーノさんが担当しています」
「そうか、彼女に聞いてみるよ」
ハニーと別れて、ウーノさんに会いに行った。
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「随分とお久しぶりですね、団長♪」
会うなり抱きついて来たウーノさん。
「そうだね。滅多に会えなくて、申し訳ない」
濃厚な口づけをしてきた彼女。溜まっているのかな?う~む…
「久しぶりにスキンシップが出来て、嬉しいです♪」
「もっと、スキンシップをしたいんだけど、時間がなくてすみません」
「わかっています。団長はお忙しい人ですもの。で、用件は遠征先の件ですよね?」
頷く僕。
「言語系体は初めての物です。後ほど速習用のテキストを用意いたします。で、情勢は、魔女が恐怖の対象になっている世界のようです」
魔女?それは初めての遭遇になりそうだな。
「魔女って、種族?ジョブ?」
「種族ではないようです。ジョブになるのかな?」
「魔男はいるの?」
「いないみたいです」
「女性限定のジョブなのか…」
「あと、精霊という物がいます」
「精霊かぁ…契約すれば仲間になるんだっけ?」
「団長が契約ですか?できないんじゃないの?」
「差別?」
「う~む、必要性がない気がするんですが…」
「必要性で契約ってするの?」
「う~む、下僕契約とは違うと思いますよ」
「そうなのか…」
なんか不毛な会話になりつつある。本題に戻そう。
「魔女対策はどうすれば良いのかな?」
「送られてきた資料からは、わかりません」
「え~、女性なのに…屠るのは気が進まない」
「あっ…団長、まさか、魔女を下僕に?」
「一人くらい、お土産でお持ち帰りもありかなって…」
「資料によると、一人だけ生きているようです。ただし、封印されています」
「封印?問題ないです」
「賢者と剣聖とドラゴンの力で封印してあるようです」
「3つともクリアできます。お持ち帰り決定ですね」
「…」
ウーノに呆れられているようだった。
「あと、注意すべき問題はあるかな?」
「魔女教なる信仰があるようです」
「信仰対象を奪えば、問題ないよね?」
「あ…」
ウーノが更に呆れているようだ。話題を変えよう。
「治めている勢力って、どんな感じ?」
「王国みたいですから、王政ですかね」
「騎士をメンバーに入れた方がいいかな」
「無難ですね」
「住民の種族はヒューマン?」
「多種共存のようです。獣人や亜人もいるし、ドラゴンもいます」
「そうなると、いつものメンバーでも大丈夫そうだね」
「問題は魔女ですよ。能力がわからないです。恐怖の対象である割に、能力が不明です」
「存在が恐怖なのか。なにかをしたから恐怖の対象なんだろうけど」
「もう少し資料を解析してみます。元々の管轄責任者である絶対神様は見て見ない振りをしていたらしく、情報が不明瞭なんですよ」
「あぁ、第8、第9以外はそんな感じだよ。問題は僕に丸投げだし…無責任な絶対神の上司の顔が見てみたいよ」
『すまん…』
初めてドエスな上司から謝りの言葉が届いた。一応、監督責任は感じているんですね。
ウーノの更なる解析を頼んで、指令室にむかった。指令室といっても、会議室に毛が生えたようなものだけど。ヤマトとナヴィがいた。
「今回の遠征のメンバーなんだけど…」
「イッセーの方に遠征している者以外になりますよ」
ヤマトが即答してきた。
「了解。僕の方に来ている、チームドラゴン、チームオラリオ&キャッスルドラン、あと、ファルコンを連れて行こうと思う。どうかな?」
「問題ないです。あと、魔法系な者を、もう少し入れた方が良いかもしれませんよ」
と、ナヴィからアドバイスを貰った。あぁ、魔女の能力がわからないもんな。
「ロスヴァイセはフリー?」
「大丈夫です。後、魔法使いだとルフェイさんくらいです」
「ルフェイはイッセーの方のリザーブにしよう。危険に晒す訳にいかない」
「危険?」
ヤマトは反応した。
「危険な遠征の予感だよ、ヤマト。魔女の能力がわからない。敵かもしれない者の能力がわからないって危険だろ?壊滅させるのであれば、楽だけど…」
「壊滅は得意分野ですからね、うちらは。残す部分が多いと、難しいですね、確かに」
「正体不明なヤツを相手に、仲間を危険に晒したくない。わかるだろ?ヤマト」
「えぇ…団長の気持ちは良くわかります。でも…団長が斬り込むことはやめてほしい」
「あぁ、考えて行動するよ。そうだ、シルキーとゼノヴィアも連れて行く。高火力は必要だからな」
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翌日の夕方、一誠から人格のスイッチをして、自分の世界の冥界に転移した。本来なら戻れないはずなのだが、自分の世界も管轄する宇宙に移動させているので、転移できるようになった。移動を認めてくれた元上司の絶対神様に感謝だ。
まず、アウロス学園の園長室に立ち寄る。園長が書類の山と格闘していた。声を掛けようか迷ったけど、無言で立ち去るのは悪いので、声をかけることにした。
「ソーナ、ただいま♪」
ソーナの身体は一瞬ビクっとして、頭がゆっくりと上がって…
「シュウ君…おかえり…なさい…」
ソーナが立ち上がると、書類の山が崩れそうになり、僕は書類の山を補助した。そんな僕の肩に顔を埋めるソーナ。
「留学生が多くて、すまない」
「うんうん、問題ないわよ。生徒が多い方が張り合いがあるもの」
「そっか…今日は顔を見に来ただけだ。これから魔王領に行くんだ」
「ヴァイラとリアスには会ったの?」
「今日は、ソーナだけで良いんだ」
ソーナと口づけをして、後ろ髪を引かれつつも、魔王領へと転移をした。
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魔王領の魔王の間に転移すると、魔王が5名いた。ちょうど良い。
「シュウ君…戻れたのか?」
サーゼクスお兄さんが驚いている。まぁ、帰れないようなことを言ってあったからな。
「緊急事案が発生したので、帰って来られました」
「緊急事案?何か必要な物があるのかい?」
「氷から出て来たお姉さんを、貸してください♪」
「セラフォルーか?良いぞ。前魔王だし、ちょうど扱いに困っていたんだよ、シュウ君」
アジュカ父さんがにこやかに返答してくれた。
「ですよね。ガイアが魔王になったから、ただの悪魔ですよね?」
「シュウ…ひどい…そんな言い方は止めて…」
グズっているお姉さん。目の周りが真っ赤だ。たぶん、魔王の座を剥奪と聞いて、泣いていたのだろう。
「父さん、セラフォルーの肩書きって何ですか?」
「前魔王だよ。ガイア君が働き者で助かっているよ」
「そうか、ガイア」
ガイアの頭を撫でてあげると、少し照れ気味になっていた。
「父さんもがんばっているし…負けられないというか…」
「前魔王を借りたいんです。今度の事案、敵の正体、能力が分からないので、色々な魔術系体の者を揃えておきたいんです」
「現状では、誰がリストアップされているのかな?」
アジュカ父さんにきかれた。
「ロスヴァイセ、レフィーヤ、僕、ツヴァイ、シルキーです」
「そうか…それなら、セラフォルーの魔法系はダブらないな。連れて行ってくれ。こちらからも頼む。泣いているばかりで、仕事のジャマなんだ」
「アジュカ…ジャマって…酷い…」
泣きじゃくるお姉さん。確かにこれは仕事のジャマだ。
「じゃ、借ります♪」
僕とお姉さんの二人で転移した。