---シュウ---
土曜の昼下がり、キャッスルドラン。実体化した一誠がリトルと組手をしている。キャッスルドランにいる仲間の厚意で、ここにいる間は一誠は実体化できるようになった。リトルにとっても良いことで、同じ精神年齢(彼女はハーフエルフの為、見た目よりも歳は上である)の一誠と触れ合うことで情操教育にも繋がるようであった。
当初、組手の師範をオーフィス、忍に任せたのだが、こいつら強すぎるが故、ノーガードで、受け身要らずのようで…急遽、ベートにも任せた。師範はこの3名で良いかな。ベートの身長だけが高いのが気にはなるけど。
そして漸く、タイムリープ犯をせつな達が捕らえた。捕らえた者は目付きが悪く、口も悪く、何故かジャージ姿の少年だった。
手足を拘束して牢にぶち込んだ、ソイツの尋問をする。
「おい、ここはどこだ!お前らは誰だ?俺は戻らないといけないんだ、ジャマするんじゃねぇ!」
目つきの悪い少年が叫んでいる。
「ここは、僕の城だ。僕達は絶対神の特務機関の者だ。お前こそ誰だ、そして何者?」
既に、彼の記憶を読み取り、タイムリープした原因を取り除いたので、もうタイムリープはできない。
「俺はスバル。ナツキ・スバルだ。自称エミリアの騎士だ」
「そう…スバル君には罪状が3つある。その罪により、君を裁かないといけないんだよ」
「罪?俺は何も悪いことはしていない。何を言っているんだ?」
目付きを更に悪くしていき、興奮をしていくスバル。そんな彼をスルーして、罪状を読み上げていく。
「1つ目、タイムリープを繰り返し行い、並行世界を飛び廻ったこと。2つ目、君がタイムリープして出て行った世界は、すべて君がジャンプした直後に壊滅していること。3つ目は僕達に緊急事案をもたらしたことだ」
「俺は好き好んで『死に戻り』をしていた訳じゃない。しょうがなくだ」
「君の能力、というより呪いは『死に戻り』なのか」
戸惑い始めたスバル。
「なんで、俺は死に戻らないんだ?」
彼にある物体を見せた。
「これが、『死に戻り』の呪いの正体だ。君の身体にインプラントされていたので、取り出しておいた。もう君は、『死に戻り』できない」
「なんてことをしやがる~、貴様~」
呪いの元凶を取り除いてあげたのに、文句を言うスバル。こいつ、呪いを能力と勘違いしているのか?
「で、君の刑だが、呪いにおける行為ということで、情状酌量の余地もあるので、異世界での生活の記憶を消して、君が召喚される前にいた世界に戻す」
「ふざけるな~エミリアを助けに行くんだ、俺は!」
未だに喚いている彼を、彼のいた本来の世界へと、強制転移させた。そして、牢を出て図書室に向かった。
「レイナーレ、どうだ?」
クリスの嫁のレイナーレに声をかけた。
「これですね。あの時に使おうとした魔法陣の文字は」
あの時とは、アーシアの身体から神器を取り出す時だ。このレイナーレは取り出してはいないが、僕の世界のレイナーレは取り出していた。
あの魔法陣の系統が、どうしてもわからなかったのだが、ウーノから送られてきた資料に、見覚えのある文字があったので、彼女に確認をしてもらっていた。
「これって、何系統だったんですか?」
「魔女の魔法か呪いだ」
「魔女?」
彼女は驚いたようだった。レイナーレのいる世界では、魔女は確認されていないから。では、どこから迷い込んだのだ?
「これだわ」
図書室の奥から、フレイアが出て来た。
「ロキの魔法陣の書式に似ているわ」
フレイアの見せてくれたのも、魔女の魔法陣だった。しばらく考えてからの結論は、
「そうなると、タイムリープの際に、魔女の魔法書が次元の狭間に流失して、違う世界へ流れ込んだのか」
スバルの記憶によると、禁書庫なる図書室があるようだった。そこの本を持ち去れば良いのかな。誰も外部から入って本を読んでいる者はいないようだし。行ったついでに、エミリアって少女はお持ち帰りにするか。どうも、この少女が壊滅のキーになっているような記憶があったし。
ドエスな上司の指令のうち、『捕獲して能力の解除』は、スバルの呪いを解いて、本来の世界に送り返したことでクリア。『破壊原因の究明』はスバルの記憶を読み取り、エミリアがキーになっていることが判明してクリア。残るは『破壊要因の排除』だけだ。これって、遠征しなくてもエミリアをお持ち帰りすれば、良いだけじゃないのか?
僕は、こっそり魔女のいる世界に行って、こっそりと必要最小限の物を盗んできた。そして、キャッスルドランに禁書庫が増設された。
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盗んできた禁書庫の書物を皆で調べようと、禁書庫のドアを開けると、
「ねぇ、ここはどこかしら?」
と、金髪でドリル状ツインテールという、印象深い髪型の女の子がいた。あと、水色の髪の少女も。
「ここ?僕の城だけど…君達は誰?」
「私はレムです。彼女は禁書庫の司書のベアトリス様です」
水色の髪の少女が答えてくれた。
「なんで、お城にあるんですか?」
「まさか、禁書庫に人がいるとは…いや、人ではないのか。精霊と鬼か?」
「え?なんでわかるんですか?」
レムって少女が驚いている。
「僕…ハーフな鬼だから」
呆気にとられているベアトリスの額に、こっそりと僕の印を刻んだ。
「え?何をしたのかしら?」
ベアトリスに気づかれた。
「僕と契約を結んだ。僕の仲間だよ♪」
「ありえない。私の許可無く契約って…」
「もう、お屋敷に帰れないんですか?」
「ごめん、まさか君達がいるとは思わなかったから、もう自分達の世界に戻って来ちゃった」
「自分達の世界って?ここ異世界なの?」
ベアトリスは理解が早そうだ。レムには難しいかな。
「ここは別の世界だよ。魔女がいない世界と言えば良いかな?」
「「別の世界?」」
二人共驚いている。まぁ、普通そうだよな。瞬間的に転移させた訳だし。
「もう、連れて来ちゃったので、この世界で生活してもらうよ」
「戻れないんですか?」
「ごめんね。すぐには無理。結構エネルギーを使うんだよ。別世界に行くのって」
ひたすら謝る僕。
「いずれ、帰してくれるんですね?」
「レムだけはね。ベアトリスは悪いけど、司書ってことなので、禁書庫の本を全部解析するまでは無理だ」
落ち着きを取り戻してきたレムと、何かを諦めたベアトリスに、城の中を案内した。
「え?有り得ない。なんで、こんなに異種族が共存しているのかしら?」
「ベアトリスのいた世界は違うの?」
「違うかしら。エルフは一緒にはいないかしら」
「うん?エミリアはハーフエルフでしょ?」
「あの子は別かしら…って…」
「エミリア様を何で知っているんですか?」
レムが驚きの声を上げた。
「うん?お持ち帰りしたから…って、言うか上司の指令に基づいてかな?あのまま、あの世界に彼女がいたら、壊滅しちゃうからね」
その時、大きな音がした。音のした部屋に向かうと、手の平サイズの猫がエミリアを護るようにして、仁王立ちしていた。
「にーちゃ!」
ベアトリスが声をかけた。
「ベアトリス、これはどういう趣向かな?ここはどこだい?」
あの猫も精霊かな?僕は猫の前に進み出て、
「この城の主のシュウです。すみませんね、攫ってきてしまって」
まず、謝っておく。
「攫った?なんでだ?」
猫は怒りを露わにしている。いや、もっともだよね。
「あのまま、あの世界にいると、あの世界が壊滅してしまうからです」
簡単に理由を説明する。
「それは、エミリアが死ぬってことかな?僕はエミリアとの契約で、エミリアが死んだら、あの世界を滅亡させる『終焉の獣』として顕現するんだよ」
なんて契約をしているんだ、この娘は…自分が死んだら、世界を道連れだと?
「やはり、原因はエミリアだったんだな」
「やはり?どういう意味だ?」
「僕はあの世界の絶対神から、壊滅の原因を探り、排除しろとの命を受けたんだ」
「絶対神様から?」
「あぁ。これで、あの世界は壊滅のループから逃れられるな」
「壊滅のループ?並行世界も全滅に近いのか?」
この猫も、ベアトリス同様、理解が早そうだ。
「あるタイムリープを繰り返す者がして、そいつがジャンプした後に壊滅が始まっていた。その者も排除した。これで壊滅しなければ、原因は確定になる」
「原因が確定しない場合は、戻してくれるんだろうな?」
「そうなる。そうだ、そのタイムリープを繰り返していた者の、身体から抜いた異物なんだけど、これって何かな?」
スバルの身体にインプラントされていた物を、猫に見せた。
「それは、たぶん『魔女因子』かな?魔女の匂いがプンプンするよ。それを体内に入れた者は、特殊な能力を付与されて、魔女の下僕になるんだよ」
『死に戻り』ってそういうことか。
「わかった。しばらく、お世話になるよ。僕はペックだ。勤務時間は朝の9時から夕方5時くらいと、エミリアの緊急時だ」
精霊って勤務時間があるのか?
「エミリア、いいよね?ここは安全そうだし」
ペックがエミリアを説き伏せてくれている。
「でも、王選は?」
「王選の前に、エミリアは死んでしまうんだろう。何度も繰り返して壊滅をし続けているってことは…」
エミリアは蹲って泣いてしまった。そんな彼女をレムが優しく、宥めている。
一誠の家に、エミリアとレムを連れて行こうかな。ここよりは、種族がカオス化していないから…いや、任務が終わったから、オラリオでの剣の鍛錬が再開かな?
書き直しました。必要な物だけを取ってくる感じに…それに伴いエロ要素が消えました(~~;;