---シュウ---
ロキ・ファミリアとの合同遠征から帰還。もう、この世界での鍛錬に限界を感じてしまった。ロキ・ファミリアはこの世界で強さの点では、トップクラスに入る戦力のはずなのだが。今回の遠征では、前衛に出ることなく終わった。僕のチームの前衛陣の破壊力が、この世界のバランスを崩すほどになっていた。
そろそろ撤退の時期かな?
そんなことを考えていたら、うつらうつらと寝てしまった…
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意識が戻ると、そこは見覚えのある部屋だった。ここは確か航路の間だっけ?元の上司の第8宇宙を司る絶対神が、航路の神を名乗っていた時にいた場所だ。これって…あっ…有る事に思い至った時、
『気づいちゃったのね~残念…』
ドエスな上司の声が聞こえた。これって、そういうことなのか?
『そういうこと。あなたは夢の世界から、色々な世界を旅することが出来るのよ。だから、撤退しても、甘えん坊なアイズにいつでも逢いに来られるのよ♪』
夢限定ではあるが『次元・時空旅行』のスキルかぁ。
『そういうこと。後、キャッスルドランはあなたと共にある。意味わかるわよね?』
あぁ、キャッスルドランにいる仲間も、一緒に夢の世界から旅立てるってことだな。
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そして、目覚め。それなら、ここを撤退しても、後ろ髪は引かれないかな?と、自己完結したところで、ドアがノックされて、エミリア、ラムレムが入って来た。
「どうしたの?」
彼女達が僕の部屋に来る理由が浮かばない僕は、彼女達に質問した。
「何を捧げれば良いですか?」
エミリアが真っ直ぐな視線で、僕を見ていた。
「捧げ物?仲間からは取らない主義だけど」
「それは…う~ん…いや、約束ですから」
エミリアは真面目すぎるからな。
「私も…仲間であっても、おつりが来るくらいの願いを叶えてもらいました」
レムはそそるけど…ラムの目が怖い…
「レムだけにはさせない。ラムも参加するわ」
参加って?供物大会じゃないんだけど。
「ラムは大体の察しは付いているようだね」
「えぇ…大人の女性として常識だわ」
「お姉様、私も同い年ですけど」
ラムの発言にレムが喰い付いた。まぁ、双子だと同い年だよな。
「それを言ったら、私はこの中で一番歳上です」
推定年齢100歳超えのエミリアは主張するが、見た目は一番幼いんだよな。う~ん…
「もう少し熟したら、考える。今は、この生活に慣れることを考えてくれるかな?」
「熟すって?」
レムは気づいたようで頬を赤らめているが、エミリアは気づかずに悩んでいる。
「う~ん…パック、翻訳して~って、営業時間外かぁ…」
気を利かしてくれたラムがエミリアの耳にゴニョゴニョしてくれた。やっと理解できたエミリアは顔を真っ赤にして、
「それって、まだ子供って言うんですか?そんなことないです。私だって、大人の身体ですよ」
と、主張をしてきた。
「エミリア、種族によって大人になる年齢は違うんだよ。エルフの場合200年くらいは欲しいかな…鬼族の場合は10歳くらいで大人になる者もいるけど…」
忍なんて、推定600歳以上だけど、子供姿だし。オーフィスに至っては、年齢不明だし…年齢なんてただの目安だもんな。
「え?あと50年位、恩を返せないのか…」
凹むエミリア。
「そうでもないよ。エミリアはエルフでなくてハーフだし。年齢なんて目安にすぎない。大事なのは中身だよ」
エミリアは、僕の方に近づいて来て
「わかりました。今夜から添え寝します。私を好きにしてください」
って、大胆やら、僕の趣味趣向を無視しているというか…はぁ~供物扱いでないと、小学生姿のままである。どうすれば良いんだ…明日、パックに相談するかな。
「そっか…ラムレムは部屋に戻って休んで。向こうの世界で、供物を考えるから」
そう伝えると、姉妹は一礼をして部屋を後にした。僕も、もう少し寝ることに…僕の横を陣取り、恥ずかしそうに全裸で横になるエミリア。
「供物扱いでないと、僕は何もできない。それでも添え寝するの?」
って、尋ねた時には、心地よさそうな寝息を立てて寝ているエミリア。僕の苦手なタイプかも…マイペースな天然娘なのか。凹む僕。
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朝、エミリアの
「ねぇ、私の胸は乳が出ないんだよ~」
って言う声で目覚めた。僕の両手は、エミリアの右胸を抱えて、口で彼女の乳首を吸っていた。この姿の時の定番の寝方だな。
「出ないよね…ごめん。この姿の時は、そういう寝方になるんだ。だから、添え寝は無理だよ」
「かまわないよ。乳が出ないことを了承しているなら、いいんだよ」
なんか、観点が違うんだが…
「シュウから出る暖かいオーラ、なんか心が安まるよね♪」
それは、良く言われるけど…まぁ、エミリアがいいんならいいっか。
僕とエミリアは服に着替えて、朝食に向かった。
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朝食の後、この世界のフィン達に、僕達が旅立つことを伝えた。
「どうしても、旅立つのかい?」
フィンに尋ねられた。
「うん、この世界では、鍛錬の限界に来てしまったから」
遠征でのことを思い出し、納得しているようなフィン、ベート、リューの戦士組。納得していないのは、アイズとアストレアかな。残りの者は、混乱しているようだ。
「なんで?シュウの事好きなのに…シュウの手から食べるジャガ丸くんは大好きだよ。ねぇ、私も連れて行って」
って、ツッコミをしたくなるような理由を言うアイズ。
「私もお供します。末席で良いですから…」
と、アストレア。僕は連れて行かれない理由として、同化吸収システムのことを説明した。
「だから、一緒に来ると、アイズお姉ちゃんの個性は消えちゃうんだよ。また、来るから、待っていてくれないかな?」
「う~ん…難しいことはわかんない」
説明したことは、アイズの理解の範疇を超えていたようだ。どうするかな…
「なぁ、アストレア様のお供で一緒に付いて行けば、アリーゼに逢えるんだよな?」
リューからきかれた。
「それは、逢えるけど…でも、今のリューは統合されてしまうよ」
「かまわない。私はあの時、死んだ戦士だ。統合されようが、私の心と記憶は残るんだよな?」
「それは残る。個性は混ざっていくけど、心と記憶は残る」
「ならば、私はアストレア様のお供をする」
アストレアとリューは決定かな。アイズは…フィン、レフィーヤが説得している。
「その場合、恩恵はどうなるんですか?」
アスフィが質問してきた。
「アストレアは死ぬ訳ではないから、恩恵は維持する。たまに来る時にアストレアを帯同するので、その時にステータスの更新をすると良いかと」
真面目に返答をしておく。
「アイズのことは心配するな。俺達が護る。だから、たまに帰って来てくれよ」
ベートがそう言ってくれた。
「勿論だよ、お兄ちゃん。あと、この世界が危機に瀕することがあった、必ず助けに来る」
「心強いな、お前が後ろ盾になってくれていると思うと」
納得をしたようだけど、グズついているアイズを宥めるオーフィスと忍。この世界のアイズに懐いているものな、あの二人は。
「明日の0時に離脱する。共に来るアストレアとリューは、別れの挨拶をしておいてくれ」
僕も別れの挨拶をしに行く。
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ヘファイストスの執務室に、ダイレクトに転移した。僕の突然の出現に驚く彼女。
「どうしたんだ?」
「お別れを言いにきた。明日の0時に、この世界を旅立つ。あまり、絡めなかったけど、もっとスミス談義したかったよ」
「おい、冗談だろ?なんで、旅立つんだ?」
クールな別れを言ってくれると思っていたのに、絡んできた彼女。
「もう、この世界で鍛錬の意味が無くなったから。違う鍛錬場所を探しに行く」
「私は、お前に恩を返していない。目を治してくれた恩を」
治した方の目を指差し、抗議してくれるヘファイストス。
「恩?要らないよ。それは、僕の下僕になってくれたことに対する加護だ。恩に思わなくて良い」
「そういう訳には…私も連れて行ってくれないか?」
予想だにしなかった彼女の要望…え?いいのか?
「ファミリアはどうする?」
「私は死ぬ訳ではないから、恩恵は残るはずだ」
ヘファイストスは、この世界のルールを熟知しているようだ。
「団長に説明して、0時までに合流するから…だから、願いを叶えてくれ」
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もう1箇所、別れの挨拶をしに行った。ここでも突然の出現に驚かれた。
「どうしたの?」
「この世界を旅立つことにした。フィン達は残るから、同盟関係はそのままでいてくれ」
僕に抱きつくリヴェリア。
「どうしても行くの?」
「リヴェリアも遠征で見ただろ?僕のチームは、この世界の敵では、鍛錬できないんだ」
しばらく、だまりこんだ彼女。
「そうだね。アレは戦闘力というより破壊力だわ。あんなミンチ状にミノタがなるとは思わなかった…」
牛さんの大群に、ダイヤモンドダストを親子二人で撃ち込んだのだ。魔石も一緒に砕いたので、牛さんの大群は、挽肉状態になりながら消えていった。
「まさか、あの大群を瞬殺って…この世界の常識では、考えられないわね…また、来てくれるの?」
「うん…フィン達のステイタス更新をしにね」
「その時には、私も訪ねてね。約束だよ」
ヘファイストスと違い、納得してくれた。
「またね♪」
彼女から離れて、転移した僕。
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0時前、ヘファイストスが大きな荷物を抱えて、訪ねて来た。
「愛用の鍛冶道具一式を持って来た。お前の装備を作らせろ♪」
言葉は乱暴であったが、言い方が妙にかわいらしい彼女。彼女と共にキャッスルドランに転移して、0時になるのを待つ。リューは同化吸収する前に、アリーゼと再会させている。向こうの世界に戻る頃には、同化吸収されてしまうけど。
そして、0時になり、一誠の世界へと戻っていった。
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翌日、誠の部屋。次の鍛錬先を相談していた。
「う~、鍛錬先ねぇ…この世界には無いかな…」
唸っている誠。
「今度は剣じゃなくても良いよ。魔法でも良いと思う。上限が低いのを実感したから」
「魔法だと数馬君のところかな。あと、格闘であれば川神院」
「兵藤家は?」
「じじぃが、お前を鍛錬に寄越すなって…お前には、兵藤流の戦い方が、通用しないと実感しているようだよ」
「そうなると、どうするかな?」
「2年生になって、変化はないのか?」
「無いよね…たぶん、5,6年生くらいにならないと実感はないかもな」
「そうか…まだ3,4年あるな。どうするかな?」
っと、親子二人で唸っていた。その時、閃くことが…
「誠、九十九屋って、どこあるんだ?」
「九十九屋って、殺しからゴミ出しまで、なんでも請け負う何でも屋か?」
「そうそう」
「間神龍斗のマンションなら、知っているけど…あそこで鍛錬か?」
「ダメかな?」
「ダメってことは無いけど…殺しのテクニックなんか、お前には要らないだろ?もっと、惨いことをするんだし」
「いや、あそこの烏間ってヤツが、剣の達人だったって思い出して」
「烏間かぁ…あぁ、手練れだよ。あの組織とは手を組んだり、敵対したりしたから。龍斗は金の為なら、なんでも請け負うヤツだ」
そして、間神龍斗とのマンションを訪れた。父さんの紹介状を持参して。
「あっ?誠の息子?それがなんの用だ?」
龍斗は在宅していて、小学生としての身分を明かしたら、応対してくれた。父さんからの紹介状を手渡した。
「九十九屋で鍛錬したい?何を考えて居るんだ?お前は…」
「もっと強くなりたい。それだけです」
「なぁ、父親に聞かなかったか?殺し屋稼業もしているんだぞ」
「なら、死んでみる?」
村雨による居合い斬りで、龍斗の首を切断した。ちょっと細工してから、元通りに首をくっつけてあげた。
「俺…今、死んだよな?」
「ついでに、インポにしておいた」
「はぁ~?おい、テメエ、何しやがる!」
「小学二年生に殺されたヤツに言われたくない。協力的でないから、帰る。インポを治したかったら、詫び状と供物を持って来い!」
僕は、その場を後にした。そして、久しぶりに、天霧辰明流の道場を訪れた。道場では遥さんと弟の綾斗が練習をしていた。
「遥さん、こんにちわ♪」
道場の入り口から声をかけた。
「あっ…イッセー君。久しぶり…」
遥が僕に走り寄ってきた。面白くないって表情の弟の綾斗。
「ようやく、小学2年生になりました」
「そう…おめでとう♪」
僕の頬にキスをしてくれた遥。
「おい、お姉ちゃんに言い寄るな!僕と勝負しろ」
弟の綾斗が勝負を挑んできた。
「ふっ、死にたいのかな…」
僕は愛剣4本を腰に出現させ、綾斗に近づく。
「イッセー君…真剣はダメだって…お願いだから、弟を殺さないで…」
って…。あっ、この世界での勝負って真剣はダメだったね。しまった。愛剣達には、不思議な袋へと戻ってもらった。
「なんだ…今の剣…尋常じゃないオーラだ…」
綾斗は魔剣、魔皇剣の放つオーラにやられたようだ。僕は愛用の木刀を、まず2本取り出して、構えた。
「待って…綾斗、あなたは下がりなさい。私が相手をする」
弟が既に、魔なるオーラにやられてしまったことに気づいた姉が、交代を指示した。
「お姉ちゃん、二人で、アイツを仕留めよう…」
あん?二人でか…
「いいよ、二人で来いよ。僕も全力で行くから」
僕は全身にオーラを纏い、身体を強化していく。パワー、スピードを何段階かアップさせていく。そして、戦わずに勝つ為の死を感じさせるオーラをも纏っていく。そんな僕の見えない強化に、気づいたのか遥の顔色が悪くなっていく。
「イッセー君…それが、あなたの本気…」
綾斗は死を感じさせるオーラを受け、腰を抜かして震えていた。単なる人間にには無理かな?いや、遥はオーラに耐えていた。精神力がすごいなぁ。
「もっと本気出していいかな?遥…」
今できることを総て出し切る僕。そんなことをしていたら、僕の周りに転移陣がいくつも発現して、数名の者が転移してきた。その顔ぶれを見て、僕は纏っていた物を総て霧散させた。
「どうした?みんな?」
「どうしたじゃないだろ?なんだ、あの尋常じゃないオーラは…」
アザゼルが声を掛けて来た。
「あぁ、何事かとスクランブルしてきたよ、イッセー君」
サーゼクスが声を掛けた来た。
「心臓に悪い真似はしないでくれるかな、イッセー君」
ミカエルさんもいるのか。
「一誠…お前なぁ…九十九屋に行ったはずだろ?なんで、ここで油を売っているんだ?」
誠が怒っている。あっ…僕の本気なオーラを感じて、みんなスクランブルしてきたのか。そんなに高出力だったかな?
「ここは鍛錬先の世界と違って、争いがない世界なんだぞ。そこに、そのオーラは危険だぞ」
あぁ、確かに…言われてみれば…
「でも、遥さん姉弟の二人が相手だったから、本気で行っても大丈夫かなって…」
言い訳にならないかもしれない言い訳を誠達に言った。
「一誠、お前通常空間で緊急時以外、本気を出すな。いいな。新敵が現れたかと思ったぞ」
まぁ、一応ラスボス待遇ですから。
「でも、勝負しろって…綾斗が言うから…」
「挑発に乗るな!お前が良く分かっているだろ。人間相手に、本気なんか出すな。いいな」
「もし出したら?」
言葉に詰まる誠。
「ねぇ、出したら、誠がお仕置きをするのか?」
「俺ができる訳…ないだろ…それは…どうするんだ、サーゼクス?」
「誠殿が50億人いても、勝て無い相手ですよ。どうしろって言うんですか?」
サーゼクス…その例えは、おかしいだろ?誰が、誠を50億人にコピーするんだ?
「あの…兵藤誠さん…ですよね?」
誠に声をかけた遥。
「そうですが。俺の息子が迷惑をお掛けしました。きつく、文句だけは言っておきます」
「あっ…初めまして…天霧遥と申します。高校生になったら、イッセー君と…住んで良いですか…きゃはっ♪」
この局面でそう言うのか…顔を真っ赤に染めた遥。
「あ…天霧遥さん…ですか…天霧辰明流の…」
誠の問い掛けに、恥じらいながら頷く遥。
「で、この方々はどなたですか?」
もっともな質問だと思う。普通の人間の前に現れちゃダメな人達。三名ともはっとした顔になる。
「堕天使トップのアザゼル総督、冥界の魔王のサーゼクスさん、天界を司るミカエルさんだよ」
僕が紹介をしてあげた。恐怖の表情をして腰を抜かした遥。
「堕天使…悪魔…天使…天使?そうだ、イッセー君って…」
少し安心した表情にをして、僕の方へ這いつくばって近寄って来た。
「おい、一誠。彼女はお前の正体を知っているのか?」
誠にきかれた。
「あぁ…おいたしたときにね…あはは…」
僕の正直な返答に、頭を抱えた誠。
「すまないね、遥さん。俺の息子が、なんていうか、してしまって…」
「いえ、私が望んだことですから…嬉しいです。ですから、高校生になったら、イッセー君と住みたいんです、お父さん…あはっ♪」
更に赤く顔を染め上げていく遥。
「まぁ、兎に角…あれだ…イッセー、勝負するときは仮想フィールド内にしろ。アジュカがモニタリングしてくれるからな」
と、アザゼル。
「了解だ、アザゼル。次回からそうします」
大御所三名はほっとした表情で、この場から転移をしていった。この場に残った誠は遥と話していた。そして、
「一誠…彼女の決意は揺るぎないみたいだ。話を聞けば、弟さんと二人暮らしのようなんだ。子供二人での生活だと、負担が大きいと思うので、二人をうちに引き取ろうと思う。どうかな?」
「あぁ、道場かぁ…いいんじゃない?ソーナに話して、道場を作って貰えるようにするよ」
「そういうことだ、遥さん。我が家なら、思いっきり一誠と戦っても大丈夫なトレーニングルームもあるし」
「わかりました。お願いします」
こうして、遥は高校生になる前に、僕と1つ屋根の下で暮らすことになった。
---遥---
誠さんから許可をもらった翌週、弟と二人で住み慣れた街から、イッセー君の住む家のある駒王町に引っ越しをした。私達の家と道場のあった場所には、マンションが建つことになった。剣一筋の私と弟に、収入が入るようにと、誠さん達が手を回してくれたようだ。
そして、イッセー君の家…へ?…家ってレベルではない大きさのお屋敷のような大きさの建物だった。門以外一区画まるまる塀で囲まれていて、1箇所だけ、天霧辰明流の新道場の入り口だけ、塀がない…巨大すぎる敷地である。
門を潜ると、ドアには、『兵藤』『グレモリー』『シトリー』と3つの表札が有り、表札近くの呼び鈴を押すと、メイドさんが出て来て、私達二人を家の中に入れてくれた。
玄関を入ると、地下へと続く階段とエレベーターがある。メイドさんからの説明では、フロアごとに男性専用フロアと女性専用フロアと兵藤家専用フロアがあり、屋上には温泉があるそうだ。なんて、豪華なんだ?地下にはプール、サウナ、シャワールーム、トレーニングルームがあるそうだし。溜息が出てしまう。
そして、リビングに案内された。学校の教室よりも広いリビングルーム…一体、この家にはどの位の人数が住んでいるのか?圧倒されまくりのスケールな家だ。
「遥さん、いらっしゃい♪遥さんと綾斗の荷物と道場の荷物は運び込んであるから、引っ越しは終了だよ」
って、イッセー君から声がかかった。え?荷物が人間より先に着いた?なんで?
「この家って、何人が住んでいるの?」
疑問をきいてみた。
「正確な人数はわからない。出入りが激しいからね。食事時になれば、その日の人数はわかると思うけど」
日によって住民の数が変化する?どんな人達が住んでいるんだ?
「どんな…誠夫婦、その子供、あと、グレモリー眷属、シトリー眷属、チームシュウかな。今のところはね」
何か心にひっかかる物があった。綾斗が私にだけに聞こえる声で、
「お姉ちゃん…声に出してないのに、返答がきたみたいだけど…」
そうだ、心に思ったことを、イッセー君は返答してきた。
「あぁ、僕は心が読めるから。声に出さずとも会話は成り立つよ。あと、この家では隠し事は丸見えだから、気を付けてね」
「あの…家事は手伝わなくても良いんですか?」
「メイドや下僕がいるから、問題ないよ」
下僕?
「しもべみたいなものだよ、遥さん。この家では細かいことを気にすると、長生きできないからね♪」
長生き…その時、エレベーターから数名が降りてきたのだが、纏っているオーラが、感じたことのないものだった。咄嗟に身構える、私と綾斗。
「だから、言ったでしょ?この家では細かいことを気にすると、碌なことないからね」
どういう意味?
「実感しないとわからない?」
イッセー君が言い終わると、突然、身体に異変が…震えが止まらない。綾斗もだ。
「この家は結界で護られている。それと共に、この家で発するオーラの類いを、外に漏らさないようにもしている。オーラを感じて、そのような状態では、この家では真面に生活できないよ、遥さん、綾斗」
膝が笑っている。腰が抜けて尻餅をついている。そんな異常な状態の私達姉弟の姿を、スルーするこの家の住民達。
身体の中で熱い物が沸き立っている感じだ。こんな感覚は始めてかもしれない。どう対処して良いかわからない。
「イッセー様、その位にしてあげてください。焼きプリン出来ましたよ」
メイドさんの声で、通常の感覚に戻った私。
「あなた方の分もあります。お食べください。イッセー様の好物なんですよ」
「わ~い、プリンだぁ~♪」
階段から、紅髪の少女が降りてきて、イッセー君の隣に座った。その横に、金髪の少女と黒髪の少女も座り、美味しそうにプリンを食べている。
「あっ、懐かしい…じゃが丸くんだ」
美味しそうに食べているイッセー君。こうして見る分には、小学2年生らしい幼さを感じる少年だ。
私と綾斗も、おやつを頂いた。美味しい。二人で生活していたときに、こんな物は食べたこと無かったし。
「遥さん。はっきり言いますが、この家で一番弱いのは弟さんで、次にあなたですからね。それを忘れないでください」
メイドさんに言われた。え?どういう意味?
「意味ですか?私達メイドに逆らうようなことがあれば、イッセー様の友人といえ、しばきますから」
笑顔であったが、語気に強いオーラを纏わせたメイドさんに忠告された。
「あっ、ラム…いじめんなよ~」
「いえ、虐めてはおりません。ご忠告です」
このピンク髪のメイドはラムというのね。人数が多いと名前を覚えるのが大変そうだ。
「あっ、名前は、イッセー様のご家族だけ覚えれば大丈夫です」
私に一礼をして下がっていくラム。
「あっ、リアス…ズルい…イッセー君と…」
黒髪に眼鏡の少女が、紅髪の少女に文句を言っている。
「うん?ソーナがいなかったのが原因よ。私はズルくないもん」
「ソーナ、エミリアは?」
「居残りで練習しているわ。真面目だよね、あの子、戦闘意欲は無いみたいだけど」
「僕だって、最初は戦闘意欲なんか、まるで無かったし」
「イッセー君は、私の中では英雄だよ」
「生死を何度も彷徨っているのに?英雄じゃないよ、僕なんか。まだ弱いし」
何ども生死を彷徨っている?誰と戦ったんだ?
「相手が悪すぎたんだよ、イッセー君。普通なら、みんな死んでいるよ」
「そうだよ、お兄様から聞いたけど、最上級悪魔を2日で30億強屠ったそうじゃない」
最上級悪魔を2日で30億強…って…
「はぁ?2日もかかったんだよ。1日で終わらせたいよ。そうすれば、2日で全滅できたのに…強くなりたいなぁ」
イッセー君の強くなりたいって…どんだけ強くなりたいんだ?私でも最上級悪魔クラスだと1匹倒すのがやっとだと思うのに。
「総司よりも強くなったから、それ以上は難しいんじゃないか?」
総司?沖田先生の事かな?
「あぁ、遥さん、紹介しておく。紅髪がリアス・グレモリー。先日遥さんの道場に現れた魔王サーゼクス・ルシファーの妹だ。黒髪眼鏡はソーナ・シトリー。冥界には魔王が4名いるんだけど、そのうちの一人セラフォルー・レヴィアタンの妹だ。あと、金髪娘は忍。黒髪娘はオーフィスだ。忍とオーフィスは絶対に怒らすなよ。確実に死ぬからな」
え?目の前に座っている無邪気な二人を見た。この二人からオーラは感じないけど。
「通常時にオーラ出しまくっていたら、戦争になるよ。そういうレベルの者達だ。忍とオーフィスの戦争は見てみたいけど、この世界は確実に滅びるから、そそのかさないでね」
世界滅亡…スケールが大きすぎる…
「あと、誰だ、滅亡系は…そうそう、メイド長のリーラ、僕の姉のひたぎ姉、僕の妹の火憐辺りは危険だからね。あっ、もう一人、ソーナのとこの食客のシルキーもだ。この家では、うかつにケンカしない方が良い。何度も死ぬはめになるから」
何度も死ぬ?意味がよくわからない。
「単体系な脅威は、シルキー、ゼノヴィアだ。この二人はバトルマニアだから、目を見ないように。あの二人基本バカだから、手加減を知らない。この二人以外は手加減はしてくれると思うけど…あぁ、メイドのラムとレムも手加減知らずだ。バカでは無いけどね」
住んではいけない家に越したような気がしてきた。
「で、その二人の実力を知りたいな」
青髪の女性が近づいて来た。
「ゼノヴィア、お前はダメだ。手加減しないだろ?」
この人がゼノヴィアさん…
「じゃ、シュウ…相手をしてくれ」
シュウって?誰?
「しょうがないな」
シュウと呼ばれたのに、イッセー君が返事をした。なんで?
「そこの新入りの二人も見学に来て。この家の戦いを見せる」
私達はゼノヴィアさん、イッセー君の後に続いた。
------
戦いの舞台は、地下10階のトレーニングルームだった。イッセー君は4本の剣を腰に差していた。準備をしていたイッセー君に突然ゼノヴィアさんから強烈な飛ぶ斬撃が放たれてきた。命中したと思われたイッセー君は、何事もなかったように準備を続けていた。え?何が起きたの?
「もう、ゼノヴィア、相手を見て開幕しろよな」
「はぁ?先手必勝だ」
「僕には効かないよ。ゼノヴィアの聖剣じゃね」
目の前を飛ぶ斬撃が行き交う。二人共真剣を使用していることに、私も綾斗も驚いている。飛ぶ斬撃が擦っただけで、大怪我をするだろう。
「四刀流…厄介だな」
「はぁ?剣で防ぐって、それの方が厄介だよ」
私の知っている次元の戦いではない。目の前では殺し合いを愉しんでいるようにも見えた。
「目を背けないで、戦いを見なさい。あれが、チームシュウの1軍クラスの戦いだから」
いつの間にか私の横に立っているメイドさんに言われた。チームシュウって?
「チームシュウ…たぶん、全宇宙でも最強クラスの部隊よ。入隊条件は最低魔王クラス以上の戦力保持。この世界の英雄、兵藤誠、一香ですら3軍クラス以下なのよ」
誠さんですら3軍クラス以下?イッセー君は1軍なのに?
「ねぇ、ゼノヴィア。飽きてきた~本領発揮していいかな?」
「ダメに決まっているだろ?剣だけだ」
イッセー君は本気では無いのか?
「イッセー様は本気ではないです。本気だと、一瞬で終わりますから」
淡々と説明してくれるメイドさん。
「遥さんと遊びたいよ~」
イッセー君がそう言うとゼノヴィアさんの全身から煙が上がって、その場に崩れた。
「遥さん、あそぼ~♪」
私の方に駆け寄ってくるイッセー君。綾斗が私の前に立ち上がった。
「お姉ちゃんを冒涜するな!」
木刀をイッセー君に向けて、いつでもたたき込める構えをしている。
「はぁ?綾斗に勝てる訳ないだろ?」
「ふっ」
綾斗がイッセー君を襲った。木刀が真面にイッセー君を捕らえた。が、イッセー君の後方に放り出された綾斗。
「だから、剣じゃ僕を倒せない。僕は透過能力持ちだ」
透過能力…無敵のスキル…攻撃は総て身体を通り抜けてしまう。
「遥さん、遊ぼ~よ」
私にすり寄ってくるイッセー君。そんなイッセー君に恐怖を覚えた私は、身体が硬直してしまった。
「硬直したの?じゃ、緩めてあげる♪」
先程感じた身体の内側で熱い物が湧き上がる感覚。
「あっ…あぁ…」
喘ぎ声しか出ない。全身の力が抜けていき、イッセー君にもたれ掛かっていく。脈を打つリズムで、熱い物が身体の内側から湧いてきている。頭の中が悶々として、正常な意識が保てなくなっていった。
そんな時、
「化け物、死ねぇ~」
綾斗がイッセー君の背後から襲いかかり、その直後、私の腹部に激痛が走り、目の前が真っ暗になっていった。
---シュウ---
綾斗は茫然自失状態だ。僕を背後から襲った渾身の攻撃は、僕を透過して無防備な遥に直撃してしまった。その結果、遥は…
「どうします?」
リーラがきいてきた。
「綾斗、どうするんだ?」
綾斗には僕の声が、もやは聞こえないのか、反応はない。
「生き返らそう。小学生で死ぬのは早過ぎる」
「どうやって?」
遥の身体は治癒魔法で、破裂した内臓や粉砕された骨などを総て回復させている。後は招魂、入魂、再起動だ。
「くそっ…魔力の上限が…」
魔法使いが多いキャッスルドランに、遥と共に転移した。
「リトル、レフィーヤ、ロスヴァイセで、僕の発現する3つの魔法陣を発動してくれないか?」
「待って!私も参加します」
リーラに連れられてエミリアが来た。
「頼む。人数が多い方が良い」
そして、蘇りの術3点セットを発動していく。再起動の術により、徐々に遥の体温は戻って来た。
「メイビス、彼女を安置所に」
「わかりました」
メイビスが、遥を抱いて、安置所に向かった。安置所は、静かで厳かな空間である。この城特有のカオスなオーラの影響を受けにくい空間であり、再生するには良い場所であった。
「エミリア、ありがとう」
「えへへ、少しは役立てたかな?」
僕の感謝の言葉に、少し照れ気味のエミリア。
「そうだ、紹介しておく。ハーフエルフのリトルと、エルフのレフィーヤだ」
「え?私と同じハーフエルフなの?」
リトルを見るエミリア。
「同じかどうかはわからない。半分はエルフだけど、もう半分が分からないからね。ちなみにリトルの場合はハーフゴッドだ」
「うっ…神様…」
「神族だけど、まぁ、地上では神のうちに入るかな」
エミリアのことをレフィーヤ、リトルにまかせて、禁書庫に向かった。
「ベアトリスどう?」
彼女を抱き上げて、抱きしめる。
「いきなり、抱きしめるってどうなのかしら?」
と、言いながら喜んでいる素振りのベアトリス。
「感謝の表れだよ。ベアトリスが司書としての役目をしてくれて、作業がはかどっているようだし」
彼女の頬に、僕の頬を擦り寄せた。
「お子ちゃまじゃないんだから、そんなことで喜ばないかしら」
いや、素振りは物凄く喜んでいるように見えるんだが。
ベアトリスを肩車状態で担いで、フレイヤ達の元に向かった。
「どう?」
「シュウの推論通り。浮遊都市で手に入れた頁と同じ頁が、魔女の魔法書の写本にあったわ」
そうなると、タイムリープした際に、次元の狭間に落ちて、そして、あの世界に流れついたのか。
「次元の狭間はゴミがうようよ有るからね」
って、アポが情報をくれた。
「そんなにゴミがあるの?」
「最近は減ってきたよ。ドクターが回収しているから」
ドクターとは、本拠にいるドクター・スカリエッティのことである。天才科学者であるが、別世界ではお尋ね者だったりする。チームシュウの科学チームの要だと思う。
「ゴミで何かを開発してくれているのかな?」
「あっ、ドクターから伝言。娘を一人くらい帯同してくださいって」
ドクターには戦闘機人な娘がたくさんいる。そのうちの誰かを嫁にって言われているにだが…
「そうだね。そのうち、借りに行くと伝えておいて」
と、ノープランな返事をした僕。