---シュウ---
鎧を解いた瞬間、最悪な事態に備える。
『ブリトラ、一誠のオーラを駒に集めて、生きられる最低限の分だけフィードバックさせて』
『了解』
『ドライグ、駒に集められたオーラを、ワンカウントでいいから倍化していってくれ』
『了解』
一誠の腹部が斬り裂かれて、内臓を引き摺り出された。それと同時に、体力が目減りし始めた。昨晩、幽体離脱して一香を弄んだ時に、一香の魂に、緊急連絡用の機能を付けてきた。それが、早速役立つな。一香に向けて緊急信号を打ち出した。
体力が生きるための最低ラインに近づき、一誠の身体は膝をつき、前のめりに倒れた。他に何か出来ることはないかな?
『忍、回復能力は使えるかな?』
怪異(人外)の王であるハートアンダーブレードを別名で呼んだ。別名の由来は「ハートアンダーブレード」を和訳すると、「刃の下の心」となり、「忍」という文字になるからだ。呼び名は短い方が、咄嗟の命令指示を出しやすい。その為に考えた別名である。当の本人も、それなりにこの呼び方を気にいってくれているようである。
『ダメじゃな、生きる方へエネルギーを振り分けておる。回復に回す分は無いのじゃ』
そうか、他に何か…そうだ!僕は一誠の死を『無価値』にして、不死とした。チートな手ではあるが、この際、出来ることはしていかないと。
しばらくすると、心地良いゆりかごに寝ている気分になってきた。そして、この世界にいないはずの者の声が、聞こえてきた。
『シュウ…周太郎…大丈夫?』
それは、遙か昔に死んだはずの僕を産んでくれた母親、代羽マリアの声であった。僕の産みの母親は、僕を生かす為に囮となり、神族の放った暗殺者に殺されたのだ。
『母さん…なんで、ここに?』
暖かいオーラを纏った声。聞く度に僕も、一誠の身体も癒やされていく感じだ。
『私は…私の魂は…この世界で、一誠の母親、一香の神滅具に封じられているのよ。たぶん、この日の為に、この世界に魂を飛ばされたのね』
一香の神滅具?『神愛護珠』かぁ…そこに母さんがいるのか…僕は母さんの温もりを感じながら、意識が薄れていった。
---誠---
一香からの緊急連絡。一誠が襲われたって。俺は急いで現場となった姫島神社に転移した。そこで目にしたのは、腹を割かれて内臓が引き摺り出された、一誠の惨たらしい姿だった。一誠の近くには、一誠の友達が倒れていた。彼女の状態はわからない。誰にやられたんだ?一香も転移してきて、禁手化状態の大天使姿となり、天使の翼で、一誠と一誠の友達を包み込んだ。あの翼に包まれると、怪我や病気が治っていくのだ。
遠くでは戦っている者達がいた。堕天使のアザゼルとバラキエル、相手は陰陽師と式神か?俺も、バラキエル達と戦う事にする。
程無くして、一誠を手にかけた輩二名を捕縛した。
「おい、誰に頼まれたんだ?」
俺は、陰陽師にきいた。
「酒臭いお姉やんだ。ガキの姿しておるが、鬼畜が化けとるって」
「兵藤本家の孫を鬼畜扱いとは、すごい酔っ払いだな」
アザゼルが、陰陽師に言い放った。
「はぁ?兵藤本家の孫?ほんまかい?」
「真実だ。知らないで請け負ったのか?」
「当たり前や、兵藤家にケンカを売るようなマネを、好きこのんでするかいな」
酒臭い女?誰だ?捕縛した二人は、アザゼル達が引き取っていった。ここ、姫島神社は、堕天使バラキエルの領土だし。
一香の禁手の能力で、一誠は一命を取り留めたが、危篤状態であった。俺は、セラフォルーに頼んで、シトリー家の運営している冥界の医療施設に収容してもらった。無菌室に横たわる一誠。ガラス越しで見守ることがしかできない俺達。アイツはどうしているんだ?一誠の魂の所有者のことも心配した。
「ねぇ、誠さん。話したいことがあるの」
一香が俺に?こんな時になんだ?
「なんだい?」
「シュウのことなんだけど…私の神滅具に封じられている魂って、シュウの母親みたいんだよ」
はぁい?なんだって…なにか重大なことがわかるかもしれない。俺は、サーゼクスとアザゼルを呼び出し、俺達は医療施設の会議室に集まった。
「セラフォルーもいいよな?」
アザゼル、サーゼクスと共にセラフォルーが入って来た。
「一香、話してくれ」
俺は、一香に得た情報を話してもらうことにした。
「禁手状態で一誠を回復させていたとき、私の神滅具から声がしたの。周太郎の持つスキル『神器無効』がジャマだから、周太郎の意識を飛ばすわって。あっ、周太郎ってシュウの本名だそうよ」
だから、シュウが出てこないのか…この一大時に現れないのは、おかしいとは思っていたが。
「その声の主が、シュウの母親だったのか?」
俺は一香に尋ねた。
「そうだって。一誠の傷が回復するまで、彼女から色々な話を聞いたのよ。シュウの母親、代羽マリアは、聖書の神にとってはジャマな存在なので、この神滅具に封印されたそうなの」
「封印?神器っていうのは、神から人間への贈り物じゃないのか?」
神器の研究をしているアザゼルから質問が飛びだした。
「そうじゃないんだって。真実は逆。神にとってジャマな存在を封印した牢屋みたいなもので、神滅具は特に危険な存在を封印した牢屋だそうよ」
「え?なんだって…」
「彼女の場合は、先祖が持っていた能力者を産ませないために、封印されたんだって。その時点ではシュウの存在は知られてなかったので、彼の存在は問題になっていなかったそうよ」
「先祖が持っていた能力?ヨハネ?聖書の神にとってジャマ…あっ…まさか、黙示禄の作者かぁ。能力は創世と終末を見たとか?」
「そうじゃない、創世から終末だそうよ。総てを知る能力。シュウが持ってしまった悲劇の能力よ」
「悲劇?なんでだ?」
サーゼクスから質問が出た。
「その能力を持ったことが天界に知られると、確実にシュウは殺されることになる。だから、シュウ親子は、ひっそりと隠れるように暮らしていたそうよ。シュウが小学校の卒業式を迎える日の朝まで」
朝まで?俺達は、はっとした。そして、一香を見た。
「卒業式の日の朝、シュウを学校に送り出した後、シュウの両親が動いたんだって、わざと天界に見つかるように。シュウから遠く離れた場所で…そして唯一、次の世代に先祖の遺伝子をリレーすることができる彼女は、天界からの暗殺者に殺されて、魂を封印されたんだって…そしてシュウの魂は、私と誠さんの間に授かった男の子の受精卵に着地した。これって、偶然ではなくて、必然だったみたい。私の神滅具に宿る彼女の魂が、シュウの彷徨っていた魂を呼び寄せた」
親子愛…それがなせる業(ごう)なのか…
「じゃ、誰からの贈り物なんだ?」
しんみりとした雰囲気は、アザゼルの発言でブレイクした。
「聖書の神に反抗する勢力…シュウが共に戦った戦友達の手で、神が神器を封印した倉庫から盗み出して、地上に蒔いたって…」
「シュウ君の戦友って?」
セラフォルーが矢継ぎ早に質問をしてきた。
『大天使、創造神、絶対神、知識の精霊、三位一対なる者、ドラゴン…でも、シュウが産まれた時には、封印されてしまったか、殺されていた』
一香の声ではない声が答えた。これがシュウの母親の声なのか。声から暖かいオーラを感じる。
『シュウは、一人ずつ解放していった。そして、天界に攻め込み、そして天界を私達の手に取り戻した。その影響で、シュウは他の世界では誕生しない。他の世界ではヨハネの血族は生き残ることをやめた。シュウという後継者ができたから』
「シュウは神なんですか?」
俺は愚問を彼女にぶつけた。
『私の息子です。それだけで、私は充分です』
「あなた方の望む事はなんですか?」
一香が問うた。
『私は生前できなかったこと、周太郎の成長をもっと見たい。周太郎は、この世界の家族と仲間を護ること、自分の世界の家族と仲間も護ることだと思うわ。あぁ、久しぶりに話し過ぎたので、疲れてきたわ、また機会があれば、お話をしましょう』
暖かいオーラは消えていった。
「聖書の神って悪い奴だったのか…」
セラフォルーが呟いた。俺も初めて知ったよ。そうだよな、人間に神を超える力を、与えないはずだ。知恵の実を食べただけで、断罪した奴だし。
「俺の神器研究…根底から崩れた…」
神器の真実を知り、アザゼルはショックを受けたみたいだ。
『誠、申し訳ないんだが、病室にセラフォルーだけ入れてくれないか?』
シュウから念話が入った。
『なんでだ?』
『一誠を延命するために、僕のオーラも使ってしまって、一誠を回復させる力が残っていないんだ。母さんの力では、内臓の傷みまでは治しきれなかったんだよ』
『内臓の状態、悪いのか?』
『あぁ、食事はさせないで、栄養を点滴してくれ。で、セラフォルーを奉納してくれ!』
『セラフォルーを喰うのか?』
『女性が、エクスタシーへと達した時に、発生するエネルギーを摂取するだけだ。今のメンツだと、セラフォルーが一番、エネルギー量が多いんだ。頼む、誠…』
シュウのエネルギーの源って…そんな奴に俺は今まで出逢ったことがないぞ。鬼畜と言われている理由はソレなのか?
なんであれ、切羽詰まった事態だったので、俺はシュウの代わりで、セラフォルーに言いにくいお願いをした。
「一誠君の病室に、私一人で入れば良いの?わかったわ。それで一誠君が治るなら」
セラフォルーだけ、一誠の横たわる病室に足を踏み入れた。
---セラフォルー---
病室に入ると、ドアのカギが締まり、部屋を覗き込む窓のカーテンが閉められた。えっ、なんで?何が起こるの?
私の身体は金縛り状態となり、自分で動けない。声を出せないでいた。こんな状態の私の衣服が脱がされていく。一誠君の仕業?でも、何の為に?あれよあれよの内に、全裸にされていた私。
えっ?下腹部にこれまで感じた事のない、気持ちの良い刺激を感じ始めた。腕は後ろ手にされて、胸を前に突き出すようにされ、胸にも表現できない蕩けるような刺激を感じている。
「あっ…あぅ…いいっ…あっ…あっ」
口から、喘ぎ声が自然と漏れてしまう。耳たぶを舐められて、甘噛みされる。唇を舐められて、甘噛みされる。口の中に姿の見えない者の舌が入って来て、歯茎や、舌の付け根を舐められていく。
たまに痛みもあるけど、なんとも言えずに心地良い。そして、太くて固いモノが体内に入ってきた。痛みが走る…しばらくすると、痛みは快感になった。やみつきになりそうだわ。
『これから、毎日頼むよ。セラフォルーよ』
シュウの声がした。相手はシュウなんだね。了解だ…私はエクスタシーに達して、意識が薄れていった。
---誠---
翌日、一誠を見舞うと、セラフォルーがいた。
「すまなかった」
と、俺が言うと
「問題ないよ~。一誠君が退院するまで毎晩付き添うから♪」
頬を赤らめたセラフォルーが答えた。おい、シュウの行為に屈したのか?魔王なのに…
『誠、セラフォルーのおかげで、1週間くらいで退院できそうだぞ』
シュウから念話が届いた。
『退院後は食事はできるのか?』
『そういう方向で回復させる。そうそう、3日後からはセラフォルーでない、魔力のある女性に付き添ってもらってくれ。1週間毎日だと、僕が飽きるし、セラフォルー的に体力が保たないはずだ』
『一香はダメだぞ!』
『グレイフィアさんは?』
『サーゼクスの嫁は、無理だ。あきらめてくれ』
セラフォルーの限界と言っていた4日目、ナースに手を出し始めたようだ。おい…しかたない、サーゼクスに相談だな。
サーゼクスに会いに行き、現状報告をした。
「グレイフィアをご所望かい?う~、どうしようかな…。基本的にはOKなんだが」
へっ?OKなのか?
「彼女はドエスだぞ。エムに教育して貰えると、俺でも満足させられそうなんだ」
サーゼクスは、夜の営みで苦労しているのか?で、グレイフィアを借りられたので、今夜から付き添いをしてもらうことにした。今夜も付き添いをしたがり、帰る事を嫌がるセラフォルーを、病室から連れ出すのに一苦労だった。シュウは『魅了』とか『魅惑』とかのスキルもあるのか?
---グレイフィア---
誠殿に頼まれて、一誠君の夜間の付き添いをすることになった。一誠君に宿る魂、シュウなる者には注意してって、言われた。何をしてくるのか?
0時を過ぎた辺りに、金縛りの状態になった。この私を金縛りにするとは、やるな。そして、服が脱がされていき、やがて全裸にされた。何をするんだ?
えっ?
急に、今まで感じた事のない刺激が、身体の中から感じる。腿の内側が痙攣している。腿に少しずつ滴り、流れ落ちていく、生暖かい液体…こんな短時間でこんなに濡れるとは…
立っていられなくなった私は、自然に四つん這いの体勢になった。その瞬間、目に見えない者達によって、私が玩具にされていく。口に挿入され、前後の穴にも挿入された。三点責めかぁ…これは経験がない、いや、屈辱的な仕打ちだ。これでも私は魔王の『女王』なのだ。こんなに簡単に、性の下僕のようにされることは心外だ。
しかし、目に見えない者から受ける仕打ちの数々。私のつまらないプライドを易々とぶち壊していく。この私が、私から刺激を求め始めた。もうプライドの「プ」の字すら残っていない。もっと、虐めてほしい。もっと、弄んでほしい。もっと、刺激をください。
私を玩具として遊ぶ行為は明け方まで続いた。そして、
『明日の夜も頼むぞ、グレイフィア』
って、念話が届き、私は病室の床に解放された。身体中ボロボロなのに、気分が妙に清々しい。彼無しではダメって思えてくる。私は、筋肉痛で痛い身体を起こし、服を身に着けて行く。筋肉痛か…いつ以来だろうか?身体が鈍っているみたいだ。
---誠---
翌朝会ったグレイフィアの顔は、とても清々しかった。難しい顔付きが多い彼女だったが、今日は笑顔で、色気も感じるし…セラフォルーだけでなくて、グレイフィアの心までも射止めたのか?シュウ…
そう言えば、一誠の周囲って女性ばかりだよな。友達も女の子ばかりだし…これもシュウの影響なのだろうか?
そうだ。男で無事なのは俺だけだ。くそオヤジも、沖田君も、闘戦勝仏様も、和樹君も、数馬君も皆、何かしらのダメージを受けていたし。あっ、アザゼルもかぁ。男には容赦しない、シュウの影響なんだろうな。はぁ…
たぶん、サーゼクスもグレイフィアの態度や顔付きを見れば、ショックを受けるんだろうな。