※この作品はR-18です。

神器なき男2   作:もっち~!

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差し出す手は握られず*

---エディータ・ロスマン---

 

「で、パウラはどう思う?」

 

私を通称の『パウラ』で呼ぶのは、グンドュラ・ラル。ここ、連合軍第502統合戦闘航空団の団長である。

 

「どうって、戸惑っています。坂本少佐と雁淵孝美さんが、消えたって、未だに信じられません」

 

扶桑皇国の軍事施設から消えた二人。未だに、消息がわからないそうだ。

 

「あと、管野達が遭遇した少年はどう思う?」

 

ネウロイを簡単に撃破した少年がいたそうだ。管野、ニパ、ひかりの三名が目撃している。その少年は翼が有ったと、ひかりだけが証言しているのだが。

 

「翼を持つ種族と言うのが信じられません」

 

「敵か、味方かが問題だな」

 

グンドュラと二人だけの室内なのだが、一瞬空気が揺らめいた感覚に陥った。

 

「味方だ!」

 

私とグンドュラは、目を見張った。目の前に、忽然と姿を現したのは、消息不明の坂本少佐だった。

 

「私達は味方だ。そんなに身構えるなよ、パウラ」

 

どう反応して良いのかが、わからない。グンドュラは口をパクパクさせている。言葉が出ないようだ。

 

「何だよ、幽霊でも見たような顔をするなよ」

 

私に抱きついてきた坂本少佐。幽霊ではない。実体がしっかり有る。

 

「なぁ?幽霊じゃないだろ?はっはっはっ」

 

豪快な笑い方…坂本少佐本人に間違え無いだろう。

 

「で、用件なんだが、私達の部隊と同盟を組んでくれないか?」

 

坂本少佐の部隊?扶桑の?

 

「扶桑の部隊ですか?」

 

「違う。私達は扶桑の軍から抜けたんだ。まぁ、第3勢力って位置付けで良いと思う」

 

第3勢力?

 

「で、現在の私のボスが、ネウロイの情報を収集したいそうで、是非502と共闘して、データを得たいそうだ。どうかな、パウル、グンドュラ?」

 

「少佐のボスとは、どのような人物なんですか?」

 

ようやく、言葉が出たグンドュラが坂本少佐に尋ねた。

 

「うん?管野達が会っただろ?彼だよ♪」

 

翼を持つ少年?

 

「先程、私達とおっしゃっていましたが、少佐以外に誰が抜けたんですか?」

 

グンドュラが疑問を感じた部分に、斬り込んだ。

 

「孝美だ。彼の能力で、今は元気だぞ、はっはっはっ」

 

えっ?回復特化のウィッチの治療でも、意識が戻らなかったのに?

 

「今いる部隊は凄いぞ~。たぶん、この世界で一番の戦力を持っていると思う」

 

少佐が凄いと感じたなら、凄いのだろう。でも、どこの部隊だ?

 

「少佐のボスが何者かわからないのであれば、手は組めません」

 

グンドュラが少佐に告げた。

 

「そうか…残念だ。話し合いで終わらせたかったのに…シュウ、ダメだった。すまない」

 

シュウって誰?そんな疑問を持った瞬間、少佐の隣に少年が姿を現した。

 

「美緒、やっぱり、責任者の僕でないとダメだって」

 

少佐に微笑む少年。

 

「そのようだ。まぁ、幽霊扱いでは真実味は無いか」

 

少年は、グンドュラの方に向き、

 

「うん?お姉さん、怪我をしているの?」

 

と、彼女の古傷を見抜いたようだ。彼女の隣に立ち、古傷の辺りに手の平を当て、念を込めているようだ。

 

「今は、このくらいしか治療できないけど、手を組んでくれたら、完治させるからね♪」

 

屈託の無い少年の笑顔、グンドュラの頬が少し紅色に染まる。

 

「まぁ、いきなり来て、手を組んでって、無理だよね?対戦して勝ったら、この部隊に

僕達を居候させてくれないかな?」

 

対戦?

 

「ペイント弾で空戦をしてみない?僕達の戦力に興味無いかな?」

 

興味は有る。

 

「パウラ、クルピンスキーを連れてハンガーへ向かってくれ」

 

グンドュラも興味が有るようだ。

 

「じゃ、僕達もハンガーへ行こう。あっ、僕達から出す戦士は、孝美だ」

 

 

--------

 

 

ハンガーに向かうと、見慣れないユニットを背負った孝美がいた。

 

「テスト飛行では問題ないから、勝てるでしょう」

 

「シュウ、私、がんばるからね♪」

 

腰にガンベルトを巻き、ピストルを左右に1丁ずつ差している。ガンマンスタイルか?

 

「えっ?孝美…意識が戻ったのか?」

 

偽伯爵も驚いている。私だって驚いているわ。見た事のない晴れやかな笑顔。何かがふっきれた感じだ。

 

「お姉ちゃん?」

 

ひかり達も来たようだ。孝美はひかりの問い掛けをスルーし、あの少年と話しこんでいた。

 

「孝美…目覚めたのか?」

 

管野が近づいていくが、

 

「まだ、味方として認められていない。だから、近寄るな!」

 

坂本少佐の一喝で、管野が固まった。

 

「少佐…なんで…」

 

驚きと困惑が交差していく。あのユニットは何?偽伯爵ことクルピンスキーが、ストライカーユニットを装着した。

 

「ペイント弾を撃ち込まれた方の負けとする。では、初め!」

 

グンドュラの合図で伯爵が飛び立つ。孝美も…始動加速が、従来のユニットより遥に速い。後からスタートしたのに、伯爵が空に飛び立つ前に、既に肉眼で見えない高さまで到達したようだ。

 

飛び立った伯爵は直ぐに海へと落ちて来た。上空から孝美が急降下をして、彼女を救助して、私達の前に降り立った。

 

「頭上から撃ち込んだから、脳しんとうを起こしたみたい♪」

 

私達の前に置かれた現実に、誰も声が出ない。完全なる孝美の圧勝だった。意識不明だった者の運動能力に思えない。あの加速度に耐えられる身体って、相当鍛えていないと。

 

「で、どうします?手を組みますか?」

 

あの少年が、聞いてきた。が、私もグンドュラもショックで声が出ない。

 

「そうですか。残念です。では、戦場では味方ではないってことで」

 

彼らの足元に魔法陣が発現し、姿が消えた。

 

 

-------

 

「なんで?坂本少佐や孝美が敵なんだ?」

 

会議室に皆で集まり、今日の事を話しあっている。管野が噛みつくように、私達、幹部にきいてきた。ひかりは、俯いたままだ。彼女が一番ショックだっただろう。

 

「彼女達が所属した勢力の正体がわらない以上、味方にはなれん」

 

「でもなぁ…坂本少佐や孝美は、変な勢力に手を貸すとは思えない!解せないのは、孝美は、どうやって目覚めたんだ?優秀なウィッチが治療してダメだったんだぞ!」

 

「それについては、彼が回復持ちなんだ。私も先程、治療をして貰い、古傷が気にならなくなった」

 

グンドュラが体験したことを話し出した。

 

「少年で魔力があるのか?何者なんだ?」

 

ニパがきいてきたが、誰も答えを知らなかった。

 

「それよりも、あのユニットは何ですか?あんな始動加速は見たことがないです」

 

この部隊の戦闘隊長で、サーシャことアレクサンドラ・イワーノヴナ・ポクルイーシキンが声を上げた。

 

「私も見た事が無い。背中に背負うユニットなんか見た事無い」

 

私が反応した。従来のユニットは脚に装着するのに、孝美のユニットは背中だった。

 

「扶桑の秘密兵器ですか?」

 

「違うようだ。彼女達は、扶桑皇国の軍を抜けたらしい。坂本少佐が言うには、第3勢力だそうだよ」

 

「もし作戦遂行中に彼らと出くわしたらどうするんだ?勝てる気がしないんだが」

 

と、実際に戦った偽伯爵から、きかれた。これにも誰も答えない。どうしたら、最良かがわかる者がいなかった。

 

 

---シュウ---

 

「テスト結果は思った通りだ。従来品より加速が良いし、運動性能も上だし。さすが、スカさんだな♪青髪、ハニーの処に行って、採寸しておけよ。シルキーとアイズは自前で飛んでくれ」

 

攻撃部隊として、自前で飛べる僕、アイズ、シルキーの他に、高火力の青髪ゼノヴィアを加えることにした。ここに孝美と美緒が入れば、そこそこな戦力になるか。

 

「問題は情報量が少ないことだよ。美緒、誰かいないかな?僕達の仲間になってくれる、現役の魔女は?」

 

「う~ん…そうだ、回復能力と料理だけは高レベルなヤツがいるんだが」

 

はぁ?情報を得たいのに…美緒も天然系なのかな?質問の意味が通じていない…

 

「何て言うか、ここの食事は旨いんだが…和食が食べたいというか」

 

あぁ、この世界の扶桑って和の国のことだもんな。和食…僕も食べたいな~僕の興味もネウロイの情報から和食に移っていた。

 

「その子の得意料理は?」

 

「和食なら何でも大丈夫だ。納豆すら自前で作るし」

 

納豆が作れるなら、味噌、醤油も作れそうだな。別世界、異世界に、そういう調味料は無いんだが、大豆や小麦に近いものは手に入ることも多い。これからの遠征に必要な人材だ。

 

「どこに行けば、その子を捕まえられる?」

 

 

---------

 

「ここ、どこですか?ねぇ、坂本さぁ~ん」

 

いきなり、連れて来られた宮藤芳佳はパニックになっていた。

 

「宮藤、気をしっかりと持て。今日から、ここがお前の職場だ。任務は、家事全般、特に料理が大事だぞ」

 

美緒が芳佳に命令口調で指示をしている。

 

「それよりも、ここはどこですか?ねぇねぇ、坂本さん」

 

「美緒、いきなりソレはダメよ。芳佳ちゃんって呼んでもよいかしら?」

 

孝美が芳佳を優しく抱きしめて、心を静めていく。

 

「ここって、どこですか?」

 

「宮藤、ここは私達が新たに配属された赴任地だ」

 

「だから、美緒、それじゃ伝わらないわよ~」

 

孝美とガブに芳佳をまかせて、美緒と情報収集要員を、今度こそ考えることに。

 

「502から下原定子はどうだ?」

 

自信有りげに言う美緒。

 

「その子はどんな子なの?」

 

「和食以外の料理もそつなく調理できる」

 

また、そっち系か?

 

「戦士としては、中の上だ。でだ、扶桑の学者一家の出なんだ。知識はそこそこある」

 

「現状の情報はどうなの?」

 

「それは、宮藤が最適だ。あいつはネウロイの巣に、唯一入った人間だからな」

 

食事を前面に出して、そういう重要な情報を後出しって…美緒って、頭はキレそうだけど、要領が悪いのか?

 

「ロスマンっていう人は?」

 

「パウラか?小さい頃に大病をしたらしく、身体の造りが華奢なのが難点だが、ウィッチを育てる手腕はピカイチだ。ただ、前線に出るタイプではないので、作戦参謀止まりかな」

 

「情報は持っていそうだよね?幹部クラスだし」

 

「なぁ?彼女が気になるのか?」

 

「気になるよ。あの子、心に闇を持っている。取り除いてあげたいんだけど…」

 

「あぁ、交わらないと、浄化できないってことか?」

 

皆まで言わなくても理解してくれるのは、ありがたい。シルキーやゼノヴィアに臍の垢を煎じて飲ませたいくらいだ。

 

「それより、孝美の妹はどうする?聞いた話だと魔力が少なく、戦力になるとは思えないが…」

 

「姉妹は揃っていた方が良いよね?僕のチームは適材適所だから、戦力にならなくても、問題はないんだ。他の面で役立ってくれれば、嬉しい程度だよ」

 

 

 

---パウラ----

 

今夜は中々寝付けないでいた。孝美達にどう対応するかの結論が出なかったし。今後に不安が残る。坂本少佐が太鼓判を押す戦力。孝美の戦闘力を見れば明らかだ。意識不明で植物人間化していた者の動きではなかった。健常者でも、鍛錬を積まないとあぁは動けないと思う。加速度が上がれば、それだけ身体への負担は大きくなる。圧巻は、あの急降下だ。肉眼で目視できない高さからの水面への急降下。身体への負担は半端ないと思う。

 

「あっ…あぁ~」

 

考え事をしていた私に、異変が襲い掛かってきた。今までに経験したことの無い刺激、感覚。身体が空に浮かんでいるような浮揚感がある。

 

「いい…すごく…」

 

身体の中に何かが入って来て、蠢いている。でも、嫌ではない。気持ち悪くもない。もっと、欲しいと思うってしまう。

 

「あぅ…そこは…はぅ…」

 

身体が芯から温かくなり、身体の奥深くで、コンコンと温泉が湧き出るような感覚がある。頭はのぼせているようだ。耳や顔はきっと赤いだろうな。

 

温泉が噴き出る度に、心にある闇が昇華していくようで、何か清々しく感じている。

 

「お願い…もっと…奥へ…はぁ~ぃぃ…」

 

意識が鮮明になる度に、体位が変わっている。自分で自分の胸を…これって、話で聞いていた自慰ってものかな?意識が鮮明になる度に、たまっていたイライラ、闇などが消えていくようで、心が軽くなっていく。

 

口に何かを含み、舌でソレを舐める。その行為のお礼なのか、湧き出た温泉が、音を立てて、啜られていく。啜られる度に、身体に力強さが宿っていく感じがする。

 

「はぁ…はぁ…はぁ…」

 

息が荒い私。

 

「一応、巣くっていた闇は昇華しきれたと思う。でも、お姉さんのウィッチとしての寿命は、目の前だよ」

 

目の前に少年がいた。私の魔力が無くなることを言っているのだろう。そのことは、私にも日々少しずつ、魔力が消えていくのがわかっていた。

 

「ねぇ…ウィッチを引退したら、すべきことが分からない」

 

正体不明の少年に、相談するように言う。彼が何者かは、うっすらだが、わかった気がしたから。

 

「お姉さんのしたいようにすれば良い」

 

「孝美達といたい…」

 

「それが望み?では、明日の晩に迎えに来る。それまでに身辺を整理しておいてね」

 

目の前から少年が消えた。

 

 

------

 

次の日、ひかりは起きて来なかった。誰も彼女のことを、責めようって気にならなかったので、そのままにした。

 

「うん?なんで赤飯なんだ?」

 

管野が食事を見て、そう言った。料理担当の下原定子は、管野の問いをスルーしたが、彼女の顔がうっすらと紅く染まっているように見える。彼女も闇を払ってもらったのだろうか?

 

「どう思う?あの戦闘力は?」

 

偽伯爵がみんなに問い掛けた。

 

「オレがぶっ飛ばす!そして、孝美の根性をたたき直してやる!」

 

管野が答えた。たぶん、それは無理だ。私達のユニットでは、接近できないから。そのことを誰も指摘しなかった。一番のショックはそこだったかもしれない。

 

「そうだ…この部隊とは関係はないが、501にいた宮藤芳佳が消息不明になったそうだ」

 

と、グンドュラから報告がなされた。

 

「裏情報では、彼女は唯一ネウロイの巣に侵入したらしい。これが、消息不明の原因だと思う」

 

「第3の勢力ですか…ここと手を組み情報が得られなくなったから?」

 

偽伯爵が推測を口にした。たぶん、正解だと思うけど。

 

「う~ん、手を組むべきだったかな?」

 

珍しく、グンドュラの心が揺れていた。

 

------

 

その後、自由時間を経て、グンドュラの元を訪れた私。

 

「どうした?思い詰めた顔をして」

 

私は無言で、一通の封書を彼女の前に置いた。

 

「なんだ、これは…」

 

封書の中身を見て、言葉を無くす彼女。

 

「そういうことだ。みんなに迷惑を掛けられない。老兵が去るだけだ」

 

「魔力が減っているのか?」

 

「あぁ。日々、その変化が分かるくらいにな」

 

「教官として残れないのか?」

 

「ウィッチで無い者が、ウィッチを教えるのはダメでしょ?」

 

「でも、まだ…」

 

「完全に魔力を失うまで、ここにいろと?それは無理だよ」

 

「今後はどうするんだ?」

 

「転職先は見つけてある。雇ってくれるみたいだよ」

 

「そうか…」

 

「みんなには言わないで。私がいるうちは…」

 

「それでいいのか?」

 

「現役の前で、引退理由を言わせる気?悪趣味だね」

 

「う~ん…でもな…」

 

「最後くらい、私のやりたいようにさせて。ごめんね」

 

「わかった」

 

 

---シュウ---

 

夜になり、勝手知ったる他人のなんとかって感じで、誰にも見付からずに侵入した。そして、目的の部屋に行く。

 

「どうする?」

 

部屋の主に尋ねた。布団の中から這いだしてきた部屋の主。

 

「一緒に行く…私はこの部隊でお荷物かもしれないし」

 

「わかった」

 

彼女に抱きつき、魔法陣を展開して、転移しようとした瞬間。

 

「ひかり、大丈夫…おい、ひかりをどうするつもりだ!」

 

魔法陣に一緒に入った巨乳の子。この子は誰?一緒にお城に転移をした。

 

 

------

 

「なんで、ニパさんまで?」

 

予定外の人物まで、お持ち帰りをして、本来のお持ち帰り予定者のひかりも驚いていた。

 

「この子は誰?ねぇ、パウラ」

 

「ニッカ・エドワーディン・カタヤイネン。通称はニパ。二つ名は『ついていない』カタヤイネンよ」

 

ついていない?アレがか?いや、少女なんだから、わざわざ言わないでも良いだろうに。

 

「何がついていないの?」

 

「運がついていないの。被撃墜率はダントツ1位じゃないかな?」

 

苦笑いしている巨乳でボーイッシュな少女。

 

「使い道はあるの?なければ、玩具にするけど」

 

「玩具になるかも妖しいわよ」

 

随分な言われ方をしている少女。

 

「強力な回復能力を持っているけど、彼女限定なのよ」

 

それは、使い道が無いな。

 

「で?ここはどこかな?」

 

ついていない少女がきいてきた。

 

「知らないで着いて来るって、お前、バカだろ?」

 

美緒が、ストレートな言い方をした。

 

「えぇ?坂本少佐、それはあんまりな言い方ですよ。ははは」

 

「ニパ。私はもう軍人では無い。だから少佐はヤメテくれ。美緒で良い」

 

「定子さんは、厨房に行って。芳佳さんがいるから、今夜からお願いね♪」

 

孝美が指示を出してくれている。

 

「お姉ちゃん~」

 

ひかりが孝美に抱きついた。

 

「もう、恥ずかしいわ。そういうのは部屋でしなさい、ひかり♪」

 

孝美はひかりを優しく抱きしめた。

 

「で、ニパだっけ?この子はどうする?」

 

自分限定の超回復能力持ちなら、ここから落としても大丈夫かなっと。

 

「ここから、落とすなんて、非人道的な行動はやめてくれよ、シュウ」

 

フィンに行動が読まれていた。

 

「だって、使い道ないんだろ?」

 

「うん?超回復持ちなら、多少手荒に扱っても大丈夫じゃないか?」

 

他人事だと思って、酷いことを言っている美緒。でも、それはあるなぁ。試食をするために、ニパを教育部屋に連れて行った。

 

 

------

 

「ここは?」

 

僕は、テキパキとニパの手足の自由を奪った。

 

「え~?どうするの?」

 

着ている物を『強奪』で、剥がしていく。

 

「全裸だよ~何をするんだよ~」

 

何だよ、この胸の大きさは…デカいにも程はあるだろうって位、デカい胸。着太りするタイプだと思ったのに、見たまんまだ。う~、デカ過ぎるのも萎えるなぁ。

 

感度はどうなんだ?下腹部を弄ってみる。無反応…デカい胸がベランダのように突き出し、下の階で何をやっているのかが、見えないみたいだ。攻めあぐねる。どうするよ?

 

入れてみようと思うが、胸がジャマで入らない。どうする…そうだ。彼女を四つん這いにして固定する。

 

「どうするんだよ~今度は何さぁ~」

 

後ろから差す。破った膜が破ったそばから再生していく。これ、危険だろう?あやうく、僕のアレは膜と一体化するところだったよ。初めて、エロ行為で恐怖を感じた僕。

 

「はぁ、お姉さん、使い道が無いよ!どうするの?一応、聞いておくけど、そのデカい乳房は乳が出るの?」

 

「出ないよ~身籠もっていないし~」

 

いや、ウィッチを引退するまで、身籠もることは無いと思う…悦びを感じられない、こんな不便な能力ってあるんだ…初めて何も出来ずに、僕にとっての強敵を前にして凹む。

 

みんなの居る処に戻った。

 

「ニパはどうだった?」

 

美緒がきいてきた。

 

「ダメ…惨敗です。性行為が出来ない女性に、初めて出逢いました」

 

「え?どういうことだ?」

 

実体験を報告した。

 

「ニパ…ついてないなぁ…」

 

パウラにまで言われるニパ。

 

「破って侵入したそばから再生って…どうなのよ、って感じです。追い打ちを掛けるように不感症だし。はぁ~」

 

「で、ニパ?」

 

「返品してきた…502に…」

 

 

 

---ニパ---

 

全裸でひかりの部屋に戻された。私の固有魔法には、そんな弊害があったとは…少女としてダメじゃん。ウィッチを引退するまで、異性とは付き合えないなんて…

 

服も返却されたので、着衣をして、管野の部屋へ。

 

 

 

「へ?ひかりと下原とロスマン先生が、裏切っただって?」

 

私だけ返却された理由は黙って、その他の知っていることを話した。

 

「なんで?なんで、私は連れていかれないんだ?」

 

管野が新しい切り口で、事件を語り出した。

 

「ひかりより、使い道あると思う。いや、下原よりもだ!」

 

二人で、サーシャさんこと、アレクサンドラ・イワーノヴナ・ポクルイーシキンさんの部屋を訪れた。そして、不名誉なことは隠して、彼女にも事のあらましを説明した。

 

「えっ…ロスマン先生まで…どうして…」

 

そして、事態は大きくなっていく。プンスキー伯爵こと、ヴァルトルート・クルピンスキーと、グンドュラ団長にも知らせて、緊急会議にまで発展した。

 

「そうか…パウラはそうしたのか…」

 

団長が達観したように言う。

 

「知っていたのですか?」

 

サーシャさんがきいた。

 

「うん?いや、あそこに行くとは聞いていないが、退団届けは受理した。日々、魔力が減っていくのを実感していたようだ。せめて、ウィッチのうちに、ここを去りたいってね」

 

ロスマン先生は、あそこでウィッチから一般人に戻るのか。

 

「で、ニパ。アイツらの拠点はどこにあったんだ?」

 

管野に聞かれた。どこ?

 

「どこだろうね?窓を見る暇が訪れなかったから…」

 

「はぁ?家の造り位、わかるだろう?」

 

あぁ、そういうことか…

 

「お城みたいだったよ。私だけ地下牢に入れられたから、歩き回れなかったけど。転移した先には玉座があったような…」

 

「お城?どこのだ?」

 

「わからないよ~転移魔法で連れ出されたんだよ。移動経路なんかわからないし」

 

「ニパ…お前、ついていないだけでなく、使えないな~、まったく、もう~」

 

管野が呆れている。確かに使えないよな。なんで、あんな能力なんだ?あんな能力じゃなかったら、ひかり達といられたのに…まったく…

 

「う~、転移魔法か…それがヒントだな」

 

団長が何かに気がついた。

 

「サーシャ、クルピンスキー、管野。出撃だ。目標は基地の上空だ。行けるだけ上空へ行け!」

 

「どういうことですか?」

 

サーシャさんがきいた。いや、私にも意味がわからない。

 

「転移魔法陣には、飛び先の座標を書き込む必要がある。ここの座標を彼らは着たことが無いので、知らないはずだが、転移してきた。それから分かるのは、初めの1回は、転移せずに、ここに来たということだ。ここに来る為には、海を移動するか、真上から降りるかだ」

 

団長以外の皆がはっとした。そういうことか。

 

「まだ、上空にいるはずだ。レーダーに映らないのは、真上にいるからだ。海を移動していれば、映るからな」

 

三人が、ハンガーへと飛び出していった。

 

 

 

---サーシャ---

 

滑走路から飛び立ち、基地の上空に向かう。空気が薄くなっていく。まだ、何も無い。

 

「なんだよ。バレたのか。さすがは魔女だよな」

 

って、少年の声が聞こえた。私達よりも上空に、純白で美しい翼を展開した少年がいた。

 

「ここからは、僕が相手だ。ニパにはやられたが、仕返しは、させてもらうよ」

 

え?ニパさんにやられた?そんな報告は為されていない。

 

「え?言っていないの?まぁ、彼女にとっては不名誉な理由で、勝てたからかな?」

 

不名誉な理由?なんだ?それが、彼を倒す糸口なのか?

 

「えっ…あぅ…」

 

有り得ない感覚を感じた。下着が脱がされたみたいだ。胸の収まりが良くない。他の2名も同じみたいだ。管野さんが一番同様していた。

 

「どういうことだ?」

 

クルピンスキーさんは…全裸にされた。着ていた衣服が、地上へと落ちていく。

 

「男装の麗人?それは、おいしそうだね」

 

「あぁ…ダメ…やめ…ろ~」

 

クルピンスキーさんは、恍惚な表情で落ちていった。管野さんは既に視界から消えていた。

 

「君は、どこまで耐えられるかな?」

 

目の前がまっくらになった。

 

 

 

目が覚めるとベッドに寝ていた。周囲には、パウラと美緒、孝美、ひかりがいた。

 

「大丈夫か?」

 

「ここは?」

 

「サーシャだけ、助けてくれた。後の二人は、好みで無かったようだ」

 

好み?

 

「誰のですか?」

 

「私達のボスのだよ」

 

っと、パウラが指差した先には、あの少年がいた。私の右胸を両手で抱えて、乳首を咥えるようにして、スヤスヤと寝ていた。

 

 

 

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