---シュウ---
達也兄妹とキャッスルドランに来ている。飛翔術についての最終形態を見せる為だ。
「これ何だけど…達也達的にはCADになると思う」
チームウィッチーズの装備のストライカーユニットを見せている。
「深雪、これを装着してみて」
彼女用のストライカーユニットを製作しておいた。寝ている間に、こっそりと採寸をして…
「どうして?ぴたりと身体にフィット…あっ!シュウさん、寝ている間に採寸しましたね♪」
バレた。まぁ、いいか。
「背中へ…脊髄へ魔力を集中するイメージをして、身体の気をそこへ集めるんだよ」
気の扱い方を、魔力の無い達也にと、教え始めたのだが、いつも達也と一緒にいる深雪も、必然的に学んでいた。
「で、外に飛び出して、ごらん♪」
「怖い…です…」
まぁ、高度一万メートルからのダイブは、勇気がいるよな。なので、僕は翼を展開して、先に外に飛び出し、深雪を誘う。
「大丈夫。万が一の時は、僕が助けるからね」
僕の姿を確認した深雪は、漸く外へと踏み出した。気の集め方がうまくいかない為か、落下していく深雪。僕は直ぐに、彼女の元へと行き、抱きしめた。
「大丈夫か?う~ん、じゃ、この場でホバリングしてみて」
渋々頷く深雪。僕はストライカーユニットの動作を見ながら、徐々に深雪から離れていく。
「あっ…できました…」
ホバリングは成功。
「次はゆっくりを前進をしてみて。方向転換は重心を移動すればできるからね」
一時間もすると、普通に飛べるようになった。そして、二人でハンガーへと戻る。
「確かに、これならは、継続距離は稼げますね」
達也が感想を言った。達也の作り上げた飛翔術はCADに頼る部分が大きい。空間移動術を連続的に発動しないとダメな仕組みである。僕も転移術で同様の仕組みの物を、試して見たのだが、術者にもCADにも負担は大きかった。ストライカーユニットは、術で飛ぶ訳ではなく、魔力などのエネルギーを用いるだけなので、負担は少なくなり、魔力のコントロールができれば、燃費もよくなっていく。
「そうなると魔法師でも、この方式が使えることですね」
深雪が成功したんだから、そうなるかな。
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「で、深雪の不安材料はどうなります?」
達也に言われた。どこかの家の次期当主に、強制的になるらしい深雪。そうなると、達也とはいられなくなる。政略結婚紛いで、達也以外の男と結婚をして、その家を継がないといけないから。それが深雪にとっての先行きの不安材料らしい。
「あぁ、検討はした。手は1つだ。結婚する前に、してしまえば良いってことだ♪」
「誰とですか?シュウさんはまだ小学生ですよね?深雪が、他の相手では首を縦には振りませんけど」
達也は兄だから、相手になれないしねぇ。
「どこの馬の骨か分からない者だとダメだよね?」
「まぁ…消される可能性があります…」
そうなるとだ…誰にも迷惑を掛けないで済み、尚且つそれなりの家柄…それは代羽家だな。この世界では粛正されきっているので、名乗るのは僕だけのはずだし。
「では、代羽周太郎と司波深雪で結婚の儀を執り行う。ガブ、ミカエルさんへ連絡して。ハニー、鬼門の父さんとアジュカ父さん、あと那魅とレピア、そうそう誠と一香とリーア、源氏、数馬にも連絡して」
「はい♪」
「ま…まさか…今からですか?」
達也が驚いているようだ。こんな表情も出来るようになったんだね。
「まさか…明日だよ。聖堂を浄化しないとダメだし、書類なども提出しないとダメだからね」
---深雪---
「明日ですか?」
お兄様から言い渡された。明日、私の結婚の儀が執り行われると言う。
「あ、相手はどなたですか?」
「代羽周太郎という人物だよ、深雪♪」
嬉しそうなお兄様…こんな表情が見られるとは…で、周太郎?
「もしかして…シュウさん?」
笑顔で頷くお兄様。
「お兄様は司波家に残るんですか?」
「残らない。シュウさんが言うには、代羽の者を護る者は鬼門家だと言うんだ。だから、深雪のガーディアンである僕は、鬼門家に籍を置くことになる」
鬼門ってシュウさんの本名だよな。代羽はミドルネームだったけど。
「良きに計らってくれるよ、あの方は。僕達の良き理解者だから」
そうですね。私の願い、お兄様の表情と感情を、豊かにして欲しい願いを叶えてくれているし。
---シュウ---
ミカエル、那魅、レピアと、ちょっと会議。
「じゃ、法律上は問題無いね?」
レピアに確認をする。
「無いです。この世界の法律では合法です。本人や親の許諾は要らないんです。強い家の者が名指しをして、配偶者として迎え入れても、問題になりません」
って、問題有る法律だろ?それって。人権は守られていないってことか。複合企業財体の理論もそんな感じだったし。この世界では、強い者が正義なのかな?
「代羽家に勝てる家系は、無いと思います。バックに闇雲家、兵藤家、式森家、鬼門家など、この国を代表する歴史有る家系が付いておりますから」
と、那魅。深雪を狙う家系は、歴史がそんなに古くないそうだ。まぁ、「現代魔法」の家系だし、古くは無いよな。
「次に本籍なんだけど…ミカエルさん、どうかな?」
「転生ドラゴンに成っている点が厄介ですけど…」
あぁ、天界にドラゴンは、まずいか…
「転生天使に切り替えれば良いかな?」
「それならば、問題無いです。で、兄の方を転生ドラゴンにするば、交配は可能になると思います」
そうか…じゃ、それでいくかな?僕は深雪に埋め込んだ駒の設定を変更した。
「今、転生天使に変えたよ。これで問題は無いね?」
「そうですね。兄の方は地獄、妹の方は天国が国籍になります」
とってもイレギュラーな申請。闇雲家とバチカンがいるから出来る力業である。これなら、人間では手出しは出来ない。
「後は、住民票か…」
「ここ、キャッスルドランで良いと思う。郵送物は兵藤家止めにしてもらうとか」
と、レピア。それで良いなら、それにするか。数馬へ念話で、学校への届け出を頼んだ。
「後、何だっけ?」
「儀式を取り仕切る司祭は、どうされます?」
と、ミカエル。
「それは、僕がやる。一応、聖者だからね♪その辺りの儀式は、頭に入っているよ」
「新郎本人がですか…う~ん…」
ミカエルが腕を組んで唸っている。
「新郎の代役で達也に立ってもらう。その隙に…うふふふ」
「あぁ、そういうサプライズですか」
「まぁね♪供物は貰っているし、神としての仕事もしないとダメだから、ははは」
苦笑いする僕。
---真由美---
十文字君から連絡が入った。
「四葉家の動きが活発だ。何かが起きたらしい」
と。四葉家とは、国内の魔法師集団「十師族」の中の1つで、徹底した秘密主義の元、様々な工作活動をしている、戦闘力がトップクラスである家系である。以前、ある事件をきっかに、1つの国家を崩壊に追い込んでおり、全世界の魔法師関係者の間では、「触れてはならない者達」と忌避されているほどである。
「何が起きているの?」
あの家が活発に動くと、治安などに影響が出る。破壊工作はお手も物だし。
「わからない。秘密主義だからな、あそこは」
十文字君の十文字家も、私の七草家も「十師族」の1つである。なので、「十師族」関連の情報は入るには入るのだが。
「なぁ…もしかして、司波って…四葉家の関係者では?」
「可能性は有る。達也君の能力は尋常じゃ無いし…それよりも、兵藤君が気になる。彼は何者なの?」
「アイツは…たぶん…」
何かに気づいたようだけど、言い淀む十文字君。
「もし、四葉家と兵藤が戦ったら…いや、戦わしてはいけない。この星が終わるぞ…」
星が終わる?どういうこと?
「どういうこと?」
「情報を集めてみる。じゃな!」
連絡は途切れた。私も情報網を駆使して、探ってみる。そんな中、ハンゾー君から連絡が入った。
「大変です。四葉家と思われる集団が、兵藤の家に攻撃を仕掛けています」
え?なんで?
「被害は多数出ています。周囲の家が巻き込まれているようです」
---シュウ---
有り得ない…家が攻撃された。まぁ、結界を張ってあるので、問題は無いのだが、周囲にある住宅にも攻撃を仕掛けているようだ。どこが、仕掛けて来たんだ?
「どうする、シュウ」
フィンが指示待ちしている。
「周囲の家も護ろう。敵の正体はわかるか?」
「魔法使いか?う~ん…普通の魔法使いでは無いようだな」
魔法師ってことかな?
「ガイアとシルキー、アリスに出撃をさせてくれ」
「他の者は?」
「敵の能力がわからないんだ。むやみに出せない。ラムレムも出して。たぶん、アイツらなら大丈夫だ。あと、僕とアイズ、ティオナ、ゼノヴィアで屠る。フィン達は、敵のアジトを突き止めてくれ。突き止め次第、ドラン君で砲撃を」
「了解だ♪」
僕達剣士組は、現場へ転移していく。
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「魔法には魔法だな。アジ、出撃頼む」
「了解♪」
アジは現れるなり数千個の魔法陣を発現して、的確に敵を屠っていく。
『深い追いはするな!家の周囲を護ることに専念だ!』
念話で、仲間達に指示を出していく。しかし、敵が多いなぁ…どこの集団だ。住宅街なので、広域魔法は放てないし。あぁ~、面倒だ!
『チームウィッチーズに兵藤邸に転移して、結界を強化してくれ』
フィンに指示を念話で飛ばす。
『了解!あっ…戦闘機を確認した。爆撃機のようだぞ。シュウ、注意してくれ~』
爆撃機?おいおい、住宅街だぞ。どこの軍だ?
『ゼノヴィア、アイズ、ティオナは退却。爆撃機相手じゃ、彼らが一番だから』
ネウロイ君とトライを召喚した。ネウロイ君は金属が大好きだし♪トライは、人間程度の攻撃にはビクともしないし。
「ネウロイ君は爆撃機を頼む。トライは、アジが討ち漏らしたヤツを喰っていいぞ」
「「了解♪」」
『シルキー、ガイアはドラン君に合流して休息。敵のアジトが分かり次第、殲滅に行け!』
『父ちゃん、任せて♪』
『父さん、わかりました』
『アリスは家の周囲を防御してくれ』
『はい、父様』
---真由美---
ハンゾー君から、続報が入って来た。兵藤邸を強襲した四葉家関係者と思われる集団は、殲滅されたそうだ。第二波は軍部を使った爆撃機による攻撃に切り替えたそうだが、これも殲滅されたそうだ。
兵藤君の組織って何?
「僕の組織?そんな物は無いよ」
え?いつの間にか、隣に兵藤君がいた。
「ねぇ、情報を集めているんだろ?教えてくれない?僕の家を襲った奴らは誰だ?」
あの喫茶店で感じた恐怖が、再び襲い掛かってきた。
「どうしたんだよ?教えてくれない?」
殺される…今度こそ…全裸にされて、いじり回されていくが、
「なんだよ、不感症か?それとも、恐怖に飲み込まれたのか?…まさか、エリカが仲間だとは意外だ」
え?千葉さん…何も心に思っていないのに…どうして…
「僕は、記憶が読めるんだよ。あぁ、なるほど…四葉家ってところが襲ってきたのか。情報を教えてくれて、ありがとう♪」
彼は消えて、私は全裸で無くなっていた。夢?
---エリカ---
十師族の動きが慌ただしい。千葉家にも応援要請が来て、出撃の準備をしていたのだが、
バシュ!パンパン!シュッ!
門下生達が、次々に倒されていく。敵が襲来か?私はCADを手にして、音源へと向かうと、
「エリカ、随分な歓迎だな。遊びに来ただけなのに…」
イッセーが…学校では見せた事の無い冷たい表情で、門下生達を倒していく。命までは取らないようだが、戦闘は不可能にしているようだ。
「どういうことよ?ねぇ、イッセー」
「それはこっちが訊きたい。何で僕の家を襲うんだ?おい、エリカ!」
彼が話し終わると、空気が一変していく。門下生達が、腰を抜かして床に這いつくばっていく。私は…膝が笑っている…太股が震えている…えっ?濡れてきた…
「お前、僕にどうかされたいんだったよな?命乞いでもするか?」
彼が一歩一歩近づいて来る。その度に、心拍数は上がっていく。
「来ないで…ねぇ、イッセー…来ないで…」
彼の目は一切笑っていない。学校で見せていたような表情の欠片すら無い…
「教えてくれないか?四葉家の本邸はどこにある?」
え…四葉家…じゃ、戦っている相手って、イッセーなのか…
「知らない…本当に…知らないの…」
「そうか…知らないのか…悪いけど、戦闘出来ないようにするぞ」
え?目の前が真っ暗になっていく。
---シュウ---
『ハニー!擬態系の結界を張っている場所を、走査して見つけてくれ。本州にありそうだ』
『わかりました。お待ち下さい』
しばらく待つと、見付かったと知らせが入った。
『地獄で四葉の関係者を見つけて尋問したら、あっさり白状したそうです♪』
あっ…その手があったかぁ…あんなことする集団だ。地獄行きへ決定だものな。で、見つけた場所に転移した。あぁ、擬態系の結界を発見。『結界無効』の能力で無効にして、結界内に侵入した。ここなら、使えるな。結界内にてツヴァイと融合して、広域の『ウルティマウエポン』を発動させた。
生存者を索敵する。まだ生きている者がいるようだ。あぁ、屋根に護られているのか。では『地獄の業火』を発動して、屋敷を燃やす。結界の外には影響しないので、思いっきりできるのが良い♪
うん?あぁ、シェルターがあるのか…火事でも死なないのか…では、ネウロイ君が手に入れた爆弾をプレゼント♪僕は、核爆弾の衝撃にも耐えるKIVAの鎧を装着して、プレゼントを炸裂させていく。
結界は割れていく。頭上にキノコ雲が何個も見える。バンカーバスターが含まれていたのか、土煙も凄い。こんなのを住宅街に落としたら、いかんだろうに。
さて、帰るか♪
---真由美---
摩利から連絡が入った。千葉さんが襲われたようだった。
「エリカさんは、怪我していないわ」
摩利の声の後ろでは、野戦病院のような雰囲気が感じられた。
「それで、彼は四葉の本邸の位置を掴んだの?」
「いいえ、エリカさんも知らなかったって…」
じゃ、彼はどこに行ったの?次にハンゾー君から連絡が入った。
「四葉の本邸がやられたそうです。当主は逃げ延びて無事だそうですが…」
見つけたんだ…そうだ。テレビニュースを見てみた。すると
『現代の英雄、兵藤誠氏、一香氏夫妻の家が、テロリスト集団に襲われる』
と、ニュース特番が放映されていた。そこに臨時ニュースで、
『山梨県でキノコ雲が発生…付近に非難勧告発令』
と…四葉に対して、兵藤家が報復に出たのか?
「出ていないよ」
えっ?また、隣に現れた兵藤君。彼の顔には笑顔が戻っていた。
「兵藤家は巻き込まれただけだ」
巻き込まれた?
「そう…四葉は敵を誤認したんだ。うん?四葉の当主は逃げ延びたのか」
あっ…記憶が読まれた!
「まぁ、僕達の敵が分かったからには、逃げ延びても追い込むだけだ」
追い込む…兵藤君って…
「僕?真由美好きなエロ少年かな♪」
え…おどけた笑顔で言われた。この緊迫感の無さは何?私の身体は、彼に奉仕をしようとしていない。今夜はどうしたんだ?
「明日は大事な日だから…そうか、大事な日だから、今日なのか…そうなると…あぁ…そういうことか」
明日は大事な日?だから今日?明日は何があるのだ?
「真由美には関係の無いことだよ。そうだ、帰って寝ないと…じゃ、またね♪」
今日は、あっさりと、爽やかに帰って行った兵藤君。明日は何があるんだ?
---深雪---
昨夜、四葉家が私の奪還をするために、行動に出たようだ。シュウさん達は迎撃をしたようだけど、今朝はいつもと変わりない様子だ。大丈夫だったのだろうか?
「フィア、ヴァイラ!深雪にドレスを着せて」
「了解♪」
フィアさんとヴァイラさんに連れられて、衣装部屋に向かった。衣装部屋には煌びやかなドレスから、シックな感じのドレスまで、色々有るようだった。
「う~んっと…あっ!これこれ、フィア、これよ!」
「はい、奥様♪」
私達は不思議な関係である。ヴァイラさんもフィアさんも、シュウさんの奥様なのだが、私の結婚に対して喜んでくれていた。そして、フィアさんはヴァイラさんに対して、メイドという立場を崩していない。
「うん?どうしたの?深雪ちゃん?」
私を心配そうに見つめるヴァイラさん。
「いえ…どうして…ヴァイラさん達は私なんかに、優しく接してくれるのですか?」
「あぁ、その事?それはね、みんなで決めたのよ。シュウを本気で愛してくれる者を応援しようって。シュウは寂しがり屋だから、飛ばされた先々に、愛してくれる人を傍に置きたがるのよ」
「それって、現地妻ってことですよね?」
「そうじゃないわ。結婚をした者は、彼とそれぞれの世界から、離脱をするんだから」
「それにしても…」
「彼は愛してくれた者を、粗末には扱わない。その者の願いは叶えていく。それにね、彼は単身赴任の期間が長いから…その反動もあるし♪」
「単身赴任の期間が長い?」
「そう、一番結婚歴の長い私でも、一緒に生活出来たのは、2年有るか無いかなの。もう彼にとっては、結婚後数千億年も経っているのに…」
「え?数千億年のうちの2年間ですか?」
「そう…彼の単身赴任は、文字通り、一人なの。他に誰もいない。星が出来て、知的生命体が産まれるまで、ただただ星を見守るだけ。星の観察者でガーディアンなのよ」
「ガーディアン…」
「あなたのお兄様に自分を重ね合わせたのかもね。シュウも私達を護るために、色々捨てたから…」
ヴァイラさんの顔が歪む。
「捨てた?お兄様同様に感情ですか?」
「違う…もっと根幹な事…普通の生物を辞めて、戦闘特化の生物になったの。もう、彼には生殖能力は無い。戦闘には必要無いから。ただ有るのは性欲だけよ」
そ、そんな…
「極端なことを言えば、食事もいらない、呼吸も必要無いの…戦闘のジャマでしょ?」
戦いに特化…あんなに優しいのに…
「優しいからよ。私達が苦しまないように、彼が総てを背負ってくれたの。どんな敵が来ても負けないように」
そうだけど…
「だから、彼が現地で異性と結ばれても、その異性が、末長くシュウを愛してくれるように応援しているの。私のように車椅子生活では、赴任先についていけないし…」
ヴァイラさんの表情は、とても寂しそうだった。本当は一緒に、ついていきたいのだろう。
「だから…シュウのことをお願いしますね、深雪さん♪」
ヴァイラさんが頭を下げてきた。私は戸惑う。そんな…どうすれば…
---真由美---
翌日、生徒会室に集まった私、十文字君、摩利、千葉さん。昨日、提出して受理されたという書類を見て固まっていた。昨夜のアレの原因って、これなのか…
戸籍、住民票の変更届け…司波深雪さんは代羽深雪になり、司波達也君は鬼門達也に変更されていた。戸籍はそれぞれ、天国エデンの園、地獄血の池とあった。
「これって、何かの冗談か?」
十文字君でさえ、この正式な文書に怪訝な顔付きになっていく。
「提出された原本は、神格文字で書かれていて、正式な文書と認められています。それに、天界と冥府の印が押されているそうだし…」
この印がそうなんだろう。私達ではわからないけど。
「この代羽家と鬼門家について調べれば、何かわかるとは思います」
っと、摩利。いや、一番の信じられない事は、深雪さんが婚姻をして、夫に代羽周太郎という者がなっていることだ。なんで、達也君じゃないの?
「いつ結婚したんだ?」
十文字君が疑問を口にした。そうだね。私も気づかなかった…あっ!そうなのか…今日は大事な日なんだ。それって…
「昨晩、兵藤君が、今日は大事な日だって言っていたわ。それって、今日が結婚式なんじゃない?」
「どこでやるんだ?」
千葉さんは乗り込む気があるようだ。
「会長とエリカさんは、イッセー君の家に向かって下さい。私と十文字君で、その両家について、調べてみます」
と、摩利が言った。その言葉を合図に、それぞれが行動を起こした。
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兵藤君は家にいなかった。妹さんが応対してくれたのだが、
「兄ちゃんは、城にいるよ。今日結婚式だから」
城?彼は城を持っているの?
「そのお城はどこにあるの?」
真上を指差す彼女。
「高度1万メーター付近にいると思う」
絶句する私と千葉さん。天空城なのか…
「兵藤君は何者?」
「はぁ?兄ちゃんは兄ちゃんだよ!頭弱いの?じゃあねぇ~!」
家に戻った妹さん。
「どうします?会長…」
「どうするって…天空城じゃ…」
---シュウ---
花嫁が来る前に、壇上で説明をする。
「今回、新郎である僕が司祭をするので、僕の代役を達也にやってもらいます」
「えっ?ちょっと待ってください…聞いてませんけど」
事前に言ったら断るだろ?
「司祭と新郎の二役は無理だから。ここは妹想いの達也に代役をしてもらう。いいな、達也」
ごり押しする僕。そして、花嫁入場♪ベールで視線を遮った深雪。相手がうっすらとしか見えていないはずだ。そして、儀式を始める。僕は祝詞を上げていく。そして、指輪の授与。これは僕がしないといけない。指輪を花嫁の指に、僕が嵌めた。そして、契約の儀がスタートした。
「新婦、深雪。汝は苦しき時も、貧しき時も、楽しき時も、哀しき時も総ての時に置いて、新郎を支えると誓いますか?」
「誓います」
「では、新郎、汝は苦しき時も、貧しき時も、楽しき時も、哀しき時も総ての時に置いて、新婦、深雪を支えると誓いますか?」
念話で、達也に代返を頼んだ。
「誓います」
「続いて誓いの証を」
そして、チート技、マリオネットモードで、達也をコントロールして、深雪との口づけをさせた。突然のことに驚いた達也、ベールを上げて誓いの相手が達也だったことに驚く深雪。二人とも口づけをしたまま、固まっていた。
「これをもって、結婚の儀を終わり、神シュウは二人の婚姻を認めます」
そそくさに聖堂を後にする僕。あぁ~疲れた…
「どういうことですか?」
程無くして、深雪が怒鳴り込んできた。
「どういうことって?深雪の望みだろ?表立っては、僕が旦那ってことにしておくけど」
「だって、お兄様とはダメですよ~」
「うん?交わっても大丈夫だよ。もう種族の変更も終わっている。深雪は転生天使で、達也は転生ドラゴンだ。交わっても禁忌にならない」
「シュウさん…初めからそうしようと、思っていたのですか?」
達也は深雪と違って冷静だった。
「供物をもらった願いを叶えるのが、僕の本来の仕事だから。供物として、深雪の身体を貰い、達也といずれ一緒になりたいと願いをされた。ただ、それだけだ」
「そんな…」
「でも、指輪は僕からのプレゼントだ。僕の彼女であることは間違いない」
「私は…」
「ヴァイラから聞いたんだろ?結婚しても一緒にいられるのはわずかだ。それなら、長く一緒にいられる大事な者と結ばれる方が、君にとって幸せだと思う。それが、僕が君にしてあげられる最善な事をだと思うんだ」
「そうじゃない…私の気持ちはどうなるんですか?」
深雪の気持ち?えっ?達也を愛しているんでは?
「私は…お兄様は大事です。でもシュウさんは大切なんです。私は…シュウさんの傍に、
お兄様といたいんです」
「シュウさん、妹の気持ちを受け取ってください。お願いします」
う~ん…喜ばれると思ったのに、なんで、僕が苦境に…
「シュウ様、願いを叶えるのが、シュウ様の仕事ですよね♪」
ミカエルが僕を楽しそうに追い込む…
「シュウ、逃げるの?」
ヴァイラも楽しそうに追い込んでいる。なんでよ~
「シュウさん、では、こうしたらいかがですか?毎年、結婚記念日には、達也さんと深雪さんは、結ばれる呪いを掛けるって」
フィアが提案をしてきた。まぁ、それで、確実に結ばれるのであれば…僕は達也と深雪に苦し紛れながら、呪いをかけた。
「お互いがどこにいようとも、0時の前後2時間ずつ結ばれるからな」
「うん?4時間も?長くないですか?」
フィアに言われた。
「短いくらいだ…」
「それって、シュウが基準では?」
ヴァイラにつっこまれた。あっ、そうだな。普通は違うのかな?
「呪いの取り消しは出来ない。それで頼む」
僕は逃げるように転移した。
---エリカ---
天空城の行き方…何も浮かばない。会長と答えの出ない問題にぶち当たった。
「あれ?エリカと真由美じゃん。面白い組み合わせだな」
うん?この声って…声の主を見ると、イッセーが立っていた。
「イッセー!」
「えっ?兵藤君?」
「真由美とさぁ…したくてさぁ…」
うん?会長とする?何を?
「ここじゃダメ…ここではダメ…」
そう言いながら、イッセーと抱き合う会長。
「お前…深雪さんとつきあっていたんじゃ…」
「え?真由美とだよ、なぁ、真由美」
会長は、イッセーと濃厚なキスを展開している。この二人の関係って、何だ?
「お兄様、見つけました!」
今度は深雪さんの声がした。
「ちぇっ!見付かったか…真由美、またな♪」
イッセーは姿を消した。
「イッセー君は逃げたのか」
達也が深雪よりも遅れてやって来て、イッセーのいた場所で何かをしている。
「わかったぞ、深雪、転移先が、急ごう。時間が無い」
「はい、お兄様♪」
司波兄妹は、どこかに駆けていった。鬼ごっこでもしているのか?それよりも
「会長、大丈夫ですか?」
イッセーがいなくなって、力無く倒れた会長。
「大丈夫よ…」
会長はそう言った後、彼の逆鱗に触れた、会長、十文字さん、摩利さんが受けた罰を話した。
「そんな酷いことを…あのバカ…」
「バカで悪かったな」
イッセーの声がした。私の後ろからだ。振り返ると、唇を奪われた。拒否しなくちゃと思うけど、身体が受けて入れいる。私の方から彼の首に腕を回して、積極的に舌を入れている…うん?おかしい。小学生のイッセーはもっと背が低かったはずだ。なんで、唇の位置に唇があったんだ?首に回していた腕を、彼の背中に降ろしていく。広い背中、ゴツゴツした筋肉…誰だ、こいつは…
あっ!一気に全身の力が抜けていく。これって…
「なぁ、エリカ、辱めを受けたいんだよな?」
マズい…身体に力が入らない。
「うぅぅ…うっ…いい…」
気持ち良い…ダメっ…クセになりそうだ…
「これに懲りたら、もう逆鱗に触れる真似はするなよ、十師族の者よ」
そう、言い残して、イッセーが去って行った。えっ?感じさせるだけ感じさせて、放置か…鬼か~イッセーは!