留学期間終了*
---エリカ---
翌日、学校へと行くと、イッセーは欠席だった。達也に訊いてみたのだが、疲れが溜まって、静養しているという。
「静養?静養先はどこだ?」
「う~ん、言っていいのか、わからないから、言えない」
と、教えて貰えない。
「何か、用なのか?」
と、逆に尋ねられた。う~、会いたい理由は言えない…続きをして欲しいだなんて…
「まぁ、2、3日で、復帰するんじゃないかな?」
と、結構長めの休みだな。
「彼は、小学生だから、体力が少ないのかもな」
と…いや、体力は有り余っている印象だ。それに、確認したい事もあるし…あの広めの
背中はどういうことか訊きたい。
---真由美---
放課後の生徒会室では、一昨日の件が話題になっていた。
「結局のところ、四葉家は兵藤相手に負けたってことになるのかな?」
と、ハンゾー君。
「彼は何者なんでしょうね?」
生徒会書記の中条あずさ、通称あーちゃんが呟いた。
「詮索はしない方が良いと思う」
彼女の呟きに、十文字君が口を挟んできてた。彼は、何かを掴んだのだろう。
「こんにちわ」
達也君と深雪さんがやってきた。
「深雪さん、結婚ってどういうことですか?」
いきなり、ハンゾー君が彼女に詰め寄った。
「え?なんで、それを…」
戸惑う深雪さん。
「え~、深雪さん…結婚されたんですか?」
と、あーちゃんが続いた。
「まぁ…」
言葉を濁す彼女。
「で、代羽周太郎って、どこで知り合ったの?」
摩利が核心を突く。
「皆さんは、学校へ提出した書類を見たんですね?個人情報を盗み見るのは、どうかと思います」
と、達也君は深雪さんを庇うように、彼女の前に立った。
「君にも訊きたい。鬼門家って何だ?どこで養子縁組したんだい?」
ハンゾー君が食い下がる。ダメ…彼が来ちゃう…最悪な事態である、私の予想は的中してしまう。
「ここの生徒会は詮索好きが多いのか?」
彼の声がして、空気の質が一変していく。十文字君の顔色が悪くなっていく。
「達也、深雪、大丈夫か?どいつが虐めたんだ?」
達也君達の前に、現れた彼。
「十文字…懲りてないのか?お前は、学習能力が無いのか?」
「おい、先輩に向かって、口の利き方を知らないのか?」
ハンゾー君が、彼にからむ。
「あぁ、お前か…今日の僕は疲れているから、魔力のコントロールは出来ない。殺したらごめんな♪」
彼が指を鳴らすと、ハンゾー君の全身から煙が上がり、ハンゾー君はその場に倒れた。摩利が駆け寄り、容体を診る。
「酷い…ここまですることは無いでしょ?」
「摩利、口の利き方を躾けないとダメか?」
彼の一言で摩利の表情が崩れていく。
「あっ…ごめんなさい…許してください…何でもしますから…」
摩利は生徒会室だというのに、彼に対して口で奉仕をし始めた。それを見て、驚くあーちゃん。
「ど、どうして…そんなことを…」
十文字君は、彼に何も言わない。いや、言えないんだ。
「ねぇ、なんで摩利さんを誰も止めないんですか?」
あーちゃんが十文字君に縋る。それが引き金となったのか、
「兵藤…ここでは止めてくれないか」
十文字君がやっと重い口を開いた。
「ソレは摩利に言ってくれ。僕は何も命令していない」
そう、彼の言い分は正しい。摩利が躾を恐れて、自発的に奉仕を始めたのだから。
「摩利…この後どうするつもりだ?」
彼の一言ではっとする摩利。デカくするだけデカくして、お終いでは、彼は納得しないと思う。が、既に…
「はぁ~、ここではこれ以上無理だな。摩利を借りるぞ!責任を取らせる」
彼と摩利は、どこかに転移していった。
「どうして、彼に何も注意しないんですか?」
私に詰め寄った来たあーちゃん。
「できないの…私も十文字君も…彼の怖さを知ってしまったから」
詳しい理由は言えないけど、まぁ理由らしい理由を伝えた。
「達也さんは、どうして止めてくれなかったんですか?」
私ではダメだったと理解したのか、矛先を達也君に向けた。
「止める?僕達を助けに来てくれたのに?それに、彼は僕達にとっての恩人だ。彼のしたいことを止めることはしないよ」
「失礼します」
ドアのノック音がして、誰かか入って来た。千葉さんだ。
「どうしたの?みんな暗い顔で?あれ?摩利さんは?」
摩利を探す為に、部屋を見回す千葉さん。
「兵藤さんに攫われました。助けてください」
あーちゃんが千葉さんに助けを求めた。
「はぁ?イッセーが?あいつ、今日は欠席だろうに…おい、達也、どういうことだ?」
困った顔の達也君。
「何だよ…今度はエリカか…」
恍惚な表情を浮かべた摩利を抱えて、彼が戻って来た。
「おい、摩利さんに何をしたんだ?」
「何もしていない。したのは摩利だ。いい加減、達也と深雪を虐めるなよ!だいぶ、抜けたけど、まだ残っている感じもするし、お前も躾けるか?」
空気の質が再び一変した。まずい、あの恐怖が襲い掛かってきた。
「おい、何を…したんだ?」
「何もまだしていないよ、エリカ…お楽しみはこれから…」
「ダメ…止めてください」
深雪さんが彼に強く抱きついた。その瞬間、空気が普通になっていく。
「わかった…深雪…僕は帰るよ…」
彼は深雪さんと距離を取り、転移していった。
---エリカ---
「何で?エリカがいるんだ?あれ、その子はエリカの子供?」
子供?彼の指差した先には、あずささんがいた。
「違うって!先輩の中条あずささんよ!」
「そうなのか…って、なんで、ここにいるの?」
「転移陣に入ったから…」
「あぁ、そうか…改良しないとダメだな」
「で、ここはどこ?」
血の臭いがプンプンする、見たことの無い風景だった。そこら中に鬼が闊歩している。
「ここ?地獄だよ。疲れたから湯治にし来た♪」
「千葉さん、怖いです~」
いや、あずささん、私も怖いんですけど…何やら山が見えたが、近づくと死体の山だったり、拷問を受けている人が多数いたり…
「うっ!坊ちゃま…何をしに…」
怖そうな鬼が、イッセーに話しかけた。
「湯治♪友達が着いてきたけど…」
「湯治?坊ちゃまは出入り禁止でしょ?」
「そうだっけ?あれ?あぁ…前回、閻魔の膝枕で爆睡したからだっけ?」
「そうです。なので、お帰りください。四葉の情報は必ず上げますから。今日の処は…ねぇ、お願いします」
どう見ても怖い鬼が、イッセーに泣いて縋っている。どういう関係なんだ?
「わかったよ。今日の処は帰る。出入り禁止を早く解いてね♪」
私達は別の場所に転移した。
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今度の場所は、湖があり、草原が広がった場所だった。
「二人に注意事項だ。あの樹になっている果実は絶対に食べるなよ。食べれば、人間でなくなるからな」
って…ここはどこだよ。
「ここはどこですか?」
あずささんが訊いた。
「ここはエデンの園。血の池地獄で湯治して、ここで昼寝をするのが好きなんだよ♪」
人間がするバカンスの過ごし方では無い。コイツは何者なんだ?
「あぁ…エリカ、やろうか?」
やる?何を…あっ…耳タブが熱い…
「ここでか?ここって、神聖な場所だろ?」
「やることは否定しないんだね♪」
あっ、そうだな…しまった…
「あずさ先輩もいるし3Pってことで♪」
「3Pって?何?」
あずささんが私に質問をしてきた。え~っと…どう答えていいのかな?
「シュウ様。ここはラブホでは無いんですよ。まったく、もう♪」
大柄な男の人が現れた。頭上には輪っかが浮かんでいる。
「ミカエルか…ここ数日の疲れを取りたいんだけど、地獄は出禁だから…」
ミカエル?大天使じゃないの??そんな神聖な方と対等に話しているイッセー。
「ここも出禁ですよ。ふふふ」
不敵な笑みを浮かべるミカエルさん。
「あれ?そうだったっけ…あぁ、転生予備軍の件かぁ~」
「思い出されたようですね。ですので、ここでのんびりする分には、構いませんけど、ラブホ代わりは禁止です♪」
そして、私達は再び転移した。
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一体、コイツは何しているんだ?その後も、数カ所に転移したのだが、出入り禁止のオンパレードだった。
そして、お城のような場所に転移した。
「結局、ここしか無いか…」
凹んでいるようなイッセー。
「ここは?出入り禁止で無いのか?」
「ここは、大丈夫。僕の城だから」
うん?イッセーの城…天空城か?近くにあった窓から外を見ると、眼下には雲海が広がっていた。
「そ、そ、空の上…」
私に続けと、窓の外を見たあずささんが驚いている。
「ここなら、躾部屋もあるし。エリカを躾けるか?」
急に、目の前がブラックアウトした。
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全身が痙攣している。口元から流れ落ちる唾液…引いては押し寄せる快楽の高波。既に、プライドが沖の方へと流されている。もう、快楽だけを求めるメス犬になってしまった私。隣から、あずささんの卑猥な言葉が聞こえてくる。彼女も私同様に、調教されてしまった。
「あずさが、果てた。じゃ、エリカの番だ。どうされたいんだ?」
「もみくちゃにしてください…」
彼は私のリクエスト通り、私の胸、お尻、秘部をもみくちゃにしていく。私の中の源泉では温泉が湧き続けている。足下はお湯塗れだ。
「あぁぁ~」
乳首が押し込まれた状態で、グリグリされている。気持ちいい…
「あぁぁぁ~んん」
お尻の穴が攻略されていく。
「はふぅ~うぅん」
口の中は彼の液で一杯だ。飲んでも飲んでも放出されている。
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縛られて、蓑虫のようにぶら下がっている。それもお城の外に…下を見下ろすと、雲が流れているのが見える。彼が何かのロープを引くと、有り得ない刺激が与えられた。
「いいです…もっと…ください…」
私にあきたのか、私の目の前であずささんと、プレイしている。時折り、彼が何かのヒモを引っ張ると、私の部位のどこかに何らかの刺激が…ダメだ…完全に虜だよ…
----真由美---
しばらくすると、彼とあーちゃん、千葉さんが戻って来た。彼は憑き物が落ちたような表情で、二人は恍惚な表情をして、余韻を愉しんでいるようだった。
「溜まっている物が抜けた。これで、明日から学業に復帰だ♪」
「何をしたの?」
「彼女達が望んだことだ。今回は、拷問方法を考える愉しみは無かったけど、疲れは取れたから、良しとします」
彼にとっては、性欲イコール疲れなのか?
「君は何者なの?」
「真由美も望みがあるのかな?」
えっ?意識が薄くなっていく…
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気が付くと、何かの台に固定されていた。台は冷たくて、気持ちが良い。足は開脚気味に開かれている。見られている感覚が有り、妙に興奮していたりする。
脇の下に何かがある。微妙に振動していて、胸が…乳首が立っていく。立った乳首に何かが、微妙なタッチで触れ、ソレも微妙な振動を与え始めた。
「あぁ…あぁぁぁ…いい…あっ…あはぁん…くゎぁぁぁ…いい…です」
舌は上に引っ張られていて、唾液を飲み込めず、口の中に溜まったそれは、口から溢れていく。固定された舌先にも何かが当たり、刺激を与えている。
「あっ!」
クリトリスに何かが刺さった。一瞬の痛みだけで済んだけど、何をするんだ?
「この鍼に、雷撃を与えるとどうなるかな?興味無い?」
彼の声が耳元でした。まさか、クリトリスに雷撃?ちょっと待って~
バ~ン…シュッ!
全身を走り抜けていく雷撃。濡れている箇所はより感電したようだ。だけど、源泉からは次々に湧き出していく。胸の谷間に何かが押し付けられた。それによって、つぶれる乳房。
「気持ち良いなぁ。真由美の乳房は…」
彼の顔のようだ。横にはみ出た乳房は、彼の手によって、捏ねられていく。気持ちが良い…彼に虐められるのって、こんなに良いものだったのか…
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気が付くと、私と千葉さん、あーちゃん、摩利は、学校の医務室のベッドにいた。
カーテンの向こうから、カウンセラーの小野 遥先生の喘ぎ声が聞こえてきた。
「スパイなんだ…なら、もっと遊んでも大丈夫だよね?」
「ダメっ…壊れちゃう…止めて…」
「まさか、先生サイドにも、探っている者がいたとは、この学校はスパイ養成所か?」
「ダメダメ…もう…許して~…あぁ~無理…あぅ…いい…でも、ダメだって…あっ!」
果てたようだ。先生の荒い呼吸音しか聞こえなくなった。そして、彼の気配も消えていった。
---シュウ---
達也のバイト先に、深雪と三人で向かう。フォア・リーブス・テクノロジー、通称FLTだ。そこは四葉資本の魔法工学機器メーカーだそうで、謎の天才魔工師「トーラス・シルバー」が開発したシルバー・モデルって言うCADによって飛躍した企業だそうだ。で、四葉から逃げる為、このバイト先を辞める方向の達也だった。
達也の属するCAD開発第三課は、元々厄介払い部署だったのだが、シルバー・モデルのヒットにより高い発言力を持ったそうだ。
「御曹司、いらっしゃいませ」
達也は、御曹司と呼ばれているそうだ。
「彼が牛山さん、トーラス・シルバーの片割れです」
と、研究主任の牛山 欣治を紹介された。
「で、御曹司、話とは?」
「ここを辞めようと思っているんだ。FLと縁を切るためにもね」
「どこに行かれるんですか?」
「彼の持っている企業の傘下に、新しいCADメーカーを立ち上げてもらうことになる」
「えっ?小学生…だよね?どうみても君は…」
「はい♪小学4年生です♪」
「御曹司…何の冗談ですか?」
牛山の顔が引きつっている。
「彼は小学生でも、複数の複合企業財体のオーナーだよ」
「まさか…以前起きたリーゼルタニアの…」
覚えている人っているんだ。あんな小国なのに…
「そう…僕のチームだよ。で、現在、主な経済的な後ろ盾は、マーベリック財団と、九鬼財閥が付いている」
「君は一体…」
「ここの人材をまるまる雇用したい。転職してくれないかな?設備は1から作る。工場と研究所もだ。前途多難かもしれないけど、どうかな?」
「1から作るって…莫大な金額になると思うんだけど」
「どの位かな?僕の貯金で賄える位なら、いいけど」
「小学生の貯金では無理です!」
「この世界にある金の埋蔵量の5倍くらいの金を持っているけど…」
「ど、どう、どうして?」
まぁ、驚くよな。
「他の星々から、掘り出してきたんだけど」
他の世界からって言うのは、この世界では、有り無いことなので、スケールダウンさせた。
「星間移動できるのか?」
「まぁ、そういう能力持ちって思ってください」
「御曹司…凄い人を掘り当てたな…」
達也は笑顔で、牛山さんに応えた。
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「会社名はディープスノーにしようと思うんだけど」
達也、牛山さんと、ファルコンのお店で会議。会社名を提案した僕。
「深雪ですか…」
「達也にとって大事だろ?」
「僕はそれで良いです。牛山さんは?」
「御曹司が良いなら、それで良いよ」
「場所は、どうするかな?駒王町で良ければ、土地を譲渡してくれると思うけど」
「シュウさん、充てがあるんですか?」
「サーゼクスとアザゼルに言えば、うちと同じ位の広さなら譲渡可能みたいだ」
「サーゼクスって魔王様で、アザゼルって堕天使の総督じゃないですか…どんだけ、顔が広いんですか?シュウさんって…」
牛山さんには、シュウ・ヨハネ・鬼門って名を名乗っている。この方が、交渉事がスムーズに行く場合があるから。ここを利用する場合も一誠よりも効果有るし。
「そうだ。この前の四葉の襲撃で、隣の区画が空いて、サーゼクスが押さえてくれている。どうかな?」
「隣かぁ…良いんじゃないですか?」
「御曹司とシュウさんの家の隣かぁ…襲われそうですね」
牛山さんが苦笑いした。まぁ、結界防御を強化すれば、難は無いと思うけど。
「そうそう、一応、新会社の建物の設計図を書いてきたけど、どうかな?」
牛山さんと達也に見せた。僕とスカさんとハニーとで作成した設計図。機能面的には問題は無いはずだけど、好みの問題があるからね。
「凄い…いいじゃないですか…シュウさん、設計もできるんですかぁ」
感心している牛山さん。
「まぁ、機会があれば、僕のチームの研究部門へお連れしますよ」
転移術を使っても、数カ所を経由しないと行けない距離だけどね。
「是非、お連れください」
興味津々な牛山さん。
「僕も興味があります。将来、働くかもしれませんから」
って、達也。
『場所は極点だそ』
って、念話を達也に飛ばす。えっ!って表情の達也。ここ、第13宇宙の中心にある僕のベース基地。そこにスカさんを中心にした研究チームのステーションがあるのだ。
「そうそう、報告ですが、皆円満退社しています。ですから、全員雇用をお願いしますね」
牛山さんから、報告がなされた。詳しく聞くと、新たに参入メーカーが作れる訳無いと、FLTは踏んだようで、元々の厄介払い部署全員の退職は願ったり叶ったりのようだ。これまでに発売したシルバー・モデルの販売権は置いて行くことを条件にね。
「まぁ、新たなシリーズを生み出せば良い訳だし。まぁ、達也、がんばれよ♪」
「え?シュウさんもですよ。ディープスノーのCEOなんですからね」
そういう役職は向かないと思うんだけど、達也と深雪に説得された僕。
「第一弾はアレですね」
アレとはストライカーユニットの量販モデル化だ。戦闘を想定しないので、ジェット式では無く、ドローンを4基付けたモデルになる。設計図はスカさんから上がってきている。テストも順調だし。
「ただ、魔法師だとキツいかもな。CADに頼っている輩は、使えないと思うんだよ」
魔法師よりも、魔法使いの方に適応かなっと。魔法使いの箒の代用品にって。
「まぁ、発売して、動向を見てみましょう。ねっ、牛山さん♪」
達也は満面の笑みを、牛山さんに向けた。
---あずさ--
FLTのシルバー・モデルの新作はもう出ないらしい。あのトーラス・シルバーが退社したらしいのだ。
「達也さん、なんでトーラス・シルバーさんは退社したんですかね?」
CADヲタの同志と思っている達也さんに、意見を求めた。
「わからないよ。本人に訊いてみたら?」
って、もっともなお返事を頂いた。しかし、トーラス・シルバーという人物は謎の多い人物で、公で現れたことが一度も無いので、どんな人物かも分からないのだった。
数日後、新たなCADメーカーが旗揚げされた。社名はディープスノー…これって、深雪さんだよな…何で?
深雪さんに訊いてみた。すると意外な返事が戻って来た。
「あぁ、私の旦那様がCEOなんです。で、私の名前も社名に…恥ずかしいです」
顔を赤らめて俯く深雪さん。深雪さんの旦那様って、代羽周太郎だったよな。検索してみると、まさにその人物がディープスノーのCEOだった。
「じゃ、達也さんも関わっているんですか?」
「まぁ…ね」
つれないお返事。何かあるのか?
---真由美---
あーちゃんから情報がもたらされた。あの代羽周太郎がディープスノーという会社のCEOに就任したそうだった。
あの後も、調べたのだけど、代羽家について、何もわからなかった。鬼門家もだ。ただ、わかるのは後発のCADメーカーとはいえ、研究施設など膨大な資産が無いと、設立は無理なのだ。代羽家は資金問題をクリア出来たってことになる。
資産のある家系を調べる。う~ん、無いなぁ。後ろ盾があるのか?ディープスノー社について調べてみるが、分からない。
「おい、また調べているのか?」
彼の声がした。
「気になるからね」
「なんで気になるんだ?」
「…」
答えられない。気になるから…それだけでは、ダメなのかな?
「真由美…そろそろお別れだ。留学期間を終えようと思う。いらんことを検索されるくらいなら、留学はネックになるから」
お別れ?何故か涙が湧き出てきた。止まる気配は無い。
「僕がいなくなるので、嬉し泣きか。じゃな♪」
彼は転移していった。それだけの事なのに、私は号泣していた。
---エリカ---
「えっ?留学を終える?どうしてだ?」
イッセーがいきなり話を切り出した。
「もう、学ぶことは無いかなって。深雪と達也がいるから、留学しなくても、二人から学べばいいしね」
二人から学ぶ?おい、それって…
「深雪さんと達也もいなくなるのか?」
「うん。駒王学園の高等部に編入するって。もう手続きに入っているけど、問題無く編入できるよ」
「なんで?あそこは私学だったよな?」
イッセーのことが気になり、駒王学園について調べたのだ。駒王町にある私学の学校。幼稚舎から大学、大学院まである一環校である。私学だ。それなりにお金もかかるはず。
「問題無い。深雪の旦那は、顔が利く♪」
代羽周太郎か…
「僕がいなくなり、エリカも気が楽になるだろ?まぁ、元気でな」
イッセーは転移していった。頭の中が空っぽになっていく。寂しさに押しつぶされそうになる。なんでだ?あんな奴、いなくてもいいのに…
---シュウ---
留学期間を終了して、小学生に戻った僕。終了した理由の一番は、睡眠時間の確保なのは内緒だ。留学するということは、昼間に一誠にスイッチ出来ないってことだ。僕の睡眠時間は飛躍的に減っていった。そして、二番目は数馬がやらかしたんだけど、魔法師の勉強をしても、僕の役に何も立たないってことだ。CADありきの現代魔法。僕の使うのは古代魔法なので、水と油なのだ。そして、三番目、あれこれ、調べられることに嫌気が差したから。
達也と深雪は無事に駒王学園高等部に編入でき、帰宅部に入った彼らは、ディープスノー社に入り浸り、新製品の開発に関わっている。
そして、平穏な日々に戻れたはずの僕だったが…
一誠から僕にスイッチした。
「うん?リーラ、敵襲か?」
「違います。シュウにお客さんよ」
リーラの声がいつもと違う。なんかトゲがあると言うか…
「誰?」
「どこかでナンパした女性4名です!」
ナンパ?
「覚えがないけど…」
「お会いになって、思い出したらどうですか?まったく、留学で何をしていたの?」
リーラが怒っている。珍しいことだ。今まで嫉妬なんかしていないのに…なんで?
「なんで?そんな…」
「はぁ~、戦闘要員をナンパするなら問題は無いです。非戦闘員をナンパって…溜まっているなら、私に言えば良いでしょ?」
そっち系の怒り?
「だって、リーラにエスプレイできないじゃん」
「あぁ、そっち要員かぁ。それなら納得です。で、エム奴隷4名がいらしていますよ♪」
リーラの機嫌が治ったようだ。4人?誰だ?玄関に向かうと、真由美、摩利、エリカ、あずさがいた。なんで?
「何しに来たのさ?僕なんか嫌いだろ?まさか、反撃に来たのか?」
「違います。単純に会いたいから来ました」
真由美が代表して答えた。
「なんで?会いたい?あんな目に遭ったのに?小学生に調教されるのがいいのか?」
「悪いか?」
エリカが答えた。え?そうなのか…こいつら好きモンすぎるだろ…
「とにかく…お前がいなくなって、心に隙間が出来たというか…涙が自然に出るようになったんだ。イッセー、責任を取れよ!」
また、無茶だな、エリカは。
「じゃ、会ったから、いいだろ?」
「何を言っているんだ?責任を取って…あのね…なんていうか…彼女にして…ほしい」
エリカが顔を真っ赤にして、照れたように言う。おい、どうしたんだよ…僕には『魅了』は無いはずだぞ。
「で、私たちも駒王学園に編入することにしたの」
って、真由美。え?何を言っているんだ?立ち話で終わらない予感。仕方ないが、自分の部屋に通した。で、
「お前達は魔法師だろ?駒王学園にはそういうジョブはいないぞ」
「ちなみにイッセー君のジョブは何?」
「僕は魔導戦士だけど…」
「えっ?魔法剣士じゃないの?」
って、エリカ。
「違うよ」
いや、ジョブの話は関係無い。
「どうして編入なんだ?僕は小学生だよ?真由美達は高校生なんだよ」
「じゃ、達也君、深雪さんはどうして、君に着いていったの?」
「…」
痛いところを付いてくる。答えられない僕。正体がバレちゃうから。
「答えられないんだ♪」
勝ち誇ったような真由美。う~ん、くやしけど、負けを認めよう。
「あと、なんで、隣にディープスノー社があるんですか?」
あずさからの質問。
「そんなの、その会社に訊いてよ。僕にはわからないよ~」
「疑問に思ったのは、あのお城よ」
って、真由美。
「あのお城について調べたの。空を飛べるお城…そんな物は、この世界には無かった。古い伝承も調べたけどね」
うん?何が言いたいんだ?
「で、閃いたの。代羽周太郎は、この世界の者では無いってね」
それは、いい勘だ…なんか、追い込まれ感がしてきた。
「そう考えると、兵藤一誠君、君は誰?その答えは、この世界の者では無いってことでしょ?」
半分正解だ。
「十文字君から聞いたの。あの喫茶店で、いつもと呼び方の違うあなたに対して、達也君、深雪さんが不審に思っていなかったって」
あぁ、一誠かぁ…あいつ、お兄ちゃん、お姉ちゃん呼びしていたな。
「兵藤一誠という身体に、人格が複数有るんではないかと、そんな風に思えたのよ。違う?代羽周太郎さん!」
「シュウ!もう、隠さないで、話してしまいなさい。もう、苦しまないで…お願いだから…」
扉を開けて、ヴァイラが入って来た。ヴァイラの言葉で観念した僕…彼女の出現と、彼女の言葉に驚いた、4名の魔法師達。
「そう、僕がシュウ・ヨハネ・鬼門だ。よくもまぁ、辿り着いたな。そして、彼女は僕の妻のシーグヴァイラ・アガレス・鬼門だ」
僕が結婚したことに、更に驚く魔法師達。僕は、僕の事を彼女達に話した。
「想像をしのぐ展開です…まさか…あの黙示録の作者の子孫とは…」
色々な文献を調べ抜いた真由美が受けた衝撃は、一番大きかったようだ。
「まぁ、そんな訳で、この世界ではヨハネの子孫は粛正されきっている。だから、調べても出て来ない。教会の粛正対象だ。表の歴史には出て来ないからね」
「粛正対象…なぁ、粛正したヤツラを恨んでいるのか?」
「エリカ、それは無い。だって、この世界の者が、僕に対してした訳では無いし。それに、僕の世界において、僕は天界を殲滅させたし」
「天界を殲滅…」
これには4人共多大な衝撃を受けたようだ。
「そうだよ。僕は天界を1つ殲滅させている。更に言えば、宇宙自体も1つ消滅させている」
「宇宙もか…」
「そうだよ、エリカ。そのくらいの権限は持っている。と、言いたいけど、ペナは付いたな、ははは」
たぶん、神の中で、一番ペナルティーを受けているのは僕だろうな。
「まぁ、その程度の能力だよ」
「その程度…って…じゃ、私なんかを消すことなんか、訳無いんだね」
エリカは寂しそうに言った。その寂しさが僕に伝染してきた。心が痛い…まずい、暴発しそうだ。まだ、心は強化されきっていない僕。きっかけ次第で、心の暴走は始まってしまう。
「まぁ、能力的にはね。心情的にはつらいけど…ごめん、限界だ。ヴァイラ、後は頼む!」
僕は一人になりに、宇宙空間の奥深くに転移した。
---真由美---
「彼はどこに?」
「心が繊細で、耐久力がまだ無いの。だから…誰かの想いを受け止めきれなくなると、暴走しちゃうのよ…それでねぇ、ここで暴走すると、この星は無くなる。だから、まだ星の無い宇宙の奥深くに行って、発散しないとダメなの…あの人が、皆さんにした行為…ごめんなさい…彼を追い込んだのは私なんです。だから、怒りを彼で無くて、私にぶつけてください」
彼の妻だというヴァイラさんが、私達に頭を下げてきた。怒りなんか、誰も持っていない。ただ彼が目の前から、いなくなったことの喪失感だけで、行動しているのだった。