※この作品はR-18です。

神器なき男2   作:もっち~!

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接触

---シュウ---

 

瑚太朗と作戦を練る。

 

「2年時に僕とちはやが転入する。瑚太朗と小鳥は1年時から通ってくれ」

 

ちはやは、鳳 ちはやという少女で、前の歴史では、瑚太朗側に寝返ったガイアの魔物使いである。小さい頃、生まれ育った村がガーディアンの襲撃に遭った。僕が救出に向かった時には、既に彼女の両親は死亡していた。生きていた彼女を含めた子供達は、刀華の元へ転移させ助けられたけど…

 

「天使様、そんな顔しないでください。私達を救ってくれたじゃないですか。両親は間に合わなかったけど…でも、恨んでません。私達はこうして生き延びたのですから」

 

ちはやが、昔の悔しさを悔やんでいた僕を、慰めてくれた。

 

「今回の任務に抜擢してくださり、ありがとうございます。誠心誠意がんばります」

 

ちはやは、一般人と違い、怪力持ちの上、身体が頑丈であった。常人離れって言葉が似合う。その風貌からはわからない。見た目は、ドジっ子で、天然キャラでお人好しなんだけどね。

 

そうそう、小鳥の両親だけど、前の歴史では事故死後に、小鳥の能力で魔物として蘇生させていたそうだが、今回は僕の能力で完全蘇生させている。将来、瑚太朗、篝と共に三位一体の神になることを条件にして。

 

今回の作戦では、救った命は作戦に関わらせたくなかったのだけど、ヤスミンを筆頭に、僕一人で背負わないでくれって…手伝いたいと申し出てきた。僕は難色を示していたのだが、深雪、アスナに促されて、了承した。危ないことはしないことを条件に。なので、ちはやは異例の抜擢であった。

 

「朱音先輩はどうしますか?」

 

瑚太朗が訊いてきた。千里 朱音…僕達の通う風祭学院のオカルト研究会の会長にして、ガイアの次期聖女であり、ターゲットの加島桜の養女である。

 

「僕達が合流するまで触るな。瑚太朗と小鳥は前の歴史通りに動いてくれ」

 

問題はガーディアンだな。あいつらに、僕は『戦場の悪魔』と呼ばれている。それだけ大量のガーディアン達を屠ってきた。きっと、僕の顔を知るメンバーも、この街に入ってきているだろうな。

 

「ガーディアン達に対しても、前の歴史を踏襲してくれ」

 

頷く瑚太朗と小鳥。

 

 

 

---西九条 灯花---

 

新年度から風祭学院へ、教師として赴任することが決まった。ガイアの一員である私は、潜入工作員という感じになるんだろうな。私の他に、生徒として潜入するメンバーもいる。

 

「他に報告はあるかな?」

 

私達を見回すようにして、今回のプロジェクトのリーダーの江坂さんが言った。

 

「気になる情報があるんですが…」

 

屋台ラーメン屋の主人として潜入しているゲンさんが声を上げた。

 

「どうした?」

 

「『戦場の悪魔』に似た人物を見かけた者がいるんですが…」

 

「なんだとぉ~!アイツ、生きていたのか…なぜ、この街に…」

 

江坂さんの顔から血の気が引いている。『戦場の悪魔』とは、魔物使い狩りをしていた仲間達を惨殺していったという殺人鬼だそうだ。その強さは半端で無いそうで、戦略核を喰らっても生き延びたらしい。

 

「それは、懸念事項だな。俺達全員で攻撃しても勝てるかどうか…まぁ、確認をしてくれ。見つけ次第、消す。いいな」

 

この街は血に塗れるのだろうか。私としは、子供達が幸せに生きられる世界が、作れるように、がんばるだけだけど。

 

 

自分の部屋に戻り、まったりとしている。風呂上がりにビール片手で。しかし、一瞬空気が揺らめいた気がした。その直後、身体が動かなくなっていた。

 

「すまないな。風呂上がりのリラックスタイムにお邪魔して♪」

 

目の前に知らない男性が現れて、私の身体を舐める様に見ている。ただそれだけ、身体の奥深くで、温泉が湧き出しているような感覚になる。頭が悶悶とする。なんの術をかけたんだ?

 

「へ?ただ、身体の動きを停止しただけだよ。他に悪戯はしていないよ。溜まりすぎでしょ♪」

 

溜まり過ぎ…う~ん、耳が熱くなっていく。そうかもしれないけど、身も知らずの男性に言われたくない。

 

「まぁ、それはあっちに置いて…君達、ガーディアンは何をしたいんだ?」

 

何をって…鍵とガイア主義者と魔物使いを狩り、人類の存続を…

 

「ガイアとの違いがわからない。アイツらも最終的には、人類を救済する為に、鍵を殺すんだぞ。理解の薄い僕に、違いを教えてくれないか?」

 

違い?敵対組織だから…

 

「はぁ?源流は同じで、結末が同じなのに?なぜ敵対をするんだ?意味がわからない」

 

同じ?

 

「なんだ、習っていないのか?始祖は同じだぞ。都合の悪いことは教えないんだな。そんなことを教えたら、疑問に持つ者が生じるから」

 

そんな…

 

「次に、人類を救済する為、そんな大義の下で、お前らは何をしていたかを知っているか?」

 

本能が聞きたく無いと言っている。やめてぇぇぇぇ~

 

「たまたま、魔物使いの能力を持ってしまった子供達を狩っていたんだぞ。たまたま、魔物使いの子供達といた為に、なんの能力も持たない子供達も狩られ、たまたま魔物使い能力を持つ子供の親になっただけなの、村ごと焼き払われたんだ。お前は、どう思うんだ?」

 

どう思うって…魔物使いは狩る標的だから…

 

「自分の意志で持った訳でないのに?なんで、殺されなきゃいけないのかすら分からずに、いきなり機銃掃射で狩られたんだぞ」

 

彼の目には涙が溢れていた。悔しかったんだろう…目の前で罪無き子供を殺されて、『戦場の悪魔』になったのだろうか。

 

「おい、どうなんだ?ガーディアンは人類を護るんじゃないのか?」

 

答えられない…言えるのは、魔物使いは人類に含まれない…

 

「僕から言わせれば、お前ら超人も人類に含まれない。そうは思わないか?」

 

うっ…涙があふれ出す。そうだと思う…から…

 

「お前だけは、まっとうに生きろ。審判の日までガーディアンに残り、生き延びろ。生き延びることが、お前の使命だ。子供達の未来を守ってくれ」

 

また、空気が揺らめくと、彼は消えていた。身体も動くようになる。時間は…経過していなかった、夢?周囲を見回すとテーブルの上に写真の束が置いてあった。子供達が銃殺されている写真、村が焼き払われる写真、燃える村の中で火だるまになった人々がいる写真など…最後にメモが入っていた。

 

『何を護るべきかを、よく考えて行動して、生き延びてくれ』

 

と、書かれていた。彼は夢では無かったようだ。

 

-------

 

翌日、あの写真を江坂さんに見せた。

 

「うん?あの作戦に参加したメンバーが撮ったのか。う~む、記録として悪く無いな。誰にもらったのだ?」

 

それは答えられない。でも彼の言ったことは真実だと確信は持てた。

 

「なんで、村ごと焼き払ったんですか?」

 

「魔物使いの子供の親だぞ。また産む可能性がある。こういうのは、根本から消すのが一番だ。後腐れも無いしな」

 

「能力を持っていない子供もですか?」

 

「判別する方法は無い。村ごと消すのが一番効率が良いんだ。安っぽい正義感は捨てろ。我々は尊い大義の下で活動しているんだからな」

 

写真を持って立ち去る江坂さん。

 

 

 

---此花 ルチア----

 

孤児院…一人で佇む。懺悔の意味も込めて。私の手から毒が発生する。一緒に過ごしていた先生や仲間をその毒で殺してしまった。私の消せない過去。それ以来、手袋は欠かせない。なんで、こんなことに…花を自分の手で摘み取りたい。手袋無しで。

 

それは叶わぬ夢。私から発生する毒は、あらゆる生命に効果があり、魔物すら殺せるほどである。素手で触りたい…素手で接したい…

 

「その望み、叶えてあげようか?」

 

突然、後ろから声を掛けられた。声がするまで、気配をまるで感じ無かった。咄嗟に振り返り、臨戦態勢を取る。

 

「いきなり、それか?ガーディアンはどんな教育をしているんだ」

 

知らない男性が立っていた。ガイアの刺客か?近づいてくる彼は私を抱きしめた。えっ?突然の行動に驚く私。

 

「う~ん…けっこう、胸が有るんだな」

 

いきなり失礼なことを言われたので、

 

バシッ!

 

平手打ちを彼の頬に叩きこんだ。でも、彼の頬に接している自分の手を見て、固まった。手袋が無い…

 

「きれいな指だ」

 

彼は私の手の平で、自分の頬を撫でた。えっ?ダメだよ…死んじゃうよ~

 

「僕は死なないよ。君の毒は無意味にしたから。もう、素手で接しても大丈夫だ」

 

えっ?彼の言葉に驚く。何を言っているの?

 

「ほら♪」

 

彼は私の手に、黄色いバラの花を一輪握らせた。茎のトゲの無い部分を握っているが、花は枯れない。きれないバラがそこにある。

 

「もう、悩むことは無い。君に悪夢を与えたヤツらは消す。悪夢を与えた装置や資料も消す。だから、後ろは振り返るな。いいな!」

 

「なんで、助けてくれたの?」

 

「う~ん…君の身体目当てって理由になるかな?もう少しいい女になったら、食べるよ。それまで、じゃな♪」

 

彼は煙のように消えた。私の手にバラを一輪残して…

 

 

 

---シュウ---

 

色々小細工や仕込みをして、1年を過ごした。そして、いよいよ、薔薇色なハイスクール生活の時間が来たぁぁぁぁ~♪

 

僕とちややは、瑚太朗、小鳥、ルチアのいるクラスに転入した。担任は西九条先生だし♪

 

「夢の高校生活だぁぁぁぁ~!」

 

喜ぶ僕、呆れる3名の弟子。

 

「シュウさん、無茶はしないでくださいよ」

 

って、心配性な瑚太朗。

 

「僕は無茶はしない。無理はするけどね」

 

頭を抱える小鳥とちはや。まぁ、4人で初登校♪

 

西九条先生もルチアも、僕を見て一瞬固まる。直ぐに平常心に戻ったけど。

 

「瑚太朗、飯はどうするの?」

 

「まだ1限目が始まってません。お昼は、学食でしましょう」

 

さて、ルチアと西九条、どっちが先にしかけてくるかな?ルチアはクラス委員長らしい。

 

勉強…一誠にスイッチしてまかせる。僕だと寝ちゃうし。

 

『シュウさん、高校生は無理です。僕はまだ小学生だし』

 

って、困っていたけど。取り敢えず、スルーだな。僕はスパルタなんだよ。そうこうして、やっと昼休み♪飯だよ。飯!

 

瑚太朗達に付いて行く僕とちはや。で、ルチアの前に座る。

 

「やぁ♪女磨いて待っていてくれたかな?」

 

僕の言葉で、目を見開き固まるルチア。

 

「うん?どうした?」

 

「あっ…あの時の?」

 

「どの時だかな。どう、手の調子は?問題無いか?」

 

「えぇ…あの…」

 

耳を真っ赤に染め上げたルチア。

 

バキッ!

 

そんな僕の頭に、ちはやの拳固が炸裂。

 

「シュウさん…彼女、真っ赤ですよ。何をしたんですか?」

 

「まだ、何も…」

 

「もう~、初日から問題は、起こさないでくださいね」

 

「あぁ、注意はするよ」

 

ちはやが僕の前に、パフェを置いて、瑚太朗達の方へ戻っていった。食べる間は一誠にスイッチする。で、食べ終わって僕にスイッチする頃、小鳥が珈琲を持って来てくれた。ソレを味わいながら飲む。しかし、ルチアは固まったままだけど…あれ?大丈夫かな?

 

「ルチア、大丈夫か?」

 

彼女の頬に触れると、はっとした感じで、動きだした。

 

「大丈夫です。突然、現れたので、驚きました。まさか、同じクラスに転入してくるとは…」

 

「サプライズ♪予想外なことが好きなんだよ。元気そうで、何よりだよ」

 

「代羽君だったよね」

 

僕とルチアの世界に、西九条が割った入って来た。

 

「で~す♪答えは見付かりましたか?締め切りは近いですよ」

 

って、言葉を残して、僕は午後の授業へと向かった。

 

-------

 

放課後、次の行動に移ろうとした時、ルチアが寄って来た。

 

「代羽君…この後の予定は?」

 

「オカルト研究会に入会しよかと。部活は大事だよね?ルチアもどうかな?小鳥もちはやも瑚太朗もまとめて入会させるんだけど」

 

「え…オカルト?」

 

「まぁ、不思議大好きだから。前の学校でもオカ研にいたし♪」

 

前の学校…随分前だけど、リアスが部長だった駒王学園のオカルト研究部に在籍していたし…なので、嘘では無い。

 

ルチアの肩に手を回し、一緒にオカ研を目指す。ルチアは抵抗する様子も無く、顔を俯いている。瑚太朗の案内で、オカ研の部室のドアの前に来た。で、ノックをして入室。ゾロゾロと、中に入ると、大きな机でPCをしている女生徒がいた。

 

その女性に声を掛ける。

 

「オカルト研究会に入会します」

 

ぎろっと、こっちを向き、アンケート用紙を差し出された。う~ん、無愛想だな…

 

「ねぇ、不思議な体験をしてみないか?」

 

無愛想な女性に声を掛けた。僕の方へ視線を向けた。僕は右手の手の平と甲を見せて、何もない事を確認させた。彼女に手首を握らせて、手を閉じてから開くと、手の平に淡い炎を発現させて見せた。その炎を凝視する彼女。

 

「ニセモノかどうか、ティッシュを近づけてごらん」

 

ティッシュを、紙縒りにして、近づける。すると燃え上がるティッシュ。燃え上がったティッシュを僕が掴んでから、手を開くと炎とティッシュは消失した。

 

「え…これ手品だよね?ねぇ、ねぇ…」

 

目を丸くしている彼女。

 

「手品では無いよ。マジックだ♪不思議だろ?一緒に不思議を探求しない?」

 

たじろぐ彼女。

 

「う~ん、どうすれば興味を持ってくれるかな?」

 

「いや、恐れおののいている気が…」

 

と、瑚太朗。そうなのか?

 

「恐く無いよ」

 

未だに彼女が、手首を掴んでいる手の親指と人差し指を擦り合わせると、水玉が現れた。その水玉を、彼女のフリーになっている手の平に乗せた。

 

「どう?手乗り水玉の感触は?」

 

恐る恐るではあるが、水玉の感触を確かめている彼女。

 

「すごい…何で?何で、こんなことが出来るの?」

 

「君と仲良く成りたいから」

 

僕の言葉により、真っ赤に顔を染め上げた彼女。

 

「入会していいよね?」

 

頷く彼女。手首は離して貰えないのかな?

 

「ねぇ、種明かしは?どうなっているの?」

 

「今は言えない。もっと、仲良くなったらね♪」

 

彼女の頭を軽く撫でる。その際に、彼女の記憶も読み取っておく。あぁ、あと、魔女因子も抜き取り、代わりに僕の駒を入れておく。抜いたことを加島桜にバレなくする為に。

 

「仲良く…なる…だから、知りたい~!」

 

掴みはオーケーかな?瑚太朗達に目配せをして、次の行動に移ってもらう。

 

 

 

---瑚太朗---

 

会長はシュウさんにまかせて、次の行動に移る。

 

「うんじゃ、この部屋にある本を読んで、不思議な事象の本が無いか、探すか」

 

「「おぉ~♪」」

 

僕の呼び掛けに、小鳥とちはやが反応した。

 

「瑚太朗君…」

 

ルチアに呼ばれた。う~ん、どうするかな。って、シュウさんはどうするつもりだったんだ?

 

「何ですか、委員長」

 

「彼は何者なの?どうして、あなた達は彼を”さん”付けで呼んでいるの?」

 

展開的に見えていたけど…シュウさん、無茶ですって…

 

「シュウさんは、僕の隣人さんなんだよ。小鳥の家の隣が僕で、その隣がシュウさんの家なんだ。で、ちはやは、シュウさんの家の裏にある養護施設にいるんだ」

 

と、事実を元にした設定通りの答えをしておく。

 

「ふ~ん。で、なんで”さん”付け?」

 

「一応、歳上だから…大怪我をして長い間昏睡状態だったんだ。だから、実際は、僕達より歳が上なんだよ」

 

これも事実を元にした設定通りの答えをした。シュウさん曰く「嘘は後で辻褄が合わなくなる。だから設定通りの事実を作り、事をすすめるんだ」って。

 

「大怪我…なんで、大怪我をしたの?」

 

「理由は知らない。隣に越してきた時には、既に昏睡状態だったし」

 

「そうなのか…」

 

シュウさんが『戦場の悪魔』って知っての質問だろうな。

 

「だから、その辺りはデリケートな事だから、あまり訊かないようにしているんだ」

 

何かを考え込むルチア。

 

「私にも出来るの?」

 

会長の朱音さんが、シュウさんに甘えるように訊いている。

 

「出来るよ。練習しだいだよ。素直さが大事だ。疑り深いとダメって感じだよ」

 

シュウさんは、ヤスミン達と接する時のように、優しく大切に接していた。

 

 

 

---シュウ----

 

学校生活1日目が終了。家でまったりしている。

 

「どうでしたか、学校は?」

 

深雪が僕の身体をマッサージしながら訊いてきた。

 

「掴みはオーケーって感じ。あと、接触していないのは、ガーディアンの中津 静流かな」

 

有栖がやって来た。

 

「おい、結界の方はどうだ?」

 

「父様の言いつけ通り監視しておりますが、今の処異常無しです」

 

「敷地の周囲の監視カメラの映像は保存しておけよ。偵察隊が来る可能性が大だから」

 

「了解です」

 

小鳥の家、瑚太朗の家、僕の家、そして養護施設の周囲には、敵方の能力を無効化する結界を張ってある。戦闘だけは避けたいから。そして、ここの上空1万メートルにはキャッスルドランが、周囲を警戒していた。そして急襲に備えて、チームウィッチーズはスクランブルできる態勢にある。

 

ちょっとでかけるか。次のステップだな。

 

 

 

---西九条---

 

まさか、彼が私が担任を務めるクラスに、転入してくるとは…そこまで読んでいたのか?風呂から上がり、ビールを片手に考え事をしている。答えは出ている。でも…それは…

 

そして、あの時と同じように空気が揺らめいた。彼が来てくれたんだ…

 

私の後ろに彼がいた。彼と既に繋がっている。彼の上に座って、彼の胸を背もたれにしている。彼の手は、私の胸を弄っている。何も抵抗しない。抵抗する理由が浮かばない。

 

「答えは出たかな?」

 

「え?今の体勢が答えですよ」

 

耳が熱い…刺さっているだけなのに、彼の鼓動を身体の中で感じている。

 

「子供達を護ってくれるか?」

 

「はい…大義の為に子供を殺すことに問題が無いって…おかしいですよね」

 

「そうだよ。殺さずに生かす方法を考え無いって、おかしいよ。ガーディアンを名乗る資格は無い。彼らはデストロイヤーだよ。まぁ、ガイアも同じだ」

 

「戦力はどのくらいなんですか?」

 

「戦力?僕達は戦う為にいるんじゃない。護る為にいるだよ。そこを間違えるなよ」

 

そうですね。私が間違えたので、胸を…乳首を責められた。身体に覚え込ますのかな。息づかいが荒くなっていく。私の意志とは関係なく腰が動く。身体の奥にある源泉が、私の身体を支配していく。

 

「もっと、いじめてください」

 

屈辱的なポーズを取らされ、屈辱的な行為をさせられる。その度に悦びを得ている。もっと、欲しい…もっと…

 

 

気が付くと、ベッドに寝ていた。身体中、彼の体液塗れである。それが妙に安心感を醸し出している。

 

 

 

---今宮 新---

 

最近、仲間の西九条の様子がおかしい。心配になり、彼女と会った。

 

「どうしたんだ?」

 

意外にも彼女の顔は、憑き物が落ちた顔付きで、おだやかであった。

 

「緊張感が足り無いんじゃないのか?」

 

喝を入れる。

 

「今宮…あなたは何を護りたいの?」

 

そして、意外な質問をしてきた。

 

「決まっているだろ。人類をだ!」

 

「ふっ…」

 

うん?なんだ、その反応は?

 

「人類?そんなの答えになっていないわ。じゃ、人類って何?」

 

禅問答か?

 

「俺達のことだ」

 

「ははは…ガーディアンのことよね。ガーディアンで無い者がどうなろうと、問題は無いってことでしょ?」

 

「あぁ、ガイアと魔物使いと鍵は狩る対象だからな」

 

「あなた、何もわかっていないのね。私の言う人類は、どちらにも属さない者達のことよ」

 

うん?意味が分からない。

 

「ガーディアンの養成所での教育だと、何の能力も無い者達のことは考慮されない。任務遂行の為なら、殺しても問題は無いっと」

 

う~ん…

 

「いい?今ある対立は宗教戦争なのよ。じゃ、無宗教の人間はどうなってもいいの?」

 

「多少の犠牲はしょうがないだろ?」

 

「それがわかったから…私は、彼の元に集う。この星を護り、この星の未来を託せる子供達を護ろうと思う。だから…今宮…あなただけは、ジャマしないでね」

 

彼?

 

「彼って誰だ?」

 

「ガイアでもなくガーディアンでも無い彼…本当の意味のガーディアンよ。私達は怒らせてはいけない者を怒らせた。最終決戦は近いわ。それまでに、私はどれだけの子供達を護れるかな…一人でも多くの子供達を未来へと引き渡すように、がんばるだけよ」

 

「裏切ったのか?」

 

「違う…裏切られた…真実を教えて貰っていなかった。今宮、あなたもそう。真実に触れていない。江坂さんに訊いてみたら、私の知った真実を否定してくれなかった…ねぇ、わかる?信じていた者に、だまされていた気分って…」

 

おい…

 

「分からないよね?今も、信じているあなたには…だから、もう関わらないで…お願い」

 

「真実って何だよ?」

 

「ガーディアンという組織にいる間は、教えて貰えない」

 

「お前はガーディアンと戦うのか?」

 

「私達は専守防衛…やられたら、やられる前に、やるだけ」

 

そんな彼女に攻撃がなされていく。俺は動けなかった。いや、反応出来無かった。見殺しか…しかし、彼女は生きていた。彼女へ攻撃をしたガーディアンの同志が全員、屠られていた。

 

「言ったでしょ?やられたら、やられる前に、やるだけって。こんな私をガードしてくれているの。四六時中、彼の仲間がね♪」

 

彼女は俺に背を向けて去って行った。なんだ。俺がまるで反応できないだなんて。やられたのは、ガーディアンでのトップクラスの戦士で構成されている、元バイアーン帯剣緑地騎士団のメンバー達だった。江坂さん達が動いているようだ。

 

 

 

---シュウ---

 

後輩の中津 静流って少女とデート♪お昼に、炭火でサンマを焼いていたら、釣れたのだった。

 

「まさか、学校で備長炭でサンマを焼く人がいるなんて…やられました」

 

焼きサンマを2尾ご馳走してあげたら、おいしい屋台ラーメンをご馳走してくれるって。ラッキーだ。

 

目的の屋台は公園にいた。

 

「ゲンさん、チャーシューメンを2つ!」

 

静流が屋台のおっさんに注文した。おっさんは僕の顔を見て氷り付く。うん?どこかで会ったっけ?

 

「静流、お待たせ♪あれ?シュウさん…どうしたの?」

 

「ルチア…静流と知り合いだったのか?」

 

「うん♪ゲンさん、私も同じのをね。って、ゲンさん、聞いている?」

 

屋台のおっさんの様子が変だ。かがみ込み、何かを手にしているようだった。そして、急に手斧が2本飛んで来た。攻撃を透過させる。

 

「やはり、お前は『戦場の悪魔』か!」

 

「そう言うおっさんは、バイアーン帯剣緑地騎士団のゲンナジーか。あぁ、だからゲンさんなのか」

 

静流とルチアがおっさんの変貌に驚いている。僕は彼女達の傍に行き、安全の場所に彼女達を転移させた。

 

「これで、安心して戦えるよ♪彼女達を、危ない目に遭わせる訳に行かないからな」

 

背後にも奴らの気配を感じる。敵の位置を把握して即死版『ウルティマウエポン』を発動した。全身から煙を上げて倒れていくアイツら。う~ん、チャーシューメンを食べてから攻撃して来いよな。くそっ!喰い損ねた。

 

 

 

---ルチア---

 

突然、ゲンさんが私達に攻撃をしてきて、シュウさんが私達を安全な場所へと、転移してくれたようだった。

 

「ここは?」

 

どこかの家のようだった。

 

「ここは代羽家です」

 

細身のかわいらしい女性が話しかけてきた。代羽?シュウさんの家かな?

 

「そうです。シュウの家です」

 

「えっ?なんで心が読めるんですか?」

 

静流が驚きの声を上げた。確かに声に出して質問はしていない。

 

「私達…チームシュウのメンバーは全員、心が読めるんですよ」

 

チームシュウ?

 

「ただいま♪くそぉ~、チャーシューメン喰い損ねた~」

 

シュウさんが転移してきた。

 

「そうですか。では、すぐにご用意してもらいます」

 

「頼むよ、深雪。3つだよ♪」

 

「はい、お待ち下さい」

 

深雪と呼ばれた女性は、シュウさんに頭を下げて、部屋の奥へと消えた。

 

「あの方は?」

 

「あっ…う~ん」

 

困った顔のシュウさん。何かやらかしたのかな?

 

「一応…妹…」

 

「「え?」」

 

静流と共に驚きの声を上げた。似ていない…って、一応って?

 

「あぁ~そんな感じだ」

 

「実際はどうなんですか?」

 

静流が訊いた。

 

「実際か…真実を言うと引くから、言わない」

 

とっても困った顔のシュウさん。

 

「ねぇ~教えてくださいよ~先輩」

 

抱きつき、頬を擦り寄せて、甘えるように尋ねる静流。

 

「おまたせしました。チャーシューメンを3つ、お持ちしました」

 

美味しそうなチャーシューメンを先程の深雪さんと、もう一人、別の細身の女性が運んで来てくれた。

 

「まず、食べてからにしよう♪いただきま~す」

 

シュウさんは食べることに集中し始めたので、私達もいただくことにした。おいしい…醤油がおいしいのかな。

 

「えぇ、自家製の醤油なんですよ~」

 

って、深雪さんから説明があった。

 

「深雪さんが作られたのですか?」

 

「いえ、調理担当の者です。私には無理ですよ」

 

調理担当?何だろうか、違和感のある言い方だ。そして、完食後に改めて訊いた。

 

「う~ん…」

 

渋るシュウさん。そんな彼を尻目に、深雪さんが、指輪を見せてくれた。これって…

 

「えっ?学生結婚?」

 

静流がずばっと訊いた。

 

「う~ん…ちょっと違う。まぁ、この二人ならいいか。コチラ側だし」

 

コチラ側?

 

「僕と深雪は結婚しているんだ。内緒だよ♪」

 

「えっ!」

 

この場にいなかった者の声が聞こえた。振り返ると、西九条さんがいた。ガーディアンの先輩メンバーの…

 

「結婚…していたの?」

 

「あれ?西九条…どうしたんだ?」

 

「ガーディアンを抜けてきちゃった♪だから、責任を取って、護ってね♪」

 

はぁ?どういう関係なんだ。私も静流も展開が見えずにぽっか~んとしている。

 

「責任?あぁ、そうだな。もっと堪能してから♪」

 

シュウさんの言葉を受けて、西九条さんの顔が真っ赤に茹で上がっていく。

 

「生徒達の前…そんな事を言わないでください…恥ずかしい…」

 

「はぁ?団長、やらかしたんですか?」

 

西九条さんの後ろには瑚太朗君、小鳥さん、ちはやさんがいた。団長?

 

その後、観念をしたシュウさんから、説明が為された。それは想像を超える真実であった。西九条さんもそこまで聞いていなかったのか、腰が抜ける程驚いていた。

 

「まぁ、そんな訳で、この星の元々の創造神と破壊神は僕がやっていたんだけど、今回の事案後は、瑚太朗と小鳥にバトンタッチする。西九条を筆頭に、みんなには子供達の未来を頼みたい」

 

って…神様だったなんて…だから、私の毒体質を一瞬で治せたのか。

 

「ガーディアンは、ほぼ壊滅だ。残るは江坂程度だろう。あと、ガイアは朱音を救出してから、手を出す。協力してくれ、みんな」

 

シュウさんが私達に…神様が下々の者達に頭を下げた。

 

「頭をあげてください。一番エライんでしょ?」

 

西九条さんが、シュウさんに言葉を投げた。

 

「僕?僕は神であることを否定して生きているんだ。だから、一番偉くなくていいんだよ。みんなが幸せになるなら、黒子でいい。そんな感じだよ」

 

私達は協力することにした。彼の、のほほんでふわふわな雰囲気に飲まれたと言うか…まぁ、結果的には良かったと思う。

 

 

 

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