※この作品はR-18です。

神器なき男2   作:もっち~!

81 / 142
07/03 誤字を修正


秘密への扉*X

---真由美---

 

四葉家からまた書簡が届いた。内容は、

 

『先日の決定事項において、誤解が生じている為、事実を公表いたします。司波深雪の本名は闇雲深雪で有り、司波達也とは血縁関係に無いことを、ここに通達いたします。四葉真夜』

 

と…深雪さんって、闇雲家の者?えっ、闇雲家?それは何の家柄なのだろうか?今回の件で亘君が暗躍している気がする。彼は何を目論んでいるんだ?

 

彼は、達也君、深雪さんの後見人だと言った。でも、深雪さんの結婚相手の候補は、達也君とシュウなる人物である。昨日までの情報では、達也君と深雪さんは血縁上、一緒になれないはずだった。それが、今日になって…彼は何をしたいんだ?現状では深雪さんの彼氏は亘君だし。

 

そこに、何かが隠れているのは確かだ。何を隠しているんだろうか?

 

「どうした、七草。あの通達の件か?」

 

十文字君が声を掛けてきた。

 

「そう、アレの件よ。どうなっているの?亘君の役周りがわからない」

 

「確かにわからないな。う~ん…」

 

ふと、この前、達也君の読んでいた人札の者の伝説が甦って来た。あそこに書かれていた伝説では、愛する心を失い、愛する者を愛せなかった為に、愛したかった者を護り切れなかった人札の者は、愛の無い自分を責めて自害したとあった。

 

亘君は何を失ったんだ?ふと、両者が重なる。亘君と人札の伝説の人物…護りたい者を護る為に護り切りたい亘君。彼も同じ物を失っていたら?深雪さんを愛したくても愛せないから、達也君に深雪さんを…そんなことを考えていたら、涙があふれ出してきた。これが正解なのかもしれない…

 

「どうした、七草?」

 

十文字君に訊かれた。私は、私の仮説を彼に話した。

 

「なるほど…そうなのかもしれないな。彼らを護る為に後見人になり、なんらかの方法で四葉家をコントロールしているのか」

 

「亘君は何者なのかな?誰に訊けば判るかな?」

 

「う~ん…」

 

 

 

---エリカ---

 

う~ん…亘の為に役に立ちたい。どうすれば良いんだ?

 

「エリカ、どうしたんだ?お前が悩んでいるって?」

 

次兄である修次兄様に声を掛けられた。

 

「うん…友達の為になりたいのだけど、どうすれば良いかなって…」

 

「そうか…なぁ、神代亘って何者なんだ?摩利がそいつと、つきあっているらしいんだけど…」

 

はぁ?先輩の摩利さんは、千葉道場の門下生で、千刃流剣術免許皆伝の修次兄様とずうずうしくもつきあっていたはずだ。えっ?亘とつきあっている?

 

「なぁ、その情報は確かか?なんで、亘とつきあっているんだ?なぁ…」

 

迂闊にも、兄様の胸で泣いてしまった私。

 

「あぁ、お前の悩んでいる相手はそいつか…ちょっと、お灸でもしてくるか。摩利とエリカを弄んだのか」

 

「違うよ~」

 

「かばうな!俺にまかせろ!」

 

マズい、兄様が亘を…役立つのでは無く、邪魔をしているような…

 

 

 

---シュウ---

 

僕の前に摩利と共に現れた千葉修次。何用だ?アレの捜索で忙しいのだが。

 

「お前、摩利とエリカを弄んだそうだな」

 

えっ?何でそんな話に?摩利を睨むと、僕を怯えた目で見ていた。

 

「違うのよ、亘君。彼が誤解してね」

 

誤解?あのブラコンエリカが、何かを吹き込んだのか?躾けるかな?

 

「千葉修次ごときの腕で、どうすると言うのだ?」

 

アチラの世界で腕はわかっている。3メートル以内の間合いなら世界レベルと言われているんだっけ?なら、レンジ外から撃ち込めば良い。っていうか、剣で無くてもいいんだよな。僕は魔導戦士だし♪

 

「ごときだと?千刃流剣術免許皆伝の腕を舐めるなよ~」

 

前口上が終わったらしいので、『ウルティマウエポン』の瀕死版でケリを付けた。先手必勝だよね。全身から煙を上げて地面に口づけをする千葉修次。彼に寄り添っていいのか迷っている摩利。

 

「摩利、そいつを選ぶなら、僕に近寄るな。いいな」

 

余計な手間を…アレの捜索に戻る。

 

 

 

---エリカ---

 

修次兄様が病院に運ばれたそうだ。長兄の寿和アニキと病院へ向かった。修次兄様は集中治療室で静かに寝ている。その傍らには、あの女がいた。アニキは兄様の容体と、原因を聞いてきてくれた。

 

「修次は、神代亘という少年に、果たし合いを申し込んで、返り討ちにあったそうだ。アイツは、何をしているんだ?魔導師に剣で挑むって、異種格闘戦じゃないか。で、容体は、今夜が峠らしい」

 

「亘は…クラスメイトだよ。あの女が、悪いんだ、アニキ!亘から戦いは持ちかけない」

 

「あぁ、摩利さんからも話を聞いた。彼女の取り合いの末って供述したそうだ」

 

はぁ?

 

「それは無い。だって、亘の彼女は違うよ」

 

「違う?どういうことだ?」

 

「亘の彼女は…四葉家の…深雪だ…」

 

「はぁい?だって、彼女の婚約する候補者に、神代亘なんかいないぞ!」

 

「あぁ、だから、事情があるのかなって…私は彼の役に立ちたいだけなんだよ~」

 

アニキの胸を借りて、泣き濡れる私。

 

 

 

---シュウ---

 

翌日、深雪の姓が正式に闇雲に変わった。今日から、闇雲深雪である。家は、そのまま、達也と同居であるけど。

 

「シュウさん、ありがとうございます♪」

 

今日は達也と深雪と僕で登校だ。深雪の笑顔を見ると疲れが消える。明日からも一緒に登校しようかな?

 

登校途中でエリカに出逢う。

 

「亘、頼む、兄様を助けてくれ」

 

往来の真ん中で、僕に土下座をするエリカ。

 

「なんで?だって、アイツが仕掛けて来たんだよ。やらなければ、僕がやられていたけど…それをエリカは望んでいたのか?」

 

「そんなことを望む訳無いだろ?あれは、摩利の策略だ。摩利の取り合いの末の決闘って、警察に供述したそうだ」

 

はぁ?取り合い?何で?

 

「取り合う訳無いだろ?僕には深雪とエリカとかもいる訳だし」

 

「とかも?まぁ、深雪さんと同列にいるから、良しとして、なぁ、頼むよ~、亘!」

 

深雪を見ると、いってきてくださいって顔だ。

 

「じゃ、達也。エリカと共に今日は休む。後を頼むよ」

 

「了解しました」

 

僕はエリカと共に、病院へ転移した。集中治療室で眠るエリカの兄。治癒術と回復術を掛けて、意識を取り戻させた。

 

「君が神代亘君か?」

 

術を掛け終えた僕に、エリカの長兄が声を掛けてきた。千葉警部だっけ?

 

「そうですけど?僕は被害者ですよ」

 

「それについては、それでいいんだけど…なぁ、エリカのことはどう思うんだ?」

 

千葉警部の言葉により、エリカの顔が茹だっていく。

 

「どう?クラスメイトですよ」

 

「でも、エリカを2度も助けてくれたそうじゃないか」

 

「襲われているクラスメイトを放置は出来無いでしょ?」

 

「まぁ、そうだよね。アニキとしては、うちのエリカと…出来れば、もう少し距離を縮めてくれないかな?」

 

エリカの顔は更に茹で上がっていく。お前、兄達に何を言ったんだ?

 

「もう少しとは?」

 

「えっ…もう少しだよ。気持ちの問題だ…ははは」

 

そうだ…千葉警部は女性慣れしていないよな。ベッドの上の兄よりも。ベッドの上にいる兄は、コチラの様子を見て、微笑んでいた。兄と妹が照れまくっているしな…

 

で、次兄はその日のうちに退院。僕に謝ってきた。

 

「すまない。頭に血が昇って…」

 

摩利の顔は青ざめている。さっきから、怒りのオーラを摩利にだけ放出しているから。で、エリカは真っ赤な顔で動きがぎこちない。

 

「じゃ、この辺で、帰ります」

 

家へ転移した。

 

 

 

---真由美---

 

摩利が原因で、亘君は休みだそうだ。何をしているのよ、摩利…

 

「まぁ、今回は亘さんは元気そうだから」

 

深雪さんは明るい表情だ。彼女の名前は今日から「闇雲深雪」に変更になった。そのせいもあるのだろうな。

 

「ねぇ、闇雲家って、どんな家系なの?」

 

「神社ネットワークの中心的存在で、神道の頂点な家系ですよ」

 

神道…神に繋がるのね。

 

「ヨハネ家はどんな家系?」

 

「それは…すみません。言えません」

 

「鬼門家は?」

 

「ソレも言えません」

 

口止めされているのか?何の為に?

 

「七草先輩、詮索は良く無いですよ」

 

達也君が割って入ってきた。

 

「興味があるのよ」

 

「興味本位で土足で踏み込むのは、失礼ですよ」

 

達也君の目は狩人の目付きで有る。これは刺激しない方がいいかな…

 

------

 

夜、人目を忍んで、はんぞー君と十文字君と集まった。はんぞー君に調べて貰っていた事の報告があるそうなのだ。

 

「調べてきました。代羽家は、存在してはいけない家系のようです」

 

存在してはいけない…そうだ、全員粛正されたって…

 

「粛正?」

 

「そうです。代羽の血族は全員、粛正されたはずだそうです」

 

「どういうことだ、七草?」

 

十文字君に訊かれた。

 

「亘君が言っていたの。代羽家は亘君以外、全員粛正されたって。で、亘君自体存在してはいけない存在だっていうの」

 

また、涙が出て来た。

 

「会長…なので、アイツが存在するのがおかしいです」

 

存在してはいけないから存在自体がおかしいのだろう。

 

「なんで、アイツは存在してはいけないんだ?」

 

「神を超える能力を持っているから…神々がそれを恐れて、粛正したそうです」

 

神々すら恐れる能力…彼は一体…

 

「なので、血族は粛正しきったはずなのに、生き残っているアイツは、もう神々すら手を出せない存在だそうです」

 

神々すら手を出せない?何それ…

 

「鬼門家は…鬼の一族のようです」

 

鬼?

 

「人外?」

 

「そうです。なので、詳しくは調べられなかったです。放った密偵は全員…」

 

殺されたのね。

 

「彼は代羽家の当主で、鬼門家の当主って…神代家の当主相当って…3家の当主なんて有り得るの?父方、母方で2つが限界な気がするんだけど」

 

「通常は有り得ませんが。1つだけ抜け道があります。育ての親…」

 

はんぞー君の口から、3家の当主になる抜け道を聞かされた。

 

「アイツは代羽家と鬼門家の子供で、神代家で育った可能性があります。その場合の最悪な結果は神を超える能力を持った鬼で人札ってことです」

 

うん?違う。それだと、合わない。

 

「違う。鬼ならば人札には成れない。アレは人間だけが使える術なのよ。順番は逆なんだ」

 

空気の質が変わった。彼に見付かったようだ。身構えるはんぞー君と十文字君。だけど、二人とも煙を全身から上げて、その場に倒れた。

 

「懲りない人だ。忠告したはずだよ。僕の個人情報を全裸にするのであれば、全裸にして男子生徒に襲わせるとね」

 

声はするが彼の姿は見つけられない。再び、あの感覚だ。全裸にされた。地面に倒れていた二人の傷は治されて、彼らも全裸にされている。これって…

 

「その二人をケダモノにしてやる。まぁ、仲良し三人組だから、問題は無いよな?」

 

かっ、身体が熱い…口にはんぞー君が入って来た。股間には十文字君が入って来た。ハンゾー君の手の平が胸をもみくしゃにしていく。十文字君の太い指が、割れ目の内側を撫でている。全身に走る電気…全身に力が入らない。筋肉は弛緩していき、上下の口からだらしくなく体液が流れ出ていき、二人を私の体液塗れにしていく。

 

助けて…

 

でも、彼からの反応は無かった。

 

 

 

---千葉寿和---

 

十文字家の次期当主とその後輩が、七草家の次期当主をレイプとは…裏がありそうだ。通報は十文字克人からあったそうだ。七草真由美をレイプしたようだと。現場に救急隊員と警察が向かうと、三人とも体液塗れで、七草真由美は意識が無かった。十文字克人とその後輩は呆然と立ち尽くしていた。全員全裸で…

 

現場は廃ビルで、結界が張られ、誰も入れなかったそうだ。それで、俺が呼び出されて、結界を破って、中に入ったのだ。結界は、十文字克人の後輩の服部というヤツが張ったらしい。

 

なんで、そこにその3人が集まったのかは、2人共違うことを言っているそうだ。七草真由美は未だに意識が無いらしい。う~ん、この場合、彼に頼むかな?修次の件で迷惑を掛けてしまった彼に…

 

エリカに連絡をした。授業中に電話するなと怒号が飛んで来た。まぁ、確かに、俺がタイミングをミスったよ。で、状況を説明して、彼とエリカに来て貰うことにした。学校へはこちらから協力要請をした。彼に迷惑をあまり掛けたくないし。エリカが怒るし…はぁ~

 

 

病院にエリカと共に転移してきてくれた彼。

 

「レイプされたんですよね?う~ん、意識を取り戻すことは簡単ですけど、精神ダメージが残りますよ」

 

あぁ、デリケートな問題だものな。

 

「専門家にまかせる。どうすればダメージは少ないかな?」

 

「記憶を丸々刈り取るとか…ただ、それだと供述が取れなくなりますよ。どうします?」

 

一応、俺の立場も考えてくれているんだな。そうだな…上司と相談して、七草家のお嬢様ってことなので、記憶の刈り取りをお願いした。すると、お願いして直ぐに、魔法陣を何枚か展開して、何かを調整して、術を連続で発動していった。最後の1枚を発動すると、その場に崩れるようにして倒れた。エリカが急いで彼に近寄り、声を掛けている。そこに物凄くかわいい女性が近寄り、エリカに何かを言って、二人で彼をベッドへと運んだ。

 

「エリカ、どうなんだ?」

 

「あ、アニキ…彼女が亘の彼女の深雪さんだ。で、深雪さんの話によると、魔力キレによるマインドロストじゃないかって言うんだよ」

 

魔力キレが原因の意識喪失か…限界まで力を使ってくれたのか…

 

「えぇ、しばらく寝ていれば大丈夫です。いま、彼の妹さんへ連絡して、薬を調達して来て貰っていますから」

 

魔力回復薬か…貴重な品だな。費用は警察で持つか。

 

------

 

被害者から供述が取れないので、事件にはならなかった。しかし、不思議な事件だ。加害者2名の供述が食い違う。一人は彼女に誘われたって言うが、もう一人は二人で襲い掛かったって言うんだ。精神鑑定は不能だった。彼らの魔法師としての能力で、医療機器程度では精神は測れないようだ。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。