---達也---
「私とお兄様は血縁関係はありません。種族も違います。精神的に兄妹であると思ってください」
白音さんは淡々と話し始めた。
代羽周太郎として産まれた彼は、戦う術を持たずにいたそうだ。紡ぐようにたぐり寄せた縁を使い、徐々に戦う術を手に入れていった努力家であると言う。これまでにも数回、瀕死の怪我を負いながら、護りたい者を護り続けてきた歴戦の戦士だと。
「お兄様は心が折れない限り、戦い続けます。例え、器が壊れてもね」
「彼は何歳なんだ?」
「魂を手に入れてから一度も死んでいないので、確か…1兆年は超えているはずですよ」
何だ、その年数は…魂を手に入れて?魂の無い存在だったのか?
「私が出逢った時には、既に魂は持たれていました。なので、魂の無い頃は、どんな種族かはわかりません。でも、聞いた話では、その頃から護りたい者を護る為に行動していたそうです」
彼は産まれながらのガーディアンなのか?魂の無い存在…ゴーレム、リビングデッドくらいしか思い浮かばない。でも彼は人札だ。魂を手に入れて人間になったのだろう。
「彼はこの世界でどうしたんだ?」
「当初のガード対象は、達也さんと深雪さんだけでしたけど、お兄様の悪い病気が再発しているようなので、エリカさんもだと思います」
悪い病気?
「達也さんにはわかると思いますが、好きな女性に好きと言えない病気です♪これが再発すると、その女性には手を出さないばかりか、悪態もつくと思います。とにかく距離を広げて、遠くから護る感じです。ふふふ」
そうだ。エリカに対して、そんな感じだ。そうか、エリカが好きなのか…深雪よりも
「それは違います。深雪さんの方が大切ですよ。好きなのと大切なのは別…お兄様は恋愛関係が面倒な人なんです。まったくもってね」
愛する心を封じられた後遺症なんだろうな。俺はまだ恵まれている。愛することは出来るのだから。
---シュウ---
目の前では、紅色をした毛玉が3つ蠢いている。それが何か、判別できるまで、時間がかかった。また、壊れたのか…身体は動かない。地上にいる赤髪の少女のことが気になる。白音が言うには「また、悪い病気ですか?」だと。何かしようと気がまるで起きない。ただ、気になるのだ。
「あっ!シュウ、目覚めたんだね」
紅色の毛玉の1つが近づいてきた。段々視界がクリヤーになっていくと、それが何かが分かって来た。
「えぇぇっ?リアスが3人?」
どこのリアスだ?記憶をフル稼働で検索する。あっ、妻1号と弟子と新妻か?
「あなた達は邪魔よ、帰りなさい」
って、妻1号
「え?普段、一緒にいらっしゃらない方には、言われたくないです」
って、弟子。
「ここは結婚歴の浅い私が介抱しますわ」
って、新妻。誰が、僕の面倒を見るかで揉めているのか?3人で一緒に協力して看るって発想は無いのか?怪我人の前で、揉めているリアス達。
「ならば、力づくで排除だな」
妻1号が滅の力を帯びていく。
「はぁ?実践経験の少ない、お婆さんに何が出来ます?」
滅の力を具現化して装備にする弟子。
「もう、野蛮な人達ねぇ~」
一歩引いて冷めた目で見ている新妻。こいつが一番戦闘経験が無い。まったくも~。同じリアス・グレモリーなのに、何しているんだ?まぁ、高飛車で、我の強い、独占欲の強い女が集結するとこうなるか?
「おい、そこの紅髪共に警告をする。滅の力同士がぶつかれば、お前ら全員消滅だ。消滅したら、僕の能力ではどうにもならない。言っている意味はわかるよな?!」
一斉に、僕の方を振り向いたリアス。アイツらに、死を感じるオーラを放出していく。
「身体は動かないが、能力は使える。どいつが躾を受けたいんだ?」
3人の顔から血の気が失せていく。
「すみません、遅れました~」
っと、4人目のリアスが転移してきた。ヤマトの相棒のリアだ。彼女は悪魔を辞めて、サイボーグとなった。理性も知性も生きていた時の物を引き継ぎ、この4人の中では、一番冷静に行動出来ると思う。
「おぉ、いいところに来た。頼みがあるんだけど」
「何でしょうか?」
「あの3人を比較試験して欲しい」
試験と言う名の躾なんだけど…目が点になる4人のリアス。僕は、リア以外のリアスを『脱衣』し、大の字に拘束した。
「まず、舌の感触のテストをしてくれ」
「えっ…それはどういうテストですか?」
リアが戸惑っている。
「そうだな…舌の筋肉の柔軟姓、長さ、薄さ辺りを調べてくれるかな?」
リアは言われた通り、舌のテストをして、数値化していく。自分の舌と相手の舌を絡めて、調べている。別世界の自分とのオーラルプレイである。二人とも真っ赤になっている。3名全員とプレイし終わったリアは、データを集積して、比較検討している。
「結果は、若い順に感度、動きが良いようです」
「じゃ、次はミルクの味のティスティングテストをしてくれ」
「えぇぇ~っと…それは…」
リアは再び戸惑っている。
「それぞれのリアスの右の乳首を舐めて、大きくして口に含み、乳房を揉みながら吸うんだよ」
左で無いのは、心臓に負担を掛けない為である。強制的にミルクを出すようにするので、敢えて心臓から遠い乳房を選んだ。
「ダメだって…」
リアに舐められ、昇天しそうな妻1号。乳房を揉まれ吸われ始めると、下腹部は大変な事態になった。ティスティングの結果はリアの表情で分かる。
次に弟子。同じ様に吸う。美味しいのか、リアの吸い付きがいい。テストなんかしなくても、弟子以外は堪能しまくっているので、どんな感じかわかっている。3つのテストをするのだが、弟子が得点が取れるのは、ここだけだ。なので、弟子のミルクには隠し味として和三盆を入れ、残りの二人にはセンブリが隠し味で入っていた。
3人のミルクの味テストの結果、思惑通りに弟子が高得点をマークした。
「次にラブジュースのティスティングテストをしてくれ」
更に戸惑うリア。
「それぞれのリアスのクリちゃんを刺激して、ジュースを湧き出させて、味覚テストしてくれない?」
「何を考えているのよ?この変態ヤロー!」
妻1号が叫ぶ。
「そうだよ、性癖はとうの昔に破綻している。お前はそれを知っていて結婚したんだろ?」
困った表情になる妻1号。
「え?師匠以外にそんなことは…」
と、弟子。
「ダウトだ!お前、一誠とやっただろ?」
「いや、あれは…」
言い訳を考え始めた弟子。
「新妻の私にティスティングって…」
「大事だろ?今後どう躾するかの指針は必要だと思うし」
「躾って…確かに経験が少なく、至らないけど…ねぇ…」
コイツも、テストから逃げる為の言い訳を考え始めているようだ。まぁ、産まれた世界は違うけど、同じリアス・グレモリーである。違いなんか微々たる物だと思う。年齢に関しても微々たる物だ。寿命1万の内、数百年なんて誤差の内だと思うし。
で、リアのテストで3人とも果てた。結果は、熟成した分、妻1号に軍配があがった。
「じゃ、以上を踏まえて、裁定を言い渡す。今後、リアス同士で揉めたら、頭部は新妻、上半身は莉愛、下半身は古株を使い、1体のリアスに再構築する。記憶はお前らのを同化吸収し、心は誰か違う者を使う」
僕の裁定を聞き、青ざめるリアス達。
「揉めなきゃいいだろ?三人が揉めて戦ったら、僕は困る。なぁ、僕を困らせるなよ!この件についての異論反論は認めない。それでも申し立てがしたいリアス・グレモリーは、それなりの覚悟をしろよ!」
涙目になり、反省している3名のリアス・グレモリー達。まぁ、この程度で止めておくか。追い込み過ぎると、自分を自分で滅するから、コイツらは…
---達也----
彼がいなくなって1週間。いなくなっても混乱は無い。彼の記憶が残っているのは、俺と十文字先輩、四葉家、七草家、十文字家の3家の当主、闇雲家、鬼門家、神代家の本家全員だと白音さんが教えてくれた。
残りの者の記憶は、違う者へ置き換えられていた。深雪は俺に、エリカはレオに、美月は幹比古に、七草先輩は服部先輩に。その結果、深雪は俺に甘えまくり、エリカはレオと、美月は幹比古と、七草先輩は服部先輩と付き合い始めた。ほのかと雫は、よく解らない。もしかしたら、書き換わっていないのかもしれない。
何事も無く過ごしていた俺の前に、知らない女性が現れた。耳は横に尖り、髪の毛は緑色で、威厳さを感じる女性だ。
「司波達也君だね」
彼女は俺の家に突然、現れた。彼の仲間だと思うのだが。
「そうです。あなたは?」
「チームシュウの者で、今回の案件で、この地での副官をすることになったリヴェリア・・リヨス・アールヴだ」
チームシュウ?
「シュウ・ヨハネ・鬼門が率いるチーム名だ。私は普段前線には出ないのだが、今回の相手は団長と相性が悪いので、私に白羽の矢が立ったのだ」
シュウさんのチームメンバー?
「団長は意識が目覚めたので、来週には復帰できると思う」
来週に戻ってくるのか。
「それでだ。学校内でのガードを厚くする事にした。君達のクラスへ編入生を送り込む」
ガード?
「団長と団長の護りたい者のガードだよ。おい、出て来い!」
彼女は俺の心の内が読めるようだ。
「あぁ、チームシュウのメンバーのほとんどの者は、読心できる。必須科目だしな」
必須科目?疑問に思うワードが次々に出てくる。彼女の言葉を受けて、3名の女子が現れた。
「紹介しておく。青髪はゼノヴィア・クァルタ、聖剣使いの聖戦士だ。金髪はアーシア・アルジェント、回復役の聖戦士だ。黒髪は結城アスナ、回復役の精霊使いである剣士だ。以上3名をチームから派遣する。コイツらと連携して、団長達を護ってくれ」
ゼノヴィアとアーシアの目付きが妖しい。これは?
「あぁ、そうだ。注意事項を言って置かないとな。ゼノヴィアとアーシアは、性癖が両刀だ。なるべく、二人でか、団長絡みですませるが、喰われないように注意した方が良い」
性癖が両刀?それって、男でも女でも恋愛対象ってことか?
「おい、彼はダメ。団長の躾対象になる。注意しろよ」
「「了解♪」」
両刀遣いの二人は、深雪を見つけるや、深雪の部屋へと入っていった。
「彼女のガス抜き要員を兼ねている。君も女性相手なら、抵抗は少ないだろ?」
俺が甘えすぎる深雪の対処に困っていたのを、知っていたようだ。助かることは助かるが…
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1週間後、亘は復帰し、先日の3名が転入してきた。エリカ達は亘も転入生だと思っている。彼はエリカ達との接触を避けているようだ。
「どうするんですか?」
「どうもしない。モブであるならモブでいい。僕は僕に出来ることを全力でするだけだよ」
その言葉に頷く彼の仲間達。
「それより、達也。十文字と話がしたい。真由美達の記憶に僕のことが無いから、生徒会室には行けない。機会を作って来れないか?」
「わかりました。今夜でも、シュウさんの家にお連れします」
「頼むよ」
「ねぇ、私、千葉エリカ。エリカでいいよ。コイツは私の彼でレオだ」
転入した女子に自己紹介をしているエリカ達。彼らにはシュウさんの姿が見えていないみたいだ。
「記憶で認識できていないんだ。見えていても、認識は出来ていないんだ。まぁ、それで構わない。護りたい者が護れれば良いからね」
そうだった。心の内は丸見えなんだ。なので口に出さなくても、会話が成立する。
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夜、シュウさんの家に、十文字先輩をお連れした。
「元気そうだな、十文字」
「克人でいいぞ。神代」
「亘でいいよ。わざわざ、すまない。まだ体力が戻っていないんだ」
「そうか。お前に対するみんなの記憶はいつ戻るんだ?」
「キーなある出来事に接した時だ。それはそれぞれが設定しているので、僕でも分からない。でも、このままでも良い。達也にも言ったけど、護りたい者が護れれば、良いんだよ」
「アレはお前がしたのか?」
「そうだよ。警告はした。次は無いと。でも、彼女は警告を無視した。克人の記憶を残したのは、警告を込めてだ。僕はやると言ったらやる鬼畜だからね」
鬼畜…そうは思えない。
「達也、種族的にも僕は鬼畜だよ。だから、そう呼ばれるのに抵抗が無いんだ」
「種族的に鬼畜とは?」
十文字先輩はデリケートな問題に踏み込んだ。
「う~ん…克人だけならいかな。他言は禁止だ。克人は約束を守る子だから、教えてあげる。僕は天使と鬼のハーフだった化け物だよ」
彼は真の姿に変異した。彼の身体からは神々しい光があふれ出ている。俺と十文字先輩は、本能で彼に跪いた。いや、彼の仲間達もだ。
「まぁ、こんな姿だよ、本来の僕は。でも、これだと気配とか消えないから」
亘の姿に戻った彼。
「まさか…そうだったのか…」
真実を知り、何かを納得しているような先輩。
「自慢することでも無いので、内緒でね」
「次は何があります?」
「九校戦にノーヘッドドラゴンが絡んで来るはず。ここでノーヘッドドラゴンを一掃出来たら良いなっと」
「先輩、亘達も九校戦に出られませんか?」
「う~ん。みんなの記憶に無いからな…実績とか信頼性とかまるで無い。現状では推薦すら出来無い」
「僕達は裏でガードします。克人と達也の部屋を拠点に活動するけど良いかな?」
「問題は無い。予備の部屋を2つくらい、亘達に回す。それも使ってくれ」