※この作品はR-18です。

神器なき男2   作:もっち~!

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出発準備X

----シュウ---

 

「僕は…でも、護れなかったのは事実だよ、深雪」

 

人質に取られた妻達…リヴェリア…ティオナ…リアスにいたっては3回も…兵藤君だ。そうだ、ヴァイラもだな。ソーナには迷惑を掛けっぱなしだし…

 

「シュウさんは、優しすぎるのが弱点です。もっと冷酷であれば良いのに…でもね、そんなシュウさんだから、皆命を預けられるんですよ」

 

深雪が優しい眼差しで僕を見ている。達也達兄妹は話の行方を固唾を呑んで見守っているようだ。

 

「僕は深雪を幸せに出来無い」

 

「私は幸せですよ。お兄様と永遠に近い一緒に居られる機会を頂きましたから」

 

「でも、この世界の達也は、この世界に留まるんだぞ。一緒に居られなくなる」

 

「だから…嫌われるようなことを?」

 

この世界の深雪が抱きついてきた。

 

「あちらの世界の私と同様に、1年に1回逢えれば良いです。それでもダメですか?」

 

「達也はどう思うんだ?」

 

「深雪の意志を尊重します。だから…フィルターを通さず、妹を見て下さい」

 

「少し時間をくれ」

 

僕はこの場の雰囲気に負けて、逃げるように転移した。

 

-------

 

「何しに来たんだ?」

 

何故か逃げた先はエリカの部屋だった。

 

「つらい現実から逃げてきた」

 

「つらい?私のつらさはどうしてくれるんだぁぁぁぁ!」

 

相当、僕に怒りを持っているようなエリカ。

 

「どうすればいい?」

 

「えっ…」

 

僕の質問に戸惑うエリカ。紅髪と同じで、こいつも感情の起伏が激しいのか?

 

「どうすれば、エリカが納得できるんだ?」

 

「いきなり、言われてもなぁ…えぇぇぇっと…私とつきあってください」

 

フェードアウトしていくエリカの声。最後の方が聞き取りにくい。

 

「え?つきまといがいいのか?」

 

「違うわ!つきあってよ!あっ…」

 

顔と耳が真っ赤になるエリカ。

 

「深雪にも言われた…だから、ここに逃げてきた」

 

「えっ?深雪にも言われたのか?何で逃げるんだ?」

 

「僕みたいな禄でもない者とつきあわない方がいい。深雪は達也がお似合いだし、エリカはもっと良い巡り合わせがあるよ。だから…僕は止めた方がいい…」

 

「止めない!今がその良い巡り合わせだと思うの」

 

僕の目を真っ直ぐに見つめるエリカ。

 

「僕は妹を殺したことがある。そんな禄でも無い男だ。僕は彼女を殺したことがある。どうしょうもない男だ。だから、止めておけ。エリカを殺したくない…」

 

またも逃走する為に転移をした。

 

 

 

---エリカ---

 

亘…アイツ、何を言った?妹を殺した?彼女を殺した?はぁ?なんで?考えるよりも行動が先な私は、アイツの家に向かっていた。呼び鈴を押すと、いつものメイドさんでは無く、雫が出て来た。えっ?何で?

 

「エリカ…あっ、違うわよ。亘と同棲じゃないよ」

 

訊いてもいないことを答え、取り乱す雫。

 

「亘は?」

 

「出掛けているけど…用件は?」

 

「なんで雫がいるんだ?」

 

「いやっ…ほのかもいるよ。うんうん、亘の妹さんに習い事をしているんだ」

 

何故か照れている雫。あっ、妹さん…

 

「ねぇ、妹さんに会わせてくれ…お願いだ…」

 

-------

 

亘の妹さんの部屋に通された。彼女へ亘に言われたことを訊いた。

 

「そうですか。お兄様はまだ気にしているのですね。確かに殺されました。でもこうして生き返らせてくれましたよ」

 

生き返らせた?

 

「あれはしょうが無いんです。敵味方に分かれた戦闘でのことです。王が生き残ったチームが勝ちでしたから。私は全然、気にしていません…そうか、まだ気にしているんだ…」

 

亘の妹が寂しそうな顔で呟くように言った。

 

「後、彼女を殺した件ですが、あれもしょうがないんです。瀕死の彼女を治す事が出来ずに死なせてしまったんですよ。色々な書物を調べて、色々な術を覚えたそうですが、治せなかった…それは、確かに未だに黒歴史って言ってます」

 

亘は苦労しているんだな。

 

「で、エリカさんを殺すかもしれないってことですよね。それは、見殺しにするかもしれないってことです。ガード対象を見捨てて、仲間は救えないってことですよ。作戦に参加する以上、自分の身は自分で護れないと、連れ回れないんです」

 

自分の身は自分で…そうだよな。今までに2度、助けられているし…もっと、強くなれば…きっと…

 

 

 

---シュウ---

 

逃走の果てに、真夜の部屋でしっぽりとしている。真夜は実年齢の割に、若い身体だと思う。ただ反応が老獪な点を除けば、楽しめるんだが。

 

「で、他家からクレームはあったかな?」

 

「一条家から、深雪の婚約の件を…一条家の跡取りも入れろと。選択肢に魔法師では無い者がいるのはダメだって。シュウ様の力を知らない愚か者の戯言ですよ。ふふふ」

 

「それって、深雪が四葉の者って前提だよな?闇雲姓にしたのだから、魔法師では無い家柄同士で問題無いはず。そうなるとカラクリが、四葉家から情報リークがなされた可能性があるな」

 

「たぶん…分家筋とか数字落ちの仕業でしょうね」

 

う~ん…

 

「無理ヤリ深雪が一条家に嫁いだら、深雪の怒りに触れて一条家は全滅したり?」

 

「それは有りですわ♪」

 

真夜は楽しそうだ。でも深雪は楽しくないよな。一条将輝を潰すか…

 

「達也が次期当主については?」

 

「あぁ、深雪が次期当主だと思っている者がほとんどでしたから、青天の霹靂のようです♪」

 

そうだろうな。真夜が僕の上で楽しそうに跳ねている。次の一手はどうするかな。

 

 

 

---真由美---

 

九校戦が間近だと言うのに、亘君と深雪さんが欠席だと言う。

 

「達也君、どういうこと?」

 

「ちょっと、色々有りまして、亘は家出中で、深雪はショックで寝込んでいます」

 

はぁ?家出されたショック?深雪さんは重症のようだな。

 

「亘君はどこにいるの?」

 

「四葉家の本邸にいるって、連絡がありました」

 

四葉家の本邸?彼は何かを暗躍しているのか?家出はカモフラージュ…

 

「いつ戻るの?」

 

「あさって出発ですから、今日には戻ると思います」

 

達也君は涼しい顔で、何も心配をしていないようだ。やはり、何かのカモフラージュなのかもしれない。

 

 

 

---シュウ---

 

真夜の処からキャッスルドランへ寄り、荷物を手にして、家に帰宅。

 

「どうだ、雫、ほのか」

 

「感覚的には…しっくりこないというか」

 

雫の返事に、ほのかが頷いた。

 

「そう思って、これを二人にプレゼントだ」

 

少し大きめなキャリングケースを二人に手渡した。

 

「中には打倒深雪仕様のCADのモックアップが入っている。重さ、バランス共に実機と同じにしてある」

 

二人共ケースを開けて、CADのモックアップを手にした。形状は達也の拳銃タイプのパクりである。

 

「名前が入っている♪」

 

とほのか。それぞれのモデル名は雫モデル、ほのかモデルとしてある。ただ問題は1つだけある…

 

「ディープスノウって何ですか?」

 

グリップ部分にブランドロゴが入っているのが問題だった。向こうの世界で売り出す為に創ったパーツを流用している為だ。

 

「ブランド名だ。代羽周太郎氏のブランドなんだけど…有名では無いから、気にしないで…」

 

「ディープスノウって…訳すると深雪になるんだけど…何でですか?」

 

ほのかが気づいた。

 

「う~ん…代羽周太郎氏の奥様の名前だったかな?隣家の深雪と同名だけど別人だよ」

 

「「ふ~ん…」」

 

疑いの目で僕を見る二人…

 

「代羽周太郎って、確か…四葉家の本家別院の当主ですよね?亘さんは知り合いなんですか?」

 

って、ほのか。光井って3の数字落ちかな?本家当主宛の機密扱い文書の内容が漏れているし。

 

「知り合いだよ。一応、隣家の二人の後見人な関係でね。で、彼の工房の汎用部品を少し分けてもらったんだよ…ははは」

 

誤魔化す僕。

 

「ふ~ん。で、使い方は?」

 

切り替えの早い雫。助かったぁ~。

 

「オーラをグリップ分に集中して、引き金を引くと発動だ。で、それは練習用だから、発動はしない。その代わり、集中させたオーラが発動に充分な量になると、照準が光る。あと、軽くオーラを注いで、引き金を引くとレーザーマーカーになる。的に当たるように、握りの感覚を覚えてくれ。実機は当日の朝までに、届ける」

 

「「はい♪」」

 

「アスナ、バイクのメンテを頼む」

 

「了解です!」

 

後は…隣の家か…隣の家の呼び鈴を押すと、深雪が勢い良くドアを開けた。

 

「もう逢いに来てくれないって…不安で…」

 

僕に抱きつき豪快に泣いている。この世界の深雪の甘え方は半端無いなぁ。苦手ではあるが、悪くは無い。

 

「なぁ、家に入っていいか?」

 

「はい♪」

 

漸く家に入れた。リビングには達也がいた。

 

「決めてくれましたか?」

 

「何を?」

 

いきなり訊かれても、なんのことやら?

 

「深雪のことですよ」

 

あぁ…そうだな…コイツ置いて行くと、暴走して、世界が滅亡する気もするし…

 

「連れて行く。達也とは年に数回逢えるようにする。それでどうかな?」

 

僕の背中に抱きつき、頬を擦り合わせて、喜びを表現している深雪。

 

「良いと思います。ふつつかな妹ですが、よろしくお願いします」

 

達也の頭を下げられた。

 

「但し、あくまでシュウの婚約者だ。亘のでは無い」

 

「その設定面倒ですよ~」

 

不満げな深雪の声。

 

「神代家には迷惑を掛けられない。代羽家か鬼門家だけど、本名の方がいいだろ?」

 

「それはそうですけど…」

 

頬を膨らませて怒った顔を表現している深雪。単に微笑ましいだけなんだが…

 

「で、達也が寿命を満了した時に、魂を同化吸収させる」

 

「ありがとうございます」

 

達也にお礼を言われた。問題は深雪の扱いだ。

 

「深雪の扱いが問題だ。既にいるから…」

 

「あの私は凄く恐いですぅ~」

 

確かにビビっているよな。まぁ、あっちは行動を共にしている期間が長いし、案件もこなしているしな。

 

「妻という立場はすぐには無理だ。彼女が納得できないとダメ。いいな?」

 

「シュウさん、あいつのお尻に敷かれているの?」

 

頷く僕。赤い液体に怯まない彼女のプレイスタイルは好き♪

 

「エリカはどうするんですか?」

 

「無理だな。現状では…」

 

危険な世界へは連れて行きたくない。

 

「現状ではですね」

 

含み笑いをしている達也。いや、絶対に…のはずだよ。うんうん…

 

 

 

-------

 

出発前日。学校は休み。機材の運び出しをする。

 

「克人、バスの点検を頼む」

 

「了解だ、亘」

 

「服部、ルートの確認を頼む」

 

「あぁ、亘。わかった」

 

「ふふふ、亘君が責任者みたいねぇ♪」

 

真由美が抱きついて来た。胸の感触は嫌いでは無いが、エム体質なのがちょっと…

 

「ゼノヴィア、バスの駆動系をチャックしてくれ」

 

「はぁ~いよ~!」

 

「幹比古、悪い…バスの結界を確認してくれるか?」

 

「了解!」

 

「で、深雪さんは調子はどうなの?」

 

僕の頬に自分の頬をスリスリしている真由美。

 

「大丈夫です。明日、バスに乗せます。あぁ、生徒会長、宿泊施設の部屋割りは?」

 

「一人部屋と二人部屋になるわ。亘君は子守りをお願いね」

 

子守り?

 

「誰の子供?真由美の?」

 

「違うわよ~!あんたの彼女よ!」

 

急に怒りを纏った声の真由美。あぁ、深雪かぁ…まぁ、夜中に暴発すると危険だな。

 

「真由美は一人部屋?」

 

「摩利と同室よ」

 

「そうなると、僕のメンテ部屋をお願いします。深雪とはライバル関係ですから、手の内は秘密にしたいので」

 

「メンテ部門は一人部屋を用意している。亘君の部屋も用意してあるわ。但し、ベッド無しよ!」

 

それは、寝る時に、深雪と一緒に居ろってことですね…

 

「あんなに、甘えん坊だとは思わなかったわよ!異常なレベルと思わない?」

 

「思います。1日逢わないだけで、学校休むって…異常ですよね」

 

「大会期間中は、夜這い禁止だからね!用の有る時は、明るいうちに、呼び出すわよ♪」

 

それは昼這いってことですか…なんか、大変な期間になりそう…

 

「雫さん、ほのかさんはどう?深雪さんに勝てそう?」

 

「決勝まで行ければね。今開発中なのは対深雪戦の為だけのヤツだから、他の相手には効果無いし」

 

「汎用にならないの?」

 

「今から設計変更は無理ですね」

 

「まぁ、楽しみにしているわ♪」

 

本当に楽しそうな真由美であった。

 

 

 

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