---シュウ---
気持ち良く寝ていたのに、ドカドカと入ってきた者達に起こされた。何だよ~徹夜明けだぞ~
「亘くん、すっご~い♪」
真由美の声。強引に上半身を起こされて抱きつかれた。
「やられましたよ」
達也の声…
「まさか、2戦ともオウンゴールとは…」
弱々しい深雪の声…
「ありがとう、亘」
雫の声…
「ありがとうございます。良い想い出が出来ました」
ほのかの声…
「それでさぁ、もう1試合担当しない?」
真由美が…はぁ?もう1試合?
「何?」
「深雪さんがリベンジしたって♪」
深雪が出るのは、ミラージ・バットだっけ?えっ?
「飛行デバイス…」
「そう、飛行デバイス対決よ♪九島先生も見たいそうなの。エキシビションマッチって感じなんだけど…」
「エキシビション?特別試合か?」
眠気が飛んでいく…
「シュウさん、もう1回、お願いします」
深雪が僕に頭を下げて来た。う~ん…
「達也の飛行デバイスだろ?アレに勝つには…で、誰が出るの?」
「亘…私が出る」
雫が名乗りを上げた。
「僕の飛行デバイスは、特訓が必要だよ。う~ん、最終日の最終試合にしてくれる?」
「うん♪ありがとう、亘君」
僕の頬にキスをして部屋を出て行く真由美。
「特訓って?」
雫が恐る恐る訊いてきた。
「今度は手の平で無くて、背中に集めるんだ」
「えぇぇぇぇ~!背中?」
「ヤルからには勝つぞ。最強のデバイスを持ち込む。それを使いこなせ、雫!」
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雫の背中を採寸。接地面を有効的にする為だ。ここで、マズいことに気が付いた。
「なぁ、雫…マッハ5くらいのGに対応できるか?」
「はぁい?マッハ5?無理ですよ。私、高校生ですよ」
「あぁ…そうだよな…あっ!いた♪」
真由美にスマホで連絡した。選手交代のお知らせだ。エキシビションなので、正式な選手で無くても良いかの確認をして、了承させた。
「雫でなくて、経験者のゼノヴィアだ」
「まぁ、確かに、私なら専用ユニットを持っているが…アレ使っていいのか?マッハ10くらい出るぞ」
「お祭りだし♪」
「まぁ、深雪を絶望にするのもいいな♪」
僕とゼノヴィアの悪巧みは始まった。
----真由美---
雫さんから、スペック表を渡された。固まる私。なんだ…この値は…最高スピードがマッハ10って…亘君は軍用を持ち込むのか…
当然のように呼び出した亘君。寝不足で機嫌は悪い。でも…
「何?マッハ10って軍用?」
「違うよ、ゼノヴィア専用機体のスペックだよ、非売品だけどね。練習用と思ってくれるといいかな?」
練習用でマッハ10は有り得ないでしょ?
「練習っていっても飛行練習用では無いから。あくまで耐Gの練習用だよ」
耐G?
「まぁ、広い宇宙…色々な環境があるからね」
はぁ?
「でもミラージ・バットだとマッハ1も出せないんじゃないかな?Gが大きくなると回転半径がでかくなるから」
そうかもしれないけど…
「たぶん、ミラージ・バットだと深雪の方が勝つとは思うけど…」
けど?
「まぁ、接触事故…ふふふ」
こいつ、相手が彼女であっても、やらかすつもりだな…
---シュウ---
大会3日目。新人戦のモノリス・コード予選で事故が発生した。相手チームがフライングでオーバースペックの攻撃をして、廃墟ビルが崩壊して、一高の選手が全員病院送りにされた。不戦勝ではあるが、代わりの選手がいない。で、誰を出すかで会議中らしい。
ドンドンドン!
ドアが激しくノックされている。ほのかの胸枕で雫を掛け布団にして寝ている僕…
「亘君…起きて!」
真由美の声だ…また、問題発生か?ベッドから抜け出し、雫達に布団を被せて、僕はバスローブを着て、応対に出た。
「どうしたんだよ」
僕の姿を見て固まる真由美。
「昼間から誰と寝ていたのよ~!」
「えっ?雫とほのか…眠い…」
「シャワーを浴びて、服を着て、10分後に作戦会議室に来なさいよ!」
バァン!
勢い良くドアを閉めていった真由美。何を怒っているんだ?シャワーを浴びて、服を着て、二人にキスをして、会議室に向かった。
「どうしたんだよ…真由美…」
「ねぇ、モノリス・コードに出てくれない?」
「僕はエンジニアアドバイザーだよ…ふぁぁぁぁ~眠い…」
「他にいないの!ねぇ、何でもするから」
「女に二言は無いな?じゃ、深雪と達也を結婚させてくれ」
「はぁ?」
「なんで?」
あっ、しまった…深雪がいた…
「なんで?一緒になってくれるって言ったよね?ねぇ、言ったよね?」
僕に縋り泣き始めた深雪。
「って、ことで、深雪ちゃんに責任は取りなさい。で、参戦決定よ!異論反論は認めないからねっ!」
えぇぇぇぇぇ~!
「達也君と、亘君…後一人はどうしようか?」
「警備にいる幹比古か、レオでお願いします」
達也がリクエストを出した。
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僕達の部屋で作戦会議。真由美、克人に、達也、レオ、僕と、僕の腕をホールドして離れない深雪。
「ようは、相手を全員屠ればいいんだろ?」
「ダメだよ、殺したら」
僕の案を却下する深雪。
「まぁ、屠らないまでも、全員戦闘続行不能に出来れば良いんだよ」
って、達也。
「魔法なら、何でも有り?」
「う~ん…やらかしそうだよね、亘君は…」
って、僕を選んだ真由美。
「双方のモノリスを破壊すれば、殺し合いオーケー?」
「だから、ダメだよ~」
深雪に拒否された、う~ん…眠くて苛ついている僕。
「俺とレオで守備をする。亘が攻撃だ。殺さない程度に好きしていいぞ」
って、達也。
「オーバースペックになると思うんだけど…って、言うか、僕の魔法にスペックが無いんだけど、そこはどうなの?」
魔法師の魔法とは違うので、CADでのスペック調整なんか出来無い。
「確認したけど…う~ん、グレイゾーンよね」
「そもそも、どこまでが物理攻撃になるのかも、わからない」
「魔法攻撃ならオーケーだけど…」
「大系は問わないんだな?」
「殺さなければ…」
「瀕死ならオーケーでいいか?」
「禁術系?」
「だ♪ダメなら降りる」
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翌日、ジャングル戦…達也が攻撃で、僕とレオは防御になった。
「おい、亘。二人来たぞ」
『地獄の業火』で焼く。
「死んだのか?」
レオが訊いてきた。
「瀕死状態だ。これ以上威力の弱いのは難しい」
残り一人を達也が仕留めて終了。
「もっと弱いのは無いの?」
真由美に言われた。
「無い。じゃ、降りる」
「ダメよ。もう…続けて…よ…」
---一条将輝---
一高のアイツが派手に暴れている。俺を肥だめに落とすって、有り得ない攻撃をしたアイツだ!
「ジョージ、あいつのことをどう思う?」
相棒のジョージに訊いてみた。
「化け物だ。CAD無しであのスペックは脅威だよ。それにノーアクションだし」
確かに…脅威だな。
「司波達也はどうだ?」
「派手さは無いが、コイツも化け物クラスだな」
「アイツらを倒して、深雪さんの前から悪い虫を退治してやる!」
って、目の前から深雪さんと…えっ?深雪さんの胸の谷間に腕をホールドされている神代がやって来た。ふざけるなよぉぉぉぉ~!
「おい、貴様!俺の婚約者に何をしているんだ?」
「うん?あぁ、臭い臭いと思っていたら、肥だめ男君じゃないか」
えぇぇぇぇっ?アイツの言葉で鼻を摘まむ、深雪さん…
「貴様…」
咄嗟にCADを手にして、アイツに向けて…気づいたら再度、肥だめに放り込まれていた。くそっ…あの野郎!殺してやる!
---シュウ---
「シュウさん、彼はどうしたんですか?」
深雪に訊かれた。
「クソだから、肥だめに強制転移した」
「また…一応、プリンスらしいですよ」
「僕はキングだよ、深雪」
「ですね♪」
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モノリス・コードは順調に勝ち進み、あの肥だめ男チームと決勝を争うことになった。
「達也、どうする?」
「モノリス・コードで肥だめ攻撃はダメですよ」
って、達也に訊いたのだが、深雪が答えた。
「ダメなの…」
良い手だと思ったのになぁ。
「マジか?お前、やろうとしていたのか?」
レオが呆れて言う。力無く頷く僕。
「亘が攻撃で、俺とレオで護ります。恐怖を刻んで来て下さいよ」
「恐怖なぁ…闇系で行くか?それとも、プリンスの醜態でも晒すか?」
「あっ…肥だめを創って落とすのもダメだよ~」
あっ、深雪に読まれた。ダメなのか…痰壺なら良いのかな?
「速効で倒すのはつまらないよな…う~ん…」
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そして、決勝がスタートした。速効で『天の裁き』を発動して、将輝以外を雷撃で狙撃して潰した。将輝は、狼狽えているように見える。相棒のシンクロ君が全身から煙を上げているし。
「どうした?ギブアップか?」
「ふざけるなよ!この化け物め!」
攻撃が僕に放たれてきた。僕は避けずに、すべて透過させていく。
「効果無いだと?この化け物め!」
「それって、差別発言だよね?あぁ、将輝君の得意技って、言葉責めかな?」
オーバースペックを連発してきた。すべて透過させていく。将輝は距離を縮めて来ない。僕の攻撃範囲はショートレンジと読んでいるのか?
『催淫』を発動…全身をピクピクさせている将輝。
「どうしたんだよ?痙攣か?あぁ、恐怖で筋肉が萎縮したのかな?お坊ちゃま君♪」
『這い虫』を発動。表皮に見えない虫達が這うような感覚を与える幻術系である。
「うぐぅ…貴様…うっ…うげっ…」
殺さない術なぁ…あっ、将輝が鼻血を垂らしてきた。興奮しているのか?
「うっ!」
膝からくずれる将輝。達したようだ。
『淫乱百鬼夜行』を発動。百匹の鬼達が魑魅魍魎を連れて、将輝をレイプする…まぁ、エロ系ですね。将輝にしか見えない妖しい者達。
「うごっ…やめ…ぐぇっ…」
口から大量の体液を出し、四つん這いになり、お尻を突き出し、前後に動く。そして、体力の限界を迎え、地面にひれ伏した。仕上げに、アイツの真下に痰壺を創造して、そこに落とした。
試合終了だ♪
「なんか、惨い勝ち方だな」
って、レオ。
「だって、殺すなって…あんな程度だよ。殺さない術って…」
「殺された方がマシな気がする…かわいそうに、醜態さらしまくりだな」
相手に同情するレオ。応援席の前に3人で並び、応援してくれた人達に頭を下げた。
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控え室…
「なんか、惨い勝ち方じゃない?」
って、真由美。
「真由美が殺すなって言ったんだろ?」
「いや、言ったけど…」
「はい♪」
深雪が紙を差し出して来た。何、これ?えっ?婚姻届け?
「何、これ?」
達也に渡した。吹き出す達也。あきれる真由美。
「アイス・ピラーズ・ブレイクで、私が負けたら、シュウさんと結婚するって約束したもん♪」
したっけかな?
「うん?シュウって誰だ?」
レオが訊いてきた。
「亘さんの本名♪」
嬉しそうに答える深雪。驚くレオ。
「まさか、深雪さんのもう一人の謎の婚約者候補って…」
「亘さんですよ。シュウ・ヨハネ・鬼門さんでぇ~す♪」
とっても、嬉しそうな深雪。嬉しさに暴走しているようだ。逆らっても、きっと意に返さないだろう。言わば、最強状態の深雪…
「でも、これって…この国の婚姻届けだけど…」
一応、指摘はしておく。
「そうですよ。この国で、まず結婚してください。お願いします」
達也を見ると、笑いを堪えて頷いている。真由美と克人も笑いながら、見届け人欄に記名しているし…
「ありがとうございます。では、出して来ます」
「僕が書いていないよ?いいの?」
「はい♪シュウさんの分は、お姉様が代筆してくれました♪」
姉ちゃん…なんてことを…深雪はマジで提出しに行った…
「亘、弟って呼んでもいいかな?」
嬉しそうな達也。ダメージ大で凹んだ僕。
「まぁ、戦勝記念ってことかな」
って、真由美…お前…
「今日は私で無くて、新妻とでしょ?亘くん♪」
真由美ごときに…虐められる日が来るとは…
「まぁ、これで彼女に悪い虫は付かないでしょ」
僕の肩を揉みながら真由美が言った。
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夜、モノリス・コード新人戦優勝と、深雪の婚姻記念のパーティーが、仲間だけで開かれた。克人の手配で、役所まで送ってもらった深雪が提出してきたそうだ。はぁ~、コイツら…
「亘…愛人でもいいよ」
雫が頬にキスをしてきた。
「だから、これからも調整を頼みたい…私の身体も きゃっ♪」
真っ赤な顔の雫。
「あぁ、よろしくな、雫、ほのか」
二人の頭をいつものように撫でてあげる。
「そんなに落ち込むなよ」
って、克人…二人でベランダで夜風に当たる。
「あのナンバーなぁ偽造だ」
「大丈夫ですよ。巣穴を大掃除しました。ノーヘッドドラゴンの賭けのせいです。一高が優勝すると、アイツらが大損するらしくて」
「そんなことの為に?」
「理由なんて、そんなものですよ。アイツらにとってのね」
「お前一人でやったのか?」
「手を汚すのは僕一人でいいんですよ。僕以外誰も巻き込みたくない」
「男二人で黄昏れるなよ~!」
って、真由美が近づいて来た。振り返り様に、彼女の唇を奪う。はっとした表情の真由美。僕は真由美に抱きつく事無く、深雪の元へと向かった。