※この作品はR-18です。

神器なき男2   作:もっち~!

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九校戦 Part3X

---シュウ---

 

新婚初夜…特に感慨は無い。深雪にとっては…感慨深いようだけど…

 

「シュウさん…」

 

僕と見つめ合って、軽く目を閉じた深雪。彼女の額に軽く口づけをした。意外だったのか、驚いて僕を見つめている深雪。

 

「どうして…」

 

瞳にジワジワと涙が浸み出していく。

 

「夜明けまでには帰る。これから大切な用事が有るんだ」

 

「私よりも?」

 

「深雪よりも…いや、深雪と同じくらいだ。朝までに終えないとダメな用事だ。手遅れになると…たぶん、僕は耐えられない」

 

僕の肩に縋る深雪。

 

「わかりました…待っています…戻って来てくれますよね?」

 

「当たり前だ。戻って来るよ」

 

僕は彼女の唇に軽く口づけをしてから転移をした。

 

 

 

---エリカ---

 

ミキからメールが届いた。亘と深雪が婚姻したという知らせだった。涙が止まらない…叶わぬ…心にぽっかりと穴が空いた。これからは、彼から受けるスルーは、別の意味なんだろうな。散々怒らしたからなぁ。しょうがないのかな…脳裏では、彼との思い出がゆっくりとかみ締めながら流れて行く。

 

心を落ち着かせてから、シャワーを浴びる。皆に見られても、問題無いように身体の隅々を清めていく。バスタブにお湯を張り、身体を湯に鎮める。そして、手にはカミソリを持ち…精神を統一し…

 

ドン!ドン!ドン!

 

精神統一をしていたのに、ドアを荒々しく叩くヤツがいる。彼か?な、訳無いか…もう誰にも会いたくないし。

 

ガチャ!

 

鍵を解錠したのか、ドアの開く音。そして…ドカドカと複数の者達が入って来る音…

 

「エリカ!何をしているんだ、お前は!」

 

目の前にアニキと兄様が現れた。えっ?どうして?なんで?

 

「弟の言う通りだったな。アニキ」

 

「あぁ、危なかった…はぁ~」

 

弟?私にはいないけど…私の知らない弟がいるのか?

 

「お前、思い詰めると一直線だもんな。コレを着て、こっちへ来い!」

 

兄様からバスローブを渡された。どうして?戸惑う私。なんで、ここにいるの?

 

バスローブを着て、兄二人の前に。二人とも私を睨んでいる。

 

「弟からお前に、贈り物だ!」

 

1通の封書が渡された。弟?誰のことだ?封書を受け取り、中身を確認する。1枚の紙切れが入っていた。何かの書類の写しのようだけど…行政の受け取り印がある。なんだ、これは?

 

『婚姻届け』

 

って、文字が目に入る。誰の?二人の名前が並ぶ…えっ?何かの間違いだろ?いや、悪戯なのか?

 

「これって…悪戯か!」

 

怒りを二人の兄に向けた。有り得ない夫の欄の名前…

 

「悪戯?警官の俺が文書偽造なんかするわけないだろうが!」

 

アニキの言葉…でも、有り得ない。だって、彼は…

 

「彼の裏技だ。多重戸籍持ちの弟のな」

 

と、兄様。あ…弟って、そういう意味か…彼は兄二人にとっての義理の弟になったのか。

 

「夜中に突然現れて、エリカが危ないってさぁ…まぁ、彼には恩があるから、彼の言う通りにしたけど」

 

「夜勤中に、いきなり拉致されたぞ。おかげで、大切な妹を失わないで済んだ。また、彼に恩を…まったく、俺達の自慢の弟だよ」

 

立ち会い人欄には兄二人の名前が記名されており、役所の受領印が押されていた。

 

「だから、早まるなよ。エリカ…」

 

兄二人が暖かいオーラで私を包んでくれている。

 

「あぁ、彼にお礼を言いに行くなよ。これから新婚初夜だそうだから。新妻を明け方まで待たして、お前なんかの為に動いてくれたんだ。今日は接触するなよ」

 

そうか…深雪を放置して…アイツはバカか?私なんか、いつのも様に、スルーすれば良いのに…

 

 

 

---シュウ---

 

明け方戻ると、深雪が…寝ていた。泣き疲れたのか、ベッドの上で正座して寝ている。その目は真っ赤に腫れているし。彼女の隣に座り、天使の翼を展開して、彼女を包み込む。

 

嫉妬という心の闇を浄化していく。目の腫れを癒やしていく。横にして、隣に添い寝した。

 

 

目覚めると、有り得ないシチュエーションの渦中にいた。両サイドに誰かがいる。一人は深雪だと思う。もう一人は誰だ?真由美にしては胸が小さいけど…

 

僕の両耳には何か柔らかい物が押し付けられている。それからは、生暖かい液体が染み出ている。僕が普通の人間だったら、中耳炎確実だと思う。

 

僕の括れ部分には、たぶん胸だと思うんだけど、2つの谷間にホールドされている。気持ちいいのだが、なんでこんな状態に?

 

そして、僕のアレは2枚の舌で舐められている。2枚の舌が競う合うように舐めている。気持ちはとてもいい。夢なら醒めないでって感じだけど…

 

ドンドンドン!

 

ドアが激しく叩かれていた。あの音で目が醒めたんだな。

 

「亘君、急用よ!起きなさい!」

 

真由美の声だ。僕は僕をホールドしている者達を透過して、ベッドを抜け出し、バスローブを着た。僕がベッドから居なくなったことに驚く深雪とエリカ…えっ?なんで、エリカがいるんだ?はて?

 

「亘君!どうしたのよ~!」

 

真由美が五月蠅い。ドアを開けて対応する。

 

「ごめんなさい。新婚初夜なのに…」

 

二人から見えないので、真由美に軽く口づけをした。

 

「落ち着けよ、真由美。どうしたんだ?」

 

僕の唇があった場所を指でなぞっている真由美。

 

「あぁ、10分後に作戦会議室に来て!15時からもう1試合に出て貰うから」

 

言い終わると、割と濃厚な口づけを返して来た真由美。

 

「頼むわよ♪」

 

僕に笑顔を向けてから、去って行く。なんだろう?シャワーを浴びる。深雪とエリカも乱入するが、3人で入るには狭いシャワールーム。水気を拭い、制服を着て、会議室へと向かう。

 

「あれ?エリカもか?」

 

達也が、エリカに気が付いた。

 

「あっ…まぁ…色々と…」

 

口ごもるエリカ。勘のいい達也は、何かを感じ取ったようで、僕に笑顔を返して来た。

 

「九島閣下のご希望でね。モノリス・コードの決勝に出て欲しいの」

 

新人戦では無く、本戦の決勝?

 

「だって、代表選手がいるでしょ?二科生の、それも補欠でも無い僕が出るのは、失礼だよ。あんな爺の要望でさぁ!」

 

爺のワガママに抗議してみる。

 

「本来のメンバーは、亘と達也なら、問題無いって結論だ」

 

と、服部。

 

「どうだ、亘。俺と達也と亘で参戦しないか?」

 

と、克人。

 

「一瞬で終わらせてもいい?」

 

「あぁ、殺さなければな」

 

「了解だ、克人」

 

--------

 

徹夜明けに近いので、速攻で行こうと思う。達也も克人も好きにしていいって言っているし。対戦フィールドに行き、作戦タイム中に、相手の位置を捕捉した。そして、対戦開始の合図と共に『天の裁き』で天空から3筋の稲光を落とし、相手を全員狙撃した。直後、終了の合図が鳴り響いた。

 

克人と達也でさえ、呆気に取られている。

 

「じゃ、寝るから…後は頼む」

 

僕はその場から転移した。

 

 

 

---エリカ---

 

兄二人と兄様の女の摩利の4名で、亘の試合を観覧していた。見るからに不機嫌な亘。作戦タイム中なのに、亘も達也君も十文字先輩も口を開かない。あの3名は仲が悪いのか?

 

そして、試合開始の合図。いきなり、空から3筋の稲光…開始の合図が鳴り響いている上から、終了の合図が鳴り響いた。

 

時間が止まったかのように、観客、達也君、十文字先輩が固まった。何が起きたのだ?呆気に囚われる全員。

 

「なんだ、今の…速攻だよな」

 

アニキが口を開いた。

 

「あぁ、あんな攻撃あるのか…って、誰が撃ち込んだんだ?3名とノーアクションだったぞ」

 

と兄様。

 

「たぶん…亘君…ノーアクションから撃ち込めるから…」

と兄様の女。

 

「あんな暗殺者がいたら、捕まえるなんてできない」

 

アニキが目を見張っている。観戦用のモニターに、何度も今の試合のシーンが再生される。微かに亘の指が動いただけだ。

 

「エリカ…とんでもない男を旦那にしたなぁ…」

 

「えっ?旦那?エリカ…亘君と…」

 

兄様の女に尋ねられたが、スルーだ。私は再生シーンを見るのに忙しい。

 

 

 

---シュウ---

 

夕食の時間に合わせて、宿泊場所に戻ってきた。僕専用フィールドで、睡眠を取ってきたのだ。部屋には深雪とエリカがいた。

 

「ただいま…」

 

僕の声に反応した二人…

 

「おかえりなさい♪」

 

「どこに行っていたんだ?」

 

「一人で寝られる所。徹夜明けで、一仕事って有り得ない…」

 

「どうして、言ってくれないんですか?エリカとも籍を入れたことを!」

 

深雪が猛抗議してきた。

 

「言う時間というか、余裕が無かった。すまない」

 

深雪を抱き締める。

 

「お前、今後どうするんだ?」

 

って、エリカ。

 

「ノープランだよ。だって、深雪がこんなことするなんて、予想外だったし」

 

青天の霹靂だ。姉ちゃんにやられた感が強い。あっちの世界の司波兄妹も関与している気がする。

 

「ごめんなさい」

 

暴走状態では無い冷静沈着な深雪が謝って来た。

 

「勢いで…まさか、エリカが…ごめんなさい」

 

エリカにも謝る深雪。

 

「いや、謝らないで…私もこんなことになるって、思わなかったから」

 

「そうだな…大きな家が欲しいな。深雪とエリカ、後達也と住むには、あそこでは狭いし。雫とほのかが下宿するしなぁ」

 

そこに内線電話で夕食の連絡が来たので、三人で食堂へと向かった。

 

------

 

ケーキをお皿にてんこ盛りして、食する。

 

「そういや、エリカ、バイトは?」

 

「あ?あぁ、アニキ達にな、バイトするなって…仮にも神代家の嫁が何をしているんだって…」

 

真っ赤な顔で俯くエリカ。

 

「えっ?千葉さん…亘君と?亘君、重婚?」

 

真由美が驚くように声を上げ、仲間達が僕を注目した。

 

「重婚ってことは無いよ。戸籍には配偶者は1名しか記入できないし」

 

「じゃ、どういうことよ!」

 

バン!

 

テーブルを叩く真由美。どうした?エキサイトしすぎだぞ。

 

「たぶん、今夜辺りに、各家の当主宛に連絡がいくと思うけど…深雪は鬼門家名誉当主の妻で、エリカは神代家当主相当の妻だよ。僕…戸籍が3つあるから…」

 

僕のドロップアウト発言で、皆驚きの声を上げた。

 

「はぁ?3つ?」

 

「だって、一人で当主を3つも兼務できないでしょ?」

 

真由美だけに言い訳する僕。

 

「なら、残り1つは空いているのかな?」

 

真由美の目が妖しく光った気がした。狙っているのか?

 

「まぁ、空いているけど、止めた方がいいよ、代羽家は…粛正対象だし」

 

「おい!粛正ってなんだ?」

 

克人が喰い付いた。

 

「言葉の通りだよ。僕が代羽家最後の一人…粛正から逃れたんだ」

 

僕の二度目のドロップアウト発言に固まる仲間達。

 

「化け物って言われるのはその辺だよ。粛正包囲網から逃れてきたんだからね」

 

固まるみんなを尻目に、ケーキを頬張る僕。

 

「それでも、名乗りたいって言ったら?」

 

って、真由美。

 

「後悔させる自信は有るけど、いいかな?」

 

「ふ~ん、後悔ねぇ…させられるのかな?亘くん♪」

 

真由美が笑顔を浮かべた。僕の本質に気づいているのかな?真由美のくせに…

 

--------

 

翌日、ミラージ・バット新人戦の決勝が開催され、深雪が圧勝した。そして、今夜エキシビションマッチが行われる。それをもって、全試合終了になるらしい。

 

「どう?深雪さん対策は出来た?」

 

真由美に訊かれた。

 

「どういたぶるかな…」

 

「いたぶるのか?」

 

って、エリカ。

 

「だって、試合は勝て無いから…」

 

いや、勝てる方法は見いだした。深雪の動きを封じながら、得点を重ねるのだ。

 

「お嫁に行けない姿にしようと思っていたんだけど、もう嫁になっているしなぁ…」

 

ずっこける二人。

 

「お前…何をしでかすつもりだったんだ?」

 

「衣装を切り刻んで、全裸に…」

 

「それは惨すぎるから、ダメよ!」

 

ダメだろうな…だから、コチラからは衣服には撃ち込まない。ふふふ

 

「うっ、悪そうな顔だな、亘」

 

エリカが引いている。

 

------

 

試合開始5分前、キャッスルドランから、ゼノヴィアと共に降下した。徐々に会場の灯りが見えて来て、大きくなっていく。

 

そして、着地。

 

「おまたせ♪」

 

まさか、上から入場するとは思っていなかったのか、達也と深雪を含めた全員が驚きの声をあげた。

 

「上から入場って…有り得ない…」

 

深雪の精神にダメージを与えたかな?ふふふ♪ゼノヴィアは既に、飛行ユニットを装備済みである。

 

「その背中のユニットがそうですか?」

 

達也に訊かれた。

 

「そうだよ。ゼノヴィア、作戦通りに行け♪」

 

「了解です。団長」

 

「作戦?」

 

怪訝な顔になる達也。

 

「チームシュウの戦闘能力を見せてやれ」

 

「はい♪」

 

達也と深雪に死を感じるオーラを放っていく。顔色が悪くなっていく兄妹。いや、小細工無しだと勝て無いと思う。ハンデ代わりの小細工だ。

 

そして、開始の合図。ゆっくりと上昇する深雪。それに対して一気に目標高度に達するゼノヴィア。そして、目標高度に達すると、姿が見えなる。

 

「見えない…何をしたんですか?」

 

「ホログラム投影できる範囲の周囲を、高速で周回させているだけ」

 

「周囲を?」

 

「深雪は大体中心辺りにいるよな?周囲からスティックによる飛ぶ斬撃を中心に目がけて撃ち込む。深雪はどうなるかな?」

 

僕の言っている意味を理解した達也の顔から血の気が失せていく。

 

「あぁ、達也。手出しはさせない。結界で封じ込ませてもらったよ。介入されると、ショウが不発になるから」

 

「深雪の味方では無いんですか?」

 

「僕は性癖の破綻したドエスプレイヤーだよ♪」

 

「こんな時に…何を…」

 

「それにこれくらいの攻撃から生き残れないと、連れて歩けない。言っている意味わかるよな?」

 

「これで戦闘不能になれば、この世界から連れ出さないってことですか?」

 

頷いた僕は上空を見上げた。

 

 

 

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