リベンジX
住宅街に響く轟音。
人々が寝静まった夜中に、突然起きた惨事…先程まであった住宅が2戸とも無くなっていた。住宅のあった場所には大きな穴が2つ、口を開いている。
---響子---
真田隊長から緊急連絡が入り、現場に急ぐと、達也君の家が無くなっていた。隣の家もだ…何が起きたのだ?監視カメラの映像をチェックしていく。
爆裂魔法を受けた後に、加重魔法で爆風は地面方向に向かって撃ち出されているようだった。これって…
「藤林です。一条将輝と吉祥寺真紅郎の所在確認をお願いします。魔法を見る限り、彼らの連携プレイに見えます」
隊長へメッセージを入れた。あれ?今、穴に誰かが入っていったように見えた。監視カメラの映像をチェックしようとすると、砂嵐状態であった。車を降りて、カメラの確認すると、レンズ部分を狙撃されたようだ。
ヤジ馬が増えていく、警察、消防も駆けつけてきた。車に戻り、次の命令を待つことにした。
---真由美---
達也君の家と亘君の家が、何者かに襲撃された。学校内はその話題で持ちきりである。
「七草、何か情報はあったか?」
十文字君が生徒会室に入るなり、声を掛けてきた。
「何もないわ。達也君達。大丈夫かな?深雪さんはあんな状態だったし」
グッタリとした姿の彼女を、脳裏に浮かべた。
「う~ん、奇襲だとすると…亘ですらダメだったしな…」
ダメかな…
「会長、会頭、まったく手がかりが無いそうです」
情報を収集をしに行ってくれたはんぞー君が戻ってきた。
「あの家に向けた監視カメラが数台あったのですが、どれも破壊され、録画データも総て消去されていたそうです」
計画的な犯行のようだ。
「七草、変なマネをするなよ」
十文字君が忠告をしてきた。達也君から1と7が怪しいと言われたし。
「私は何もしていないわよ!」
「おまえがやったとは言っていない。探るなってことだ」
あぁ、そういう意味か。家の中でこそこそするなか…でも…
---克人---
翌日、信じられないメールが数字付き家系の当主宛に届いた。
『この度、四葉家元次期当主候補の司波深雪と一条家次期当主一条将輝、四葉家次期当主司波達也と七草家長女七草真由美が婚姻したことをお知らせします』
と、一条家と七草家の当主の連名で送られて来た。貼付データには、それぞれの結婚式の画像が付いる。
「う~ん…緊急動議による師族長会議の日に…何をしているのだ、1と7は…」
当主である父は、激怒している。有り得ない。家があんな状態で翌日に結婚式?いや。七草は昨日、何も言っていなかった。これって…
「おかしいです。何かの陰謀では?」
昨日の七草の様子を、父に伝えた。
「あぁ、おかしいな。そもそも深雪さんは既に婚姻しているはずだ。離婚したとしても半年は再婚できぬはずだ」
何がどうなっているのだ?
---シュウ---
ヴィジョンで見た通りの展開だ。今度はヘマをしない。真夜と共に師族長会議の会場へ向かう。
「達也さん達は?」
真夜に訊かれた。
「確保してある。今回の緊急動議に絡めたんだろうな、アイツらは」
「彼らの誤算は、あなたを怒らせた事ですか?」
「まぁ、そんな感じかな?ただ、黒幕がわからない。7が黒幕では無いだろ?」
「弘一さんですか?そこまでの度胸は無いでしょ」
「こませを蒔いて、吊り上げるしか無いかな」
-------
あの事件が起きる1時間前くらい、僕は達也の家を訪れた。
「シュウさん、おかえりなさい」
「挨拶は後だ、引っ越しする。達也は必要な物を指示してくれ。時間が無いんだ」
僕の連れて来た仲間達に指示をする達也。僕は深雪の部屋に向かった。
部屋に入ると僕の気配で、目を醒ました深雪。
「おかえりなさい…」
「深雪、引っ越しだ。荒っぽいけど強制転移するぞ」
えっ?って顔の深雪。構わず、部屋の中身ごと強制転移させた。リビングに戻ると、達也が僕を待っていた。
「どういうことですか?」
「もうすぐ、ここは奇襲される。だから、引っ越しだよ、達也♪」
詳しい説明する時間が無いので、達也も強制転移させた。そして、予め造って置いた達也と深雪の覆製を、彼らの代わりに置いておく。完全コピーでは無く、改造コピーである。敵にニセモノと疑われない程度の能力と記憶だけをもたせてある。悪用されると困る能力と記憶は持たせていない。
「後は頼むよ」
彼らに埋め込んだ人工知能に指示を出した。
「「了解です♪」」
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空気と同化して、家を監視する。人々の寝静まった頃、将輝とシンクロの覆製が2体ずつ現れて、僕の家と達也の家を、まるでバンカーバスターでも撃ち込まれたように破壊した。
その後、気配を消し、コピー体達は達也の家のあった場所に開いた穴に入り、達也と深雪の覆製体を担いで逃げていった。
仲間に合図して、追尾をしてもらう。
新居に帰ると、達也と深雪が緊急ニュース番組を見ていた。
「あのままいたら…」
「敵に連れ去られていたな」
深雪の治療を開始してくれているアーシア、白音。だいぶ顔色が良くなっている。
「何者ですか?」
「まだ追尾中だ。実行犯は肥だめ男君とその相棒の覆製体が2体ずつだ」
「一条と吉祥寺が二人ずつですか?」
達也が聞き直してきた。
「そうだ。危惧していた使用方法をしてきた。あの二人の覆製体が大量にあると、達也でも対処は難しいだろ?」
「えぇ…発動するまでに術解しきれるか、数にもよりもますね」
「で、敵は深雪と達也の覆製体を作るつもりだ。瀕死で手に入れば良いから、あんなことをしたんだよ」
「許さない…」
元気なってきた深雪は怒りに満ちあふれていく。でも僕が頭を撫で、その怒りを消して行く。
「深雪、笑顔でいてくれ。頼む」
「あっ…はい…」
真っ赤な顔をして俯いた深雪。うん、血行も良くなっているな。
「あぁ、そうだ」
アイツを転移させた。
「達也、深雪、ただいま♪」
エリカが二人に挨拶をした。
「エリカ…」
「エリカさん」
深雪はヨロヨロと立ち上がり、エリカに抱きついた。
「ごめんなさい。護れなかった…」
エリカに謝る深雪。
「おいおい、そこのバカと同じことを言うなよ。バカが移ったか?」
エリカの言葉に頬を膨らませお怒りのポーズを取る深雪。
「エリカ、この二人のガードを頼む」
「了解だ、亘♪」
「で、二人には、当分の間、この家にいてもらう。外出は禁止だ。相手の出方を見極めるまでの間だ。お前達を目撃されると、ちょっとマズい」
「わかった」
「わかりました」
反撃開始だな。相手はどうでるかな?
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会場で待つ参加者達を待つ真夜の隣で、空気に同化して潜む僕。真夜とは打ち合わせ済みである。
次々と集まる参加者達。中でも1と7は真夜を蔑む目で見ながら勝ち誇った態度でいる。
「皆様、集まったことですので、会議を始めます。では、緊急動議を出された四葉様、動議内容を述べてください」
会議の進行役は、最年長者である9がするようだ。では、緊急動議を始めるか。会議室内を僕の専用フィールドへ転移させて、僕は姿を現した。急に現れた僕に驚く、真夜以外のメンバー達。あぁ、一度お会いしている1の驚きようは半端ない。
「皆様、初めまして♪シュウ・ヨハネ・鬼門です。この度は、僕に宣戦布告をしていただき、ありがとうございます」
「おい、部外者は立ち入り禁止だぞ」
7が扉を開けて、ガードの者達を呼ぼうとしている。が、扉は開かない
「あぁ、皆さんを僕専用のフィールドへ招待しました。ここから出るには僕の許可が要りますよ♪」
「何を言っているんだ。四葉様、これはどういうことですか?」
9が騒ぐ。スルーだな。
「で、誰が千葉エリカを殺したのかな?」
1と7の顔が強張る。やはり、お前らか?
「あと、僕の家と達也の家を壊したのは、1と7か?」
「違う…一条家は関係無い」
「はぁ?あんなふざけた婚姻したメールを出しておいて、否定だと?有り得ないだろ?」
真夜以外に怒りのオーラを纏わせていく。
「いや、あれは…」
「瀕死の達也と深雪を盗んだのは、7だよな?」
「言いがかりはよせ!」
否定する7。
「僕の仲間が追尾していたんだよ。お陰で、製造工場も見つけたよ♪」
顔をひきつらせる7。
「で、工場で何をやったか、ここにいるみんなにみてもらおうか」
画像再生用モニタを発現させ、録画映像を再生した。達也と深雪は延命処置をされ、培養液に入れられて保存されていく。術師が術を掛けると…実際は聖杯を使うと、二人の複製体が発現された。その複製体を調べて、更にもう1体ずつ発現させ、別室に連れて行く。新郎、新婦の衣装を着せて、将輝の複製体、真由美が待つ式場へと連れて行き、結婚式を始めた…
「どうかな?この結婚っていいのか?おい、そこの1と7!」
二人とも目を見開いたまま、動かない。まぁ、証拠があるんだし。
「この証拠ビデオは、魔法師協会、バチカン、警察、国防軍に送付済みだよ。逃げ得は許さないからね♪」
何かの術を発動させようと必死の7。
「この場の理は僕が決められる。真夜以外、能力は使えないからね。そうだ、10と6と9はこちらサイドだから、無罪だ。しばらく、固まっていてくれ」
『石化』を発動して、3名を動けなくした。
「後は連帯責任でいいかな?ねぇ、真夜」
「シュウ様がお決めください。私はシュウ様の決定に従いますわ♪」
目の前で繰り広げられているショウを、楽しそうに見ている真夜。
「待って!私は真夜様に付きます」
2が寝返った。真夜を見ると頷いている。では、彼女も『石化』してもらう。残ったのは1,3,5,7、8だ。取り敢えず『四肢損壊』を発動した。骨が砕ける音がして、手足がつぶれていく5名。悲鳴と喘ぎ声が響く。
「連帯責任だ。1と7が認めるまで続ける」
骨を総て粉砕すると、神経をすり鉢ですり潰すような激痛を与えていく。
「止めてくれ…俺は知らなかったんだ…息子が入れ替わっていたなんて…」
と、1。
「で、7は娘さんは入れ替わっていないよね?どうして?」
黙りを決め込む7。では、『男根喪失』を発動。ぎょっとする5名。
「二度と女を抱け無くしました。このまま、死ねば抱け無いから、問題無いですよね?」
「助けてくれ…」
若い部類の8が懇願してきた。では、死ぬ前に感じさせてあげます。『催淫』を発動させた。目が血走っていく5名。
「あぁ、精子が出せないから、袋の中身が腫れていくのかな?経験が無いので興味があります♪」
「鬼…」
誰に言われた。
「そうですよ。鬼門の当主ですから、鬼に決まっているでしょ?」
「ひとでなし…」
誰かに言われた。
「えぇ、神代家で人札しましたから、人では既に無いです」
「人札…貴様…」
7が恐怖で表情が壊れていく。
「黒幕は誰かな?教えてくれたら、サービスしてあげるよ」
「ダメだぁ~七草様…答えてください…」
8が7に自白を迫る。
「化け物風情のくせに…」
7は自白どころか言葉責めかな?ふふふ♪
「そうだよ。化け物だよ。だってヨハネの血族だし」
僕は天使と鬼のハーフ姿に変身した。固まる5名。
「どうも♪地獄と天国を統治していますシュウ・ヨハネ・鬼門です。死んでもいたぶるからな。天国にも地獄にも行かせない。どちらの国にも入国させないよ」
あぁ、5名と意識を飛ばしたようだ。では、記憶を読み取り…
「さすがですね。記憶を最後に読み取るとは…えぇ、参考になりました」
真夜が瞳をキラキラさせて喜んでいる。狂気な世界好きだよな、真夜は。真夜以外の者の記憶を読み取っておく。黒幕は大亜連合か。いや、違う…人間主義者の反魔法師団体?あぁ、魔法師に罪を被せる道具作りか。で、7が主導か…聖杯はどうしたんだ?
あぁ、前所有者の聖物コレクターを殺して奪ったのか…
「真夜、だいたい判ったよ」
「では、手筈通り、私の意識を刈り取って下さい。その後は玩具にしても良いですからね」
いや、しないって。疲れたし。真夜の意識を刈り取り、石化を解き1と7以外から僕の記憶を消し、身体を健常体に戻した。うん?恐怖で髪の毛の色が…まぁ、いいか。
そして、フィールドを解放して、僕は僕の家に帰宅した。
---真由美---
達也君との夢のような新婚生活。こんな日が来るとは…新婚旅行から帰って来て、二人で学校へ通う。
放課後、生徒会室に行くと、雰囲気がおかしい。何かあったのか?
「だから、お前は誰だ?」
達也君に亘君が詰め寄る。
「亘、何を言っているんだ?」
達也君が抗議をしている。
「亘君!彼に何をしているのよ!」
達也君を庇う私。
「克人、そういうことだ」
亘君の言葉で、十文字君、はんぞー君、摩利の目が私を睨んでいる。どうしたの?
「見損なったぞ、七草!」
十文字君…どうして?
「亘、どうだ?」
「洗脳されていない。人形でも複製でも無い。本人そのままだ、克人」
「う~ん…」
「何をさっきから言っているの?失礼でしょ?通達があったでしょ?私と彼は結婚したのよ」
「だから?何?」
亘君の声が冷たい。彼の腕に深雪さん、彼の後ろには千葉さんと…えっ?なんで?
「真由美、お前、見る目無いな。本物じゃない方と結婚とはな」
本物じゃない方…えっ?どういうこと?
「亘、どうする?」
亘君の背後にいる、もう一人の達也君が、彼に意見を求めている。どうして?達也君が二人…
「深雪、生け捕り」
「はぁ~い♪」
私の隣の達也君が氷らされた。亘君が何かをして、何かを手に入れている。
「達也、AIとメモリは回収した。人形を処分して」
「了解です」
氷らされた達也君が消えていく…
コトン!
床に彼の嵌めていた結婚指輪が落ちた。