---シュウ---
土曜日…昨日、やらかした件で、キャッスルドランにいる全員からも、何をやらかしているんだ的な目付きで見られ、肩身の狭い僕。愛という物の価値について、色々な方々からご意見を頂き…って、失ってしまった物はしょうがないだろうと思うのだけど…
出来ることを淡々とこなす。
司波達也と司波深雪を夫婦にする。家は、元あった家を元あった場所に再現して、住まわせた。僕の記憶を達也にして書き換えておく。
エリカは種族を人間に戻す。これは、聖杯を用いて種族変更で対処した。心臓が定着したので、出来る御業である。あぁ、駒は入れたままだ。駒が心臓の役目をしているから。で、レオと交際中にして、僕の記憶をレオに書き換えておく。
将輝と真由美を夫婦にする。一条家に嫁ぐ方向で書き換えた。僕が関わっていない分、改竄作業は楽だ。
茜とジョージを婚約関係にする。これは吉祥寺家に嫁ぐ方向で書き換えた。
後は…雫とほのかは…どうするかな…浮かばないので、達也の家に下宿って方向で書き換えた。
歴史を遡って弄る行為は犯罪である。それが神であっても。この手の犯罪は既に常習犯なので、禁固刑は確定なのだ。また、あの真っ暗な世界へ幽閉されるのか…大いなる意志に、、またかよって嫌味を言われるんだろうな…
そして、日曜日、師族長会議に出席した。剛毅と弘一の表情は冴えない。将輝と真由美に対して、既に刑は執行されているから。
「まだ、何かするのか?」
弘一が訊いてきた。
「するよ。その為の会議だし。なぁ、九島よ!」
九島家の当主は蒼い顔をしている。ここまでに判明した事実をレポートにして、関係各所とこの会議で配布している。該当しない家系の当主達が弘一達を睨んでいる。
「まぁ、当主を代変わりするかは、この会議の正規メンバーで決めてくれ。僕がしたいのは、弘一、当主を降りろ。お前に罰を与える」
弘一はぶるぶると震えている。彼にだけむじゃ君を見えるようにしているから。そして、むじゃ君が弘一に襲い掛かり、悪しき心、野望を喰らい尽くしていった。その場に倒れる弘一。僕からの刑が執行されたのだと思い、誰も彼のことを心配していないようだった。
そして、真夜…人体実験の結果、子供が産めなくなった彼女の腹を、再び子供が産めるようにした。子供が産めなくなったことで、婚約解消してしまった真夜の彼氏を真夜の亭主にして…二人の間に子供を創造する。四葉深夜という女の子だ。一つだけ細工をする。悪しき心を持てないように…
総ての改竄を終えると、僕は闇に吸い込まれていった。
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今回は情状酌量の余地があるということで、一誠は一誠の世界で過ごせるようになったようだ。期間は1年。一誠の世界の1年後に、僕と魂がリンクするそうだ。
僕に課せられた期間は100億年…見たくも無い記憶が脳裏で何度も再生されていく。リヴェリアの死、ティオナの死、リアスの死、エリカの死。僕は悔やみ続ける。もっと強ければ救えたのでは無いかと。もっと、いっぱい術が使えれば、救えたのでは無いのかと…
僕の原点の映像…妻達と子供達の前で自殺を強要され、受け入れ…悔しさがこみ上げていく。怒り、苦しみ、藻掻き、悔しさ、悲しみ…僕に力を…変化を与えていく。更に凶悪に、更に惨く…僕の心は闇に染まっていく、闇に飲み込まれて行く。僕が幽閉されている世界と同じ漆黒に染まり、そして弾けた。
小さな光の微粒子が産まれた。
『もう一度、心を育てろ。このバカ神がぁぁぁぁ~!』
大いなる意志から怒声が飛んできた。
『愛という想いを今度こそ物にしろ。それが、お前に課す使命だ。いいな、バカ神。エロくてもかまわない、不器用でもかまわない。とにかく、愛する心を持て!いいな、バカ神よ!』
僕は刑期を終えたらしい。闇の世界から放出された。いつも出迎えに来てくれていた仲間達はいない。愛想をつかしたんだな。愛する心を供物に差し出した報い…失った物は…大きいのか小さいのかはわからない。
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意識が覚醒すると、どこかの神社にいた。ここはどこだ?周囲を見回すが、誰もいない。取り敢えず出口を探す。
「お兄様、どこに行かれるんですか?」
背中越しに声を掛けられた。誰の声だっか?
「まさか、妹の声を忘れた訳では無いですよね?」
振り返って、声の主を見る。満面の笑顔の白音だった。念願が叶って、二人でまったり生活が出来るのかな?
「暇でしょ?弟子達に魔術の扱い方を、教えてもらえませんか?」
白音が指差した先には、ほのかと雫がいた。あれ?何で?
「ここはどこ?」
「何も言われていないんですか?出向先ですよ!」
うん?案件は終わったんじゃ?
「黒幕を見つけていないでしょ?」
う~ん…記憶が曖昧なんですけど…
「100億年前の事なんで、記憶が…」
「そんなに喰らったんですか?」
驚いた顔の白音。
「まぁ…常習犯だからね…」
「とりあえず、魔術の基礎を教えてあげて下さい。その後で、記憶を呼び覚ましましょう」
よくわからない状況なので、白音の提案に載り、雫とほのかに教えてみた。
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雫とほのかが、下宿先の達也達の家に帰っていった。僕達は、この世界の拠点である、駒王町の家に転移した。
拠点には、レイヴェル、ラム、レム、ヤスミン、リヴェリア、アーシア、アスナが住んでいた。
「あれから、どの位ロスしたんだ?」
「半月だ」
「半月か…何か変わったことは?」
「どっかのバカ神が歴史を遡って改竄したから、色々不具合が出ているぞ」
リヴェリアが呆れるように言った。それって、僕だよなぁ…
「不具合?」
「疑心暗鬼に陥る者が多数だ。どうするつもりだ?」
う~ん…100億年前の話をされても…
「100億年?こっちはまだ半月、二週間だぞ!」
リヴェリアの怒りを増長しているような。
「どうすれば良いかな?時差ボケで、何も浮かばない」
「だろうな」
「あぁ、心が新調されたみたいで、気分が優れないんだけど…」
時差ボケのせいかもしれないけど、身体の不調を訴えてみた。
「心が新調?」
白音が何かの術を僕に掛けた。
「あっ…きれいな心…総ての封印が外れているようですよ♪」
嬉しそうな声の白音。
「封印って?」
「感情は総て生きています。愛情も♪」
「愛情って?」
「そこからか…厄介な…」
リヴェリアが考え込んでしまった。
---深雪---
お兄様と学生結婚をしている。相思相愛なんだけど、記憶が曖昧なことが多い。いつ結婚したんだろうか?兄妹として暮らしていた記憶があるのだけど、いつ兄妹から夫婦になったんだろうか?夫婦であることに問題は無い。望んでいたのだから。でも…
「深雪、また考えことか?」
お兄様に言われた。
「何で記憶が曖昧なのかなって…今の生活に不満は全然無いのですけど…何か大事なことを、大切な人の事を忘れているような気がして、しかたないんです」
「俺もそうだよ。でも、思い出そうにも記憶が無いのだ。どうしてかな…」
まだ、学生ということで、私の中には入れずに、全裸で愛し合う毎日。幸せである。でも、この幸せを受け入れていいのか。誰かが叶えてくれたのかもしれない。誰だろう…
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学校では、お兄様が生徒会長で、私が副会長である。風紀委員長には雫が付いてくれた。
「師匠のお兄様が、魔導師で、魔術系に詳しいんだよ」
雫は、仲良しのほのかと二人で、白音さんと言う師匠の元で、気の扱いを習っている。
「ふ~ん。で、白音さんとどこで知り合ったの?」
私の質問に戸惑う雫。
「記憶が曖昧なんだ。深雪達もそうだったよね。記憶を弄られているのかな?」
雫もほのかもそうだった。いや、この学校、うぅん、この世界の人全員かもしれない。
「お兄様はどう思われますか?」
「単一の相手の記憶を書き直すことは出来ても、総ての人は無理だと思う。だけど、確かに記憶に何かをされている気がする」
「何の為だ?」
雫がお兄様に訊いた。
「何か、都合の悪いことがあったのか?」
「誰にとってのだ?」
「お~い、記憶力の良い深雪!」
エリカが入って来た。今の私は記憶が曖昧なのに…
「どうしたんですか?」
「記憶が曖昧でさぁ、今年の九校戦のデータを見ていたんだけど…この神代亘って誰だ?」
エリカの指を差した先、九校戦新人戦モノリス・コード優勝メンバーに、お兄様とレオと一緒に書かれていた名前。誰だっけ?お兄様を見ると、悩んでいるようだった。
「わからない。そんな名前の1年生っていたかしら?」
「達也とレオの相棒だったら、ミキだと思うんだけど…誰だ、コイツ…」
「すまない。俺にも記憶が無い。誰だろうか?」
生徒会室にある端末を使い、調べて見るが、そのような名前の生徒はいなかった。
「神代亘…ネット検索でヒットしました。でも…」
雫の声は震えていた。
「10年前に6歳で死んでいますけど…」
---シュウ----
不具合な箇所を見つけた。記憶と電子データは書き換えたのだが、紙ベースの記録は改竄できていなかった。う~ん…今更改善すると、また100億は痛いし…う~ん、放置が一番かな?
「どこか、抜けているんだよな、シュウは。まぁ、シュウらしいけどな」
って、リヴェリア。ならいいか。
「黒幕の情報はどう?」
「聖杯を無効化しただろ?だから、音沙汰無しだ」
「そうか…どうやって見つけるかな?」
そうだ、今日は関係先に挨拶に行かないと。鬼門家と闇雲家と神代家だ。
「挨拶回りに行って来るよ」
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挨拶回りは順調にこなせた。今後も前回同様協力をしてくれるし、名乗っても良いと言われた。最後に挨拶に訪れた神代家の門を出たところで、声を掛けられた。
「亘…ねぇ、帰ってきて!」
この世界の姉ちゃんだ。あの後、鍛錬を再開したらしく、能力も昔に近づいているらしい。
「姉ちゃんには見えるだろ?僕の姿がさぁ」
「人間で無くてもいいよ。亘、戻って来て!お願い!」
僕に抱きつく姉ちゃん。
「神代家の者が、僕のような人外とつきあってはいけませんよ」
「だって、亘は…この世界の為に…」
「理由はどうあれ、僕は人間を辞めた身分です。神代家の者が、僕のような者に縋ってもいけません」
姉ちゃんから離れて、距離を取る。
「ごめんね、私のわがままで、亘を…」
「問題無いです。姉ちゃんが人外になるより、この方が良かったですよ。また、仕事で逢いましょう」
僕は姉ちゃんの前から去った。
---深雪---
「神代亘」という謎の人物を調べる為に、エリカとレオの3名で、神代家を訪れようとしていた、その時…門から出て来た男性を呼び止める女性の声。
「亘…ねぇ、帰ってきて!」
耳を疑った。死んだはずの人間が目の前に現れたのだ。物陰に隠れて、会話を盗み聞きすることにした。
「姉ちゃんには見えるだろ?僕の姿がさぁ」
「人間で無くてもいいよ。亘、戻って来て!お願い!」
男性に抱きつく女性。亘って人と、その姉のようだ。亘って人は人外らしい。人間が人外になるってことはあるのかな?
「神代家の者が、僕のような人外とつきあってはいけませんよ」
「だって、亘は…この世界の為に…」
「理由はどうあれ、僕は人間を辞めた身分です。神代家の者が、僕のような者に縋ってもいけません」
女性から離れて、距離を取る男性。理由があって、人間を辞めた?世界の為に?私達の記憶の改竄に関係するのかな?
「ごめんね、私のわがままで、亘を…」
「問題無いです。姉ちゃんが人外になるより、この方が良かったですよ。また、仕事で逢いましょう」
男性は女性を置いて、去って行った。女性をエリカとレオにまかせて、私は男性を追跡した。まかれない程度の距離を保って…だけど、角を曲がると彼は居なくなっていた。どこ?一瞬の隙が生じ、首筋に衝撃を受けた。
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意識を刈り取れたのか、意識が戻ると知らない場所にいた。いや、記憶に有るような気がするけど、思い出せない。自分に感覚を戻すと、手足は拘束されて、全裸にされている。
「僕を付けるって…どこの勢力の者だ?あぁ、答えなくて良いよ。身体に訊くからね」
何をされるんだろうか?恐怖で声が出ない。
「あっ…ダメっ…舐めないで…」
乳首を舐められると声が出た。乳首が固く大きくなっていく。下半身が熱い…久しぶりの感覚だ…久しぶり?あれ?
「いぃ…噛まないで…あぁぁぁぁ…」
舐められて大きくなった乳首を甘噛みされた。太股が痙攣している。固く閉じている筈の割れ目の中も…耳が熱い…何もされていない方の乳首も大きく張っていく。こんなにもイヤらしい身体だっけ?
「感じ易いんでね。もう、こんなに濡れているよ」
舌先で舐められている。鼻先が当たる。臭いを嗅ぎ回っている。
「あれ?この味、どこかで…」
私から出た液体を味わい、何かを思い出し始めた彼。お兄様以外に…いや、お兄様にも舐められたことは無い。いつ舐められたんだ?記憶が暴走していく…走馬燈が高速で再生されていく。膨大な記憶に飲まれていく。何で?どうして?これは一体…
バコッ!
男性が誰かに殴られて、蹲っている。
「お兄様、なんで深雪さんに拷問をしているんですか?」
え?何で、私の名前を知っているの?
「そうか…深雪の味かぁ…あぁ…って、記憶がフィードバックしちゃう」
記憶のフィードバック…以前にも聞いたことがある単語だ。どこだっけ?あっ…思い出した。
「シュウさん…これはどういうことですか?なんで、お兄様と結婚させたんですか?」
彼に語気を荒げて、言いたいことを言う私。
「えっ…いや…穏便に済まそうと思ってね…」
「だから、お兄様。無理ですよ。あんな無理な改竄は」
白音さんがシュウさんを追い込んでいく。もしかして、記憶にある不具合って…やらかしたんですか?
「よし、もう一度、深雪の記憶を書き換えるか」
バキッ!
シュウさんの頬に白音さんの右ストレートが入った。
「お兄様、深雪さんと、諦めて一緒になりなさい」
「白音…僕は、その権利は無い」
「お兄様には、拒否する権利が無いんですよ。やらかしたことを反省していないのですか?」
やはりシュウさんは何かをやらかしたようだった。今回は、何をやらかしたんだ?
「深雪さん、このバカ神は、深雪さんとエリカさんを想う気持ちを供物にして、覆製体を殲滅して、雫さん、ほのかさんに寄せる想いを供物にして、聖杯を無力化したんですよ」
自分の兄をバカ神呼ばわりする白音さん。相当、シュウさんに怒りを持っているようだ。
うん?私とエリカを想う気持ち、雫とほのかに寄せる想い?そんな素振りなんか見せた事なかったよね?
「愛を知らないバカ神様は、それを行動に出せないんです!」
目に涙を溜めて、シュウさんに説教をし始めている白音さん。
「白音、泣くなよ~」
「泣きたくなるでしょ?なんで、そんな大事で大切な物を供物として差し出すんですか?」
「他に差し出す物が無かったから…だって、護りたかったんだよ。これしか無かったんだよ」
「そうかもしれませんね…って、初めからそうしよと思っていたでしょ?一人では無理な相手なのに…」
兄妹の会話…長引きそうだ。それよりも、私の手足の拘束を解いて欲しいのですが…悶悶としている私の身体を楽にして欲しいのですが…イヤらしい女と思われても良いです。シュウさん…助けてよ~。ヤルなら、最後までやってくださぁぁぁぁ~い!
シュウさんにも白音さんにも、もはや私の姿は見えていないようだった。