「私の先行だ。『俊足のギラザウルス』を特殊召喚。先行1ターン目なのでこのカードのデメリットはない。そして『俊足のギラザウルス』をリリースし、『大進化薬』を発動。このカードの効果により私は3ターンの間、生贄なしで恐竜族モンスターを召喚できる。よって『サイバー・ダイナソー』を通常召喚。これでターンエンドだ。」
『サイバー・ダイナソー』(漫画版GX効果)
☆7 光属性 恐竜族
攻撃力2500 守備力 1900
相手フィールド上に守備表示モンスターしか存在しない時生贄を1体捧げ相手プレイヤーに直接攻撃できる。
・・・先行1ターン目にしても拍子抜けするほど単純な戦術だ。学生相手とはいえ、よくこんな単調な戦術で49連勝できたもんだ。まあ、できた理由はおそらく・・・。
「おい、君のターンだぞ。早くしたまえ。」
「わかってますって俺のターンドロー。」
普段なら現実世界の禁止制限を徹底的に無視し、ぶっ壊れオリカをふんだんに盛り込んだデッキで容赦なくワンキルをかますところだ。しかし、今回はただ勝つだけじゃなく、証拠もきちんと押さえないといけないからな。とりあえず、こいつからいくか。
「モンスターをセットしてエンドフェイズに移行します。このエンドフェイズ時に『大進化薬』は1ターン経過したことになります。ターンエンドです。」
俺がそう宣言するとギャラリーがざわついた。
「?ただモンスターをセットしただけ?」
「まさか?手札事故?」
「大丈夫なのかよ、遊!」
明日香、翔、十代がそれぞれ発言する。それと同時に龍牙は俺のプレイングをみて露骨に嗤っていた。実に醜悪な顔だな。
「フフフ、ファッファファ!その程度の実力で私に勝負を挑んてくるとはな。私のターンだ。ドロー。手札から『抹殺の使徒』を発動。そのセットモンスターを除外する。」
「セットモンスターは『マシュマロン』だ。このカードを除外する。リバース効果モンスターではないので追加効果はなしだ。」
「かまわんよ。手札から『究極恐獣』を召喚。そしてバトルフェイズ、『サイバー・ダイナソー』でダイレクトアタック。」
女子生徒を打ち破った光線が俺に向かって放たれる。それに対して俺は。
「手札から『カイトロイド』を捨て効果発動。『サイバー・ダイナソー』による戦闘ダメージを0にする。」
「ならば『究極恐獣』で追撃だ。」
「墓地の『カイトロイド』の効果を発動。このカードを除外してダメージを0にする。」
『カイトロイド』(遊戯王タッグフォース3オリジナルカード)
☆1 風属性 機械族
攻撃力200 守備力 400
相手の直接攻撃による戦闘ダメージ計算時、このカードを手札から捨てて発動する。その直接攻撃によって発生する自分への戦闘ダメージを0にする。また、自分の墓地に存在するこのカードをゲームから除外する事で、相手の直接攻撃によって発生する自分への戦闘ダメージを1度だけ0にする。
「フン、即死は免れたか。ならばこれでターンエンドだ。」
龍牙 LP4000 手札1枚
場:『サイバー・ダイナソー』、『究極恐獣』、『超進化薬』(1ターン経過)
即死の攻撃をかわすと周りから安堵のため息が流れた。
「アイツ、ひやひやさせるわね。」
「で、でも即死しないところがさすがです。」
「ふふ、さすが私がみと、いや私に勝っただけのことはあるわね。」
ツァン、ウサミン、雪乃の言葉を聞き流しつつターンを進める。
「俺のターンドロー。・・・俺はこれでターンエンド。」
俺の行動に再び周囲がざわめく。
「クク、どうやら盛大に事故を起こしているようだな。私のターン。ドロー。『ハイパーハンマーヘッド』を召喚。このままバトルフェイズに入る。『ハイパーハンマーヘッド』でダイレクトアタック。」
「手札から『速攻のかかし』を捨てて効果発動。攻撃を無効にし、バトルフェイズを終了させる。」
「ふん、悪あがきを私はこれでターンエンドだ。」
「俺のターンドロー。」
ドローしたカードでコンボパーツは全てそろった。しかし、不正を暴くために必要なカードはまだドローできていない。ならばここは。
「手札から『カメンレオン』を召喚。効果発動。墓地から『速攻のかかし』を効果を無効にして蘇生する。そしてシンクロ召喚。レベル5『A・O・Jカタストル』。バトルフェイズに移行する。『A・O・Jカタストル』で『サイバー・ダイナソー』を攻撃。」
「攻撃力の低いモンスターで攻撃だと?」
「『A・O・Jカタストル』の効果。このカードは闇属性以外の表側表示モンスターと戦闘を行う場合、ダメージ計算を行わずそのモンスターを破壊する。」
「な、なに!」
対ワーム用に生み出された殺戮兵器は恐竜という太古の生物にもその力を発揮し、恐竜の身を屍へと変えた。
「そして、俺はこれでターンエンド。このエンドフェイズ時に先生の『大進化薬』は墓地におかれます。」
「また、カードを伏せない?」
「どれだけ事故っているの?」
「いや、もしかしたら・・・。」
うん、先生に負けた人そしておそらく攻略キャラである人たぶんそれが正解だと思うよ。
小南遊 LP4000 手札4枚
場:『A・O・Jカタストル』
「私のターン。ドロー。」
さてここでどう動いてくるかだ。『究極恐獣』は相手フィールド上にモンスターがいるとき必ず最初に攻撃を仕掛けなくてはならない。だからこのままいけば『究極恐獣』はバトルフェイズで『A・O・Jカタストル』に破壊される。『ハイパーハンマーヘッド』にはバウンス効果があるが効果の発動タイミングはダメージステップ終了時、その前にカタストルの効果が発動するから『ハイパーハンマーヘッド』の効果は使用できない。
『究極恐獣』
☆8 地属性 恐竜族
攻撃力3000 守備力 2200
自分のバトルフェイズ開始時にこのカードがフィールド上に表側表示で存在する場合、このカードから攻撃を行い、相手フィールド上に存在する全てのモンスターに1回ずつ続けて攻撃しなければならない。
『ハイパーハンマーヘッド』
☆4 地属性 恐竜族
攻撃力1500 守備力 1200
このモンスターとの戦闘で破壊されなかった相手モンスターは、ダメージステップ終了時に持ち主の手札に戻る。
つまり、あの手札2枚で切りかえされなければ、俺の優位は動かない。その間に不正を暴くカードを呼び込むことができる。しかし・・・。
「ふふふ、ふははは。」
世の中そううまくはいかないわけで。
「私は手札から『地砕き』を発動。『A・O・Jカタストル』を破壊する。」
昔からある1対1交換できる優秀な除去カードにやられました、はい。
「さらに『死者蘇生』を発動して『サイバー・ダイナソー』を蘇生。今度こそ終わりだ。『サイバー・ダイナソー』でダイレクトアタック。」
「手札の『SRメンコート』の効果発動。手札のこのカードを攻撃表示で特殊召喚し、相手の表側攻撃表示モンスターをすべて守備表示にする。」
「く、また防がれたか。これでターンエンドだ。」
「さすが、遊くんッス。この調子でいけば。」
「いや、そうとは限らない。」
「?どういうことッスか?」
「これまで残っている手札を彼は今まで使用していなかった。ということはあの3枚のカードは今のままでは何の役に立たない死に札である可能性が高いということよ。」
「明日香の言うとおりだ、翔。」
「そ、そんな。アニキ・・・。」
・・・まあ、そんなことはないんだけどね。今の俺の手札なら100%アイツをつぶせるし。しかし、ただ勝つだけじゃあ不正を暴くことはできない。つまりアイツの不正を暴くチャンスはこのターンのみ。
「俺のターン、ドロー。・・・・・よし。」
目当てのカードをドローし、俺は勢いよくプレイした。
「俺はスケール1の『EMモンキーボート』をペンデュラムゾーンにセッティング。」
『EMモンキーボート』
ペンデュラム・効果モンスター
☆6 地属性 獣族
攻撃力1000 守備力 2400
【Pスケール:青1/赤1】
「EMモンキーボード」の(2)のP効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):もう片方の自分のPゾーンに「EM」カードが存在しない場合、このカードのPスケールは4になる。
(2):このカードを発動したターンの自分メインフェイズに発動できる。デッキからレベル4以下の「EM」モンスター1体を手札に加える。
【モンスター効果】
(1):このカードを手札から捨てて発動できる。手札の「EM」モンスターまたは「オッドアイズ」モンスター1体を相手に見せる。このターン、そのモンスター及び自分の手札の同名モンスターのレベルを1つ下げる。
実質このカード1枚で手札とエクストラに溜まっているレベル2~7のモンスターを出すことができ、アニメのOP・EDの登場タイミングでいろいろとネタにされまくっているカードを俺はペンデュラムゾーンにセッティングした。しかし、予想通り発動できなかった。
「ふん、どうしたのかね?ディスクの故障かい?全くドロップアウトはこれだから困るよ。ディスクをきちんと管理するのはデュエリストの基本中の基本だろうに。」
勝ち誇ったように龍牙は言う。それに対して俺は冷然と言葉を返した。
「よく言いますね。不正を働いているのに。」
「不正だと?」
「そうですよ。見たところあなたの指輪には細工がしてあって対戦相手の魔法カードを使用不可にするんでしょ?そうじゃなきゃ説明がつかないです。」
俺は『EMモンキーボート』を発動する際に様子を見た。すると奴はを怪しい手つきでいじっていた。
「・・・ひどい言いがかりだな。自分の調整不足を棚に上げて。」
「そうですかね。」
俺は言葉をいったん止め、翔と女子生徒に目を向ける。そして再び話を続けた。
「翔もあなたとのデュエル中に魔法カードが使えなくなった。俺の前にあなたと戦った生徒もそうです。そしてその生徒に聞いた話ではあなたと戦った他の生徒も魔法カードがデュエル中に使えなくなったと証言しています。これだけの一致をどう片づけるつもりですか?」
俺の言葉を聞くと、十代達が叫んだ。
「あんた、最低だな!デュエリストの誇りはないのかよ!!」
「ふん、言いがかりだ。ディスクがたまたま故障し続けた。ただそれだけに過ぎない。」
「そんな偶然の一致なんてありえないッス。」
「だが、絶対にないとは言い切れまい。物的証拠がない以上、これは単なる水掛け論だ。まあ、そこまで私を疑うならば存分に調べてもらっても構わないよ。ただし、この勝負に勝てたらの話だが。」
「そんな!」
「この状況から逆転しろなんて無謀よ!」
「いいぜ。」
「「「「!!!」」」」
「なんだと?」
俺の言葉にこの場にいた全員が驚く。それを確認して俺は行動に移す。
「手札の『星見獣ガリス』を見せて効果発動。デッキの上のカードを墓地に送り、そのカードがモンスターカードの場合、相手に墓地に送ったモンスターのレベル×200ポイントのダメージを与え、このカードを特殊召喚する。違う場合は『星見獣ガリス』は破壊される。」
『星見獣ガリス』
☆3 地属性 獣族
攻撃力 800 守備力800
手札にあるこのカードを相手に見せて発動する。自分のデッキの一番上のカードを墓地へ送り、そのカードがモンスターだった場合、そのモンスターのレベル×200ポイントダメージを相手ライフに与えこのカードを特殊召喚する。そのカードがモンスター以外だった場合、このカードを破壊する。
「・・・ふん、なにかと思えば運頼みか。」
その言葉を無視し、俺はカードをめくる。
「ドローしたカードは『EMリザードロー』レベルは3.よって600ポイントのダメージを与え『星見獣ガリス』を特殊召喚。」
龍牙 LP4000→3400
「続けて『コアキメイル・デビル』を召喚。そして手札の『A・ジェネクス・バードマン』の効果発動。『星見獣ガリス』を手札に戻し、このカードを特殊召喚する。」
『星見獣ガリス』は手札へと戻ったが、『A・ジェネクス・バードマン』は特殊召喚されなかった。それを見て翔が疑問を浮かべる。
「?あれ、特殊召喚されない?」
「俺の場には『コアキメイル・デビル』がいる。このカードの効果により、『A・ジェネクス・バードマン』の効果は無効化された。だが場のカードを手札に戻すのはコストだ。そのため『星見獣ガリス』は手札に戻る。」
『A・ジェネクス・バードマン』
チューナー・効果モンスター
☆3 闇属性 機械族
攻撃力1400 守備力 400
(1):自分フィールドの表側表示モンスター1体を持ち主の手札に戻して発動できる。このカードを手札から特殊召喚する。この効果を発動するために風属性モンスターを手札に戻した場合、このカードの攻撃力は500アップする。この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に除外される。
『コアキメイル・デビル』
☆3 風属性 悪魔族
攻撃力1700 守備力800
このカードのコントローラーは自分のエンドフェイズ毎に、手札から「コアキメイルの鋼核」1枚を墓地へ送るか、手札の悪魔族モンスター1体を相手に見せる。または、どちらも行わずにこのカードを破壊する。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、メインフェイズ時に発動する光属性及び闇属性モンスターの効果は無効化される。
「ふん、自分のカードを自分で無効化するとは、素人だな。」
そんなセリフを龍牙は告げる。それに対して俺はこういってやった。
「それはどうかな?」
この発言で龍牙の表情は大きく変化した。
「俺は再び、『星見獣ガリス』の効果を発動。デッキの一番上、『俊足なカバ バリキテリウム』を墓地に送り、相手に800ポイントのダメージを与え、このカードを特殊召喚する。そして『A・ジェネクス・バードマン』の効果発動。『星見獣ガリス』を手札に戻し、このカードを特殊召喚する。しかし、『コアキメイル・デビル』の効果により効果は無効化され、特殊召喚できない。」
龍牙 LP3400→2600
「ま、まさかこれは。」
どうやらここにきて龍牙は悟ったらしい。そして龍牙の考えを代弁するようにツァンがつぶやいた。
「無限ループ。」
そうこのままモンスターをドローし続ければ、龍牙のライフを0にできる。その事実を否定したいがために龍牙は叫ぶ。
「だ、だがお前がモンスターカードを引けなくなった時、そのコンボは崩れる。お前はこのデュエルで魔法、トラップカードを使用していないのだからそろそろ・・・」
「・・・たぶん、それはないと思いますよ。だっておそらくあのデッキって。」
女子生徒の言葉に俺は正解の言葉を返した。
「君の考えている通りだ。俺のデッキは全てモンスターカード。よってガリスの効果は100%発動する。」
「な、なんだと。」
龍牙の顔が驚愕にあふれる。それを無視して俺はプレイを続ける。
「『星見獣ガリス』の効果発動。『バトルフェーダー』を墓地に送り特殊召喚。『A・ジェネクス・バードマン』の効果発動。『星見獣ガリス』を手札に戻す。『星見獣ガリス』の効果発動。2体目の『マシュマロン』を墓地に送り、特殊召喚。『A・ジェネクス・バードマン』の効果発動。『星見獣ガリス』を手札に戻す。『星見獣ガリス』の効果発動。『工作列車シグナル・レッド』を墓地に送り、特殊召喚。『A・ジェネクス・バードマン』の効果発動。『星見獣ガリス』を手札に戻す。『星見獣ガリス』の効果発動。『カードカー・D』を墓地に送り、特殊召喚。『A・ジェネクス・バードマン』の効果発動。『星見獣ガリス』を手札に戻す。」
龍牙LP2600→2400→1800→1200→800
「あ、ああ。」
「『星見獣ガリス』の効果発動。『こけコッコ』を墓地に送り、特殊召喚。これで終わりだ。」
龍牙LP800→-700
決着はついた。俺は龍牙に駆け寄った。
「さあ、約束通り。その指輪を調べさせてもらおうか。」
「クッ!」
龍牙はこの場から逃げ出そうとして駆け出した。しかし・・・。
「おっと、逃がさないぜ!そりゃあ!」
十代に腹パンされ気絶させられた。
その後、龍牙の指輪が調べられ魔法カードが使用不可になる電磁波が放出されることが確認された。さらに生徒たちからカードを奪っていたこともまた確認された。そのことを鮫島校長が知ることとなり、龍牙は警察に引き渡されることとなった。こうして事件が終わり、購買への手伝いに向かおうとしたその時。
「あ、あの。今日はありがとうございました。」
女子生徒に話しかけてこられた。
「別にいいよ。どうせ誰かがやらないといけないことだったし。」
「で、でも本当にありがとうございます。感謝してます。」
「だから、本当にいいって。えーとそう言えば名前なんて言ったけ。俺の名前は小南遊だけど。」
遊戯王タッグフォースに出てきたキャラなので名前は一応知っているが、兆が一違うこともあるので念のために質問してみた。
「あ、申し遅れました。私の名前は…」
俺は彼女の言葉を聞く間、彼女の容姿を観察した。茶色い髪と笑顔が魅力の美少女だった。
「宮田ゆまといいます。これから宜しくお願いします。」
彼女は天真爛漫な笑顔を浮かべ、俺の予想した通りの名前を言った。