※この作品はR-18です。

遊戯王エロゲモンスターズ   作:アメフト

19 / 60
第17話 ツァン・ディレ攻略開始

「バトルフェイズ。『ダーク・アームド・ドラゴン』でダイレクトアタック。」

「きゃああああ!」

 

タッグデュエルの練習をした日の翌日、俺はツァンとウサミンを攻略するための行動を開始していた。今、行っているのはウサミンの攻略である。俺は昼休みにウサミンを誘い、こうして練習デュエルを行っている。ウサミンの攻略するにはウサミンに自信をつけさせればよいと考え、こうしてウサミンを勝たせようとしてデュエルしているのだが・・・。

 

「うう、また負けてしまいました。これで4連敗ですぅ・・・。」

 

6戦して俺の4勝2敗。はっきりと言ってウサミンの攻略は思うように進んでいなかった。それはウサミンのデュエリストとしての能力が高いこととあがり症であることが原因であった。最初、俺は自信をつけさせるために弱いデッキで戦ったり、プレイミスをわざとするとウサミンはデュエルの能力の高さからわざと負けようとしていると気づく。そのため自分は手加減されるほど弱い存在であると感じ、自信を無くす。そのため、それなりに強いデッキでプレイミスをすることなくデュエルをすることにしたのだが、そうするとウサミンは普段とは信じられないミスを繰り返し敗北してしまう。これの繰り返しであった。

 

「やっぱり、私なんかじゃコナミさんの相手役なんて・・・。」

「そんなことないよ、もう少しでボクの負けだったよ。どんどん調子は良くなってるよ。」

 

落ち込むウサミンに心にも思っていないことを言いながら、今の状況を思案をしていた。今の状況は自分が今までにプレイしてきたエロゲーのストーリーから考えてあまりにもおかしかった。なぜなら自信をつけさせることがウサミン攻略の方法であるとするならば、今行っているこうしたデュエルでウサミンが自信をつける展開になるはずである。それなのにウサミンは自信をつけるどころか自信を喪失している。これは一体何を意味するのだろうか?そのことについて思案すると、考えられる可能性は2つ存在する。1つは自信をつけさせる固定イベントが存在するということ。そのためこうした練習デュエルでは自信をつけることができないということだ。この場合には固定イベントを捜索する必要があるだろう。2つめの可能性は自信をつけさせるのが攻略の糸口であるという仮定がそもそも間違っているということだ。この場合、自信をつけさせるのが攻略法であるということは間違いであると気づかせるため練習デュエルが思い通りにいかない仕様になっているのだろう。

 

(どちらの可能性が正しいにせよ、こうした練習デュエルは時間の無駄だな。)

 

俺はウサミン攻略のための練習デュエルをここで終えて、ウサミンからツァン攻略の情報を聞き出すことにした。

 

「ところで宇佐美さん、ツァンさんはどうしてるの?」

「・・・あの練習タッグデュエルの後から会っていません。今日の授業にも出席していません。どうやら部屋にこもっているみたいです。」

「・・・そうか。」

 

ツァンの抱えている問題はそれだけ大きいものらしい。

 

「小南さん、私、どうすればいいのでしょうか?」

 

ウサミンが真剣な表情で話しかけてくる。どうやら彼女も友人のことが心配なようだ。その言葉に対して俺は一般的な言葉を返すことにした。

 

「ツァンさんはなんらかの問題を抱えているみたいだ。僕たちもその問題を解決する手伝いをしてあげたいね。だけどとりあえず、今は自分たちにできることを精いっぱいやろう。話はそれからだと思うよ。」

「・・・そうですね。」

 

そうした会話があった後に昼休み終了を告げるチャイムが鳴り、俺たちは授業へと戻った。

 

 

その日の放課後、俺はある人物と会うために職員室へと向かった。礼儀通りにノックをし、返事があってから挨拶をして入る。職員室を一望するとすぐに目当ての人物が見つかった。

 

「校長先生。少しお話があります。」

「なんですか?」

「ここでは人が多いのでできれば二人きりでお話ししたいのですが。」

「わかりました。」

 

そうして俺たちは職員室から離れ校長室へ移り、対峙した。

 

「それで話はなんですか?」

「ええ、ツァンさんのことについて質問がしたいと思いまして。」

「ツァンさんについて?」

「ツァンさんの様子が最近、少しおかしいのです。それで先生が何か知っているのではないかと思いまして。」

「どうして私が知っていると?」

「ツァンの様子が変になり始めたのは校長先生が保護者に制裁タッグデュエルを行うことを告げるといってからなのです。」

 

ツァンの様子が変わり始めた時のことを思い返してみると校長先生が保護者に伝えると告げたのが始まりだった。それで校長に質問をした。校長は沈黙を保っていたが、やがてしびれを切らしたのか口を開いた。

 

「・・・どうやら話をする必要があるようですね。」

 

校長は俺にツァンの抱えている問題とこれから起こることについて話をした。

 

 

翌朝、島に自家用ジェットが到着した。それは個人用ジェット機であり、持ち主はかなりの資産家であることがうかがえる。そのジェット機から大勢の護衛に囲まれて着物を着た40代の男性が降りてきた。降りる途中に男はポツリとつぶやいた。

 

「ツァンをここに来させたのは失敗だった・・・。」

 

 

ツァンside

 

ボクはその日、朝早くに起きた。昨日は一睡もできなかった。疲れを感じつつ、ベットを出る。服を着替えつつ、思ったことは友人についてだった。この学園にきて初めてできた友人、そしてその思い出。友人と話すことは楽しかった、友人と食べた食事はおいしかった、友人との勉強は辛かった、そんないろいろなことを思い出して服を着替えた。そしてボクは素晴らしい思い出をくれた友人たちに何も言わずにこの学園を去ることになる。

 

校長室に行くと父がすでに来ていた。父は不機嫌そうにこちらを見ていった。

 

「おそいぞ、ツァン!目上の人を待たせるとは何事だ!」

「・・・申し訳ありません。」

 

ボクは目を下に向けて返事をした。父はその返事を聞いて不機嫌になったが、すぐに表情を戻し校長先生に話した。

 

「それでは校長先生。ツァンを退学させ、家に連れて帰りますのでよろしくお願いします。」

「・・・お話は分かりましたが、よいのですか?ツァンさんにはすばらしい友達ができておられます。それなのに学園を去るというのは・・・」

「友達ですと!?はは、笑わせてくれますな。校則違反を手伝うのが友達?面白い冗談ですな。」

 

父はボクに目を向けると厳しい口調でこういった。

 

「ツァン、これでこりただろう。友達というのは選ばなくてはいけない。友達というのは打算から生まれ、互いに利用しあうものなんだ。そのことを理解しないといけない。自分にとって都合のいい人間、自分にとって得になる人間を友人にしないといけない。」

 

ボクは父親の言葉に反発を覚えた。ボクはそんな思いで友達を作りたくない。ボクがこの学園で作った友達はそんな打算や利用を考えたものじゃないけども、素晴らしい友人たちだ。そんなことを叫びたかった。だけど、父の恐ろしさ。父の恐ろしさが身に染みついているボクにとって父に反抗するなんて。父に逆らうことへの恐怖と友達と育んだ友情の板挟みから父の言葉に返事できずにいた。その時だった。校長室のドアが唐突に開き、彼がはいってきたのは。

 

 

遊side

 

前日に校長からツァンが父親に連れ戻されそうになっているということを知り、俺はそれを止めるために今朝早くから起きて校長室に来た。そしてノックをすることもなく、ドアを開ける。開けるとそこにはいきなりドアが開いたことに驚く着物を着た男、「やはり来ましたか」としてやったりの表情の鮫島校長、そして一言では言い表せないほど感情をごちゃまぜにしたツァンがいた。

 

「誰だ君は?」

「ツァンの友達の小南遊と言います。今日はツァンのお父さんにお願いがあってきました。ツァンの退学を取り消してはもらえないでしょうか。」

 

俺はできる限り丁寧にはっきりとした口調でそう言った。ツァンの父親はその言葉に少し驚いて、すぐに憮然とした表情になりいやそうな口調で言った。

 

「君に私たち家族の問題に立ち入る資格はない!ツァンは問題行動を起こしたのだ!校則を破り、旧校舎に入るという問題行動を!そしてそのためにデュエルに敗北したら退学になるという極めて苦しい立場に追い込まれたのだ!私に泥を塗ったのだ!そんな娘をここにおいておくわけにはいかない!」

「それじゃあ、どうするつもりなのですか?」

「うちに住まわせて、1から社会教育、礼儀作法をやりなおさせる。デュエルの勉強はLDS(レオ・デュエル・スクール)で学ばせる。これで文句あるまい!」

 

その言葉を聞き、俺は多少の怒りを覚えて強い口調で反論をした。

 

「問題は大アリですよ!ツァンの気持ちはどうなるんですか!ツァンはこの学園で友達ができて楽しんでるんだ!友達のことをかけがえのない存在であると感じているんだ!その存在を奪うなんてアンタ何を考えているんだ!」

「友達などいくらでも作れる!それにツァンを校則違反に誘う友達や君のような礼儀のない友達がツァンにとってよい友達であるはずがない!」

「・・・ツァン。」

 

もうこの親を説得するのはだめだと思い、ツァンに話しかける。

 

「君はどうしたいんだ?」

「・・・う・・・」

 

ツァンは俺の質問に上手く言葉を返せずにいた。・・・よほどこの父親がおそろしいんだな。

 

「・・・ボクは、ボクは・・・」

「ツァン!一人称をボクというのはやめろといつもいっているだろ!もういい、帰るぞ!全くエリートを育成する学園が聞いてあきれる・・」

「待ってください。」

 

校長が突然、声を出した。

 

「なんですかな?鮫島校長先生。私は忙しいのでもう帰りたいのですがな。」

「小南君。もうそろそろ告げてはどうでしょう?あなたがツァン・ディレさんと付き合っていることを。」

「「「は?」

 

俺たち三人は驚いてしまった。俺がツァンと付き合う?一体いつそんなことになったんだ?混乱する頭をよそに鮫島校長は意味ありげな視線を向けてくる。・・・ああ、なるほどそういうことか。校長の意図を汲み取り俺は話をすることにした。

 

「その通りだな。ツァン、もう隠すことはできないな。」

 

俺は放心しているツァンに近づいた。そして顔を近づけ、キスを・・・するふりをした。しかし、そのふりは父親からは実際にしているように見える角度で行った。

 

「な、な・・。」

 

ツァンの父親は怒りに震えている。ツァンは起こったことがあまりに突飛であるためかまだ理解が追い付かない顔をしていた。そんな二人に対して俺は宣言した。

 

「俺とツァンは付き合っています。ですので俺はツァンと離れたくないです。」

 

しばらくの間、沈黙があった。そしてようやく状況を理解したのか、怒りをにじませながら父親は発言した。

 

「ツァンと付き合っているだと?ふざけるな!学生の身分でそんなことが許されると思っているのか!?」

「しかし、実際に付き合っているのだからしょうがないでしょう。もしこのまま僕がツァンと引き離されでもしたらツァンと僕の関係についてあることないこと喋ってしまうかもしれませんよ?」

 

その言葉に父親は表情を変えた。この父親はツァンのことを考えていない。考えていることは自分のメンツだけだ。制裁デュエルを行う前にツァンを退学させようとしたのも、もし制裁デュエルに破れて退学という事態になった場合にメンツがつぶれてしまうということを心配したからだろう。ならば、娘がどこの馬の骨ともわからぬ輩と付き合っていたということが世間に知られるというのはこれもこの父親にとって許しがたいことだろう。

 

「どうでしょう?ここはデュエルで決めるというのは?もし、俺が勝てばツァンを退学させることを辞めてください。代わりに俺が負ければ、ツァンと付き合っていたということは絶対に喋りません。」

 

父親は沈黙した。どうすればよいのかきめかねているのだろう。ならばと条件をさらに追加することにした。

 

「もちろん。こちらから提案したのですからあなたに有利な条件で戦いましょう。俺の使用するデッキはあなたと同じカテゴリにする。つまり、ミラーマッチにする。これでどうでしょうか?」

 

この言葉でツァンと父親の表情が変わった。ツァンは驚いて質問してきた。

 

「アンタ、本気で言ってるの?【六武衆】で父に勝てるって?アンタ、自分が父より【六武衆】を使いこなせると思っているの?」

 

俺はツァンの言葉に自信4割、確信6割の比率で言葉を返した。

 

「ああ、思ってるよ。」

 

その言葉を聞き、ツァンの父親は何も理解できていない若造を懲らしめてやろう、身の程を教えてやろう、そんな感情をにじませて告げた。

 

「いいだろう。その条件受けてやる。身の程を知るがいい!」

 

こうしてツァンを攻略するためのイベント「父親とのデュエル」が始まることになった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。