ウサミンと別れてから俺はウサミンの追加攻略条件を満たすため作戦を練り、準備を行っていた。そして夜になり、ウサミンの追加攻略条件であるイベントを告げる電話がなった。電話の相手は宮田ゆまだった。その内容はというと「宇佐美彰子がまだ戻ってきていない」というものだ。
さてここで宇佐美彰子の攻略にあたって追加された条件について触れてみよう。それは「今夜、失踪する宇佐美彰子をいち早く発見すること」である。この条件をクリアするために俺は作戦を練っていたわけである。そして、その作戦を実現するために宮田ゆまに質問を重ねた。
「それで、そのことを知っているのは何人いるの?」
「今のところ、私たちだけです。」
「だったらこの話をするのはツァンとかの友人に限定することだ。大勢で探すと後々面倒なことになるから。」
「わかりました。」
「それと探す場所だけれども俺は火山を探すからみんなには別の場所を探すように伝えてくれないか?」
「ええ、わかりました。よろしくお願いします。」
そう言って通話は終わった。通話に使ったスマホを見ながら俺はほくそえんでいた。これで俺がウサミンをいち早く見つけることはほぼ確定だ。俺は靴を履いて外に出た。そして十代達の部屋をノックした。
「「「失踪した!?」」」
「そうなんだ。それでお願いがある。一緒に来てくれないか?」
まあ、答えは聞くまでもないがな。十代の性格、翔の十代への依存症、そして隼人を攻略していることを考えたら。
「わかったんだな。」
「もちろんだ。」
「わかったス。」
「わかった。それじゃあ、みんなは校舎や旧校舎を探してくれ。俺は火山の方を探す。」
「「「わかった。」」」
そう言って俺たちは別れた。
俺は火山に向かう道中でこのイベントの攻略法についてまとめていた。このイベントを攻略するには2つのポイントがある。それはウサミンがどこにいるのかを知ることと、そこに誰よりも早く辿り着くことである。まずウサミンがどこにいるのかを知ることだが、俺はウサミンと別れてからアカデミアの地図を見て居場所を調べた。現実ではどこにいるのかはわからないだろう。しかし、これはゲームである。そう考えるとウサミンのいる場所はおのずと特定ができる。タッグフォースをプレイした経験があり、実際にウサミンに接した俺が感じられることはウサミンは恐竜好きだということである。そのことを考えればおのずと居場所がわかってくる。このデュエルアカデミアには恐竜の住んでいた時代から存在していたとされ、デュエル・アカデミアのシンボルでもある火山たるアカデミア火山がある。まさに恐竜好きにはたまらない場所だろう。結局、ウサミンはそこにいると考えられる。
ウサミンがいるであろう場所が決まったのだから後はどうすればいち早くウサミンを見つけられるかである。だがこれもよく考えれば自明のことである。ウサミンがいない場所を探すようにさせればよいのだ。これでまず間違いなく、ウサミンをいち早く見つけられるはずなのだが・・・。
「ちょっと、早く来なさいよ!」
「ふふ、その通りよ。ごしゅ、・・・遊!」
・・・なぜか、この2人がやってくるわけでして・・・
「・・・なあ、どうしてお前たちがここにいるんだ?」
「そんなの宇佐美さんを見つけるために決まってるでしょ?」
「いや、それならみんな別々の場所を探したほうが効率がいいんじゃ?」
「なによ、ボクと一緒じゃいやってこと?」
「いやそういうわけじゃ?」
「だったら仲良く探せばいいじゃないの?私とツァンさん、そして遊の3人で。」
「・・・」
こういう風に2人がついてくるのである。どうしてこうなったのか、俺は悩んでいた。確かに2人は俺に惚れているのだから、ウサミンを探している俺に嫉妬して一緒に探そうとする。これ自体はラブコメによくあることかもしれない。しかし、今回は俺がウサミンをいち早く発見しなくてはならないというルールが定められたイベントはずである。それなのに2人がついてくる。これはなにを意味するのだろうか?3人同時に発見してもそれはいち早く発見したということになるのだろうか?いや、ゲームの趣旨からいってそれは考えにくい。では、このイベントで2人を止める選択を選ばなかったのが原因だろうか?だが、いままでに行った行動を振り返ってみてもそれは考えにくい?ならば、なぜ?そうして考えがまとまらないうちに俺たちは目的地に到着した。
結論から言うと俺たちはウサミンを発見できなかった。この世界のアカデミア火山には漫画版と同じく決闘場が設置されており、人が隠れることのできる場所は多く存在していた。しかし、俺たち3人は一緒にウサミンが隠れていそうな場所を捜索したが、全く発見することができなかった。
「どういうことだ?」
俺は思わず、つぶやく。どう考えても俺の選択肢は正しかったはずだ。それなのに現実にいないとは一体?
「ねえ、もう帰りましょうよ。いないならいないで別のところを探しましょうよ。」
「雪乃さんの言うとおりだよ。遊早くいこう。」
2人がそんなことを言い始めた。それに対してやむなくしたがおうかとして、一歩、二歩と2人に歩み寄ったところでふとあることを思い出した。小学生のころ、父親に教えてもらったかくれんぼの必殺技である。・・・ああ、なるほどそういうことか。俺はこんな単純なことに気付かなかった自分を恥じつつ、2人に向き合うと指示を出したのだった。
結論から言うと俺たちはウサミンを発見できた。先に見つけることができなかったのはこの世界の登場人物は一応自分で思考し、行動できるのが理由である。つまり、ウサミンはかくれんぼで子が鬼を逃れるために隠れていた場所から動くことをやっていたのである。最初のときに見つけられなかったのは俺たちがいったん探したところに潜伏していたからである。そして今回見つけることができたのはツァンと雪乃の2人にまず捜索させた後、俺が2人が捜索した所を回ることにしたからである。つまり、この作戦を実施するためにツァンと雪乃は俺のもとに来たのである。ウサミンを探す俺に嫉妬したという感情を持った設定で。とまあ、長くいったがつまるところ、俺はウサミンの追加攻略条件をクリアしたのである。
「はい、カフェオレ。」
「・・・ありがとうございます。」
ウサミンを発見した後、どうしていなくなったのかを俺が1対1で聞き出すことになった。・・・それが決定されたときにツァンと雪乃の態度に関しては触れないでおこう。さて本題に移るとするか。
「どうしていなくなったの?」
「・・・はい、実は・・・」
そうして語りだしたウサミンの言葉を要約するとこんなものだった。ウサミンは恐竜のことが大好きだった。そのため恐竜の素晴らしさをもっと多くの人に知ってもらうことが夢。だけどそのためには問題がある。それは自分が臆病であるということ。臆病であるがために恐竜の素晴らしさを人に伝えようと思ったときに恐怖してしまい、恐竜の素晴らしさを伝えることができない。とくに男性に対して。そんな臆病な自分を変えたくて、デュエルアカデミアに入学した。けれど・・・
「私、やっぱりだめなんです・・・。自分に自信を持つことができなくて・・・。みんなに迷惑をかけてばっかりで・・・。このままじゃ、コナミさんと生徒会長さんも一緒に退学になってしまう・・・。そう思うといてもたってもいられなくて、恐竜さんのことを考えてこの気を少しでも楽にしようそう思って、火山に・・・」
「・・・それで気は楽になったかい。」
「全然です。むしろ苦しくなっていくばっかりで。」
そうだろうね。現実から逃げてもさらに厳しい現実を見ないといけなくなるだけ。それは俺も経験したからわかる。まあ、このことは触れずに意見を言おうか。
「宇佐美さん。宇佐美さんは自分のことをどう思ってるの?」
「・・・情けないやつだと思っています。何一つ思ったことを実現できない、情けない存在。」
「それは違うと思うよ。だって・・・」
俺は笑い顔を作りながら思ってもいないことをそれらしくいった。
「俺は宇佐美さんのおかげで恐竜の素晴らしさを理解できたもん。」
「え・・・」
「宇佐美さんとデュエルしたり、お話をしたりする中で恐竜の素晴らしさを知ることができたもん。これは誇ってもいいことだと思うよ。」
「・・・嘘はやめてください。」
バレてる!?・・・いや、違うな。これはおそらく
「嘘じゃないよ。それを証明してみせるよ。」
「・・・証明?」
「そう、証明。」
そう俺が発言するとツァンが「もう、そろそろお話はいいでしょ!」とやってきた。こうして本来ならば放課後にウサミンとの会話で得ていたはずの情報をようやく入手したところで俺とウサミンのお話はこれで終わったのであった。
翌朝、学び舎に向かう途中で原麗華に出会った。そのため挨拶をすることにする。
「おはようございます。原会長。」
「ええ、おはよう。小南君。」
そうして自然と一緒に校舎に向かう形となった。そうして一緒に登校をするこの機会を利用して前から気になっていたことを質問することにした。
「そういえばどうして会長は俺を助けてくれるんですか?アカデミア倫理委員会からかばってくれたり、勉強を教えてくれたり。」
「あら、学生の身を守るのは生徒会長として当然のことだと思いますけど?」
「・・・そうですね。」
「・・・それにあなたのことが気になりますしね。」
「・・・ん?」
「いえ、何でもありません!気にしないでください。それよりも・・・」
そういって話を変えていく麗華。しかし俺は目的が果たせたので、にやりとしていた。なるほど、原麗華の好感度がどれぐらいなのかがわかった。これからこの真面目な生徒会長を惚れさせていくのは実に面白そうだ。内心そうおもいつつ今は麗華との会話を楽しむのだった。
放課後、ウサミンと他1名を攻略するのに必須のイベントが発生した。
「大変だ!翔がいなくなった!」
来たか・・・。俺は内心そう思った。その後、俺たちは翔を探すことになり翔を探し出した。そして翔と一緒のところにいたのは・・・。
「・・・亮・・・」
アメリカ留学をしているはずの帝王こと丸藤亮だった。なぜここにいるのかって。まあ、弟のことが気になって一時帰国したんだろうね。丸藤亮は俺の思ったことに気付くことなく、翔を責め始めた。それに対して・・・
「やめろ!」
十代に先だって俺が叫んだ。そうして自然な流れでデュエルが行われることになったが、始まる前に宇佐美彰子に言っておいた。
「宇佐美さん。俺が昨夜宇佐美さんに言ったことが本当だってことを証明するよ。」
「・・・・・・え?」
呆けたウサミンを放っておいてデュエルが開始した。さてと、始めるか。俺は裏技を駆使して作り上げた【恐竜族】デッキをデュエルディスクに差し込み、帝王とのデュエルを開始するのであった。