「さあ、はじめようか。もしも俺が勝ったらみんなから奪ったレアカードを返してもらうぞ!」
『いいだろう!』
『デュエル!』
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アカデミア倫理委員会の女隊長と遊んだ(女隊長から見ると○○○された)翌日。俺はいつものように購買で働いていた。いつもの仕事が済むといつものように話し合いになった。今回の話題は購買で売っているドローパンの当たりである黄金のタマゴパンがどうやら盗まれているようなのでこの盗難事件にどう対応するべきかを話し合うということだった。やはり寝ずの番で見張るのが一番いいという結論になったところで、購買にツァンとゆまが泣いている少女と一緒に入ってきたのを見つけた。泣いている少女は俺が目をつけていた少女だったので、事情を話して少し休憩をもらい、話しかけることにした。俺のおごりの紅茶を飲みながら、大和撫子という四字熟語を思わせる少女は語りだした。話を要約すると彼女は普段体が弱いため、このアカデミアに来ても、あまり外出などが出来なかった。しかし、昨日の晩は珍しく体調がよかったので外出した。ところが・・・
「謎のデュエリストにアンティデュエルを吹っかけられてしまい、レアカードをとられてしまったと?」
「・・・はい・・・そうです。」
「カードをとったのはたぶん、うわさになっている『闇夜の巨人デュエリスト』のことだと思う。」
「大男?」
「遊!知らないの?オベリスクブルーにデュエルを吹っかけてレアカードを奪っている大男よ!随分、みんなの間で噂になってるわ!」
「ふーん。そうなの。」
俺はそういうと結論を出した。
「じゃあ、俺がその大男とデュエルをして、君のカードを取り返してあげるよ。」
そう、笑顔で(後からツァンに聞くと天使のようでもあり悪魔のようでもある笑顔)でそう言ったのだった。
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そうして夜遅く、体調が悪くなった彼女を帰らせた後に、これまた大男を探していた十代達と合流し、大男をしてデュエルをしているのである。デュエルの最中に大男の正体が小原と大原という2人組の仕業であり、オベリスクブルーを襲った理由はオベリスクブルーに馬鹿にされたからだということが判明した。まあ、デュエルの最中にマナー違反されたりしたらキレるわな。だからといって無関係の人を巻き込んでもいいという理由にはならないが。ちなみにデュエルは『終焉のカウントダウン』で俺が勝利した。『ターン・ジャンプ』が強いなあ。これ1枚で6ターン飛ばせるからなあ。
『終焉のカウントダウン』(通常魔法)
2000ライフポイント払う。発動ターンより20ターン後、自分はデュエルに勝利する。
『時の飛躍-ターン・ジャンプ』(速攻魔法・アニメ『遊戯王』原作効果)
発動したターンのターンプレイヤーのターンで数えて3ターン後のバトルフェイズまで全てのフェイズをスキップする。その後、フィールド上に表側表示の「LV」を持つモンスターが存在する場合、そのモンスターを墓地へ送る事でデッキまたは手札からそのカードに記されているモンスターを召喚条件を無視して特殊召喚する。
かくして俺は勝利し、お目当てのカードを取り戻すことができたのである。
???side
私は寝ることなく、この1時間ずっと天井を見ていた。肉体的な疲れを感じつつも、それ以上に精神的な疲労が大きかった。「もうしわけない。」という気持ちで一杯だからだ。例え、友人の友達であるとはいえ、自分と初めて会ったばかりの人にカードを取り返すことを頼む。自分ですべきことを自分でできない。そのことが、申し訳なかった。
「ふう・・・。」
ため息ばかりがついて出る。体調はかなりましになったけれど、外に出る気力がわかない。どんな顔で会えばいいのかが分からない。そんなとき、音がした。窓ガラスの方からだ。みると、彼がほほ笑んでいた。
小南遊side
窓を開けてもらい、俺は部屋に張る。部屋の中はこぎれいにまとまっていてかなりきれい好きの性分であることがうかがえる。少々の埃のつもりは体調が悪かったからだろう。そんなことを思いつつ、俺は目的を行う。
「はい。君のカード。」
「・・・・・・」
まだ、呆けているようでただ無言で受け取った。俺はそのまま、部屋を後にすることにした。さすがに体調の悪い人を口説いたりする勇気はないからな。そのまま、帰ろうとしたら、か弱くもしっかりとした声で呼び止められた。
「あ、あの。」
「・・・なに?」
「カードのことありがとうございます。」
「別にいいよ。当然のことをしたまでだし。」
「そ、それと・・・」
何か言いたい。だけど、言葉が続かないようだった。そんな彼女に助け船を出した。
「体調がよくなったら・・・」
「え・・・?」
「体調がよくなったら、一緒に散歩しようね。」
「・・・は、はい。喜んで。」
「それじゃあ。体を早くよくしてほしいし、見つかったらまずいから帰るよ。ゆっくり休んでね。紬さん。」
「はい!」
そう笑顔を見せる彼女に背を向けて、木を降りることにした。木登りって登るより降りる方がこわいなあ。これが彼女、紬紫(つむぎゆかり)の攻略の始まりだった。
「闇夜の巨人デュエリスト」事件が解決した翌日の晩、十代達を巻き込んで寝ずの番で泥棒を見張った。見張っている間、くだらない会話などをして、時間をつぶしていくうちに「ドローパン」が話題になった。俺としてはドローパンのような何が入っているかわからないものを買う気にはなれないのだが、なんでみんなが買うのかが分からなかったので買う理由について質問したのである。
すると、セイコさんが一番わかりやすい説明をつけてくれた。
「みんなは宝くじを買うように期待や夢を買っているんですよ。」
「なるほど」と俺は思った。
それから、「引きおにぎり」をして時間をつぶすと泥棒がやってきた。
泥棒は大山平という元オベリスクブルーの生徒だった人物であった。黄金のタマゴパンを盗んだ理由は山にこもり修行を積んだ結果、自分のドロー力が上がったのかを確かめたかったからだという。それを聞いて多少、イラッときたのでデュエルでつぶすことにした。
「どうしたんですか。大山先輩。ご自慢のドローを見せてくださいよ!」
「クッ!」
忌々しそうにこちらを睨みつけてきた。それをみて嗜虐心が刺激されていくことが自覚できた。俺はそのまま、笑った。
「といってもデッキが0じゃあドローできないか。はっはっは!」
俺が今回使ったデッキは『幻子力空母エンタープラズニル』の効果を1ターンに複数回使用し、相手のカードを1ターンで全除外するというデッキである。
『幻子力空母エンタープラズニル』
エクシーズ・効果モンスター ★9 風属性 機械族
攻撃力2900 守備力 2500
レベル9モンスター×2
1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、以下の効果から1つを選択して発動できる。
●相手フィールド上のカード1枚を選んでゲームから除外する。
●相手の手札をランダムに1枚選んでゲームから除外する。
●相手の墓地のカード1枚を選んでゲームから除外する。
●相手のデッキの一番上のカードをゲームから除外する。
そしてさらに嗜虐心の赴くまま、言葉を紡いだ。いわく勝ちたいならドローという不確定なものに頼るよりもサーチに頼るべき、いわく勝利を求めるならそもそもデッキ圧縮という努力すらせずドローに頼るなど論外、いわく勝利をつかみたいならドロー力を磨く前にもっとデッキを研鑽しろ。
「要するにアンタは勝つことよりもドローをすることが好きで好きたまらなかった。だから山にこもったりして修業したんだろ。だったら、その能力をちゃちな盗みで無駄に使うんじゃない!」
大山平は崩れ落ちた。十代とトメさんが優しく慰めた。そして彼は本音を明かした。それに少し、救われた気がした。
翌日の昼休み。俺は「やっぱり期待や夢を持ってはいけない」、そう納豆パンと向き合いながら感じた。昨日のことがあったから今日は初めてドローパンを買ったのだが、よりにもよって具が納豆・・・。どうしろと・・・。そう思っているうちに背後から話しかけられた。
「何してるの?」
振り返るとセイコさんが立っていた。
「いや、ドローパンと格闘してまして・・・」
「ふーん。具材は何?」
「それが・・・納豆なんです・・・」
「そう!それじゃあ交換しよっか?」
「え・・・」
「私は甘栗パンなんだけど、大丈夫。」
「ええ!大丈夫です!」
「そう!それじゃあ・・・」
そうして自然と一緒に食事をとることになった。ドローパンを互いに食べ終わり、飲み物でのどを潤していると、あることに気が付いた。
「ん?」
「どうしたの?」
パック牛乳のストローから口を離してセイコさんが尋ねる。
「えーと。さっき、ドローパンを交換したじゃないですか・・・。」
「うん、したね。」
「どちらも一口ずつ食べてたじゃないですか。」
「食べてたね。」
「て、ことは・・・その・・・間接キス・・・」
「・・・あ、ああ。」
セイコさんは困ったような笑顔を見せてほほ笑む。この様子を見る限り俺に好意を抱いているのは確かだ。
「だ、大丈夫。あたし気にしないから。」
「は、はい。」
変な空気を変えるべくセイコさんは発言する。
「ところで、昨日の遊君はかっこよかったです。だから、その・・・。私もデュエルを始めようと思います。なので・・・デュエルを教えてほしいんですけど・・・。」
「いいですよ。それくらい。それじゃあ、今日の仕事が終わってからしましょうか。そろそろ昼休みが終わるので僕はこれで。」
「ええ、よろしくおねがいします。」
かくして俺はセイコさんにデュエルを教えることになったのである。なにも教えずとも、タッグフォースのように猛威をふるうセイコさんに。