万条目準side
(勝たなきゃならないんだ・・・。勝たなきゃ・・・。)
兄さんたちの期待、このデュエルが全国でTV中継されていること、そして敗北への恐怖・・・。そうした諸々のことが俺を襲った。
「それでーはデュエリスト紹介をするノーネ。」
気付くともう両校長の開会宣言は終わっており、デュエリスト紹介に移っていた。
「ノース校代表・・・」
「いらん!」
俺はこの気持ちを静めるために自分が何者かを大声で叫ぶことにした。
「いいか、貴様ら!俺の名は一!十!百!千!万条目」
『サンダー!サンダー!万条目サンダー!』
・・・奴らの唱和を聞くうちに気持ちが多少、ましになっていくのを感じた。
小南遊side
・・・わかるぜ、万条目。辛いよな。本当につらいよな。
「どうしてこんなことができないの?」
「ねえ、どうしてこうしなかったのそうすればもっと簡単にできたのに?」
「ゲームばっかりしてたら駄目だよ!勉強しないと、ねえ!」
「お兄ちゃん!」
眼を閉じて昔のことを思い出す。優秀な妹がいたがために比較され続けた人生だった。今振り返ってみれば、妹が俺のことを好きだったために、妹の知り合いなどに存在を知られて比較されることが多かった。まあ、それだけだったらよかったそれだけなら・・・。
「おい!何をしている!」
万条目が声を荒げていた。
「さっさとコインの表か裏かを選べ!」
どうやらこのデュエルでは先行後攻はコイントスで決めるらしい・・・。いつもそうすればいいのに・・・。そう思いつつ、俺は決断する。
「じゃあ、『裏』。」
「コインは『表』ですーノ。シニョール万条目が先行後攻を決めるーノ。」
「万条目『サンダー』だ。ふん、ならば俺は後攻を選ぶ!」
その言葉を聞いて俺は驚いた。
「本当にいいのか?」
遊戯王(この世界ではデュエルモンスターズだが)においては先行が基本的に有利だ。先行ドローができなくなったとはいえ、相手の行動を制限するモンスターを召喚したり、罠カードを使用することで相手の妨害ができるからな。
「ふん。かまわん!」
万条目は自信を込めていった。
「進化した万条目サンダーの実力を見せてやる!」
「・・・わかった。」
そうして俺は万条目と前回戦ったときと変わらないデッキをプレイし始めた。奇しくも手札はあのときと同じだった。
「俺は『レスキューキャット』を召喚。」
万条目準side
『レスキューキャット』。この忌々しい化け猫め。俺は思わず、睨みつけた。『レスキューキャット』は俺の視線にかまわず、愛くるしいしぐさを見せた。ギャラリーどもが『きゃー!!かわいい♡!!』と叫んでいるが、カード効果も知らんのか、貴様らは!!
やつは俺のいらだった様子を少し気にしながら確認してきた。
「召喚時、発動するカードはあるか?」
「ああ、『エフェクト・ヴェーラー』を捨てて効果発動。『レスキューキャット』の効果を無効にする。」
『ええー!!』という批判が起こるが知らん!もし通したら『森の聖獣 ユニフォリア』などを絡めて『シューティング・クェーサー・ドラゴン』まで持って行かれることは身をもって体験済みだ!
『レスキューキャット』
効果モンスター ☆4 地属性 獣族
攻撃力300 守備力 100
自分フィールド上に表側表示で存在するこのカードを墓地に送る事で、デッキからレベル3以下の獣族モンスター2体をフィールド上に特殊召喚する。この方法で特殊召喚されたモンスターはエンドフェイズ時に破壊される。
『森の聖獣 ユニフォリア』
効果モンスター ☆1 地属性 獣族
攻撃力700守備力500
自分の墓地のモンスターが獣族のみの場合、このカードをリリースして発動できる。自分の手札・墓地から「森の聖獣 ユニフォリア」以外の獣族モンスター1体を選んで特殊召喚する。この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。
「む・・・。ならカードを3枚伏せてターンエンド。」
小南遊LP4000 手札1枚
場:『レスキューキャット』、伏せ3枚
『レスキューキャット』の効果を無効にされたにもかかわらず、ギャラリーとは違い、表情一つえることなくプレイを進めた。・・・認めたくないが、優れたデュエリストの態度だと評価せざるを得ない。
「俺のターンだ!ドロー!」
ドローカードを見て俺は微笑む。きてくれたか・・・。雑魚が「オイラだってもう手札にいるよ!アニキぃー!」といっていたが、無視した。お前はただの数合わせだ!そうしてプレイングについて考えた。・・・やつのことだ。考えなしにカードを3枚伏せたわけがない。1枚はおそらく、『大革命返し』、『スターライト・ロード』あたりだろう。やつのデッキが前回戦ったのと同じであると考えるなら、『スターダスト・ドラゴン』を出せる『スターライト・ロード』の可能性が高いが、エクストラデッキの枚数制限を考えたら『大革命返し』である可能性もある。
『大革命返し』(カウンター罠)
(1):フィールドのカードを2枚以上破壊するモンスターの効果・魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし除外する。
『スターライト・ロード』(通常罠)
(1):自分フィールドのカードを2枚以上破壊する魔法・罠・モンスターの効果が発動した時に発動できる。その効果を無効にし破壊する。その後、「スターダスト・ドラゴン」1体をエクストラデッキから特殊召喚できる。
伏せカードがどちらであるにせよ。俺がここで取るべきプレイングは・・・。
「手札から『サイクロン』発動。俺から見て右側のカードを破壊する。」
破壊したのは『スターライト・ロード』・・・。よし!
「さらに『ハーピィの羽根帚』を発動。相手の伏せカードをすべて破壊する!」
「何やってんだ?」、「最初から『ハーピィの羽根帚』を使えば、いいのに」、「馬鹿だな・・・」といった声を無視して発動した。小南は少し悩んで、効果を通した。破壊されたのは『神の宣告』と『ブレイクスルー・スキル』・・・。『神の宣告』を発動して残ったLP2000を攻撃力300ぽっちの『レスキューキャット』と『ブレイクスルー・スキル』1枚だけではしのげないと判断したか。『ブレイクスルー・スキル』は墓地発動効果があるということを考えるとよい判断といわざるをえないな。
『神の宣告』(カウンター罠)
(1):LPを半分払って以下の効果を発動できる。
●魔法・罠カードが発動した時に発動できる。その発動を無効にし破壊する。
●自分または相手がモンスターを召喚・反転召喚・特殊召喚する際に発動できる。それを無効にし、そのモンスターを破壊する。
『ブレイクスルー・スキル』(通常罠)
(1):相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。
(2):自分ターンに墓地のこのカードを除外し、相手フィールドの効果モンスター1体を対象として発動できる。その相手の効果モンスターの効果をターン終了時まで無効にする。この効果はこのカードが墓地へ送られたターンには発動できない。
「俺は『天使の施し』を発動。デッキからカードを3枚引き、2枚を捨てる。捨てるのはこの2枚だ。」
捨てたカード
『おジャマ・イエロー』、『黒光りするG』
「『おジャマ・イエロー』がひどいよ、アニキぃー!」と叫んだが、かまわず墓地に送る。
『おジャマ・イエロー』
通常モンスター ☆2 光属性 獣族
攻撃力0 守備力 1000
あらゆる手段を使ってジャマをすると言われているおジャマトリオの一員。三人揃うと何かが起こると言われている。
「『強欲な壺』を発動。デッキからカードを2枚ドローする。手札から『D.D.クロウ』を捨てて効果発動。『ブレイクスルー・スキル』をゲームから除外する。続けて『竜の霊廟』の効果発動。デッキから通常モンスター『アレキサンドライドラゴン』を墓地に送り、追加効果で『霊廟の守護者』を墓地に送る。」
『D.D.クロウ』
効果モンスター ☆1 闇属性 鳥獣族
攻撃力100 守備力100
このカードを手札から墓地へ捨てて発動できる。相手の墓地のカード1枚を選択し、ゲームから除外する。この効果は相手ターンでも発動できる。
『竜の霊廟』(通常魔法)
「竜の霊廟」は1ターンに1枚しか発動できない。
(1):デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る。さらにこの効果で墓地へ送られたモンスターがドラゴン族の通常モンスターだった場合、デッキからドラゴン族モンスター1体を墓地へ送る事ができる。
『アレキサンドライドラゴン』
通常モンスター ☆4 光属性 ドラゴン族
攻撃力2000 守備力 100
アレキサンドライトのウロコを持った、非常に珍しいドラゴン。その美しいウロコは古の王の名を冠し、神秘の象徴とされる。――それを手にした者は大いなる幸運を既につかんでいる事に気づいていない。
『霊廟の守護者』
効果モンスター ☆4 闇属性 ドラゴン族
攻撃力0 守備力 2100
「霊廟の守護者」の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):ドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する場合、このカードは2体分のリリースにできる。
(2):このカードが手札・墓地に存在し、「霊廟の守護者」以外のフィールドの表側表示のドラゴン族モンスターが効果で墓地へ送られた場合、または戦闘で破壊され墓地へ送られた場合に発動できる。このカードを特殊召喚する。さらに墓地へ送られたモンスターが通常モンスターだった場合、自分の墓地のドラゴン族通常モンスター1体を選んで手札に加える事ができる。
「そして『死者蘇生』を発動。墓地から『霊廟の守護者』を蘇生する。そして『霊廟の守護者』をリリースし、アドバンス召喚を行う。『霊廟の守護者』はドラゴン族モンスターをアドバンス召喚する際に2体分のリリースとなる。光と闇の狭間より現れろ!」
(ノース校に伝わる伝説のカード・・・そして俺の相棒!)
「『光と闇の竜』!!」
(ともに戦ってくれ!!)
小南遊side
召喚されたのは光と闇、2つの相反する属性を持った竜だった。正反対のものを無理に1つにするとどこかしら違和感が出るものだが、それを全く感じさせなかった。むしろ、正反対に一体感を感じさせた。その証拠に・・・。
『・・・・・・』
あれほどさわがしかった観衆が黙って現れた竜を見ているのだから。
『光と闇の竜』
効果モンスター ☆8 光属性 ドラゴン族
攻撃力2800 守備力 2400
このカードは特殊召喚できない。このカードの属性は「闇」としても扱う。このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、効果モンスターの効果・魔法・罠カードの発動を無効にする。この効果でカードの発動を無効にする度に、このカードの攻撃力と守備力は500ポイントダウンする。このカードが破壊され墓地へ送られた時、自分の墓地に存在するモンスター1体を選択して発動する。自分フィールド上のカードを全て破壊する。選択したモンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する。
「バトルだ!いけ!!『光と闇の竜』!!『レスキューキャット』を攻撃。」
光り輝く光線が放たれた。
「シャイニングブレス!!」
小南遊LP4000→1500
攻撃が決まってもしばらく沈黙が続き、しばらくすると声があがった。「サンダー!サンダー!万条目サンダー!!」という声が、本校とノース校の区別なく。
「俺はこれでターンエンドだ!」
万条目LP4000 手札0
場:『光と闇の竜』
・・・万条目の手札は0とはいえ、場に『光と闇の竜』がいるからこのままだと4回効果を無効にされる。例え、それを突破したとしても『黒光りするG』の効果でシンクロモンスターは破壊される。
『黒光りするG』
効果モンスター ☆1 地属性 昆虫族
攻撃力200 守備力 500
相手フィールド上にシンクロモンスター1体のみが特殊召喚された時、墓地のこのカードをゲームから除外して発動できる。そのシンクロモンスターを選択して破壊する。この効果は相手ターンでも発動できる。
ドローをして、カードを確認し思った。はじめてデュエルした時とは比べ物にならない実力だ。・・・万条目、お前すごいよ・・・。心が折れてしまいそうなのに、それをおくびに出さず実力を高めることができるなんて・・・。少なくとも俺には無理だ・・・。だから・・・。
「手札から魔法カードを発動。」
だから・・・手加減はしない!!
「『禁じられた聖杯』を発動。『光と闇の竜』の攻撃力を400ポイント上げ、効果を無効にする。」
「『光と闇の竜』の効果で無効だ。」
「チェーンしてもう2枚目の『禁じられた聖杯』発動。『光と闇の竜』の効果は同一チェーンでは1回しか使えない。よって『禁じられた聖杯』は有効だ!」
「クッ!」
『禁じられた聖杯』(速攻魔法)
(1):フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。ターン終了時までそのモンスターは、攻撃力が400アップし、効果は無効化される。
効果を無効にされたとはいえ、『光と闇の竜』の攻撃力は3600まで上がった。そのために万条目を応援する声があったが、万条目はこれから何が起こるかが分かっているようだった。だが、目はひたすらこちらを見つめていた。
「手札から『命削りの宝札』を発動。デッキからカードを5枚ドローし、5ターン後にすべて捨てる。」
『命削りの宝札』(通常魔法・原作効果)
手札を5枚になるようにドローする。5ターン後すべての手札を墓地に置く
いきなり5枚ドローして驚く観衆を無視してプレイを続ける。
「魔法カード『死者蘇生』を発動。墓地から『レスキューキャット』を蘇生する。そして効果発動。デッキから『森の聖獣 ユニフォリア』2体を特殊召喚。『森の聖獣 ユニフォリア』の効果発動。墓地から『レスキューキャット』を蘇生する。『レスキューキャット』の効果発動。デッキから『X-セイバー エアベルン』と『ダーク砂バク』を特殊召喚。『X-セイバー エアベルン』と『ダーク砂バク』でシンクロ召喚『TGハイパー・ライブラリアン』。」
「『黒光りするG』の効果発動。『TGハイパー・ライブラリアン』を破壊する!」
手札には『我が身を盾に』があるが、ライフが残りちょうど1500なので発動できない。
『我が身を盾に』(速攻魔法)
1500ライフポイントを払って発動する。相手が発動した「フィールド上のモンスターを破壊する効果」を持つカードの発動を無効にし破壊する。
だが、俺にはこのカードがある。
「『魔法再生』を発動。墓地から『死者蘇生』を手札に戻し、そのまま発動して『TGハイパー・ライブラリアン』を特殊召喚する。」
「ぐっ!」
『魔法再生』(通常魔法・原作効果)
自分の墓地から魔法カードを1枚選択し、手札に加える。
「再び『森の聖獣 ユニフォリア』の効果発動。墓地から『レスキューキャット』を蘇生。そのまま効果発動し、デッキから『マドルチェ・ホーットケーキ』と『X-セイバー エアベルン』を特殊召喚。『マドルチェ・ホーットケーキ』の効果発動。『ダーク砂バク』を除外し、『マドルチェ・ミィルフィーヤ』を特殊召喚。除外されたことで『ダーク砂バク』の効果発動。『レスキューキャット』を蘇生。『マドルチェ・ミィルフィーヤ』と『マドルチェ・ホーットケーキ』でオーバーレイ『虚空海竜リヴァイエール』。『虚空海竜リヴァイエール』の効果発動。オーバーレイユニットを1つ取り除き、『ダーク砂バク』を帰還。『X-セイバー エアベルン』と『ダーク砂バク』でシンクロ『幻層の守護者アルマデス』。『TGハイパー・ライブラリアン』の効果で1枚ドロー。『レスキューキャット』の効果発動。デッキから『ネコマネキング』と『キーマウス』を特殊召喚。『ネコマネキング』と『キーマウス』でシンクロ召喚『フォーミュラー・シンクロン』。『TGハイパー・ライブラリアン』と『フォーミュラー・シンクロン』の効果でデッキからカードを1枚ずつ計2枚ドロー。『』と『幻層の守護者アルマデス』に『フォーミュラー・シンクロン』をチューニング、シンクロ召喚『シューティング・クェーサー・ドラゴン』」
小南遊 LP1500 手札6枚
場:『シューティング・クェーサー・ドラゴン』、『虚空海竜リヴァイエール』
前回対戦したのとほぼ同じようにモンスターを展開し、その勢いのままバトルフェイズに突入した。
「バトルフェイズ!『シューティング・クェーサー・ドラゴン』の攻撃!天地創造撃 ザ・クリエイション・バースト!」
究極のシンクロ竜の奔流が万条目のドラゴンを打ち倒した。
万条目LP4000→2800
「・・・『光と闇の竜』の効果発動。」
「無駄だ!『シューティング・クェーサー・ドラゴン』の効果発動。『光と闇の竜』の効果を無効にする!」
「・・・クッ!」
「これで終わりだ!天地創造撃 ザ・クリエイション・バースト!!」
光り輝く光線に飲み込まれて万条目のライフは0になった。
万条目LP2800→0
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デュエルが終わると俺たちに惜しみない拍手が与えられたのだが。
「見損なったぞ。準!」
・・・どうしようもない馬鹿がいた。話を聞くとデュエルに対する知識が全くないようだった。『伝説の剣』とか、明らかに名前負けしてるカードをいまさらどう使えってんだよ!!
『伝説の剣』(装備魔法)
戦士族のみ装備可能。装備モンスター1体の攻撃力と守備力は300ポイントアップする。
万条目が罵倒されているのを見て、当然俺は止めに入った。そしてそれはここにいるみんなが賛同した。兄たちは形勢不利と見たのか、この場を去っていった。そして万条目は再び、アカデミア本校にくることとなった。・・・出席日数が不足していたのでオベリスクブルーでなく、オシリスレッドとして。
かくしてアカデミア本校とノース校の対抗デュエルが終わり、いよいよセブンスターズ編へと物語が続いていくのだった。
ちなみに勝利した生徒の校長にはコスプレしたトメさんのキスが賞品として与えられた。なお、賞品はこれだけである。・・・・・・・・・・・・。俺と万条目が互いを慰めあったのは言うまでもない。