『まったく同じ兄妹でもどうしてこうも出来が違うのか・・・』
『○○ちゃんはまた100点!!すごいねえ・・・それに比べて遊君は・・・』
『全く、しっかりしなさい!君は兄なんだろ・・・』
『○○ちゃんのお兄ちゃん、なっさけなーい!!きゃはは!!』
ああ、うるさい。
『お兄ちゃんは気にしないでいいよ。』
『遊兄ちゃんは今のままでいいよ。』
『兄さんのいいところをみんなは知らないだけだから・・・』
・・・うるさい!!お前が言うな!!
そして、場面が変わる。
『どうしてこんなことしたの?』
『いくら妹が気にくわなかったってやっていいことと悪いことがあるだろ!!』
『○○ちゃんのお兄ちゃんは犯罪者だぁ』
・・・どうしてこうなるんだ・・・。
『違うよ・・・お兄ちゃんは悪くない。』
妹は俺をかばった。それをみて他の奴らはより一層批判を加えてきた。それはまだ精神が幼い子供にとって耐えがたいものだった。俺は少しでも痛みなどを和らげようと眼を閉じた。そして・・・・・・・・・
俺は目を覚ました。
・・・息が荒いのが自分でも自覚できた。
焦点の定まらない目を動かして、今いる場所を確認した。最初は視界に映るものが、わからなかったが、徐々にわかっていった。時計、包帯、薬品、体重計、マスク、聴診器・・・・・・。目に映ったものからここが保健室であることがわかった。時計は11時を指していた。次に自分の体を確認した。包帯や湿布がいたるところに巻かれたり、貼られたりしていた。そのことに気付くとけがの痛みが自覚できた。そして、その痛みは自分の置かれた状況を思い出させた。
眼を隣りのベットに向けた。そこには宮田ゆまが寝ていた。「すやすや」と「ぐっすり」という副詞をつけるのがふさわしい寝顔だった。それをみて俺は安堵した。そして眠気がおそってきた。現在時刻が正しいなら、半日以上寝ていることになるのだが、とにかく眠かった。そのため、頭を枕におき、目を閉じようとしてふと気づいた。
寝息が1つではなく、複数あるということに・・・。俺は「がばっ」という擬音が聞こえるほど勢いよくベットから抜け出した。すると・・・・・・。
みんなが寝ていることに気付いた。
雪乃やツァン、彰子、麗華、紫などの攻略したキャラや攻略予定キャラ、それに十代達や先生たちが。眠気を忘れ、寝ているみんなをしばらく見た。自分でもなぜそうしたのかはわからない。だが、気持ちが穏やかになっていくのがわかった。見ることは誰だったかは忘れたが、誰かが起きるまで続けたことは覚えている。
ゆまを含めたみんなが起きると、昨夜のことで説明を求められた。
俺はどうやら闇のゲームのダメージで倒れていたらしい。けががひどかったようだった。
俺はある程度、事実を伏せて出来事を話した。箇条書きにするとこういった感じだ。
・昨日、セブンスターズから襲撃があった。
・セブンスターズのデュエルは闇のデュエルであり、
・最初は宮田ゆまが襲われ、敗北し鍵を奪われた。
・その後、俺が到着し、デュエルをして勝利した。
・ゆまの鍵はコウモリに奪われた。
こうしたことを発言するといろいろな態度を見せられた。闇のデュエルの存在への「疑念」。鍵を1つ失ってしまったことに対する「失望」。デュエルする機会が奪われたことに対する「悔しさ」。人に告げずに勝手にデュエルをしたことへの「怒り」。
最後に、無事でいてくれたことへの「安堵」。
そういった様々な反応があった。その中でも特に最後の反応が俺にとって一番、心に響いた反応だった。目頭が熱くなっていった。俺はそれを悟られまいと努力した。そのおかげか誰からも俺の表情について指摘を受けなかった。
昨夜の出来事について説明をした後、俺たちはけが人なので安静にした方がいいということになり、けが人二人を残してみんなは解散していった。少しさびしかったが、これで静かに過ごせると思った・・・。のもつかの間。
「小南さん!!私を助けてくれてありがとうございます!!」
保健室に似つかわしくない元気さで想像以上の感謝を向けてくる彼女にどう対処すればいいのかで困っている。
「いや、別にいいよ・・・」
「なにをおっしゃいますか!!小南さんは命の恩人です!!なにかあったら手伝わせていただきます!!」
「・・・考えておくよ・・・」
俺はそう返事せざるを得なかった。
「はい!!お願いします!!」
彼女はそう言った。そして笑顔を作った。それにつられて俺も笑顔を作った。
それからしばらくの間、俺は寝た。起きると紬紫が隣で寝ていた。「どうして一緒のベットで寝ているのか」聞くと「小南様のお見舞いに来たのですが、ここに着くまで疲労のために倒れてしまい、小南様のベットで寝てしまったのです。」と大和撫子と評するほかない表情で答えた。その答えを受けて「誰にも気づかれなくてよかった」、「大和撫子と寝れるなんて役得、役得」、「攻略は順調に進んでいるようだ」という様々な思いと考えが去就した。
加藤先生も来た。先生の表情は泣き笑いだった。その表情と会話から先生は生徒としてだけでなく、「恋人」としても俺をみていることが伺うことができた。先生が去ると、ほくそえんで、先生攻略の成功例である恵美を攻略した過程を思い出し、攻略の手順を考えるのだった。
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2,3日して俺と宮田さんの体調がよくなった頃、あるうわさが流れ始めた。吸血鬼と湖に浮かぶ城のうわさである。校長先生によるとそれはセブンスターズの一員であるらしい。そのため、今夜デュエルすることになった。
デュエルは俺や十代、響先生がやりたがっていたが、クロノス先生が押しとどめた。
「生徒たちーを危険なめーに合わせることはー教師として、誇り高きメディチ家の末裔としてできないノーネ。」
俺はその発言に少々感動しながらも、だったらどうして俺を警備員にさせたりしたんだと心の底では突っ込まざるを得なかった。そうこうしているうちに対戦相手がやってきた。
今夜のデュエルのルールは「敗者の魂が人形に封印される」という事情を知らないものが聞いたら一笑に付すものだった。しかし、ある程度「闇のゲーム」に対する知識のある俺たちにとって笑い話ではなかった。しかし、クロノス先生は「闇のゲーム」の存在を信じていなかったのでかまわずに、デュエルした。
相手のセブンスターズ、カミューラは吸血鬼であり、使用デッキは【アンデット族】だった。対するクロノス先生のデッキは【古代の機械】。デュエルは一進一退だったが、クロノス先生が不利だった。理由としてはあちらがシンクロ・エクシーズを駆使するのに対して、クロノス先生はアドバンス召喚主体のプレイングを行っているからだ。クロノス先生はデュエルをしていくうちにこのデュエルがただのデュエルえはないということを理解したようでいつにない真剣な表情をしはじめていた。その表情をみると「せめて、発売まであと少しに迫ったの【古代の機械】の強化ストラクチャーデッキが発売されていれば」と思わずにはいられなかった。そして、決着のときはきた。
「これでおしまい!ダイレクトアタックよ!!」
「ぐわわ、ナノーネ!!」
クロノス先生は敗れた。つまり、人形に封印されることが決まった。人形になるまでに言った言葉は俺たち生徒たちのことを本当に慮った言葉だった。それはイタリアの名家メディチ家の末裔にふさわしい態度だった。俺たちはただひたすら感銘を受けた。しかし、カミューラは「敗者をいたぶるのが、勝者の権利」とばかりにクロノス先生をいたぶった。俺たちの間でクロノス先生を馬鹿にしたカミューラに対する怒りがふつふつと起こった。こうしてこの夜は過ぎた。
翌朝、響みどり先生を見かけた。俺は話しかけようと近寄った。先生は写真を見ていた。そして真剣な表情をしていた。
「先生、おはようございます。」
「!!・・・小南君、おはよう。早いわね・・・」
「先生こそ、早いですね。どうしたんですか?」
「ええ、ちょっと思うことがあって・・・」
そして真剣な表情を見せていった。
「・・・今日は先生がデュエルをするわ。かわいい生徒を危険にさらすわけにはいかないもの。」
俺は無言になった。先生はさらに続けた。
「大丈夫。先生は強いからあの吸血鬼に『特別授業』をしてあげるわよ。」
微笑んでこの場を去ろうとした。なので、俺は質問した。
「1ついいですか?」
「なにかしら?」
「先生はプロデュエリストの響紅葉さんの姉だといううわさは本当なんですか?」
「ああ、そのこと?」
振り向いてこちらを見ながら、一拍おいて答えを返した。
「その通り。本当よ。」
「・・・紅葉選手は今・・・」
「ごめんなさい。そのことは今、あまり言いたくはないわ。」
振りかえることなく、言葉を返し、先生は去った。
「クッ!!馬鹿な?」
「どうしたのかしら?吸血鬼さん?」
夜のデュエルは響先生の言葉通りの展開となった。響先生のデッキは漫画版GXの通り【堕天使】だった。最近強化されたこともあり、カードパワーが素晴らしく、カミューラをあと一歩のところまで追いつめた。しかし、カミューラは本性を見せ、『幻魔の扉』を発動した。あろうことか、発動コストである魂を自分ではなく、宮田さんの魂として発動したのだ。
『幻魔の扉』(通常魔法・遊戯王GXアニメオリジナルカード)
幻魔にこのカードを発動したプレイヤーの魂を預けることで発動できる。相手フィールド上に存在する全てのモンスターを破壊する。その後、このターン召喚、特殊召喚されたモンスターを自分及び相手の手札、デッキ、墓地から選択し召喚条件、蘇生制限を無視して自分フィールド上に特殊召喚する。このカードを発動したプレイヤーがデュエルに敗北した場合、魂は幻魔のものとなる。
・・・『サンダーボルト』+『死者蘇生』の完全上位互換以上って。俺がいうのもなんだが、使って勝っても「うれしいのかそれ?」と突っ込まれそうなカードだった。まあ、少なくとも俺はこのカードを使って勝ってうれしいが。まあ、チートカードを使うのはいい。それは「遊戯王ではよくあること」だ。しかし、コストの負けたら自分の魂をとられるのを他人の魂で踏み倒そうとするのは許せん!!それは勝負に対する冒涜だ!!
そう、思いカミューラを罵倒しようとすると『幻魔の扉』の魂のコストにされた。宮田ゆまが話しかけた。
『先生、私にかまわず勝ってください!!お願いします!!』
「・・・・・・」
確かにまだ先生には伏せカードが1枚ある。これまでのプレイングから言って先生が無駄なカードを伏せるとは思えない。おそらく、いま使えるカードだろう。使えば、おそらく勝てる。だが、しかし・・・。
『七星門の鍵をとられた私にできるのは後これぐらいですから!!』
「・・・・・・」
『お願いします!!勝って!!』
・・・・・・結末が見えたよ。
「・・・・・・わかったわ。」
そうして先生は・・・まったくもって俺の予想通りにデッキに手を置いた。サレンダー、つまり降参だ。ゆまは驚いていった。
『どうしてですか?先生、勝てたのにどうして?』
「・・・いいこと、宮田さん?」
髪をふぁさとかきあげて事実を告げた。
「生徒を守らない先生は先生失格なのよ・・・」
先生は微笑んで人形になった。人形をカミューラはつまらなさそうに拾うと俺を獲物を見つけた肉食獣の目をしてこういった。
「やっぱり、人形はあなたのような人形がいいわね。」
こうしてこの夜は明けた。
翌朝、俺は決意した。今日は俺がデュエルする。
俺は加藤先生や紬紫などの攻略キャラに声をかけ、今日のデュエルを見に来てもらうことにした。そして、ハーレムメンバーなどにも決意を示した。ハーレムメンバーは当然、止めたが、「俺じゃないと勝てない」という確信があったので無視して我を通すことにした。まあ、「我を通す」ための代償としていろいろとエッチなことをする羽目になったが、どうでもいいことである。
「あら。ようやくアナタが対戦してくれるのね♡」
「ああ、ところで先行をもらってもいいか?」
「いいわよ♡それくらい♡あなたをお人形にできるならね♡」
その発言を聞き、俺は苦笑した。俺の外見はコナミ君だけど、中身は違っている。だから、人形に封印されるのは思っていたのとは別の魂ということになる。そのことに気付いたときのカミューラの表情は見物だな。まあ、みんなのことがあるから負ける気はないが。そうして宣言をした。
『デュエル!!』
「いくぞ!!俺のターン!!まずは・・・」
「ば、馬鹿な・・・!!」
「『暗黒のマンティコア』の効果で『暗黒のマンティコア』をコストに蘇生。『生還の宝札』で1枚ドロー。墓地に送った『暗黒のマンティコア』の効果で『暗黒のマンティコア』をコストに蘇生。『生還の宝札』で1枚ドロー。再び・・・」
さて俺がやっているのは無限ループだ。『暗黒のマンティコア』2体と『生還の宝札』を組み合わせて1ターンでデッキのカードをすべて引くことで『エクゾディア』パーツをそろえることをしている。
『暗黒のマンティコア』
効果モンスター ☆6 炎属性 獣戦士族
攻撃力2300 守備力 1000
このカードが墓地へ送られたターンのエンドフェイズ時、自分の手札・フィールド上から獣族・獣戦士族・鳥獣族モンスター1体を墓地へ送って発動できる。このカードを墓地から特殊召喚する。
『生還の宝札』(永続魔法・OCG効果)
自分の墓地に存在するモンスターが特殊召喚に成功した時、自分のデッキからカードを1枚ドローする事ができる。
おいおい、そんな絶望的な表情しないでくれよ。君が悪いんじゃないか。『幻魔の扉』という1枚のカードに頼り切った君が、『幽鬼うさぎ』、『D.D.クロウ』などを手札に握れなかった君が、先行を俺に与えた君が悪いんじゃないか。だから『僕は悪くない』。スタイリッシュな台詞を心でつぶやきつつ、そう思うと突然カミューラが喚きだした。
「調子に乗るなよ!小僧が!私は知っているんだ!!お前がけがをした理由はなぜか!!」
止める間もなく、ダークネスとデュエルしたあの夜のことをカミューラは話した。その話を聞いていくうちにみんなの視線は一人に注がれ、そしてその一人は顔を青ざめ始めた。
「ククッ!!それにお前は・・・」
「ドロー。・・・『エクゾディア』完成だ・・・さっさと眠れ、蚊の親戚・・・」
地獄の業火が吸血鬼を焼き払った。
クロノス先生と響先生の魂が戻り、2人は復活した。それを見届けると、俺は彼女に向かった。・・・彼女の気持ちは経験上よくわかるから。しかし、近づこうとすると彼女は下がっていった。一歩近づくと一歩、二歩近づくと二歩というように。そのため、俺は歩むのを止めて声をかけようとした。
「宮・・・」
すると、一目散に走り去っていった。俺は追おうとしたが、ハーレムのみんなに止められた。それでも追おうとしたら、大徳寺先生に止められた。先生は真摯な表情で悔恨の思いを込めた言葉を俺にぶつけた。
「行かせて、一人にしてあげなさい・・・宮田さんを今は一人に・・・」
俺はその言葉に黙って従った。
こうしてこの夜は明けた。
七星門の鍵の残り 4個
セブンスターズの鍵の残り 5人