「っ!!」
懐かしい、そしてあまり思い出したくもない夢を見た後、俺は跳ね起きた。外はまだ薄暗かった。息は荒かった。嫌な汗もかいていた。
「ふぅ、ふう、はぁ・・・」
俺は声を出しながら息を整えた。声を出したのは息を整えるだけでなく、自分を勇気づけるためでもあった。息が整うと俺は水を飲むためにベットから出た。電気をつけ、冷蔵庫から水を取り出した。そしてあわて気味に口にした。
『むにゃ・・・どうしたの遊?』
『どうしたんだ?遊?』
眠っていた二人は部屋に電気がついたからか、それとも俺の物音が騒がしかったのか、目を覚ました。俺は二人の存在を認識して、二人の存在を失念するほど驚いていたということに気付いた。
「なんでもないよ。起こしてしまってごめん。」
『それならいいけど・・・』
『顔色が悪いぞ。大丈夫か?』
「うん、平気だよ。おやすみ。」
そういうと俺は電気を消し、あわててベットに入った。それを見て二人は驚いたが、これ以上追及することはやめて自分たちも寝ることにしたようだった。二人はすぐに眠りについた。しかし、俺は眠りにつけなかった。ただ横たわった。
「・・・・・・・・・」
そして、なぜあのような夢を見てしまったのかを考えていた。・・・何度考えても思い当たることは1つしかなかった。俺が望んだからだ。この物語は俺が望んだストーリーになるようにできている。その物語で見たくもない夢をみる。これは俺がそう望んだからとしか、考えられない。
「どうしてだろう・・・。」
ポツリと俺はつぶやいた。なぜ、俺はあの夢を見ることを望んだのか、何度考えてもわからない。ただ、1ついえることはあんな夢を見た以上、イベントが起こるのは確実であるということだ。明日には物語が進むのだろう。そう考えると、明日に備えて体力を蓄えなくてはならない。そう考えて目をつむり、無駄だろうと感じつつも寝ようと努力をした。しかし、案の定それは無駄だった。
翌朝、明日香に話しかけられた。
「おはよう!遊!」
「・・・ああ、おはよう。」
「?元気ないわね。なにかあったの?」
「・・・昨日、あまり眠れなかったんだ。」
「・・・ふーん、そう・・・」
「ちなみにお前が思っているような理由からじゃあないぞ。」
「わ、わかってるわよ!」
そう、言いながらも彼女は笑顔になった。隠しきれてないぞ、はぁ。
こうして話しかけられるのは何人目だろうか。紫や彰子、ツァン、それに先生にも話しかけられたし、この調子だとさらに発言しないといけないんだろうな。
そんなことを思い浮かべておっくうになりつつも俺は話しかけてくれた他の人にもしたように言葉を与えた。
「・・・いつもありがと・・・」
「え?なに、いきなり。」
「いや、明日香のことを思うと自然に感謝の言葉が出てきた。」
「そ、そう。」
「ああ、ちなみに誤解のないように言っておくとこれは話しかけてくれたみんなにいっている。」
「・・・そう。」
つっけんどんな空気を醸し出した明日香を無視して、俺は席に向かって授業に集中することにした。今日に起こるであろう出来事を想像しながら。
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予想通り、最後のセブンスターズが現れた。ちなみに十代は俺が到着した時にはすでに敗北していた。最後の相手は知っている人物とはいえ、意外な人物だった。
「・・・ここでアンタが最後のセブンスターズかよ。ばあさん。」
「ええ、さようでございます。」
ばあさんは初めて会ったときのように、俺に「『つくれる』エロゲー」を売ったときのように平静に語りかけた。
「・・・それでどうするんだ。デュエルの方法は?ばあさんと俺とじゃあ、この世界の禁止制限だと先行を取った方が100%確実に勝つだろ。ということはただの『じゃんけんゲー』になるぜ。」
「さようで、ございますね。そのために今回のデュエルだけ特別に現実世界のデュエルに基づいて行いたいと思います。」
「・・・なるほど。つまり、いちいちフェイズを確認する必要があるというわけだな。」
「その通りでございます。」
「・・・いいぜ、わかった。デッキを考えるから少し時間をくれ。」
「いえ、あなた様がデュエルで使うデッキはこちらに決まっています。」
そういうとばあさんは1つのデッキを差し出した。そのデッキには現実世界のようにスリーブがしてあった。しかし、そのスリーブには見覚えがあった。デッキをとり、カードを1枚また1枚と確認していった。
「このデッキって・・・」
「あなた様もご存じのデッキです。」
そういうと婆さんの目が妖しく光った。
「あなた様が、最後にデュエルの大会で使用していたデッキに御座います。」
俺は目の前が暗くなる気がした。
「俺のターン。ドロー。メインフェイズに『レッド・ガジェット』召喚。効果で『イエロー・ガジェット』を手札に加える。カードを1枚伏せてターンエンド。」
「私のターン。ドロー。スタンバイフェイズからメインフェイズまで。モンスターをセットし、永続魔法『次元の裂け目』を発動し、ターンエンド。」
「俺のターン。ドロー。メインフェイズまで移行し、『サイクロン』を発動。『次元の裂け目』を破壊する。続けて『ハイドロゲドン』召喚。『ハイドロゲドン』でセットモンスターを攻撃。」
「セットモンスターは『異次元の偵察機』。このカードは破壊されます。」
「『ハイドロゲドン』の効果でデッキからもう1体の『ハイドロゲドン』召喚。続けて『レッド・ガジェット』でダイレクトアタック。」
俺はこの世界でいつもやっているようにデュエルディスクではなく、あのときと同じようにテーブルデュエルをしていた。
「ダメージを受けたことで『冥府の死者ゴーズ』を特殊召喚。カイエントークンは守備表示です。」
「もう1体の『ハイドロゲドン』でカイエントークンを攻撃。トークンは墓地に送られないので『ハイドロゲドン』の効果は発動しない。カードを2枚伏せてターンエンドだ。」
「私のターン。ドロー。」
俺はかつて友人が多くいたときのようにプレイをしていた。より正確に言うならば、俺から友達がいなくなるきっかけとなったデュエルの再現をしていた。
あのときと同じカードが並び、デュエルが進んでいった。次々に俺の有利な盤面へとデュエルは変化していった。しかし、俺はその盤面に関わらず、顔を厳しくしていった。そして、その時が来た。
「私はこれでターンエンドです。」
「俺の・・・ターン・・・ドロー。」
予想通りのカードを引いた。
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『ねえ、お兄ちゃん。お兄ちゃんの好きなカードってなに?』
『・・・このカードだよ。』
『うわぁ。すごく強そう。』
『ああ・・・強いんだよ実際に・・・』
『違います!俺はこんなカードを入れていません!』
『それではなぜ、カードを引いた時にすぐに自分から申告しなかったのですか!』
『それは・・・失格になると思って・・・』
『どんな事情があれ、ルールはルールです。あなたは失格です。』
『そんな・・・』
『お前のせいだぞ。お前のせいで!』
『そんな・・・』
『たかがゲームで妹を傷つけるなんて何を考えているんだ!』
『そうよ!その通りよ!』
『違うよ・・・』
『お兄ちゃんは・・・悪くないよ・・・』
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「・・・サレンダーします。」
俺はあのときとは違い、素直に自分の敗北を認めた。
「よろしいのですか?」
「ええ、たかがゲームで熱くなりすぎてはいけないとあのときに知ることができたので。」
俺は首から鍵を外すとおばあさんに渡した。おばあさんは素直にそれを受け取った。そして、この場を去ろうとした。
「おばあさん。」
俺は疑問に思ったのでふと口に出した。
「俺はどうしてあのときの再現を望んだのでしょう?」
「・・・・・・それはあなた様が一番よく知っているんじゃないですか?」
そういうとおばあさんはこの場を後にした。
一人残された俺は思った。そう、言うまでもないことだ。あのときの行動を俺はいまだに後悔している。それを未だに引きずっているのだ。あのときのことを赦してほしかった。だから、俺はあのときの再現を望み、あのときと違う行動をすることを選んだ。
そこまで考えると、目が暗くなっていき、意識が重くなっていった。
もう、眠ろう・・・。
そう思い、俺は目を閉じた。
七星門の鍵の残り 0個
セブンスターズの残り 1人(ただし、今後は登場せず)