※この作品はR-18です。

新人サキュバスと成り上がりの男   作:あるい椋

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R18に変更しました。


カズマの土下座と【夢】のダクネス

「すんませんでしたー!!」

 

 路地裏の喫茶店、サキュバスが運営する店で、俺は土下座した。

 DOGEZAではない。土下座である。

 何の飾り気も茶目っ気も交えることなく、ただただ謝罪の意をこめて頭を床にこすりつけた。

 

 俺は先日、この店のサキュバスサービスを依頼した。

 しかし【夢】を見せるために屋敷に来訪したサキュバスを、あの駄女神が結界で捕縛し、そのまま消滅させようとしたのだ。

 例えるならデリヘルを頼んだのに、訪れた家には包丁持ったカーチャンが待ち構えていて嬢を殺そうとしたようなものだろう。

 俺の抵抗によりなんとか嬢は逃がせたものの、イメージが悪いことこの上ないはず。

 それにすぐにでも謝罪に伺うつもりだったのを、機動要塞デストロイヤーの襲撃とその後始末などに忙殺されすでに三日が経過していたのだった。謝罪は遅れれば遅れるほどイメージが悪くなるものだろう。俺は必死に頭を下げた。

 

「お客様、頭を上げてください!」

「そうですよ。むしろ謝るべきは私の方なんです! お客さんに恥をかかせてしまって……!」

 あの日、接客を担当してくれた魅惑なボディのサキュバスと、屋敷を訪れたロリサキュバスがそう言ってくれるものの。

「いや、恥をかかせてしまったのは俺の方です。ウチのパーティメンバーが結界を張っていたことも把握しないまま屋敷に招き入れて、危険な目に合わせてしまって。……彼女が俺に【夢】を見せられなかったのは、すべては俺のせいなんです。どうか彼女が責任を取らされることがないようにしていただければ……!」

「お、お客さん……」

 そう、これが気がかりだったのだ。

 このロリサキュバスは、枕元に立てなかったことを「未熟な私が悪い」と言っていた。しかし彼女を捕縛したのは仮にも女神の張った結界であり、どんな悪魔だろうと簡単に突破できるとは思えない。そのことを知らないまま「仕事に失敗した」という事実だけを持ちかえった彼女が、店で不当に評価されたりはしないかとずっと気になっていた。

「大丈夫ですよ」

 俺の意図に気付いてか、魅惑ボディサキュバスは苦笑しながら言う。

「あれから何人かのサキュバスがあの屋敷にトライしたのですが、私も含め全員、侵入することは敵いませんでした。私達の力量不足を晒すようで悔しい限りですが、あの結界は強力すぎます。この子だけが能力不足だと責められることはありませんよ」

「そうですか……」

「そうですよ! そ、それに私、お客さんがデストロイヤーの迎撃で指揮を執っていたことも知っているんですよ! お客さんのおかげで、この街も――このお店も守られたわけですから! だからお客さんは恩人みたいなものです! 何も気にすることはないんですよ!」

 ロリサキュバスがそう言うと、そうですよー、と周囲のサキュバスからも擁護の声が投げかけられた。顔を上げると、視界にいるすべてのサキュバスたちが微笑みを向けてくれているではないか。

 魅惑ボディサキュバスも微笑みを浮かべながら言う。

「お客様も、この子も、誰も責められることはありません。今後もぜひ当店をご利用ください」

「て、天使……」

「やめてください! 縁起でもない!」

 一転、マジギレされた。

 

 店舗スペースから、裏にある事務所っぽいところに案内されて。

「さて、実際の今後の話ですが――」

 魅惑ボディサキュバスがそのように口にしたので、俺は心が震えた。

 ……さっきの口上は店の雰囲気を悪くしないための建前で、実際のところ俺はブラックリスト入りしてしまったのだろうか。依頼しても何かと理由をつけて断られるようになってしまっているのだろうか。

「――今後はあの屋敷での依頼はお断りしようと思っています」

「…………」

「ああっ! そんなこの世の終わりのような顔をしないでください! 別に上げて落とそうとしたわけではありませんから! バニル様がいたら喜ぶかもしれませんが!」

 バニルって誰だろう。ボディガード担当の怖いお兄さんだろうか。

 魅惑ボディサキュバスは続ける。

「先ほども申し上げましたがあの屋敷には誰も侵入できなかったんです。ですので、今後依頼される際には別の宿泊場所を指定していただければ――」

「え……これからも利用して大丈夫なんですか?」

「もちろんです。宿をとるために無駄な費用負担を強いてしまうかもしれませんが」

「構いません!」

 ホテヘルだってホテルの費用は客側が持つものだろうし、そもそも他の冒険者と同様に馬小屋を使えばいい話なのだ。

「では改めて、都合のいい日をお知らせいただければ前回のやり直しを――」

「今日! 今夜! 今夜でいいですか!?」

 俺が食い気味にそう言うと、魅惑ボディサキュバスはやや引きながら。

「は、はい……わかりました。では今夜にお邪魔させていただきます。【アンケート用紙】は、前回ご提出いただいたものをそのまま使いますか?」

「あ、書き直してもいいのならぜひ。ちょっと詳細を変更したいところが」

「はい。構いませんよ」

 俺と魅惑ボディサキュバスのそんな会話に、ロリサキュバスが「えっ」と小さく漏らし引きつった顔をしていたが、気にしないことにした。

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 夜。俺は“屋敷”で湯船に浸かっていた。

 近くの雑木林が風に揺れる音、虫の羽音。そんな自然物が醸し出すBGMをバックにぬるめの湯を楽しんでいると、不自然な振動音が鳴り響いた。音の方向に視線を向けると、扉の向こうでもぞもぞ動いている人影がいることに気付く。

 なかなか浴室へ来る決心がつかないのか、服をおそるおそる脱いでは、慌ててまた着るという動作を繰り返しているのが見えて、実にもどかしい。

「おい、焦らされるのは嫌いなんだ。さっさと来い」

「は……はい……」

 俺の強気な言葉に反応して、すべての衣服を脱いだダクネスがおずおずと浴室に入ってきた。

 月夜で綺麗に輝いている金髪をひとまとめにして、白い裸体を隠すかのように肩から前に垂らしている。しかし何かに反応してビクッと身じろぎする度に、隠し切れていない乳輪や大事な部分がチラチラと見え、こちらの興奮を誘っていた。

「いい格好だな。ダクネス」

「カ、カズマ……もう許してくれ」

「カズマ“様”と呼べ。それと敬語」

「くっ……あんまり調子にのるとああああああああああ!!!?」

 俺は手もとのスイッチで、ダクネスの膣にはまっているバイブの振動強度を上げる。それだけでダクネスのこちらを睨みつけていた視線は外れ白目をむき、全身の力を失ったかのようにぺたんと座り込んだ。

 膣から飛び出しているバイブの一部分が浴室の固い床に当たり、機械の振動音と膣中の肉をかき回す音の中にガガガと固い音が混じった。

「おふっ!? がっ……ああああ!!??」

 衝撃でバイブがより深くハマってしまったのだろう。一瞬目を白黒させたあと、より刺激的な快楽にダクネスは嬌声を上げた。

「おいおい、一人で盛り上がるなよ」

「は、はひぃ……。も、申し訳ありません……カズマ様ぁ……」

 反省の意を示したので俺はバイブの振動強度を下げる。ダクネスは一瞬ほっとしたような、しかしガッカリしたような表情を見せたが、俺は無視して湯船から上がり椅子に座った。

「さぁ、背中を流せ」

「……はい。し、失礼します……」

 椅子に座った俺の背に、ダクネスが荒い息をしたまま近づいてくる。

 熱い。

 湯船から上がり、夜風に晒されたことで冷えていく身体に対して、まだ直接触れていない状態にも関わらず、興奮しているダクネスの体温を感じる。遠赤外線ヒーターに当たっているかのようにじんわりと背中が熱くなり、汗が垂れてきた。

「んっ……」

 ダクネスが一瞬漏れ出させた声に次いで、乳首が背に押し当てられた。熱くなった背に対して、つんと張った乳首は不思議と冷たく感じる。しかし――。

「んっ、んうっ……」

 そのまま、押し当てられたおっぱいは、とてつもなく熱かった。

 ダクネスはそれも一気に押しつけるのではなく、徐々に、徐々に押し当ててきた。汗ばむ接触面の面積が、ダクネスが呼吸を重ねるたびにじわじわと増えて行く。乳房が完全にひしゃげたのを確信した頃には、これが人の体温なのかと思わんばかりに熱くなっていた。

 これはダクネスだけではない。俺も同じくらい興奮しているのだと、その時ようやく自覚した。当たり前だ。こんなカラダを、巨乳を、押し当てられれば興奮するに決まっている。

「ふぅ、ふぅ……ふぅー……」

 俺の腹に手を回し、背には胸を押し付けたまま、やや長い時間をかけて息を落ち着かせはじめたダクネスは、右手を翻すと椅子の傍に置いてあったボトルを手に取り、その中に入っているローションを垂らした。

「っ……」

 突如紛れ込んだ、冷たいとも温かいともどちらとも取れるかのような微妙な温度、粘性の高い液体の感触に、俺も声が出た。そんな俺に、ダクネスは僅かに声色を弾ませながら。

「ふふふ……カズマ様も、そんな声を出すんですね」

「……うるさい」

 ややノリノリで敬語を使い始めたダクネスは、ぶっきらぼうに返す俺の言葉にくすりと微笑を一つ挟んで、乳房で俺の背をこすりはじめる。

「んっ……ふゅっ!」

「おおぅ。いいぞ、ダクネス!」

 ダクネスの体温を伝えながら柔らかく変形する乳房の感触と、固く引き摺るような乳首の感触が、俺の背を同時になぞっていた。そんな得も知れない感触に身を震わせる。

 大きな乳房でカラダを洗ってもらう――散々想像したシチュエーションではあったが、実際に体験してみると柔らかさの中に混じる乳首の固い感触が気になってしょうがない。その感触はそのまま性的な気持ち良さに直結するようなものとは言い難かった。

 それでも、ダクネスが献身的に俺を悦ばせようとしているという、その姿勢にひどく興奮した。

 普段ドMを自称しながら肝心なところでは一歩引く、過激な言動をしながら世間体は捨てられない、ヘタすれば性的嗜好なんぞぶん投げて逆に俺への叱責や折檻を優先してくるような。そんな、なんちゃってドMのダクネスが、今はただ俺の性欲のためだけに行動しているのだ。

 無茶苦茶興奮して、ペニスが痛いくらいに膨張した。

 そしてダクネスは、俺の意思を読み取ったかのように男性器に手を這わせてくる。

「はぁっ……」

「くっ……」

 待ち望んでいたものにようやく触れたのごとく溜息を漏らすダクネスに、俺も声を上げた。

 ペニスの先端に指が触れただけでびくりと反応してしまったが、ダクネスはそこから一気に掴むようなことはせず、竿から亀頭にかけて指先でつつっと線を引くようにしたり、カリ部分を指の腹で掠めるようにして何度か触れる動作を繰り返す。

 しかしそれでも、従順なダクネスの態度に興奮しきっていた俺には十分だった。

「くっ、おっ、おっ、射精るっ、射精るからなっ!」

「は、はいっ!? あっ……!」

 ダクネスの返事を聞く間もなく、俺は射精した。

 亀頭に覆いかぶさるように添えられていたダクネスの手の平を、勢いよく飛び出した精液が白色に染めた。。

「お! おおおお……っ!」

 これまでに感じたことがないほどの射精感。精巣に蓄えられていたものだけでなく、身体中から急遽材料をかき集めてきてそれも吐き出したのではないかと思わんばかりの量が飛びだして、ダクネスの手の平だけでなく指と指の間から漏れだした精液は重力に逆らって手の甲にまで回り込んだ。

「あ、ああ……」

 突然の事態に放心していたダクネスが手の平をこちらへ向けると、地肌が見えないほどの量の精液が手の平を埋め尽くしていて、俺はその光景に、あの綺麗なダクネスを自分が汚したという達成感を感じた。

 だが、まだ足りない。ダクネスにはまだ白い肌が見えている部分があり、それも埋め尽くさなければならない。それに、カラダの内も白くしてやらなければ。

 射精しすぎてチカチカする視界の中で俺は立ちあがり、精液で汚れた自分の手の平をぼーっと眺めているダクネスの眼前に、再び勃起したペニスを躍らせた。

「はひゅっ?」

 混乱するダクネスは、精液を撒き散らすそれに驚いて、抜けた声を出した。

「おい、しゃぶれ」

「は、はい……」

 俺は射精直後で思考が混乱しているからか、短くぶっきらぼうな命令しか出せなかった。それでもダクネスは俺に献身的に尽くす態度のまま、舌を伸ばした。

「はむっ! ぐひゅっ」

「ふぅっ!」

 精液で汚れているのもおかまいなしに、ダクネスは躊躇なくペニスを頬張った。舌のざらついた感触が一瞬過ぎたかと思った直後にはすぐに喉奥にブチ当たる感触を覚える。

「ぐひゅっ! おっ、おぶっ!」

 ダクネスは自らの頭部を激しく前後させた。苦悶の声を響かせながら、舌と喉奥を酷使して激しくペニスを扱く。

 俺の眼前では、ダクネスの汗に濡れた金髪が振り回され夜闇の中でひときわ美しく輝いており、その持ち主が飛び散る唾液と精液に顔面を汚しながら俺の性器を舐める様とひどく対照的で、こんなきれいな女性を俺は犯しているんだという万能感が立ち上ってきた。

 俺はダクネスの後頭部を掴むと、腰を一気に突き出した。

「オラァ!」

「んぐっ!? んんんんっ!!!!???」

 ダクネスは自分でスピードを調整する喉奥の刺激にも慣れてきていたのだろう、俺の突然の暴挙にくぐもった悲鳴を上げた。抗議の目を向けてくるが、上目遣いで睨まれても今の俺には興奮の材料にしかならない。

 俺は構わず腰を振り続けた。

「フンッ! フンッ! うっひょおおおおおお!」

「うぼっ、がひゅ! ごほっ……!」

 ダクネスの苦しむ声を楽しみながら俺は雄たけびを上げ、ペニスを突きだす。

「んぎゅっ……ふぐ……んむっ……」

 次第に、ダクネスの目に抵抗の色が無くなってくる。そればかりか、だらんと下がっていた腕を俺の尻に回し、俺の腰の動きに合わせて再び頭を振り始めた。

「おおっ、いいぞ! ダクネス!」

「んむっ……ぐふっ……」

 目の光を感じさせないダクネスは、今までにない速さで突っ込まれてくるペニスを喉奥で受け止め、出て行くときには舌を小刻みに動かして刺激し、俺に尋常ではない快楽を与えてくる。俺の射精を早めたほうがこの苦しみもすぐ終わると思ったのかもしれない。

 その従順な様は、俺の征服欲を再び満たし、2回目の射精へと導いた。

「うっ、うおおおおおっ!」

「ん、んぶううううううううう!!!??」

 今度は予告なしでの射精だった。口内で、一番奥深くに突き刺さったときに爆発した。

 驚いたダクネスは精液に埋め尽くされる口での呼吸を早々に放棄し、鼻から悲鳴を上げた。

「ごほっ!? んびゅっ!? ばっ……!? がっ! がへっ!」

 しかし容赦なく放出される精液はやがて気道を通して鼻まで昇っていったようで、とうとう息ができなくなったダクネスは、慌ててペニスから口を離し、床に倒れ込んだ。

「がはっ! ごほっ! げはっ!」

 ダクネスは幾度となく咳き込んでなんとか気道を確保しようとする。そんなダクネスに対して俺は、未だ収まらない射精感を解放しようと、ペニスを自分の手でしごいて精液を彼女の全身に振りかけた。

「はっ、はぁっ……」

「ふうっ、ふっ!」

 ようやく息が通ったダクネスが、俺の精液で染められていく。

 綺麗だった金髪も、たまに変なことを口走る口も、普段から俺を誘っているのかと言わんばかりに揺れる胸も、やや太めでソックスが食い込む脚も……。男なら必ず二度見するであろう可憐な美女を、俺がこの手で汚したのだ。

 俺の、ものだ。

 だが彼女のカラダの中でまだ染められていない部分がある。

「っ! ……どうぞカズマ様」

 凄まじい射精感で頭が回らず言葉が出ない中、俺の視線の意図に気付いたダクネスが、脚を開いて女性器への進路を誘う。バイブはいつの間にか抜けて転がっていたが、膣中は待ちきれないとばかりに濡れに濡れていた。

「しょうがねえなぁ……」

 俺はこの期に及んでまだ、相手の望みを叶えるだけなのだ、自分の責任ではない、ということを強調する台詞を口にしながら、ペニスを膣口に宛がい、一気に腰を落とした。

「うほおおお!」

「んっ、んああああああっ!!!!」

 ダクネスは、先ほどとは違って思う存分に解放された口で、身に訪れた快楽を表現しようと叫び声を上げた。

 その声に反応してか、膣中のヒダがうねうねと動いたかのような感触が突き入れたペニスを責めたて、再び射精欲がこみ上げてくる。

 だが、負けるわけにはいかない。俺はダクネスに射精したいだけではない。征服したいのだ。

「うおおおっ!」

 射精欲をごまかすかのように、俺は腰を振る動作に意識を集中し、叫んだ。

「おおっ! ううっ! うおおお!」

「ああっ! んああっ! はああああっん!」

 俺が腰を突き動かす度に、面白いようにダクネスは嬌声を垂れ流す。

「沈めっ! 俺に沈め! 俺に溺れろっダクネス!」

「はいいいっ! んっ、ああ!! もう溺れてますっ! ああっ!!!」

「いいやもっとだ! もっと、俺に! 俺を! 俺を溺れさせろ! ヤりたいときにヤらせろ! 甘えたいときに甘えさせろ! いざとなったら逃げるくせに挑発するような格好してんじゃねえええええ!」

「はいい! 申し訳ありません! 今後はしたくなったら、いつでも襲ってくださいいいい!!!」

 普段の態度に対する文句と、それがわかっていながら何も行動できないヘタレな自分への愚痴もこめて、俺はダクネスの膣を蹂躙した。

「うおおおおおおっ! 出るっ、容赦無く出るっ! でも孕むな! できる限り孕むな!」

「はいいい! 努力しますっ! だから中出ししてくださいっカズマ様ぁ……!」

「うおおおおっああああああ!???」

 途中から悲鳴のように変わった叫びとともに、俺は射精した。

 1回目、2回目と比べて勝るとも劣らない量の精液が再び放出される。

「くっ、おっ……おおおっ……」

「あっ……はぁっ……」

 射精の脈動に合わせてダクネスの膣も痙攣し、精液が更に絞り取られた。

「かっ、はっ、はぁっ……」

「……カ、カズマ……私は幸せだ」

 息を荒げながらにそう言うダクネスに対して、俺も返す。

「俺もだよ。ダクネス」

 そして俺は、そのままダクネスのカラダに倒れ込むようにして意識を失った。

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

「ん、んぅ……?」

 お客さんが朝の陽射しに目をそむけて唸り始めたので、私は声をかけることにしました。

「おはようございます。お客さん。もう朝ですよ」

「は……? あれ……?」

 お客さんは目が醒めたようです。まだ状況が把握できていないのか、あたりをキョロキョロ見回してます。口元からは涎が垂れてますし、ひどく呆けた顔。

 こんな顔をする人が、あの噂に聞く機動要塞デストロイヤーを破壊する指揮を執り、この街を救った立役者なんだとはちょっと信じられないなぁ。そう思って、私はちょっと笑いました。

 

 ここはお金がない冒険者が寝泊まりするという馬小屋です。

 藁を積んで作った寝床で横になるお客さんに対して、私は膝枕をしていました。本来こんなサービスは必要ないのですが――。

「そうか、【夢】だったのかぁ……」

「はい。……どうでしたか? 私の【夢】は?」

 ――これが聞きたくて、つい朝まで待ってしまいました。

 お客さんは目覚めたばかりでまだうまく回らない頭でなんとか言葉をまとめたようで。

「……凄かった。夢と聞いてもっとぼんやりとしたものとばかり思っていたのに、サキュバスの見せる【夢】はすごいな。映像はくっきりはっきり、触覚もリアルで、しかも今も記憶に残ってる。最高だった」

「っ……!」

 私は、嬉しくて、身震いしました。

 あれから急に変更になった【アンケート用紙】をもとに、また必死に勉強したのです。予習の甲斐がありました。

「あ、ありがとうございます! 何も問題はありませんでしたか? 【アンケート用紙】と食い違った部分とか!」

 私が興奮気味にそう言うと。

「ん? んん~。ああ、バイブ。バイブが違ったかな」

「バイブ」

「ああ。素材がな【夢】に出てきたのは石でできたみたいにガチガチだったけど、俺が想像したのはプラスチック製だったんだよ」

「なるほど……って、プラスチックってなんですか?」

「ええっ!? ああ、えーと……陶器みたいな感触の素材がもっと柔らかくなったようなものというか」

「陶器」

 反芻する私の前で、説明に困ったらしいお客さんが頭をかきながら。

「……って、これ、説明する必要あるのか?」

「はい。実は私は勉強中の身でして――」

 

 私はこれまでのことを包み隠さずお話しました。

 

「なるほど。そういうことなら協力することは吝かじゃないな」

「本当ですか!?」

「ああ。何も知らない初心なサキュバスの子にエロい単語を教えるって興奮するし」

 ……数日前の別のお客さんと同じことを言っていますね。まぁそういう反応を期待して打ち明けたところもあるのですが。

「で、では今後も!」

「ああ。今は借金を背負っているが、なーに、デストロイヤーを倒した報酬がもうすぐ入ってくるはずなんだ! そうなったらしばらくは宿で部屋もとって、一週間くらい予約してやる!」

「わあっ!」

 豪語するお客さんに、私は喜びました。

 そうでした。この人はデストロイヤーを破壊した人なのでした。きっと莫大な賞金が入ってくるのでしょう。

 

「それでは、楽しみにしています」

「おう、待ってろよ!」

 お客さんと手を振って別れ、私はすっかり昇ってしまった陽を確認して人目を避けるようにしてお店に戻りました。

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 それから数日が経ちました。

 デストロイヤーを撃破した報酬は参加したすべてのパーティに支払われたようで、潤った冒険者が落とすお金が巡りに巡ってアクセルの街は好景気。このお店も連日満員御礼です。

 

「はい。新人ちゃん。今日はこのお客様ね」

「はいっ」

 手渡された【アンケート用紙】片手に、私は闇へ飛び立ちました。

 

 あれから私は何人かのお客さんを担当しました。

 さすがに自分の勉強を優先してお客さんに何度も不満足を強いるわけにはいかないので、シフトリーダーに指導を受けた【夢】を誘導してお客さんに自力で理想の夢を見てもらう方法を実践しています。

 そんなお客さんに対しても何かの勉強になればと【夢】の内容をノゾキミしているのですが、女性器が変なところについていたり、女性器が存在せずアナルに挿入したり、口の中で触手がうごめいていたり、女性が霞のようなものを吐いてそれを吸って射精するような変な夢だったりと、何かとリアリティに欠ける夢ばかりでした。

 ……いえ、あのデストロイヤーデストロイヤーのお客さんの【夢】に対しても「女性感じすぎ!」とか「そんな都合良く男の望みを察しませんよ!」とか思うところがないわけではないのですが。

 なんというか、セックスに関する知識が、根本的に違っている気がします。本物を知っているけどあえて都合のいい妄想をしたものか、本物を知らないので可能な限り空想したものか。

 あのお客さんは童貞だとシフトリーダーは言っていましたが、ならば彼はどこからリアリティのある知識を得ていたのでしょうか? 今度聞いてみたいですね。

「早く来ないかなぁ……」

 私はそう呟きました。

 

 しかしそれからまた数日経っても、お客さんがお店に訪れた形跡はありませんでした。

 

 

「はい。新人ちゃん。今日はこの方ね」

「はい……」

「……? どうしたの? 何か気になるところでも?」

 シフトリーダーが声をかけてくれました。自分では隠しているつもりでしたが、調子が声に出てしまったのでしょうか。

 私は思い切ってシフトリーダーに聞いてみることにしました。

「ああいえ、その……デストロイヤーデストロイヤーのお客さんは来ていないんでしょうか?」

「デスト……? ああ、カズマさんね」

「カズマさん」

 カズマさん。それがあの人の名前。

 今更知りました。【アンケート用紙】にも名前は記入してあったはずなのですが。

「私もカズマさんが来店したら貴女に担当を回してあげたいところだったんだけどね……」

「な、何かあったんですか?」

 神妙な口調のシフトリーダーに、私は尋ねました。

 何かよくないことがあったんでしょうか? 私がはじめて、名前を覚えた人間に。

 

「知らなかったの? カズマさん、国家転覆罪の容疑で捕まって、今裁判中よ?」

 

「……」

 

 

 

 お、お客さーん!!

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