「……んちゅっ……ちゅぱっ……ちゅ、ちゅっ……」
――断続的に、耳に入ってくる音。
俺は目が覚めてきた。
「ちゅっ……ちゅるっ、ちゅぱっ、ちゅっちゅっ……」
覚醒するに従って、身体がいろんな感覚を取り戻してくる。
逸物の先に感じる、むず痒い感触。
脚の間に感じる、自分とは別の体温。
――人の、気配。
「……ちゅく、ちゅっ……ちゅるっ、んちゅっ、ちゅっ……」
――これは、粘膜同士の接触による音だ。
そこまで認識が追いついたところで、俺はようやく口を開いた。
「何やってるんだ……めぐみん」
「おはようございます、カズマ。今日もいい天気ですよ」
めぐみんは、ベッドで寝ていた俺の股ぐらに横たわり、ペニスの先端にキスを繰り返していた。
「んー……ちゅ、ちゅっ」
短いキスを、わざと音をたてるようにして、繰り返している。
すでに漏れ出ていたカウパー腺液と唾液で、めぐみんの口のまわりはぐちゃぐちゃだ。
しかしめぐみんは、今やっていることはあたかも日常の一ページかのように、特別なことは何もしていないですよ、とでも言うように、平然と舐めまわしている。
当たり前だ。
フェラチオは、“兄妹”のただのスキンシップなのだから。
「……俺のことは、お兄様か、お兄ちゃんと呼べと言っただろう」
めぐみんの艶めかしい黒髪を撫でながら俺が言うと、唇を尖らせて反論してくる。
「嫌です。だって私とカズマは、血が繋がっていないんですから」
「バッカ! 血が繋がっていない義妹に『お兄ちゃん』と言ってもらうのがいいんじゃないか! ……それともめぐみんは、俺のことを家族とは思ってくれなかったのか?」
「そそそんなことはありませんよ!? た、ただ……兄と妹の関係よりも、もっと親密な家族になりたいというか……」
「そうかー。それじゃいつものように、中出しさせてくれ」
「はい。わかりました」
俺の欲求に、めぐみんは実に潔く返事をすると、上体を起こして聳え立つペニスの上に跨ってくる。
最初からこうするつもりだったのだろう、服は着ていない。
膨らみかけの胸、できかけている腰のくびれ、細いカラダ、まだあどけなさを残した顔……。何もかもが中途半端な、まさに花開く直前の蕾を全身を使って表現したかのような、成長途中のカラダだ。
そんな肢体に目を奪われていると、めぐみんがゆっくりと下りてくる。
「あっ……! ふっ……」
しかし、さっきの潔さはどこへやら。
膣口に先端が触れただけで、腰がプルプル震えてきていた。
「くっ、ん……んー……」
……決心がつかないのか、なかなか下りてこない。
秘所から愛液だけが先に垂れてきてペニスを濡らし、液体の感触をむず痒く思うのと同時に、焦れったくなってくる。
「しょうがねえなー」
「あっ……? カ、カズマっ!?」
俺はめぐみんの腰を掴むと、自らの腰を浮かせて、一気に貫いた。
「あ、ぐっ!? んぐ、う、ううううっ!!!??」
悲鳴と嬌声が混じった声が上がる。今日は嬌声が8割と言ったところか。
めぐみんの膣は、まだ両手で数えられるくらいしか俺を受け入れたことがない。その内部にはやや凝り固まった部分が不均一に点在しているのを感じる。あと何度か挿れれば、その部分もほぐれ、膣全体で俺に射精を促してくるようになるのだろうが。
今は、この未成熟な膣を楽しむことにする。
「あっ……かっ……はっ……」
天井を仰ぎ、空気を求めるように口をパクパクさせるめぐみんを上に乗せたまま、俺は腰を上下左右に揺さぶった。結合部の僅かな動きを増幅するかのように、めぐみんの上体が大きく揺れ動く。
「ああっ!? ぐっ、ん、んっ! カ、カズマ、もっとゆっ、くり……!」
「ダメだ」
「あ、ああ……!」
俺の即答に、めぐみんは俺の動きを怖がるような、しかし与えられる快楽に期待するような、二つの感情が入り混じった顔をする。
俺は腰を上下に大きく動かし、めぐみんを下から突き上げた。
「オラッ、オラァ!」
「くあっ! ぎっ、んああ、ああっ!」
「ほらっ、ほらっ、どうだ!」
「あっ!? ああっ! かっ……! カ、カズマっ……す、すごい、ですっ……!」
目は虚ろに、口からは唾液を溢しながら、めぐみんは必死に言葉を紡ぐ。
これからどんな花が開くかもわからない、そんな蕾の状態であるめぐみんに、乱暴にチンポを突っ込んではメチャクチャにするという行為はなんとも背徳的で、毎度毎度ひどく興奮する。
俺は下卑た表情を隠そうともせず、尋ねた。
「よーし、何がすごいのか言ってみろ!」
そう言って、一段と強く、腰を突き上げる。
「あぎっ!? あ、あ……! カ、カズ、マの、チンポが、太くて、たくましくてっ……! ……まるでっ、女の子をっ……気持、ちよくさせる、ために……あるん、じゃ、ないかってくらいっ……わ、私の気持ちいいところをっ……的確にっ……突き、上げてくるんですっ!」
「どこが気持ちいいんだ! 言え!」
「し、子宮口ですっ! 私、のっ……お腹のっ……赤ちゃん、の、部屋、入り口……を……おっ……カ、カズマのチンポが、ノックし、て、きますっ……!」
「そこが感じればいいのか? でかいチンポなら誰でもいいんじゃないのか?」
「い、いやですっ! んぐっ! お、お兄ちゃんの、チンポ以外挿れたく、ないっ、ですっ……! 私の膣内は、お兄ちゃん専用ですっ!」
「よく言った! ご褒美に中出ししてやるぞっ!」
俺は、腰を突き上げる速度を上げた。
「は、はいい、いっ! くださいっ! 膣内に、膣内にっ!」
「うっひょおおおおお!」
「あ、あああああっ!!!!!」
俺は歓喜の雄叫びとともに、射精した。
「おっ! うおっ……! おっ!」
「はひっ! んあっ! んっ!」
俺が射精の律動を繰り返す度に、めぐみんは同時に、ビク、ビクとカラダを震わせて、喘ぎ声を漏らす。
「おっ、ふっ……ふー……」
「ん、あっ……あ……あ……」
俺が最後の一滴を出すまで律儀に反応を返しためぐみんは、そのまま俺の上に崩れ落ちる。
汗に濡れて更に艶めかしくなった黒髪が目の前でふわっと舞った。
「はっ……! はっ、はぁー……」
「あー、超出た……めぐみんが頑張ってくれたからだな」
髪を撫でてやると、快楽と疲れでぐったりしていためぐみんの顔が、次第に穏やかな表情へと変わっていく。
「えへへ……うれしいです……。カズマ、んっ」
笑顔を交わしてから、目を閉じて唇を差し向けてきたので、キスをする。
唇を重ねるだけの軽いキスだ。
そしてその瞬間、一試合終えた俺達に対するゴングのように、枕元の目覚まし時計が鳴り始めた。
浴室で、二人でシャワーを浴び、汗を流す。
「カズマは朝から頑張りすぎですね。遅刻したらどうするんですか」
「おいおい。めぐみんはそれを見越して、目覚ましが鳴るより前にベッドに忍びこんでたんだろ。実際、これから朝食をゆっくり食べても遅刻するような時間じゃない」
「ふふふ、当然です。私たち“姉妹”は知能が高いのですから」
「はいはい……」
適当に返事をして、浴室から出ようとするが。
「あ、もう上がるのですか? 私は髪を乾かすのに時間がかかるので、先に行っていてください」
「おう。居間で待ってるからな」
めぐみんは女の子だから時間がかかるようだ。
これはしょうがない。めぐみんの艶やかな髪は、我が家の財産だからな。ケアには十分時間をかけてほしい。どんなことをしてるのかは知らないけど。
俺は風呂場を後にし、居間へ向かった。
「あ、兄さん。おはようございます。朝食の準備、もうできてますよ」
俺のもう一人の妹、ゆんゆんは、食卓に皿を並べていた。
すでに登校の準備も万端で、黒色のセーラー服を纏っている。
綺麗な黒髪や瞳の色、いろいろと未成熟な部分が垣間見えるカラダも含めてめぐみんとそっくりだが、おっぱいだけは段違いに豊かだ。ここ数年で急激に成長したので、サイズがあっていないセーラー服の布地が持ちあげられており、セーラーとスカートとの間に、素肌がチラチラと見えている。実にいい。
「はい。兄さん。お水」
ゆんゆんはそう言って、氷水が入ったグラスを差し出してくれた。
俺は何の疑いも持たずに、受け取って、それを呷る。
風呂上がりの火照ったカラダに、冷たい水が駆け巡っていく感覚が気持ちいい。
「ふふっ。間接キスですね」
「!?」
よく見れば、氷が入ったグラスは周囲との温度差で表面に水滴がビッシリついているが、口をつけるフチ部分だけは水滴が取れていた。
ゆんゆんは咥えたままグラスを一周まわしたのか、俺がどの部分に口をつけても間接キスとなるようになっていて、芸が細かい。
「お前なぁ、不意打ちはやめろよ」
「ふふっ。兄さんの慌てる顔が見れて嬉しいです」
そう言ってスカートを揺らしながら、ニコニコと笑みを浮かべる。
「……お前はちゃんと『兄さん』と呼んでくれるんだな」
「……あのですね。私だって、めぐみんと同じで、兄と妹の関係で満足してるわけじゃないんですよ? でも兄さんは、この呼び方のほうが嬉しいみたいだから、そう呼んでるだけなんですっ」
そう言って唇を尖らせるところまで、めぐみんと似ている。
「そうか。悪かったな。でも嬉しいよ」
「あっ……兄さん……んっ」
俺はゆんゆんを抱きしめて、唇を奪った。
舌と呼吸を絡み合わせる、ディープなキスだ。
「ん……む……んっ」
冷たい。
先ほど、冷たい氷水を回し飲みした直後だからだろう。口腔内は互いに冷えていて、いつもの熱っぽい性的接触とはまた違う、新鮮な刺激が襲ってくる。
そのまま舌を絡み合わせ、口と口との間に荒い息が混じった。
「んっむ……ふぅ……はっ……、んっ?」
スカートを捲り上げて露出させた太ももに俺がペニスを押し付けると、ゆんゆんはキスはしたまま、こちらに抗議するような目を向けてくる。
「んっ……んもぅ……しょ、しょうがないですね。でももう着替えてしまったので、お口だけで我慢してください」
「ああ」
ゆんゆんは跪くと、チンポを軽く手で扱いてから、その小さな口に含んだ。
「は、むっ……。ん……っ!」
性の目覚めは、めぐみんよりゆんゆんの方が早かった。
かつてゆんゆんは、カラダのどんな部分より先におっぱいが成長期に突入し、衣服の上からでもその存在を主張するようになってきた頃、急に俺のベッドに潜り込んで、おっぱいを触らせてきたのだ。色っぽくなった妹の姿に興奮した俺は我慢できずにゆんゆんを押し倒し、処女を奪った。
それ以来、何かにつけてはカラダを交えている。両親が海外出張に出ているこの家で、気が向けばセックスをした。当然めぐみんにも見つかってしまい、めぐみんは対抗心からモーニングフェラを始めるようになったのだ。
「ん……っ、んんー、んっ! んむっ!」
ゆんゆんは、俺の亀頭と、カウパー腺液の味を楽しむのもそこそこに、ディープスロートを開始する。
「んむっ、ひゅっ、んっ!」
「うほっ! 冷たっ! こ、これは新感覚!」
俺のチンポがゆんゆんの口の中を往復する度に、いまだ冷たい唇、舌、そして喉が、未知の刺激を与えてくる。熱く火照るチンポとの温度差が、なぜかひどく快感だった。
「ふふっ……! んっ、んんっ、んむっ!」
ゆんゆんは、まるでイタズラが成功したかのように、上目遣いで笑いかけてくる。
そして一気に加速した。
「んんっ! んっ! むっ! んむゅっ!」
「う、お、おっ! やばっ! すぐ射精るってこんなん!」
「んんっ! んっ、んっ!」
「お、お、おおおおおっ! くおおっ!!!」
俺は、こみ上げてくる射精感を、抑えることができなかった。
いつもと違う冷たい刺激によってなのか、ゆんゆんの動きの巧みさによってなのか、ずいぶんと早めの、絶頂への到達だった。
「うおおおおおっ……!」
「んむっ!? ん、ん、んんっ!!!!」
普段より多くの精液が放出され、ゆんゆんの口の中を埋め尽くす。
「んっ! んんっ!」
だがゆんゆんは、先ほど言ったように制服を汚さないためなのか、一滴も口から出さないと言わんばかりに、俺のチンポを咥えたまま唇をきゅっと締める。そんな動きにも俺のチンポは敏感に反応して、更に多くの精液が絞りだされた。
「んん……ん……ふっ、ふー……」
ゆんゆんはチンポを咥えたまま、鼻だけで大きく呼吸する。
そして、ゆっくりと、少しずつ、口の中にに留まっている精液を喉に通していった。
「んく……んっ……ん……く……ぷはぁ!」
最後に大きく喉を鳴らして、チンポから口を離す。
呼吸を求めて大きく開けたその口の中には、唾液ばかりで、精液はわずかたりとも残っていなかった。
「えへへ……全部飲んじゃいました」
「よしよし、えらいぞ。撫でてやる」
「はいっ! あ、ああっ、髪が乱れちゃいますからそんなぐしゃぐしゃにしないで!」
ゆんゆんはそう言いながらも嬉しそうな表情を変えない。
俺にされるがままだ。
「んもぅ、これでも兄さんの妹だって胸を張って言えるよう、身だしなみには気を遣ってるのに」
「ははは、すまんすまん。でもゆんゆんなら、どこに出しても恥ずかしくないよ。……どこにも出す気はないけど」
「……はい。私も出て行く気はありません。私は、カズマさんのお嫁さんになるんですからっ」
ゆんゆんはそう言って、小悪魔っぽく笑った。
風呂から上がってきためぐみんと食卓を囲み、食器を片づけて。
「それじゃ忘れ物はないか?」
「ありませんよ。カズマじゃありませんし」
「も、もう、めぐみんってば! どうして兄さんにそんな態度とるの!」
玄関口で靴を履き、鍵を閉めたことを確認していた俺達だったが。
そんな家族の会話の中に、急に異物が紛れ込んでくる。
「おはよう、カズマくん」
「……っ……お、お前……。お前は――」
「今日は、学校に来るの?」
俺の胸を刺す言葉を何の躊躇も無く言い放ってきたのは、幼馴染の女の子だった。
幼少時に結婚の約束をし。
しかしつい最近、不良のバイクに二人乗りしていて。
不良の背にしがみついて、嬉しそうな顔をしているのを見て。
かつて俺が引きこもる原因となった――。
「あ、あなたは!」
「ちょっとあなた! 私の兄さんから離れてくだ……兄さん?」
気勢を上げる妹達を手で制して、俺は幼馴染に歩み寄る。
「に、兄さん!」
「カズマくん……?」
怪訝そうな声を出した彼女を、俺はジッと見つめる。
もう会うことはないと思っていた。
あの結婚の約束はウソなのかと問い詰めたかった。
今でも時折、彼女の姿を思い出しては胸が苦しくなることがある。
何も行動できなかった自分のヘタレさを思い出して頭を抱えることがある。
「カズマくん……」
俺の視線に混じる情熱に反応してか、彼女の頬が紅く染まっていく。
成長した幼馴染をこうしてじっくり見るのははじめてかもしれない。
小さい頃の面影を残したまま綺麗に大人になった顔。
視線を下ろしていく。
制服から覗く鎖骨も、胸も、腰も、体つきが何もかも違う。
こうして、スカートを捲ったことで見える下着も、ずいぶん色っぽくなった。
「「「へ?」」」
俺は、目の前の下着を一気にずりおろすと、露わになった女性器にチンポを突き刺した。
「あ、ぐ、ああ、ああっ!!??? あ、ぎっ……!? カ、カズ、マくんっ!?」
痛みを訴える彼女を無視して、俺は、女性器が濡れていないことなどお構いなしにそのままチンポを根元まで突っ込んだ。肉を掻きわける感触が心地いい。
「んぎいっ!? 痛、い、痛いっ……! 痛い、よっ!」
「はっはははは! 知るか! コイツ、俺の前にノコノコと現れやがって! 当然俺に犯される覚悟はしてきたってことだよなぁ!?」
処女だったのか、チンポが血まみれだ。だが知らん。
俺は腰を振り、彼女が叫ぶ。それだけだ。
「し、し、てないっ! んぐっ!? そん、な、覚悟し、て、ないか……らぁっ……!」
「聞こえんなぁー! がははははは! どりゃー!」
「いやああああああっ!?」
更に激しく腰を打ちつける。
彼女は絶叫を上げた。悲鳴が10割の絶叫だ。
「ま、待っ……! ぐっ、あぐっ! い、痛ッ!」
「がはははははははは! とー!」
俺は彼女の膣を散々蹂躙して血まみれのセックスを楽しんでから、射精した。
「おおおっ、これはなかなかの放出量だ!」
「んぎぁっ!? で、出て、るっ、出てるからっ!」
「そうだなぁ、出てるなぁ。とーぅ!」
「んぎぃいいい!?」
腰を打ちつけて更に精液を放出した。すでにいっぱいになっていた彼女の膣が更に白く染め上げられ、チンポと膣口の隙間から、白濁液と血が混じって漏れ出てくる。
「ふー……グッドだー……」
「あ、ぐっ、あっ……あ、ああ……嘘……」
思う存分射精して満足した俺はチンポを引き抜き、大きく息を吐いた。
彼女は呆然と、自らの秘所から垂れて太ももを伝う破瓜の血を眺めている。
「わはは! でっぷり膨らんだお腹を、不良の彼氏に可愛がってもらうんだな!」
「っ……!」
俺の罵声で我に返った彼女は、涙目で俺を睨みつけ。
性器から精液が溢れ出て来てるのも構わず、その場から逃げ去っていった。
「…………勝った」
「勝った、じゃありませんよ! なんですかコレは!」
「ド、ドキドキしたぁ……」
「何を色ボケしてるのですか、ゆんゆんは! これはどう言い繕ってもレイプですよ!」
胸を押さえて息を荒げるゆんゆんに対して、めぐみんはお冠だ。
「そうだ、レイプだ。だが俺は謝らない」
「こ、この人は……」
「兄さん兄さん。今度私にもああいうカンジで攻めてください。あ、でも本当に痛いのは嫌なので、口調だけ強めでお願いします」
「わかってるよ。俺は妹には優しい男だからな」
「こ、この人達は……。あ、でも、わわ、私にもお願いします……」
「わはは! 任せろ! わはははははは!」
俺の高笑いが、田園地帯に響きわたった。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「それでは兄さん、行ってきます」
「カズマ、カズマ、行ってきますね」
「おう。気をつけてな」
中学校へ行く妹たちを見送って、俺は息をつく。
連続で三人を犯したので、さすがにちょっと疲れ気味だった。
「ふー……」
「……ずいぶんとやりたい放題でしたね……」
声の方に視線を向けると、ロリサキュバスが苦笑いしながら立っていた。
青色のセーラーカラーとスカート。俺が通っていた高校の制服だ。
はじめて着る服だろうに、袖をねじって丈を短くしていたり、オーバーニーソックスを履いてたりと、ずいぶんと着こなしている。ところどころに、彼女のサキュバス衣装のようなフリルが混じった改造が施されているのはご愛敬か。
「おう。待ってたぞ。ずいぶんと遅い登場だったな」
「【夢】に入ること自体は問題なかったんですが、初めての土地で迷ってしまって……。見つけた頃にはすでにプレイが始まってたので声をかけるのもどうかと思い、待ってました」
「そっか。ありがとな」
――数日前。
俺は、地球の、自分の生家を舞台とした【夢】を依頼しようとしていたが、その前にあることに気付いた。
俺はてっきり自分に【夢】を見せにくるのは目の前のロリサキュバス一人だけだと思っていたが、どうやら日によって担当が違い、しかもその担当者によって【夢】の見せ方も違うようだ、ということに。そのことに気付いたのは、先日のゆんゆんレイプを希望していた【夢】がいつのまにか和姦に路線変更されたあたりからだったが。
地球を舞台とした【夢】を見るにあたって、理想を紛れ込ませるならともかく、俺の思い出が自分の意思とは無関係に勝手に改竄されるのはなるべく避けたいところだった。
そう思ったのと、あまり地球の情報を漏らしたくないこともあって、誰の目に触れるかわからない【アンケート用紙】には多くは書かず、以前信頼できる【夢】を提供してくれたロリサキュバスを指名したのだ。
接客をしてくれた魅惑ボディサキュバスに頼み込み、金を積んで、ロリサキュバスの全日勤務の日を狙って時間を朝から買い上げた。禁断の24時間コースというらしい。魅惑ボディサキュバスは何を勘違いしたのかニヤニヤしていたが。
そして宿にやってきたロリサキュバスに、【アンケート用紙】に書くつもりだった内容を直接事細かに説明したのだが――。
「わけがわかりません」
そんなすげない返事が返ってきた。
電気機械、バス、トラクター、ほかにもいろいろ……俺の出身国にはあの異世界にはないものが溢れていて、説明が困難だったのだ。
落ち込む俺だったが、ロリサキュバスは提案してくる。
「それなら【夢】を誘導する方法を使いましょう」
なんでも【夢】の見せ方には、サキュバスが一から十まで内容を考えて見せる方法と、サキュバスが誘導する力を送ってあとは客が自力で見る方法、二種類があるらしい。前者がロリサキュバスがやっていて、後者が他のサキュバスがやっている方法。その後者の方を使って、俺の記憶イメージから地球を再現しようと言うのだ。
俺は疑問をぶつける。
「だけど、この方法って他のサキュバスが普段やっている方法なんだろ? ということは……やっぱり途中で改竄が起こらないか?」
「改変しようとする意思がなければ大丈夫ですよ。件のロリ巨乳紅魔族の【夢】だって、内心レイプ行為に忌避感を感じていた自覚があったんですよね? それに反応してシナリオの改竄が起こったんだと思います」
「……なるほど。いや、それだと無茶苦茶なプレイが結局できないことに……」
「それならハイブリッド方式にしてみましょう。女の子に関してはいつもどおり【アンケート用紙】を使ってシナリオ通りの【夢】を私が見せ、それ以外の背景描写に関しては誘導する力を送ってカズマさんの記憶から自力で見てもらうような」
「おお、それなら大丈夫そうだな」
「あ、それと……ご相談なんですが。いずれは背景描写も含めて私が自分で見せられるようになりたいので、カズマさんの【夢】をノゾキミさせてください」
「……ノゾキミ、ってなんだ?」
「【夢】の中の世界に、私も入りこむことです。その上で、カズマさんが先ほど言っていたような私が知らない単語について“実地”で教えていただければと思いまして」
「喜んで!」
俺は一も二もなく了承した。
初心なサキュバスにエロ単語を教えていたときと同じ感覚だったのかもしれない。
地球のことを一緒に語り合える仲間が欲しくなったのかもしれない。
……こうしてようやく大まかな方針が決まり、俺たちは寝床に入った。
そして今――。完成したのが、この【夢】だ。
俺達の立ち位置の間に、一陣の風がふく。
自宅周辺にある田んぼや丘に生えた木々の匂いが混じった、懐かしい風だ。
「……すごいな。こんなにくっきりと、鮮明に。俺だって覚えてるかあやしいのに」
少なくとも風の匂いなんて意識して覚えようと思ったことはない。それでもこうして『懐かしい』と感じることができるあたり、記憶の片隅にはあったんだろうけど。
「受け売りで恐縮ですが、人間の脳や魂は、人間が思っているよりも遥かに多く情報を記憶できるそうです。もっとも、思い出す力の方が不足しているから、その記憶量を役立てられる人は少ないようですが」
例えるなら、動画や画像を優れた圧縮形式で保存できるものの、それを再生するプレイヤーの性能が貧弱、ということだろう。
「だがサキュバスの力を借りれば――」
「はい。このとおり、がっつり再現できます。なんたってサキュバスが魅せる【夢】は、心の中にしかいない空想の女性だって形にすることができるのですから。それに比べれば、実際に見たもの聞いたものを記憶から再現するのは難しいことじゃありませんよ」
ロリサキュバスは胸を張って、続ける。
「しかし……すごいところですね。木造建築が立ち並んで、大規模な灌漑農業地帯が広がっていて、動力が何なのかわかりませんが車輪が自動で回る車がいっぱい道を走ってて……技術レベルが格段に違う……? ああ、なるほど……。ここは、『異世界』なんですね……」
「ほう――」
ここに招待すると決めたときから隠すつもりはなかったが、まさか向こうから言い当てられるとは思わなかった。
「――知ってたのか? こういう世界があるってことを」
「いえ。ただ、あるんじゃないかとは思ってました。だって考えてもみてください。私達が暮らす世界は、悪魔がいて人間がいて、ついでに神もいますが……。悪魔だけが暮らす地獄という異世界があり、神だけが暮らす天界という異世界もあるんです。だったら――」
「『人間だけが暮らす異世界』があってもおかしくない。……そういう理屈か」
「そうです。もちろんカズマさんがそういう世界の出身だったのには驚きましたが。……悪魔や神が干渉しなければ、人はこんな風に発展するんですね」
ロリサキュバスはそう言って、感慨深そうに、どこか遠い目をして辺りを眺める。
彼女の目には、悪魔や神が『干渉』したというあの世界と、逆に『干渉』が無いこの地球が、どのように映っているのだろうか。
「……よし! それじゃこれからこの世界を案内してやるか。単語の意味を教えるって約束だったしな」
「え? で、でも、シナリオではこれからはコーコーに行って酒池肉林を楽しむ予定だったのでは……?」
「いいよ。学校ってのはサボるもんだ。行くぞ!」
「あっ……!」
俺はロリサキュバスの手を取って、走り出した。
「ふぁ、ふあああああ!?」
ロリサキュバスが予想通りの反応を返してくれたので、ちょっと嬉しい。
「な、なんですかここは!? 高い建物がいっぱい。人がいっぱい。え? え?」
ここは電気街。俺が死んだあの日、ゲームの初回限定版を買いにきた街だ。
バスを乗り継ぎ。電車を使い。移動にかかった時間は約2時間半。
その間も車窓から外を眺めては頻繁に変わる景色を見てコロコロ表情を変えるロリサキュバスのおかげで退屈しなかったが。
「カズマさんの実家周りは、正直、私達の世界よりちょっと発展したくらいだなーってレベルだったんですが、ここはもう、段違いですね!」
「わ、悪かったな田舎で。でも田舎にもいいところがあるんだぞ」
反論するが、ロリサキュバスは聞きもしないで辺りをキラキラした目で見回している。
トコトコと歩いて、電器店の前まで行くと。
「えー!? 魔道カメラがこんなにいっぱい店頭に!? あ、いえ。魔力じゃなくて、電気で動く機械でしたっけ」
「そうそう。この世界には魔力の概念はないんだ」
「はぁー、で、でもカメラなんですよね? こんなに店頭に並べてて、盗まれたりしないんですか?」
「んー、俺が知ってる限りだとそんなのは聞いたことがないな」
ニュースになっていなかったり、目の前で起こったりしていないだけで、実際にはあるんだろうなぁとは思うけど。
「はへー、治安もいいんですね……。ひょっとしてここにも、サキュバスの店があるんですか?」
「サキュバスはいないけど、似たような概念のものならあるよ。こっちにおいで」
「ほうほう」
俺の言葉に興味がわいたのか、ロリサキュバスは俺の後をのこのこついてくる。
俺たちは『18歳未満立入禁止』と大きく書かれた赤い暖簾をくぐった。
……大丈夫、だってこれは【夢】ですもの。なんで記憶にあるんだとかいう突っ込みは受け付けない。
「ほら、これ。この世界の野郎共はこれを見て発散するんだ」
そう言って俺は、所狭しと並べられたAVのパッケージを一つ取って手渡した。
「きゃっ!? え、いいんですかコレ? 公序良俗的に、こんなのが街中で売っていて!?」
……サキュバスに公序良俗を語られるとは思わなかったが、彼女はアクセルの街の治安維持に一役かっている存在だ。いろいろと思うところもあるのだろう。
「ゾーニングって概念があるから大丈夫だよ。ほら、さっきくぐった暖簾。あれがエロを楽しめるものと楽しんではいけないものの境界線だ」
「あんな薄っぺらい布が!? 分けてる意味あるんですか?」
……ないのかもしれない。
危ない話題に入りそうだったので、無視して続ける。
「ほらコレも。大人のおもちゃだぞー。これがプラスチック製のバイブだ。知りたかったんだろー? ほらー触ってごらん」
「や、やめてくださいセクハラですよ!」
……サキュバスにセクハラを責められるとは思わなかった。
「おかえりなさいませ、ご主人様!」
メイド喫茶に来た俺達だったが。
「はぁ、ここがメイド喫茶ですか。実際にメイドとしてカズマさんに忠誠を誓ってる人たちというわけではなくて、これは単にそういうシチュエーションを楽しむだけの……コスプレなんですね。コスチュームプレイ。でもミニスカートのメイドもかわいくていいですね。給仕や掃除を仕事とする人としてはどうなんだと思うところはありますけど、これは見た目の可愛さ重視ですね。いいです。可愛いです」
「い、いや、そうだけどさ……間違いないけどさ……」
妙に理解を示すロリサキュバスに、苦笑いしたり。
「おっちゃん。角肉味玉入り2つで」
「あいよー。プラス20円で玉子は半熟にできますが、いかがですかー?」
「じゃそれでお願いします」
路地裏に入って、ラーメンを頼んでみたりして。
「……おいしいですね。この、ラーメンって。特にこの角肉というものが」
「ああ。朝から深夜まで開いてる店だから、この街に来る度に食ってたんだよなぁ……。味まで再現できるとは驚きだ。俺の記憶力ってすげー」
「これ、カズマさんは作れないんですか?」
「職人の努力の結晶だからなぁ……。いずれ≪料理≫スキルを習得したら、挑戦してみるか」
「ぜひ、ぜひ。この味はあの世界にも広めるべきです。あ、すいませーん。替え玉、固めで!」
「馴染んでるなおい!」
そのまま替え玉3つを食べきってスープまで飲み干すのを見て、意外に食欲旺盛なのに驚いたり。
「セ、セクハラですよ!」
「勉強だ勉強! マイルドなヤツにしてやるから!」
「勉強って言えば何でも許されると思ったら大間違いですよ!?」
個室ビデオ店にこっそり二人で入って、AV鑑賞して。
「……」
「あ、この次のシーン、女優の潮吹きがすごいんだよ。こんなに出るわけねえだろってくらい――」
「ちょっと黙っててください!」
「は、はい。すみません……」
結局ビデオに熱中するロリサキュバスに怒られたり。
「うわぁ、綺麗……」
日が完全に沈んでから、川沿いに佇む旧駅高架を再利用した商業施設の灯りを見に行って。
「あちらの高い建物が発する煌びやかな光も発展した文明を感じますが、こうやって川岸からわずかな光が望める風景というのもいいものですね。なんというか実に対照的で……はっ、これがギャップ萌え!?」
「言いたいことはわかるけど、違うから!」
――俺達は夜が更けるまで、この世界を楽しんだ。
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「あーあ……。もう時間ですね」
「……ああ」
もうすぐ、日付が変わる。そんな時刻となっていた。
【夢】の外、あの異世界でも同じ時間が流れているはずで。
ロリサキュバスを買い上げた禁断の24時間コースも、タイムリミットが近づいていた。
俺とロリサキュバスは客と従業員の間柄だ。これ以上彼女を拘束することはできない。
「……すみません。もっと早く【夢】を開始できていれば、もっと楽しめたのに」
俺の故郷の説明や、【夢】の方針を決めるのに時間がかかったことを言っているのだろう。確かに理屈の上ではそうだったが。
「いいよ。次回からはフルタイムで楽しめるだろうし。今日のことは、今後【夢】を楽しむために必要なステップだったんだと思うことにするから。どうせ金も時間も余るほどあるし、またこの世界に来ることはできる」
「カズマさん……」
ふと視線を駅舎に向けると、目の前で忙しなく、次々と改札に吸い込まれては消えていく人々の姿が、懐かしく思えるのと同時に……なにか悲しいものを見ている気分に俺をさせた。この世界の人々は、こんなに余裕がなかったのだろうか。
「……戻りたいですか? この世界に」
俺が視線を人々に向けているのに気付いたのか、ロリサキュバスは不安そうな表情で尋ねてくる。
「そんなことはない。俺は、あの世界の方が、好き……なんだと思う」
ゆっくりと、自分の気持ちを確かめるようにしながら言った。
地球の、日本で、気持ちに余裕がなく生きていたのはかつての俺も同じだった。引きこもりながらも心のどこかで、学校に行かなきゃ、本当は行かなきゃ、と思っていた。
しかし今の俺は、異世界で、完全に自由だった。
最初こそ生きるだけで必死だったし、色々困難もあったが、今は衣食住に恵まれ、自堕落な生活を送ろうと思えば送れる。そんな金と時間の余裕を作りだすことができた。こうして手にした自由に比べれば、たまに【夢】で見るくらいならともかく、実際に帰りたいとまではとても思えない……。それが、今の俺の正直な気持ちだった。
俺は息をついて、ロリサキュバスに向き直る。
困難を乗り越えることができ、今の余裕ある生活を手に入れることができたのは、目の前のロリサキュバスの助けもあったのだということを思い出しながら。
「……また指名して依頼するよ。この世界を舞台にまた使いたいし、あの世界での【夢】も……また見たいから」
「は、はいっ」
どこか所在なさげにしていたロリサキュバスは、ホッとした顔で返事をした。
「……あ、でも、カズマさんが【夢】を見たくなった日と私のシフトが合うとは限らないので、我慢できなくなったらいつもどおりの【アンケート用紙】をお店に出してくださいね? あれを楽しみにしてる他のサキュバスもいるので」
「お? そうなんだ。俺が他のサキュバスの間でも話題に。ほうほう」
「……む」
言わなきゃよかったです、とロリサキュバスは唇を尖らせ。
しかしそれも僅かな時間の内に、再び顔を上げると、微笑みを浮かべて言ってきた。
「それでは、また、あの世界で!」
ニホンに祝福世界の人達を登場させる夢。
サキュバスを題材に描こうと思った時、一番描きたかったネタでした。
c90出展しますので投稿頻度は下がる……と思います。
詳細はツイッターか活動報告で。