花騎士と騎士団長-騎士団長、始めてみました- 作:ダンテこったい聖司
―幕間―
初の任務も終え、城へと帰り着いたダンテは不測の事態にも関わらず奮戦し、勝利を収めた花騎士達に休息を命じると、執務室へと戻り真っ直ぐに机へと向かうと、今日一日の事を思い出しながら報告書を書き出した。
――フォス街道周辺巡回任務報告書。報告者、ダンテ・サウラード。
天気は晴れ。午前八時に任務開始。移動隊列の配列を梯の列、左を先方とし、左よりライラック、セントポーリア、ダンテ、エキナセア、アマリリスの順に配置し進行。
その後、三十分程でアマリリスからの報告により初の会敵。カマキリ型二、ハエ型二の害虫と交戦。各員の日頃の訓練を活かした働きにより、これを撃破。その後も十分から二十分の間に散発的に主だってカマキリ型、アリ型、ハエ型の中型害虫と交戦。これらも各花騎士達の奮戦でこれらを圧倒。――
と、そこまで書き上げたところでダンテは一旦手を止める。
そう、情報になかった大型害虫との戦闘について如何に書くかを思案したのである。あの害虫の事は情報にはなかった。しかし、その事をありのままに書けばその後にどうなるか。
考えるだけで億劫になる程の面倒な取り調べを受けるだろう。当然、アンドレイやスミルノフだって誤情報を報告したとして少なからず罰せられる可能性だってある。
故意であろうとなかろうと正しい情報を寄越してもらえなかったという恨みはあった。一歩間違えば全滅だってあり得たからだ。
しかし、ダンテはそこで敢えて情報が前もって与えられていた事にした。恩を売っておこうと考えたのである。
確かに、事の真実が明るみに出ればダンテが重く罰せられるだろうが、あの任務説明の時の会話はダンテとアンドレイ以外は聞いていない。で、あれば問題ないだろうと判断したのである。
そう決めたダンテは再びペンを手に取り、続きを書き出した。
順調に巡回任務を進めるも、事前情報にあったカブト型の大型害虫を発見。
事前の打ち合わせ通り、撤退し騎士団長アンドレイ・コーラムバインへ報告に向かおうとするも、商隊が大型害虫に接近。大型害虫が商隊を襲撃する兆候を見せた為、ダンテ・サウラード率いる花騎士達の志望もあり、商隊救援の為に交戦を開始する。
大型害虫は王都近辺では見受けられない様な強力な個体であったものの、花騎士達の臨機応変な対応により、これの討伐に成功。
商隊を護衛しつつ王都へ帰還し任務を終了。これを以て、報告書とする。――
ふぅ――と息を吐くと、報告書を筒にしまうと執務室を後にすると、文官を見つけ、王宮に提出するように命令して報告書を託すのだった。