花騎士と騎士団長-騎士団長、始めてみました- 作:ダンテこったい聖司
1.
「さて、集まってもらって早速だが、俺達に新たな任務が下されたぞ」
朝一番に執務室に集められた五人の花騎士達は整列するなり前触れなしにダンテから新任務の事を告げられた。
「今回の任務は、アンドレイ・コーラムバイン団長率いる騎士団の第二小隊との合同任務になる。なお、同騎士団のアンドレイ団長も総指揮官という形で今回の任務に同行する事になっている。任務の内容はこの国の北西地方に発見された害虫の巣の破壊、それと周辺に潜伏する害虫の駆除。至ってシンプルな内容ではあるが、そこまでのんびりもしていられない。……この巣のほど近くに小さな村がある。地図にも載らないような小さな集落とも言える村だ。まだ被害は出ていないが、それも時間の問題だろう。よって、この巣を早急に叩く必要がある。作戦は既に昨日、俺とアンドレイ団長の二人で決定済みだ。これより一時間の後に大広間に集合。集合の後に王都正門にてアンドレイ団長と同団長率いる第二小隊と合流し、目的地へと向かう。何か質問は? 」
「それだけ切迫しているのであれば今すぐにでも向かう方が良いと思うのだが、一時間も時間を取っていいのだろうか」
どこか余裕を持った口調のダンテに対し、厳しい視線で彼を見つめ、エキナセアは厳しく問いを投げかける。しかし、その視線と問いに晒されてもダンテはその態度を崩す事は無い。
「エキナセア、急く気持ちも分からなくはないが俺達は害虫を倒しに行くんだ。わざわざ倒されに行くわけじゃない。であれば、俺達はまず多少の時間を費やしても万全の準備をするべきだ。それに、害虫共の襲撃が始まったからと言って、すぐにその村も落ちるわけじゃない。花騎士を向かわせるほどの余裕はなかったが、軍に要請して兵士一個中隊を向かわせて村人をいつでも避難させられるように備えさせている。そこまでしているからこそ、俺とアンドレイ団長もこうして時間を作ることが出来たわけだ」
「……分かった。性急な結論で話をしてしまい申し訳ない」
彼の揺るがない態度とその返答に納得したエキナセアは一歩退いて謝罪と共に頭を下げた。
「さて、他には無いようなのでひとまず解散とする。くれぐれも遅れることのないように! 以上、解散! 」
「「「はい!! 」」」
全員の気合いの篭った返事が執務室に響くと、全員が慌ただしく部屋を出ていく。
ダンテは早足に食堂へ向かうと、厨房から予め頼んで作らせていた簡単な食事を受け取ると、行儀が悪いと誰かに怒られることを承知で食べながら執務室へと歩みを急がせた。
途中誰かに怒られる事もなく、ちょうど食べ終わる頃に執務室に到着すると、前回の任務と同じように剣、短剣、拳銃といった一式の装備を装備し、身支度を整えていく。
そして身支度を整えながら、ダンテは昨日に行なったアンドレイとの作戦会議を思い起こしていた。
「北西の森に害虫の巣? 」
前回と同じように突然、ダンテの騎士団に押しかけて来たのは誰であろうアンドレイであった。アンドレイはダンテの元へ来るなり「すまんが協力してくれ! 」と頭を下げたのである。
そこで事情の説明をダンテが要求したことから事は始まった。
「そうだ。先日、最近害虫の姿を見るようになった。って近くの村人からの報告を受けて軍の連中が一個小隊規模で索敵をしてみたらしい。そしたら北西の森の開けた位置にそこまでは大きくないものの害虫の巣を発見してな。どうやら今は害虫共も他の生き物を襲撃するつもりもないのか巣の近くを徘徊し、時折森の中から巣の増築材料を運んで来るくらいで活発な活動は見られなかった。だが襲われてはいないが、発見位置のほど近くに村があるだけにこのまま放置するのは危険だ。んで、俺のところに中隊規模でこれを早急に叩け、と評議会経由で任務が来たわけだ。……ここまではいいんだが、俺のとこの第一小隊は現在騎士学校の教習訓練の監督に駆り出されていて動きが取れんし、スミルノフのところは王都の防衛があるから動かすわけにもいかん。他の地方都市の戦友騎士団あたりから借りるっていう手もあったんだが、それでは連絡を取るのだけでも時間がかかりすぎる」
「と、そこで俺の騎士団の事を思い出した、と? 」
「その通りだ!! お前さんのとこは、こう言っちゃ何だが、現状は長期の任務に就いているわけでもないし、フリーな状態だ。戦友を結び、しかもこれだけ近くに居るとあっては協力を頼まない手はないと思ってな」
「なるほど、それはそうだ。いいぞ、その任務、協力させてもらおう。さぁ、早速作戦を立てよう。聞いた話ではそこまでのんびりもしていられないだろう? 」
「おお、助かるぞ! 」
ダンテの快諾に大袈裟に喜ぶアンドレイに内心苦笑しつつも、ダンテとアンドレイはその後、簡潔に作戦を立て、それに向けて行動を開始した。
ダンテは翌日の作戦の成否に関わらず、村の人々をいつでも避難できるように準備させる必要があると考えると、軍属時代に交流のあった軍の指揮官を頼って、夕暮れ時にも関わらず王都防壁付近に位置する屯所へと訪れていた。
普通であれば、例え騎士団長であろうと軍の屯所へ事前の連絡もなく訪れる事は疎まれる事であるが、ことダンテに対しては屯所の門番は快く彼を中へと招き入れた。
「やあ、まさか君が此処に来るなんてね。久々だね、活躍しているようじゃないか」
「突然の来訪失礼します、ヴェレッタ中佐。中佐の活躍も耳にしておりました」
外から聞こえる訓練の声に懐かしさを感じつつ、彼は自身の目の前に立つ、中佐と呼んだ短く切った黒髪の女性に敬礼する。
「ははは、世辞はよしてくれ。花騎士達の活躍に比べれば、我々の成果など微々たるものだ。それに、君が元気になったようで安心したよ」
「御心遣いありがとうございます。いつまでもしょげていられるほど、今の職務は甘くはありませんので。しかし、それだけにやり甲斐は感じております」
「そうかそうか。それは何よりだ」
ダンテと対峙し、彼の来訪を歓迎したこの女性はミリア・ヴェレッタという。このブロッサムヒル軍に所属し、彼がそう呼ぶ通り中佐でありながら、ここ防壁屯所の指揮官も務めるほどの女傑であった。
一通りのお互いに再会を喜び合うと、ミリアは「さて」と前置き、一口コーヒーを飲む。
「今日来たのは別に世間話をしに来たわけではないのだろう? 要件はなんだい」
「はい、実は……」
それからダンテはミリアに対して、状況と翌日に決行される作戦の内容、そして自分の考えを詳らかにした。それを聞いたミリアは「ふむ」と呟きながら広げられた地図を睨む。
「なるほど、状況は理解した。それで私の所にわざわざ出向いて来たという訳か」
「はい、いきなり押しかけて失礼だとは思いましたが、事が事ですので、評議会を通してからでは間に合わないと考え、直にお願いするべく参りました」
「確かに、君の判断は正しいね。首尾よく評議会を素早く通してもきっと軍の上層部で躓くだろうからね。でも、良いのかい? 私は派兵に同意するが、騎士団長という立場である君が軍属である私に頭を下げたとあっては、評議会から厳しく追求されるのではないかな? 」
「セクショナリズム、ですか。しかし、我々の使命はひとえに力無き人々を害虫の脅威より守り、また救うことです。そこに立場も所属も関係ありません。使命の為、騎士団長として必要であるなら、私は誰になんと言われようとも喜んで頭を下げます」
そうダンテが言い切るや、ミリアは得心が行ったと言わんばかりに口角を上げる。
「あっはははは!! 君らしい返答だ。分かったよ、今回の件、上には私の方から噂を聞きつけて申し入れた、と説明しておこう」
「御気遣い、ありがとうございます! 」
「うんうん、ではこの屯所から一個中隊ほど、すぐに準備させて向かわせておこう。さあ、君も君のするべき事に戻ってくれ。私の可愛い部下の命、君に預けるからね」
「はい、確かに心得ました。それでは失礼します」
お互いに敬礼し、最後に握手を交わすとダンテは踵を返し、急ぎ足で屯所を後にするのであった。
そして、城に戻るや各花騎士に翌早朝に執務室への集合を言い伝えて回ると、自身も翌日に備えていつも以上に早い時間に英気を養うべく床に就くのであった。
さて、時間は戻って身支度を整えたダンテは早足に大広間へと急ぐ。かなり時間に余裕を持っての行動であったが、皆何と言われても気が急くのかダンテが大広間へと到着すると全員が集合済みであった。
「早いな、まだ時間に余裕はあるんだぞ」
「そうは言ってもな。やはり事情が事情だけに皆、気持ちが急いているんだ。そう言う私も、同じくな。どうか大目に見て欲しい」
「別に悪いと言うつもりはない。ただ、今回は他の騎士団との合同作戦だ。あまり急いでも状況としては変わらないのだから、その分、体を休めるなり、緊張をほぐすなりに当てたらどうだと思っただけだ」
そうは言いつつも、ダンテはその場に集まった全員の顔色を見て、その士気の高まりを感じ取り内心安堵する。
「今回は獲物が獲物だ。そう一筋縄ではいかないだろう。あらゆる想定外の事態が起こることもあるだろう。だが、どのような事態になろうとも常日頃の訓練を思い出し、臨機応変に連携すれば切り抜けることも容易だ。常に仲間との連携を意識し、行動しろ! さて、そろそろ合流場所に向かうとしよう。総員、搭乗! 」
五人の花騎士達はダンテの号令と共に移動用の幌馬車に乗り込み、彼自身は御者台に乗ると、馬に鞭を打ち馬車を走らせ出した。
街中を速度が出ないように気を付けつつ、ゆっくりと馬車を走らせ、アンドレイとの合流場所を目指す。程なくして、合流場所の王都防壁の正門が見えてくる。それと同時に門の外で待機するアンドレイと彼率いる第二小隊の面々、そして彼らの馬車も見えた。
彼の姿を認めたアンドレイが片手を挙げて来るのに、ダンテも同じように片手を挙げてそれに応える。
「早かったな。時間にはまだ余裕があるんだぞ」
「俺がさっきうちの連中に同じ事を言ったばっかりだ。どうやら落ち着いていられないのはどちらも同じみたいだな」
「そのようだな。俺のところも似たようなもんだ」
御者台から降りたダンテは幌馬車の骨組みを軽く叩き全員降りるように告げると、エキナセアを先頭に全員が幌を開けて中から降り、横一列に整列する。
「ほぉ、初めてダンテのところの花騎士を見たが、なるほどな。いい顔をしてるじゃないか」
「当たり前だ。付き合いこそ短いが、それでも俺の自慢の花騎士達だ」
自慢げな笑みを浮かべながら返すダンテに、アンドレイもまた自慢げな笑みを浮かべると、その丸太のように太い腕をめいいっぱいに伸ばして自分の後ろに控えた花騎士達を指す。
「俺のところだって負けちゃあいないぞ。第二小隊と言えども実力は充分で、俺の自慢の花騎士達だ! 」
「初めまして。ふーん、なかなかいいじゃない。気に入っちゃった」
待ってました、と言わんばかりに看護婦然とした格好の赤い長髪の花騎士はずずいと自らの顔をダンテの顔に近付けると、怪しげな笑みを浮かべながら、意味ありげな事を口にする。しかし、そんな彼女と顔を至近距離にしたダンテは何の事だか分からないといった表情を浮かべながら、その花騎士の顔を見返す。
自分と顔を近くにして動じていないダンテに興味が尽きないといった顔をしながらアンドレイに「全く、自己紹介が先だろう」窘められた花騎士は返事をしながら顔を引っ込めると、今度は打って変わって礼儀正しい作法で頭を下げる。
「私の名前はレッドチューリップよ。ふふっ、信じられないと思うけど、これでも看護婦もやってるの。どこか痛いとかあったら言ってね」
「俺はダンテ・サウラードだ。よろしく、レッドチューリップ」
「このレッドチューリップに第二小隊のリーダーを任せている。色々と、まぁ、色々とあるが、よろしく頼む」
「ちょっとー? 色々とって何よー。誤解を招くような言い方は酷いじゃない」
むくれた表情で抗議をするレッドチューリップを片手で制しながらアンドレイは他の四人の花騎士達を順に紹介していく。
アロエ、カタバミ、カイコウズ、イブキトラノオ。それぞれが優秀な花騎士なのだろうとダンテからも分かるほどに、レッドチューリップを含めた五人の花騎士達は精強に映った。
(さすがは王都常駐騎士団の花騎士といったところか……)
ダンテは心の内でそう呟くと、今度は自身の率いる花騎士達を順々に紹介していく。と、お互いの自己紹介が済むや、ダンテとアンドレイは言葉無くお互いに頷き合うと、そのまま自分の率いる花騎士達に向き直り、
「目的地の村へ向かうぞ! 総員搭乗! 」
「そら、目的地に急ぐぞ! 乗れ乗れ! 」
と同時に指示を飛ばし、自身は御者台に乗り込むと、お互いの部隊の搭乗を確認し合い同時に馬車を出すのであった。
アンドレイの馬車を先頭にダンテの馬車が続く形で目的地である北西の村へと進む。道中、何度か害虫との遭遇戦を行なうがその尽くをダンテとアンドレイの率いる花騎士達は討伐しつつ、幾ばくかの遅れは出たものの予定の時間内に目的地へと到達した。
村へと到着し馬車を停めると、真っ先に一人の女性兵士がダンテの乗る馬車へと駆け寄ってきた。
「お待ちしておりました、ダンテ大尉! 」
「大尉、か。随分久しい呼ばれ方だ」
「し、失礼しました! ダンテ騎士団長殿! 」
ダンテは慌てて訂正する兵士に笑いながら「気にするな」と声を掛けながら、「知り合いか? 」と聞いてくるアンドレイに「いや、面識はないはずだ」と返す。
駆け寄って来てから緊張しっぱなしの兵士にダンテは苦笑を浮かべつつ、隊長の所在を聞くと、兵士は緊張で今にも裏返りそうな声で自身が隊長であることを告げる。
それを聞いたダンテは大丈夫だろうかと内心不安になりつつも、村の状況の説明を要求する。
「ハッ! 現在は避難準備は完了しており、指示があり次第いつでも避難を開始できる状態となっております!騎士団の皆様との合流後は作戦完了までダンテ騎士団長殿の指揮下へ入るよう、中佐から命令されております! 」
「了解した。では、貴官等は別命あるまで現状維持で待機だ」
「かしこまりました! それと……中佐からダンテ騎士団長殿にと、預かり物がございまして」
中隊長はいつの間にか大きな鞄を持って来ていた部下の兵士からそれを受け取ると、ダンテに差し出す。
鞄の数は三つで、サイズとしては行軍で持ち歩くにはそれなりに不便を感じる大きさであったが、ダンテはそれを一つ受け取ると地面に置き中身を開いてた。
そこにはやや大きいと言える拳銃とその実包が入っていた。しかし、通常の拳銃と違うのはその拳銃の口径が、拳銃のそれをよほどかけ離れた大きさであり、その実包は敵を攻撃する目的にはそぐわない見た目である代物だった。
「拳銃にしては随分見慣れない形だな。それに中折式か。ダンテ、そりゃどうやって使うものなんだ? 」
気付けば馬車から降りてこちらに来ていたアンドレイがダンテの手元を覗き込む様にその大柄な身体を屈めながら首を傾げる。
ダンテは、なるほどこれは軍だけの装備だったか。と考えながら、ひょいとアンドレイの目の前にそれを見えやすいように差し出す。
「こいつは信号銃といってな、軍では発煙弾か彩光弾を撃ち出すのに用いられてる。まぁ、要はこれで声の届かない距離の仲間に簡素な指示や自分の状況を知らせることが出来るっていう装備だな」
「ほぉ、軍じゃそういう装備を使ってるんだな。騎士団では基本的には声を張り上げて指示を飛ばす事くらいしか方法としては採ってないから初めて知ったぞ」
「軍の中でも特に拠点の防衛や監視任務に就いてる部隊が主に用いてるな。なんせ、連絡兵を走らせるよりずっと早い。今回、この任務の為に協力を要請した指揮官が気を利かせて用意してくれたんだろうな。これは随分とありがたい」
その後、発煙弾及び彩光弾の色とその意味を簡潔にアンドレイに説明し終えたダンテは、改めて花騎士の全員と中隊長を含めて地図を前にして作戦の確認を開始する。
「じゃあ確認するぞ。まずは俺の部隊が道中の露払いをしつつ先行する。それに時間を置いてアンドレイの部隊は徒歩で巣へと接近してくれ。作戦の都合上、アンドレイの部隊の存在を敵に知られたくない。そして、こちらのサフラン、ライラック、アマリリスの三人による遠距離攻撃で害虫の巣を攻撃し、陽動。巣の防衛に就いている害虫共を可能な限り多く引き付けたらそいつらを引き連れてA地点へ向けて転進。この作戦通りに引き付けられたら緑の発煙弾を打ち上げる。それを確認次第、アンドレイの舞台は一気に害虫の巣へと接近して守りの薄くなった巣を叩く。引き付けた害虫共はこのA地点まで引き連れた後にエキナセアとセントポーリアで害虫共の退路を遮断し、包囲殲滅する」
「それにしても、改めて聞いてもまるで絵に描いたような作戦だな」
アンドレイが肩を揺らしながら笑いつつ言うが、ダンテもそれは前日二人で打ち合わせた時に聞いていた為に同じく肩をすくめながら苦笑を浮かべる。
ダンテとアンドレイの二人が笑いあっていると、作戦内容をじっと聞いていたエキナセアがおもむろにダンテに向かって手を挙げる。
「どうした、エキナセア。何か質問か」
「ああ、作戦内容にも、陽動の囮役に遠距離攻撃が可能な三人、退路遮断役に私達二人が選抜される事自体にも意見するつもりもないのだが、もし最初の陽動の時点で巣の防衛に就いている害虫達を引き付けられなかった場合など、作戦自体が瓦解する事態になった時にはどう対処するつもりなのだ? 」
「お、いい所に気付いたな。さすがはエキナセアだ。そうだな、今言われたように陽動で囮に害虫共が食い付かなかった場合には赤の発煙弾を発射する。その場合は囮役もエキナセア達も一旦その場を離れてアンドレイの部隊と合流する。そしてその後に分断作戦から全員で正面突破作戦へと切り替える。それすら困難な状況だと判断した場合。例えば――そうだな、俺の目から見てこの十人でも対処不可能だと判断した強力な個体を確認した場合など、作戦の決行自体が無謀だと判断したら黒の発煙弾を投射する。その場合は、合流を待たずに全員、この村まで撤収する。そして最も早くに撤収した奴から中隊長、お前に村人の避難開始を指示する。そうしたら中隊長、お前は村人の避難を開始させろ。俺達騎士団はこの村で合流しながら避難の護衛をしながらの撤退戦を展開する」
「は、はいっ! かしこまりました! 」
突然話の矛先を向けられた中隊長は上擦った素っ頓狂な声を上げながら敬礼を返す。
当の質問者であるエキナセアもそれを聞いて納得行ったのか「了解した」と返す。ダンテはそれを確認すると、一同の顔を見渡し、アンドレイに頷く。
「よし、それじゃあ行動開始だ! 」
「「「オーッ!! 」」」
アンドレイの一声に全員で応えると、各々が作戦決行に向けて動き出したのであった。