31日まで待ちきれない。私の欲望が爆発したと思って欲しい。
マスターの名状し難い白いドロドロのアレでサーヴァントじゃなくなった彼女達はどうやって帰るんでしょうねぇ…………。
かしましたちの夜(2部 序 前日譚)
2017年12月25日。23時**分。
クリスマス兼
「はい、ちゅーもーく。クリスマスに水を差すような事は言いたくなかったから、黙ってはいたけど、そろそろ日付も変わる頃だから、ちょちょいっと現実に戻る大事なお話をダ・ヴィンチちゃんから報告させてもらうよ」
カルデアの所長代理の言葉。
マスターを含め、殆どのサーヴァントが手を止め、耳を傾ける。
「はい、茨木ちゃんは口に詰め込んでいるケーキを全て飲み込んでね――。えっちゃんも和菓子ならいいでしょ? じゃない、一旦食べる手を止める。初代サンタも両手いっぱいのターキーを頬張るのはストップだ。おっきーちゃんもコミケの脱稿が迫っているのはよくわかるけど、数分だけ手を置いてもらってもいいかな? はいぐだぐだ組とゲーム好き未亡人もコントローラーから手を離し、こっち向く。コンセントぶちっなんてお母さんみたいな事したくないからね、私は………………はい、よしよし、じゃあ、まずは良いニュースが1個と悪いニュースが2個あるんだけど、どっちから聞きたい」
「じゃあ、良いニュースの方から」
膝の上にアリスを乗せ、ご飯を食べさせていたマスターが促す。
「OK。ではもう既にご存知の方もいると思うが、キャスターのサーヴァント、ナーサリー・ライムことアリスちゃんがおめでたしました。誰の子か? 言うまでもないでしょう!! これはグッドニュースだ!! ましてや人理修復後ならなおさらだね!! 素直におめでとうの言葉を送ろう!!」
――おおっ
既にここにいる9割方に周知の事実であったが、それでも感嘆のどよめきが場を包む。
「おめでとう、アリス!!」
「男の子かしら?女の子かしら?きっとどっちでも可愛い子よね!私ちゃんとアリスの子が無事生まれてくるように毎日お祈りするわ!!きっと向こう側にいる神様も応えてくれるわ!!」
「クリスマスはお母さんがたくさん出来る日って言っていた師匠の台詞は間違ってなかったのですね!!」
「かいにんする?」
バニヤン、アビゲイル、ジャンヌリリィ、ジャックとロリ組から祝福の言葉を受け、照れくさそうに微笑むアリス。マスターの膝の上に乗っている彼女は彼の手をそっと自分のお腹の上に当てさせる。
「ただの物語にしか過ぎなかったわたしが……新たな命を、そして新たな物語を紡ぐ事が出来るなんて、こんな事、夢ですら見た事なかったわ!本当の幸せって自分の想像外から訪れるのね!!ありがとう、マスター……アナタという最高の読み手に出会えて、心から幸せよ……うふふっ」
幸せそうなアリスとマスター、それを見て、テーブルの上でシャンパン片手に「Fooooo!!」狂喜乱舞する子供スキーなアタランテと哪吒のコンビ。
「結構、結構。このカルデアで新たな命が紡がれるのは大変結構。私も心が暖かくなるさ。まぁ、これからシャレにならない数の女性サーヴァント達がまだ見ぬ我が子を求めてこれからいつも以上にマスター君に性的に襲いかかっていく未来は確定したわけだが、私はこれっぽちも君の事は心配はしていない。そして、嫉妬と祝福の感情が合い混ぜになって凄い顔になっているマシュの顔も見えていない」
「ふっ……子供を授かった順番で何を騒ぐ事があろうか……。女として愛されているかどうかはそんな事で語れないだろう」
「師匠、槍の持ち方、逆さだぜ…………」
「逆でも刺さるわ」
「ぐぇええ!!石突の方でっ……!?」
ランサーが死んだ!!
「とまぁ、そんなこんなで良いニュースはおしまい。祝福ムードの中、空気を読めないようで悪いけど、二つある悪いニュースの方を君達に知らせよう。まぁ、一つ目は知っての通り、12月27日にこのカルデアを視察、そして新体制として引き継ぎに来る国連査問会の連中がやってくる」
「それはMs.アリスの出産より優先すべき事項なのですか?」
「気が立つ気持ちはよくわかるが、ここで私に銃を構えられても困るよナイチンゲール婦長。どちらにせよ、無用な揉め事は避ける為、英霊召喚システムは凍結。カルデア所属のサーヴァントは皆、ここを去ってもらうつもりだった……。そりゃあ、彼等からしてみれば、私達は兵器みたいなもんだからね」
「『そこで
「ここにやってくる新たなお客様は爆弾を抱えてらっしゃる。そしてこちらのカルデアも我らがマスターという特大の爆弾を抱えてらっしゃる。爆弾同士が交差するとき、物語は爆発するぅぅ!!いやぁはやぁ……爆弾スキーとしては見逃すとかないわーみたいな?標高6000Mからの花火はそれはそれは綺麗でしょうねぇぇぇええ」
「座にゲッラウトヒア」
「そんなごむたいな!!」シュゥウウウン……
「あぁ――!なんたるロマンチック、ペダンチック……」シュウウウン……
「ダ・ヴィンチちゃん、では……それに加えて悪いニュースがもう一つあるのですか?」
どうすればセンパイの子を授かる事が出来るのか、頭の中で百通りのプランを浮かべながら、マシュはダ・ヴィンチちゃんに問う。
そもそも、アドバンテージはサーヴァントではなく、普通の人間に戻ったマシュ・キリエライトにありそうだが……ただまぁ……かのマスターに抱かれ、その精液を頂いてしまっているマシュも普通の人間と言えるのか怪しい。
「そうだね。そのサーヴァントの退去の問題に関係もあるのだけれど…………」
場を緊張が包む。
ここにいるのは査問会の連中が来るから帰ってくれるかな?いいえ、死ねとも!と反抗しそうなメンバーが多すぎる特に『彼』にお手付きなっている者達に関しては。
「まずその前に、ここのマスター君に頂かれている娘達はどれくらいいるのかな?うん、マシュはわかりきってるから、そんなモゲそうな勢いで手をあげなくてもいいからね……ふむふむ、まぁ予想通りかな」
この食堂にいる女性英霊達の大体ほとんどが、挙手をしていた(一部性別不明&♂もいたが)。
本当に、悩ましそうに、頭が痛そうに、ダ・ヴィンチちゃんがこめかみを抑えながら深く息を吐いた。
一体、どんなバッドニュースが彼女の口から語られるのか…………。
「はい!今手上げた娘達がね、もれなく全員受肉しているというか、サーヴァントではない別のナニかになっているから座に退去させる事ができません!!」
『いええああああああああああ!!』
「いえああああ!じゃねぇよ!喜んでる場合かこの馬鹿共が!!どうすんだよ!!サーヴァント大勢いるだけでもやべぇってのに揃いも揃って受肉してるとか!どう言い訳すんだよ!!」
「ダ・ヴィンチちゃん!口調がキャラ崩壊を起こしてます!!」
「そりゃあ、起こしたくもなるわ!!只でさえ、マスター君は人畜無害の一般マスターですという無理難題の提出書類を連日徹夜で作ってるってのに、ここに来てさらに爆弾発覚とか!!私は天才ではあるけど、社畜じゃないからね!!」
「けど、退去にならなくて良かったと思うよ。ねー♡エレちゃん」
「ねー♡なのだわ。…………クリスマスに来て、即日退去とか冗談じゃないわ。今日日蝉の方がもう少し長生きすると思うの」
互いに可愛く体を傾け合う、冥界の女主人と性界の男主人。
「私としては、君がこんなにも早く受肉している事に驚きなんだけど、一体一日でどれだけ激しいセックスをしたのかな?」
「ははははは破廉恥なのだわ!!」
「そうは言ってやるな芸術家よ。この娘、第七特異点攻略ではマスターにBまでしかしてもらえず、『次に会ったらもっと凄い事をしてあげるよ』と言われて、気付けば一年にも及ぶ焦らしプレイ。冥界下りでマスターとのしょっぱなの邂逅で、記憶をんほぉおおと思い出して、ネルガル即ボッコへ移行したのは見事な流れだったぞ。マスターの性行為は『忘却補正EX』がついているからな、魂にその色が染み込んでいるぞ。カルデアを襲ったシュメル熱もマスターの精液をたらふく頂いている奴らには全く効かなかったからな、万物抗体が出来てるかもしれん」
「エリクサーかよ」
「おかげで冥界下りも早く終わった……ネルガル涙目、早上がりは良い文明だ」と解説するサンタコスのアルテラちゃん、バイブとローターも未だ、装着済みである。
「てか、熱に乗じて、体壊せばマスターとの看病ックスがまた出来たんじゃないんですか!?沖田さん一生の不覚!!」
「そもそも貴様から病弱取ったら、人斬りしか残らんくね?」
「ありますぅ……。実は恋愛に初心なヒロイン力高めの期間限定☆5最かわサーヴァントとか――」
「プッ……ノン水着」
「表出ろぉ!!ゴラァッ!!」
骸骨スタンドとオラオラで切り合うぐだぐだ組をガンスルーし、ダ・ヴィンチちゃんは死んだ眼で話を戻した。
「マジでどうすんだよ……。マスターが抱きまくったら皆、受肉しちゃいました♡って説明するのかよ……」
「子供という新たな命だってある意味精子から出来ているわけで、そう考えると俺の精液で皆が受肉し、新たな肉体を持ってしまったのもそう可笑しな話だろうか?」
「可笑しな話だよボケ。もはやもうここにいる彼女達は座から召喚されたサーヴァントという名のコピーから別れ一つの個として、新たな生を持ってしまったからね。これから何かの間違いで聖杯戦争が起きて同じサーヴァントが召喚されても、君達とは別種の存在ともいえるよ。もう英霊ともサーヴァントともいえないねぇ……。はぁ、あの『精神と時の部屋』の扱いにも困っているというのにさ…………」
「ありのまま伝えたらイカンのか?」
「イカンわ、カルデアがピンク色の施設としか思われんぞ、いやもうあながち間違いじゃないのかな…………」
未だ口調崩壊継続中のダ・ヴィンチちゃん、天才といえども、こんなに大量に残った爆弾を明日まで処理するのは無謀過ぎる。コカイン中毒ホームズ君は「なら、いっそ皆に全てを打ち明ければいいじゃないか」と助言とも言えない投げっぱなしジャーマンで今の状況に至っているのだが……。
「もう面倒くさいから、査問会の人達全員豚になーーれ♡じゃ、駄目なんですか?」
「お?ピグレットにするのかい?いいねぇ、私とマスターの楽園にずかずかと土足で踏み込む輩には良い薬になると思うよ」
「それをすると間違いなくマスターが人類の敵認定&人類悪√に進みそうですが、ま、そうなる前に私がこの辺鄙な星から飛び立ってサーヴァントユニヴァースへレッツ、ハネムーンとさせて頂きますが」
「悪√になるなら、むしろヴィランとして私と一緒の方がいいのでは?」
「文系スパッツは黙っとれ」
脱線している話も織り交ぜ、場がカオスとなって紛糾しかけた時…………。
「なら、ほとぼりが冷めるまで、そのシミュレーションの機械ごと私の門の向こう側の世界に皆で避難すればいいと思うわ」
割とあっさり解決策が出てきた。
「ハンカチとティッシュは持ちましたね?困った事があったら母にメールをするのですよ……。虐められたらすぐに言いなさい、コンマ一秒で駆けつけますからね」
「えぇ、旦那様に仇なす輩をシャー(こんがり)してあげますから」
「貴方の傍を離れるひと時の痛み……これも愛なのですね、次は私とも子供を…………」
アビゲイルの門に続々と入っていく。新たな肉体を持った女性英霊達。溶岩水泳部を始めとして、皆がひと時の別れを惜しんで言葉を交わす。
「マシュ殿!雌犬調教派閥の一人として、しっかりと主殿の護衛を任せましたよ!!」
「だから、そんな派閥に入った記憶は無いのですが!!」
「深夜、カルデアの廊下、誰もいない中、マスターと紫髪の尻尾をつけた全裸の雌犬、散歩プレイ…………」
「……!!な、なぜ、それを…………」
「マシュさん、首輪は良い物ですよ……」
「セイバー・リリィさん!?」
「みみみこーんと、さてさて皆さん、何も疑いなく入りましたが、この門の向こう大丈夫なのですか?入った先の世界でいきなりSAN値/ZEROになったりしません?」
「フフフフ、大丈夫よ。狐のおねーさん、貴女の大元よりは可愛い物だわ」
「いやん♡玉藻、何の話だかわかんな――い♡」
「ほら、さっさといくぞオリジナル。吾輩のナインズセンスが近い内にやったねご主人、新たなタマモが増える的なナニかが来ると告げている」
「縁起でもない事、言わないでもらえますぅ!?」
ヤリ部屋兼シミュレーションだった『精神と時の部屋(R18)』の設備もそして、マスターの形容しがたい精液を注ぎ込まれて、新たな肉体を持ったサーヴァント達も皆、アビゲイルの門の向こうへ消えていった。
残ったのは、妊婦となったアリスとアビゲイル。
「フォーリナー……セイレムの魔女たる彼女が作った世界……。一体どこに繋がっているのやら」
心配そうにかつ興味深そうに、鍵穴型の異界への入り口を見つめるダ・ヴィンチ……。
いつもの金髪碧眼のゴシックドレスではなく、肌と髪を含め、全身を白くし、禍々しくも別次元の神秘さを感じさせる帽子と服の体を成していない葉のような何かに身を包んだアビゲイルは巨大な黒色の鍵をブンブンと振り回し答える。
「せっかくここで新しく出来た
「あらゆる並行世界に繋げる事が出来る鍵……空間接続による渡航……。うーむ、規格外もいい所だ。未だこの天才の眼をもってしても計り切れない悪幼女なだけの事はある」
「ふふふふ、座長さんに零れる程、注ぎ込まれてから凄く調子がいいの!世界を救うのも滅ぼすのも彼次第だわ!!」
下腹部を撫で、少女とは思えない恍惚とした表情でシャレにならない事を口にするセイレムの魔女。まぁ、彼女もマスターの精液の影響で鍵の力を十二分に使えるようになった以上、絵空事ではないだろう、肝心のマスターが今の性活に満足している以上、悪用する事はないが……。
「アリス、何かあったら……いや何もなくてもちょっとの事でもいいから、寂しくなったらすぐに呼んでくれよ。カルデアの引継ぎの事も大事だが……今は君の事が一番大事だから」
「心配症なパパさんね。大丈夫なのだわ、この子の事をわたしに任せて、アナタは仕事を頑張ってきなさい。うふふ、今の台詞、凄く奥さんっぽいわマスター!」
身長差がある二人、マスターは屈んで、少しお腹が膨らんでいるアリスと微笑ましく抱き締め合う。顔を交互にお互いの肩に乗せて、その温もりを残し合うように。
「一番最初に孕んだのが、物語にしか過ぎなかった彼女か。いやある意味マスター君らしい。そう思わないかい?マシュ」
「先輩との次に致す日……私の排卵日も計算しないといけませんね。体温調整も考慮して……明るく開放的な場所でする方が懐妊率が上がるという説はあります……女性器、口、菊門、ありとあらゆる穴から先輩の…………ブツブツブツブツ」
ダ・ヴィンチちゃんは見なかったことにした。
「座長さん。セイレムで拾った鍵のペンダントは持ってるかしら?えぇ、それ。それよ。返さなくてもいいわ。それは今、私達が移った異界への扉の鍵、空間に刺して、捻ればどこでも繋がるわ。休息日になったらいつでも会いに来てね」
初めはサーヴァントとして召喚された私達……でも今はこうして、一人の女性として貴方と寄り添う事を決めた一個人、マスターと呼び名は変わらないけど、使い魔とか従者の枠組みは超えた身。もう誰も貴方を離さないし、座長さんも皆を離す気はないわよね?
アビゲイルは笑う。セイレムの魔女は微笑む。異界からの降臨者は破顔する。
だってまだまだ彼との旅は続くのだから、箒星が何度飛んでこようとも。私達は寄り添うの、彼が『彼』である限り。
異端なる物語から生まれた少女と全ての子供達の物語から生まれた少女は門の向こうへと消えていった。それを繋ぐ鍵は彼の手元に。
(これ、私とホームズが作ったトランクいらないやつかな?)
「ほう!ほほーう!!その聖晶石とやらでサーヴァントが召喚出来るわけか!所詮、使い魔といえども英霊を召喚する触媒となるもの……高価なのだろう?」
「はい、1個120円です」
「安っ!!」
「9800円払えば、おまけで81個もらえます」
「おまけって何かね!?」
「50日ログインボーナスで20個もらえたりします」
「だから何の話をしている!!」
「そして、石3個をポーンと投げると」
キュイイイイイインンン…………
「あ、こら!勝手に凍結した召喚システムを……!!」
「偶に麻婆が出ます」
「何で!」
「ふむ、頂いても?」
「どうぞ」
「言峰くんぅ!?」
「ハフッ!ハフッ!ハフッ……!!これは、なんたる美味!!麻婆自体の素材の味だけではない!数多の戦士達の嘆き、慟哭が聞こえる!!『これじゃないコレジャナイ』『後一回、後一回だけ回したら終わりだから…………』『呼符で来ました……?死ね』。まさしく愉悦の極致ともいえる味…………んむぅっ、んぐっ……はぁ――――…………礼を言おう少年、まさかこんな雪山でこれほどの麻婆に出会えるとは」
「い、一体、どうしたというのだね……言峰君……………………しかし、コヤンスカヤ君、さっきから妙に私達から距離を取っていないかね?具体的にはこのカルデアの一般マスターから」
「あらやだ、閣下ってば、世界を滅ぼしたいんですか?」
「なんで!?」
受肉している娘達、帰れねーじゃんという原作破壊もいい所で書いた今回の前日譚、はい。大人しく乳王の執筆に戻りま――す。え、続かんよ?