※この作品はR-18です。

おいでよ カルデアの森   作:一火

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誤字報告、感想、評価、いつも感謝で御座います。
前書き、後書きのダイジェスト方式で片付けると言っておきながら筆がノッたので本編として書かせて頂きました。
拙者、少年誌バトル漫画で新登場の幹部クラスが雑魚敵を蹴散らしながら、並んで登場するのが好き侍(ジャンプ脳)。








――世界一有名な顧問探偵は語る。

「さて、私は古参というわけではないが……。このカルデアにおいて『人類悪』というワードは非常に縁があるものだと感じている」

「カルデアの医療部門のトップであったロマニ・アーキマンのかつての体……ソロモン王の体に巣くっていた自立型魔術式、『憐憫』の獣ゲーティア」

「第七特異点、バビロニア修復中に立ち塞がった原初の母、『回帰』の獣ティアマト」

「カルデアの予算の資金源でもある海洋油田基地セラフィックスのセラピストだった筈が何の因果か魔神柱によってビーストの蛹として羽化してしまった究極の自己愛の化身、『愛欲』の獣殺生院キアラ。まぁ、これは記録も残っておらず、ある者からの話の又聞きに過ぎないが」

「さらには何食わぬ顔でこのカルデアでの生活を楽しんでいる『比較』の……。いや、この場で語るのは相応しくないか……。彼がマスターを同類として最初から受け入れていたという話は気になる所だがね」

「そして、ビースト0、元人類最後のマスター、『親愛』の獣デアー。純正な人類悪というよりはサーヴァント達の宝具によって軌道修正された人工的な人類悪とでも言うべきか……」

「悪くはない手だろう。0の数字が示すように存在せざる人類悪に彼がなったのは。天然の人類悪よりはよっぽどね……。もし、彼等の宝具が無かったのなら、彼が何に成るかは私にも想像がつかない。『性愛』か『共感』かはたまた……」

「どちらにせよ、このカルデアにおける人理修復の所業が彼を人類悪にしてしまったというのなら――」

「あぁ――『Call Dear』という宝具は何とも皮肉が聞いている」






カルデアーズ (第2部 1章)

 あるヤガの村。

 

 そこに黒衣の集団。皇帝の忠実なる僕。夢見る群体。殺戮猟兵が集まっていた。

 周囲を包む空気から只事ではない事がわかる。そもそもオプリチニキが出張って、良い事が起きたなど一度も無い。

 その眼には慈悲は無く。目の前で固まっているヤガ達へと向けられている。

 

「貴様達は偉大なる皇帝(ツァーリ)に仇なす叛逆軍に与している罪がある。然るべき罰を与えにきた」

 

「ま…待ってくれ。俺達の村も見てくれよ。こんな防衛も出来そうになく、最低限の武装しかない奴しかいない村が叛逆軍のように見えるのか。お、俺達はアンタ達にも、もちろん皇帝(ツァーリ)にも逆らうつもりは……」

 

()()()()()()()()()()()。それは皇帝(ツァーリ)に叛逆の意ありと十分に見れる理由となる」

 

「なっ!!」

 

 それだけで、それだけの理由でこいつらはわざわざ、軍勢を率いて自分達を殺しにきたのか――。

 寒さではなく、恐怖でヤガ達は震える。目の前のこの死神達はもう自分達を殺す以外の選択肢を用意していないと。もうコイツらには何を言っても無駄だと。

 

「……俺達ヤガに死ねというのか……」

 

「そうだ。速やかに死ぬべきだ。呪うなら皇帝(ツァーリ)の威光を忘れた自分達の浅ましさを恨め」

 

「な、何が皇帝(ツァーリ)の威光よ!!確かにヤガというこの極寒の地を生きていけるだけの体を与えてもらった恩はあるわ!けど、それから何もしていない!いえ、むしろ私達を追い込んでいるだけじゃない!!」

 

 村のヤガの内の一人。恐らく女性のヤガの一人が耐え切れず、叫んだのをきっかけに堰を切ったかのように不平不満が村中から溢れる。

 

「生きていくだけでも精いっぱいなのに税は減らない。むしろ増える一方だ!!」

「村は餓死で、化け物で、盗賊で、滅んでも皇帝(ツァーリ)は何もしてくれない!!」

「そりゃあ、叛逆軍に期待もする!!彼等はウチの息子を助けてくれた!!」

「ちょっと食糧を彼等に工面しただけだ!!咎められるような事じゃない!」

殺戮猟兵(お前たち)は何をしてる!?皇帝(ツァーリ)の悪口探しでヤガを殺し回ってるだけじゃないか!!」

 

 だが、その抗いの声もチャキ……と鉄の殺意が向けられる音がした途端に水を打ったように静まった。

 

「もはや情状酌量の余地なし。処刑場まで連れて行く慈悲を与える必要も無いだろう。今、ここで、命を差し出せ」

 

「ヒッ……」

 

 誰かの悲鳴が漏れるの合図に。尋常じゃない程の殺戮猟兵が群れを成してヤガ達に迫る。まだ、まだ……増えるのか。ヤガ達の絶望が聞こえる。その数の多さはまるで皇帝(ツァーリ)が未だあいまみえない獣への警戒が現れているようで……。

 

皇帝(ツァーリ)に栄光あれ」

 

「に、逃げッ――」

 

 救いなき蹂躙劇がヤガ達を襲う――。

 

 

 ――ボォォォォオオオオオッッ!!

 

 

 事は無かった。

 この極寒の地には不似合な紅蓮の炎、決して消える事のない復讐の大炎が魔物のように大勢のオプリチニキを飲み込んでいった。

 

 

 

 

「はははははははははは!!ほら、ほら、ほら、ほらぁ!!逃げなさいよ、熱い、熱い、熱いわよぉぉ!!燃えちゃうわよぉ!!あははははははは!!」

 

 踊るように炎の中で悶え消えていくオプリチニキを嘲笑する魔女の声が木霊する。

 手を広げ、旗を振り、群がる黒虫達を炭に変えていく黒き復讐者。

 

「ハッ!つまんない連中。悲鳴も上げなければ、顔もわからない。まるで案山子を焼いている気分だわ」

 

【偽りの聖女。憤怒の復讐者――ジャンヌ・ダルク・オルタ。得意プレイ:誘い受け】

 

 

 

「やっぱ火はいいのう!伊勢長島を思い出すわい!!ふははははははは!!」

 

 その復讐者とはまた別の笑い声が聞こえると同時に巨大な骸骨の拳がオプリチニキをまとめて粉砕していく。

 謎ウエポンを弾き、衝撃波を飛ばす。さらにそのリズムに応じて拳の連打を叩き込む骸骨スタンド。生身炎上中の赤ビキニの水着美少女。

 

「冥土の土産に、わしの能楽ロックを聴いていくがいい!!さぁ、万炎の拍手をおくれ、露西亜のボケども」

 

【革新の覇者。第六天魔王――織田信長。得意プレイ:わびさびセックス】

 

 

 

「首置いてけ!なあ!大将首だ!大将首だろう!?なぁ、大将首だろ貴様!?」

 

「なんだ……貴様ら……ガッッ」

 

 ヤガの遠吠えよりも凶暴で攻撃的な雄叫びを上げ、一人の武将が殺戮猟兵の群れへ吶喊し、突貫する。跳び、跳ね、駆けて、刃を振るう。執拗に首を狙い、オプリチニキの命を一刀の元、伏せていく。その速さ、まさに狂犬に相応しい。

 

「いや……大将首とか無いじゃろ、こやつらに。全員同じ顔だもん」

 

「おい!ふざけるな貴様ら!消えるな!!塵になるな!!首!!首を置いてけ!!首手柄立てなければ主殿に顔向けができぬ!!」

 

【ブレーキの壊れた忠犬。九郎判官義経――牛若丸。得意プレイ:わんわんプレイ】

 

 

「一体、なんなんだ……」

「彼等は一体……叛逆軍か?」

「どいつも尋常じゃない強さだぞ。あのオプリチニキが……まるで赤子だ」

 

皇帝(ツァーリ)に仇なす異邦の怪物達。カルデア……そうか、貴様達がその不敬者の集まりか……」

 

「おい……何だあれ……?」

「ジャヴォルトローンだ!!オプリチニキの奴ら、あんなのまで手懐けてやがったのか!!」

「おい、アンタ達!!早く逃げろ!!」

 

 ジャヴォルトローンと呼ばれる禍々しい黒皮を持つ多頭の大蛇が舌を鳴らして、現れた。村一つを平気で潰す化け物。破壊力に関しては殺戮猟兵よりも遥かに上だろう。

 

「首!首!首ィ!首がたくさん!!」

 

「ハウスじゃ源氏の悪童。せっかく、わしらの大将がいるんじゃ、トリは譲ってやらんとな」

 

「爬虫類相手なんて、役不足もいい所ですが」

 

 牛若丸、信長、邪ンヌの3人が軽口を挟みながら、視線を向ける先に長い黒髪の男が現れた。白い文字で『炬燵触手』と書かれた黒ジャージを着る男は話から察するに彼女達の頭なのだろうとヤガ達は推測した。

 

 

「お前の首はいらん。奇奇神酒(素材)だけ置いてけ」

 

 

 血走った目で獲物を食い殺そうと襲いかかる大蛇を前に彼は気圧される事なく宝具を発動させる。

 

 それは英霊となった彼がもつ『模倣宝具』のさらにもう一ステージ上へと行く宝具。

 

 例えば、ウェイトトレーニングでも目標とする体型のイメージがあるのとないのでは結果は明らかに異なる。

 思い込みの力は、心に、果てには体にまで影響を及ぼす。

 思いが実現する事など、不可能だという前提を捨て去れ。リアルに思い描く事は実現する。

 

 この宝具はつまり、なりきり遊びを極めに極めてしまった成れの果て。人類悪となった彼の第二宝具。その名は――。

 

「『()()()()』……原型(モデル)――」

 

 ――イメージするのは常に最高の彼等だ。

 

「『土方 歳三』」

 

 ――ゴォォォッ!!

 

 英霊の力を身に降ろすその技はまるで別世界の魔法少女達が使う夢幻召喚(インストール)のようで。

 彼の服装が変わる。黒の羽織を纏い、その下には軍服。腰には刀に、拳銃と長銃の二丁の銃。

 その格好は間違いなくカルデアに登録されている土方歳三の姿と酷似していた。

 

 

「親愛の旗は不滅だ……。斬れ……進め……斬れ!進め!斬れ!!進めェッ!!」

 

 

 瞳から白炎が燃え盛り、鬼の副長の如く獰猛に笑い……そして吠えた。

 足場が悪い状態など気にする事なく、土方歳三の力を自身の体に具現化した彼はロケットのように飛び出し、ジャヴォルトローンと肉薄する。

 

「アンタ達は一体……」

 

 ヤガの漏れ出た疑問に答えるように彼は叫ぶ。

 

「ここが!!」

 

 一刀――。刀が振り下ろされ、大蛇が縦に真っ二つになる。

 

「俺達が!!」

 

 二刀――。続けて斬りあげ。無惨に刻まれる大蛇の体。日本刀で斬ったとは思えない斬撃の太さ。

 

カルデア(Call Dear)だぁあああああ!!!」

 

 トドメに長銃を構え、放つ。鉛玉のレベルを……いや、大砲すら超える衝撃と轟音。

 

 目の前には木端みじんとなり、辛うじて残っている蛇の残骸モドキしか無かった。

 

【ビースト0、親愛の獣。一夫多妻の擬人化――デアー。得意プレイ:色々】

 

 

 

「ジャンヌ・ダルクに、織田信長に、源義経。終いには土方歳三って漂流者なのか、廃棄物なのかぐだぐだじゃのう……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前達、恥ずかしくないのか子孫に」

 

 先程助けたヤガの村。比較的、大勢が入れる大きな建物の中で織田信長は言葉を吐く。

 

「恥ずかしくないのか祖先に」

 

 普段はおちゃらけていようともそこは第六天魔王。かつて天下目前まで至った王としてのカリスマを見せて演説をする。

 

「このまま喰われる側で、搾取される側でいいのか。その堅固な皮はただの布きれか。その強靭な爪はただの飾りか。ヤガ……今のお前達のどこが強者か」

 

 他者を駆り立て、奮い立たせ、煽り立てる乱世の風雲児、織田信長。彼女の言葉は間違いなくヤガ達の心に突き刺さっていた。

 

「這うて、悔いて、死ぬか。疾って、夢見て、死ぬか。どちらにする!?決めろ!!」

 

 

「は、恥ずかしくないワケないだろ……ッ!」

「喰われる側で……搾取される側でいいわけないだろ!!」

「飾りじゃねぇ……!俺達の爪は飾りじゃねぇんだ!!」

 

 

「であるか。ならば皆で(異聞帯)盗りじゃ」

 

 この極寒の地で暴政に耐え忍んでいたヤガ達は拳を振り上げ叫ぶ。

 そこには今までどっちつかずの道を進んでいた半端者の姿はなく、生きる為に戦う道を選んだ戦士達の顔があった。

 

 声を上げるヤガ達に満足そうに信長は頷く。

 

「あなた、本当にイヤな女ね。そら、反逆もされるわ」

 

「やかましい!……それよりもマスター。他のチームとの連絡は取れておるのか?」

 

「モチのロン」

 

 楽しげにマスターはスマホを4台取り出す。もちろん契約プランは家族割りです。

 この『異聞帯滅ぼしワクワク白王チーム』以外に各地で活動を続けているカルデアのチームは4つ。

 

 

『あ――先輩、聞こえてますか?こちら、矛盾チーム。ベオウルフさんとビリーが率いている叛逆軍と合流。「女は弱いから仲間にする必要は無い」とかおっしゃるあちらの部下の方達を納得させる為に武蔵さんと私でみねうちオーバーキルをしました。このオルテナウス装備はいいですね!!いつでも先輩との思い出をVR視点で再生出来るので、士気がグングン上がります!オーバー』

 

「うん、戦闘中はあまり使わないようにね」

 

 オルテナウス装備で新たなスキル『自家発電(VR)』を得たマシュ&武蔵コンビの『矛盾チーム』。

 

 

 

『こちらサンタさんチームだ、トナカイ。スキル『聖者の贈り物』で村々に食糧をプレゼントフォーユーをしていくメリークリスマス作戦は順調。私チョイスのハンバーガーシリーズは好評だった。ちなみにヤガ達の毛を刈ろうとバリカン片手に追い回していた3代目サンタはドツいておいたぞ。オーバー』

 

「いつもありがとう。常識枠のサンタ・オルタさん。あんまりおイタするなら『触手炬燵ワンマンプレイの刑だぞ』ってアルテラには伝えておいて」

 

 サンタオルタ、ジャンヌ・ダルク・オルタ・サンタ・リリィ、アルテラの『サンタチーム』。

 

 

 

『ハ――イ。プロデューサー。こちらアイドルチーム。なんか、オシャンティなお面を被ったサーヴァントが仲間になったわ。『サリエリ』とか語尾に私の名前を付けてるから、私のファンで間違いないわね。フフ、こんな田舎でも熱狂的なおっかけが出来てしまう自分の魅力が怖い!怖いわ!!引き続き、歌での慰安活動を行っていくわ……。後、彼ピアノが得意みたい。バックミュージシャン付きってのも悪くないわね!オーバー』

 

「致命的な誤解がありそうな気がするけど、面白そうだからスルーしとく」

 

 絶望音痴はそのままに、可愛いボイスに極振りにしたネロの電波中毒ボイスと、マスターの白色エナドリで音痴を回復したエリちゃんの正統派ボイスによるデュエット。『アイドルは止めらんないチーム』。

 

 

 

『もしもしダーリン。こちら炬燵同好会チームよ。アヴィ先生のゴーレム素材集めに奔走中。各地の村の防衛に十分な素材がそろそろ集まりそうよ。ちょっとモンハン気分だわ。あ、それと炬燵ドリフトし過ぎて、おっきーがゲロンパしてしまった写真もLINEに送っておいたから確認お願いね。大丈夫よ、ちゃんと致命的な所はキラキラエフェクトで誤魔化して『アナちゃああああああんん!?何してんのかなぁ!!?』

 

「大丈夫。ゲロインな姫でも俺は大好きだよ」

 

 炬燵プレイによる大乱交セックスシスターズから小休止していた所、再びアナスタシアの『シュヴィブジックA』によって射出された不憫姫とインスタ皇女の『炬燵同好会チーム』。

 

 

「ふふ、皆、順調のようで何よりだよ」

 

「いや、何人か色んな意味で心配な奴らがおったのじゃが」

 

「なーんかこの異聞帯で一番真面目に仕事してるのわしな気がするんじゃが――」とノッブがギャグチックな面でリアクションをしているのを傍目にマスターは……人類悪デアーはモスクワへと歩を進める準備をする。

 盗賊をボコり、魔獣を屠り、オプリチニキを殲滅し……そして、各地のヤガ達を助け、食糧を与え、鼓舞する。今の現状に少しでも不満を持っている者達を立ち上がらせる勇気を与える。

 

「このようなまどろこっしい事をせずとも。主殿が命じてくれれば、今すぐにでもクリプターなる狼藉者共の首を持ってきますが」

 

「何よ、あなた。アイツの忠犬名乗ってるわりにはそんな事もわかってないワケ?」

 

 単独顕現を持っているデアーにとってはここで悠長に準備をせずともモスクワに現れる事は出来るだろうし、その気になれば、今からでもカドックの背後に現れてその命を掻き取る事だって出来る筈だ。だが、彼はそれをしない。絶対にしない。

 

「『本気で遊ぶけど、全力では滅ぼさない』。アイツの言葉はそうね……。結果だけを求めるなら、ただ単に機械のようにクリプターとか異星の神様を淡々と滅ぼして、この話はお し ま い。けど、そんなのに一体何の意味があるのかしら?味気ない過程と2、3行で終わりそうな結末が私達に何をもたらしてくれるのかしら?」

 

 邪ンヌは馬鹿にしたかのように口元を歪ませて、牛若丸の方に視線を送る。

 そうだ。十分な戦力も既にある。ヤガ達を扇動する必要も、叛逆軍達と合流する必要も、アタランテ・オルタ、ベオウルフ、ビリーと肩を並べる必要も、この地でアヴィケブロンを召喚する必要も無い。

 

 彼が……「彼等(ヤガ)には俺みたいな化け物に突然何もかも助けられるんじゃなくて、自分達の足で立ち、理不尽に立ち向かい、戦ったという経験を一度でもいいから持って欲しい。いつか絶対()()()でそれが糧になる時が来るだろうから」と異聞帯で漏らしていたのを邪ンヌは聞いていた。

 

()()()()()。そういった……余分こそをマスターがいつも持ってて、人生とコイツら狗もどきに一番必要なものよ。だってねぇ?妻を何人も作るような奴よ?普通の観点から考えるとそれこそ余分極まりないないでしょう?…………でも、無駄だから、不必要だから……そんな理由で切り捨てる事をマスターがしない事はてっきり知ってるものだと思ってましたけど……。って何よノブナガ、その顔」

 

「すまん。今までおぬしをただのチョロインおっぱいアヴェンジャーかと思ってたが、マスターの事、よくわかっておったのじゃな……。結構、考えてて、わしびっくり」

 

「燃やしていい?」

 

「焼き打ちは二回でのーさんきゅー!!」

 

「さすがは主殿からのお仕置きを一番自然に受ける事が出来るチャンピオンの称号を持つ女……悔しいですが、主殿への理解度はまだ、私は敵わないというわけですか……」

 

「不名誉極まりないわね!!初耳よ!!」

 

 悔しそうにかつ羨ましそうに下唇を噛む牛若丸に邪ンヌは心外そうに吠えた。この様子を見ると先程、一騎当千ぶりの戦いを魅せた英雄とは別人のようにヤガ達には見えた。話している事は半分も理解出来ないし、今の所は彼女達がとんでもなく強いということしかわからない。

 

 ただ、いつも世界に怯えていた震えは止まってくれてた気がした。

 

 

「旧種のお兄ちゃん――。あそこのお姉ちゃん達、皆お兄ちゃんのお嫁さんなの?」

 

「こら、お前。デアーさんに失礼だぞ……」

 

 子供のヤガが無垢な瞳でマスターに語り掛けていた。大人のヤガは心配そうにそれを咎めていたが。

 

「あぁ。嬉しい事にね」

 

「けど、お嫁さんは一人しかもっちゃ駄目なんだよ?そういう決まりがあって、捕まっちゃうんだよ?旧種のお兄ちゃんってもしかして悪い人?」

 

「おぉ、よく気付いたね。お兄ちゃんはその悪の極み。とんでもなく悪い人なんだぞ――良い子も悪い子も皆食べちゃうぞ――、がお――」

 

「きゃ――」

 

 子供のヤガは笑いながら楽し気にマスターから逃げる。

 子供達と人類悪がじゃれつく様子を後で合流していたアタランテ・オルタは微笑ましそうにその光景を見ていた。一瞬、自分と似た顔した緑髪の女の子が視界に映ったような気がしたが、気のせいだろう。

 

 

 準備を終えた人類悪は呟く。

 

「さて、そんじゃまぁ、この異聞帯を()()に行こうか」

 

 

 

 

 




《ヤガモスクワ。皇帝(ツァーリ)の城にて》

「来ているわね、こちらに」

「あぁ……」

「各地のヤガ達も一斉に蜂起しているようよ」

「道理でオプリチニキ共が騒がしいと思った」

皇帝(ツァーリ)が今すぐにでも起きてしまうかもしれないわね」

「その方がいいかもな。対抗する手段はもう、あの王さまを利用するしかない。でマカリーあんたはどうするんだ?」

「もう、その名も相応しくないのだがね……」

「?」

「いや。勿論、見守らせていただく。人理焼却によって目覚め、人理漂白によって覚醒した新たなる生命の祝福をしながらね」

「そうかい……。あぁ、まったくクソ、胃が痛い……」




《シャドウボーダーにて》

「ほう、ほう、ほう!! 素晴らしい! 素晴らしいじゃないか! カルデアという組織は! この私が目を付けていただけの事はある!! 困難なサーヴァント召喚をこんなに複数!しかも、マスターと離れても長時間活動出来る程の燃費の良さとは!! うむ、うむ! もう、あのマスターが人類悪だとなんとかは私のただの聞き間違いだろう! きっとあ奴は『ジーンルゥ・アーク』という名前か何かだろう! 都合の悪い情報は出来る限りカット! それが長生きの秘訣!!」

「ゴルドルフ司令官、一つ誤解を解くと、我々カルデアがこのロシアの地で召喚したのはアヴィケブロン氏、只一人ですよ」

「え? いやいや、何をおっしゃってるのかねホームズ君? だったら、各地で好き放題しているハンガリー家のドラゴン娘とか、ロシアの皇女とか、ジャパニーズの侍とか、何故かサンタの格好をしているアーサー王とか彼女達の姿が説明つかんでしょう?」

「ふむ、そもそもの話。彼女達をサーヴァントと評するのはあまり正しくない。彼女達が何人も何人も呼び出しに応え、カルデアの魔力供給を気にせず戦えるのはデアー君の宝具の力もあるのだが……」

「宝具……?」

「その宝具については……今はまだ語るべき時ではない(いつもの)だろうね!」

「腹が立つ笑顔!!」















『模倣英霊』
ランク:EX
種別:対人宝具(自身)
使用者:ビースト0/デアー

蟷螂拳!熊掌拳!猿拳!え…………………ッッ英霊……………………――――――拳ンン!!?
限りなくリアルに近いイメージは実現する。別名エア英霊。
傍から見ればプリズマ世界線における『夢幻召喚(インストール)』と変わらないが原理は全く異なる物。縁を結んだ英霊の力をイメージし、この身に再現する……。服装まで変わるのはおかしいという野暮なツッコミをしてはいけない。
「え?そんな宝具を使わなくても『白式官能』を使えば、もっと楽に手っ取り早く敵を倒せる、むしろ弱体化してるでしょって?…………はぁ――。浪漫が足りないね。
世に出ている魔法少女、戦隊ヒーロー、仮面ライダー、ロボットものにどうして人々が惹かれるのかわかるかい?効率化のみを追及しただけじゃ絶対に辿り着けないカッコ良さがあるからだよ!!この余分こそが文化の神髄!!変身!必殺技!最高じゃないか!!メカメカしいギミックがあるとなお良し!!」とは本人の言。




英霊:グダお

第一宝具:『百式官能』
第二宝具:『模倣(まねっこ)宝具』
第三宝具:『人繋ぎの大秘宝庫(マテリアルボックス)
第四宝具:『性神と妻達の部屋(アダム&イブズ)
第五宝具:『這い寄る絶望(リョグダコ・ポテプ)
第六宝具:『この世全ての精(ファビアナ・スペルマ)
第七宝具:『Call Dear(親愛なる 貴方へ)




人類悪:デアー

第一宝具:『白式官能』
第二宝具:『模倣英霊』
第三宝具:――
第四宝具:――
第五宝具:――
第六宝具:――
第七宝具:――












第二部 1章は3話完結予定。サクサクいくよ――。


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