カルデアコレクションにて、スペース・イシュタル、カラミティ・ジェーン更新。
スペース・イシュタルのヒロイン力高過ぎない? 最初はドスケベ目当てでジェーンだけ引くつもりだったのに……あんなの見せられちゃったら本気出すしかないじゃない……! やっぱ、きのこのシナリオは最高やなって(モグモグ)。マイルーム性能も高くて一粒で三度美味しいイシュタりんを優雅にすこれ。ジェーンのおっぱいでシコれ。アニメでもノッてますし……来てますよ、遠坂の時代が!
本編とは関係ないおまけ。
「ブリュンヒルデの薄い本が少な過ぎるぞぉ──!」
そう、ブリュンヒルデの成人指定本は片手で数える程しかない……。
「誰か……誰か書いてくれ……」
もう、お分かりだろう!! ブリュンヒルデの薄い本が少なすぎるのである!
「早く!! 書いてくれ──!! セミラミス本を! クレオパトラ本を──!! 誰か──!!」
そう!! キャラ人気に対して書く作家が少なすぎるのである!!
「おかしい……これは、何かがおかしいぞ……」
「え?」
「ブリュンヒルデは英霊正装、チア礼装でも発覚したエチエチなボディと色気。愛した者に殺意を向けるヤンデレでニッチな需要にも応えれるかつCV能登だ。蒼銀のフラグメンツでビジュアルが公開されてから既に3年以上も経っている」
「え!! そんなに長く!?」
「うむ、彼女だけに限らず、アポクリファで敵方のヒロインとしてブイブイ言わせた女帝キャラであるセミラミスもCV釘宮という約束された勝利の声を持つ黄金比のダイナマイトボディを持つクレオパトラも決してポッと出のキャラクターではない! そんな彼女達が薄い本で裸体を晒そうものならマスター達は1分以内には股間のロンゴミニアドを抜錨していると言われる」
「だが! 彼女達の後に実装され、同じようにパートナーがいる巴御前やブラダマンテ、パイセンの方が薄い本が圧倒的に多い! 彼女達の魅力は良くわかる、なのにブリュンヒルデ達の方はエロのサイレンすら聞こえないとは……これは絶対におかしい……何かがあったに違いない」
「一体、何が……」
そう、もうお分かりだろう。
書きづらいのである!! 既にパートナー側が実装され、ビジュアルがハッキリしているキャラの薄い本は書きづらいのである!
「何でよ! 私だって項羽様がいるじゃない!」
そう! ぐっさんパイセンはSINからの即ガチャ実装&閻魔亭ギャグ堕ち、さらには幕間でのクソ雑魚マスターっぷりというネタキャラ化で手を出すのにはあまり罪悪感が無いのである! 人妻チックな真祖エロボディからの先輩マウントの体だけの関係よ的なドライムーブで後輩とのエロが書きやすいのである!
ぶっちゃけ、項羽とのエロを書くには作画コストがかかり過ぎるのである!
「何でよ! 書きなさいよ!」
身も蓋も無い話をすれば抜くだけが目的なら竿側の方は没個性の方がいいんだよね。でも当作品の主人公、もう没個性とか言えねぇなコレ。
「あ、お帰りなさい! オルタお姉さん」
「お疲れ、後ろにいるのはお客さん?」
「えぇ、一応
気を利かせたマスターから水をもらい、病室にいるマスターとアリスそしてつい先程彼の宝具によって北欧異聞帯にやってきたマシュ・キリエライトに、邪ンヌは後ろにいるオリジナルのブリュンヒルデも含めて事の経緯を話した。
▲▲▲
「ブリュンヒルデお姉様! その女とここで何をしているのですか……?」
「ナニってそんな乙女の口からそのような事、困ります……」
「恥ずかしがる所、他にもあるでしょぉぉ……私の上から降りなさいよっ!」
「その前に服を着て下さい。私と同じ顔なのですから……」
「ワルキューレ、オルトリンデ……その女などと冷たく言うものではありません。この人は私にとって大事なお姉様。貴女にとってもお姉様と言えるのですよ」
「つまり大お姉様?」
「違う」
「確かにお姉様は私の創造主とも言えますので……姉妹という括りは正しくなかった……?」
「つまり汎人類史の
「だから違う」
▲▲▲
「号泣したと思ったら、ワケの分からない事を宣うわで地獄だったわよ」
「つまり修羅場だったと」
「ロマンスですね」
「黒い聖女様の周りにはいつも百合の花が咲いているのだわ」
「お花? オルタお姉さんの周りには何も咲いてないわよアリス」
「おーけー。愚痴を吐く相手を間違ったわ」
マスター、マシュ、アリス、そしてちょっとズレているゲルダの反応に少しだけ目頭が熱くなった邪ンヌだった。あの場に現れたオルトリンデも槍を構えてNice boat.一歩手前だったが虚空に何か語り掛けたかと思ったら、名残惜しそうに邪ンヌ達に涙で濡れた瞳を向けて、その場を去っていった。彼女達の王からワルキューレ全体に通達されたのだろう一度、城へと帰還するように。
今の彼等が知る由も無いが北欧中に降り注ぐ雪は全て女王スカディの魔力によって産み出されたもの。目であり、耳であり、口である。マスターとかブリュンヒルデ・オルタが全裸でハッスルしているのももちろん把握済みである。
「多分、ここの異聞帯の王様じゃないかな。こっちでもいきなり何も無い所から話しかけられたし」
「そういえば、クリプターとか何とかが襲ってきたんでしょ。ちゃんと殺してきたの?」
「物騒な。あっちのサーヴァントとは戦ったし、ワルキューレ達にはしばらく再起不能になってもらったけど、クリプターの方には何も手は出してないよ」
手は出してないけど、ナニは出しました。
「マシュに会いたがってたみたいしだし、本当はここに連れてきたかったんだけど……。彼女が連れていた二騎のサーヴァントの内片方、セイバーの方がね……あれは多分話し合いとか懐柔とかは無理な手合いかな。ここに連れてきて無用な騒ぎは絶対に起こしたくないし」
マスターが思い返すのは徹頭徹尾こちらに殺意を向けていた仮面の剣士。魔剣グラムでセイバーだから十中八九シグルドだろうが……英霊にしては妙な違和感を彼は感じていた。異聞帯の英霊だからこちらの常識で測れないという話では納得できない小さな違和感が。
そんな一抹の不安を懐妊しているロリ妻の前で出すつもりは全くもって無い彼は表情には出さず、アリスの膨らんだお腹を慈しみを込めて撫でていた。
メルトリリスは戦闘が終わった後にこの場に来るつもりは無かったのか、何処へと姿を消した。きっとまたおいしい所で姿を現すだろう。
▲▲▲
──只の正当防衛……その言葉は信ずるに値しよう。手を抜いていたわけではなかろうが、殺す気は感じられなかった。異邦の獣よ、哀れな北欧の子を救ってくれたお前と言葉を交わしたいというのは私も同じ気持ちである。
「いや普通に魔剣使いの首へし折ろうとしてたぞコイツ」
ナポレオンの至極まともなツッコミも些事としてスカディはスルー。
──これ以上、ここでの死闘は認めぬ。オフェリアもカルデアなる所に友がいると聞く。その者を連れて、我が城へと来るがいい。どうあれこの世界で生きとし生ける全ての者を愛すると私は決めているからな……。だが我が居城で服を脱ぐ事は許さん。うん、あれは……駄目だ、その……眼に毒過ぎる。
それはフリなのかな? とデアーは真剣に悩んだ。
▲▲▲
「それで行くの? ノコノコと敵の本拠地に? まぁ、分かってて行くんでしょうねアンタは」
「ならば私も同行させて下さい……カルデアのマスター、話を聞く限り、彼は間違いなく
散歩に行くような気軽さで敵地の総本山へ向かおうとするマスターに呆れる邪ンヌ、そして異聞帯のシグルドらしきサーヴァントがいるという情報に愛憎混じった炎を燃え上がらせるオリジナルのブリュンヒルデ。
件の場所はここから北西に数km行った所にあるとされる氷の城。
所在の確認はクリプターの襲撃を発見した時と同様、セミラミスの使い魔の鳩から報告を受けている。もうターキーになるのは御免なので婦長が目を光らせる病棟には近づかないようにしているようだが。
「そこにオフェリアさんもいるのですか……」
「うん。しきりにマシュの事を気にしていたし、友達なんでしょ?」
「…………どうでしょうか。何度か食事を共にした事はありましたが、あの頃の私はまだ他人との距離を測りかねていました。察しの良いオフェリアさんも必要以上に踏み込んではきませんでしたし、友達? というにはお互いぎこちなかった気もします」
「恋人や夫婦と違って友達って必ずしも明確な契機があるわけでもないし、そこは気にしなくてもいいと思うよ。気付いたらなってたってもんだし」
オフェリア・ファムルソローネ。同じAチームとしてマシュを一人の人間として接しようとしていた数少ない
「お互いに相手の事を気にしているのならまずは話してみよう。目と目が合ったらサーヴァントバトル! なんて物騒な事言わないでさ。マシュと彼女ならきっとなれるよ、俺と
「アンタの場合、フレンドの枕詞セックスがつくでしょ」
「…………私とオフェリアさんも肉体関係を持つべきという事でしょうか!」
「泣くわよ、そのクリプター」
「ですが私には先輩と心に決めた人がいます。…………! つまり、私とオフェリアさんまとめて先輩に召し上がっていただければ万事解決では!?」
「だれか──。ツッコミ役かわって──」
仕事の比重が自分に偏っている現状に天を仰ぎたくなった邪ンヌだったが、これからの方針はとりあえず決まったらしい。この北欧を統べる異聞帯の王がいる城へ向かう。向かうメンバーはマスター、マシュは当然として、邪ンヌにブリュンヒルデ・オルタ、そしてオリジナルのブリュンヒルデの計5人。
十中八九姿が見えない空想樹の在処も知っているだろう。対話で済むか戦いになるかは出た所勝負になってしまいそうだが。
「あんまり大人数で長居するとフローレンスの
「また、デアーお兄さんは出かけてしまうの? アリスの傍にはいられないのかしら……?」
腰を上げたマスターにゲルダがそう問いかけた。その言葉はアリスを気遣ってのものだった。彼がシグルドやナポレオン達と戦っている間に二人は随分と仲良くなったらしい。アリスの枕元に転がっている何冊の絵本がそれを物語っている。未だ、親子や夫婦という言葉を完璧に理解したワケではないが、それでも新たな生命をお腹に宿しているアリスの近くに彼がいるのが相応しい形なのでは、と幼いながらも考えていたようだ。
「大丈夫。出かけるけど、ここにずっといるから」
「? ……んーと? 謎かけ? お兄さんの言葉は時々難しいわ。でもここにいてくれるって事でいいのね!」
「ふふ、心配してくれてありがとうゲルダ。でも問題無いのだわ。私の旦那様は素敵な魔法が使えるの! 不可能なんて何も無いんだから……!」
「はいはい、あんまり大きい声出さない。お腹の子と体に響いちゃうでしょ」
単独行動ではなく、彼が愛する者と行動を共にし、それを性交と認識すれば異なる場所に同一体として存在する事が出来るお前のセックスの概念ガバガバじゃねぇかと言わざるを得ない宝具『
えへんと誇らしげに伴侶を自慢するアリス。何だかわからないけど凄いのねと感嘆するゲルダ。少女達の微笑ましい光景につい周囲の頬も緩んでしまう。「私も早く懐妊して先輩に体を心配されたいです。多分お腹撫でられただけでイくと思います。メディア・リリィさんに胎児を保護する魔術を頼めば出産までエブリデイボテ腹ックスも出来ますし、やっぱり今しか出来ない事で先輩との人生を彩らせていきたいですね」というマシュの極小声量の呟きは幸いな事に誰の耳にも入らなかった。
そして、「ふふ、マスターが第一懐妊者と仲睦まじい光景をまるで私の入る余地が無いかのように見せつけてくれます。この蚊帳の外NTR感で十回ぐらいはイケそうですね」というブリュンヒルデ・オルタの呟きは邪ンヌの耳には入ってきたが彼女は聞かなかった事にした。
「ふむ。マスター達は向かったか……」
鋼鉄の馬の中で女帝が優雅に足を組みながらアイスティーを飲んでいた。その眼には使い魔の鳩と視界を同期した事によるマスター達の姿が映っている。
『
だがカルデアスタッフやホームズ、ゴルドルフ司令官等にはそんなふざけたスキルも宝具も存在しないので正規の手段を使って北欧異聞帯にいるわけである。
さらにはアビゲイルがシャドウボーダー内に取り付けてくれた、ここと外宇宙のカルデアを繋げる扉を使えば、人理焼却から欠けていない二十弱のカルデアスタッフ達も全員この狭いボーダー内に収まる必要は無いので環境は至って良好だったりするのだ。
駐車場所も婦長のお膝元という安心安全。10台もの救急車が停まっているここに襲撃をかけようものなら、修羅と化した婦長が300体の『白い貴婦人』達を連れて
病院内にいれば、苦手とする婦長にも絡まれる可能性があるセミラミスはボーダーの司令室から使い魔の鳩達やチョコサーヴァント達を使役していた。…………チョコ、そう。正確に言えば彼女は女帝セミラミスが造り出した自我をもったチョコレート像、通称チョコラミスにマスターがホワイトチョコを注ぎ込みサーヴァントいやそれ以上の存在へと昇華した者である。正確に言ってもよくわからんね。
「番外の人類悪と神代に生きる王、非常に興味深いカードだ。観測出来るこの貴重な経験に感謝をしなければならないね」
コーヒーが入ったカップを口に運び、セミラミス同様司令室の椅子に腰を降ろしているのは人理修復後から、今日までダ・ヴィンチと共にカルデアのサポートに徹していた世界最高の顧問探偵シャーロック・ホームズ。訳知り顔でマスターの戦いを傍観するという発言が癪に障ったのかセミラミスが鋭い視線を向ける。
「気に食わんな……。上から目線でマスターの戦いを裁定するか。全知全能の神気取りか? 探偵如きが」
「英雄王などになったはつもりは無いが。それに全ては知らないとも、私が知ろうとしない限りね。もし彼が特筆すべき秀でた才をもたずそれでも傷つきながら最善を選ぶ一般人だったら私も体を張るのは吝かではないが……」
ホームズの前に映ったモニターには大砲を持つ弓兵と魔剣の剣士を前に大立ち回りするマスターことデアーの録画映像が流されている。
「乞われればもちろん力は貸す、だがこの様子を見る限り戦闘において私の出番は無いだろう。だからこそ我々は適材適所にこうして異聞帯での彼等の旅路を記録し続けている。君が賢しい男が嫌いなのは承知の上だが、そうあまり怖い顔をするものではないと提言するよミス・セミラミス。君の真名を知ったゴルドルフ司令官もボーダーから逃げてしまったからね」
「ふん。有象無象の男共の態度に何故、我が気に掛けなければならん。それにあれには相応の仕事も与えているのだろう?」
別のモニターには『
『ひぃ、ひぃ。おかしい、絶対おかしい! 財産はたいて得たカルデアから私のサクセスストーリーが始まる筈だったのに。何故こんな未開の地で汗水流しながらチョコレート製造機になっているのかね!? あっこら君達! 危ないから火の元に近付くんじゃないよ! 全くもう親の顔が見てみたい!』
ゴルドルフ・ムジーク。人理修復後のカルデアを購入し、次期所長として就く筈だったが知らぬ間には人理は漂白されビジネスパートナーだったコヤンスカヤには放り出されて途方に暮れていた所を何か面白そうだからという理由でマスターに拾われ、カルデア特別司令官とかいうよく分からない役職に任命された幸薄そうな御仁。後、性格は魔術師らしからぬ善人寄り。
「奮闘しているようで何よりですゴルドルフ司令官。きっと得難い経験になるでしょう。剪定事象それも神代の北欧でのフィールドワーク。時計塔を震わすには十分な資料になるかと」
『この状況で一体何を書けというのだね! 世界が漂白された後私は子供達に囲まれながらパティシエになっていましたとか「あぁ、どうやらムジーク家のご子息は頭がイカれちまったそうですね」といよいよ時計塔での私の居場所が無くなると思うのだが! ……はい、だから君達! 人のお腹をポスポスしない! 調理には繊細さが要求されるんだから!』
『うむそうであるな幼子達よ。太っちょの腹を掻っ捌いても夢とか希望とかしか出てこないのだな。それは見るものであって食べるものではないぞ。どうせ食べるなら甘く蕩けるチョコレイトにしておくのだ。毒身は私に任せておくがよいさな。キャットにチョコは基本毒であるが故ワン』
『あぁ、こら駄目よボーイ達、勝手にレディの服を剥がそうとしては。ジャガーの内に秘められた魅惑のボディが気になる気持ちはよーくわかる。でも料理中の女に触るのはもっと何年かしていい男になってからの特権ニャ。とヌルヌル作画でいたいけな少年達の初恋を奪ってしまうジャガーなのであった』
クッキングメンバーは他にも二人いた。肉球フニフニの手足に獣耳のメイドドレス良妻のタマモキャットと、虎の着ぐるみの上から緑のエプロン、こんなんでも神霊です。誰が呼んだかジャガーマン。
何故か当たり前のようにゴルドルフ司令官の隣で集落に住む子供達にスイーツを調理・配膳している。格好も言動も理解不能なサーヴァントが二騎も近くにいる事に顔を青くしながらも調理を続けている辺りゴルドルフの律儀さがわかるが。
『あのね。外に出た私の護衛としてサーヴァントをつけてくれる判断は特別司令官として評価するけれど……も──う少し人選を考えて欲しかったのだが。見知らぬ地でどちらともコミュニケーションが取れないって割と致命的だよ? 何、どっちもバーサーカー?』
「ではボーダー内に戻ってきますか?」
『わかってて言ってるだろう君! 世界最古の暗殺者だぞ! 紀元前の女帝だぞ! 隣にいるだけでストレスで私の体重が絞られてしまうだろうが!』
厳密に言えばセミラミス張本人ではないのだが、そこの詳細を伝えた所で「????」と宇宙の真理を見せられた猫みたいな顔になるだけだろう。
セミラミスの真名を聞いた瞬間に「現地人との交渉で空想樹とやらの情報を華麗に取ってこようではないか!」という建前でボーダー内から飛び出したゴルドルフ司令官は今度はこの異聞帯の住民の栄養不足を危惧した婦長の使い魔『白き貴婦人』達に捕まり、医療従事に勤しんでいる。ゴルドルフの周りには一人当たりに必要なカロリー、栄養分配が詳しく書かれたフリップボードを持つ顔の無い看護師の姿が一つ。
『ん? 作りすぎ? しかし、ここの子供らは瘦せすぎだろう、むしろもっと食べて私のようなガッツあるボデーになった方が逆境に負けない大人に成長すると思うのだがががががが、痛い、痛い、痛い! 髭を! 髭を引っ張らないでくれたまえ! わかりましたよ、余計な事はしません! 全く、この威圧感……実家のホムンクルス達を思い出すよ……!』
「まぁ、異聞帯の住民と友好を深めるのは悪い事じゃないだろうさ……今後の事を考えるとね。何せ私達は人理修復よりも困難で神をも恐れぬ所業、『空想強奪』をこれから行っていくのだから。本当ならそれを実行出来る力を持っているマスター君の事をもっとつまびらかに知りたい所なんだけど……ねぇ、ホームズ、実は何か隠してたりしない?」
ゴルドルフの悲痛な叫びに苦笑いを浮かべて、口を開いたのはレオナルド・ダヴィンチ。モナリザを模した黒髪の絶世の美女にして、カルデアにおける技術局特別名誉顧問。現在はセミラミスの使い魔が視認している北欧中の映像を精査し、空想樹の在処を探している所だった。
「…………ふむ。それはそれとしてダ・ヴィンチ、君はどうしてここにいるのかね。マスターの宝具を使えば、シャドウボーダーを使わずとも浮上出来るのでは?」
「あの子に抱かれてないからだよぉぉぉお! わかってて言ってるだろ君っ!!」
ホームズにしては雑過ぎる話の逸らし方だったが逸らした先の内容がダ・ヴィンチのメンタルにあまりにクリティカルだったので万能の天才たる彼女はついさっきの質問も忘れ、叫んだ。
「ふ、ふふふ、か、体の繋がりだけを重視するのは凡人の悪癖だと思うよ。何せ私の創作物は彼が人類悪となる宝具のリミッターの一つとなっているのだから。もはや私は今のマスター君の根幹に欠かせない要石。肉体関係が早い遅いなんてレベルはとうに過ぎているのさ」
ダ・ヴィンチが自信満々に語っているのはマスターがビースト0/デアー:親愛の獣と化した宝具『
【童話作家 ハンス・クリスチャン・アンデルセン作:『カルデア国物語』】
【劇作家 ウィリアム・シェイクスピア作:『カルデア業物語』】
【天才芸術家 レオナルド・ダ・ヴィンチ作:『カルデア寝物語』】
【月の超級AI BB作:『HBチャンネル』】
【浮世絵師 葛飾北斎作:『官能会之故姦通』】
解除した数によって人類悪としてのスペックも変わっていく。ギリシャでクリプター達に宣戦布告した際もビーストとしては完成形でない。いつか過去か未来かどこかの時間軸でさらに二つの創作物が加わり「おまえ、もしかしてまだ自分が死なないとでも思ってるんじゃないかね?」と100%中の100%になった彼の姿が見れるかもしれない──。
……それはそれとして、自身の作品が現在のマスターと深く結びついているという事実はダ・ヴィンチにとって他の女達のマウントを取る良い材料になっているわけだが。
「では加えて肉体関係も持っているあの謎のAIとオウイ・カツシカが最も彼の心を射止めているという結論でいいのかね?」
「その理論に従えば貴様はマスターにとってあの減らず口の作家共と同列という事になるが」
探偵と女帝、何気ない二人の二言が天才芸術家の心を傷付けた。
「そもそもマスターとの付き合いの長さはマシュと同様。にも関わらずそのアドバンテージを生かせぬまま、ここまで来てしまった体たらく。それで絆がどうこう甘ったるい事を言われてもな」
「そう辛辣に語るものではないよ、アッシリアの女帝。今回はその親睦の長さが仇となってしまったのさ、いやそれにあぐらをかいてしまったと言うべきかな。『どんなに女が増えようとも、一番彼の事を理解しているのはカルデアに初めて来た時からずっと見守ってきたこの私』だと根拠なき自信でここまで来てしまっただから。別に悪を犯しているワケでもなし、それこそ糾弾ではなく温かく見守ってやろうじゃないか」
「フン、それで自分の半分の人生すら生きていない娘に先を越されたワケか。マシュが抱かれたと知った時にさっさと行動を起こせばよいものを……。下手に年を取ると体は鈍くなるからな、おぉ怖い怖い。その点、我は安心だな、生まれて間もないまだピチピチがゆえ……フハハハハハ!」
「お前らぶっ殺してやる!!」
キャラ崩壊した万能の天才がついにキレた。
「ハッ、やってみるがいい、キャスタークラスだから優位を取れると思ったか戯けが。『
「上等だコラ。こっちにも秘蔵のライダークラスのロリボディが用意してあんだよ、キャスターになってもカモじゃボケぇぇ!!」
「さすがにボーダー内で戦り合うのは勘弁して欲しい所だが……まずはこの良い香りがする薬でも吸って落ち着く所から始めないかね?」
『…………』
通信先から聞こえる醜い争いの音にゴルドルフの顔はどんどん青くなる。もしかしなくても自分は転職先を間違えたのではないのかと。哀愁漂うその肩にポンポンと二つの手が置かれる。
イカれているが人類最後のマスターだけだったならまだマシだったかもしれない。たちが悪いのはカルデア自体ももう十分彼によって毒されているという事。おぉ、まさしく人類種の癌。
──カルデアにようこそニャ、ここはアットホームな職場だワン。
ゴルドルフは考えるのをやめた。
狭き集落、この世界で生きる子供達は何も知らない。知らぬ人間、見知らぬ物、それを目にしようとも今日も今日とていつもと変わらない日常が回り続けるだろうと。神に願い、戦乙女に縋り、ヴァルハラを夢見て眠りにつく。そんな当たり前とされた明日を疑う事は無い。
大地が突然消失すると恐れる者はいない。けれど世界がいつも通りこれからも在り続ける保証は誰にも出来ない。亀裂がもう入っている事には気付かず。
北欧異聞帯。弱き人間達の世界は最終局面に移行する。
「お姉様──」
「まさか、本当にブリュンビルデお姉様が二人も……」
「不思議な気分だ……この城に客人を迎え入れる事になるとは。それも異なる世界からの異邦人、長生きはしてみるものか──」
来客者は教わらずとも、彼女こそが異聞帯の女王、この世界の長であると理解した。銀のティアラに深紫の髪、同色の悠然としたドレス。本来は世界の存亡をかけて争うべきカルデアを前にしても全くの敵意を見せない在り様は彼女の常套句でもある愛に満ちていた。
「スカサハじゃない」
「む、既に我が真名を見抜いているのか。さすがは汎人類史のワルキューレ達の長ともいえる女よな」
「違う。全く違う。そこのポンコツワルキューレからどんな報告受けたのよ」
「オルトリンデからの伝達は要領を得なくてな。娘達がこのように取り乱すのは初めて見た。フフ、初めて見る娘達の顔に母としてちょっぴり新鮮で嬉しい気持ちもあったりするのだ」
「別に聞いちゃいないわよ」と白ける邪ンヌが先程つい呟いてしまうぐらいには顔がそっくりだった。そう、カルデアで悪口を言おうものなら次元の壁を越えて槍を投げつけてくる。暴力は全てを解決する系ウーマンのスカサハと酷似している。だが顔の造りは同じであってもその中身は全く別物。例えるなら魔王に攫われ勇者の助けを静かに待つ姫がスカディとしたら、同じく攫われた後、待ち切れなくて勇者が助けに来た時に魔王の肉でバーベキューしている所を見られてしまうのがケルトのスカサハである。
「で、そなたが汎人類史のマスター……オフェリアが恐れている獣か。よしよし今度はキチンと服を着ているようで結構。むやみやたらに肌を晒すならすぐに地下牢行きなので肝に銘じておくようにな」
「………………」
「フリじゃないからね、やめなさいよ。まずは話からするんでしょ」
マスターの内心を正確に察している邪ンヌが肩を抑えて首を横に振っていた。何でコイツはここで残念そうな顔をしているのか説教を叩き込みたい気分に邪ンヌはなったがここはグッと抑えた。
もうギャグパートの時間は終わり。袂を分かったワルキューレの姉妹達の再会を全裸レズの発情で上書きしてしまった件も彼女は少しだけ気に病んでいたりするのだ。
会合の場所は氷の城。その玉座の間。ほぼ全ての調度品が氷で構成された非現実的な空間。氷の長テーブルの両端に二つの勢力が分かれて席に着いていた。
北欧側として、オルトリンデ、スルーズ、ナポレオン、そして女王スカディ。
カルデア側としてマシュ、邪ンヌ、ブリュンビルデ、ブリュンヒルデ・オルタ、そして人類最後のマスター。
「ふ、ふん。結構センスあるじゃない……」ってバトル漫画で敵幹部がいかにも怪しい会議を行いそうな場所に若干テンションが上がっている邪ンヌは強さは中間ぐらいだけど、終盤で実は幹部の中で一番最強だったキャラが座りそうな席を吟味している。そんな彼女を見て、発情しかけているブリュンヒルデ・オルタ。そんな痴女を見て、「やっぱりあの女のことを……」と複雑な眼で見ているオルトリンデに口元は笑っているが目がヤバイ事になっているスルーズ。そんなもう一人の自分と妹達を見て、何とも言えない顔で沈黙してるのがオリジナルのブリュンヒルデ。負の連鎖の空気が漂っていた。
「あの……一つよろしいでしょうか。女王スカディ」
「よい、発言を許す」
控えめに挙手を行ったマシュが本来はここにいると予想していた人物について言及した。空想樹の排除も目的の一つだが、マシュ個人としての目的。オフェリア・ファムルソローネとの接触。
「私はマシュ・キリエライトと申します。クリプター……オフェリア・ファムルソローネという女性はこの城にはいらっしゃないのでしょうか?」
「ましゅ、マシュ…………あぁ、そうか。お前がオフェリアがしきりに口にしていた友の名か。オフェリアは自室で休ませてある。いきなり全裸を見せつけてきた男と冷静に対面出来ると思わんだろう。ふむ……だが念願の友が来訪したと知れば、精気を取り戻すか……。案内させよう」
スカディが指を鳴らせば、量産型のワルキューレが一騎、マシュの傍へ降り立った。娘を想う女王の気遣い、マシュだけならオフェリアがいる部屋まで連れていくのも吝かではないという事だろう。
「あの先輩……」
「うん、行ってらっしゃい」
「……はい!」
マスターのサーヴァントとして、近くにいるべきではと逡巡するマシュの悩みをその一言で吹き飛ばし、愛おしそうに目を細めマシュの後ろ姿を見送る彼は、スカディが思わず「ほう……」と溜息を零してしまう程に泰然としていた。父なる神々が消え失せ3000年、悠久の果てに忘れ去った父性というものを思い出してしまうぐらいに。
「外見は年若き男児にしか見えぬが……その中身は随分と成熟している……」
「ふっ。お褒めの言葉、どうもありがとう。これでも、もう少しで一児の父になるからね。いつまでも子供ではいられないのさ」
大人はうら若き乙女の前で全裸になったりしません。
「えぇ、マスターは殺そうとした私とお姉様を纏めて身も心も虜にした勇士。おかげでこちらの性癖も歪んでしまいました……」
「「は?」」
言わなくてもいい惚気を披露してしまっったブリュンヒルデ・オルタにガチトーンで反応したワルキューレ。しばらく、玉座の間は紛糾した。
──お茶会ですか?
──えぇ、そう。せっかくAチームの女子だけ集まってとペペが。ヒナコは……来るかどうかわからないけど。で……どうかしら、マシュ?
──そうですね……。
「あっ……」
少し眠っていたようだ。瞼を擦り、氷塊で囲まれた見慣れた部屋を見回す。セイバーには今は部屋には入らないように言いつけてある。霊体化で姿が見えなくても今は誰にもこの部屋にはいて欲しくなかった。
「何をやってるのかしらね、私は……」
自嘲めいた呟きに答えてくれる者はいない。
自身のサーヴァントを連れ、女王の部下のワルキューレ達に加えて、汎人類史側のサーヴァントの力も借りて結果は大敗。クリプターとしての最低限の責務も果たせず、マシュと顔を合わせる事すらなく、情けをかけられ、おめおめと逃げ帰ってきた……なんと惨めな事か。
そう、情け──あのままセイバーとアーチャーを仕留めて、残った私をあの男はどうする事も出来た筈だ。けれど私は指一本触れられる事なく無事でいる………………………………凄いものは見せられたけど。
私は一つ疑問を抱えている。あれだけ恐れていたデアーと相まみえて、マシュを傷付けたと激昂に駆られ、殺意を向けたが……もし、前提から間違っているとしたら?
あれだけの敵対行為を見せたマスターを見逃す彼の在り方はコヤンスカヤが語った極悪非道の悪辣漢とはかけ離れたものだった。もとよりあの女狐の言葉を一から十まで信じていたあの時の自分もよっぽど追い詰められていた気もするが……。
異星の神の使徒、人類悪を名乗るカルデアのマスター。クリプターとしての立場なら迷うことなく前者を信じる。けれど──。
▲▲▲
「……お願い、あの娘、マシュにだけは酷い事はしないで…………!」
「ん──と、どこで誤解したのか皆目見当がつかないからそれは置いておいて、これだけは言っておくよ。俺はマシュを死ぬまで大事にする。どうかなりそうだった俺を繋ぎ止めてくれたマシュと一緒に幸せになるって」
「幸せ──」
「ここで俺がいくら言っても信憑性ないから、後は期待の後輩に任せるかな。多分、近い内にマシュがオフェリアさんに会いに行くと思うし」
▲▲▲
去り際のあの言葉を嘘と斬り捨てる事は出来なかった。遷延の魔眼の暴走で垣間見てしまったせいだろうか、デアーと肌を重ねるマシュの顔は愛も恋も碌に知らない私から見ても、思わず見惚れてしまうぐらいに幸せそうな女の子でしか無かった。
それは私も含めてAチームの誰一人として引き出す事の出来なかったマシュの素の顔だったと思う。
あの可能性が現実にあり得るものだったとしたら、私がやろうとした事は──。
──コンコン。
煩悶となっている私の思考を呼び戻すようにノックの音が聞こえた。珍しい……というより初めてな気がする。この城にいるのは人間の習慣に無頓着な者ばかり、霊体化で勝手に入ってくる、気付けばいる、窓から入ってくる。まともにドアを使っているのは私ぐらいだろう。
「オフェリアさん、いらっしゃいますか? 私です……マシュ・キリエライトです」
その声は今一番聞きたくて、けれどいきなりの事に心の準備も出来ていない私の体は呆然と固まってしまって……。
「マシュ……なの……?」
部屋の寒さでは無い何かで震えた私の声にも彼女はきちんと応えてくれた。
「……お久しぶりです。そしてはじめまして、です。ようやく本当の意味で貴女と向き合う事が出来ます」
壁一枚隔てた先にいる彼女がどんな顔をしているのかは今の私には見通す事は出来ない。