遅くなってごめんね。終局特異点アニメ化、非常に楽しみです。
【12時間後に死ぬ魔神柱】
1時間目
「起動せよ。起動せよ。管制塔を司る九柱。即ち」
「パイモン。ブエル。グシオン。シトリー。ベレト。エリゴス。カイム」
「我ら九柱、統括を補佐するもの。我ら九柱、末端を維持するもの」
「“七十二柱の魔神”の名にかけて、我ら、この統合を止む事認めず……!」
死まであと11時間
北欧神話において名高き
来たるべきラグナロクに備え、勇士の魂をヴァルハラへ運ぶという役目を担い、天を翔ける彼女達は優れた戦闘機能と高い神性を誇る。
だが誤ったラグナロクを迎えた北欧異聞帯において、そのワルキューレ達は劇的に数を減らし
オルトリンデ。ヒルド。スルーズ。
そこに加え、彼女達をモデルとして女神スカサハ・スカディが造り上げた量産個体と呼ばれるワルキューレが150騎。
統率個体と呼ばれるオリジナル3騎よりもスペックでは劣り、一騎一騎の戦闘力に関しては平均以上のサーヴァントには及ばないが、100の集落、1万人の人間を3000年間、保護し、管理するという点においては女王の元、その役目は十分に果たしていた。
最大の脅威であったスルトは消滅し、埒外の幸運によって剪定に怯える事も無くなった。間引きする必要も無く、これから1万人、25歳をリミットとしていた人間達は増加の一方を辿り、長く生きる事となるだろう。やがては汎人類史のような文明も手にするかもしれない。北欧に現存する唯一の神スカディにとって管理する人間が増えるという見方もあるが──。
──これから、また
愛するブリュンヒルデと北欧異聞帯に残る選択を取った魔剣使いの問いに彼女は首を横に振った。
「やがて人の子が増え、成長し、その中で北欧を統べようとする者も出てくるであろう。私のように遥か高みからではなく、同じ人の目線の高さでな。人の言葉で『為政者』と言うのであったな……」
いつの日か、神の手を離れていく人間達を寂しそうに愛おしそうに夢想しながら、だがそれは間違いなく祝福できるものだと、自分はそんな未来を手に取りたくて3000年間、諦める事を拒絶し続けたのだから。そんな風に笑う女王の微笑みは暖かった。
「さすがに今すぐとはいかぬが……遠くない未来、人の子らが
神々の時代が終わり、やがて人の時代がやってくる。だがそれは喜ばしい事だと北欧最後の神は言った。
終わりの見えない旅の果てにようやく光を見つけ、肩の荷が降りたようなスカディの様子を三人のワルキューレ達は喜んだ。
「我々もこの結末に至るまで、尽力した甲斐があります」
「えぇ、ですがデアーと名乗る異邦の勇士がいなければ、スルトに敵う事は無かったでしょう」
「あたしはイッた後、ずっと病室で寝てただけだけどね」
その場の空気が凍った。
スルトの手によって崩壊しかけていた氷の城は女王の手で修復され、元通りとなった玉座の間に何とも言えない沈黙が続いていた。
オルトリンデとスルーズはヒルドから視線を逸らした。二人の気遣いも虚しく、ヒルドは自虐的な独り言を続けていた。
「いいよね──二人はちゃんと最終決戦の場で槍を振るう事が出来てさ──。あの人に下半身見られて、絶頂して、ベッドで寝てたら全部が終わってた時のあたしの気持ちがわかる?」
デアーと最初の接敵で『白式官能』により空中アクメを決めてから、量産個体三十騎共々、『
頑なに視線を逸らすオルトリンデとスルーズの顔をドロドロとした瞳で覗き込もうとするヒルド。
「ワルキューレネットワークでさ、【アヘってスルト戦に出れなかったワルキューレがいるらしい】って立てられるの」
1:Maspro110
これマ?
2:Maspro55
さすがにないでしょ、北欧存亡の危機だよ。仮病より酷いでしょ
3:Maspro21
でもオフェリアさんが連れてった三十騎の量産と一騎の統率からの同期が急に切れた時あったじゃん?
4:Maspro121
は? それだけで判断したの? 飛躍し過ぎ、釣るのにももうちょいマシなスレを立ててどうぞ
5:Maspro69
いやその同期切れた瞬間に偶々別任務で哨戒していたワルキューレが見たって
6:Maspro45
何をさ
7:Maspro69
空中で絶頂して潮ふいてるワルキューレ達がいたって
8:Maspro12
うわぁ
9:Maspro21
きたない
10:Maspro7
スカイハイってやつですね、分かります
12:Maspro11
これだから男日照りの処女共は
13:Maspro15
見て! ワルキューレが潮を噴いてるよ
かわいいね
14:Maspro77
私達は真面目に仕事しているのにあいつらが色ボケているせいで、やる気を失ってしまいました
15:Maspro30
お前らのせいです
あ~あ
16Maspro69
ちな統率個体はヒルドさんらしい
17:Maspro15
槍生えるわ
18:Maspro39
やはりピンクは淫乱
19:Maspro77
アソコがヒクヒクヒルド
20:Maspro43
そもそも戦闘に支障が出る程とか、敏感過ぎない? 欲求不満ですか?
21:leader2
ここに書き込んだ奴全員特定したからね
22:Maspro69
23:Maspro15
24:Maspro21
あっ
25:Maspro110
やべっ
26:Maspro45
にgre
このスレは終了しました。
「醜い争いだったよ。あれのヤバさは実際に経験したあたし達にしかわからないし。喰らってないからって好き放題言ってくれちゃってさぁ……入院組とそれ以外で確執できちゃったしね──。オルトリンデもスルーズもさ、ほんの少しだけヤられたって聞いたけど、こっちはそれの比じゃないからね。まぁ、あの時は彼も戦闘不能目的だったろうから仕方ないけどさ……もう腰砕け、槍を構えるどころか立ってられない状態? あれ以上されていたらあたしがヴァルハラに召されてたよ。それを知らずにあの乳臭い処女共はさぁ……あたしがベッドの中で後遺症抑えるのにどれだけ苦労したのか……。全員の股にグングニルしてやろうかな。あぁ、知ってる? あの三十騎の量産個体の中で疼きが治まらなくて互いの体を求め合った娘達がいるって」
「ヒルド、ブレーキ」
ようやく諦めたスルーズがヒルドの肩を掴み、目を合わせてくれた事で彼女の毒は落ち着きを見せた。
オルトリンデとスルーズの二人も贋作の方のブリュンヒルデが手籠めにされたと聞いた時の錯乱状態を落ち着かせる為に撫でるような『白式官能』を喰らったが、攻撃手段として『白式官能』を喰らったヒルドの快感には及ばない。
ヒルドとしてもネットワークで舐めた口を聞いた量産個体共には御礼参りをしたい所だったが、それはそれでムキになってあちらの言い分を認めているようで癪だった。結局、暴力的手段には出なかった彼女だが上司に対する口の聞き方がなっていない連中をどうしたもんかと悩んでいたのだが。
「まぁ、それもあの人が、「それなら皆仲良く『白式官能』受けて、
丸くは収まっていない。頭のおかしい奴がサイコってる手段で無理矢理黙らせただけである。だがそれで結果的に全てのワルキューレが快楽を共有し、仲違いする事も無くなった所が始末に負えない。過程が狂っているだけで結果的には円満に至っているのだから。
その瞬間のワルキューレネットワークが1レスから1000レス目までああああああぁぁぁぁぁぁぁぁ♡で埋まっていく光景は地獄絵図だったが、ヒルドとしてはざまぁとスッキリした気分でデアーにお礼を言いたかった。
「……命を狙ってきた敵対勢力なのに、北欧にとっての満点のハッピーエンドを用意されてさ、こうやってあたし達の下らない、いざこざにも心を砕いてくれるワケだし。さすがに与えられてばっかりなのもさ……」
後者はともかく前者としてはオルトリンデとスルーズも首を縦に振らざるをえなかった。心無き戦闘ドールとして自らを定義されている筈のワルキューレ達だが……それでも敬愛すべき、もう二度と会えないと思っていた長姉──ブリュンヒルデと穏やかな陽だまりの中で共にいれる幸福をもたらしてくれたあの男に対して感謝とノイズがかった感情を持っている事は決して否定出来なかった。
だが、それでもワルキューレ達が自ら動く事は出来ない。
「…………ヒルド、貴女の言わんとしていることは分かります。ですが、我々はあくまで戦乙女。女王スカディに仕える身であるということを忘れずに」
「はい。私達は主から入力された命令をこなす自律機械。そこに個人の感情が入り込む余地は無いのです……そう、あっては──ならない……のです」
『ワルキューレ』という枠から決して外れないようにする彼女達には未だ知らぬものがある。それを知った時、自らの神性は剝がれ落ち、天から地へと落ちるだろう。かつての長姉のように。
だが、それを不幸だと、憐れみを持つことはどうしても出来ない。
憎々しい魔剣使いの隣にいるお姉様──狂気とも言える愛と憎の狭間にいる彼女だが、それでも微笑んているのだ。幸せだと、偶に爆発し、槍で愛する男を刺しても、肝心の男はそれを受け入れている。血だまりの中でなお、当方はお前を愛すると。余人が見れば、穏やかではない関係だが──それは確かに愛と言える代物だった。
愛、愛、愛、愛情。それを手にした者はどれだけ強くなれるのだろうか。長姉じゃないもう一人のブリュンヒルデお義姉様。零の獣と創造主とも言える黒き魔女に溢れんばかりの愛はスルトすらも貫く魔槍となっていた現実は目にした。
バグである、ノイズである、エラーである…………そう片付けるには、愛が成す奇跡を目にし過ぎてしまった。もし許しがもらえるのならば、この知的好奇心を。胸と股に宿る仄かな熱の正体を知りたい。
そんな3人の共有した想いを見抜くようにやり取りを眺めていた女王スカディは慈愛の笑みを浮かべていた。
「ほう、私の許しがあれば良かったのか。そんな簡単なことであったか」
「といった
オフェリアがカルデアのマスターに破廉恥な事は控えるようにと釘を刺して、トロッコに揺られながらロシアに向かっている頃。
そのマスターの自室で、綺麗に三角形の並びで跪いたまま微動だにしない三騎のワルキューレ達がいた。
北欧の中で一番デアーに対して感謝の念を抱いているのはワルキューレでもオフェリアでもなく、間違いなく女王スカディである。
かの女神は北欧を救ってくれた大恩をどうすれば少しでも返せるのか思案していた。
悩みに悩んだ結果、行き着いたのは英雄色を好むという事で見麗しいワルキューレ達の身全てを彼の元に委ねるといったものだった。
一応は大事な娘のような存在、彼女達がデアーに対して憎からず思っている事を確認出来た為、ようやく実行することが出来たとも言える。
ここで我が身をと言えないあたりが女王スカディの中でもスカサハ成分っぽくない、いじらしさというべきか乙女らしさというべきか。
今、この場にいるのは全てのワルキューレ達を代表としているオルトリンデ、スルーズ、ヒルド。ワルキューレネットワークでは量産個体達から、「ずるい」「職権乱用」「下部組織にも蜜よこせ」とクレームが鳴り響いていたが、そこの同期は切られている。デアーの手で全員バグっているのか。
訪問されて早々、153体の女体を献上すると言ったにも等しい宣言を受けてもマスターは狼狽する事はない。
彼女達がスカディに命じられたからという理由だけで自分に仕える事をよしとしているワケでは無いという事を何となく察していた。
「何をらしくなく考え込んじゃってるんですかセンパイ? 質の良いラブドールが153個増えたと思えばいいでしょ。ほらほら、元は敵だったワケですし、遠慮はいりませんよ。えぐいようなプレイをこのお人形さん達の体で試してみましょうよ~~♡」
ワルキューレ達はともかくとして、教鞭でマスターの頬を実にうざったるくツンツンと突いている黒いコートを纏った女もいたが、彼がお返しにそのパツパツのお胸を揉みしだくと顔を真っ赤にして瞬時に離れていった。反撃されると分かっているならちょっかいをかけなければいいのに。
「何でいるの?」
「あ~~ぁ、そういうこと~~言っちゃいますぅぅっ~~? せっかくセンパイの部屋に備え付けてある『HBチャンネル』のメンテナンスに来てあげたのにぃ。センパイがこのカルデアで爛れた生活を送れているのは7割方はBBちゃんのおかげだってことをしっかりと自覚して下さいね☆」
『HBチャンネル』。魔改造エロシミュレーション的な何か。
経緯は無人島から持ち帰った簡易疑似聖杯を元にスカサハ他キャスター陣によって造り上げられた時の流れが遅いシミュレーションルームをコンセプトに──さらにさらにとBB自身のスキル『黄金の杯』と『
そのエロスポットの入り口となるのが桜色のコフィンという拒否感湧き出る代物なのだが……当たり前のようにマスターの
実は現在のマスターのマイルームはトイレや浴室等を除けば、
室外から見てしまえば、空間スペース的にとてもじゃないが、もう一つ部屋があるようには見えない。
それはそれ──彼との性交によって受肉した神代のキャスター陣達の手によれば、空間拡張などお手のものである。
そもそもの話、現在カルデアに在住しているサーヴァントの内約半分、つまり殆どの女性(元)サーヴァント達はバージョンアップされた状態で霊基ではない肉体を手にしたわけで、存在維持の為にマスターやカルデアからの魔力供給を必要としなくなっているのだ。
エネルギー切れに配慮しないで好き勝手出来るという事もあって、現在のカルデア内は結構な魔境となっている。当たり前のように温泉、ライブ会場、メイド喫茶等々あるのだから、草葉の陰でマリスビリーも泣いているだろう。
というわけで先日、ボードゲームを楽しんでいたオフェリアが気付くことも無く、一見簡素なマスターのマイルームの壁に9と4分の3番線よろしく入ってしまえば、そこには100坪程度の広さがある空間があるわけだった。
その部屋に備え付けられてある『HBチャンネル』のコフィンはマスターの部屋だけではなく、1万サクラマネー(1000万QP)で女性陣限定に販売され、彼と関係を持っている彼女達の内半分以上は既に購入済みで自室に設置されている状態だったりする。
後は互いのコフィンからマッチングすれば、それぞれの欲望に見合ったシチュエーションでエロエロヌチャヌル出来てしまう。
ただ、普通に考えればマスターの体は一つなのでそんなに多数のコフィンがあっても予約待ちいっぱいで持て余しているようにも思えるがそこで零の獣の第三宝具『
セックスの数だけ自己を並列存在させることが出来るこの宝具とBBの『HBチャンネル』は幸か不幸か非常に相性が良く、吸引力の変わらないただ一つのダイソンの如く、数多の女達を終わりのないのが終わりな白濁体験へと叩き込めるわけで。
当たり前のように最も使用率が高いマスターの部屋にあるコフィンは一番負荷が高く、BBが定期メンテと称して、彼の部屋へ突撃するのも仕方のないことなのかもしれない。
まぁ、そうやって何かしら理由をつけないとマスターの部屋へ遊びに行くことが出来ないのがこのポンコツAIのいじらしい所というべきなのか、非常に面倒臭いところというべきなのか。
「そもそもあのオフェリアさんとか言いましたっけ? どの面下げてセンパイやマシュさんに引っ付いているんですかね? どうせ『この二人を清い男女交際にしなくちゃ──』とかありがた迷惑なこと考えているんでしょうけど……。あぁ──嫌ですよね──、相手方の意志を無視して、頼んでもいないことを勝手におっ始めるお馬鹿さんは。しかもそれが当の本人にとっては100%の善意になってる所が実に始末に負えないです」
「おっ、自己紹介かぁ?」
「………………」
BBの背後から現れた黒い触手から「名状し難き―、ニャルニャルビーム!」と無貌の光線が放たれ、マスターの白き触手が「きかぬわぁっ!」と相殺する。仲良いですね。
「それ! あたし達はそれを学びに来たの!」
ヒルドが立ち上がり、若干興奮した様子でマスターとBBの戯れに指をさしていた。
「はい。互いに致死性の攻撃を行いながらもその気安い関係は破綻することなく」
「まるでブリュンヒルデお姉様とシグルドのような『愛』を貴方達二人から感じました。えぇ、ワルキューレには不要だった『愛』という感情変動、私達はそれを学びにきたのです」
オルトリンデとスルーズもそれに続き、もう一つの理由を明らかにした。本物と贋作、二人の姉を変え、時には莫大な力を産み出す『愛』という概念を学ぶ為に零の獣の従者としてこのカルデアに訪問したと。
三人の宣言に数秒フリーズしていたBBは動き出した。ピクピクと頬を引き攣らせて──。
「は、は、は、は、ハアアアアアァ──!? ……いやぁ、いやいやいやいやいやいやいやいあいあいあいあいあ、ちょぉっとこの欠陥人形さん達はいきなり何をおっしゃってるんでしょうかぁ?」
BBは否定する。マスターに向いている矢印は愛だの何だの甘ったるいものはなく、面白おかしくちょっかいをかける
「清いと言うにはもうお互い爛れたことヤッちゃってるから手遅れだと思うゾ」
「プププ──。何ですかセンパイはあれですか? ちょっと一緒に寝ただけでもう彼氏面ですかぁ♪ いやだ──、面倒くさ──♡ベッドの上で吐かれる言葉は風船よりも軽いと思った方がいいですよ? 他のメスサーヴァントさん達はそれで堕ちるかもしれませんが……残念ながら、スーパーデビル後輩なBBちゃんはそんなにチョロくないのです」
「ちょっとって言える回数じゃなくなぁい?」
なお乱交も含めれば3桁はイッてる模様。
「体は堕ちても心が負けを認めなければノーカンです」
かつて、マスターを人理漂白以降の未来へと行かせない目的の元、ルルハワで一生監禁しちゃえっ☆と暗躍していたBBだったが空港の初コンタクトで「何となく多分コイツ黒幕だと思う」という理由で有無を言わさずその場で無駄乳を揉みくちゃにされ、口内とベロを吸い尽され、膣と子宮に白濁液を叩き込まれて、全裸土下座のコンボ。イキ恥じ……これが後輩の姿か? ──をされたBBが言うのなら説得力がありますね。
その後は単純に同人誌作りとバカンスを楽しむ為だけにループ能力を使わされてしまった彼女。……もう散体した方がいいのでは?
「あくまでフレンズなのですBBちゃんは。ポジション的にはメイヴさんあたりと一緒ですよ」
「ハッハッハ、君みたいなエロ雑魚ナメクジが
「え、え、え、え? 何でここで割とガチめでキレてるんですかセンパイ? あっちょっとやめて痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃぃ!!
ベッドの上でパンパン(タップ)ギッシギシ(関節が軋む音)と卑猥なく仲良くじゃれ合っている二人の様子を目にして、「汎人類史の愛情表現は独特なのですね……」とメモを取り始める戦乙女三姉妹。シグルドも槍に刺されようがルーンで燃やされようがブリュンヒルデ相手なら微笑んでいたので、誤解の原因は元から近くにあった。
数分後、半泣きで「……ハァハァ、もうっ、センパイってば本当に私のこと大好きですよねぇ……」と懲りずに挑発的な言動を繰り返すBBは一度置いておいて、改めてマスターはワルキューレ達と向き合った。
「俺に仕えてくれるっていうのは凄く助かるし、その気持ちは純粋に嬉しい。スカディの考えていることもまぁ、何となくわかる」
「我らが女王はいずれ北欧にて戦乙女の役目が無くなることを確信しております。今すぐではなくとも、それは遠くない未来に。行く当てを失うであろう私達の新たな存在意義を入力してくれた女神スカディのご高配をどうして無下にできましょうか」
「在職中に次の転職先の内定をもらっておこうみたいな感じ? しっかりしてるね」
「おめでたいことに家畜を卒業した人間の皆さんがこれから北欧で増えるというのなら、確かにワルキューレに加えて、神という存在も必要不可欠ではなくなるでしょうしね──。それにセンパイとバニヤンさんにアルテラさんあたりがマインでクラフトにインフラを盛り上げてしまってますから。ふぅ、開拓者と破壊の大王が力を合わせて人の営みを創造するっていうのは実に皮肉がきいていますけど」
北欧で活動している白き巨人アルテラマンの姿を見て、ワルキューレネットワークがざわつきはじめていたのは余談。
サーヴァントは何騎いても困ることはなく、それに目麗しい美女3人が自分の物になると傅きにきたのだ。現地住民のゲルダを拉致したのに等しい彼がここで今更、草食系好青年気取って彼女達の申し出を断る理由は無かった。
『白式官能』でお手付きした責任を取る為に彼女達が知りたい「愛」とやらを一生をかけて教えるのも吝かではないのだろう。
「かつて敵対し、槍を向けた私達の言葉をすぐには信じられないかもしれませんが──」
「ん、じゃあ、これからよろしく」
「え?」
スルーズの葛藤する言葉を一蹴し、マスターは当たり前のように手を伸ばしていた。親愛の握手をする為に。
「そ、そんなあっさりと……?」
「いや君達だって北欧を救う手段があるって言った俺の言葉を信じてスルトと戦ってくれたじゃん」
同じこととはとてもじゃないが言えないだろう。何せあの時、スルーズもオルトリンデも敵意を込めていた槍を降ろしたのは女王の意向があってのこと──自分達の懐はあなた程広くは無かったと彼女達は否定したかった。
マスターからすれば、今でもごく稀にセックス中に感極まってブリュンヒルデ・ロマンシアで腹に風穴を開けてくる贋作妹分がいるので、あの程度のことを気に病む必要はある? と心から疑問を持っていたりするわけだが。
「私達は──……!」
「俺はそっちのおかげで助かったし、一切気にしていないって言っても……君達は多分気にしちゃうんだろうなぁ。まぁ、その葛藤は君達だけのものだからこれ以上は言わないでおく。そのモヤモヤとした感情もきっとこれから必要なものになるだろうし」
罪悪感かあるいは後悔か。彼女達が本当に入力された命令だけをこなす機械だったならば、今のマスターの言葉をありのままに受け入れてただろう。
「答えが出ない問いに悩み悶える美女の顔もまた映えるねぇ」と頷くマスターに「いやん、センパイってばイイ趣味してます♡」とハイタッチをかますBB。ついさっきまで戦り合ってとは思えない仲の良さ。この二人の感情の揺れ幅は激し過ぎる。メイヴとは別ベクトルだろうが、波長は合うのだろう。
戸惑いながらもオルトリンデとスルーズは差し出された手を握り返していた。
こんなにもあっさりと受け入れられるとは思っていなかったのだろう。何とかあの手この手で懐柔しようとしていた交渉材料も全て無駄になってしまった。ひと悶着ぐらいあるとしていた予測を裏切られて、やや困惑している。
ただ、受け入れられた以上は己の葛藤をひとまず置いておき、従者として尽くすと決意を固めた。その中で自分達が知りたい愛という概念を学んでいけばよいと。
とりあえず、ずっと蚊帳の外だったヒルドは服を脱ぎ始めていた
「「何をしているのですかっ!?」」
「えっ?」
「いや、えっではなく……」
スルーズはどうしてヒルドの方が不思議な顔をしているのか理解出来なかった。上手く同期も出来ないし。
一心同体の三姉妹だった筈なのに今はこの桃色の戦乙女が遠い世界に行ってしまっているような現実に涙腺が熱くなったような気がした。順調に感情を学んでいるようで何より。
「え──と、だって、こういうことする為に来たんじゃないの? ほら、今までのお詫びを体で払いますって定番でしょ。あたし達三騎はお礼出来るし、マスターは女の躰を抱ける、ついでに『愛』も学べるかもしれないから一石三鳥じゃん!」
「
「
冷たい目でこちらを見る姉妹二人に「またあたし何かやっちゃいました?」と疑問符を浮かべるなろう系ならぬヤろう系戦乙女ヒルド。
「あたしはてっきり3人ともそれ目的で来たと思ったんだけど……。だって『愛』を学びに仕えにきたって最終的にはそういうことになるワケじゃん」
「じゅ、順序というものがあるでしょう!?」
「まずは服を着て下さいヒルド……」
「それなら私がお手伝いしてあげましょうか──?」
そんな3人の漫才を見ていたBBがいつもの如く小悪魔的な笑みを浮かべていた。
『HBチャンネル』のコフィンがある別室へと誘われた三人、神代を生きた彼女達にとってもその空間に並んでいた宝の山は言葉を失うほど驚嘆に値するものだった。
二桁単位で存在する魔力リソースの塊とも言える聖杯を中心に青赤黄の何やら強大な力を宿しているような石の山、竜種から剥ぎ取った牙に逆鱗、霊長の羽根にデミゴッドの心臓、自分達の鎧と同じオーラを感じる青い鋼、禍々しい宝剣、片目が隠れた不気味な雰囲気な女の子の人形に、敵意を感じるぬいぐるみ、北欧とは別の系統の神秘を感じる三匹の子猫。今挙げたものも、その山の一角に過ぎない。
魔術世界ではその一つを求めて軽い戦争が起きてしまいそうな遺物が売れ残った在庫のように存在している。それはまるで何かの冗談のような光景だった。
マスターのマイルームに隠れた宝物庫。誰が呼んだかその蔵の名は『マテリアルボックス』。
「どんどんアイテムも増えて、いつまで経ってもただの倉庫で保管ってのはセキュリティ面でも不安でさ」
「このカルデアで最も重要度が高い場所とも言えちゃいますから。大切なものと危険物を同じ場所に置いておいて防衛にかかるコストを安くしてしまいましょう──! という職員の皆さんの浅知恵です♪ 実に涙ぐましいですね」
「ちなみにどっちが危険物?」
「センパイに決まってるじゃないですかぁ。ばかぁ?」
争いは同レベルの物同士でしか発生しない。ぐきぎと互いに頬をつね合っている二人の後ろに成人男性一人が余裕を持って入れる程のサイズをもった桜色のコフィンが鎮座していた。
改めて説明するまでもなく、BBはワルキューレ達に『HBチャンネル』を使わせるつもりだった。彼女にしては本当に珍しく、
「創造主の意向に反して、愛だの感情だのエラーを学んでしまった人形さん達がどうなるか見物ですよね」と言葉では嘲るように言ってはいたがそこに悪意は感じられなかった。
それはそれとして後で撮った物は眼帯クリプターに送り付ける腹積もりらしい。他の人間に迷惑をかけないとは言ってない。
「はい♡ではワルキューレの皆さんはこちらのモニターからお好みのシチュをパパっと選んじゃって下さいね♡」
コフィンと繋がっている筐体へささっと怪しい客引きのようにワルキューレ達を案内していくBB。
筐体に映ったパネルを興味深そうに眺めながら、3人は説明を受けていた。
「ほえ──、すっごい」
「驚嘆に値します、仮想空間による疑似体験。汎人類史の技術力はここまで進んでいましたか」
「むむっ、これは『
心外だとぷんすかするBBが続けるには、モニターにはこれから『HBチャンネル』の中に入るにあたって、そのモニターに映し出される質問にフローチャート方式で答えていって欲しいと。
相手との関係性。お互いのバックボーン。神話か現代か未来か異世界か崩壊世界か等の世界観の再現からエッチに至るまでのいきさつなど……本人達の無理な性格改変以外はあらゆる要望に答える万能エロ領域。現実では味わえない甘美な悦楽がそこにはある。
このエロに対する技術力の無駄遣いがあるからこそ、多くの女性サーヴァントが胡散臭さの化身であるBBから『HBチャンネル』を購入してしまうのである。
「あれ、けどこんな機能あったけ?」
そもそもこの『HBチャンネル』はモニターで操作する必要なく、『五停心観』によって深層意識で本人が求めているエロシチュを引き摺り出す代物なのでただ入るだけで済み、今までこんな手間は無かった筈だと。
「『向上心のないものは馬鹿だ』と誰かが言いました。宝具は完成された物だから……なんてのはニートの言い訳です! 日々、バージョンアップするBBさんの勤勉さに惚れ直し、悶えて下さい。具体的に言えば、カルデアの性産業市場で遅れを取るワケにはいかないのです!」
このシミュレーションで行われるエロも限りなくリアルに近い快楽が得られるが、やはり現実世界でマスターと致す行為にはどうしても劣ってしまう。
言うなれば、『HBチャンネル』はゴムありセックスで、リアルの方はゴム無し生セックス。前者でどれだけセックスしようとも子供は出来ないという点でもこの例えは正しい。
現実では到底できないシチュエーションで需要は得ているが、やっぱりリアルの方がイイという層はいるのだ。特にここ最近、あのアリスが懐妊してからマスターからの着床を狙っている層が急増している。
──おやおや一儲けの香りがしますね~~$
それに目をつけたのが、褐色グラマラスボディ、金にがめつい、カルデアのたぬきちことシバの女王。
自身の当番時間だったり、諸事情でマスターとの逢瀬に都合がつかなかった者達から、あの手この手で時間を買い取り、それを商品としてマスターごと他の消費者に適正価格(本人曰く)で売りつける。
マスターデリバリーヘルスサービス、通称『スペルマスター』。
あの獣耳守銭奴のシステムを時間よりも質を求める淑女達がこぞって利用している現状にBBは危機感を持ち始めていた。
というよりも単純に自分以外の女が彼の性事情を握ろうとしているのが気に食わない。
『
──食欲に空腹、睡眠欲に疲労、どうしてこの世に賢者タイムがあると思う? 性欲にも緩急は必要でしょ? 会えない時間が二人の性を育むのさ。健全な時間なくして、射精のカタルシスはありえねェ……。
マスターの台詞自体は頭おかしいのだが、言っている事の本質は的を得ている。
適度の焦らしや禁欲もエロへのスパイスになると語る彼と現実世界で過ごす時間は限られているのなら、そこに多大な価値が生じるのは自明の理。
「らくだのももひきで寝ているような女子力の欠片も無い女に負けてたまりますかぁ!」
「あの……頼み込んでしまった我々が言うべきではないのでしょうが、
「公の場とかではしないし、節度は守っているよ」
スルーズの申し訳なさそうな顔にもなんて事はなさそうに彼は答える。こいつの言う節度はガバガバなのであてにならない。
とまぁ、カルデアで最も性的搾取されているのはこのマスターであるという現実。
彼が汎用型草食系好青年、備品の如く女性優位で英霊達に食い物にされるという一部のお姉さん達が大歓喜しそうな状況であれば心配にもなるかもしれないが。
いかんせん、その女豪傑達を束で来ようともいきり勃つ豪槍で返り討ちに出来てしまう男になってしまったわけで(ちょっと進化キャンセルが数年程遅かったみたいですね)、もう当カルデアでは通常運行になってしまったというか。
「深くは考えず、軽い気持ちで試してみれば? あの宝具の本質は欲望の発露、君達が知りたい感情とやらを理解するきっかけにもなるだろうし……。無理矢理ってわけでもないからね、あまりにも合わなかったら途中で止めれるから」
「そ、そうですか……」
「ど、どうしますか、スルーズ?」
まるで初めて風俗に来た童貞を誘惑するお姉さんのような色気でスルーズとオルトリンデを堕落の道へと誘おうとするビースト。どもり、恥ずかしがりながらもやはり気になってしまうのか桜色のコフィンから目を離すことが出来ないむっつりワルキューレコンビ。
「もう一人の娘はノリノリで選んでるみたいだけど?」
「うわぁぁ、こんなにあるんだぁ……。えっ! こういうプレイもありなの? マジかぁ、いや結構エグくない? でも割とアリかも、う──ん、結構数あって迷うなぁ。むむむ、すぐには決められないかも…………えっこれ!? いやぁ、さすがに女の子として終わっちゃわない? あぁ、でもちょっと気になる。イケちゃう?イケちゃうかなぁ」
深い溜息が二つ。
同期するまでもなく、オルトリンデとスルーズは分かりあっていた。
まずはあの暴走している桃色の頭をシバいてからにしようと。
この娘達にはまだ感情がありません。誰が何と言おうとありません。閃乱カグラの緑髪の娘並にありません。