※この作品はR-18です。

おいでよ カルデアの森   作:一火

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9か月ぶりのアポ編。はぁ、遅すぎ、止めたらこの投稿?


実は当初の予定では白のライダーはヒッポリュテにするつもりでした。でもギリシャ関係者多過ぎるし、まだキャラも正確に掴めてないんで断念。
今後の展開考えると彼女にして大正解だったわん。













ビーストウォーズ⑧(Fate Apocrypha編)

 

 地平線から陽が顔を出し、朝が始まる事を告げる。陽の光を浴びている『三白城』はそのぶっ飛んでいる造形に眼を瞑れば、その美麗過ぎる白が煌めき、理の外に存在する神秘さすら表していた。

 

「美しい光景だ。急遽、刑部姫に拵えてもらった部屋だが中々どうして悪くないじゃないか」

 

『三白城』の第七層。朝陽が徐々にトゥリファスの樹々を照らしていく光景を一望出来る窓から優雅に湯気を立てている紅茶とスコーンを口に運んでいる一人の女性は満足気にモーニングタイムを楽しんでいた。

 

 アンティーク染みたテーブルに古めかしい匂いが立ち込める本棚。暖炉で快適な気温が維持されているその部屋はまるでこの空間だけでロンドンの一室かのように切り取られている。

 

 素肌の上からバスローブを軽く羽織っている金髪の女性は朝食を楽しみながらも腰まで届くその髪をメイドに梳かさせていた。

 

「世界中で大小関わらず、聖杯戦争が起きている世界か……。まるで聖杯戦争のバーゲンセールだな。一人につき一騎の英霊が召喚されているなんて世界も遠い未来にあるかもしれないな」

 

 柔らかな態度で彼女は同室している男に語り掛ける。本来余人に対して隙を見せる事がほとんどない彼女が無条件で素を曝け出してしまう数少ない相手しかここにはいなかった。

 

 かつての名はサーヴァント、ライダー:司馬懿。

 

 またの名をライネス・エルメロイ・アーチゾルテ。

 

 時計塔に君臨するロード。それを排出する十二の家系の一つ、エルメロイ家の次期当主。肩書きからもわかるように魔術の世界においてはそれなりに名が知れている彼女だが。決して、英霊として人理に刻まれるような人物ではなかった。

 それが何の因果か中華大陸の三国戦争の時代を終わらせ、晋という新しい時代の始まりともなった軍師『司馬仲達』の疑似サーヴァントとしてカルデアに召喚される事となったわけで。

 

 紆余曲折ズコバコ孕めオラァあって、白の陣営最後のサーヴァント、白のライダーとしてここにいる。

 

「ふぁぁ、さてと馬鹿弟子の性欲を抑える為に随分と身を犠牲にしてしまったのでね、私は体を清めた事だし、ひと眠りさせてもらうとするよ。それで君は……あぁ、みなまで言わなくてもいい現地妻とデートだろ?」

 

 可愛いあくびの後、意地悪く口元を三日月に歪めたライネスは散々自分と肌を重ねた男に皮肉を届ける。既に身支度を終え、エチケットとして自身の肌についた性臭を落とした彼は白のTシャツの上から黒のコーチジャケットとシンプルながらもカジュアルな格好。乱雑に伸びていた髪も清潔感漂わせるように後ろで一つに束ねられていた。

 

「あぁ、なんて酷い! 私とトリムを寝台の上であれだけ好き放題蹂躙しておきながら、自分が満足したら次の女に走る……。捨てられた私達は互いに虚しく慰め合うしかないというわけか……およよ」

 

 芝居染みた口調で交わった相手──白のビーストを責め立てる。背後のライネスの従者であり魔術礼装でもある()()の水銀メイドこと、トリムマウも主に悪ノリして目元を両手でこすり泣き真似をしていた。

 別に彼女がヒステリックを起こして本気で喚いているワケではない。これはライネス・エルメロイ・アーチゾルテの病気であり、性癖でもある。

 

「わかっているとも、臓器全てがドス黒のような性悪女よりも雛鳥の如き無邪気に背中をついていくホムンクルスの方がいいのだろう? 何、どっちを選らべといえば、私だって後者を選ぶさ。私は何も怒ってはいない、君が今日の交わりにおいてどちらかといえば、トリムの方に熱を入れた事に対しても個人的な感傷は一切無いと思っていただこう」

 

 白のビーストは数多ある乱交において、誰かを贔屓する事は絶対に無い。愛し方の区別はあれど捧げる熱量は変わらずにという繊細なモットーの元に複数姦を行う。

 ただ先日、黒のキャスターことアヴィケブロン先生に珠玉のメイドゴーレムを魅せられて、同じくメイドゴーレムであるトリムマウに本人も気付かない無意識のレベルで若干熱が入ってしまっていた事も事実と言えば、事実。

 かつて彼女の中に存在した中華大陸随一の軍師の見識眼の力と権謀術数渦巻く時計塔の派閥争いを生き残った彼女自身の眼がそれを見抜いた。

(嘘だゾ。個人的な感傷しかないゾ。お嬢様思った以上に面倒臭いゾ)と大分人間らしくなったトリムマウは口に出す事は無かった。

 

 そんなライネスの悪癖に白のビーストは開き直るわけでも咎めるわけでも言い訳するわけでもなく、初心な青年の如く申し訳なそうに心底困った顔をしていた。

 

「……ほんと、ごめんね」

 

(あっ♡)

 

 ライネスは彼のそんな顔を見ると子宮が二段階程下りた感覚を得る。

 白のビーストがその気になれば、生意気を言うライネスを今、その場で性的に黙らせる事も出来るだろうが彼はそれをしない。ライネスの言う通り、これから自身が拾ったホムンクルスとデートしにいくのは事実なので彼女の罵詈雑言は甘んじて受けるつもりだった。

 

 世界そのものを滅ぼす力を持っておきながら、当たり前の人のようにライネスを愛し、当たり前のように彼女の為に狼狽する弟子がライネスの性癖にガン刺さりしている。

 

「知っているとも、君が惚れやすい性質なのも。自分が持つ全てを犠牲にしてでも好きになった人を愛せずにはいられない獣性を持っているのも。ふふふ、口を開けば毒しか吐かない女よりはあどけない人造人間の方が君も気が楽だろ?」

 

「でも師匠はその分、ベッドでは借りてきた猫みたいに可愛いから。そのギャップも含めて全部好きなんだけど」

 

「……ばか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時は遡り──赤のセイバー、モードレッドが白のセイバーによって三白城まで連れ去られて半日。

 モードレッドのマスターであった獅子劫界離はこの聖杯戦争を諦めたワケではなかった。

 サーヴァントも連れず、魔窟である白き城に潜入する程、命知らずでも無かったがそれでも現段階で出来る事は全て全うしようとしていた。

 

「くそっ! さっきから何が起きてやがる!」

 

 真偽はともかく、サーヴァントを八騎連れた人類悪を名乗る謎の男。もはや通常の聖杯戦争の領域をとうに超えているこの状況を報告する為に獅子劫に聖杯大戦の参加を依頼した時計塔の召喚科学部長であるロッコ・ベルファバンとの連絡の架け橋となっている同じく時計塔の魔術科学部長、ロード・エルメロイ二世に携帯で連絡を入れようとしたが、一切通じない。アンテナも立っておらず、魔術的連絡手段ならばと試してみたがそちらも残念ながら不発。

 

 

 

「おいおい、さっきまでは問題無く使えただろ……」

 

 時、同じくして自室のパソコンから何とか白のサーヴァントの拠点を調べようとしていたカウレスも突然ネット回線が切れ困惑する。その後、何度もルーターを付け直しても変わらず、気の迷いでブックマークをつけた『Amazones(アマゾネス).com(コム)』だけは何故か問題なく使用出来たが完全に外部から断絶された状況になっている事に気付く。

 

 

 赤の陣営、黒の陣営それぞれ魔術師として科学機器を使う事に一切の躊躇いの無い二人がこの異変に気付く。

 白のビーストと名乗る超常的存在が顕れた事と比べれば、小さな異変だった。むしろ当然の如くこれも白の陣営の策略かと結び付けるだろう。

 

 だから彼等はこのルーマニア地から出る事は無い。変わらず聖杯大戦を継続させようとするだろう。たとえ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()そこには気付かず……聖杯大戦に参加している魔術師もサーヴァントも何も知らない住民達も本筋から外れた行動は決して取らない。全ては聖杯大戦の為のキャラクターとして相応しい行動しか取らない。それが強制されたものではなく、自分達の意志から出た行動だと信じて疑わない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だが残念。この状況を生み出したのは我々じゃない」

 

 再び紅茶で口を湿らせて、ライネスは語る。

 今まで表に出ていなかった彼女はここに呼び出された時から、この聖杯大戦、ルーマニアの異常を調査していた。

 

「君は何故この地に顕現した? 自我に目覚めたホムンクルスを救う為か? いや、それは弱い。あまりに動機として弱すぎる。世界を越えて人類悪が顕現する程のものではないだろう? 全ての事象には理由(動機)がある。ホワイダニット……。存在せざるビースト0よ、終わりでもあり、始まりでもある人類悪よ、そして親愛なる我が弟子よ。君が観測して顕れたからには必ずその因果を引く者がいるのさ」

 

「さぁて、これまで色んな所に出てきたし、色んな事してきたからね、過去か、未来か……。どこで恨みを買ってるのか皆目検討がつかないさ」

 

「君の『魅了(零)A+』を飛び越えてまで何か仕出かす者などそうそういないだろう。大層な事を言ったが、私のはあくまで憶測だ。兄上みたく探偵の真似事は出来ないのでね」

 

 パチンとライネスが指を弾くと意図を察したトリムマウが今まで閉じていた眼を開き、光が照射される。何もない壁に映ったのはルーマニアの地図。

 

「お嬢様の命により、判明した事が一つ。トゥリファスを中心として、このルーマニアの地が何らかの結界か、それに準ずる物で隔離されています」

 

 引き続き、照射されたのは赤いライン。トリムマウが言った通り、トゥリファスを中心に円状でルーマニアの地ほぼ全てを囲っていた。

 彼女が語るにその結界は把握出来るような外見を持っておらず、視覚からは異変に一切気付かない。境界線に近づいて初めて無意識に踵を返してしまうと。その異変を全て辿っていたら最終的に地図で見せている赤いライン上のようにルーマニアの地を囲っている。

 

「よくこんな短時間でここまですぐ調べられたね、凄いよ」

 

「本日までご主人様(マスター)に注がれた射精回数1919回。その量59.4545リットルは全て私の魔力の糧となり、魔術礼装の限界を超えた存在として昇華されました。今では空中飛行の魔術も容易となり、お嬢様共々私に寵愛を授けて事には感謝を」

 

「あっ、あ──ゴホンッ! そういう生々しい話はまた別の機会にしておくれトリム。で、その結界とやらはお前でも破る事は出来ない代物だったのか?」

 

「はいお嬢様。ルーマニアの地を囲んでいる結界に関しては物理的な障壁といった類の物ではありません。これ以上は先に進めない。ここから先は()()()()。お嬢様の命を受けた礼装である私にすら訴えかけ、歩みを止め得る代物、暗示の類だとしても異常かと」

 

「……近辺の住人に異変は?」

 

「何もありませんでした。誰一人として結界から出る者もルーマニアの地に入ってくる者も存在せず、そしてそれに疑問を持っていた者もいませんでした」

 

「成程、それは確かに異常だ。暗示の魔術にしては大規模過ぎるしな。薄気味が悪過ぎる」

 

「まるで特定の場所で特定の役割しか与えられてないゲームのNPCみたいだね、役割を越えた行動は出来ないみたいな」

 

「……ロールプレイというやつか? ふむ、ふむ、ふむ…………」

 

 テーブルの上に肘を置き、顎に手を当てライネスは今までの情報を反芻する。

 この世界にいる者全てが何者かが用意したという『人形理論』。だがそれはあまりしっくりこなかった。白のビーストが顕れてからの凡その事情を安楽椅子探偵よろしく把握している彼女はそれにしては赤の陣営、黒の陣営の全てのキャラクターが濃く、一人一人生きた人間として何らかのバックボーンがあると感じたのだ。

 

 特に黒のキャスターなんて彼と同調してフィギュア作りに熱中する始末。NPCにしてはアドリブがききすぎている。

 

 聖杯大戦に参加している者達全てはそれぞれの思惑、背景があってここに辿り着いたのだろう。各々が確固たる過去を持っている筈だ。

 ルーマニアの地を隔離したのが我々ではないのは確実だとしても、白の陣営というよりは白のビーストがここに来た事が要因である事も推測される。あそこが何かしらの分岐点だった筈。

 

「だがまぁ、世界五分前仮説なんてある事だ。これ以上考えても埒が明かない。だから君は聖杯大戦に参加している者達を知ろうとして、サーヴァント達をこの城におびき寄せようとしているのだろう?」

 

 正直な所、その気になれば白のビースト:デアーはわざわざ相手の土俵に合わせて、英霊を八騎といわず、第四宝具『通い妻オーバーラン』で百騎レベルで召喚し、物量で押し潰す事が出来る。

 そもそもビーストとサーヴァントの霊基は次元が違う。本来ならグランドクラスか、あるいは入念な準備かつ複数の奇跡が重なってようやく勝負になるレベルなのだ。

 

 だが白のビーストはそのような終わりを望まない。これは決して手を抜いているわけでも相手を舐めてかかっているわけでもなく、自身が望む最良の終わりの為に最善を尽くしているだけ。異聞帯という名の数多の剪定事象をその世界から消し去った時同様、彼は己のルールに従った結果、ビーストとしての役割を行っただけの話。

 

 本気で遊び、そして女を引っ掛け、蕩かし、犯し、愛し、親類にする。性質(タチ)が悪い事には変わりはないが、彼が訪れた世界は決して破滅に向かっているワケではない。

 

「わかってはいると思うが、もうあまり両陣営の魔術師と直接的な接触はもたない方がいいぞ。()()()()()を考えれば当然だが、特に真面目に根源を目指している魔術師らしい魔術師には君という存在はいささか刺激が強すぎる」

 

「了解了解。もう単独顕現で勝手にあっちの城塞にお邪魔したりはしないよ。だからああしてセレニケさんに協力をお願いしたワケだし」

 

「アレ、大丈夫なのか?」

 

「無問題無問題。話(ピロートーク)した感じだと、魔術師としては割りと柔軟性ある娘だったし、ちょっと趣味がアブノーマル寄りだけどちゃんと俺が託した仕事は行ってくれると思うよ」

 

「……だと、いいがな。君は100回に1回ぐらい、大ポカをやらかすからな」

 

「だがそんな抜けている所も愛おしいと思うお嬢様なのであった」

 

「お前はホントイイ性格になったなトリム」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 再び、時は戻り──。

 

 

「おじ様……本気ですか?」

 

 大聖杯を奪われ、さらには黒のキャスターとイカれた固有結界を造り出した白のビーストを目の当たりにするという二度の気絶から眼が覚めたダーニックの顔は一度めの気絶とはうって変わり、焦燥感の欠片も無く、天啓にうたれた学者のように爽やかな表情になっていた。

 

 ダーニックが玉座の間で開口一番に「ユグドミレニアの長として、黒のランサーのマスターとして、両陣営のサーヴァントと共に白の陣営の城に踏み込む」と出した言葉はフィオレを始めとして、黒の陣営の困惑を引き起こした。

 

「き、気が狂ったかダーニック! 大聖杯と我がムジーク家のホムンクルスを一つ残らず強奪するような連中だぞ! サーヴァントに任せておけばよかろう!」

 

「だから我らのサーヴァント達が白の陣営を駆逐するのを神に祈りながらここで待てと? 白のビーストは何処にも顕れる。どこにいても危険に変わりないというのなら、私は長としての責務を果たす為に白城へと向かうとも」

 

「ならば、おじ様……私達も」

 

 それならば私達もとついて行くべきなのではというフィオレをダーニックは手で制する。あくまでマスターとしてついていくのは自分一人で十分、自分に何かあった時に一族を導くリーダーが必要だと。それをフィオレに託すつもりだったのだろう。

 ダーニックの瞳は決して譲らないと物語っている。そもそもユグドミレニアのトップである彼にそこまで強く進言出来る者はいないわけなのだが。

 

「死ぬ未来しか待っておらぬかもしれぬぞ?」

 

「この聖杯大戦を画策してから、それはとうに覚悟の上です」

 

「ならば、好きにするがいい」

 

 ダーニックを駆り立てるのは大聖杯と黒の陣営の貴重な魔力の糧であったホムンクルスを奪われた事による復仇心かあるいは長としての責務か。今までの醜態の返上か。その内のどれかだろうと他のマスター達は察したが……。

 

 最後にダーニックに忠告した黒のランサー、ヴラド三世だけは悟られる事なく猜疑心に染まった瞳を向けつつも黒の陣営を鼓舞する。

 

「この地に集いし英雄達よ! 再び、月が昇る時が我が領土に恥知らずにもふざけた城を建てた蛮族共の最期である! 英気を養い、各々、決戦まで備えるがいい」

 

(アーチャーよ……)

 

(はい、ダーニックからは眼は離しません)

 

『八枚舌』と呼ばれるだけあって派閥抗争を勝ち上がってきたダーニックの面の皮の厚さは心内に暴れ狂っている歓喜の二文字を表に出す事は決して無かった。察しの良いサーヴァントなら違和感ぐらいは抱いたかもしれない。しかし、今ここにいる黒の陣営の中でダーニックの感情を正確に理解しているものはいなかった。

 

(ふふ、ふはははははは、アーハハハハハハハハハッハッハッ!! 私はなんと愚かか! 本質を見抜けぬまま、()()もあの奇跡を逃してしまうとは! 気付くべきだった白の獣の御身に浮かぶ夥しい程の令呪! 一体、どれだけの魔力が内包されているのか……あぁ、まさに愚物とは私の事を指すのだろう! だが、だがぁっ!!)

 

 胸元を掻きむしりながら、雄叫びをあげて転がり回ってもなお足りぬ激情が渦巻いていた。鋼鉄の理性がそれを無理矢理抑え付けていた。

 

(苦汁を舐め、早80年。全てはこの時の為だったのか!! 聖杯大戦? ホムンクルス共の強奪? 大聖杯の強奪? 些末!! あまりにも些末!! もはやそれらなどどうでもよい! 我が大願が降り立ってくれた事……それ以外に思索するべき事はなに一つ無く!)

 

 ライネスの懸念通り、魔の道にどっぷり浸かっている者ほど白のビーストの存在にあてられてしまう。セレニケとはまた別ベクトルにダーニックもまた狂っていた。いや正確に言えば、彼はセレニケと異なり、初志から何か変化があったわけではない。正常というギアが壊れる程にフル回転しているだけであった。

 

(人類を滅ぼす悪。世界を終わらせる破滅機構。()()()()()()()!! その程度で私の足が止まるものか! あらゆる魔術師達が夢見た果てがこんなにも近くに……くぅっ、くぅぁっ、駄目だ、まだ笑うなぁ。何の為にあの城への突入を志願したと思っているっ……!)

 

 

 

「マスターはいいのかい?」

 

「何がよ」

 

「ダーニックに続いて『私もいきゅううう♡』とか言うと思ったんだけど」

 

「淑女としてそんなはしたない真似出来るわけないでしょ」

 

「うん、今ちょっとイラッとした」

 

「私、一つわかったのよ。傍にいるだけが愛じゃないって。離れ離れになっても通じ合える事こそが真の愛」

 

「下腹部を撫でるな。くねくねするな。息を荒げるな。淑女どこいった」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 中世を彷彿とさせる石造りの街並み。徐々に日陰の部分が少なくなり、一日の始まりを知らせる光が街を照らしていっていた。

 朝のこういう時間って結構好きだったりする。普通に陽射しを浴びるのが好きってのもあるけど、来て当たり前の物を目の前で実感するってのは感慨深い物があるのだ。当たり前だけど来て欲しい物、そういうのってあると思うんだ。

 

 まぁ、俺の場合だと高確率で毎朝隣に誰かしら裸でいるので。それで朝=スッキリの方程式でパブロフの犬よろしく下世話な感じで朝ってば気が狂う程気持ちええんじゃってなってるだけなかもしれないけど。

 

 さて、30分前行動。親愛なる()からのラブレターを握りしめ、待ち合わせ場所へと向かう。

 

 待ち合わせの時間までの昨晩は慰安と称して白の陣営の仲間達と夜会話にオセッセしてた俺のコンディションはフィジカル・メンタル共にベスト。

 

 

 第一層では白のセイバーことリリィを吊るしたまま空中アナル尻叩き青姦。窓からのモーさんの視線に興奮したのかいつも以上に啼いてた気がする。

 

 第二層ではショタ化した俺と本来のサイズに戻ったアタランテとの神殿フィールドで授乳プレイ。

 

 第三層では高級ホテルの窓際にビジネスウーマンことペンテシレイアの裸体を押し付け、夜景を見下ろしながらのバックこと勝ち組セックス。

 

 第四層では哪吒と彼女お気に入りの心は男・体は女のTS娘凌辱メンタル雌堕ちプレイ。

 

 第五層ではJK姿のジャンヌと教室の隅でカーテンくるまりイチャラブセックス。

 

 第六層ではアビーと触手で絡み合う冒涜セックス。

 

 第七層ではキングサイズのベッドの上での師匠とトリムのスタンダードな3P。

 

 第八層のおっきーとは『カルデア寝物語』朗読再現羞恥プレイ。

 

 

 これは決して、時間を分割して彼女達をはしごしたワケではなく、俺という存在は確かに()()()()()()()()()()()()()()()()()()のだ。

 

 ビーストである俺の第三宝具『竿繋ぎの多元性交(パラレル・セックス)』。

 カルデアのマスター時代、人工聖杯を元に造り出した「精神と時の部屋」もどきで現実時間を限りなく引き伸ばし、幾万と彼女達と交わり続けた俺はより彼女達と愛する時間を確保する奇跡を求めた。

 

 その結果がこの宝具『竿繋ぎの多元性交(パラレル・セックス)』。愛を交わした者達との性交の瞬間において俺は並列的に存在する。

 カーマちゃんの『万浴応体』みたく無数の自分を産み出すわけではないんだけどね、違う場所で性交を行っている俺同士は絶対に出会わないし。

 ゲーム風に言えば、多数のエロイベントをモニターと窓を増やして、同時進行してる感じ? 俺の解釈次第では家族と過ごす時間もすなわちセックスと言えるので、ふざけた宝具ではあるが妻や子供とのイベントに駆け付ける際に非常に重宝してたりするのだ。

 My life is for them(我が人生は彼女達の為に)

 

 それと情事の最中に話を聞く限り、シロからのお誘いも彼女達の手引きがあったそうな。

 いつの間にか仲良くなってくれてて結構結構。わりとシロ君って愛され体質とかあると思うんだ。

 

 

 ()ポジからのいじらしいお誘いに乗り、シギショアラの白亜の教会に到着。いかにも古きヨーロッパを再現している古風な白き教会の入り口に一人の少女がいた。

 

「化けたなぁ……」

 

 もう性別不詳とか男の娘とかは言えないなぁ。いや俺が助けた時は確かに可愛らしいおTINTINもついていたし、生物学的には♂なんだろうけど。

 

 だが気もそぞろな様子で周りをキョロキョロ見回すシロは腰まで伸びた薄茶色の髪は白薔薇のリボンでポニテールになるようにお洒落に手入れがされ、鎖骨、太もも、二の腕と露出はしているのにあからさまな媚びは感じず、むしろ神聖さえ感じてしまう。後ろの教会もあいまって白いドレス姿のシロは花嫁にしか見えなかった。何故か眼はちょっと充血しているけど、そんなのは気にならないぐらいパーフェクトな美少女がそこにいた。

 

「結婚しよう」

 

「え……? あ、は、はいっ! ふ、不束者ですが……」

 

 あ、違う。間違った。「ごめん待った?」とお決まりの文句から言うつもりが本音が出てしまった。ていうかシロ君もそこでOK出す辺り、大物になると思う。

 しかし、早めに来たつもりだったのにまさか先にいるとは……。

 

「ごめんねお待たせしちゃって、何分前からいたの?」

 

「結婚、結婚、結婚、パートナぁー…………あ、えーと、楽しみで寝付けなかったので5時間前からずっと待っていっ……ぅええええ!?」

 

 無言で抱き締めておいた。後、滅茶苦茶頭撫でた。もういじらし過ぎてさっきの結婚しよう発言も「ごめん冗談だったわ」とか撤回出来ないわこれ。下手すれば自殺しちゃうよこの子。怒るに怒れないよ。もう責任取るよこんなの。

 

「その……兄様……式、もうあげる……?」

 

 腕の中でしばらく痙攣していたシロはうっとりとした顔で教会を指さしていたが、それはまだ早いとやんわり断る。彼の柔らかく折れてしまいそうなぐらい儚げな手を取り、街の中心部へと向かう。まずはデートから。絶賛戦争中だけどデートからね。

 

 

 

 

 

 

《赤黒陣営が三白城に攻め込むまで残り9時間》

 

 

 

 

 

 

 

 





竿繋ぎの多元性交(パラレル・セックス)

ランク:EX
種別:概念宝具
使用者:ビースト0/デアー
こんなん宝具にしてるとか他の英霊達に恥ずかしくないの君? 英霊ではなくビーストなんで(恥ずかしく)ないです。
本文で述べた通り、同時並行セックスを可能にした第三宝具。
発動条件としては――
1:存在する全てのビースト0/デアーがセックスをしている事が前提。
2:一人でも本人がセックスではないと解釈した行為をしている時点でこの宝具は発動しない。
3:あくまでセックスの基準はビースト0/デアーにおける物なので家族と共に過ごす時間も彼にとってセックスであると解釈されれば、この宝具の発動条件は満たす。
4:仮にこの宝具の発動中、一体だけ討伐しても意味は無く、存在している全てのビースト0/デアーを同時に殺害しない限り、この獣の生命が停止する事は無い。

らしいです。何言ってるかよくわかんないね。
ビースト0/デアーである彼はスキル『一交一生(ワンライフ・ワンセックス)』と同様に一つの人生を全ての彼女達にそれぞれ満遍なく捧げたいからこそ産み出した宝具。やっぱ頭おかしい。
実はこの宝具でカルデア島でも関係を持っている全ての女達と同時多発エロを行ってみた所、島のインフラが一時停止。目も当てられない大惨事になったらしい。ぐっさんパイセンに滅茶苦茶叱られた模様。






人類悪:デアー

第一宝具:『白式官能』
第二宝具:『模倣英霊』
第三宝具:『竿繋ぎの多元性交(パラレル・セックス)
第四宝具:『通い妻オーバーラン』
第五宝具:――
第六宝具:――
第七宝具:――





《白の陣営》
白のマスター:白のビースト
白のセイバー:セイバーリリィ
白のアーチャー:アタランテ
白のランサー:哪吒
白のライダー:司馬懿(ライネス)
白のキャスター:アビゲイル・ウィリアムズ
白のアサシン:刑部姫
白のバーサーカー:ペンテシレイア
白のルーラー:ジャンヌ・ダルク












モーさん、念願のアーサー王に出会ったと思ったら雌になっててさらにボコられてPTSD発症して、そんな父上が窓から縛られたまま見知らぬ男に犯されて悦に浸ってるの見せられるとか一生もんのトラウマなんだよなぁ。

重要な伏線とか情報はギャクやエロで隠しちゃいましょうねぇ~。




シロ君のエロは次回(ネタバレ)。



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