出来れば、1話でまとめたかったけど、それをすると更新がもっと遅くなる&文字数がわや多くなるという事で分けて投稿します。基本一話完結だからね、偶には例外もあるって事で。
あ、後カルデアコレクション、ブリュンヒルデ。クレオパトラ、剣ネロ更新しました。
CCCイベが終わってから5ヶ月以上……ずっとこの話を書きたかった。
――いつかの話。
カルデアの運営における重要な資金源の一つ海洋油田基地セラフィックス。
そのセラフィックスとカルデアの定時連絡の時間に事は起きた。
何者か、からの突然のSOS。マリアナ海溝へと沈み、特異点と化したセラフィックス。
現在のカルデアでは不可能な未来へのレイシフトを行う為に超上級AI、BBと名乗る謎の少女が手を貸す。
彼女が挨拶代わりに始めた『BBチャンネル』が、アルテラにハッキングし返され、『アルテラちゃんねる』に乗っ取られるという珍事もあったが、BBの名誉の為に割愛。
何はともあれ、カルデア唯一のマスターは彼女の力を借り、レイシフトへ。
突発的な特異点へのレイシフト……いつもの如く彼と行動を共にする為、付いてきてるサーヴァント達も言うまでもない事だがいる……そう、
「申し訳ございませんが、顔は無害系、中身は人外系のセンパイにはハードすら生温い、ルナティックモードに挑戦して頂きます」
「連れ添っているサーヴァント達も全員シャットアウト、カルデアへ強制送還させて頂きました」
「電脳の海を彷徨うサーヴァント達も皆、話が通じない狂化系サーヴァント限定です。下手にチョロそうな女の子サーヴァント用意してセンパイに即オチさせられてもアレですし?仲間フラグも木っ端微塵にへし折らせてもらいました」
「…………まぁ、それだとさすがに無理ゲーなので、海よりも慈悲深いグレートデビルなBBちゃんは救済措置を哀れなセンパイに施してあげるのでした♪」
「………………私と袂を分かった壊れかけの二人の人形。それがセンパイに力を貸してくれるか細い蜘蛛の糸です。それまで、孤独な孤独なSE.RA.PHでのバケイション、どうか楽しんで下さいね」
(ここまで徹底するぐらいにはあの性悪発禁女もセンパイを警戒しているのでしょうか?私からすれば、発禁具合はセンパイもあの女もいい勝負な気がしますが)
「私がやる事は変わりませんけど、ね。どうか無様に面白おかしく足掻いて下さいセ・ン・パ・イ♡」
「ふぅ、……………………というか私の『BBチャンネル』に平気でハックをかましてきたあの褐色白髪Tシャツサーヴァントマジで何者なんですか…………『アルテラちゃん』とか言ってましたけど…………まさか、ですよね……」
ポツンと一人デジタルチックな世界へレイシフトしたマスター。
セラフィックスを見たことのない彼は「結構ハイカラなデザインをした油田基地だなー」と見当外れの事を考えながら、辺りを散策していた。
サーヴァントを一人も連れていない彼はSE.RA.PHで行われている聖杯戦争に傾倒している狂化サーヴァント達にとっては格好の餌食だった。
丸腰のマスター、恐れるに足らず。誰もがそう思うだろう。
「愛ッ!恩ッ!ッ讐!」
――グシャアァッ!!
追い打ちの如く、地に伏せたサーヴァントの頭に拳骨を叩き込むマスター。
透き通った霊子で構成されたガラスのようなSE.RA.PHの地面ごと粉砕させかけている一撃でサーヴァントを塵へと帰させていた。
彼曰く、この武術はエドモン直伝『ファリア神拳・改』なるものらしい。
復讐者たる巌窟王の恩讐力にスパイスとしてマスターの溢れる愛をプラスした『ファリア神拳・改』。師匠たる巌窟王をリスペクトするように黒いモヤを出して、クハハと笑いながら敵に拳を叩き込み、時折数人に増えたりして戦うマスター。「愛ある拳に防ぐ術なし!」と叫び敵エネミーを屠るマスターはこの武術を授けてくれた巌窟王に感謝していた。
『…………共犯者よ、お前にそんな物を授けた記憶は無いぞ…………いや、もう何も言うまい。自身の道を突き進めばいい。お前には全てが許されている……が、その名称だけは承認出来ん』
彼がいればそんなツッコミがされていたかもしれない。
しかし、律儀なツッコミをしてくれる相棒もいなければ、いつも傍らに寄り添ってくれるサーヴァント達、モニター越しに語りかけてくれる変態芸術家に愛しき後輩の姿も無い。
「寂しいなぁ……」
そうぼやきながら、彼はどうしたものかと思考を続ける。
人外系頭おかしいマスター筆頭に名を連ねている彼だが、基本的に寂しがりやなのだ。彼が数多のサーヴァント達と交わって(性的にも)いるのも人一倍その傾向が強いからかもしれない。
彼はもしかしたら、一人であらゆる事を為し得る可能性を持った存在かもしれない。
だが、彼にとってそんな物は何の意味も持たない事だった。
たった一人で何か出来たとしてにそれに何の意味がある?たった一人で勝利を掴んだとしてそれに何の意味がある?
一緒に喜びや悲しみを分かち合う仲間が、自分のやる事に反応を返してくれたり、怒ったり、呆れたり、引いてくれたり、嬉しがってくれたり、そんな多彩な表情を見せてくれる仲間の温もりがなければ虚しいだけ。
ともあれ、そんな個人的な感情はカルデアに帰った後で別(性)の方法で発散するとして……いまいちこの特異点におけるゴールが見えないマスターは困っていた。
このまま狂化サーヴァント達をひたすら屠ってこの特異点が解決するならそうするが、それでは駄目だと直感が囁く。こう大まかでもいいから攻略ルート的なものが欲しい。この現在のセラフィックスの事情に精通している誰かでもいてくれればいいのだが。
そんな願いに応えてくれるように彼の視界がジャックされ、この特異点に自分を送り込んだ少女のやけにエネルギッシュな声が聞こえた。
『BBチャンネルゥゥッ!!』
「ふふん、SE.RA.PHのサーヴァント達を拳でボコる傍若無人な脳筋プレイをするセンパイに少々ドン引きしながらもインテリジェンスなアイディアを授けてあげる私のにやあああああああああああぁぁっ!!?」
一人ぼっちで寂しがっていた彼は思わず、目の前の少女のお腹に抱き着いてしまった。
たとえその相手が自分をこの状況に陥れた張本人だったとしても、カルデアに現れた時にアルテラちゃんに番組を乗っ取られて半ベソをかいていた哀れな少女だろうとも。
顔見知りが現れた事に寂寥感が爆発してしまった彼は条件反射のように温もりを求め飛び込んでしまったのだ。
それはもうスリスリと、傍目を気にせずスリスリと。
「ちぉおおおっと、待ちなさいってば!!確かにBBちゃんの魅力にメロメロになってしまうのは致し方ありませんが、さすがにそこまで許したつもりはありませんよぉ!ってもおおおお!顔をスリスリしなああぁいいっ!!こらっ!めっ!めっ!ですよ!センパイ!!……だから、なんでさっきから私のスタンが効いてないんですかぁぁ!!ハウス!ハウスッ!ハウスですってばぁ!センパアアアイ!」
人恋しさ120%となってしまったマスターはその後、BBの
「…………なんですか?あれですか?普段は人外っぷりをアピールしておきながら、こういう時には弱い所を見せてギャップ萌えでも狙ってるんですか?あざとい、さすがあざといですねセンパイ。いきなりのお触りでBBちゃんもうプンプンですよ!はい駄目!ダメです!そんな捨てられた子犬のような可愛らしい瞳でこっちを見つめてもダメですからね!正座を崩さない!!え?パンツが見えてる?残念!これはレオタードです!パンツじゃないから恥ずかしくありません!『だがそこがいい(キリッ』じゃないです!本当に反省してます?」
BBのガチ宝具を受け、頭にたんこぶを作り、彼女の前で正座するマスター。
この人の耐久力どうなってるんですかという困惑はひとまず置いておく事にしたBBはさっさと本題に入る事にした。時間を取れば取るほどに彼のペースになってしまう危険性がある故に。
「――――というわけで128騎のサーヴァントとマスター達によるかつてないほどの大規模な聖杯戦争が始まっちゃってるわけなんです。しかも全員がバーサクってる対話無用情け無用の即戦闘展開!サーヴァントを連れていないセンパイなんてひとたまりもあり………………………………ま、まぁ、とにかくマスターはサーヴァントを連れていないと話になりませんよね?何故、セラフィックスが電脳化してしまったのか?その謎を解く為にもセンパイにはしっかりとかつ情けなく奔走してもらわないといけません!」
ビッと不良生徒を叱りつける教師のように指示棒をマスターへ指すBB。
「某有名RPGでもセーブといえば教会!何度も同じような事を聞き返してくるうっとうしい神父の話をAボタン連打で聞き流し、冒険の書に記録する……センパイにはそんな安息地でもある西洋の礼拝堂を目指してもらいます!BBちゃんマジ神GMって歓喜しちゃって下さいね?」
そう言ってチャンネルを消したBBの指示を疑う事なく十字架が目立つ礼拝堂を目指すマスター。
当然、道中に出くわすサーヴァント及び攻性プログラムは全てが問答無用で襲いかかってくる。「なかまにしますか」とかそれ以前の問題であった。
敵エネミーを払い除け、教会へとダイナミックお邪魔しますをしたマスター。
室内は壁には罅が入り、机、床には埃が被り、長椅子は乱雑に置かれているという荒れ果てた様相だった。
BBが言うような安息地のイメージとは程遠いものだったが、マスターには別段不満は無かった。
こういう古ぼけた教会も悪くない……見ず知らずの誰かと唐突でありながら運命的な出会いを果たしてしまいそうな雰囲気があると若干テンションが上がったマスターの瞳にあるものが映る。
構内の端、壁に寄りかかっている青紫色の美少女。ステンドグラスから漏れている光に照らされているその少女の姿はまるで絵画のような美しさと儚さを重ね合わせていた。
「…………だれ、ですか……?あなたは…………?」
――教会にて打ち捨てられていた壊れかけのプリマドンナ……メルトリリス。その日彼女は規格外の運命と出会った。
「カルデアのマスター……セラフィックスからのSOS……なるほど、事情はわかりました。しかし突発的な出来事とはいえ、たった一人でこの迷宮を歩き回るのは命知らずにもほどがありますよ?運良く礼拝堂にたどり着いたから良かったものの、一歩間違えれば貴方の全てが終わっていたのかもしれないのですよ?」
カツカツと電子の海に響く人ならざる足音。電脳化したセラフィックスの謎を紐解く為にマスターと一人の少女が歩く。
振る舞いは貞淑であってもその見た目は過激で嗜虐的であった。
凶悪な棘で出来た鋼鉄の具足。腕をすっぽりと隠している黒色の袖。そして、跳んでしまえばお尻が丸見えになってしまいそうなぐらいに防御力に難がありそうな股間の装備……本当に必要な部分しか隠していない彼女の女の部分に取り付けられている銀色のファウルカップ。
雰囲気だけではなく、その格好のみでも彼女が普通の存在ではない事がわかる。
「……いえ、魔力切れを起こして消滅一歩手前だった私が言う台詞ではありませんでしたね……えぇ、ありがとうございます。私と契約を交わしてくれて…………ですが、どうして私と?今の貴方にサーヴァントが必要だというのは良くわかります。けれど、自分で言うのもなんですが……私の事を怪しく思わなかったのですか?恐ろしいと思わなかったのですか?」
「え?」
「…………いや、その『何言ってんだ、コイツ?』みたいな顔止めてください。少しイラッとします」
「大丈夫、大丈夫。これでもサーヴァントを見る目には自信があるからさ」
「普通のサーヴァントじゃないのに?こんな異形な姿でもですか?」
「うちのカルデアじゃ、全然平均的だよ。むしろキャラが大人しくて逆に心配になるレベル」
「…………ふ、ふふふ、そう、ですか……。そんな話を聞かされては興味が湧いてしまいますよ。貴方の言うカルデアという所に。一度行ってみたいものです」
きっとそれは無理だろうなと、自嘲する気持ちを隠しながらメルトは笑う。
「それなら――――」
マスターが言葉を続けようとした瞬間に巨体が二人の前に立ち塞がった。
3mを超える黒き巨体。体中に文字が浮かんでいる偉丈夫。
存在感、その佇まいだけでもひれ伏してしまいそうになる程の覇気。
「サーヴァントッ!!」
「ダレイオスくん!?」
「イスカンダルウウウウウゥゥッッ!!!」
BBの言う通り、ここにいるサーヴァント達は皆、等しく狂っている。そしてマスターたる彼がカルデアで契約を結んだサーヴァントはこの聖杯戦争には参加していない。
話など通じるわけもなく、既に戦闘態勢に入っているバーサーカーを前に、メルトとマスターはたった二人でこの死地を乗り越えなければならない。
「マスター!!すぐに私から離れて下さい!…………いえ、離れすぎないように私の目が届く範囲にいて下さい!」
契約を結び、なんとかサーヴァントの体を成した身ではあるが。それでも自身のスペックは現在最低クラスまで落ち切っている。
この死を象徴したかのような怪物を相手に自分は勝てるのだろうか。
(それでも……あの人は、あの人だけは守ってあげないと……!)
――ついさっき会ったばかりだけど。死にかけていた私と……異形でしかなかった私と契約を結び。何も恐れる事も色眼鏡で見る事もなく、それでも何も知らない私の不安を紛らわしてくれるように暖かく話かけ続けてくれた彼をここで死なせたくない。
教会にて打ち捨てられ、初期化されていたメルトの心にはそれだけがあった。
あんな優しい人をこんな所で死なせては駄目だと。きっとさっき話してくれたカルデアには彼を待っている人達がたくさんいる。自分なんかより素敵な人がたくさん。
それは少ししか一緒にしかいなかった自分にもわかる事だと。
焦燥感と不安と決意を心に宿しながら、自慢の脚を構える。
「きなさい!バーサーカー!あの人には指一本触れさせないわ!」
戦力差は絶望的、それでも何故かメルトは負ける気がしなかった。一人だったら挫けていたかもしれない。けれど今はマスターという存在が……彼がいる。
(ほら、こうして今も私の隣で手を握って……………………)
「って何してるんですかああああああぁっ!?」
「だって、さっき『私の目が届く範囲にいて下さい』って……」
「その前に私から離れて下さいって言ったでしょう!鶏頭ですか貴方は!?」
メルトの驚愕の叫びもどこ吹く風。ダボダボの萌え袖からメルトの手をギュッと握っているマスターには焦りも不安も無かった。
「そらっ!奴さんも来てるから話は後!いくよっ!ワン!ツー!」
「え、ちょっ!…………きゃっ!?」
(あれ……なんか体の調子がいいような?)
手を握ったままマスターと共にバーサーカーの前へと踊り出すメルト。
そして彼にエスコートされるまま、息ピッタリのタイミングで音を置き去りにする程のハイスピードで繰り出される二人の蹴り。
「ォォォッッ……!!!」
それは凶悪な双斧が二人に振り下ろされるよりも先に黒き巨人のどてっ腹へクリーンヒットした。
マスターとレベル1のサーヴァントによる蹴り。
ステータスも高水準であるバーサーカーに効くワケもない筈なのだが、敵サーヴァントは苦悶の表情を浮かべ、後退した。
(効いてる……?それに、マスターに手を握られてから体が……軽い……)
このカルデアのマスターは多くの女性サーヴァント達と(性的に)通じている。
そして、彼と関係を持った彼女達は等しく皆、霊基が強化されたのではと錯覚するぐらいには調子が良くなる。
特にこってりと体の中に魔力(精)を吐き出されれば吐き出される程にその戦闘力は格段に跳ね上がっていた。もしかしたら、それは将来的に彼女達が新たな宝具を手に入れる可能性を持つほどに未知に満ちたマスターの固有技能のようなものまでに達しているのかもしれない。
そしてアダルトな関係だけではなく、そう、例えば手を触れるだけでもいつもよりも強くなる事が証明されている。
一番わかりやすいのがマシュ。彼の盾による守りはマスターと一緒に手を握りながら構えた時にその防御力は尋常じゃない堅さを発揮していた。
かの冠位時間神殿における最後の戦い。魔神王ゲーティアが放った『
『私を貫いていいのは先輩の(自主規制)だけです――――ッッ!!』
その叫びは終局特異点中に響き渡ったそうな…………。
閑話休題。
マスターは考えた。
ならば彼女達と常に触れながら戦えば、ベスト以上のコンディションで戦闘に臨めるのではないのかと。
そうして至ったのがこの手をつなぎながら踊るように戦う武術。
「俺はこれを『
(初期化している私が繰り出したとは思えない程の攻撃……それに指の感覚がほとんど死んでいる私がマスターの手をちゃんと感じられている)
「イッスカンダルゥゥゥゥッッ!!!」
さすがに一撃でやられる事はなく、仕切り直しですぐに復帰し、二人を引き裂くように斧を切り下げるバーサーカー。
「スイッチ!」
「え、えぇ!」
マスターとサーヴァントの契約を結んでいるおかげか、それとも彼に手を握られているせいか……メルトリリスはマスターが次にどう動くのか、何を望んでいるのか手に取るようにわかってしまう。
掛け声と共に二人は一度手を離す。豪撃を回避しつつ、背中を軸にダレイオスの左右を通りながらターンし、バーサーカーの背後でまた手を繋ぎ合流。
「ウォォォォォッッ!!」
それでも戦闘面に特化したサーヴァント。下ろした斧を振り向き様に横一閃、自身の背後にいるメルトリリスとマスターを粉殺しようと力の限りを振るう。
しかし、その攻撃は二人に掠ることなく、通り過ぎた。
そう……しゃがみ込むマスター、その上を跳んでいるメルト。二人の間を通過するだけに終わってしまったのだ。
斧が通り過ぎたのを見計らい、逆立ちの体勢でマスターの背中に着地するメルト。
「冷や冷やするっ……!」
ぶっつけ本番、命がかかった正念場で即席のコンビネーションを披露する事になった故にメルトもさすがに冷や汗が浮かぶ。それでも彼のマスターの体に触れている今の状態なら抜群のコンディションで攻撃を放つ事が出来る。
マスターの背中の上でカポエラーの要領で体を回転させたメルトは魔剣ジゼルによる斬撃を叩き込んだ。
「これで!」
「フィニッシュよ!」
「――――――ッッ!!?」
流水の如き怒涛の連撃による致命傷をくらったバーサーカーはゆっくりと倒れながら、光の粒子となって消えていく。
カルデアのマスター。本人曰く、確かに一人で戦えない事もないが、やっぱり皆と一緒に戦うのが一番落ち着くとの事。逸般人、コミュ力、人外、性癖、絶倫……彼の特異な点を挙げればキリがないが、やはり一番目が引くのは特に女性サーヴァントに対しての影響力かもしれない。
レベル1状態だったメルトが高ステータスを持つバーサーカー相手に金星を上げる事が出来たのだから。
「…………ハァ、ハァ、ハァ……マスター……貴方、一体何者なのですか?」
「ふふん、知りたい?」
戦闘後で気が緩んだのか、腰が抜けてその場に座り込んでしまったメルトに手を差し伸べたマスターはさっきバーサーカーの乱入で中断された言葉を続けた。
「それなら―――おいでよ、カルデアにさ。俺はこのまま君と即席の関係でさよならってするつもりはないよ」
少し、いやとても不思議なマスター。
アルターエゴとたった一人の彼による孤独な円舞曲。
敵はあらゆる所から湧いてきて、数も終わりも見えない死地だった。
あの人を守れないんじゃないかって泣きそうになった。あの人の力になれないんじゃないかって挫けそうになった。
それでもあの人はそんな私の悩みを吹き飛ばすようにいつだって手を引いてくれた。
踊るように、舞うように、絶望的な戦場を二人で手を握りながら、駆け出す。
『神経障害』を抱えている私が貴方に握られた手を、その暖かさを感じる事が出来るのが嬉しくて嬉しくて、戦いの最中でも笑ってしまった。
マスターはそんな私を見て、釣られたように笑う。
二人で笑いながら、手を握りながら、この電子の海を踊り続けた。
『さぁ、センパイ!BBスロットの時間ですよ!乙女コースターレッツゴー!おぉっとバァッドラックゥ!!』
「ハレルヤッッ!!」
『ストォォップッ!!スロットをブッ叩いて回し直すとか無しですから!!そういうゲームじゃないですから!!』
偶に……いや結構な頻度で奇天烈な行動を取るマスターに驚かされながらも、彼と一緒にいる時間は本当に飽きなくて、泣きそうになるぐらいに楽しかった――――。
『さぁ、さぁ、さぁ!SE.RA.PHの裏側に行くにはBBちゃんによる霊子通販サイトで特別販売しているこのこちょこちょアームが必要です!今まで私に対して扱いがおざなりだったセンパイもさすがに私に頼るしかないでしょう』
「道具など無粋。真のマスターは手でイかす!」
「その場にしゃがみ込んで、何をするつもりですかマスター?」
『ぶっぶー、無理ですよセーンパイ。いくらあなたでも道具を使わないでこのステージを裏返させるなんて、ちゃんと人体の弱点である腹部……フランク・セパレータのエリアまで行ってこのマジックアイテムを使わないと……そんな太もも部分の所を素手でくすぐったって…………』
「何故、人体の弱点が腹部だけだと決めつける?俺が触れば、その場所がもう弱点だというのに」
『うえええええっ!ちょっと、ちょっと、ちょっと、何ですかこの尋常じゃない揺れは!?』
「『私が悦ばす。私がイかす。私が昂らせ、私が啼かせる。我が手を逃れうる者は一人もいない。我が眼の届かぬ者は一人もいない。悶え震えよ。 幼き者、成熟した者、あらゆる女体を私が招く。私に委ね、私に学び、私に従え。―――絶頂は此処に。受肉した私が誓う――――“
『うわああああん!なんですかこの存在がR18なセンパイはぁぁ!!本当に素手で無理矢理背中エリアに到達しやがりましたよ!!』
「…………もの凄くえげつない指の動きをしてましたよ。マスター…………」
一緒にいる内に彼がどういう人なのかわかってきて、マスターの事を知る度に一喜一憂して、そんな普通の女の子みたいな自分の反応も何だか嬉しく思えて――――。
「やっと、元の力まで戻ったわ。ふふ、どうかしたのかしら、マスター?これが本来の私よ。自分がどれだけ危険な存在と共にしていたのかやっと理解出来たよう……キャッ!!?」
アルターエゴとしての本性を見せようが、あの人はお構いなしに距離を詰めてくる。
私が力を取り戻したのをまるで自分の事のように喜んで、私を抱き締めて、子供のように持ち上げて、その場をクルクル回り始めた。
「あぁ、こらっ!もうっ……!ホントに気安いわね!触れる時はもう少し注意を払いなさい!膝の棘が刺さったらどうするんですか!!」
彼をカルデアに帰す為、時間の猶予は許されていない旅路だけど、それでも私はどうかこの時間が少しでも長く続きますようにと不謹慎にも願ってしまった。
「アァ――アアアァァァ―――――!!」
『今度こそ、今度こそ……今度こそはっ!私の力が必要でしょう!センパイ!さぁ、センチネルであるリップの心へずばっと乙女コースターが出来るこのコードキャストを購入する時です!えっちい拘束具姿になっているあの娘を解放して上げて下さい!!』
「視界に映り、自身の手に映る物なら距離関係なく、圧縮出来る能力か……。ふ、こっちだって似たような事は出来るんだリップ!『百式官能 弐の掌 揉の型』!」
『あ、そうですか。ガンスルーですか。いらないですか。はい、いいですよ~。何となくわかってましたもん。もう最初のコンタクトで威厳のへったくれも無くなったBBちゃんにはいじられキャラがお似合いですもんね~~……』
テンションがだだ下がりになり、体育座りへ移行したBBは放っておいて、私は目も止まらぬスピードでリップに迫ったマスターに視線を向けた。
「リップ、君の敗因は速さが足りなかった事だ。君がその手を握るまでの間、俺は何百回、君の胸を揉む事が出来ると思う?」
「アアアアアア………アンゥッ!?アッ、ンぁぁ……!あぁ!」
「何してんのよぉぉ!あなたはぁぁっ!!?」
指を激しく振動させ、リップの豊満過ぎる胸の上を両手で這いずり回わしながら、こちらの方を向くという器用な真似をしているマスターはキョトンとしていた。
「いや、だってほら。この娘の拘束具を解放してあげないといけないし……」
「BBの話を聞いてなかったの!?センチネルから解放するには心の中に入る必要があるって!」
「…………会って間もない女の子の心の中に入り込むなんてそんな恥知らずな真似、俺に出来るわけないじゃないか!」
「あなたが今、やっている行為よりは100倍マシよぉぉっ!!!」
「あひぃっ……ひぁぁっ……あ、あんぅ!あぁ!あぁぁっ……!」
でも信じられない事にぶら下がった柔肉を存分に歪まされ、喘いでいるリップの叫びは最初の時と違って、感情の色を感じさせていた。しかも彼女を纏っていたKPが剥がれ落ちていく気配まで感じる。
確かに、確かに……これならリップをセンチネルから解放出来るかもしれない。
けど、もう少し方法は何とかならなかったのかしらっ!?
「あぁっ、えぁっ!ひんぅ!あぁ、っあぁ!あんぁぁっ!ふぁぁっ!!あ!あぁ――!」
「うわ、凄い揉み方。何よあれ、人間の手ってそんな動き方も出来るの?……待って、待ちなさい。そんな所までつまむの!?ちょっと、だめよだめ。あんなの耐えれるワケないじゃない……あ。あ、あぁ……うわ、うわー、うわー、うわぁっ……」
止めるべきか、止めないべきか。リップの乙女心を思うなら前者。彼女をセンチネルから解放してあげるなら後者。
結局、決め切れなかった私はただ、自身の顔を両手で隠し、時折、指を開きながら、覗き込む事しか出来なかった。
「あ!あぁぁぁっ!あぁぁぁっ!あんんんぅっ!ひあああぁぁっ!!ああああぁ――――――――――!!!」
拘束具が全て剥がれ落ち、いつの間にかマウントポジションでマスターに揉み殺されていたリップの絶嬌が響く。
その時の顔は幸せそうには見えたけど、乙女としては見せられない顔でもあった。
―――ペタペタ。
私は無言で自分の胸を触り続けていた。深い意味はない。
終わりが近づいている気がする。確証はないが、このSE.RA.PHでの彼との旅も、戦いも終着に近づきつつあるそんな予感が。
もはや、お馴染みになった礼拝堂の前に私と正気を取り戻したリップの二人がいる。
マスターの彼は二階の宿泊室で先に休ませてある。人間である彼の方が私達より疲れを感じやすいだろうから。
…………最近はその必要性も無いような気もしてきたけど。
「いいの、メルト?」
「何がかしら」
「私はマスターさんから助けてもらった…………でも、メルトはまだセンチネルのままでしょ?」
「………………」
「大丈夫だよ!マスターさんならきっと優しくしてくれると思う!」
「……待ちなさい。貴方、彼にどう助けられたのか覚えているのね?」
「ぴぅっ」と顔を真っ赤にして声をあげたリップはその巨大な爪で床をモジモジと引っかきながらボソボソと呟いてた。どうやら、マスタ-の魔手で揉まれまくり、センチネルから解放されるという前代未聞の助け方をされたのを覚えているようだった。
「…………う、うん。ぼんやりだけど、何か凄い事されたのは覚えてる。あんなの初めてで、気持ちよくなり過ぎて、頭がどうにかなっちゃいそうだったけど。マスターさんが私を助けてくれようとしている一生懸命な気持ちが伝わってきたから怖くはなかったよ」
「私もリップぐらいのモノがあれば、良かったのかもしれないわ……ふふ、自分の体に絶対的な自信を持っていた私がこんな台詞を吐くなんてね……」
「メルトは綺麗だし、可愛いよ!昔みたく意地悪ばっかり言わなくなったし、私みたいに大きくないし……」
「彼は大きい方が好きなんじゃないかしら?」
「マスターさんが一度でもそんな事言ったの?手を繋ぎながら戦ったり、戦闘に勝つ度に二人で抱き締め合ってグルグル回ってるぐらいに仲良くなっているのに、メルトってばここぞって時にチキンになるね」
「……うぐっ、言うわね。貴方だって私と似たような事されてるじゃない」
「う、うん……。あれは本当にビックリした。こっちは潰してしまうんじゃないかって気が気じゃないのに、平気な顔して私の爪を握ってくるんだもん。しかも私の体だって重いのに……無理して持ち上げて、抱き締めて、褒めてくれなくてもいいのに……」
おそらく彼は無理はしていないと思う。「女の子の体なら何キロだろうと軽い軽い」と笑ってリップと勝利の抱擁をしていたあの人は多分、何かの間違いでリップの爪でクラッシュされても平気な顔で笑っていそう。
付き合いが短い私もあのマスターはそういう人種だって半分諦めるようになったし。
…………何だか、だんだん腹が立ってきたわ。こちとらあの人の行為一つ一つにドキマギしているというのに、当の本人は今も宿泊室でのほほんとしているんでしょ?
私は快楽から生まれたアルターエゴ「S」。嗜虐心の塊よ。やられっぱなしじゃ終われないわ。
「…………彼の所へ、行ってくるわ……」
「……!やる気になったんだねメルト、頑張って!どんなに声を上げても聞こえないように私は外で待っているから!」
「気遣いどうもねっ!!」
リップの激励を受けて、やけくそ気味に返答をした私は礼拝堂の中に入る。これから彼と教会には相応しくない行為をするという決意を胸に。
――ギシギシと木製の階段を誰かが上がる音がする。
二人しかいない礼拝堂では音が良く響く。きっと宿泊室にいるマスターにもこの音は耳に入っているだろう。
二階へ上がったメルトは彼がいる部屋前に立つ。
「ふぅ――……はぁ――……すぅ――……はぁ―――……ふぅ――――――――――――…………ふぅ――――――――…………はぁ―――――――――――――――」
長すぎる深呼吸を終え、扉を開く。
(やっぱりいた。……全く、平和そうな顔をして)
ベッドの上で座り込んでいたマスターの顔を瞳に映し、微笑を浮かべるメルト。
この人畜無害フェイスに一体何度騙された事か……今までの戦いの軌跡を思い浮かべ、少し瞳が熱くなった。
(今度は私が貴方を驚かせる番よ……愛しのマスター)
「あら、驚いた?そうね、今日はもうお休みにしましょうって私が言ったのよね。まさかその張本人が部屋を訪れると思わなかったでしょ?」
ゆっくりと本当にゆっくりとメルトは歩を進めた。
「男女が密室にいる。夜……かどうかはわからないけど、寝る前の時間に。その意味がわからない程、貴方も初心じゃないでしょ?」
Sらしく獲物を前に舌なめずりする肉食動物のように嗤う彼女。
「喜びなさい。今から貴方に私の体を抱く権利を上げるわ。女神をベースとしている私の体は人間には勿体無い程に完成された美よ。一度味わったら離れられないぐらいの快楽の海に溺れさせてあげるわ。断っても駄目よ…………絶対に逃がしてあげないんだから」
(決まったわ……)
――――マスターが座るベッドの前にいるメルトの顔は真紅に染まり、膝は面白いぐらいにガクガクと笑っていた。
《本編でカットされた一番初めのBBチャンネル》
『BBチャンネ』
『アルテラちゃんねるぅぅぅっっ!!!』
「え、え、何!何ッ!何ですか!誰ですか、貴方!?私の番組ですよ!?っていうか只のサーヴァントがどうやって乗っ取ったんですか!?」
「全部答えるまで帰しま10ッ!!一問外す度にマスターから衣服を一枚剥ぎ取られるアダルト仕様!!」
「人の話聞いてますっ!?っていうか何ですかそのルールは!!?」
「第一問!『当カルデアにおけるアルトリア顔の人数を答えよ』」
「ぐぬぬ、お構いなしですか……まぁ、いいでしょう、その程度の問題、私が答えられないとでも?貴方達有象無象サーヴァントと私の知能の差を見せつけてあげるのも一興でしょう!シンキングタイムすら不要です!答えは『青セイバーさん・黒セイバーさん・白セイバーさん・モードレッドさん・沖田さん・ヒロインXさん・Xオルタさん・乳上さん・乳王さん・ジャンヌさん・ジャンヌオルタさん・ジャンヌ・リリィさん・ネロさんの13人!』サービス問題もいい所ですね!」
「正解はッ――――――……」
「…………ごくっ」
「残念!!ジャンヌの中にある別人格『神風魔法少女ジャンヌ』もカウントするので答えは14人!!」
「私のスカートがぁ―――ッ!!」
『
ザクシャインラブ。あ、これは違う方か。
このネタを見てクスッと来た読者は作者と同年代のジャンプ愛好家と見た。
良くも悪くも女性サーヴァントに影響を与えるマスターの性質を生かした戦い方、女性英霊の調子も良くなる。マスターも一緒に戦う。つよい
彼にとっては肉体の接触から既に精神の方にも多大な影響は与えれるわけであり。今回リップをモミモミして助けたのも彼のそういった特質を生(イ)かしたと言える。いきなり心の中に入って、噂されるのも恥かしいし、それなら胸を揉んで終わらせた方が大分健全だと思うの。
手を握りながら戦ってあれだけの戦闘力が出るなら、いっそ頭がふっとうしそうだよぉ的な感じで挿入しながら戦った方がもっと強くなるかもしれないけどね。まぁ、そんな戦い方をしてくれるサーヴァントが…………。
ストーカーEX「……スッ」
牛母「……スッ」
毒娘「……スッ」
酒鬼「……スッ」
狂犬「……スッ」
サイコ魔女「……スッ」
白騎士「マスター、貴方が私の鞘だったので」
謎のヒロインX「やめなさい」
『
性礼詠唱。只の愛撫。詠唱に特に意味はない。その場のノリ。
メルトのヒロイン力を高めたくて、本番に入るまでに一話分使ってしまった。
CCC編は2話か3話で終わらせます。出来るだけ早く更新するように僕頑張るよ(死に体)。
メルトのたまに出る丁寧口調とかイイよね。