※この作品はR-18です。

おいでよ カルデアの森   作:一火

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どこの誰だよぉ! 3話で完結するって言った馬鹿はよぉ!












累計ランキング2位、感想、評価ラッシュが嬉し過ぎて2話連続投稿。こちらは1話目になっております。





テイルズオブセクステリアⅣ(アガルタ編 その3)

 街の中心に先客がいた。悪趣味な処刑場があるその広場で鍛え上げられた背を向けた女戦士がたった一人。

 

 

「来たか」

 

「あぁ、待ったかな?」

 

 まるでデートの待ち合わせのような言葉。「ううん、今来たところ」なんてふざけた言葉を彼女は返さないが。

 

 

 二日後。嘘偽りなく、ビラまで使って宣言した通りに俺は不夜城へと足を踏み入れた。眩い都市にも関わらず、辺りは静けさを包んでいた。チグハグな印象を受ける……。まるでこの世界には俺と目の前にいる彼女しかいないようなだった。

 

 不承不承、ツンツンツンデレぐらいの割合で俺のお願いを聞いてくれた武則天ちゃんは皇帝特権を使い、民を退去させてくれていた。余計な邪魔はもう入れたくないからね。

 

「極東の地には『一日千秋』という言葉があるらしい。たった二日でもこの戦いを待ち焦がれた私は悠久の時を過ごしたのかもしれんな」

 

 あの時の狂気に囚われた瞳ではなく、正しく俺を認識した気持ちの良い顔でこちらに視線を向けてくれた。

 

「我が精鋭達はここにはおらぬ。海賊共の警戒を命じてある……もう二度と邪魔が入らぬようにな」

 

「奇遇だね。俺も部下の皆には待機を命じてあるよ。邪魔が入らないようにアマゾネスを警戒してって」

 

「相思相愛か?」

 

「そうかもしれない」

 

 冗談めかして、二人で笑い合う。まるで長年の連れ添った親友のような気分になった。まぁ、これからするのは殺し合いなわけだが。

 

 そして彼女の姿も初めて密林で遭遇した時とは少し違った。物々しいモーニングスターも、腰に差された剣も、かぎ爪が付いた篭手も外してある。まさか、無手相手に武器を使うのを躊躇うような性格でもなかろうに。

 

「今日は丸腰なんだ」

 

「あぁ。だがこれは決して、貴様を軽んじているわけではない。考えたのだ……。貴様と本気で戦り合う為に、貴様を打ち倒す為に私が出来る事をな……。そして気付いた。武器の使用こそ、私にとって手加減をしている事になると……。そう、私にとっての一番の武器は――」

 

 国中に響いた轟音。

 ペンテシレイアは近くにあった民家に思いっ切り拳を叩き込んだ。粉々になって模型のように軽々と吹き飛んでいく家屋。その破壊力に感嘆して、思わず口笛を吹いてしまった。

 

「これだ。我が五体こそが最強の武器――。文句はあるか?」

 

「はは、まさか」

 

 本当の戦いというものによーいどんは無い。

 どちらから示し合わせるわけでもなく、自然とその体勢を取っていた。

 ペンテシレイアは獅子のような前傾姿勢。俺は足を開き、両手を上げ威嚇する熊のような体勢。

 

「さぁ、やり合うぞ。戦り合うぞッ!殺り合うぞッッ!!」

 

「あぁ、来なよ。いや、俺から行こうッッ!!」

 

 お互いを求めた二匹の獣が原始的な戦いには不似合な豪華絢爛な都市の中でぶつかり合う。

 もはや言葉は不要。ここからはお互いの全てを求め、出し合い、臓腑を撒き散らす逢瀬なのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 己の肉体だけを頼りにした野蛮なぶつかり合い、暴虐の逢引きは不夜城の舞台を容易く壊し続ける。

 

 ――実の所を言えば、その嵐を目の当たりにしていた者達はいた。決して彼等の邪魔をしないように遠目で観戦している者達が。

 

 

 

 

 

【イースの女海賊は語る】

 

「キャプテン?あぁ、そりゃあ最初は不安だったよ。アマゾネスと戦り合うなんて話を聞いた日にはさ。ほら、アタイ達みたいな荒くれ者にも優しいからさ。結構、ウチ(イース)では人気あるんだぜ?顔立ちとか振る舞いもイケメンだしな。姐さんもゾッコンだし。ただ、最初にキャプテンをこの国に連れて来た同僚がいっつもやけに怯えてんだよなぁ……」

 

「っとと話が逸れたな。だからさ、そういう所もあったから基本的に女には甘いと思ってたわけよ。いくらアマゾネスとはいえ、全力で戦う事なんて出来ねーんじゃねーかって。ま、すぐにその心配は杞憂だってわかったけどな。いや――見てて、ちょっとドン引きしたぜ。マジで容赦ねーのウチのキャプテン」

 

「うつ伏せに倒れた女の頭を踏み潰すなんて追撃かますか、ふつー?地面も当然の如く割ってたし、すぐに起き上がって頭突きブチかました女も女だよ。鉄で出来てんのかってその頭蓋骨。うん、やっぱどっちも頭おかしいわ」

 

 

 

 

 

【不夜城に住む男は語る】

 

「皇帝陛下の命により、退避をした時は何事かと思ったよ。まぁ、誰も文句は言ったりしないさ。そんな命知らずはこの国にはいないからね。噂では聞いてたよ、アマゾネスとイースのトップが戦い合うって話は。ウチのご主人さ……いや、この国の女共がワクワクしながら囁いていたからね、嫌でも耳には入るさ」

 

「だからどうせ、あの酷吏共の処刑みたく悪趣味なものを見せられると思ってた。この国の女共も期待してたんだろうさ、女に為す術なくボコられる男のショーをな。だが現実はそうはならなかった。あぁ、俺は思わず拳を握りしめていたね!自分でも何故かわからないが子供のようにかぶりついて見ていた。遠かったし、早すぎて何をしているかはわからなかったが何が起こっていたかはわかった。驚いたよ、人間の体ってぶつかり合うだけであんな音が出るんだな」

 

「不夜城の女共?あぁ、事が始まる前のニヤついた笑顔はどこへやら、傑作な事に青ざめていたよ。アイツらの中では男ってのは支配される側で、見下す側だからな。それがあれ程の力を持っていたら、いつ自分達に向けられるかわからないって怯えても仕方ないのかもな」

 

「あぁ、腕を振り上げて声を出してたね。自分よりも若い子が身一つであれだけの戦いを見せていた。興奮していたんだろうな。同時に自身の恥ずかしさを消し去る為でもあった。俺は一体、何をやっているんだって。こんな所で好きでもない女に媚びを売って、それでも男なのかって。眼を凝らして、少しでも焼き付けようと思った彼の戦いを。生憎、男ってのはいくつになっても『強さ』に憧れちまうもんなんだよ」

 

 

 

 

 

【アマゾネスの一人は語る】

 

「戦士である我らが息を呑む程の苛烈な戦いだった。周りの家屋を粉砕しながら不夜城を駆け巡り、時が経てば、経つほど、お互いの傷は増え、皮膚は抉れ、肉は露出し、血が流れていった。殴る、蹴る、絞める、噛み付く、頭突き、ありとあらゆる暴力を以て相手を叩きのめそうと二人は命を燃やしていた」

 

「笑っていたな。あぁ、女王がだ。珍しい光景だった。女王にとって闘争とは命の獲り合いであり、自身の強さを糧にする場……。ああいった顔を見せるのは稀だ。少なくとも私は戦いの最中にあれだけ笑う女王の顔を見た事は無い。よっぽどあの男との戦いを楽しみにしていたのかもしれない。これは噂なのだが……前日の夜、女王の住処からあの男の名前を呼ぶ声と水音が聞こえたと――……。いや、今の無しだ。オフレコで頼む」

 

「コホンッ……。と、とにかく、あの戦いはおおよそ余人が入り込めるものでは無かった。我らは当然、女王の勝利を疑っていなかったが、それでも『もしかしたら……』と頭によぎってしまうぐらいにはあの男は強かった。単純な身体能力に加えて、目まぐるしく変わっていく様々な武術……戦士として優秀なのだろう。そして最初の邂逅にて狂化した我らが女王を鎮ませる程の手腕……」

 

「不敬ながら、私は思ってしまったよ。あの男が女王の隣にいれば、我らに敵はいないと。あの仇敵たる『災害』も風のように吹き飛ばす事が出来ると」

 

 

 

 

 

【海賊公女は語る】

 

「えぇ、不安はあったわ。だって愛する人が死地に赴くのよ?けれど、そこで慌てず、信じて平静に待つのが佳い女というもの。…………え?戦いの最中に彼が傷つく度に飛び出そうになったのを部下達総出で抑え付けられていた?……誰かしら、そんな根も葉もない事を吹聴しているのは。あのお子ちゃまなんちゃって皇帝の言葉は9割が嘘で出来てるから、スルーなさい。あの人の子供を身籠ったかもしれないなんて妄言を平気で垂れ流す女なんだから」

 

「戦いの印象?そうね……。ちょっとだけ嫉妬しちゃったわ。エルドラドのバーサーカーにね。余人には殺し合いにしか見えないけど、私には微笑ましいデートにも映ったわ。だってあの戦いの最中、どちらも相手の事しか見えていないんだもの。恋は盲目?ちょっと違うかしら」

 

「まぁ、私にはあんなバイオレンスな趣味はないのだけれど。普通にベッドの上で可愛がられる方が好きよ。『愛する者を欲せ』『愛する者からは奪うな』……。私の新しいモットーよ。最近は焦らしプレイも好きになってきたわ。だって最後に絶対与えられるとわかっている我慢なら苦しくないもの。むしろ、絶頂への最高のスパイスになるわ。…………そういう話は聞いてない?」

 

 

 

 

 

【不夜城の女帝は語る】

 

「………………………………愚か、愚か、愚か、愚かに尽きるわ、全く。何が楽しくて、あんな野蛮な殴り合いをしてるのじゃ、あの阿呆は。一方的にいたぶるのは妾も好きじゃが、あれは理解の外よ。文明人がする代物ではないな。……せっかく妾が治療してやったのに、またぞ傷を作りおって……心配するこちらの身にもなれと…………ブツブツブツブツ」

 

「そもそも妾の不夜城を好き勝手に壊し過ぎなのじゃ!!あやつ、この戦いの前日に妾になんと言ったと思う?『邪魔が入らないように不夜城の人達の退避をお願いしたい。後、多分、街中滅茶苦茶になると思うから先に謝っておく。ごめん』…………ごめんて!ごめんで済んだら、酷吏はいらぬのじゃ――!!しかも、それを前日に言うか?国の主たる妾にじゃぞ!!」

 

「あん?やったわ。皇帝命令で退避させたから、きゃつらは好き放題、野蛮ごっこに興じる事が出来たんじゃろが。まぁ、物好きな連中が被害を受けない範囲で野次馬に来てたがそれは知らぬ、そこまで面倒見切れぬわ!全く、痛いのが好きなら妾がいつだって拷問してやってもよいのじゃぞ?」

 

「…………」

 

「…………筋肉質な女が好みなのかなぁ。妾だって皇帝特権を使えば……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はぁっ――……はぁっ――……!いるかっ……私の敵……!カル、デアよ……!」

 

「あぁ……!ここにいるとも……!」

 

 体中から血を流し、目にかかった紅を拭い、吠える戦士がいた。はは、ボロボロだな。満身創痍もいい所じゃないか。ま、俺も似たようなものかもしれないが。多分、色々と折れているだろう。けど、全く気にはならなかった。

 

 強かった。最初に邂逅した時よりも、その後狂化に囚われた時よりもずっと。この二日間で何があったのかは知らないが、彼女は格段に強くなっていた。サーヴァントは成長しない。ならばきっと心の持ちようが変わったのだろう。

 

「まだ……!やれるか!?」

 

「あぁ、やれる!だけど……」

 

 一対一、待ったなしの本気の殺し合い。シミュレーションでの特訓とは別次元。兄貴やベオニキ、書文先生はきっと、どこか手を抜いていてくれていたのだろう。

 ペンテシレイアは正真正銘、俺だけを見て、俺だけに触れて、俺だけを殺そうとしてくれた。あぁ、何て心地よい、今世界は二人だけで完結している。

 

「次で……多分、最後かな……」

 

「そうか……惜しいな!淋しいな……!だが、私もだ……」

 

 まるで空襲を受けたかのような残骸に乱暴な道が続いていた。ついさっきまで自分達がどこで戦って、どこを進んでいるのかすらもわからなかったが、ようやくほんの一息、決着の前の寸刻。どうやら俺達は最初の待ち合わせ場所。処刑場がある広場まで戻ってきていた。その処刑場も見る影もなく、破壊されているが。

 

 お互いに確信していた。もう次で出す技が最大にして最後。余力を残す事なくここが決着の地になると。

 

「何だろうな……。この気持ちは、私が死闘に対して初めて抱いたような……。あぁ、だがよい、よいのだっ!今はいい!今はもう余計な事は考えぬ!!ここで全てを出し切る事だけをっ!!」

 

 軍神の咆哮が輝夜に響く。燃える闘気のようなオーラが彼女を包む。考えるまでも無い……彼女の最強の宝具が向けられる。それと一緒に向けられる憎しみでは無い何か。ただとても強い想いという事だけがわかる。

 

「……う。…………がうっ!ちがう、違う……!貴様は……ではない!アキレウスでは無いッ!!私はもう……見失わぬ!!」

 

 体中が軋むように痛い。力を入れるだけで傷から血が噴き出す。……頭はぼやーっとしている。身体は火照るように熱い。服が今にも燃え上がりそうだ。あちこちがだるくて一歩踏み出すだけで倒れそう……。眼球から水分が飛んでいるが、彼女のの姿だけははっきりと見える。次に瞬きしたら、もう二度と目を開けないかもしれない。

 

 つまりベストコンディションだ。

 

 

「アァッ、コロス……、コロスゥ……、コロスゥ、コロスゥッ!!」

 

「『模倣宝具、複合技』」

 

我が瞋恚にて果てよ英雄(アウトレイジ・アマゾーン)!!」

 

 全身の血をエンジンとし、ロケットのようにこちらへ突撃して来たペンテシレイア、励起させた肉体が限界を超えて、俺の命を摘み取る暴虐の連撃となる。

 

「カルデアァアアアアアアアアア!!」

 

 ――『荒れ狂う悲しき竜よ(タラスク)』+『源流闘争(グレンデル・バスター)

 

「『荒れ狂う闘争(タラスク・バスター)!!』

 

 ならばこそ、俺が応えるのは小細工無しの鉄拳の乱打。

 自身の想いを鉄拳に込める凄女のように、あるいは最終的に信ずるのは己の肉体だと不敵に笑う狂戦士のように。

 

 ここからぶつけ合うは互いのこれまで積み重ねてきた集大成。技であり、力であり、そして人生。

 

「アアアアアアアアアアアアアァァァアアアアアッッッ!!!」

 

 息の仕方さえ忘れた無呼吸連打の応酬が続く。拳同士がぶつかり合う。何度も何度も何度も、痛々しい音を響かせて、殴り合う。

 腹を殴られる。顎を殴る。眉間を殴られる。頭蓋を殴る。互いに触れてはいない場所が無くなってしまうぐらいに。

 お互い、一歩も退く事は無い。前に前に、前!へと。後退のネジを止め忘れた馬鹿な男女はより近くへと――。

 

 あまりにも強いぶつかり合いが衝撃となって周りの瓦礫を吹き飛ばしていくという非現実的な光景を生み出していたが、それが一切気にならない。俺も相手も目の前の敵に心を奪われ、夢中になっていた。

 

 最後の技の激突。永遠に続くように思われた命の獲り合いもやがて終わりを告げる。時は平等に訪れるのだから、当然俺達にも。

 

 

「あぁ――」

 

 

 どちらが漏らした声だったろうか。

 

 骨と肉と力がぶつかり合う音が唐突に収まった。

 

 右手を思いっ切り振りかぶり、構えている俺、そして弾かれるようにして、無防備な体勢で両手を広げてしまっているペンテシレイア。

 

 彼女の血まみれで腫れた顔はどこか寂しそうにも見えた。一体、何を思ってそんな顔をしたのか……いや、今は考えるべき事ではないだろう。

 

 

「見事」

 

 

 彼女からこの勝負の結果を伝えるシンプルな二文字が送られた。

 返答はもちろん、拳で返す。出し惜しみ無く……ありったけを。

 

 

「獣拳性裁!!」

 

 振りぬき、最後の一撃を叩き込む。戦いを終わられる決着の拳を。

 

 彼女の体だけで止まる事を知らない一撃はそのまま突き進み、真下にある石畳の地面を崩壊させるまでに到る。彼女ごと下に叩き付けた拳は大地を砕き――。

 

 足場を失った俺達二人を何処へと落下させていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




【ある謎のキャスターからの手紙:1通目】

「初めまして。まだ顔も正体もわからぬ相手からの突然の手紙。大変失礼だと重々承知の上ですが、私も並々ならぬ都合上、こうやって間接的にでしか貴方と接触出来ない事をどうかご理解頂ければと思います」

「お詫びというより、信頼の証としては私の真名を晒します。キャスターのサーヴァント。シェヘラザードです。ダユーの元にいたキャスターは私です。今は不夜城のアサシンの元にいますが……。ただ見た事も無い者の真名を信頼の証とされても猜疑心を煽るだけなのですが、それでも今の私に出来る事は貴方に真実を紡ぐ事だけなのです。死なない為にも」

「真名だけでも不服というのなら、この世界の黒幕も一緒にお教えしましょう。貴方をこの異質な世界に引き込んだのは私です。正確に言えば、私の中に潜む魔神柱なのですが。ソロモン王の使い魔、七十二柱の一柱である不死の特性を持つ魔神柱、フェニクスがカルデアとの連絡も遮断させるという入念な準備の上で貴方をアガルタの世界に引き込んだのです。死んでしまいます」


【2通目】

「前回は気になる所で手紙を終わらせてしまい、申し訳ありません。語り部の質というか『今宵はここまで』精神が出てしまったというべきか。端的に言えば、フェニクスの目的は私の宝具によって完遂した伝承地表世界アガルタを浮上させ、現実の世界に墜落させる事による神秘の破壊。人理崩壊ではなく、人知泡沫によって人類の殺害、ひいては第一優先事項として貴方の殺害を目論んでいるのでしょう」

「私はその計画に便乗した共犯者とも言えます。彼の計画によって神秘の消滅、すなわち英霊の座の消滅。もう死が確約されている英霊召喚からの解放なのです。私がかの魔神柱に協力したのも、『死にたくないから』その一心のみなのです」

「ならば、何故魔神柱を裏切り、貴方にこうして手紙で計画を漏らしているか疑問に思っているでしょう。理由といえば、自身満々であの魔神柱がこのアガルタの世界は貴方を仕留めるにはうってつけの舞台だと息を巻いていたのを見て、このまま駄ラップ魔神柱に従っても酷い目に合うのでは?と私の長年培った死亡フラグセンサーが訴え始めたからでしょうか。貴方が一日でイースを落としたのは知っています。あの時は性的に死の危険がして、逃亡してしまいましたが、今になって考えるともう少し慎重に行動するべきでした」

「ともあれ、私は黒幕として、貴方に滅ぼされるのではなく、黒幕の内通者として貴方に内情を密告し、その成果によって今回は見逃してもらう方向にシフトしました。このままアレに従っても貴方にまとめて消滅させられる未来しか見えなかったので。ともかく私の中に潜んでいる魔神柱が表舞台に顔を出すのはこの宝具が完成した時、つまり貴方がこの特異点にいる英霊達を消滅させるか……あるいはそれと同等の別エネルギーを発動させた時です。その為には貴方にはいやがおうにも支配者達と関わる必要があります。死んでしまいます」


【3通目】
「手紙、無事読んでくれていると助かります。いえ、読んでくれなければ私が死んでしまいます。一応、文字にも信じてもらえるように誠実さの魔力を込めながら、文筆しているのですが。あ、そういえば私は今、レジスタンスに所属しています。表舞台には殆ど出ていなかったので野良サーヴァントとして信じてもらえています」

「不夜城のアサシンも自信満々に国を出てから戻ってきていないという事はそういう事なのでしょう。混乱している国を尻目に私は今後の為にもレジスタンスに組しました。唯一の女という事であまり快くない視線と情欲を向けられていますが……あぁ、欲望に染まった男は怖いです。死んでしまいます。後、偶に私の中で目覚めては駄ラップを披露する魔神柱が腹立たしいです。腹立たしくて死んでしまいます。ちなみにレジスタンスにいるサーヴァントはコロンブスです。男です」

「それと女海賊達がばら撒いているビラも拝見しました。これはアマゾネスをおびき寄せる。そういう目論見があるのでしょうか。いえ、この手紙に返答する必要はありません。私は貴方に情報を伝え、来るべき最後の時に私の言葉が嘘ではなかった。そう思って頂き、殺さないで頂ければそれで十分なのですから。レジスタンスももしかしたら、その日に不夜城へと攻め込むでしょう。絶好のチャンスですから。どうやらイースを支配している貴方も男達からは味方とは認定されていないようです。イースから逃げた男達によって恐ろしく伝えられている弊害でしょうか?私も形だけは軍師なので、何か策を考えろと命じられています。あぁ、戦争……嫌です。憂鬱です。死んでしまいます」














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