好き放題書いてます。本編とは多分……関係ないんじゃないかな……?エロは無しです。
君と私の聖杯戦争(序章)
レイシフトした位置が悪かった。運が悪かった。巡り合わせが悪かった。間が悪かった。全てが悪かった。理由はいくらでも思いつくのかもしれない。
「■ ■ ■ ■ ■ ■ ■――――ッ!!!」
「なんでよっ……なんでこんな事になるのよぉっ!!」
「先輩、所長下がってくださ……きゃあああぁっ!!」
「マシュっ!!」
燃え盛る街、生者の気配を一切感じさせない場に響き渡る咆哮。
あれよあれよといつの間にか雪山の上にあるカルデアとかなんとかよくわからない施設にやってきた藤丸立香なる少女は自分を先輩と慕う少女に守られる事しか出来なかった。
その少女――デミサーヴァント マシュ・キリエライトも目の前にいる理性を失った黒く巨大な怪物に為す術なく吹き飛ばされる。
その正に暴力化身ともいえる存在に藤丸立香もオルガマリー・アニムスフィアも震えるしかなかった。
「……っぅ!二人共っ……逃げてっ!!」
余裕の無いシールダーは叫ぶ。
後輩が、自分と性別も変わらない同年代の女の子があんな傷だらけで戦っているんだ。
どうしておめおめと自分だけ逃げれるのか。立香は目の前の怪物に恐怖を抱えたまま前を見据えた。
何が出来る。カルデアでの爆発が起きた時も下敷きになっていた少女の手を握る事しか出来なかった自分に何が出来る。このか細い手では戦う力なんて到底望めないだろう。
気に食わない。あぁ、そうだ気に食わないんだ。世界を滅ぼそうとしているどこかの誰かも、自分に諦めろと語りかけてきているようなこの現状も。
―――ふざけるな。
―――どこの誰だか知らないが私はこんな結末は認めない。
少なくとも自分が終わる場所はここじゃない。
マシュとは私服でお出掛けしたり、夜遅くまで恋バナでもしてみたい。
隣でヒステリックに叫んでいる所長だって打てば響くような弄り甲斐がある愉快な人なのだ。
乙女の部屋を勝手に休憩室代わりにしていたあの胡散臭いロマンとかいう男にも言いたい事はある。
自分はまだまだやりたい事がたくさんあるのだ。
―――私は笑って今日という一日を終えるんだっ……生きてやるんだ……!
人類最後のマスターは
戦う力も、逆転の手立ても、助けもまるで期待出来ない。それでも絶対に私は諦めないッ!
そう心の中で叫ぶ立香に無情にも黒い影が霞がかった怪物の斧が振り下ろされる。
「先輩!!だめぇっ!!」
悲痛な盾のサーヴァントの叫び声を最期に少女の人生は終わりを――――。
「――ところがどっこい、少女の冒険はまだまだ続くんだなこれが。
「……え」
誰かの驚きの声が上がる。もしかしたら、3人全員の声かもしれない。
立香に襲いかかろうとした怪物はいつ現れたのかわからない何者かの拳に吹き飛ばされていたのだから、驚くなというのが無理な話である。
藤丸立香の隣には、黒髪で、年もそう離れてなくて、どこか他人とは思えない少年がいた。
「『今日』という瞬間を存分に楽しみなさい。生きるというのはその積み重ねなんだから、自分が納得出来ない終わりなんてそれは抗うに決まっているじゃないか。いやはや、少女とは思えない程に漢気に満ちているよね、君。うん……俺よりは間違いなくまともなマスターだと自信を持って言えるよ。主人公力がパないの」
プラグスーツのような近未来的な白い衣装の上にそれとは正反対な古い魔法使いのような黒色のマントを羽織っているその少年は構えていた拳を解き、立香に笑いかけた。
「問おう、YOUが俺のマスターか」
つい、首を縦に動かしてしまった彼女はまだ知らない。このサーヴァントが色んな意味で
さぁ、シリアスの時間は終わりだ。
「吾輩はサーヴァントである。クラスはまだない」
「さ、サーヴァント……この土壇場で召喚に成功したっていうの?……何はともかく、よくやったわ藤丸!」
「先輩、無事ですかっ!!」
私を守った謎のサーヴァントが影の怪物を吹き飛ばしたことにより、安堵の空気が流れた。
多分、この人は私が召喚したのだろう……イマイチ実感はわかないが、ともあれ危険は……。
「■ ■ ■ ■ ■ ■ ■――――ッ!!!」
「ひぃっ!!」
瓦礫を吹き飛ばし、巨大な黒き影が立ち上がる。まだまだ元気いっぱいだぜという感じだ。
「シャドウサーヴァントとはいえ、いきなりチュートリアル段階でヘラクレスとか無理ゲーだよな。ちょっと運営、調整バランス間違ってんよー」
「ヘラクレス!?今、ヘラクレスって言った!?冗談でしょ!?」
所長が泣きそうな顔で叫んでいる。確かに私達も全く勝負にならなかったから強いのはわかるが、そこまでヘラクレスというのはアカンやつなのだろうか。
「マスターにわかりやすい説明だと……そうだな。ポケモン的に言えば、『威力90以下のダメージは”こうかはないようだ”で……それをくぐり抜けても一度でもくらった技は次からは”こうかはいまひとつだ”になって、なおかつHPバーが12本あるLv99の格闘タイプ』って感じかな?」
「なるほど確かにそれは無理ゲーだ」
「今の説明でわかったのですか!?」
「まぁ、今の彼の状態は弱体化とも言えるし、俺の言った事が全て当てはまるというワケじゃないけど、少なくとも現段階の君達が相手するのはちょっと無理があるかな」
「悠長に話してる場合じゃないでしょ!あいつこっちに来てるわよ!!貴方、英霊なのでしょ!何とか出来ないの!?」
「当然。その為に俺はここに来たのだから。”逃げるは恥だが役に立つ”。近寄らなければ戦闘は回避できる彼と殺り合うメリットは今ん所ないかな?ほい、そこのマシュマロサーヴァントちゃん!俺の背中にしがみついて!早く!」
「……わ、わかりました!後、私はデミ・サーヴァントです!!」
有無を言わせない彼の言葉にマシュが首に手を回して、おんぶするようにしがみつくのを確認した黒髪のサーヴァントは私と所長をそれぞれ腕に抱えると跳躍した。
「「きゃああああああっ!!?」」
「生前も女の子抱えて、ヘラクレスから逃げきった事実がある以上、間違いなく逃げ切れると思う!!アメリカ大陸横断をやった自慢の脚力を見せてやろうじゃないか!!」
「へ、ヘラクレスから逃げ切ったって……何、貴方、ギリシャ出身なの?けど、アメリカ大陸横断って……あぁもう!どこの英霊なのよ!!藤丸!あんたマスターになったんでしょ!、コイツの真名とか見れないの!?」
「……すみません所長。彼の真名もクラスもよくわからないんです」
何故だかステータスの真名の欄を見ようとしても『禁則事項です☆』って腹立つ文字で塗り潰されているし、クラスの所はv@ersって文字バケしてるし。
「あんまり喋っていると舌噛むよ――」
さらにスピードを上げた彼に抱えられて私達はあのシャドウサーヴァントから何とか逃げ切る事が出来た。
その後、安全な場所で乗り物酔いしたのかグロッキーな所長を隣に私が真名とクラスについて問い質すと。
「まぁ、真名についてはぶっちゃけ、そこまで大した理由もないんだよね。俺自身も何で隠されているのかよくわかってないし、けど世界意思というかこう見えざる大きな力が働いているというか、俺の口からも言えない感じなんだよ。不思議だね。只の平凡な名前なのにさ」
あれか?名前を言ってはいけないあの人みたいな扱いなのかこのサーヴァントは。
「じゃあクラスについては」
「あぁ、それは……俺、セイバーからバーサーカーまで大体のクラス適性があるんだけど、君にいざ召喚されるってなった時、どのクラスで行こうか迷いまくっちゃってさ。それで悩んでたら君の頭に斧が振り下ろされそうになってたし、ヤバいヤバイと思って結局決めきれないまま飛び出したら、なんかサラダボウルみたいにごちゃ混ぜになったクラスで出てきちゃった☆みたいな。いやー優柔不断ってよくないよね」
「あんなに格好良く助けてくれたのに、実はそんなドタバタした感じで召喚されたっていうの!?」
なんだろう、物凄く夢が崩れた。
それとマシュ、「クラス適性がたくさんあるなんて凄いですね!」って尊敬の眼で見るべきじゃないぞコイツは。絶対色々とアレなサーヴァントだと思う。助けてもらった事は心から感謝しているが。
「この特異点から戻ってきたら、詳しい話聞かせてもらうからね……けど、ありがとう、私達を助けてくれて」
「私からも、ありがとうございますっ!先輩と所長を守ってくれて!!」
「……ぜぇ、はぁ……そう、ね、本当に……助かったわ、うっぷ……」
所長は無理せず、もう少し休んでて下さい。
「お礼を言うのはまだ早い気もするけど……受け取っておこう。サーヴァントとして当たり前の仕事をしただけだしね……いや―、俺がサーヴァントかー、なんだかとても新鮮な気分」
「あ、そういえば……真名もクラスも不明なら私はあなたの事を何て呼べばいいの?」
「うぅむ、確かに呼称が無いのは不便だよな…………よしっ、結構な子宝に恵まれているし、『グランドな、ダディで、お父さん』略して『グダお』とでも呼んでくれたまえ」
「……何よ、その適当な名前の付け方……」
所長の突っ込みに「え、結構悪くないと思ったんだけどなぁ……」と落ち込むグダお。
……というか彼、子持ちだったのか、自分と年はそう変わらないように見えるのだが、やっぱり英霊って私とかとは住む世界が違うのかなー。
けど、私はまだ本当の意味で理解していなかったのだ……このサーヴァントの常識のとらわれなさに、イカレ具合にッ!!
「……ぁっ、私がこんな無様をっ……貴様、一体何をし、たぁぁっ……」
大聖杯前、私達の敵として立ち塞がった黒き騎士王は地に伏していた。
「先輩!何故目を隠すのですか!?これでは貴方を守れませんっ!」
「見ちゃ駄目!絶対に見ちゃ駄目だからねマシュ!教育に悪すぎるからっ!!」
「……見ていない見ていない見ていない……私は何も見ていないわ……」
所長が名付けた
私の自慢の後輩の宝具は聖剣から放たれたアーサー王の黒き極光を見事防いだ。
そこはいい。そこまではいいんだ……ただ、マシュが耐え切った瞬間に飛び出したグダおが問題だった。
聖剣を振り切り、一瞬の硬直を見せた彼女の懐まで突っ込んだ彼……私としては止める間もなかった。
そしてまぁ、宝具の余波で立ち上っている土煙が晴れると、さっきのシーンになっていたのだ。
黒き騎士王が
というかアイツは何でハートを模った両手を前に突き出したポーズをしているのか、決めポーズのつもりか?
「サーヴァントになってまだ間もないあの娘が勇気を振り絞り作ったこの隙、俺が見逃す筈がないでしょ。君の敗因は『女であったこと』、『自身が”セイバー・オルタ”だったこと』……この二つだ、黒セイバー」
「……はぁ、はぁ……女性特攻宝具というワケ、か、だが……後者はどういう意味だ?」
「あ――、それはまぁ……そういう事を致した時の思い出補正的なアレでさらにランクというか破壊力というかテンションが上がっちゃう的な?こことは違う遠い遠い世界の話だし、君にとってはほぼ別人みたいなもんだから、気にしないでくれ……ただ一つ言えるとしたら『ゴスロリドレスもいいけど、鎧を脱がすのも実にベネ!』ということかな」
まさかそんな理由であの頑強そうな鎧を脱がしたのか、このセクハラサーヴァントは……もしかしてコイツ狂化入ってるんじゃなかろうか。
というかどうしたら、あんな一瞬で全裸に剥けるんだ!?
「さっきからやけに通信が静かね……もしかして、ロマニ……?」
『……いやいやしてませんよ!全スタッフ総出であらゆる角度からモニターしようとかしてませんから!』
「あのー、先輩……私はまだこのままなのでしょうか?」
語るに落ちてらぁ、あぁ、所長の眉間に青筋が……上に立つ人は本当に大変ですね。私はこうしてマシュが汚れないようにお目目を塞ぐ事しか出来ませんし。
私の体は一つしかないからね、決して所長は汚れてもいいとかそういう意味で言ったわけじゃないから。
「君がこの大聖杯前で立っている意味も理解はしているつもりだけど……それはそれ。これはこれ。俺は敵対した以上は容赦なく全力で相手を辱めることに定評があるサーヴァントだから」
「……まて、もう私には戦う力はない、命乞いをするつもりは毛頭ないが……せめて最後はまともな方法でとどめを……」
「『百式官能 壱乃掌』」
「あんぅぅぅっ!!」
グダおが何かをした。ただ動きが速すぎて何をしているのかこちらからはまるでわからなかった。
エロい顔しながら消えていくアーサー王の様子を見る限り、100%ろくでもない事だが。
「あぁ――、こりゃあ、アーチャーの奴は先に脱落してて良かったな……色んな意味で」
キャスターの言葉を耳にしながら、私は聖杯戦争の恐ろしさを実感していた。
「こんな聖杯戦争あってたまりますか!貴女も悟ったような顔して現実逃避しないでちょうだい!一応、アイツのマスターなんでしょ!!」
「……なるほどなるほど、つまり君は並行世界のカルデアで人理修復を成し遂げたマスターだったわけか。位置的には立香君ポジだったのかな?」
「唯一のマスターという点で考えると合ってるかな。ただ、俺がいた世界とここの世界が同じという保障も全くないんで未来的な知識もアテになるかどうかはわからないし、そもそも俺がこうしてサーヴァントとして召喚されている以上は間違いなく俺が知っている軸とはズレていくでしょうよ。なのであんまり先の事はベラベラ喋るつもりはないよ…………うんまぁ、ノリでぽろっと零してしまうことはあるかもしれないけど」
「…………」
炎上した冬木から聖杯を回収し、無事特異点から帰ってきた私達はこのどうしようもないサーヴァントの話を聞くことにした。
モナリザ大好きっ娘ダ・ヴィンチちゃんの質問にグダおは答えている。ロマンは何故かさっきから難しい顔で黙ったままだ……。
どうやら彼も別の世界線にあるカルデアのマスターだったという事がわかったのだが、もし私と同じ一般枠のマスターなら一体何がどうしたら英霊になるのだろうか。というよりもそんな並行世界の英霊をほいほい呼べるものなのか、システム・フェイトやらとは。
そんな私の疑問にグダおは。
「いや、割とゆるゆるだよ、カルデアの召喚システムは。もしかしたら、紀元前1万年前の時代を斧片手にヒャッハーして生きていくような君とそっくりな女の子がいてもおかしくないし」
「私のこと何だと思っているんだお前は!?どこの世界線にもそんな私は絶対にいないからな!下着をかけてやってもいいぞコノヤロウ!」
私の啖呵にフォウくんを抱えながら、「えぇー?ほんとにござるかぁ?」と煽るこのサーヴァントの脛を無言で蹴り続ける……すんごい腹立つんですけど!ものすっごい腹立つんですけど!そんな化物フレンズな私がいるわけないでしょ!こちとら、どこにでもいる平凡な乙女だっつーの!
「ふふっ、なんであれ藤丸君がグダお君を召喚できたのは僥倖だったと思うよ。もし、彼がいなかったらマシュや君……そして
ダ・ヴィンチちゃんの言葉に異を唱えるものはここに誰一人としていなかった。
アーサー王の倒し方はこちらが同情するレベルでドン引きものだったが、確かに私達3人は彼に救われたのだ。特に所長は。
――ドタドタドタドタッッ!!シュインッ……
「おいごらぁっ!!あの変態サーヴァントはどこにいんのよ!!!」
あの時、レフに裏切られ、自身が既に死んでいる事を告げられ絶望していたオルガマリー所長が猛ダッシュで私達がいる部屋に殴り込んで来れるのも……こうして
「あ!良かった所長!無事だったんですね!」
「無事ぃ!?今の私の姿のどこを見て無事って言えるのよアンタは!大惨事もいい所じゃない!!」
所長に激しく突っかかられても特に気にする事なく心底嬉しそうに笑っているグダお。
うん、まぁ……所長が
「ねぇ、あなたにわかる!?あなたにわかる!?目が覚めて、自分が生きていた喜びと鏡に痴女と化した自分が写っている絶望が同時にやってきた私の気持ちが!!何とも言えないこの私の気持ちが!!あなた私の体に何してくれたのよ!!」
最後の言葉だけは何か誤解を招きかねませんよ所長。
羊のような角、デビル的な尻尾に羽、そして大事な所は隠しているから恥ずかしくないよ!と言わんばかりのきわどい紫の衣装。所長ってばスタイル結構良いから目に毒すぎるよ……。
「まぁ、まぁ、そうカッカするものじゃないよマリー。彼が自身の宝具を切り売りしてまで君を助けたんだ。結果はどうあれ……まず、そこは感謝すべきだろう?」
「うぅ~~……わかってるよ。確かに終わっていた私の生を救ってくれた貴方には感謝しているわ……でもやっぱりいきなりこんな姿になっているんだから説明は欲しいわよ……」
「ふむ……確かに私もそこは気になるね。ロマニと一緒にモニターで君が宝具らしきものから聖杯を取り出したのは確認できたけど……」
「それは私達も見ました。グダおさんは何もない空間から聖杯を取り出していた筈です」
「真に万能の願望器なら所長を生存させる手段なり得るけどね……まぁ、そもそも普通のサーヴァントが聖杯を所有して、さらにはそれをホイホイ使っているのは異常としか言えないけども」
ダ・ヴィンチちゃんの言う通り、私達には特異点を修復し、聖杯を回収する役目がある。
その目的の品をこの男が簡単に使っている光景を見てしまうと、ありがたみが薄れるというか……達成感が無くなるというか……。
「イグザクトリー。聖杯を所長に使ったのは確かだよ。あぁ、数はまだまだあるからそこは気にしなくていいから。結局誰にも聖杯転臨に使わなかったから数は割と余っているんだ。特定の娘に使って余計な火種は作りたくなかったしね……とと話が逸れたか、ただ、実を言うと使ったのは聖杯だけじゃないんだよね」
「は?」
グダおの最後の発言に所長の表情がピキリと固まった。
「ほら、聖杯って杯じゃん?そんでもって中には何も入っていないじゃん?」
「そうだね」
「何も入ってなかったら何か入れたくなるじゃん?」
「そうだね……?」
取り敢えず、私はグダおに同調していたが彼が何を言い出そうとしているのか見当もつかなかった。
「だから、ね?聖杯に礼装『ハロウィン・プリンセス』をベースに蛮神の心臓とか戦馬の幼角とか鳳凰の羽根とかくべて、アレをアレしてうまい具合にアレしたら、今の所長になったという……」
「あああぁぁぁなああああぁぁたねぇえええええ!!!」
キャパをオーバーした所長がグダおに掴みかかった!
胸倉をぐらんぐらん揺らしているが、当然、サーヴァントに効くわけもなく。彼は微笑ましそうに所長の好きにさせていた。
「なんでそんなあやふやな感じで私を助けようとするのよ!!聖杯を闇鍋して使用するとか正気の沙汰じゃないわ!!何!?私、実験体なの!?あなたの玩具なの!?」
「いやいや所長、俺がキャスタークラスでまともに召喚されていたら多分聖杯だけ使ってたと思いますよ。ですが、最初に言ったように俺の今のクラスって割りとごちゃ混ぜ状態なので全てのクラススキルが中途半端なんですよ。その状態で聖杯だけを使用してあなたを確実に助けれる保障も無かったので……」
「……で本音は」
「今まで他人に認められようと頑張っていたメンタルが結構弱いチョロ上司系所長が色事に疎いサキュバスになるとか凄く滾りますっ!!」
「君とはいい酒が飲めそうだ!!」
何故か意気投合したダ・ヴィンチちゃんと「ヘェィイ!!」とハイタッチし始めるセクハラサーヴァント。
所長は顔を覆い隠し、「もうやだ。この変態サーヴァント共……」と嘆いている。う――ん、このカオス。
「しかし、今の話を聞く限り、聖杯以外にも色々入っているみたいだね君の宝具の中には。……まるでどこぞの金ぴか王様みたいだ」
「いやいや、俺にとってはどれも宝物だから、射出はしないからねロマン?」
そういえば、レフが現れた時も、テンションMAXになっていた彼は他にも出していた気がする。
『いや、まさか君たちがここまでやるとはね。計画の想定外にして……』
『もおぉっと素材をよこせぇえええ!!フラウロス!!』
―――ドゴォォオオッッ!!
『グボァアアッ!!……貴様ぁ!!何故、その名をぉっ!?」
『『
『グォォォオッ!?ゴハァァッ!!この低能サーヴァントがぁぁっ!!少し装備を揃えた程度でこの私に敵うとでもぉおおっ!!』
『悪魔……!このど悪魔め……!吐き出せっ!吐き出せっ……!お前が喰らってきた……ユーザー達の金っ!石っ!魂っ!素材っ!QPっ!その全てを吐き出せっ……!』
―――震えるぞドラゴンハート!痺れるほどゴールデン!宝剣!盗まずにはいられないッ!君がッ死ぬまで起源弾をブチ込むのをやめないッ!
『ヌワアアアアァァ―――っっ!!』
竜人と化したグダおがベルトから放電しながら、暗黒オーラを纏った剣と銃を片手にレフに襲い掛かった時は最初は皆、彼が乱心したと思ったが、どうやら死に体で逃亡したレフの捨て台詞や状況証拠により彼が人理焼却に一枚噛んでいるという事はわかった。所長は最初の方は信じられなかったようだが……。
『待て!逃げるな!俺はお前を殺したいだけで、死んで欲しいワケじゃないんだ!』
「まったく、どっちが悪魔なんだか……」
「所長かわいい!かわいい所長!怒りのあまり自分がどんな格好でここまで来たのか今更思い出して羞恥心で震えている所長かわいい!スタイルいいのにどこかで自分なんて……って卑下してる感じが出ているのがかわいい!いきなり内部の裏切り者が出て、カルデアがヒドイ事になってホントはいっぱいいっぱいの上にこんなワケわかんないサーヴァントまで現れてしんどい筈なのに胃の痛みに耐えながら責任者として自分が出来る事を必死にやろうとしている所長凄い!本当凄い!!所長は頑張ってるんだよ!マジで頑張ってるだよ!可愛くて頑張り屋さんって最強かよ!オ・ル・ガ・マ・リィ!!カルデアで上司にしたいランキング1位オ・ル・ガ・マ・リィ!!オ・ル・ガ・マ・リィ!!フゥ!フゥ!ほらっ、マシュも一緒に!」
「え、え、え?え――と……お、オ・ル・ガ・マ・リィ……ふぅ、ふぅ……?」
「GAAAAAAAAA!!」
「そろそろ所長が言語を忘却しそうだから、その辺にしとこ?」
後、ウチの後輩を巻き込もうとするなセクハラサーヴァント。
「いい機会だと思うよ、私は。マリーは何だかんだで小心者で溜め込みやすい性格だから、どれだけ癇癪をぶつけても良心が痛まない相手は貴重だろうさ。ストレス発散にもなるしね。ほら、あんなに楽しそうにしているのに止めるのも忍びないだろう?」
「うーん、僕にはカメラ片手に動き回っているグダお君に髪を振り乱し、本気でぶん殴ろうとして襲い掛かっている所長の画にしか見えないよレオナルド」
これから、人理修復の旅に出るというのにこのぐだぐだっぷり。
まぁ、気負い過ぎて余裕のない空気になるよりはマシかもしれないが、もしかしてグダおはそこまで考えてこんな行動を取ってい…………んなワケないか。
取り敢えず、今日は疲れた。マイルームに戻って寝るとしよう。
――男がいる。
――私と似たような服を着ている男が。
――男は愛多きマスターであった。
――何人もの女性英霊を愛し、そして愛されていた。
――まるで彼の起源が寵愛であり、愛慕であり、そして『親愛』であるかのように……。
――その愛が行く着く先には当然、肉体の繋がりもある。
――男は女性を悦ばせる事に長けていた。男自身も彼女達のその姿を喜んでいた。
――巨乳・貧乳・年上・母・お姉さん・メイド・ロリ・同年代・男の娘・先輩後輩・SM・複数プレイ・背徳プレイ・ソーププレイ・制服プレイ・スライム姦・………………幾度の戦場を超えて不敗。
――担い手は女体の丘で
――『俺はね、性技の味方になりたかったんだ……』
「フォウ……?キュ、フウウ?」
「…………ヒドイ夢を見た」
「おはようございます。先輩、昨夜はよく眠れましたか?」
「どっかのアホのせいであまり眠れなかったよ……」
「……?……もしかして、グダおさんの事でしょうか?」
マイルームにて安眠を貪る筈だった私を起こしにきてくれたマシュとフォウには悪いが、私は今すぐ行く所が出来た。
乙女にえげつないモノを見せてくれたサーヴァントに一言言ってやらないと気が済まないのだ。
「あ、グダおさんの所に行くのですか……先輩とすぐに打ち解けてこんなに仲良くなっているのは、少し羨ましいですね……」
「マシュ。悪いけど、そんな嫉妬シーン見せるような所じゃ絶対にないから」
全く……心配性な後輩だね。彼と仲良くなる=喰われる(性的)なんだから、私がそう簡単に打ち解けるわけないじゃない。私はガードに硬い事に定評があるから!そんじゃそこらのチョロインみたくすぐ堕ちたりはしないんだからネ!
「なるほど、それで俺の部屋に入るなり、右ストレートをお見舞いしたワケか。女の子でありながらどこまでもアグレッシブだ」
その渾身の一撃は難なく防がれたわけだが、まぁ、一応英霊だし……知ってたけど。それでもやらずにはいられなかった。
「しかし、夢の中でのサーヴァントとの記憶の共有かぁ……ふふっ、いざされる立場になると照れるもんだね……」
「なに恥ずかしそうに頬を染めているんだ!恥ずかしい想いをしたのはこっちだわ!花も恥じらう乙女だというのに、あんなR18確定のエロCGを延々と見せられたこちらの身にもなって欲しいんだけど!」
「君がどんな夢を見たのか、大体察しはつくけど。それでも良く俺の部屋に来たよね?そんな夢を見た後なら女の子一人なんて絶対避けるべきだと思うんだが」
そう聞いているグダおは私を本気で心配しているのが表情から見て取れた。たまーにこういう真面目な顔をするのはちょっとズルい……。
あの時、シャドウサーヴァントに襲われた時もそうだったけど、最初っから最後までそんな風にカッコイイ感じでいてくれれば私もボーイミーツガールっても吝かでは無かったというのに。
そりゃあ、今更ながら危機感が無いかなーと少し思わない事もないが……。彼がそんな事はしないぐらいには信頼している。これでも契約を結んだサーヴァントなのだから。
「だって、君は無理矢理ではしないでしょ……それに数は多かったけど、君とその…………ゴニョゴニョした娘達、皆心の底から幸せそうだったもん。そういう経験がない私にもわかるぐらい君に愛されて嬉しいって顔してた」
「……そっか」
「ただマシュにあんな格好させたのは許さん。なんだあの紫のフサフサは?ウチの後輩はあんなエロい格好でお尻フリフリして男を誘ったりなんてしない!」
「いやー、そりゃあここにいるマシュと俺の世界にいるマシュは別者だし……」
「それでも気に食わないものは気に食わない!ウチの方のマシュにも手を出したら令呪案件だからな!爆ぜてグダおになるからね!どうしてもっていうなら、代わりに所長の方なら好きなだけ手を出していいから!」
「そこで自分じゃなく上司を躊躇なく差し出す辺り、君も俺に劣らずイイ性格してると思うよ」
「私は身持ちが堅い娘なの!そう簡単に自分を安売りなんてしないから!」
ま……まぁ?ほんの少――――しだけ夢の女の子達を見て、「……そんなに気持ちいいの?」ってナノレベルで気にはなっているけども……。
私はそう簡単に喰われたりしないんだからネ!
《第一特異点 邪竜百年戦争 オルレアン》
「さぁ、どちらの手で脱がされたい?右か、左か、それとも両方かァ!?」
「いやああああああ!!ジル!助けてジル!もう脱がされるのはイヤなのぉぉ!アヘェってなるのもイヤなのぉおっ!!」
「先輩!竜の魔女がファヴニールに乗って逃亡していきます!」
「もう、これどっちが悪役か、わかんないなぁ……」
・グダお(あくまで呼称)
マスター:藤丸立香
真名:『禁則事項です☆』
クラス:v@ers
属性:混沌・善
ステータス
筋力:C
耐久:B
敏捷:B
魔力:A+
幸運:A
宝具:EX
保有スキル
『かりちゅまA』:生前数多の英霊達と契約を結んだ事から得たスキル。カリスマ性の高さを示しているというよりは「この人と一緒なら特に根拠はないけど大丈夫だろう」や「この人についていけば愉快な事が起きるに違いない」や「もうしょうがないなぁ……(歓喜)」といった感じでついつい言う事を聞いてしまうスキル。故にかりちゅま。
『カオスクラスB』:グダおはセイバーからバーサーカーまで全てのクラス適正(ルーラーとアヴェンジャーのクラス適正は彼にはない)があるが、一つに決められなかった状態で無理矢理召喚に応じた為、少なくとも上記の7つには当てはまらないクラスで召喚された。
実は7つのクラススキル全てを中途半端に使えたりする。だから多分狂化も少し入っている可能性もある。
『
徹頭徹尾相手のムードにさせない。敵が真剣であり、真面目であり、シリアスに準していればいる程、グダおのステータスは軒並み上がっていき、相手に問答無用で有効打を叩き込める理不尽。このスキルは彼を規格外たらしめている重要な要素の一つ。
宝具
『百式官能』
ランク:A~EX
種別:対人宝具
脱衣術・セクハラ術を極めた彼が至った性技の極致。
後ろに観音像が現れるなんて事はなく。目にも止まらぬスピードで相手を性的絶頂にむかわせる。
この宝具の対象となるのは女性……正確に言えばグダおの認識で女性である事が条件の為、性別不明とされるサーヴァントも彼が雌だと認めれば、宝具の餌食となる。
彼の世界線においてその同一人物と肉体関係を持っていればさらにランクは上がる。
――その手はあらゆる衣を剥ぐもの。その手はあらゆる女性を悦びへ誘うもの……だが手がなけりゃ、イカせれねえとでも?
奥の手ともいえる、『零の手』が使う日が来ない事を皆で願おう。
『
ランク:C
種別:対人宝具
かつて契約を結んだ英霊達に師事したり、遊んだり、戦ったりした経験から彼らの技を模倣して再現した宝具。
あくまで技の再現なのでどこぞの贋作者みたく武具を投影したりは出来ない。「ぐれんでる・ばすたー」とか「つばめがえし」とか「にのうちいらずとか」とか「むみょうさんだんづき」とか……本来の使い手よりはランクも当然下がっている。
グダお曰く「男はいつまで経ってもごっこ遊びが好きなお年頃なのよ」らしい。宝具になるごっこ遊びとは一体……。
『
ランク:EX
種別:対人宝具
素材とか礼装とかガチャとかコレクター癖に憑りつかれたグダおの宝がたくさん入っている宝物庫。別名『アイテムBOX』。空白は許されない。
聖杯とか神獣達の素材を始め、概念礼装及び男サーヴァント達からのバレンタインのお返し、テスラ博士作成のパワードスーツとかバイクとか、師匠がくれた複製ゲイ・ボルグとか、アルテラちゃんの手によって3色棒と化した『マルスパンキング』とか……思い出の品がたくさん入ってる。秘宝庫の中身は正に大混沌時代!!
エイプリルフールという免罪符を片手に本当に好き勝手やりました。苦情は受け付けます。
こんなん書いてるヒマあったら、エロある本編書けやとか言われそうだけど、仕方ないんじゃん?だって4月1日は型月が毎年何かしらやらかしてくれるじゃん?リスペクトしているこっちもささやかでもいいから何かしようという気分にも駆られてもしょうがないじゃん?
多分この特別編もこれっきりだと思います。次話はちゃんとエロ書きます。
…………もし、反響があったら、またいつか書くかも?……まぁ、無いよね?