※この作品はR-18です。

おいでよ カルデアの森   作:一火

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ちょっと仕事の都合上、中々まとまった時間が取れず、基本的に1話完結式で投稿していたのですが、それだと下手をすれば月1更新レベルになってしまうので、ちょっと小分けで5000~6000字程度で投稿するスタイルにしました(こっちの方が間を置けず更新出来るし)。
出来る限りキリの良い所で話を上げたいと思いますので、どうかご容赦を。









というわけで覚えている人がいるかどうかはわかりませんが、グダお英霊編第4章でございます。本編も特別編も両立する勤勉スタイル(白目)。



疾走する青春の桃色ジャンクフード ①(第4章)

霧が街を覆っている。

ただの霧ではない、普通の人間にとっては有害たる魔を含んだ霧が。

 

西暦1888年。輝かしくかつ深い歴史を携えていたロンドンの街は死を持った霧に覆われていた。

為す術の無い街の人間は救いを信じて、あるいは諦観して……霧の影響を受けないように家に閉じこもるしか無かった。

 

あぁ、だが中には状況を好転させる為か、あるいは飢えからか、ロンドンという街そのものから逃げる為か、外に出る人間もいる。

だが、この異質な状況で何の力もない人間が迎える結末は決まり切っている。

 

「……げほっ、こほっ!」

 

「くるしいの、つらいの?」

 

「……だ、だれっ!?」

 

「じゃあ、らくにしてあげるね。おかあさん」

 

「ひぃ!!」

 

うずくまる女性にナイフを向ける露出過多な少女のサーヴァント。

名をジャック・ザ・リッパー。かつてイギリスを震撼させた連続殺人鬼。

胎内回帰願望を持つジャックに目の前の怯える女性は格好の獲物だった。

 

 

「だめ、その人はおかあさんじゃないよ」

 

「!?……だれ?」

 

その凶刃を包丁で防ぐ者がいた。

驚愕に固まるジャック・ザ・リッパー。

それもそうであろう。目の前にいる者が自身とそっくりの顔をしていたのだから。

 

「わ、わたしたち……?」

 

「あ、あぁぁ……」

 

「ありゃりゃ気絶しちゃった」

 

自身に襲い掛かった少女がもう一人現れたのだ。気を失うのも無理はない。

呆然とするジャックを他所に倒れ込む女性に近づく少女。

 

その顔はジャックと瓜二つでありながら、髪は腰まで伸ばされ、布面積の少ない衣装の上からピンクのエプロンを付けていた。

体付きだろうか、あるいは気絶をしたその女性を介抱している様だろうか……この特異点の霧から召喚されたジャックとは決定的に異なる母性がその少女にはあった。

 

「うん、これでひとあんしん。この人は違うおかーさんだから、おそっちゃめっだよ」

 

妻となり、子を産み、6児の母となった少女。拙い回復スキル「外科手術E」から進化させた「家庭医療C」で女性の体調を安定させた彼女ももう一人の()()()()()()()()()()()

グダ男の宝具によってロンドンにやって来たジャック(エプロン)

包丁を片手にもう一人の自分を諫めるその姿はまさしくリアル幼妻。

 

「わ、わたしたち……?おかあさん、なに……どっち、わからない……わからないよ……」

 

「大丈夫、大丈夫……何も怖くない、こんな事してもあったかい場所にあなたたちは帰れないよ」

 

「あっ……」

 

自分とそっくりの姿なのに何故か無性に甘えたくなる母性がある。その矛盾に、摩訶不思議さにジャックのナイフは止まっていた。

困惑している殺人鬼を抱き締めるジャック(エプロン)。その表情は慈愛の塊としか表現出来なかった。

 

「世界は醜い、たしかにそうだけど、それ以上に美しいの。わたしたちはそれをしっている……一番大好きな人にもらったの……だからあなたたちにも分けてあげる」

 

「あったかい……あったかい……ねぇ、わたしたちしにたくないの、痛いのもいやなの……ただ、ただ、おかあさんの中に……」

 

「うん、うん。わかるよ。だから、わたしたちがおかあさんになってあげる。わたしたちが産んで、わたしたちとおかあさんと一緒に家族になろう、ね……『此よりは天国。"わたしたち"は妻、母、子――――温もりを此処に』」

 

 

懐胎聖母(マリア・ザ・ジャック)

 

 

―――ありがとう、ありがとう、ありがとう……。

 

 

浄化でも消滅でもない、それは一つの輪廻転生とも言える。

ジャック(エプロン)の宝具によって光の霧に包み込まれるジャックは涙を流しながら幸せそうな顔で姿を消していった。

ジャック(エプロン)の胎の中に多くの幼き魂が宿った事は本人と、その夫しかわからないだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霧は消えねぇな……」

 

「なら、原因はまだ他にあるって事だろうさ」

 

「おかあさん!」

 

「おかえりジャック」

 

霧の発生源と思しき殺人鬼のサーヴァントもグダおが連れてきた少女によって倒された(?)。

こちらに帰ってきたそのサーヴァントとそっくりの少女を抱き留めるグダお。

今度の服装は黒学ランみたいです。お前サーヴァントなのに服いくつ持ってるんだ……? 霊衣開放だとかよくわかんない事は宣っていたが。

 

先程、襲われかけていた女性を所長が抱き抱え、安全な場所――私達が拠点としているジキルさんのアパートメントへ連れていく。うん、所長も大分精神的に強くなった気がする。戦闘後、一般人を気遣い、すぐに避難させるぐらいには余裕が出てきたのだろう。

 

未だ消えずに残り続ける霧を忌々し気に睨み付けるモードレッド。

このロンドンで、アーサー王の地に手を出していいのはオレだけだという歪んだ理由で私達に力を貸してくれたロンディニウムの騎士。

そして、その隣でテンション高めに鼻歌を歌う()()姿()()()()()()()()()()()()()(水着)。

もう、私もそろそろ同じサーヴァントがいても驚かなくなった辺り、大分麻痺している気がする。

 

 

 

『てんめぇ、オレと同じ顔でなんて格好してやがる!』

 

『はぁ?んなの夏に決まってるからだろうが!』

 

『この街のどこを見れば夏だって思えんだよ!?』

 

『マスターの隣にいれば、俺の心はずぅっと夏だ!』

 

『てめぇの頭の中が常夏だよばぁか!そんな女みてぇな格好しやがって!!』

 

『その鎧脱いだら、おめぇも大して変わんねぇだろが!!』

 

『んだよ!!』

 

『やるか!?』

 

『は――い、ちょっと大人しくしようかお二人さん』

 

『ちょっ、てめぇ……どこさわって、んひゃあああぁっ!?』

 

『んおぁっ!あぁっ……マスター、お尻はやめぇ、んひぃっ!!』

 

 

 

出会い頭、喧嘩を始めた二人のモードレッドを最低の方法で諌めたグダお。

「知らんのか?アルトリア顔は皆、アナルが弱いという事実を」……いや、知らないし、聞いてもいないし、知りたくも無かったよ。そもそもアルトリア顔ってなんぞ。

 

水着姿のモードレッドはともかく、鎧の上からでも容赦なくセクハラを実行出来るとかコイツの宝具は本当に凶悪だ。その後顔を真っ赤にしてモジモジしていたモードレッド(水着)と同じく顔を真っ赤にして猫のようにグダおを威嚇するモードレッド。私とマシュがフォローしなかったら、絶対に斬りかかって酷い目に合ってたぞ………………彼女の方が。

 

現に今もこっちのモードレッドに距離を取られて、警戒されているし。

お前だよ、お前に言ってんだよ。ロリとイチャついているお前に言ってるんだよこら。

 

「あっちのジャックは?」

 

「うん、()()()()()()()。今度はもっとたくさん産まれるね。その為にもおかあさん、わたしたちにたくさん出してね?」

 

「なら、今いる子達も大きくなるまで育てないとね」

 

「うん!子育てがんばるよ!みーんな、しあわせにする!」

 

……私もそこまで鈍くはない。きっとこの幼き娘もグダおの奥さんなのだろう。

いや、駄目でしょ。犯罪臭しかしない。アウトだわ。なんなんだ「たくさん出してね」とか「子育て」とかこんなロリィな娘から出ていい台詞じゃないだろ。

 

「どうしたマスター?」

 

「もしもしポリスメン?」

 

「落ち着けマスター、この状況で警察は頼れないぞ」

 

「うるさい、ペド」

 

「マスターの対応がシベリア過ぎて泣ける」

 

何を私はイラついているのか、コイツと契約を結んだ後に見た夢でグダおに色んなタイプの奥さんがいるのはわかり切っていたのに。

いや、てかおまわりさんこいつです案件確定のロリにも手を出したのだろう? 

ならなんで、私に手を出さない?私はタイプじゃないとかそういうのか?

 

 

 

 

…………………………ちがうちがうちがうッ!! 何を言っているんだ私は!

 

これじゃあ、まるで自分にも手を出して欲しいみたいじゃないか! チョロくない! 私はそんなチョロくない!

只、あんな小さい娘にも女としての魅力に負けている感じがして気に食わないだけ!そうに決まっている!!

 

「あ、あの――先輩大丈夫ですか?バイタルが大きく変動していますが……」

 

「ほら、マシュ……きっとあれだよ。女の子には不定期にあるという」

 

「あっ…………す、すみません私とした事が、気が付かずっ!」

 

「ガンドォッ!」

 

もう! もうっ! コイツったら! はい、わかってますぅ! 私が勝手に空回りしてるのは!

けど、前の特異点で私の唇を奪っておきながら、特にいつもと変わらない接し方なんだもん!ドキマギしてる私が馬鹿みたいじゃない!

カルデア戦闘服を着ている拳の連打をきゃっきゃっ笑いながらしがみついているジャック(エプロン)と共に余裕で躱すグダおが憎らしい。こうなったら令呪を使うしか……ッッ!

 

『う――ん立香君の情緒が不安定だなぁ、やっぱり試運転とはいえ、あのプラグスーツみたいな格好をさせたのがマズかったんじゃないかな?』

 

『何を言うのかいロマン、マシュの格好とどっこいどっこいだろうし。それに私達は慣れたとはいえ、一番ヤバいのはマリーの姿じゃないか。ロンドンがこんな状態じゃなければ、御用間違い無しだからね!』

 

「やっぱりアレか!所長に最初に手ぇ出したのは胸か!おっぱいなのか!私も脱いだら実はすごいんだぞ!」

 

「先輩ッ!?」

 

「それは目視で服の上からでもよくわかる」

 

そうだった!今は新世紀のパイロットみたいな格好だったんだ!けど、それならもっとこの服にも食いついていいんじゃないの!?我ながら良いボディラインとか出てると思うんだけど!

 

「この姿の私を見て、何か言う事は?」

 

「うん今にも『あなたは死なないわ、私が守るもの』って言って死亡フラグを立てそう」

 

「違ーうッ!!」

 

当たれ! 当たれ! 当たれ! 当たれ! 当たれ! 当たれ! 当たれ! 当たってよ!

今コイツを殴らなきゃ! 今やらなきゃ! 私の気が静まらないんだよ! もうそんなの嫌なんだよ!

 

『その台詞を言うのはどっちかというとマシュな気がするけどね』

 

『割と冗談にならないから、止めてくれるかなレオナルド!?』

 

「おい、いつまでもこんな漫才を見せられてオレはどうすればいいんだ?」

 

「笑えばいいんじゃねぇか?」

 

「…………共闘するの考え直した方が良かったか……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で、立香は一体どうしたのよ?」

 

『複雑怪奇な乙女心の迷宮を絶賛迷い中なのさ、彼にチョロっと堕ちて、パクッと食べられたどスケベマリーには縁が無い話だろうけど』

 

「喧嘩売ってるの!?」

 

は――――い。ど――――も。ジキルさんの家な―――うです。藤丸立香で―――す。

家主のソファで体育座りをしている私は自分がさっきまで何を言っていたのか思い返して絶賛自己嫌悪でございま――す。

口論をしているダ・ヴィンチちゃんと所長は恋がどうのこうのとか全くもってワケのわからない事を言っていますが……。

は? LOVE? 私が? あのハチャメチャ変態不思議アドベンチャーのサーヴァントに? 甘酸っぱいボーイミーツガール? ははははははははははははははははははははははは、そんな事あるワケないじゃないですか、世界が滅びでもしない限りあり得ませんよ。

 

ふぅ、今は隣で慰めてくれている後輩のマシュマロボディが唯一の癒しです。

 

「どうしたエロゲ主人公。傷心中の乙女にハイエナの如く近付き、その心と体を貪る絶好のチャンスだろうに」

 

「いや、原因は俺だし……さすがにそんなマッチポンプみたいな真似は……」

 

「『男ってやつは口説くときだけ春で(Men are April when they woo)結婚したとたんに冬になっちまう(December when they wed)』。やはり、あれですかな黒衣のサーヴァント殿?それだけ、ご夫人がいるともうお腹いっぱいって所ですか?」

 

「は?結婚しようが、子供が出来ようがオレのマスターは永遠に夏だっつーの。ぶった斬るぞ髭」

 

「ははははははは!!いやぁ、申し訳ありません!何せあの叛逆の騎士がここまで女であり、母なる雰囲気を振り撒いているのですから、つい口が滑ってしまうのですよ!ふむ、ところで、もう一人のモードレッド殿、色んな意味で大人の階段を登ってしまった自分を見て、何か一言」

 

「死ね」

 

「……あの、僕の家で暴れないで欲しいんだけど」

 

瞬時にグダおの背に隠れるシェイクスピア、抜き身の剣を片手に引き攣った顔で彼に近づけずにいるモードレッド。彼女の弱点を簡単に見抜き、すぐさま利用するのはさすがと言うべきか。

 

「ハーレムは男の夢だの何だの言うが、腹に三物ぐらい抱え、国一つも簡単に滅ぼしてしまえそうな怪物共を囲っている様子を見ると、結婚は人生の墓場というよりはラグナロクもいい所だなお前の場合は」

 

「ラグナロクがあんなに居心地が良い物なら、何万回起きてもいいさ……」

 

「イイ笑顔で言うな。お前も似たような怪物、いや……それ以上だったか。来る者来る者、全員拒まずにいたら取り返しのつかない所まで行ってしまったんだろう?だから、お前自身も行き着く所まで行ってしまった……行き過ぎた愛は一般観衆共、果てには世界そのものから排斥されるのが常だというのにな」

 

「そんな、人を誰でもいいみたいな言い方を……。どっちかというと俺からいった方が多いし、それにこれでもちゃんとフッた経験だってありますよ」

 

「なに?雑食悪食暴食系男子のお前がか?このエロゲ主人公が振りそうな相手なんて…………まぁ、コイツと似たような奴ならその可能性も………………………………いや、まさかな」

 

ハスキーなショタボイスが特徴な童話作家、アンデルセンと談笑するグダお。

むむ、しかし何でアイツは作家陣とあんなに仲良さげなのか。

ここに落ち込んでいるマスターがいるのだが、絆UPイベのチャンスなのだが。

 

あぁ、もう駄目だ。さっきから頭がスイーツ脳になっている気がする、自分でも認めるのは癪だが。

そもそもの話、私はこんなにテンパっているのにアイツが平然としているのは気に食わない。

 

「えいっ、やぁああっ!!」

 

バッチィイインッ!!

 

「先輩ッ!?」

 

思いっ切り自分の頬を叩く。紅葉の跡が残るぐらいに。

うっし、切り替え完了! アイツが特に変わらないのなら私もいつも通りで行く! グダおのやる事なす事ちゃんとマスターとして目を光らせてツッコミを入れていく! うん、これが正しいマスターのあり方なのかはわからないけど、今までもそうして来たんだし!

ふっふっふ、覚悟完了した私は強いぞ――。もうワケのわからない感情であたふたなんてしない!

マスターらしく、アイツにも指示を出す!

 

「グダお!」

 

「どうしたマスター?」

 

 

 

…………あの人口呼吸事件から真正面に見れなかった彼の顔を見つめる。

 

今着ている黒い学ランと同じ髪の色、平均以上に整っている日本人らしい顔。凛々しいというよりは可愛い系寄り。けど、その体はフランスで見せた海パン姿でもわかるように鍛え上げられた肉体を持っている。これがギャップ萌えという奴なのか……。そして私の瞳はグダおの唇で止まった。そう、だよね、不可抗力とはいえ、私は彼と、き、き、き、す…………。

 

 

「きしゅぅうっ!!」

 

ボンッ!!

 

「どうしましょうグダおさん!先輩の顔が麻婆豆腐のように真っ赤に!顔から湯気が止まりません!!」

 

「本当に愉快だなお前のマスターは」

 

「あぁ、自慢のマスターだよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




「…………ま、待ちなさい、何故私が、その、か、彼と…………し、シた事知ってい、るの……?」

『いや、フランスの特異点だって私達はモニターはしているからね』

「なっ」

『まぁ、何故か映像の方はモニター出来なかったけどさ……。ははは、いやいや音声だけでも凄かったよ。他の男性職員が前屈みになるぐらいには。まさかヘタレの所長があんなに情熱的に彼の事を求めるなんて……』

「いやあああああああああっ!!」

所長が(社会的に)死んだ!












懐胎聖母(マリア・ザ・ジャック)
ランク:C
種別:対人宝具
使用者:ジャック・ザ・リッパー(エプロン)
お前が!おかあさんに!なるんだよ!
何の因果か、誰のせいなのか、母の胎を求めていた幼き魂は今や立派な六児の母に。
一度発動すれば相手を光の霧に包み込み、次のジャック(エプロン)の子供に転生する魂として、彼女の胎に宿す事が可能。
しかし、この宝具の発動条件は『対象が子供であること』『対象が一度でも親の愛を受けた事がないこと』『対象がジャック(エプロン)を母として受け入れること』の三つあり、とてもシビア。というか使い所が限定され過ぎているのだがこの宝具。
やったね、グダお君!また家族が増えるよ!

ちなみにジャック(エプロン)の六つ子達はこの特異点攻略最中はアタランテに預けている。
純潔(過去形)の狩人、子供達の可愛さと尊さで昇天仕掛けています。



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