※この作品はR-18です。

おいでよ カルデアの森   作:一火

83 / 146
一月に4話も投稿するなんて、いつ以来でしょうか。
感想、評価、閲覧、お気に入り、誤字報告、いつもありがとうございます。更新の燃料となっています。
第四特異点もそろそろ終わりが近づいてきました。










疾走する青春の桃色ジャンクフード ③(第4章)

「ワタクシ、思うんですけどねえ~~~……『魔霧計画』、まぁ、この名前も遊び心はありませんが、それはいいでしょう!ですが首謀者を『M』『B』『P』っていうのはちょっと悪魔的にセンスが無いのではと、ワタクシ、メッフィーですし?一応『M』にもあたりますから、ミスリードを誘うという点では良いかもしれませんが、虐げられて喜ぶような特殊性癖はないのですよ?ゾォルケンさんにもう少しユーモアセンスがあればワタクシもサーヴァントのし甲斐があるのですがねぇ……クヒヒヒッ」

 

「来ましたか、星見の勇者達。『B』が倒された以上、ここへ来るだろうと、えぇ、わかっていましたとも、私のような悪逆は善なる者に見過ごられる事はないと」

 

「スルーは寂しいですねぇぇえええ!しっかし、団体様が到着したのですから、そちらを優先するのは致し方無い事でしょう!!えぇ『P』さん、貴方の「こう反省はしているけど、その色が他者には伝わらなく、意味深な言葉を呟きながら、満足気に倒される」芸の見せ所ですよぉ!よかれと思ったら何もかもが許されるわけじゃないですからねぇぇえええ!!」

 

チャールズ・バベッジが語っていた地下深く、聖杯があるという所まで向かっていた私達。

地下鉄の入り口に、二つの影が私達を待ち構えていた。

道化師のような格好でヤケにテンションが高い奴と、対照的に落ち着いた雰囲気を白いローブで長髪の美青年。

発言から察すると、多分敵だと思う。

 

「迷う事なく、世界を救う為の道を邁進する……それでこそ、です……。貴方達は正しく正義の味方なのでしょう」

 

性技の味方?

 

「ごちゃごちゃうるせぇな。で、お前らは敵なのか、それとも味方か?こちとら暇じゃねぇんだ。さっさと道を開けろ」

 

痺れを切らしたモードレッドが剣を抜き、問い掛ける。

その問いに答えるか如く、数色の宝石が『P』と呼ばれた男の周囲に浮かぶ。

戦闘体勢に入った彼が短剣を構えたが……まさか、クラスはセイバーとかじゃないよね?どう見てもキャスターっぽいですし。

 

「残念ですが、貴方方とは友人にはなれない。悪は正しき者に滅ぼされてこそ、ですから……」

 

「えぇ――、ワタクシは味方ですよ。ホントホント、決して数的も質的にも劣っているから今だけ裏切って、後で背後から爆弾ドカーンッ!とかは考えていませんよ!!ワタクシ、善なるメッフィーですから!!え、信用出来るワケがない?これはごもっともぉぉっ!!」

 

うちのグダおが正しき者なのかどうかはちょっと首を傾げる所だけど、そっちがその気なら容赦はしない。

『P』!あなたはグダおの前でシリアスになり過ぎた!!

 

さぁ行って!性技の味方!『イカれた幻想(ブロークン・シリアス)EX』の見せ所だよ!!

 

「星のように!!」

 

「あぁ!あきれうす(アリス命名)が!」

 

私達と行動を共にしていたエネミー達の一体。見上げる程に巨大なヤドカリを右手に掴んでそのまま、敵サーヴァントへ突っ込んだ。

重量物を担いでいるとは思えない程に軽やかなスピード!

そして、そのまま大ヤドカリを詠唱の間すら与えず、『P』に叩き込む!

 

「ぐうあああっぅっ!!」

 

模倣(まねっこ)宝具『たらすく(簡易版)』!!」

 

―――ドドドドドドドドドッッ!!!

 

連打、連打、連打、連打、連打、連打、連打。

下敷きになった敵サーヴァントにヤドカリごと拳の猛撃を叩き込む。見ているこっちが思わず、目をつぶってしまいそうになる衝撃。ん……? 今、水着姿のステゴロ世紀末聖女の幻覚が……。

 

「逃げ場はないぞ!!鉄・拳・性・裁!!」

 

鉄の拳と生の拳。殴打の嵐で『P』と呼ばれたサーヴァントは大ヤドカリの殻ごと粉々になった。

『P』とあきれうすが死んだ!

 

「まぁ、キャスタークラスが特に準備もなく、近接タイプのサーヴァントの前に出ればこうなりますよねぇ。…………アッ、ワタクシもキャスタークラスでしたぁぁぁ!!ガフゥゥッ!!」

 

特に加勢するわけでもなく、喋り続けていた道化師のサーヴァントの腹部にグダおの籠手が突き刺さる。

そして、敵の体内から雷鳴が轟く。恐らく、グダおの籠手からだろう。

真面目に戦えばこうまで頼りになるのになぁ……。セクハラと、性癖と、奥さんがたくさんいるのさえ無ければな――――、至極真っ当なサーヴァントなのに。

 

「ふぅむ、鋼鉄の強度を持った拳を尋常ならざる膂力で敵の体内に叩き込む。後はガンドレットから迸る雷撃で敵の体内を霊基ごと焼き尽くす!!『あっという間に終わってしまいました(Tis brief, my lord)』。背筋がゾッとする程の容赦の無さ!今更ながらですが、吾輩、こちら側に拾われて良かったと安堵しています!」

 

「アガガガガガ、ハヒヒヒヒ……ま、まなりませんねぇサーヴァントというのはぁ…………貴方も随分と窮屈そうに、見えますがねぇ……本来ならば……もっと自由に振る舞えるのでは……?クヒヒヒヒ、グヘェエッ……」

 

意味深な、そして不気味な嗤いを残して二人目のサーヴァントは消えた。

もう、私達を阻む者は何もない、ロンドンの地底まで歩みを進めるだけ。

しかし、あのピエロっぽいサーヴァントの言葉……いや、コイツにこれ以上フリーダムになられても困るわ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「地下トンネルを抜けるとそこは地下闘技場だった……いつからこの特異点は地上最強を決める格闘漫画になったんです?でも、何故だかここからは男臭さというよりは女の戦い臭がしますねぇ……狐の勘的に……」

 

『ここもアリスちゃん達の宝具の影響を受けているって事だろうね。元はもっと禍々しい場所だったと私は予想するよ。ロンドンの地底奥深くにある場所なんて曰くつきに違いないから、ね……その証拠にほら、闘技場の中心においでなさってるじゃないか』

 

 

ようやく長い地下通路を抜けたその先、ローマで見たコロッセオよりも格段に広く、大きい闘技場があった。アリス達母娘とジャック(エプロン)は「大惨事正妻戦争の時間なのだわ!」「性杯を求める戦いなのだわ!」「おかあさんにかいにんさせられる?うむ?」とはしゃいでいたが……。ジャック(エプロン)ちゃん、最後のはシャレにならないよ……。

そして砂のステージに足を踏み入れ、目が回ってしまうぐらいに大規模な観客席に囲まれた私達の目の前……闘技場の中心部にそれはあった……。

 

蒸気を吹き出し、駆動し続ける巨大蒸気機関……。

これがチャールズ・バベッジが語っていた『アングルボダ』、すなわち聖杯。

 

そして、それを守るように鎮座しているのが。

 

 

 

「ここまで、飲み込む固有結界……。なるほど、規格外に過ぎる……。標準レベルのサーヴァントでは敵わぬのは自明の理であったな……。貴様の仕業か、王ですら見通せないネームレスのサーヴァントよ……」

 

黒き醜悪な肉の体を持った巨大な柱。

圧倒的なまでの魔力量。この特異点を作り出した黒幕、魔神柱。

 

「いや、うちの自慢の嫁さんと娘の力だよ…………バルバトスゥゥゥゥゥ!!」

 

「ぶい!なのだわ!」

「パパの目がギラギラと輝いているのだわ!お宝を見つけたフック船長みたい!」

 

『魔神柱……!?…………う――――ん、けどあれ?なんでだろう?そこまで危機感を持たなくてもいい気がするぞ?』

 

そう、ロマンの言葉には概ね同意だ。

だって私達は前の特異点で水平線の彼方まで埋め尽くす魔神柱の群れと遭遇したから!

たかだか魔神柱一体、サイコな魔法少女に比べれば可愛いもんだよ!!

 

「我が王は貴様の事に関して何も答えをお返しにならなかった……私はそれをフラウロスのように楽観視する程能天気ではない……。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!故に!私は、人の身で貴様達の前に現れるような慢心は見せぬ!我が悪逆をもって、善なる者を滅ぼすと!!既に召喚の儀は終わらせてある!!さぁ、現れよ!!『雷電神話――星の開拓者』、『黒き暴虐――嵐の王』!!」

 

『極めて強力な魔力反応が二つ!!来るよ皆、衝撃に備えてくれ!!』

 

 

「もっとだ……!もっとよこせバルバトス!!」

 

「止まりなさいよ!グダお!!」

 

しがみついて制止しようとしている所長を引きずりながら魔神柱へ突撃をかまそうとしているグダお。

あぁ、もう! うちの子はどうしてバーサーカー化してるんですか!? うぇいと! うぇいと! 突っ込もうとしない!! レフ教授の時と同じ感じだよ!! 何か因縁でもあるの!?

 

「皆さん、下がってください!!宝具展開します!『仮想宝具 疑似展開/人理の礎(ロード・カルデアス)』!!」

 

「こきれうす(ありす命名)×100!出番なのだわ!!」

 

暴威となって襲い掛かる爆発的な魔力の衝撃に備えてマシュが盾を構える。

ダメ押しと彼女を助けてくれるかのようにありすの号令で小ヤドカリの群れが私達の前に集合し、壁となってくれた。

吹き飛ばされてもおかしくない魔力の波、だが、それを防ぐのは私達を何度も守ってくれた自慢の後輩の盾。これぐらいで揺らぐ事はない。こきれうす達は無残にも吹き飛んでいたが。こきれうす×100が死んだ!!

 

 

 

「ふふ、ふはははははははは!この私に文明を滅ぼせというか!!人類の叡智が結集した、天才二コラ・テスラに!!哄笑するしかないな!!ここまでの皮肉があるか!!うむ!私が知るロンドンとはかなり様変わりしているが、些細な事である!!さぁ、さぁ、さぁ!さぁ!我が雷を止めてみせよ!!」

 

「随分と懐かしい顔がいる。そうか、モードレッド卿、卿が人理を守る側で、私が滅ぼす側か……数奇な運命もあったものだ……」

 

「っ!!」

 

存在感をどこまでも示す高笑い。立ち振る舞いの全てが自信に満ちあふれ、全身に雷電を纏っているサーヴァント。

そして、黒き鎧に身を包み、鎧と同じ色を持つ、巨大な馬に騎乗する騎士。凶兆をもたらすかのような槍、それを手に金髪のサーヴァントはモードレッドに語りかけていた。

 

対峙しているだけでもわかる。あの二つはどちらともトップクラスのサーヴァント……加えて魔神柱。

今、このアリスちゃん達の宝具によって歪んだフィールド、ロンドンの底深い場所で三つのカードが切られた。

 

「さて、我々は」

「後ろに下がらせて頂きます!!」

 

うん、君達(作家組)には期待していない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二コラ・テスラ

   vs

金時、玉藻の前、ジャック(エプロン)、アリス(非処女)、ありす(非処女)、アリス(処女)

 

 

 

 

「厄介な霧だなぁ、オイ!」

 

「ははははははは!!そう言うな!!Mr.ゴールデン!!私とて多勢に無勢だ!!これぐらい目溢しして欲しい!何せ、只の愛らしい少女達かと思えば、ここまで強烈なレディ達だとは思わなかったのだから!!」

 

アリス達母娘の宝具による『世界の果ての物語(ワールド・エンドコンテンツ)』。

そこから絶え間なく召喚される数多のエネミー達。

テスラが展開する活性魔霧に消滅させられながらも、その物量で確実に魔霧の鎧を削っていた。

 

「戦いは数!なのだわ!!」

 

テスラの雷電によって活性化した魔霧、本来ならサーヴァントですら霊基に多大な影響を受け、行動不能に陥る代物。

だが、アリス母娘、ジャック。彼女達の肉体はもはやサーヴァントにあらず、「性の開拓者」たるグダおから存分に愛を受け取った幼女達が活性魔霧から受ける影響は微々たる物だった。

 

「この霧の影響を!受けずに!こうも動き回る!!一体、君達の体は何で出来ているのだ!?リトルレディ達よ!!」

 

「ラブ&」

「ホワイト!に決まってるの!!」

 

「おかあさんのおかあさんがたくさんだよ!!」

 

「ムムム、少女達の詩的な表現は中々に難解だ、なっ!ぐぬぅっ!!」

 

多分、わからなくてもいいと思います。

 

アリス達の宝具によってポコポコ産まれるエネミー達、テスラの雷威によって吹き飛ばされていくが、それを踏み台にして、宙に浮かぶ彼の周りを縦横無尽に駆け回るジャック(エプロン)。ヒット&アウェイの要領。調理用包丁で切り裂き続け、テスラに確かなダメージを与えている。

 

 

「これ私達、いります?…………ん?おや金時さん、その左腕につけているのはさっきまで、厄いイケメンさん、略して厄メンさんが付けていた籠手じゃないですか。駄目ですよ、借りパクは」

 

「んなダッセぇ真似するかよ!グダおの旦那があのライトニングな奴と戦うのに持ってけってな!後で返すっつーの!」

 

「え――、金時さんだけずるいですねー。私にも戦闘が楽ちんになる便利グッズを寄越して下さいよ――」

 

「あるのだわ」

「これをどうぞ、狐さん」

 

「いや、パラソルと水着じゃねぇですか!なんです!?あのアッパーな金髪サーフィンっ娘と同じ感じになれとでも言うのですか?こんな所で生着替えなんてしませんよ!!まぁ、貢物はもらっておきますが」

 

「残念、弱点をピンポイントなのに」

「槍クラスからの、去勢拳なのだわ」

 

 

金時が装着したグダおの『全戦局対応型直流交流万能籠手』。ダ・ヴィンチちゃんの変態技術が詰め込まれたそれは、使い手の腕の大きさによって変形する。金時の剛腕にもピッタリとハマった。

 

そしてこの籠手、名前から察する通り、Mrすっとんきょう&凡骨とお互い反目し合っている筈の二人の技術も加わっている。共同制作という形で。

 

「んんんぅ?」

 

そして、世界は異なるといえど、見間違う事ないその技術。少女達の猛攻で油断を許さない状況でテスラの動きは止まってしまった。そこが致命的な隙になる事を知っていても。

 

「――――馬鹿な」

 

天才故の早い理解。遠目で映るそのガンドレットは自身が作った記憶はないが、間違いなく自らの手が加わっていると。

そう、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()があるという現実にテスラは大き過ぎる衝撃を受けた。

 

「ジャバウォック!!」

 

固有結界にもう一人の友達が現れる。

この特異点で出会ったもう一人のアリス(黒ゴスロリ)。

自分も力になろうと奮起したのか、アリス達母娘の宝具の影響を受けたのか、彼女達の宝具では召喚出来ない怪物。「鏡の国のアリス」で登場する正体不明の化け物「ジャバウォック」をテスラの頭上に召喚させた。

 

「うぉぉおおおおおお!!」

 

本調子なら全ステータスEXを持つ、ジャバウォック。まだアリス(黒ゴスロリ)が扱いきれていないという点もあるが、それでも現段階では並のサーヴァントでは倒す事が容易ではないスペックを持つ。地上へと押し潰されたテスラ、『人類神話・雷電降臨(システム・ケラウノス)』で吹き飛ばすが、そこに最後の一手が迫った。

 

「おうおう、ここまでお膳立てされて何もしないワケにはいかねぇからよ」

 

宝具発動後の硬直。かの天才は自身の目の前にある発明品に未だ困惑し続けている。

 

「メタルにスパーキング!!」

 

構えるはマサカリではなく、ガンドレット。

 

「クレイジーにゴールデン!!」

 

籠手の直流、交流が見事に合わさった雷電と雷神の子たる彼自身の雷が合わさり、力となる――――!

 

「吹き飛べ、必殺!『黄金腕撃(ゴールデンインパクト)』!!」

 

周囲一帯を消し飛ばしかねない強烈な一撃が消耗していたテスラに襲い掛かった。

 

「あり、えん――――」

 

 

 

対雷電神話――星の開拓者戦、決着。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルトリア・ペンドラゴン・オルタ・ランサー

        vs

モードレッド、モードレッド(水着)

 

 

 

 

「潰すか」

 

その槍は振るう度に吹き荒れる暴風。

 

「砕くか」

 

一突きが敵の絶命に足る、冷酷無比な一撃。

 

「けっ、そうまでしてオレを殺してぇか。そんなに国を滅ぼしたオレが憎いか!アーサー!!」

 

「いやアレはただ単に聖杯で召喚された影響でオレたちの敵として振舞うしか無いだけだろ。槍の黒い父上だって世界を滅ぼしたいわけねぇだろうし」

 

「…………お前、何でこっちに来た」

 

マジレスするモードレッド(水着)に問うモードレッド。

重装備と軽装備、反する姿の二人のモードレッドが嵐の王と相対していた。

 

「あ?俺が『モードレッド』に決まってからだろ。それに、オレの旦那はあんな雑魚には負けねぇからな。心配はいらねぇ」

 

「男に媚び売っている奴がいても邪魔なだけだ」

 

「あははははっ!やっぱし愛も恋も知らねぇお子ちゃまだな!言っとくが、今の俺は生前含めて一番の全盛期だ。剣を捧げるに足る王であり全てを捧げるに足る夫、そして守るべき子供もいる!!こうなった()はつえぇぞ!!こうして槍をぶんぶん振り回している父上だってオレからすれば、こっちに沢山いる父上の一人に過ぎねぇからな!!」

 

「子供……?父上が、たくさん……?」

 

モードレッド(水着)は朗らかに笑い、サーフボードを握っていない方の手にクラレントを出現させる。

盾たるサーフボード(ブリドゥエン)と剣たるクラレント。ビキニ姿だとなお不格好かもしれないが、戦闘においてのバランスは良いだろう。

 

「二人の叛逆の騎士、そして王殺しの二振りの剣……私を仕留めるには十分過ぎる要素が揃っているな」

 

「おうよ!ならもういっちょ、面白いもの見せてやる!!」

 

モードレッド(水着)は考えた。海が無ければ、飛び込む事は出来ない。波が無ければ、サーフィンも出来ない。

だが、サーファーとはそこまで不自由な生き物なのか?違う、サーファーはもっと自由であるべきだと。

凪ならば、魔力放出を起こせばいい。凪以前に海がない?なら、サーフィンが出来るほどの水を呼び起こせばいいだけだ。

 

「『燦然と輝く奥様気分(クラレント・チューブライディング)』!」

 

水のないところでこのレベルの水遁を……!

サーフボード(ブリドゥエン)を縦に叩きつけ、宝具を開放したモードレッドの周囲に大洪水レベルの水が突如として現れる。

それを操るはサーヴァント界一のサーファーを名乗る彼女。その大量の水を束ね、幾つもの水流としてオルタ・ランサーに叩き込む。

 

「こ、れはっ……!?」

 

消し飛ばそうとその水流に槍を振るうが、嵐の王の魔力放出を伴った攻撃は、まるで生きているように蠢く水流によって逸らされる。剛ではなく、柔。まるで波に乗るサーファーのように。その宝具全てはオルタ・ランサーの攻撃を乗りこなしていた。

 

そして槍によって生み出された暴風を乗り越え、オルタ・ランサーを飲み込む水流。

 

「たかが、水遊び程度で……!!」

 

「遊びに本気になれねぇ奴は何をやっても、ダメだぜ!そらぁっ!!」

 

さらに自身が操っていた水流の上をサーフボードを使いライディングしていたモードレッド(水着)はクラレントの剣先から赤雷を水流全てに流し込んだ。

雷属性の生きた大波、全て愛と魔力と宝具によって発動されたこそ出来る大技。

 

水の檻の中で、赤雷を全身に受けるオルタ・ランサーは遂に宝具を開帳する。

 

―――突き立て!喰らえ!十三の牙!!

 

黒く変質した聖槍。放たれる神造兵器。

 

―――『最果てに輝ける槍(ロンゴミニアド)!!』

 

水流全てごと、敵を喰らい付くそうと渦巻く漆黒の暴虐。

だが、嵐の王の目の前には信じられない光景があった。

 

暴風の如き、聖槍の一撃は。その全てが水流の波によっていなされていた。

オルタ・ランサーの宝具はモードレッド(水着)の宝具によって波が巻くことで出来る空洞、すなわち極上のチューブと化していた。

 

「なん、だと……」

 

「手、抜きまくってる宝具ならそうなるに決まってんだろ、あんまし所帯持ちナメんなよ。そして――――」

 

チューブという名の水の通り道。オルタ・ランサーまで続く、その道を駆け抜ける者がいた。

 

モードレッド(水着)のように水の上を自由に行き来する術が無い彼女は魔力放出でロケットよろしく無理矢理そこに飛び込むしか無かった。

 

「オレばっかしに注視し過ぎだぜ」

 

クラレントを振りかぶり、乱暴な手段でアーサー王の目前まで迫る!

 

我が麗しき(クラレント)――」

 

「なるほど、たった一本でも相打ちとなったのだ」

 

父への叛逆(ブラッドアーサー)!!」

 

「二本相手では、こうなるのはわかり切った結末だったか……」

 

アーサー特攻を持つ、ブれる事のない真っ直ぐな赤雷の一撃は人類の敵として召喚されてしまった嵐の王を打ち倒したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「不格好だなオレ、波の乗り方がまだまだだぜ。もっと父上やマスターみたく水の上を走れるぐらいにはなれねぇと」

 

「うっせぇ」

 

お互いの宝具も消え、残ったのは水浸しのモードレッドといい汗かいたぜと満足気なモードレッド(水着)。

 

「けど、波乗りもいいもんだろ?」

 

「まぁ、悪くはなかったな………………。あ、ちょっと待てお前に一つ聞きたい事があった」

 

「なんだよ」

 

こちらの戦いも終わり、マスターの所へ合流しようとしたモードレッド(水着)を呼び止める。

 

「お前(オレ)が、まぁ、色々と納得して、アイツの、その……お、女つーか、お、お、お、奥さん……みてぇなのになったのはよくわかった。強制されたわけでもねぇ、てめぇで決めた事なら、文句はねぇ」

 

「おう」

 

「……なぁ、お前らのマイホームとやらにも父上がいんのか?」

 

「おう、いるぜ。たくさん」

 

「まさか、お前と同じく結婚してるとか言わねぇよな?」

 

「?全員してるぞ。ガキもこさえてるし」

 

「……………………………………やっぱ、あの黒髪のやつ、殺すわ」

 

「待て待て待て待て待て待て待て待て!!落ち着け!」

 

「邪魔すんな!!」

 

「お前の為に止めてんだよ!次、粗相をしたら、最初の時みたくお尻の穴、突かれるぐらいじゃ済まなくなんぞ!!女とか騎士とかサーヴァントの尊厳を失うアヘ顔晒す事になるわ!オレも何が悲しくて違う自分がそうなるのを見なきゃいけねぇんだよ!!」

 

「は――な――せ――!!」

 

「そういうのはキャメロットまでとっておけって!!」

 

 

 

対黒き暴虐――嵐の王戦、決着。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

魔神柱バルバトス

    vs

藤丸立香、マシュ、所長、グダお

 

 

「ギャハハハハハハ!!タノシイ!タノシイ!マジンチュウガリタノシイ!!ソザイソザイモットモット!タクサン!タクサン!」

 

 

 

対魔神柱――バルバトス戦、決着。

 

 

 

 

 

「悲しい戦いだったね……」

 

「やっぱりバーサーカーよアイツ」

 

「え、えーと、グダおさんを呼び戻さなくてもいいんでしょうか?」

 

いいんだよマシュ、魔神柱の死骸の上で狂喜乱舞しているアイツは、その内しれっと戻ってくるから。

まぁ、なんであれ、私達も相手が魔神柱だろうと、問題なく勝利を掴めるようにはなったね。

 

『色々とツッコミ所はあるけど、結構イイチームなんじゃないかな?』

 

『そうだね、頭脳担当はマスターでもある立香ちゃん。防御担当はシールダーのマシュ、攻撃担当は規格外のグダお君』

 

「あれ、私は?」

 

『マリーはお色気担当じゃないかな?』

 

「それいる!?」

 

ダ・ヴィンチちゃんの言葉に打ちひしがれるチョロガマリー所長。

特異点では常にドスケベスタイル、そしてグダおに一番早く喰われた点を考えると仕方ないよね。

 

「ふぅ――――――……あれ、どうしたの?」

 

「所長がナイーブになっているいつものだよ。ていうか素に戻るの早いな」

 

「今は倉庫の中も十分過ぎる素材があるし、今更、あんな必死になってもぎ取りに行く必要も無いんだけどね、これはもう昔の癖というか、条件反射みたいなものかな?」

 

それはもしかして、生前の逸話的な呪いか何か?結構ガチな話?弱点とかになっちゃうの?そういえば、私、グダおの事、知っているようでまだそこまで知らないような……。いやドスケベでセクハラで多妻国家で規格外でカオスなのは知ってるけどさ。

 

「いやいやそんなシリアスな話でもないから。マスターってば心配症」

 

「ええい!頭をぽむぽむするな!女の子の髪に対して気安い!!」

 

「おっと、ごめんね」

 

あ、止めるの……。むぅ。

 

落ち込んでいる所長の傍に寄り、脇を掴んで高い高いして慰めるグダお。

真っ赤にしてまんざらでもない感じであざとくテンパるオチガマリー所長。

その周りをオロオロとするマシュ。そしてツッコミと少しのイライラを解消する為に彼の所まで走る私。

 

まぁ、ロマンの言う通り、結構イイチームなんだろうさ。こうして、4つ目の特異点も無事攻略出来たのだから。

あ、そういえば聖杯を回収しないと――――。

 

 

 

 

「お見えになった。我らが王が…………イレギュラーを消し去ろうと……御身自ら……」

 

残骸の魔神柱から、そんな声が聞こえた気がした。

 

 

 

 






次回、対憐憫の獣――グレートトナカイマン戦。










『全戦局対応型直流交流万能籠手』
グダおがかつてカルデアにいた時、ダ・ヴィンチちゃん、テスラ、エジソンによって作ってもらった籠手。
ダ・ヴィンチちゃんの「まぁ、直流も交流も懐が狭いからね――、相反する技術すら抱え込もうとする漢気なんてないよね――」という煽りから「「できらぁっ!!」」とあの二人も共同制作という形で参加。
鋼鉄の強度からの一撃や迸る雷撃だけでななく、実は装着した持ち主の神経や魔術回路に雷電を流し込み、刺激して、反応速度や、身体能力も格段と向上させる。
………………普通ならバーベキュー状態になると思うのですが。まぁ、オートマチックと雷は男のロマンという事でここは一つ。





燦然と輝く奥様気分(クラレント・チューブライディング)
ランク:EX
種別:対軍宝具
使用者:モードレッド(水着)
卑劣な宝具だ……。
囮役はもちろんアーサー王が行く。オレはこれからの家を守るマスターの正妻だからな。なお、この台詞を吐いた後、数多のカリバーンとロンゴミニアドで折檻される模様。
波が無ければ、波を起こせばいいじゃない。水が無ければ、水を生み出せばいいじゃない。そんなトンデモ理論で生み出されたどこでも手軽波乗り宝具。
相手の攻撃を自由自在に操る水流で相殺するのではなく、受け流すのがミソ。敵、全ての攻撃を波とし、飲み込み、サーフィンし、クラレントを叩き込むモーさんらしいアクロバティックな戦い方。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。