12月はクソ忙しくなるので、今月のような投稿出来ないかも……けど、僕頑張るよ。
R18小説の中でお気に入りの数が3番目になりました。ウレシイ、ウレシイ、ウレシイ。
大丈夫だと思っていた。
彼は……グダおはどんな時でも、負けないって。色々と最低な所もあるけど、最強のサーヴァントなんだって。
冬木で召喚した時も、目の前のシャドウサーヴァントを私達を覆っていた絶望そのものも一緒に吹き飛ばすように現れてくれた。
オルレアンでも、竜の魔女が絶対の自信を持っていた邪竜ファフニールを一刀のもとに斬り伏せたって聞いた。
ローマでも群がる連合兵を拳で薙ぎ払い、グッズ販売では群がるファンを捌き続けた。
大海原、三つ目の特異点では、トロイアの大英雄をものともせず、無茶をした私を助けてくれた…………ま、まぁ、やり方はちょっとアレだったけど。
そして、このロンドンでもサーヴァントだろうと、魔神柱だろうと、鎧袖一触。苦戦の素振りすら見せずに、私がちょっと寂しくなるぐらいにグダおは強かった。
もしかしたら、文句を言いながらもどこかで甘えていたのかもしれない……彼の滅茶苦茶さに。慢心していたのかもしれない……彼がもっと弱かったら、私ももっとマスターらしくサポート出来たのかもしれないって後で自分自身をぶん殴りたくなるぐらいに不謹慎な事を考えて…………。
「グダ、お…………!!」
「グダおさん……!!」
あぁ、ならきっとこの状況は私の見通しの甘さが招いた事なのかな。
「カルデアからの通信も、効かないっ!」
その男が現れた時、今までの連戦連勝から楽勝ムードでもあった私達の空気は一変した。
自らをグランドキャスターと名乗る魔術王……。
いや、違う。
七十二柱の魔神の集合体。
白髪で褐色肌のかろうじて人間らしかった姿は、悪辣極まりない表情を全身に表現したかのように変貌した。こちらを射殺さんと開く胸部の燃紅の眼球、膝を屈してしまいそうになる威圧感を与える黄金の角。
ビーストⅠ――『憐憫』の理を持つ獣。ソロモン王の内側に存在し続けた魔神達の集合体……その名は「魔神王ゲーティア」
筋骨隆々な肉体を持つその獣は別次元の生物として私達を……正確に言えば、グダおを消滅させようとこの特異点に訪れた。
ゲーティアは語った。
「疑問ではあった。時間軸の流れから外れたカルデアが私の眼から逃れ得るのは納得しよう。だが、何故、たかだか一介のサーヴァントの正体が掴めなかったのかと」
魔神王が語る計画。人理焼却の目的というよりは手段でもあった。
逆行運河/創世光年。特異点を作り、人理を焼却し、そのエネルギーを束ね、新たな星を作る。
スケールが大きすぎて、正直な所ついていけなかった部分もあった。だけど、ゲーティアはこの計画に一切の不穏分子を残してはならないと激憤していた。
「私の観測外、別次元の世界において、我々を下し、人理修復を成し遂げたマスターがいるだと。そんな刹那の可能性を、敗北を甘んじて受けた自分がいる……!たとえ、私がいるこの世界とは遠い話だとしても、許せる筈がなかろう!!敗北した自身にも!その世界そのものにも!!この計画には、人類をやり直す計画には!0.00000000000001%のミスも許されぬのだ!!」
グダおがこの特異点で着ていた黒学ランはボロボロになっていた。本人は顔だけはどこ吹く風だけど、引き裂かれた衣服から覗かせる傷が生々しい、私の回復魔術も焼け石に雫状態だった。
わかる。魔術の素人の私でもわかる。桁が違い過ぎる。目の前で呼吸をする事すら辛い。
魔術師の名門である所長やデミサーヴァントのマシュは私よりもその絶望的過ぎる差を感じ取っている筈。
金時君も、玉藻さんも、シェイクスピアも、倒されてしまった。
身も心もボロボロの私達3人に加えてモードレッドとアンデルセン。
そして、庇うように目の前で仁王立ちをするグダお。
「ふぃ――――、まったく一張羅が台無しだ……。いや、サーヴァントの服に一張羅って表現もおかしいか?魔力で元に戻るのなら『大嘘憑き』とか言うべきなのかな?黒学ラン的には」
「強がりでも無い、か……貴様は文字通り、私を前にして無駄口を叩くほど余裕を保っている。それは、ここではない世界で我々を下した成果からか?あぁ、成程、名も知らぬネームレスのサーヴァントよ。未だ貴様の正体は千里眼でも掴み切れぬ。だが、ここまで対峙して何もわからぬ程、知能は耄碌はしてはいない」
冬木の時と同じだ。震える私達の前にグダおがいる。
同じ、あの時と同じ、何も心配は無いって今も笑っている。
「人の旦那に何してんだ!この小便野郎!!」
「おっかないトナカイマンに!」
「お仕置きなのだわ!!」
「かいたい、カイタイ、解体ッッッ!!!」
並のサーヴァントでは勝負にもならない。
だが、彼女達の妻は夫と同じく規格外の域。トップクラスのサーヴァントですら蹴散らされてしまった魔神王に未だ戦闘を続行出来ているのはグダおの奥さん達だけだった。
「不明瞭、不確定、理解不能、何故たかだか数騎如きに我々が押されている!?」
「奴らの霊基は何で出来ている?このエネルギーはサーヴァントのレベルではない……!」
「我々、魔神柱に匹敵する程の熱量!こいつらは……!この女共は!英霊ではない……!」
「解体される!(魔神柱でありながら!)」
「都市すらも飲み込む固有結界か…………。喜べ、カルデアの者共よ。この宝具が無ければ、既に戦いの余波でこの特異点はとっくに崩壊していた。我々と勝負の舞台に立てているのはこの女共だけ。だが、当然の事でもあるか。英霊であらず――――
「え…………人類悪の眷属!!」
「じゃあ、コイツは……?」
「むぅ――!眷属という表現は的確ではないわ!」
「情報の伝達に齟齬が発生するの!」
「わたしたちはおかあさんのおかあさんなの!!」
「ワイフと呼びな!!白筋肉のトナカイマッチョ野郎!!」
「ぐぅっ……!!貴様らの戯言も、抵抗も、そろそろ不愉快だぞ!!眷属共!!」
彼女達と未だ戦闘を続けているゲーティアの口から衝撃的な事実が出る。マシュとモードレッドの驚愕に染まった声色。
グダおの奥さん達が人類悪の眷属と表現される、ならば必然的にグダおは……。
特に顕著な反応が無いのはアンデルセン君と…………所長、さてはアナタ知っていましたね?オイ、目を逸らすな。
「存在せざるビーストと言うべきか。ネームレスのサーヴァントよ、要するにここと交わらざる世界で私はもう一つの人類悪に滅ぼされたのだろう?人類を救うべき者達に人類悪が現れる……。はっ、誠に皮肉な話だ!!貴様等は自分達に力を貸してくれている者の正体も掴めなかったのか!!ははははははははは!!どこまで無知蒙昧か!!」
「カルデアというのはとことん人類悪に縁があるらしい。味方サイドにも敵サイドにもビースト……。まるで獣のバーゲンセールだな。作家としてはインフレに次ぐインフレはどうかと思うが……」
「フォウ…………」
ゲーティアの嘲笑が事実を突く。確かに私達は彼の事をまだ何も知らない。
私と同じで、カルデア唯一のマスターとして人理修復の旅に臨んだ。そこからどうして、サーヴァントに……いや、人類悪になったのかは知らない。でも、そこはいい。これから知る機会はたくさんある。無知は罪じゃない。知ろうとしない事が罪。その蔑みは別に痛くとも何ともない。
「厳密に言えば、お前を滅ぼしたのは俺じゃないんだけどね、ゲーちゃん…………」
「死ね、死ね死ね死ね死ね死ね。どことも知らぬもう一人の自分の敗北、その負債を今ここで文字通り消し去ってくれる。
だけど、その最後の言葉はマスターである私に致命的なダメージを与えた。
まだ、私はサーヴァントという仕組みを理解していなかったらしい。ビーストという存在は未だ掴み切れていない……けど、生前より弱い?あんなに頼りがいがあったグダおが?サーヴァントになったせいで?
―――ま、まなりませんねぇサーヴァントというのはぁ…………貴方も随分と窮屈そうに、見えますがねぇ……本来ならば……もっと自由に振る舞えるのでは……?
じゃ、じゃあ、私が……呼んだから?グダおを召喚してしまったから?
―――問おう、YOUが俺のマスターか。
今、目の前で彼が傷だらけになっているのは私のせい……?
「全くもって理解できぬ。何故、そのような無価値で無意味で無能で塵芥のような人間の声に応じた。ソイツは今まで貴様の足を引っ張る事しなかった筈だ。現に今でさえ、何も出来ずに貴様の後ろで震えるだけ。悲劇だな。そんな何の才能も無いマスターの召喚に応えてしまったのは……」
「その言葉は断固として否定させて頂きます!先輩は無価値ではありません!今までも、私とグダおさんのマスターとしてサポートし、諦めず、前を向いて、共に歩んできました!!」
「貴様が眷属を数人しか呼び出せぬのもサーヴァントという格に落とされているからであろう?」
ボロボロになりながらも否定するマシュの声。
けど、私は何も言い返す事が出来なかった。だって今の状況はまさしくゲーティアの言う通りだったから。
私がこれまで、必死に彼をサポートしてきたのも只の自己満足だったのかな……。
本当は彼だって、私の助けなんか無くても……。いや、むしろ私がサーヴァントとして呼んでしまったからこんな痛々しい姿に。
視線が下がる。瞳が悔しさと悲しさと無力感で滲む。
この絶望的な戦力差にじゃない、ゲーティアの言う事に何一つ否定出来ないのが、グダおの足を引っ張り続ける事しなかった自分が惨めで……。
駄目だ。グダおの顔も見れないな。
―――ギュッ……。
「あっ」
「わかってない。まるでわかってないなぁ……ゲーちゃん」
暖かくて、安心感があってどこまでも浸っていたくなるような温もりが私を包む。
「このマスターが無能?はははははははっ!!節穴なのはフラウロスだけじゃなかったみたいだな!」
「何……?」
私達よりも痛々しい姿になっているグダおが余裕たっぷりにいつもの不敵な笑顔で私の肩を抱いていた。
「真名も!クラスも!経歴も!不明なサーヴァントを信頼し!」
―――君は無理矢理ではしないでしょ……それに数は多かったけど、君とその…………ゴニョゴニョした娘達、皆心の底から幸せそうだったもん。そういう経験がない私にもわかるぐらい君に愛されて嬉しいって顔してた。
「好き放題に滅茶苦茶やっている俺を見捨てる事もなく、諦めるのでもなく、真っ正面からぶつかってツッコミを入れてくれる!」
―――そうだね!特異点は救われたね!めでたしめでたしだね!過程から目を瞑ればねぇ!お前はあれなの?真面目にやったら死ぬ病気でもかかってるの?何かやらかさないと霊基が死んじゃうの?
―――だって私が召喚したサーヴァントだもん。なら何があっても、どんな無茶振りされようとも、彼がどれだけ埒外な英霊だったとしても……私がちゃんと最後まで面倒みます!!私が拾ってきたようなものだし!!サーヴァントとマスターってそういうもんでしょ?
「怪しさしかない俺に命まで賭けてくれる!」
―――私だって、君が自慢に思う、召喚されて良かったって思うぐらいのマスターになってやるんだから!!
―――つぅーかまえたァッ!!
「あぁ、!全くもって心底素敵な
ほ、惚れえぇっ……!?
「召喚されて本当に良かった!と、嘘偽りはなくそう叫べる!さぁ、マスター!言われっぱなしでいいのかい?あの勘違いトナカイマンに一言言ってやる事は?」
う、うるさいなぁ……もう、もう、もう、もうっ、もうっ……! もうっ!! 全く! 人の気持ちも知らないでぇ……!
さっきと変わらず涙は浮かんだまま、けどそれはさっきとは正反対の意味合いになっていた。グダおがここまで私を見てくれていた事、想っていてくれた事、その嬉しさが立ち上がる勇気となる。
「うるさいっ!外野が私達の関係にとやかく口出すなっ!!ばーかぁっ!!」
「よく言った!」
「マシュ!!」
「はい、まだ続行可能です!!」
彼と触れ合っている体の部分から形容し難い力が流れ込んでくる……。うん、私はまだ戦える。
令呪を持って命ずる――!
「それは、オケアノスで見たぞ。芸がない」
「『
第三特異点でメディア・リリィと戦った時と同じ、令呪でゲーティアの傍までマシュと共に転移。
この魔神王は本腰を入れに来た。けど、それはあくまでグダおにだけ、私達の事は敵としてすら認識していない。
「しかも、あのサーヴァントではなく、マシュ・キリエライトを引っ張り出すとはつくづく無能だな……。人類最後のマスターよ」
「いえ!先輩は……!グダおさんと私を、カルデアの矛と盾を一番上手く使える最高のマスターです!」
だから、今も片手間で片付けようとしている。それこそ虫をはらうように。
それでも私達にとってはゲーティアの微細な魔力の放出は一瞬でも気を抜けば、身も心も跡形も無く消し飛んでしまうほどに強大であった。
二画目の令呪でマシュの宝具を強化!
――そして、最後の令呪を持って命ずる!
「マシュ!負けないで!!」
「はい!絶対に負けません!」
カルデアで一番信頼出来る盾の後ろで私は準備をする。
次の二手を打つ決定的な準備を。
「はあああああああああああああああ――――!!!」
永遠に続くようなマシュの怒号。
だが、大丈夫。相手は本気じゃない。真面目に攻撃してこない奴にマシュが負けるもんか。
「ほう、耐えたか。だが、児戯にも劣る攻撃を凌いだ所で、何の意味が―――」
「『オーダーチェンジ』!」
「選手交代だ」
「ぬぅっ!?」
マシュが耐え切った成果。攻撃の切れ目、敵のほんの一息。私達を見下す戯言。その隙をついて魔術を使用。
グダおは絶対にどんな時でも何らかの策(ネタ)は持っていた。
けど、今回はゲーティアはそれをさせないぐらい、グダおを集中攻撃していた。『
尚且つ、私達を庇いながらではその暇すら無かった。
なら、その一瞬は。勝利への隙間は!私がこじ開ける――!!
「いったれ、マスター」
さっきと同じ。
私を抱きしめて、ゲーティアと対峙するグダお。彼に触れられていると、嬉しさと照れが恐怖心を勝ってくれる。
うん、体はボロボロだけど、万全のコンディションだ。
「『ガ ン ド』」
「ガァッ……!?」
今まで数多のエネミー、サーヴァント、果ては魔神柱まで。あらゆる物の動きを封じてきた私の切り札『ガンド』。カルデアの技術力は凄まじいなーと思ってたけど、ダ・ヴィンチちゃんとかロマンは「いやー、そんな狂った性能にした覚えはないんだけどね――、これは間違いなく君自身の才能だと思うよ」って言ってくれた。
人類悪相手に効いたはいいけど、恐らく数秒がいい所だろう。
「……それで、どうした……?どうせ貴様らは私に一切の傷を負わせる事はない。寿命が一瞬延びただけだ……!」
いい、その数秒さえ作れてしまえばいい。仕上げは私の最高のサーヴァントがやってくれるから!!
「『
流れる動作で空中の波紋から、聖晶石を数十個程、取り出した。
「――――!!」
何故か、ここに来て初めて、ゲーティアに恐怖の感情が浮かんだ。
それを無視し、その石を両手で祈るように握り潰す。
「やめろ――――」
懇願するように未だ痺れる手を伸ばすゲーティア。
彼もグダおが何をするのかはわかっていない筈。だが、本能的に察しているのかもしれない。このままでは自分は碌な事にならないと――――。
「よせ――――」
「第五宝具展開――!」
「その宝具を私に使うなああああアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!」
潰された石が媒介になってナニかが現れる。
「『
『おう、こら、よくもウチん所のなすびちゃんと所長をキズものにしてくれたなぁ』
なんか、グダおの背後から。サイドテールの世界観を壊しかねない目が完全にイッている半裸の女性?が現れた。
…………なんだあれ?
いや、なんだあれ!? なんだあれ!?なんだあれ!?なんだあれ!?
「ぬおおおおおおおおお、はな、せ……!」
『やかましい』
「ガアアアアアアアッ!!?」
――ボキイイイィッ!!
『は、?戦馬の幼角じゃないのか。萎えるわぁ……。そんな大層な角付けてなんの素材もドロなしとか無いよね?魔神柱共の親玉だもんね?もっと美味しい素材ボロボロ落とせるよね?』
『王よぉ――――!!』
「かつて、俺がカルデアスに手を突っ込んで遊んでいた頃……。その時から何度か、悪霊のようなナニかが、俺の傍に現れる事があった……『宝具skipはよ』、『福袋で好きなキャラを選べないとか糞』、『運営の悪口を言え』など、要領の得ない事ばかりだったが……」
待て待て待て待て待て!何をシリアス顔で解説してるの?目の前の光景が見えていないの?
あんなに立派だったゲーティアの角が両方とも折られて、ゴミくずのように捨てられているんだけど!
「クレオパトラはスタイリッシュな立ちポーズでこう教えてくれた……」
――マスター!貴方が悪霊だと思っていたのは、生命エネルギーが作り出す、パワーあるヴィジョンよ! そばに現れ立つというところから、そのヴィジョンを名付けて……『スタンド』と!!フフ、妾の美しすぎる解説に泣いて悦びなさい!!
「宝具として使うには、俺の倉庫から聖晶石30個という決して軽くない代償を差し出さなければ応じてくれない。だが、それだけの代償を差し出すだけの価値はあるっ……!」
『落とせよ。QPとか心臓とか羽根とか骨とか頁とか勾玉とか呼符とか石とかさ。悲鳴だけ上げるなら子供でも出来ますよ?』
「オボボボボボボボボボボボボボボ!! 」
全然、そばに立っていないんだけど!むしろお前から離れて好き放題やってるんだけど!
首つかまれて、持ち上げられて、顔面に殴撃の嵐を受けているゲーティアが可哀想になるレベルなんだけど!
自分の宝具ならもっと制御してよ!!
「けど、なんかアレ……貴方に似てないかしら?」
「もぐぞ」
「もぐ!?何を!?」
所長は一体何を言っているのか、あんな人類悪をマウントで殴り続ける女を捨てたような化け物と私が似ているわけないじゃないですか。
「図に乗るなぁ……!!」
『お?』
「このような所で、不完全な状態で放つのは……甚だ不本意だがっ……!もはや、そうは言ってられぬ。消え失せろ化物!!…………我が偉業! 我が理想! 我が誕生の真意を知れ!」
『…………………………………………』
マズい! 今までの魔力放出や熱線の放出とはレベルが違う! のしかかる重圧のような魔力がゲーティアに集まっているのがわかる……! あれはきっと正真正銘、ゲーティアの宝具解放……!
グダおが召喚した謎生物だけじゃなくて、ここにいる私達も危ない――!
「この星は転生する! あらゆる生命は過去になる!讃えるがいい――我が名は」
『口上が長い』
「ぶべぇぇええっ!!」
ビンタで止めたぁぁぁっ!?
「30秒以上ある宝具演出とか舐めてんの?その間バニヤンちゃんの宝具なら何回打てると思ってるの?」
あぁ、またマウントでリンチし続けている!! もう止めて! ゲーティアのライフはゼロよ!!
『お前が勝手に憐れんで人類を諦めるのは勝手だ。人間は始まりから失敗していた?終わりのある生命は間違っている?だがな、それでも人は今日までがんばって生きてきたんだよ。人類はどんな逆境にも立ち向かう力がある。未来を勝ち取る力があるんだよ』
言っている事は格好いいのに、姿とエグ過ぎる原始的な攻撃で全てが台無しになってるよ!!
『これはパンティを奪われた所長の分!』
――ボコォォォッッ!!
「そんな覚えはないわよ!!」
『これは男の味を知ってしまったなすびちゃんの分!』
――グシャアアアッ!!
「なんでこっちを見ながら言うんですか!!もしかして、なすびちゃんって私の事を言っているんですか!?」
『そしてこれが』
振り下ろされる拳。それはゲーティアの胸部、大きく赤い瞳のような……。心臓にあたる場所に定められていた。
『いつまでたっても宝具skipが実装されない私の怒りだぁぁぁぁぁ!!!』
「オオオオオオオォォォォォォォッッ!!ヌオオオオオオオオオッッ!!!」
ただの八つ当たりだぁ―――!!?
『へっへっへっ、さぁ、なすびちゃん。窮地を救った私にアソコをキュンキュンさせて、人理修復ックスをする時間が来たよぉ……』
「きゃああっ!先輩!グダおさん!この人?怖い、怖い、怖いです!私のあらゆる生存本能が危険信号を告げています!」
「はい、お疲れっした―――リョグダコさん、また機会があったら頼りますんで」
『お、おのれ……私が消えても、第二、第三の私が……』
パンパンと宝具使用者であるグダおが手を叩くと洒落にならない言葉を残して、謎の生物は消えていった。
うん。色々とひどい終わり方だった。一応、ラスボスにあたる相手にあんなカオス過ぎるトドメの刺し方……。
私達の人理修復の旅、これで良かったのだろうか……?
「久々に見たわ!マスターのあの宝具!」
「お祈りをするように石を砕いて召喚!」
「じんたいれんせいする?」
「あぁ―――、悪ィ、お前の剣とか妻とか、デカい口叩いておきながら、マスターをこんなボロボロにさせちまった…………はぁ、まだまだ嫁修行が足りねぇか?」
「何言ってんのさ、モードレッド達がいなかったら、もっと早くケリをつけられてたよ。魔神柱の群れを相手してくれてありがとう。モードレッド、アリスにありす、ジャックは自慢の奥さんと娘だよ」
「まぁ、今だけ召喚されたのがオレ達で良かったと思うわ。白い父上がいたら、どうなっていたか想像もしたくねぇ……」
「デウス・エクス・マキナいや、あのナマモノらしき神様はどちらかと言えばクトゥルフ神話方面か?ガワだけ女の形をしていたのだ余計におぞましかったな……それで、どうだ叛逆の騎士?最後のおいしい所は持ってかれてイイ所無しだが?」
「は?父上をぶった斬ったの見てなかったのかよ。作家の瞳が節穴とかいよいよ廃業か?」
「そうだな、もう一人の頭春夏娘にお膳立てされてな。お前も、もうあの男の上で腰振って色々と注入されればどうだ?強くなるかもしれんぞ?」
「ああ――、ああ――、急に隣にいるガキの首を落としたくなったなぁ―――!!」
シェイクスピアの時と同じく、グダおの背後に隠れる童話作家。
近づけずぐぬぬ顔のモードレッド……もう、君達、最後なんだからそろそろ仲良くしてよ。
「私の負けか……ふ、結局、貴様の世界の焼き直しだったか……存在せざるビーストよ。この世界でも私はお前に負ける運命というわけか……」
『……!!』
ゲーティア……?いや、姿も雰囲気もまるで違う……。グダおの宝具にボコられて色々吹っ切れてしまったのか?
地面まで届く、金髪に褐色肌の人の姿……。ソロモン王として現れた時よりも人間らしい姿をしていた。
周りにいた魔神柱も集合体として、彼の中に戻ったのか。今、私達の前には一人の男の姿しか無かった。
けど、戦意は無さそう。いや、肉体も既に朽ち始めているような……。
「だから、何度も言ってるじゃん。俺の世界でもこの世界でも、お前に引導を渡したのは俺じゃない」
「ならば、私は一体、何に負けた」
「人間だよ。マシュがいなかったら、マスターをお前の攻撃から守り切る事は出来なかった。所長がいなかったら、魅了もなく、魔神柱達はもっと統率された動きをしていただろうさ。そしてマスターがいなかったら、宝具を発動する時間さえ、俺には与えられなかった。まぁ、そもそもの話、カルデアの皆のサポートが無ければレイシフトさえ出来ないしね」
「―――――」
「お前がいう無価値な人間なんて誰もいないのさ。たった一人で何かを成し遂げられる程、この世界は簡単じゃない。たった一つのピースでも欠けていたら、俺はお前に負けていた……。トドメは俺の宝具だったとしても、断言出来る――。お前はマシュに、所長に、マスターに、カルデアの皆に、人間に負けたのさ」
「そうか――――」
納得した息、答えを見つけたような万感の思いを込められた呟きだった。
「無能と眼中にすら無かった者の魔術に、この魔術王が数秒間も動きを封じられていたのだ……。一切の反論を許さない完璧な敗北だな。私は人類最後のマスターに藤丸立香に、ひいては人間に負けたのか……」
「おう、うちのマスターは無能じゃないぞ!こんなに心が強くて、健気で、可愛くて、いい感じの均整が取れた体つきで、咲くまえのような蕾を感じさせる良物件だからな!」
……いつもなら照れ隠しで蹴ったり、殴ってたかもしれないけど。まぁ、今日ぐらいはコイツの恥かしい褒め言葉も受け取ってやろう……ほれ、もっと言いなさいよ。
「我が計画は中途半端も良い所で終わるか……。あぁ、全く人間というのはどこまでも度し難く……そして不思議な程に面白い――――」
そうか。こうして人理焼却を目論んでいた黒幕を倒したという事は、世界は救われたって事でいいんだよ、ね?
「ングゥッ――――!!?」
その時、決定的なナニかが産まれる音がした。
『!!』
突如、苦しみだすゲーティア。
グダおは何もしていない、彼にしては珍しく驚愕の表情を浮かべていた。
「貴様……!」
ゲーティアの声は私達に向けられていない。
自身の中、魔神柱達に語りかけている。
「貴様、一体、ナニを連れてきたぁあああああ!!
「いやだよぉ」
「一体、どういう事だ!?」「とても暖かい!!」「消える……!作り変えられる!数多の情報因子が……!」「なんだ、なんだ、このような物、我々が知る人類の中では!?」「性と生/絶頂→腹上/死と賜」「溶かされている……いや、蕩かされている!?」「快楽を感じている!(魔術王でありながら)」「快楽、悦楽、解放……止めろ止めろよせよせ」「違う、違う、こんなものが人の性だと認められるか……」「そんな、やめて、みすてないで」
私達にまで聞こえる魔神柱達の怒号と悲鳴。崩れ行くゲーティアの体、だが、その胎から出てはいけないナニかが――――。
「お膳立てご苦労様。やはり、貴方達では彼には勝てませんでしたか。えぇ、わかっていましたとも、わかり切った結末でしたとも。だって彼
世界そのものを陵辱したかのような、淫魔の声が聞こえた。
「ヌアアオオオオオオオオオオオォォォォ―――――!!」
苦悶の叫びを上げるゲーティアの中からそれは出てきた。
―――そもそも俺がこうしてサーヴァントとして召喚されている以上は間違いなく俺が知っている軸とはズレていくでしょうよ。
「ふむ、分岐点は。俺がマスターの召喚に応じた所からか……そこから未来は変わったというべきか……。いやぁ、フラグ建てちゃったかな――?」
「あれは誰だ?」
「美女か?」
「聖女か?」
―――たすけて、きあらさま
あの強大だった魔神柱とは思えない程にか細い断末魔を最後に。
「もちろん、私です♡」
全てを蕩かし、溺れさせる、最低最悪の快楽天が顕現した――――。
次回、第四章最終話『蘇る超悪魔級』
『
ランク:不明
種別:対シリアス宝具
使用者:グダお
人類悪 顕現。
聖晶石30個を代償に解放可能な許されざる意思を持った自立型宝具。祈るように石を砕き、我は汝、汝は我と、寄り添うに現れる(その後、使用者の傍から離れないとは言っていない)。もう、錬金術師なのか、ペルソナなのか、スタンドなのか、わかんねぇなこれ。
ともあれ、グダおも石の代償からあまり使用したがらないこの第五宝具はヤバい(語彙力消失)の一言でしか表現出来ない。特に宝具演出が長い奴には烈火の如き、制裁を与える。物理法則、設定、世界観、彼女が現れたらあらゆる物が崩壊する。
エロ方面には弱い?ので、なすびちゃんや所長のパンティを与えて大人しくさせよう。
《カルデア島でゲーティアにボロボロにされるグダおを見たある面々》
「ちょっと私の
「おや、奇遇やねぇ、うちもちょうど……角漬けの酒でも飲もうと思っとたんよ」
「……いつもなら貴女の助けは不要と言う所ですが、数はいくつあっても邪魔にはなりません。好きにしなさい」
「かはは、うちに子供が出来てから、随分と当たりが優しゅうなったなぁ……頼光はん…‥」
「炎があってもいいですよね?旦那様を傷付ける悪い鹿を炙る極上の炎は」
「毒も必要です。暴れる動物を大人しくさせる為の毒が」
「待て待て待て、待つでござる!そんなお館様の許しなく、そもそも、もう定員一杯であろう!」
「おんやぁ?なら千代女はんはこのまま、旦那はんがいたぶられてもええと……?ほぉ~ん、はぁ~ん」
「ぴぃっ!?そ、そんな事は言ってないでござる!!だから、その眼で見るのはやめてっ……」
「皆さん、落ち着いて下さい。私達はマスターの剣であり、妻であります。家を守る使命もあり、主の許可なく勝手をするのは許されません。まずは落ち着く事です」
(白騎士殿……全身で武者震いしながら、噛み切った両端の唇から滝のように血を流しながら言う台詞ではないでござるよ……)
何故、私がこの第4章の前にCCC編を完結させたのか。
何故、マスターがキアラを振ったのか…‥。
全てはこの時の為、さぁ、ラスボス交代のお時間です。
うーむ、今回はネタ少なめだっかな?