《エクステラリンクの感想》
『天声同化』って何か薄い本ネタで使えそう(小並感)。
半年以上、放置されているメインヒロインがいるらしい。
酒が人を駄目にするのではなく、酒がその人の本性を暴くとカルデアの職員の誰かが言っていました。
どうも皆さん、こんにちは。マシュ・キリエライトです。
第四特異点でのあの衝撃的な邂逅を経て、無事カルデアに帰還出来た私達は今は束の間の、そう束の間の休息を満喫していました。
「お――い、こらぁ、グダおこっち向きなさいよぉ。もっとマスターたる私を甘やかしなさいよぉ」
……はい、満喫しているのです。
先輩も顔を真っ赤にして、呂律が回らない様子でグダおさんに絡んでいます。
お姫様抱っこを所望し、グダおさんの膝の上で彼の頬をペチペチと叩いています。
体重を彼に預け、据わった瞳で杯を片手にぐでんぐでんしている様子は何でしょうか……先程までいたダ・ヴィンチちゃんが「まるでキャバクラに入り浸っている駄目親父みたいだ……」と呟いた通りのイメージなのかもしれません。
うぅ……先輩、おいたわしや……どうしてこうなってしまったのでしょうか?
――所長によるグダおさん人類悪秘匿事件のせいなのか。
――それによって嫉妬心を爆発させた先輩が次の特異点発見までグダおさんとマイルームで二人っきり条例を強行したせいなのか。
――いざやると気恥ずかしくなった先輩の気を紛らわす為にグダおさんが『
――それを浴びるように飲んでしまった先輩のせいなのか。
先輩は自身と同じカルデアの白い制服を着ているグダおさんの襟を掴みながら、「何さ半年放置って!ヒロイン枠にこの扱いとか雑過ぎるでしょ!!」とよくわからない事を訴えています。さすがのグダおさんもこの先輩には苦笑でした。それでも嫌な顔を一切見せずに付き合っているのはさすがと言うべきだと思います。
「そりゃあね?マスターだった頃の君にはたくさんのサーヴァントがいたのかもしれないよ?けど、サーヴァントの君にマスターは私、唯一人!オンリーワン!!」
「あ――、つまり?」
「もっと私に構え!」
いや、グダおさんは結構な頻度で先輩を構っていると思うのですが……というツッコミを私はグッと飲み込みました。マシュ・キリエライトは出来る後輩なのです。敬愛すべき先輩の逢瀬を遮るような真似をしてはいけないのです。
グダおさんの困った雰囲気を感じ取ったのか、先輩はさらなる要望を重ねます。
「ギャグチックじゃなくて、乙女チック&ロマンチックに構って欲しいの!!」
「えぇ――」
グビグビと先輩はさらなるアルコールを摂取します。
「で、ですが……先輩、私が思うに、グダおさんとの出会いの頃からこれまでの事を振り返れば、何度か先輩が望むようなロマンチックな場面はあったのでは」
それこそ、冬木の街でシャドウサーヴァントを吹き飛ばして、先輩を助けてくれた場面。オケアノスでグダおさんの為に戦って、溺れかけて、人工呼吸をした場面。ロンドンでゲーティア相手に先輩を抱き締めながらグダおさんが心底素敵な女性だと啖呵を切った場面。おおよそ、先輩が……ひゃあ!?そんなキマってしまった眼で私を見ないで下さい!
「足りない……」
「はい?」
「他にも私が高い所から飛び降りて「着地任せた!」って叫んだら、いつでもどこでも駆けつけて、お姫様抱っこしてくれるシーンとか。敵の策略によって記憶を失ったグダおの為に体の殆どが崩壊しても進み続けて、絶対絶命の窮地でやっぱり彼が助けてくれるシーンとか。崩れゆく空中庭園で満身創痍の私を膝枕して微笑んでくれるシーンとかあってもいい」
「何でそんな具体的なんですかねぇ」
麦酒の入ったカップを置いた先輩は「にゃ――!一体何をすればお前の絆値はMAXになるんじゃ――!絆礼装よこさんか――い!!」とポカポカ、グダおさんの胸を猫パンチし続けます。
大変、可愛らしい姿なのですがこのままにしておいていいのでしょうか。後で先輩の酔いが覚めた時に自己嫌悪で引き籠ってしまいそうな気がするのですが。
「俺はマスターの事、大好きだよ」
そういった機微に疎い私でもわかる真っ直ぐで偽りの無い言葉が先輩に向けられました。
「あん?誰にでも言ってんだろその言葉」
「誰にでもじゃないです。好きになった人だけです」
「おめぇはよぉ!その好きになった人が多過ぎんだよぉ!!」
ですが、へべれけ状態になった先輩にはその言葉は届きませんでした。
グダおさんの頬を摘まみながら、酒気の混ざった吐息を吐きかけ続けます。
「これか!この甘いマスクが色んな女を誑し込んだのか!?それともこっちか!こっちで堕としたのか?おぉ!?ここのマジカルグダお君が炸裂したのか?えぇ!?」
パンパンとグダおさんのこか……股の間を叩き続ける先輩を見て、私はそろそろ止めるべきかと思案しましたが、グダおさんが私の方を見て、大丈夫だからと首を振ります。急所を叩かれながらもその余裕はさすがです。
「なんだよ、なんなんだよ。獣っ娘とか人妻とかロリとかならまだしも、本とか機械とか、挙句の果てには既婚者の旦那にも負ける私って……。女よりも女らしい亭主様ってか……う、うぅぅ……」
怒り上戸の次は泣き上戸ですか……。
ですが、ここでグダおさんに溜め込んでいた物を吐き出したのは良かったのかもしれません。
人理を救う大業を背負わされてしまった先輩の心の底にある澱みは私では計り知れません。
だから、私は安心しているんですよ先輩?いつも大声を出して、グダおさんにツッコミを入れている先輩の姿には。
先輩は否定なさるかもしれませんが、グダおさんの傍にいる先輩は年相応のどこにでもいる女の子らしい顔を見せているんですよ。
「私の事、すきー?」
「好きだよ」
「もっと馬鹿っぽく!」
「いっぱいちゅき♡」
「むふ――!」
嬉しいのか酔いのせいなのか、顔をさらに紅潮させた先輩は甘えるようにグダおさんの胸に顔を擦り付けていました。素面に戻ってもこの事を覚えていたら、どんな顔をするんでしょうか。
「……んぅ?」
「マスター?」
一瞬、先輩の瞳が焦点が合わなくなったような気がしました。アルコールが完全に回ってしまったせいでしょうか。フラフラと意識を失いそうになった先輩はロンドンでグダおさんから貰ったぬいぐるみ『スケープゴートグダおくんver』を枕元から自分の胸元へと抱き寄せました。
「レムレムですか……先輩。ん?どうしましたグダおさん?」
気絶するように横になった先輩を何故かグダおさんは真面目でどこか心配するような顔つきで見詰めていました……。
「あれ……ここどこ、っ……頭いたぁ……」
ちょっとした頭痛に耐えながら、目を覚まし、自分が今まで何をしてたのかを思い返す。
第四特異点から帰還した私は所長の抜け駆け裁判を経て、勢いでグダおをそのまま自室へと連れ込んで……確かアイツから酒をもらって……それから。
「思い出せない……」
思い出せないけど、自分でも取り返しのつかないナニかをたくさん積み上げてしまった気がする。
「というよりここはどこ?」
柔らかい感触、自分が目覚めた場所が豪華な装飾がされたキングサイズのベットの上である事に気付く。
「綺麗な場所……」
自分のおおよそ想像通りなロマンチックな部屋だった。天井から吊り下されたシャンデリア、埃一つ落ちていない高価そうな絨毯。豪華な装飾がされた立鏡に箪笥と暖炉。まるでお姫様にもなったような気分だった。
「唯一あるドアは開かない。窓も無い……」
こんな閉じ込められた状況でなければ、私ももう少しはしゃげたのかもしれないが。
何だろう。場所は私の好みなのに喜ぶ事が出来ない。まるで今の状況が
『あら、ようやくお目覚めですか。随分と焦らされてしまいましたわ……』
「……っ!」
声だけが聞こえる。だが姿は見えなくとも、その声だけで私はすぐに誰だかわかった。
忘れようとも忘れる筈の無い、それほどのインパクトを第四特異点で私達に残していった女。
「殺生院キアラ……!!」
ようやく今の状況がこの歩く有害図書によってもたらされたものだと自覚する。
『生温い殺気ですね……まるで昂りませんわ』
「こんな所に私を閉じ込めてどうするつもり……?」
『どうもこうもするつもりはありませんよ。
ぞっとするような彼女の言葉を皮切りに部屋から異質な存在が何体も現れた。
『もちろん、命を奪うつもりもありません。私、こう見えても聖職者ですから殺生は好みません』
粘液を撒き散らす触手の塊、面貌が無いのっぺら顔のホムンクルスのような人型のナニか、四つん這いで涎を垂らしている獣。殺生院の手によって召喚されたそれらは殺意ではなく、殺意以上のおぞましいナニかを込めた視線で私を見つめ続けていた。
「ひっ」
『殺すつもりも、ここに一生閉じ込めるつもりもありません。この『淫獄塔』から出る条件はただ一つ、『性行為』を行う事。最もこの部屋で貴女以外の生物は彼等しかいませんが……。まぁ、簡単な事でしょう?」
こいつッ……頭おかしいんじゃないの!?
小さな悲鳴を漏らした私に気を良くした殺生院が話を続ける。
ロンドンで盛大なオナニーを見せつけてくれた痴女らしい。どうやら、コイツらに私を犯させるようだ。
『場所は年頃の乙女が夢見がちな豪華な寝室。ただし、相手は欲望まみれの獣畜生。このチグハグ感、堪りませんわ』
「……やめて、くるなっ!」
にじり寄ってくる殺生院が生み出した淫魔共から逃れようと後退していると、ベットの端につまずき、背中から倒れ込んでしまった。
『あらあら、年端もいかない女の子がそんな自分から誘うような体勢をして、はしたない』
クスクスと笑う殺生院の台詞でようやく自分がどんな服を着ているのかに気付いた。
赤いリボンに紺色のセーラー服。私が通っていた学校の制服とそっくりだった。
『こんな人理修復なんて事態に巻き込まれなければ、享受出来たであろう普通の少女としての時間、その時間の象徴でもある服で、人知れず心無き者達に犯されるなんて、大層滾るシチュエーションだと思いませんか?これは決して制服を着ても、『うわキツ』としか思われない私の若さに対する嫉妬とかではないのです』
コイツのポルノに満ちた思考回路は本当に理解出来ない。
そんな事よりもまずはこの窮地を脱しなければならない。私はグダおとマシュ。自分の頼りになるサーヴァントを呼ぼうと……呼ぼうと――……。
「令呪が……ない?」
『無駄ですよ。肉体の転移ではなく、私は貴女の精神を淫獄の底へと引き摺り込みました。サーヴァントに格落ちしてしまった彼では貴女の声に応える事は出来ません。けど、ここから出るのは簡単な事ですよ?只、彼等に身を委ねればいいだけです。それだけで脱出出来るのですから』
「冗談じゃないってのッ!!」
ホムンクルスような全裸のナニかがバイブを片手にベットに上がってくる。
足に触れられるとおぞましくなって鳥肌が立つのが止められなかった。
「はなせッ……はなして!!」
『いつもの私なら、ここで貴女の精神が壊れてしまうまで嬲っても良かったのですが。汚した状態で貴女をカルデアに返すのも一興だと思いまして。醜悪な怪物に犯された経験も貴女だけの物。貴女が語らなければ、誰の耳にも届く事はありません。えぇ、きっと貴女は誰にも言わないのでしょう。特に心惹かれている彼には……。ですが、そんな汚れた身で貴女は彼の隣に立ち続ける事が出来るのでしょうか……?「言えない、知られたくない……彼だけには」。ふふ、鬱鬱とした貴女の未来を想像するだけで私の溜飲も少しは下がるというもの』
姿を現す気は一切無い殺生院は楽しそうな声色で好き勝手な事を吐き続ける。よっぽど、只の小娘がグダおの隣でマスターをやっているのが気に食わないみたいだ。ここまで陰湿な催しをするぐらいなのだから。
本当なら泣き喚きたかった。けど、この女の前でだけはそれをしたくなかった。
私は唇を血が出るぐらいに噛み、痛みで恐怖を紛らわす。
「ハッ、そうよ。アイツのマスターは私だけ。グダおは私の最高のサーヴァントなの。いつだって私がアイツの隣にいるの。アンタじゃないわ。羨ましい?お・ば・サ・マ」
『……………………その強がりがいつ助けを乞う言葉になるか楽しみにさせて頂きます』
殺生院の猥褻極まりない化け物共に囲まれる。
強がってはみたけど、駄目みたい。こういう展開って物語の中だけでまさか自分がなるとは思わなかったけど。はーあ…………。
「初めては……グダおにあげたかったなぁ」
「なら、もらうさ」
『は?』
「え――」
心の底にあった呟きが漏れ出た瞬間に気づけば、私を覆い囲んでいた怪物達が吹き飛んでいた。
そこには現れたのは何故か学ラン姿で私を守るようにベットの上で仁王立ちしているグダおだった。
「マスターに汚い物向けてんじゃねぇ。
吹き飛ばした際に奪ったのか、R18版ホムンクルスが持っていたバイブで殺生院の眷属共が細切れになっていく。はえーすっごい、バイブってあんなに切れ味あるんですね。
『なっ……!どうして貴方がここに!?』
確かにカルデアからの通信はおろか、マスターとサーヴァントを繋ぐパスも感じなかったのだ。一体、どうやって。
「マスターが現実の世界で気を失った時に抱いたぬいぐるみがあるだろう?あのヴラドおじ様直伝『スケープゴートグダおくんver』が俺とマスターを繋ぐパス代わりになったのさ。夢や精神の世界では結構、重宝する代物なんだぜ?」
そうなのか……。というか私があのぬいぐるみを抱いている所をバッチリ知られているのは何だか気恥ずかしいのだが……。
「大丈夫。気を失う前にもっと恥ずかしい事やってるからマスターは」
「え?」
「覚えてないって幸せな事よねー」とグダおが生暖かい瞳でこちらを見つめる。おい、何だよ。言いたい事あるのならはっきり言ってよ。
「というわけで快楽天ちゃんは俺の好感度ポイントがマイナス100万ポイントになりましたー。おめでとうございます」
『ぐえっ』
抑揚の無いグダおの言葉に何とも言えない迫真の呻きが聞こえたような気がした。グダおの怒気や殺気を受けた時はオナニーするぐらい興奮していた癖に、普通の嫌悪は堪えるんですね。このオナニービーストの事がわからなくなってきました。
『どうして……どうして、貴方程の男がそんな何の力も無い只の小娘に……ぐっ!マーリンッ!!また、私の邪魔を――』
恐らくグダおの奥さん達の誰かが力を貸してくれたのかもしれない。殺生院キアラの怒りの声が突如として切れ、最後に部屋が静寂を包む。どうやら、もうここはあの快楽天の監視下では無くなったみたいだ。グダおに斬殺された彼女の眷属達の死体も粒子へと却っていく。後はこの部屋から出ていくだけ。
「多分、ロンドンで彼女の淫視に見られたせいでここに引き摺り込まれたんだろうね」
「視界に入れるだけとか……ズル過ぎるでしょ……あれ?」
ベッドから起き上がろうとしたのだが腰に力が入らない。
情けなく女の子座りしている自分の体が今更になって震えている事に気付いた。
「あれ、何で、私……泣いて、ははっ。おっかしい――。ちょっと待って、すぐに、止める、から……」
畳みかけるように今度は涙が零れてくる。今まで色んな特異点で散々怖い目にあってきた筈なのに、私ってこんなに脆かったけ?それともグダおが助けに来てくれた安心感で色々溢れちゃったのかなー?
「いいよ。ゆっくりで。いくらでも待つから」
宝具で出した傷薬を付けた指で血を流していた私の唇を拭ったグダおはそのまま私を抱き締めてくれた。
お互い何故か学生服だし、雰囲気のあるベッドの上だからちょっと気恥ずかしかったけど、いつものようにギャグ風味じゃなく真剣に私を案じてくれる彼の温もりにしばらく浸りたくなって私は彼の胸元に顔を押し付けながら、しばらく涙を流し続けていた。
ふと思い返すとさっきのアレは自分でもちょっと恥ずかしかったかもしれないと羞恥でベッドの上をゴロゴロしている私をよそにグダおは室内を物色していた。抜け道は無いのか、あるいは物理的に壊せないのかとか、宝具をぶっぱしてみたり。
「どう、マーリン?」
『あのビーストⅢは性行為に関してはある意味、真面目で妥協を許さないタイプみたいだね。ハッキリと言おう……そこから出るには彼女が言っていた通りにリッカ君自身が誰かと性行為をしない限りは無理だよ。相手が誰かは言う必要は無いよね?』
「あ――、そっか――」
『おやおや、マイロードにしては随分と歯切れの悪い返答。君だったら「よし!いいから、セックスだ!!」ってリッカちゃんの所にルパンダイブしそうなものだけど』
「今までの実績が積み重ねた信頼の結果がこれか。言い返せねぇなぁ……」
『ま、君が今まで囲ってきた女性陣の中では特殊な部類だもんねリッカ君は。英霊でもなければ、人類悪というわけでもない、魔術の素養があるわけでも無い。恐らく、こんな事がなければ君と交わる事はまず無い普通の娘だからね』
「ふ――、後はこっちで何とかする。助かったよマーリン」
『お礼は体でいいよ。じゃあハッピーエンド目指して、頑張ってくれたまえ!』
嫁さん達との通信を切ったグダおは安心させるようにこちらに微笑む。
「安心してマスター、絶対に君をここから出してあげるから。俺がここで人類悪化出来ればいいんだけど、マスターの魔力もカルデアからの魔力も尽きているこの現状だとね……無い物ねだりは出来ないか……」
そう言って引き続き、部屋の捜索を続けるグダおに私は釈然としない気持ちが沸き上がっていた。さっきのマーリンとやらの通信は全部、聞いていた。ここから出る手段が一つしか無いというのなら、さっさとそれを実行すればいいのに。一体、コイツは私の何に気を遣っているのか。
「抱けばいいじゃない」
「マスター?」
「それで出られるなら、さっさと私とセックスすればいいじゃない。何をさっきから躊躇してるの?いつものアンタならとっくに私に襲いかかってるじゃない」
頬を膨らませて、八つ当たりとわかっていながらもつい強めの語気になってしまう。
「なぁ、マスターは本当にそれでいいのか?君は」
「聞きたくない」
多分、グダおは脱出する為の手段として、あるいは義務感でここで私の純潔を散らしてしまう事を歓迎していないのだろう。いつもはセクハラ常習魔人の癖にこういう所だけはやけに紳士的だ。
「場所とか状況とか関係ないの。ずっときっかけが欲しかった」
上昇していく頬の温度に、加速していく心臓の鼓動を必死に抑えながら、訴える。
「さっきまで心が無い怪物共に犯されそうになった私が只、ここから脱出したいっていう理由だけで君に抱かれたいと思っている?」
四つの特異点を経て、そう短くはない時間をグダおと過ごして来た。頭のおかしい変態サーヴァントだけど、いつも私を振り回して、ツッコミが追い付かない男だけど……それでも。
召喚された時は命を救われた。
オケアノスではキスされながら、助けられた。
ロンドンでは抱き締められながら、最高のマスターで私を誇ってくれた。
何度も何度も私を巻き込みながら、とんでもない事を仕出かしてくれるサーヴァントだったけど、それでもこの人理修復の旅で私の心が折れないようにずっと傍で支えてくれたサーヴァントだった。
「好きなの――――。宝具がセクハラ染みていようが、嫁さんが3桁単位でいようが、人類悪だろうが、所長に先に手を出していようが、好きなの!君の事が大好きなの!!大好きだから愛して欲しいの!抱いて欲しいの!!そう思うのはおかしい事なの!?」
再び、涙で滲んだ瞳からはグダおの表情は見えない。
私のいるベッドに近づいている事だけはわかった。
「それとも色気の無い乳臭い子供は抱けない?所長みたくエロい格好しないと駄目?……ほ、ほら、見てよ!今の私の格好、セーラー服!君の夢で見たよ……制服プレイも好きなんでしょ?リアルJKだよ……好きにしてもいいん……あう」
「もういい、マスター」
自分でも何を口走っているのかわからないまま、気づけば、グダおに押し倒されていた。
指で涙を拭われて、ようやく彼の顔が見える。怒るわけでも悲しむわけでもなく、ただ、慈しむように愛しい何かを相手にするような優しい表情をしていた。
「さっき助けてくれた時……私の初めてもらうって言ってくれたじゃん」
「そうだね。俺はマスターの事は認めてながらもどこかで普通の女の子扱いしていたのかもしれない。けど、まぁ……冷静に考えてみると、俺の為に人類悪相手に啖呵を切る娘なんて普通じゃないか」
殺生院が用意したこの空間の影響かグダおの服も私の学校の制服だった。
こう見ると彼も年相応で私と変わらない年に見える。それが無性にくすぐったく、嬉しかった。
「俺の負けだよマスター。この空間から出る為とかじゃなくて、俺は君が好きだから、君を感じたいから、今ここで抱く。いいかい?」
「うん――。その方が君らしい。だから来て――」
「これが人間のする事ですか……!! 当初の予定通りに藤丸立香が凌辱されても良し……万が一にあの方が助けにきたとしても寝取られシチュで私が興奮出来てそれはそれで良し……な二段構えの策略がっ!!」
ゲーティアを取り込んだ事により得た殺生院キアラの千里眼の前には妙に腹の立つテロップしか浮かんでいなかった。
【お宅の地域ではこのチャンネルをご覧になる事は出来ません。一度死んで、真っ当なセラピストになってからもう一度お越し下さい。 ps.夫婦や恋人でも無いのに寝取られとかおかしくない? 所詮、ただの失恋では? byマーリン】
「マーリンッッ!!」
Q:所長もキアラの淫視の対象になりそうだけど、何故無事だった?
A:グダおの『人繋ぎの大秘宝庫』から出した聖杯と素材によって造られた肉体に、セックスゥッ!!でたらふく注がれた精液(『
「けど、酔ってグダおに絡んでからの本番回って私の二番煎じ感が……あっ、痛いっ! ちょ! 止めなさいリッカ!! 無言で頬をぶたないで……! イタッ、やめ……!」
次回、本番回。やっぱり立香ちゃんがメインヒロインなんだよな――。