※この作品はR-18です。

おいでよ カルデアの森   作:一火

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「カルデアの方々を大奥そのものの材料にするとは、なんと非道な真似を……あぁ、けどマスターが使う」

「椅子になりたいとか言い出さないでね、リリィ」

「靴では駄目ですか?」

「何故、おーけーをもらえると思ったのか」

「いやぁ、この愛は私でもドン引きです……」



カルデアコレクションにてカーマ、更新。













エロ小説だって事を忘れかける英霊編の時間です。続きイクよ――。エイプリルフール編?来年のエイプリルフールまで待ってくれればいいと思うよ。







週間性年インボウマガジン⑨(第5章)

 私の前に立ち塞がるのがあの小憎たらしい娘(藤丸立香)だったらまだ良かった。

 彼が精を分け与え、契りを結んだ元英霊共なら、まぁ順当でしょう。

 

 だが――目の前にいる女は誰だ?我が物顔で彼の力を行使する不遜な女は一体何だ?

 

「私は知っています。彼の事なら、どこまでも。英霊である彼にもう召喚出来る女達はいない」

 

「お間抜けここに極まれりね。私の事、知らない時点でマスターのこと、何にも知らないじゃないの」

 

 360度、桃色の髪をした不愉快な女の周囲全てに魔神柱を捻じ曲げ生成した巨大な針を展開する。串刺しにせんと殺到する攻撃もあの女を守るように蠢く彼の宝具()があまねく防いでいた。

 

「好きな男だけに夢中になって周りの事はおろか自分の事も盲目になっちゃってるお可愛い快楽天ちゃんに答えを教えてあげようかしら?っていうか単純でしょ。マスターの家族が来れないのなら、ここにいる私はあの子の嫁でもなく、家族でもない。只の友達で親友で、セフレよ」

 

 なんだそれは、彼に焦がれる女でもない。彼と生涯を誓った家族でもない。たかが友人如きが私の邪魔をするのか。そこまで、そこまで――彼の匂いを濃厚に纏わせて私の恋路を断たんとするのか。

 

 あの人、あの人だけがいればいい。随喜の極みに到達する為に全ての人類を使い潰そうとしていた私が初めて()()()()に気持ち良くなって欲しくて、()()()()に気持ち良くさせて欲しいと心から願ったのだ。

 

 彼を独り占めにしたくて、独り占めにさせて欲しくて、彼の世界取り巻く全てを私一色で染めて上げたくて、愛欲の獣である私と、背中を合わせで寄り添うような半身になって欲しくて――。それなのに、事をあろうか……。

 

「と、も……だち…………?意味がわかりません。そんなものから……どうして、彼の存在が匂って仕方ないのですか――!!」

 

 もはや鬱陶しい建築物は存在せず、屋外で私は私の力全てを以て目の前の女の命を摘もうとしていた。五蘊黒縄……いや、彼の精を受けているであろう女に魅了は通用しない。ならば同じ顔をしたこの特異点の女と同じように……魔神柱の縄で捕らえ、物理的に擦り潰してあげます――!空想樹の如く、育ち、場違い極まりない女を呑みこみなさい――!

 

「『親愛なる友へ(デアー・マイ・フレンド)』……第二宝具展開」

 

 突如として上半身が丸見えな鎧姿と変貌を遂げた彼女は出現させた巨大な螺旋槍を地面へと叩き付けた。

 

「『模倣英霊』……原型(モデル)『フェルグス・マック・ロイ』!」

 

 尋常ならざる勢いで回転する螺旋は虹色の魔力を噴き出し、彼女を取り囲んでいた肉樹もろとも周囲の大地全てを粉砕していた。こちらに吹き飛んでくる瓦礫を素手で叩き落とし、鼻で笑う。その宝具ももちろん知っている。

 

「格落ちした宝具を使いますか。人類悪の足元にも及ばない英雄の影法師にしか過ぎない羽虫共の力を模倣する力……。出し惜しみして完全変態ビーストとなった私に勝てるとでも?どこまで私を虚仮にしてくれるのでしょうか」

 

 ビースト/ゼロである彼の七つの宝具の中でどうしても気に入らない宝具がいくつかある。今目の前で行使された『模倣英霊』もその内の一つ。

 英霊、英霊、英霊、サーヴァント!あぁ、気に食わない心底気に食わない!絆だの縁だの聞こえの良い言葉で彼の躰に群がる虱共。どこまでも縛り付ける醜い鎖。

 人ならざる者共が彼の真の姿を妨げている。その鎖が無ければ彼はどこまでも自由なのに。何にでもなれるのに。

 

 だがしかし、きっとその奥底は……私と同じでドロドロの情愛が渦巻いている筈なのに真っ当な愛を英霊達に振り撒く貴方のあり方に私は感じ入ってしまったのでしょう。だから、私はあなたを――。

 

「出し惜しみしてるのはお互い様でしょ?ここに来て、全然本気じゃない『殺生院キアラ』」

 

「ふふ、そうですか。今こうしてあなたが息をしてるのも私の慈悲だという事に気付かず」

 

「あぁ、違う。違うの、そういう事を言ってるんじゃないの。うん……私もまぁ、こうして拳を交えて何となーくあなたの事がわかってきたというか――」

 

 フツフツと怒りがこみ上げて来た。目の前の女がしたり顔で言葉を発している様が。

 

「あなたに――。私の一体何がわかるというのでしょうか。恋人も家族にもなれなかったから親友などという逃げ道を用意して、あまつさえ恥知らずにも肉体関係を持ってしまっている敗北者のあなたに」

 

 怒りのあまり、奥歯を噛み砕いてしまった気がする。えぇ、小事でしょう。いくらでも再生は出来ます。

 そうですとも、この彼のセフレを騙る女王メイヴという存在全てに私は心底虫唾が走っていました。歯を全て噛み砕いてもその怒りは収まる事はなく。

 

「あ――まぁ――、そうね。外野からすればその見方も事実っちゃ、事実なのよね。うん、けど全くもって無問題なの。周りがどうこうじゃなくて、大事なのは私とあの子がお互いの事をどう思ってるのか、どうありたいのか。極限突き詰めてしまえば、正しい男女の関係なんて私は無いと思うの。女がいれば、男がいれば、そのあり方は千差万別」

 

 友達などという寒気すらするぬるま湯に浸っている彼女がまるで一つの答えに到達した覚者の如き、悟りを覚えた女の顔をしているのか。私にとってこの『女王メイヴ』は全てを見通す魔神の王を取り込んだ私ですら理解不能(理解したくない)生き物だった。

 

「私もあまり人の事、言えないわね。盲目も盲目、超盲目よ。友達のあの子が困ってるっていうから、宇宙を、世界を超えて星の如く飛んで来たのだから。マスターの傍にはずっといれないけど、私が生きている間はいつでも彼の元に駆け付けれる格好良い私でありたいの。マイフレンドには情けない姿見せたくないじゃない?」

 

「もう結構。あなたの自分語りに付き合う余裕も容量も私には存在しません」

 

「あらあら、ごめんなさいね。でも未だ自分を偽っているおぼこちゃんよりはマシだと思うのだけれど?」

 

「一体、何を言っているのでしょう」

 

「マスターに聞いた事あるのよね。電子の海で己が欲望のまま振る舞った女の話」

 

 彼の口から私の事を語られたという話を聞いただけで憤怒の感情が治まり、頬が喜色に緩んでしまう。もう少しだけこの女の話を聞いてあげてもいいぐらいには。

 

「知性体なら問答無用で誘惑し、蕩かす『万色悠滞』。完全に人類悪として羽化したあなたは、成程私達でも持て余すぐらいには規格外のナニかになってしまったのでしょう」

 

 私は後悔するでしょう。気の迷いでこの女の話を黙って聞いてしまった事を。さっさと打ち切って戦闘を再開させてしまえば良かったのです。そうすれば、()()()()()を晒す事なんて絶対になかった。

 

「今の戦闘だけでもわかるわ。魔神柱を消耗品の如く、使い潰し続ける贅沢でスケール違いな戦い方。マスターの女達でも勝負として成り立つのは10%ぐらいしかいなさそうね。でもね、あれれ~~?おかしいな~~?って私、思うワケよ。ねぇ、快楽天、ビーストⅢ/R。あなた、本気の本気でマスターに恋して、愛して、欲しいのよね?」

 

 口元は厭らしく笑い。なのにその目元は真摯で。頼んでもいないのに人の心を暴いていく姿は摩耗した記憶の中にいつか現れた小さな男のようで。そしてその戯言は止まる事なく。

 

「ヤリ方が持っている力と比例していないのよ。グッドルッキングブレイブ達を支配下において、クーちゃんを始めとした男達の霊基を弄って、こんな後ろに引っ込んでさ。ねぇ、あなた本当はその気になれば、この大陸中を魔神柱で埋め尽くして崩壊させる事も出来るんじゃなくて?」

 

 ――あなた、本気の本気であの子の事を追い詰めようとしてる?

 

 言外にそう語るメイヴの視線がキアラの心の壁を的確に貫いていた。

 

「…………これだから、風情の欠片も無いケルト人は困ります。肉食獣の如き、追い求める事だけが男女の駆け引きではありません……。深窓の令嬢のように殿方から求められるのを淑やかに待つという選択肢もあるのですよ。結局、好いた男は手に入らず家畜の発酵物で死んだ貴女には理解出来ないかもしれませんが……」

 

「うぇぇ、マジぃ?本気で言ってるぅ?一度、()()()()()()()()()()()()()自分はまだベッドから出る必要無いってガチで思ってるの?本当の本気で真面目に冗談抜きで自分から求めなくてもまだ大丈夫だとか思っちゃってる?まさか、まさかそんなワケ無いわよね?まがりなりにも私に匹敵するぐらいに雌の香りを漂わせている女がねぇ?」

 

 今すぐ、この女の口を塞ごうと魔神王の力を行使し、拘束魔術を展開しようとする。逃げ場も抵抗も一切、無くしこれ以上言葉の刃も抜かせないように融かしてしまおうと私の指が動く前に――。

 

 ――今、戦ってわかっちゃったわ私。この世界における一番簡単な人理修復の方法。

 

 ロンドンで再会した時は嬉しくて堪らなかった。何を話せばいいのか、何から話したらいいのか、結局わからずじまいでラスボスムーブをかまして、愛欲の獣としてしか彼を口説こうとする事しか出来ず、それらしい事を言って退散してしまった私。

 

 当たり前のようにいる藤丸立香が憎くて、妬ましくて、羨ましくて、ちょっかいをかけたけれども、やっぱり彼が現れた瞬間に恥ずかしくなって、あっさりと引いてしまった私。

 

 止めなさい。囀るなほざくな評するな口を開くな。

 

 私の恋心を語ろうとするんじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

「だってあなた次にマスターに()()で告白して、それでもまたフラれたら自殺するでしょ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 白銀の世界が拡がっていた。この時季、アメリカ大陸ではまずお目にかかれないだろう永久凍土の世界が拡がっていた。凡そ生物という概念を凌辱したであろう形を成した魔神ケルト兵達もそれは美しい彫像と化していた。

 

「メイヴ姉様が滅茶苦茶ハッスルしている気がする」

 

 その世界を産み出した張本人。神霊ではなく正真正銘の神、スカサハ・スカディと人類悪から産まれた血統種。スコーネは自慢のツインテールと共に槍を模した魔術ステッキ『サファイアγ』とクルクルと回していた。

 

「絶対零度は静止の世界。この世界で動ける物質は無く……。呼吸も嵐も狂走する怪物だろうも止められる」

 

「凍りつかせただけで満足するでない、スコーネとやら。しっかりと息の根は止めておけ」

 

「生憎と、そういう野蛮なのは苦手なのだ。暴力はきらい……。変化した『サファイアγ』の形も只の母殿リスペクトだからな、飾りだ飾り」

 

「クッ、その化け物染みた魔力を持っていながら締まらぬ奴よッ!」

 

 氷の世界で飛び回る深紫の影。スカサハはゲイ・ボルグを空中に多重展開し、氷像となった魔神ケルトに向けて投擲し、一切合切の殺り零しなく後始末を行っていた。そんな彼女の姿を見ながら『出番は無いと言ったがいてくれて良かった。非常に楽が出来る』と至極身勝手な事を呟いていたり。

 

 スコーネの中に内包された桁違いの魔力。もはや大きさを量る事すら馬鹿馬鹿しくなるスケール。千単位いた魔神ケルト兵を余す事なく氷塊にした術といい、十数歳に持たせるには過ぎた力。影の国の女王であるスカサハですら、感嘆していた。

 

「何、私など……。母殿になれば時さえ凍らせられる。それにまだまだメイヴ姉様の女子力ぶりには届かぬ」

 

「女子力とは一体……。まて、先程も気になったが『メイヴ』と言ったか?あのグダおとかいう男はもしやあの女も伴侶にしているのか?」

 

「いや違う。家族ではない、友達、セックスフレンドというやつだ」

 

「セックスフレンドとな!?いや、それを別の女を母親に持つお前が平然と口にしていいものなのか……?」

 

「ん?父にセックスフレンドがいてはおかしいのか?愛の形は千差万別。当人達が満足しているのなら、他者が異論を挟む必要はなかろうて、父殿は全ての母殿に区別はあるが差別はなく愛を注いている。愛そうか、愛そうか……」

 

「ケルトもびっくりの爛れっぷりな気もするが……」

 

 道徳心とか一般的なモラルを彼女が通っている学び舎は教えてくれなかったのだろうか……。

 あの悪女が大人しく妻に収まる性質(タチ)でもないだろう、セックスフレンド……愛人か。確かにそっちの方がメイヴというキャラクターには合っているとスカサハは自身を納得させた。

 

「さてさて、父殿から盛大な合図は頂いたが。ふむ、中々にしぶとい」

 

 スコーネが視線を向ける先には他のケルト魔神兵よりは一際大きい凍塊。『サガン:傲慢』の魔神柱を埋め込まれた凶王の霊基。だが、凍らせられたのはほんの一瞬。先程から何度チャレンジしても身震いするように氷の膜を粉砕され、『狂竜』は五体満足で健在だった。

 

「二度の死を経て、眷属共の中では一番の耐性を誇っているか。あ――ほんと、めんどうくさいなぁもう。コホン、いかんいかん口調が乱れてしまう。母殿のようにお淑やかに全てを包み込む慈愛を持った大人の女性を目指すのだ私は」

 

「魔神柱と奴が元々持っていた宝具――海獣の鎧が混ざり合って尋常ならざる強度を誇っている。我が魔槍も全てやつの肉体から絶え間なく発射されるゲイ・ボルグに迎撃されておるわ。同じ性質の槍を持つ者だからこそ出来る芸当だが……。やれやれ、死は望んでいたが……これに殺されたいと思わんな」

 

 周りの雑兵は片付けても肝心の『狂竜』に対しては決めてに欠けていた。それでも全く焦りの色を見せないスコーネにスカサハは何か手でもあるのかと言いたげな眼を向けていたが。

 

「あまり暴力的な手段は好かんのだ私は。戦いも本当は好きではない。父殿の職場に来たいというのと異母姉殿に無理矢理連れてこられなければ、この杖を振るう事も無かっただろうさ」

 

 自分はこうやって凍らせて敵の動きを止める術しか知らんと言いたげなスコーネの気持ちを目の前の化け物が汲んであげる筈もなく、『狂竜』の鋭利な全身の棘が禍々しく紅に光を灯し始めた。やがて、その百以上ある光はエネルギーを集中させるように顔へと移動していく。

 

「GAAAAAAAAAAAAA――――」

 

「悠長な事を言っている場合ではないだろう!来るぞ!!」

 

 ルーン魔術、魔神柱、そして人類悪によって強制改造された事によって得た無尽蔵の魔力が文字通り竜として開かれた口に全て収束していく。ラーマの時に見せた無慈悲の砲撃、その時よりも二段階格が上がった光線が放たれようとしていた。

 

(盾のルーン……!いや、間に合わぬか――!)

 

「ただ、年頃の娘として自衛の手段ぐらいは持っている」

 

 焦るスカサハとは対称的にスコーネの顔はどこまでも泰然自若だった。スコーネが杖を振るい、彼女を中心に白銀の魔力粒子が舞い上がる。

 

 

「魔術炉心解放。私が作りし氷の城。無限に続く鏡の城。どうか、この世界が愛で満たされますように」

 

 

『狂竜』の前に出現した城はあまりに美しく。穢れの一切が無い氷の城だった。

 一見すれば城だという事もわかりづらい程に整い完璧な黄金比で構成された氷の鑑。万華鏡の如き、美しさをもったそれは破壊の一撃を繰り出す『狂竜』の姿を映し出していた。

 

 だが、所詮は理性を跡形も無く削り取られた獣。突如として現れた城を警戒する事もなく、開かれた口腔から魔力光線を発射した。

 

 

「『鏡面世界・万華鏡(ミラー・スコープ)』」

 

 

 その鏡の城はスコーネの宝具。攻撃は、暴力は、破壊は、巡り巡って因果としていつか自身に跳ね返る。『狂竜』が放った光線はその城を破壊する事なく、飲み込まれ、一瞬の間をおいて全く同じ一撃として『狂竜』へと跳ね返った。

 

「GIAAAAAAAAA!!!」

 

「なんと恐ろしい一撃よ。破壊力だけなら、母殿や父殿にすら届き得る」

 

 氷鏡の城。敵の一撃をそのまま返す。ただそれだけの結界宝具。だが、自身の必殺の一撃をそっくりそのまま受けた『狂竜』への被害は甚大。屈強な鎧もおどろおどろしい魔神柱の肉塊も全て削ぎ落され、その命は風前の灯火だった。

 

 ――師匠に似たガキ共に二回も負けるなんて経験はもう出来ねぇだろうなぁ。

 

 スカサハがその隙を逃さず、『狂竜』の核を貫いた瞬間。そんな声が聞こえた気がした。

 

 

「ここはあつ――い。はやく帰って母殿と父殿3人でアイスを咥えて縁側でゆっくりしたいなぁ……んんっ、したいものだ」

 

 

 

 

 

【第四の戦】

 

 

 

 氷の魔法少女:スコーネ

 

 影の国の女王:スカサハ

 

 

 

    VS

 

 

 

   傲慢の狂竜

 

 

 勝者:

 氷の魔法少女:スコーネ

 

 影の国の女王:スカサハ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフフ、フハハハ――随分とみすぼらしい姿になったな、カルナぁ?いや、施しの英雄と言われるならその姿こそが正しいか?」

 

 その性根を現すか如くドス黒い弓兵は確実にカルナを追い詰めていた。炎神アグニに授けられた弓としての神々しさは欠片もなく、アルジュナとしての公明正大さは消え失せ、宙に浮かんだ状態で邪悪な笑みを浮かべていた。

 

 相対するカルナもその瞳は未だ闘志を失っていないが、自慢の黄金の鎧を始め、紅蓮に燃えるマント、遂には肉体までもが所々、拳一つ分程欠けていた。血は出ておらず、まるでその部分だけが削り取られたかのような不気味さを感じさせる。

 

「無辜の民達を狙うか」

 

「卑怯と笑うか?だが勝てる手段なら躊躇無しに全てを使うべきだろう。喜べカルナ、お前の献身は逃げ遅れた人間達を余す事なく守り切ったぞ。お前のその致命的なダメージと引き換えになぁ!」

 

「構わん。それでお前が勝てると思うのなら好きに使うがいい。そして、この程度で致命的になっているというのなら俺は最初っから英雄などにはなっていない」

 

 的確に弓を避けていったカルナにしびれを切らした『強欲の黒』の狙いはエレナ(軍服ママ)の小型UFOに連れられている兵士と民間人達にシフトされた。戦場から遠く離れようとも黒き弓兵の視界に映るのなら、そこはいまだ魔矢の射程範囲。

 

 カルナが防ぐ事を承知で何十発も放ち続ける。回避に専念するならともかく。神速の魔矢を卓越した槍術によって全て叩き落としたカルナはその成果と引き換えに決して少なくないダメージを負っていた。

 

「その減らず口……叩き潰し甲斐がある!貴様はもう、私には勝てん!サーヴァントと人類悪の眷属の圧倒的なまでの霊基の差!貴様の矜持も力も勝利も何もかも根こそぎ奪い!私は高らかに凱旋しよう!!」

 

「もう勝った気ではいるとは……気が早いな」

 

 全身から炎と化した魔力を放出し、加速したカルナは真正面ではなく『強欲の黒』への真下へと潜り込む。そこから光を纏った槍を頭上にいるアルジュナに向かって全力で投擲した。だが、その攻撃も届く事はなく難なく避けられてしまう。動きが鈍くなっているぞと嘲笑を浮かべる『強欲の黒』。だが、カルナの追撃はまだ終わらない。

 

「武具など無粋、真の英雄は眼で殺す……!」

 

 宝具『梵天よ、地を覆え(ブラフマーストラ)』。余りにも強力なカルナの眼力が熱線となり、眼から放たれるビームとなる。冗談のような技だが、武具を使用せずとも対軍・対国宝具に分類されるその威力は甚大。

 

 直撃を喰らった『強欲の黒』。だが爆熱の中から、現れた彼は未だ健在だった。決してダメージが全く無いワケではないだろう。顔から滲み出ている若干の苛立ちがそれを物語っている。しかしそれでも戦況をひっくり返す一手にはならなかった。その事実を飲み込んだ『強欲の黒』はすぐに機嫌を取り戻す。

 

「クク、クハ、クハハハハハハハハッッ!そうか、そうかっ!ここまでか、ここまで差があったか!私の戯れの攻撃ですら、そこまでボロボロな貴様と必殺の宝具を受けて切ってなお五体満足な私!圧倒的だ!残念だカルナよ、宿敵よ!最初から勝負にすらなっていなかったのだな…………」

 

 ――気に病む事は無い。貴様が弱いのではなく、私が……俺が強くなり過ぎたのだ。

 

 もうこの戦いを長引かせても得る物は何も無いと悟った『強欲の黒』は弓を抱えていない左手を開き、光球を構成した。

 

 いや、それは光ではなく一つの宇宙にも思えた。黒と光が混ざり合った破壊の性質。『強欲の黒』はこの大陸……あるいは星もろともカルナを滅殺しようとしていた。

 

「神性領域拡大。空間固定解除。神罰執行期限設定解除――もはや俺は人類悪の眷属に収まる器ではない、宇宙すら焼き尽くすこの炎でビーストⅢ/Rすらも凌駕し、銀河系全てを手中に収める神となる」

 

「……母なる大地すら滅ぼさんとするか、愚かな」

 

「愚かなのは、これから何も出来ずにくたばる丸腰の貴様だァッ!!シヴァの怒りをもって、全ての命をここで絶つ!」

 

 その肉体の主であったアルジュナが制限に制限をかけてやっと地球上で使用出来る程に威力を落とし込んだ『破壊神の手翳(パーシュパタ)』を箍が外れた悪魔は全ての縛りを外して放った。

 

 生きとし生ける全てを崩壊させる破滅の光を何の躊躇いもなく『強欲の黒』は自らの掌から地上へと落とした。

 

 

 

 

「『破壊神の手翳(パーシュパタ)!!』」

 

 

 

 

 「マハトマ乱入チャンス!!」

 

 だが、その光球は地上に激突する事なく、突如として空間に現れた巨大飛行物体の中心部に飲み込まれてしまった。

 

 

「……………………はぁっ?」

 

 

「防げない、避けれないなら、こういうやり方もあるのよ!シヴァの怒りは私ですら預かり知らない深淵の空間にキャトられたわ……うんうん、凄くマハトマを感じる!」

 

 グダおの世界のエレナ・ブラヴァツキーはずっと機を伺っていた。各地で救助活動に専念している小型UFO軍の操作はもう一人の自分に任せて、本体である巨大UFO『金星神・外なる偽神の書(サナト・ネクロノミコン)』に光学迷彩を施して、二人の戦いを見守っていた。

 

「援護が遅れてごめんなさいカルナ。えぇ、これは決してインド神話大戦争的なシチュエーションに夢中になってたせいとかじゃないの……」

 

「いや、絶妙のタイミングだ。礼を言おう、伴侶を得たエレナよ」

 

「カ、ルナ……貴様、ふざけるなよッ……!一対一の戦士同士の戦いに部外者を許したのかッ!!」

 

「積極的に部外者を狙ったお前がそれを言うのか。その厚顔無恥っぷりには敬意すら覚える」

 

 あまりにも理解が及ばない現象に対して呆け、そして怒りを露わにした『強欲の黒』に対してカルナは至極当たり前の事実を突き付けた。

 

「確かに戦士同士の決闘に第三者の力を借りたとしたのなら、クシャトリアとして恥ずべき物だろう。だが、お前は戦士ではない。只破壊のみを是とする獣畜生ならば、これは決闘ではなく駆除である。この戦いは世界を救う為であるがゆえに俺はお前を滅する最善を尽くす」

 

 真下にいるカルナに釘付けになっている『強欲の黒』は気付けない。先程、放ったカルナの槍の投擲が、その攻撃がまだ完全に完了していない事を。冷静になれば、アルジュナの肉体に紐づけられている記憶をもっとしっかりと読み取れば、この攻撃は予期出来た筈だろう。

 

「少し戦っただけだが、大体理解出来た。お前自身を構成しているものは『強欲』ではない。慢心、過信、軽率。それだけだ」

 

 まるで太陽からの鉄槌のようにその巨大な劫火は『強欲の黒』へと降り注いだ。カルナが最初に繰り出した槍の投擲。宝具『梵天よ、我を呪え(ブラフマーストラ・クンダーラ)』の付随効果として容赦なく黒き弓兵を地上へと叩き落とした。

 

「頭上注意だ。悪く思え」

 

「がああああぁっ、お、おのれぇぇぇっ――!!この程度でぇっ!」

 

 傲慢かつ強欲な悪魔は地へと堕ちた。焼き爛れた黒き衣を纏う『強欲の黒』は立ち上がり弓を構えようとする。まずはあの目障りな飛行物体からだ。あれさえ、片付けてしまえばいくらでも勝機はあると標的を変更する。

 

 その背後に死神がいるとは気付かずに。

 

「ようやっと、地に降りてくれたか。自慢の拳も空にいる者には届かんからなぁ」

 

「は……?貴様、いつか、そこに……」

 

「ここに召喚されて、ようやくアサシンらしい事が出来る。息を顰め、機を伺い、瞬く間に殺す」

 

『圏境(極):A-』。気を満たし、天地と合一し、気配を自然と一体化させる。武を極めた者にのみ許される感知不可能の完全気配遮断。老いてなお盛ん、アサシン:李書文は気配を消し、この一撃を叩き込む機を伺っていた。既にもうこの距離は彼の領域。

 

 そして今、自身が最も信頼する武の極致を神話の領域に入っている悪魔へと――。

 

「では一撃、馳走してやるか」

 

「まて――」

 

『強欲の黒』が弓を構えるよりも、退避するようも早く繰り出される。その武術は『人間』の頂き。

 

「我が八極に无二打(にのうちいらず)!」

 

 武術の神髄。彼が生涯突き詰めた武の極致。一撃で事足りると言わんばかりに気に呑まれた悪魔の神経に直接衝撃を送り込む絶技。『无二打(にのうちいらず)』は的確に黒き弓兵の核を突いた。

 

「ガァッ、アァッ!く、ソガァアッ……!」

 

「ふぅむ、殺すつもりだったが動きを止めるのに精いっぱいとは……。先のおぬしの同族との戦いで大体の頚脈は理解したつもりだったが…やれやれ、まだまだ精進が足りぬか」

 

「お、のれ――3人がかりとは、貴様ら、恥を――」

 

「何を言う。おぬしは神とやらになるのだろう?まさか3人程度で卑怯とは言うまい。さて、わしの出番は終わりだ。後は太陽の申し子殿に任せるとしよう」

 

 エレナ(軍服ママ)の巨大UFOの中でこの特異点のエレナ・ヴラヴァツキーが操作する小型UFOを掴み、李書文はその場を離れる。()()()()()()()()()()()()()

 

 状況を把握していない『強欲の黒』が顔を上げれば、そこには彼にとっての死そのものが熱く、神々しく、燃え盛っていた。

 

 

 ――カルナ、貴方にはこれを。もしもの時に役立つわ。

 

 

 妻と夫の財産は共有。グダおがライフワークと称して集めている虹の石を当然伴侶であるエレナ(軍服ママ)は自由に使える。旦那が血涙して集めた物なので本人に許可を得てからカルナに渡したが。

 

「俺はつくづく恵まれている。かつても……今もこうして、多くの者達から返しきれない物を授かってきたのだからな」

 

 その石の名は聖晶石。ある界隈では別名大令呪(シリウス・ライト)と呼ばれているそれは単価にしておよそ約120円。つわもの達の怨嗟と希望の回転を産み出す虹の欠片は令呪3画分の魔力を内包している。

 

 石を砕いたカルナは自身の中で絶対破壊の一撃を繰り出すのに十分過ぎる魔力が満ち出しているのを感じた。

 

『強欲の黒』への意趣返しのように宙へと浮かび、彼が纏う黄金の鎧と紅のマントは炎そのものと化して、手元に戻った槍へと収束していく。あまりの灼熱に周囲の大地は溶け、マグマの海と化す。

 

 これこそが疚しき者に混ぜ合わされた醜悪な怪物などには到底届かない正真正銘の必滅の一撃。

 

「ま、まて、待てカルナ――。こ、こんな決着でいいのか!?俺……私と貴様との因縁を断つ、決闘がこんな――」

 

「何度でも言うが、俺はお前を知らない。そして、もう口を開くな。お前がどこの誰だかは知らぬが、我が宿敵と似た外見でこれ以上の醜態を晒すな」

 

「ッッ――」

 

 

 

 

「神々の王の慈悲を知れ」

 

 極太の炎柱が天まで昇る。あまりの衝撃にそこを中心にマグマの津波が起こる。

 

「チクショウっ、チクショウッ!ふざけるなっ、ふざけるなぁっッ!!」

 

 

 

 

「インドラよ、刮目しろ」

 

 吹き荒れる炎柱の中でカルナは槍を掲げる。彼の声に呼応するように背中の紅き4枚の羽根が一つずつ展開される。

 

「クソッ、あの野郎……殺す、殺してやるッッ!!」

 

 

 

 

「絶滅とは是、この一刺」

 

 槍の穂先に世界すら焼き尽くす灼熱エネルギーの集中させ、標的に定める。

 李書文によって乱された体内の気が『強欲の黒』の動きを阻害する。彼は弓を満足に構える事すら出来ず、無様にもがく事しか許されない。

 

「動け、動け、うごけぇぇっ――!!!」

 

 

 

 

「灼き尽くせ、『日輪よ、死に随え(ヴァサヴィ・シャクティ)』!!」

 

 宝具発動の瞬間、カルナの背後で彼のピアスと似た太陽の紋様が光輝いた。対神、日輪、絶滅、雷光、凡そ普通の人間では到れない領域から繰り出される灼熱の一刺しが流星の如く放たれた。

 

「カルナアアアアアアアアアアアアッッ!!」

 

 文字通り神話の一撃。大炎の奔流が『強欲の黒』へ直撃し、爆音と共に巨大な灼熱のドームを造り出した。大陸すら削り取る日輪の鉄槌。声を出すことすら許されない正真正銘の絶滅の一撃がそこにあった。

 

 もし、かの悪魔が先程言ったように自身が神の領域に到ったというのが事実だとしたら、神を滅ぼす光槍が『強欲の黒』を消し去ったのは分かり切った結末だったろう。

 

「……是非も無し」

 

 宝具の破壊の痕、あまりのエネルギーにマグマさえ干乾びた末に出来上がった巨大なクレーター。そこにはもう存在する物は何も無かった。

 

 

 

 

【第三の戦】

 

 

 

 施しの英雄:カルナ VS 強欲の黒

 

 

 

 勝者:カルナ、エレナ(軍服ママ)、李書文

 

 

 

 

 

 




《許可なく聖晶石を使った者の例》

「そのつい、な? まるで金平糖のようにキラキラ輝いて美味しそうに見えた物でな? 砂糖をまぶして頂いてみればこれが結構イケてしまったワケなのだクハハ。いや、うむ。確かに汝の許可を得ずに百個程頂いたのは事実である。だが忘れてはおらぬか? 吾は鬼。強奪、簒奪、傍若無人そのものである。故にこれは吾が吾であるが故に起こった当然の結末であり、種族としての本能ともいえる。そう! 人間風に言えば悪気は無かったと言えるな!! 言えるから――、なぁ、あのぉ、そろそろ何か言ってくれぬか? 真顔で見詰められるのは叱責よりも応えるぞ。というよりもだなあんなに貯めておいて使わぬ方が悪いと思う! 度を過ぎた貯蓄は汝の為にもならん! うむ! そう考えると吾は汝のぱぁとなとして良き道を」








【48時間口腔拘束歯磨きしながら手マンプレイ&白式官能角コキプレイの刑】

「へぇぁっ~~……ッ♡ ぁぁっ♡ っっ♡ ひぁっ♡ ッッ♡ ~~ァァ♡ ほぇっ♡ ァァッ♡ ……ッッ♡ ~~~~♡ ~~ッッ♡ ひっ♡ ひっ♡ ひっ♡ えぐっっ♡ あぇぇっ♡ おっ♡ おっ♡ オッ♡ オッ♡ オほぉっ♡ ぁぁっ~~ッッ♡ らぇぇっ~~……♡ ひぅっ♡ はぁっ♡ はっ♡ んはぁっ♡ はぁぁっ♡ はぁぁっ♡ ひぎっ♡ アガッァ♡ ンァアッ♡ ひぎぃっ♡ ァ♡ ンァ♡ オッ♡ んんんぅっっ~~~~ッッッッ♡ へひぃ♡ へひひぃっ♡ にゃっ♡ にゃあぁっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あっ♡ あがっ♡ がぁっ~~ッッ♡ んぎぃっ♡ ッッ♡ ァァ~~♡ へぅぁ~~♡ あひ♡ あひぃ♡ ひぃぁ~~っ♡ んほぉぁっ~~ぁっぁっ♡ おぁぁっ♡ ~~~~ッッ♡ ッ♡ ッッ♡ ンッッ♡ ンンッッ♡ あ♡ あはぁっッ♡ はぁぁっァッ♡ あはぁぁんぅぅっ♡ んふぅっ♡ んんんぅっ~~♡ ッッ~~~~♡ ひゃっ♡ ひゃひぃっ♡ ふぇぁあぁっ~~♡ ッッッ♡ ンンンァッッッ~~♡」

「ふぅ、じゃ次からはちゃんと気を付けるように」

酒呑「羨ましい」
頼光「羨ましい」
リリィ(お仕置きを受けたい欲望とマスターを悲しませる行為をしたくない葛藤に揺れる自分を抑える為にカリバーンの鞘に額を叩き付けている)








鏡面世界・万華鏡(ミラー・スコープ)
ランク:A+
種別:結界宝具
使用者:スコーネ
周囲の景色全てを映し出す氷で構成された鏡の城。原理は対象が放った攻撃手段を吸収し、並行世界を挟み、基準点を正反対にして再びこの世界に帰す。端的に言えば、敵の攻撃をそっくりそのまま返すカウンター宝具。『サファイアγ』のサポートを得て発動する事が可能。愛を謳う母の血を受け継いでいるように暴力行為を嫌う彼女は直接的な攻撃手段を有さない。有してはいないが……凍らせ、跳ね返す、その二つの防御手段が何人たりとも彼女を触れさせない。鉄壁と化す。ただし下の城は父殿に対しては無血開城。










アポアニメにおけるカルナさんの槍はマジやべべ。映像化の素晴らしさを知ったね。やっぱバトル描写はアニメがナンバーワン!こんなんで毎日種火周回やられたら堪ったもんじゃないよね(賢者モード)。



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