「グァアアアアウッ‼︎」
襲いかかるアマゾンデルタ。腕を交差させて斬撃を受け止める。
「弥生さん‼︎ 僕です、優です‼︎」
「ウウウ……アアアッ‼︎」
蹴りを入れられ、腕の刃が僕の右肩部を斬りつける。
「ぐあああっ‼︎」
鮮血が舞い、傷口から流れ落ちる赤い雫。
「……ぐ……オオオオオッ‼︎」
ドライバーのグリップを引き抜き、アマゾンウィップを展開。アマゾンデルタの体に巻きつけ、拘束。
「グ、ウウウッ‼︎」
もがくアマゾンデルタ。逃げる隙など与えない!
ドライバーのグリップを捻る。
『Violent Break……‼︎』
「オオオオオオオオッ‼︎」
ウィップを勢いよく引っ張り、アマゾンデルタの体をこちらに引き寄せ、腹部に強烈な一発を叩き込む。
「ッ‼︎ …………」
気を失ったアマゾンデルタは変身解除された。背後のソファに寝かせ、鳴神の方を向く。
「フン……無駄なことを」
鳴神はアマゾンズドライバーを取り出した。続けて錠前……確か、ロックシードだったか。ロックシードはドライバーに吸い込まれる。
「私の力に縋れば全てが手に入るというのに……何が不満だ。私に従えば幸福になれるというのに」
残念そうに、嘆くように鳴神が口を開く。
「他人の生き方を支配しておいて何が幸福だ!」
「支配か……結局そうなるのだ。私は神になるのだから」
「あんたが神の世界なんてお断りだって言ったはずだ……‼︎」
「……ならば、君はこの世界から追放だ。変身」
鳴神はドライバーのグリップを捻った。
『Load……Sigma……‼︎』
鳴神の身体が銀色のアマゾンに。僕は身構える。
「……シッ‼︎」
高速で詰め寄り拳を振るうアマゾン。何とか躱し、腹部に斬撃を叩き込む。
「⁉︎」
しかし、手応えがない。ダメージを受けていない。まるで、あの時の朱莉のように……
「無駄だ。新型のアマゾン細胞はいわば不死の力。君がどんなに攻撃をしてこようと、私には無意味!」
ゆっくりと歩み寄るアマゾン。
何か、何か弱点はないのか?
「はあっ‼︎」
強力な蹴り。受け止めるも、威力の大きさに崩れ落ちる。
「が……ッ‼︎」
口から血が流れ、クラッシャーから漏れ出す。
アマゾンの猛攻が続く。
「所詮はただのアマゾン……神になる私には程遠い‼︎」
「ぐっ……オオオオッ‼︎」
ドライバーからアマゾンブレイドを生成。アマゾンの腹部にそれを突き刺す。
「……ふん、愚かな」
しかし、僕の腕ごと掴んでブレイドを引き抜き、そのまま僕を投げ飛ばす。
吹っ飛んだ身体は地に叩きつけられる。
「ぐ……がぁ……っ‼︎」
「まだ粘るか。諦めの悪い」
「これ以上……死なせない。朱莉を守れなかった分……これ以上、誰も‼︎」
僕の後ろには、気を失っている弥生さんがいる。弥生さんは、僕が守る!
「……なるほど。君の原動力は弥生の存在という訳か……くくく」
突如怪しく笑い出すアマゾン。
そして、グリップを捻った。
『Violent Vanish……‼︎』
「ならば……、彼女を君の眼の前で手に入れることにしようか……なっ‼︎」
高速で詰め寄られ、腹部に強烈な一撃。
「ッ⁉︎」
言葉もなく、僕は気を失った。
現場にいた横峰 奈々瀬ちゃんを家まで迎えに行った後、第二駆除班は鳴神の拠点へやって来た。
赤澤たち人間メンバーと喰種の私達二人で手分けしていた。
「どこかに隠し通路でもあるんでしょうか?」
「確かに、あまりにも静かね。こんだけボロい教会なら、戦闘があれば気づくはず……」
穂乃夏の勘の良さは今日は調子が悪いようだ。
「……?」
いや、復活したようだ。穂乃夏が何かを感じ取った。
「穂乃夏……?」
「あなたは、誰ですか?」
チャペルの椅子の裏から出て来たのは……ゴスロリの少女。
「あっちゃー、見つかったかー。まいっか、えっへへー」
少女はメロンパンを齧りながら無邪気に笑う。
「あんた……鳴神の仲間?」
「なるかみ……? 知らなーい。私は君に会いに来たんだもん……」
メロンパンを全て口に詰め込み、飲み込んだ少女は私たちに駆け寄る。
「……紅宮 深雪。アーマードライダー櫻音さん」
「⁉︎ あんた、何で知って……」
「私あなたのファンだったよー♫ おっと、それ置いといて……」
ゴスロリの少女は足元のスーツケースを漁りだした。
そこから取り出したのは……
「はい、これお隣のお嬢さんに」
戦極ドライバーだった。
「な、何であんたが⁉︎」
「んー……ちょっと裏ルートで、てへ♫」
まぁまぁと、ゴスロリ少女は穂乃夏に戦極ドライバーを握らせた。
「でさ、ここからは私も着いて行きたいんだよねー。ここのどこかにさ、ヘルヘイムの実を栽培してるって情報聞いちゃってさ」
「ヘルヘイムの実を⁉︎」
鳴神のやつ、ヘルヘイムの実を何に使う気?
「私はロックシードを集めたい。あなた達は倒すべき相手を倒したい。その目的達成の舞台はおんなじ。協力しましょ?」
「……別に協力は構わないけど、あんた何者?」
名乗りもしない輩を仲間にするのは危ない。私はゴスロリに問う。
「はっ、いけないいけない……櫻音に逢えたってので昂ぶっちゃった」
少女は……白黒半々のマスケラを手に微笑んだ。
「私はゴシック……
「ゴシック……やっぱり、喰種だったんですね」
「その通り〜。流石、君察しいいよね〜。名前は?」
ゴシック……芳乃はマイペースに穂乃夏に問う。
「は、羽崎 穂乃夏、です」
「穂乃夏ちゃんね、よろしく!」
とりあえず、喰種の仲間が増えた、か……。
「ぐわあああああああっ‼︎」
「⁉︎」
外から……赤澤たちの声⁉︎
「み、深雪さん‼︎」
頷き、私たちはその場から走る。
「あ、ちょっと待ってよ〜!」
勿論、芳乃も着いて来た。ゴスロリ服って大変そうね、走るの。
「……」
血に塗れた、駆除班の制服。死体すら残らず、服のみが真っ赤に染まっている。
足元にあるそれを踏みつけたのは……赤いアーマードライダー。
「うろうろ嗅ぎ回るんじゃねぇよ……ったく」
遠くの方から響く足音。それを聞き、アーマードライダー……セイヴァーはクラックへ飛び込み、姿を消した。
「赤澤さん⁉︎」
声のした場所に残っていたのは……血に塗れた駆除班の制服のみ。
「そんな……っ‼︎」
穂乃夏がその場に崩れ落ちる。私は制服を拾い上げる。何故服だけが……?
「鳴神の仕業かしら……」
もしくは、その仲間か。
どちらにせよ、許しておけないわね。鳴神……黒の菩提樹は。
「穂乃夏、行きましょう。赤澤たちは、後でお墓を作るの」
「……そう、ですね」
穂乃夏は立ち上がり、血に塗れた制服に頭を下げた。
「……んっ」
目が覚めた。
視界が開けた、その目の前にあったのは……
「んん……くちゅ……んはぁ……」
裸でお互いを求め合う、鳴神と弥生さんだった。
「や、弥生、さん……?」
「おや、起きたのかい」
鳴神が僕を見下すように視線を向ける。
「な、何してるんだ!弥生さんから離れろ‼︎」
「ん? 君はこの光景を見てわからないのか……弥生」
「んぁ……はぁい」
胸を揉まれ、恍惚しながら弥生さんは鳴神の首に縋り付く。
「君のこの世界での役目を言ってごらん?」
「はぁい……私は神のもとに……新しい世界の女王になります……‼︎」
「良い子だ、弥生……ご褒美をあげよう」
鳴神が弥生さんの尻を掴み、後ろから挿入した。
「んああ……チンポォ……神様のチンポォ……しゅきぃ……‼︎」
「ふっははは‼︎ どうだ? 大切なものを、眼の前で失った気分は⁉︎」
僕は弥生さんの顔を見つめる。その顔に……僕はいきり勃ったペニスをさらけ出し、右手で扱き始めた。
「惨めだな‼︎ 寝取られて興奮して自慰とは……笑える。笑えるな‼︎」
「あっ‼︎ あっ‼︎ しゅごいよぉ‼︎ 神様チンポステキィ‼︎」
「はぁ……はぁ……っ‼︎」
密室に響く、種類の違う息が吐かれる音。
「あん、ああん……気持ちいいよぉ……」
「あぁ……いいよ弥生……弥生……‼︎」
「弥生さん……弥生さん……弥生さん‼︎ うぁっ、あっ‼︎」
僕は彼女の名を叫び、果てる。放たれた精液が弥生さんの顔を汚した。
弥生さんは恍惚し、顔にかかった精液を舐めとった。
「ふははは‼︎ 惨めもここまでくると滑稽だ‼︎ いいぞ‼︎ もっと果てろ‼︎ 虚しさで死ね‼︎」
「……んぁー。飽きた」
弥生さんが挿入されたまま足を仰け反り、鳴神の後頭部に踵を叩き込んだ。
「ぐぉっ‼︎」
鳴神は頭を押さえる。その隙に弥生さんは鳴神から離れ、僕に抱きついて来た。
「ナーイスユー君‼︎ よくやった‼︎」
「……もう、あんなことさせないでくださいよ」
「な、何故だ弥生⁉︎ どういうことだ‼︎」
弥生さんは僕に抱きついたまま、鳴神に勝ち誇ったような顔を向ける。
「ユー君に気絶させられた時に、あんたから入れられた薬が切れたみたいでさ。目覚めたらまた薬入れられるから、薬が切れてないように振る舞い、追加投与を免れたって感じ。さすがユー君よね、アイコンタクトした途端にオチンチン出しちゃうんだもん」
「あの、それ褒めてますよね?」
弥生さんは笑顔で私の頭を撫で、傍にあったコートを肩に羽織る。
「んで、タンパク質のためにユー君にオナニーさせて射精してもらって、私は力を取り戻すと‼︎ やっぱ私天才よねー♫」
「ば、馬鹿な……私が、この私が⁉︎ 君のような性欲処理機にしかならない君に劣るだと⁉︎」
弥生さんはその発言に……目を鋭くして言い放った。
「馬鹿ね。薬がなかったら何の刺激もないセックスしか出来ないクズの時点で、あんたは私に劣ってんの」
その発言に鳴神はその場に座り込み、愕然とした。
その様を見て笑顔になり、弥生さんは僕に抱き着いた。
「ユー君‼︎」
「弥生さん……よかったです」
「信じてたよ……やっぱり、ユー君はとてもいい子ね」
子をあやす母のように、弥生さんは僕を包み込んだ。
「や、弥生さん……」
「許さんぞ」
鳴神が項垂れたまま、口を開いた。僕と弥生さんは彼の方を向く。
「私に……神に反するなど、許さん……‼︎」
鳴神がロックシードを取り出し、ドライバーに吸収した。
僕と弥生さんもドライバーを装着。
「鳴神。確かに私は昔、あんたを神と思ってた。でも今は違う」
弥生さんは……さっきまで僕に見せていた柔和な顔から一転、鋭い目つきに。
「今のあんたは、ただのクズ。気持ちいいセックスも出来なければまともに生きることもできない。微生物以下ね」
「黙っていろビッチがァッ‼︎」
声を荒げ、鳴神はアマゾンに変身。その身体から蒸気が止まらない。
「貴様らはこの私が粛清してやる……神罰を下してやる‼︎」
「あんたに下せる神罰なんて、ないわ」
僕たちの背後から声。その主は……
「深雪さん⁉︎」
深雪さんを含めた、3人の女の人たち。
ゴスロリの少女が僕に歩み寄る。
「ほっほう、君がアマゾンかぁ……こんな可愛い見た目の男の子が、ねぇ」
「なんだ、貴様らは」
鳴神が指を鳴らしながら、蒸気を吹き出す。深雪さんが僕らの前に出た。
「ホントに、黒の菩提樹ってロクなやついないのね」
「なんだと……⁉︎」
「あんたが使ってるそれ、野座間から盗んだやつにちょびっと改造したやつでしょ? しかもその改造はロックシードを取り入れるだけ……」
深雪さんは溜息を吐いて続けた。
「ホントに、あいつに同意だわ。戦極の方がマシ」
「戦極……⁉︎」
「……戦極 凌馬もね、あんたみたいな変人だったよ。けど、あんたとあいつは違う……‼︎」
深雪さんはドライバーを装着し、ロックシードを手に取った。
「あいつは自分の力で神を生み出そうとした。少なくともあんたみたいに、誰かの技術を盗んで踏ん反り返る奴らとは違う」
「戦極 凌馬……‼︎ 忌々しい‼︎ 貴様も粛清……貴様ら全員、粛清だ……‼︎」
鳴神の蒸気が部屋中に篭る。
「私の意のままにならないものは、粛清する‼︎」
鳴神が襲いかかる。僕と弥生さんが咄嗟のところで躱し、距離をとる。
僕らの隣に、深雪さんともう一人……確か、穂乃夏ちゃんだったか。彼女が並ぶ。
「弥生さん‼︎ 深雪さん‼︎」
「ええ‼︎」
「任せて‼︎」
深雪さんのロックシードが開錠し、ドライバーにセット。
僕と弥生さんもドライバーのグリップを捻る。
『ロック、オン‼︎ ソイヤッ‼︎』
『ワイルドストロベリーアームズ‼︎ 惨劇・バーサーク‼︎』
『Zeta……‼︎』
『Delta……‼︎』
「変身‼︎」
「「アマゾン‼︎」」
その頃、芳乃は教会の地下室のさらに奥まで来ていた。
「なるほどー……これは、何というか……悪趣味だなー」
そこに広がっていたのは……身体中をヘルヘイムに侵食され、ロックシードの苗床と化していた女性たちだった。
「クイーンの成れの果て……ってとこか」
芳乃はスマートホンを操作し、カメラアプリで写真を撮る。
「これは、要らないかな」
そして……腰にベルトを巻いた。
Next Hunt……
「神の力はこんなものではない‼︎」
「さぁて、お遊びしようか」
「要らないのはどっちかしら……私たちかあんたか‼︎」
「……死ね」
episode.11 Waste