何とか頑張ってみます。
episode.13 Return of the crisis
人間を守りたかった。
人知れず救えることができるのなら、それでも良かった。
けど、人間は私を敵と見なし、私を攻めた。
守りたかった者達から向けられる殺意。
その恐ろしさはこれまでに感じたことのない程だった。
人間に襲われ、狩りの対象とされた私にかけられた言葉。
「人間に守る価値なんてない」
これ以上ないほどの納得を得た言葉が他に見当たらない。
そうだ、殺してやる。人間なんて、殺してやる。
トラロック事件を逃れた私たち……北羽 弥生と安須川 優は沢芽市で生活していた。
喰種の深雪ちゃんの手引きで住まいを貰い、黒の菩提樹の潜伏先を特定しては叩くという生活をしていた。
その生活を始めて、早五年。
最近はどこももぬけの殻。
何もないということに不安を覚えるとともに、束の間の平穏というものを感じていた。
今日は朝からユーくんのベッドに潜り込み、朝からいきり勃った性器を口に含む。
ユーくんが体を起こし、タオルケットをめくった。
「……ん、おはお、ゆーふん」
「んっ……おはよ、弥生さん」
5年も一緒にいれば、ユーくんも柔らかくなってきた。最近はタメ口で話してくれる。
しかし、ちょっとでシャイなのは変わっていない。世界一可愛い。
「んっ……あのさ、朝から襲うの……控えめにしてほし……んんっ……」
「んー?」
舌先で先端部を虐めるように舐める。透明な先走りがぷっくり出てくる。
「んっ……それ、キツイ……っ‼︎」
足を伸ばして腰を浮かせて耐えるユーくん。
声を漏らしながら耐えている。
「んっ……じゅる……っ……ん、ふぅ……っ‼︎」
激しく吸い付きながら頭を激しく上下させ、ユーくんのペニスを口で扱く。
「あっ‼︎ だ、ダメ……イく……出ちゃうよ……ふぁああっ‼︎」
出して、朝一番の生精液♡
胃袋の中、精液まみれにして。
扱くスピードを上げ、射精を促す。
「あっ、あっ、あっ……‼︎ イクッ‼︎」
ペニスが跳ね、私の喉奥に熱く流れる子種。あぁ、美味しい。愛しい。
喉を鳴らして飲み込む。
軽く咳き込むが、その息苦しさすらも愛おしい。
「ん……ごちそうさまでしたぁ……♡」
「今日は……ここ、かな?」
僕、安須川 優は最近、パソコンで黒の菩提樹の潜伏先を特定する仕事をしていた。
「んー……え? ここって前にも行かなかった?」
「え? んーと……」
「ほら、確かいきなり黒影が襲いかかった……」
「あ……そっか」
もう調べつくしたのかな……ここ最近はハズレだ。
黒の菩提樹はもう、ここにはいないのではないのかと、本気で疑うほどだ。
僕はこの5年、追い続けた。完全に黒の菩提樹を倒すために。
朱莉の無念を、晴らすために。
「ユーくん……一緒に散歩する?」
「……そうだね」
思いつめても仕方ない。気分転換に歩こう。
弥生さんと一緒にいれば、僕は落ち着くことができた。
沢芽市に新しく建ったビル。
それは生まれ変わったスマートブレイン社のビルだった。
そこの社長室にて。
「さぁ、舞台は整った」
少年のような風貌をした男……スマートブレイン新社長
「はじめようか……新しいゲームを」
「うふふふ……」
とあるクラブバーの店内。
一人の女性を囲む、多くの男のアマゾンたち。
「さぁ、行きなさい。私の可愛い子供たち……‼︎」
その姿は正しく女王。女王の声で、男アマゾンたちはその場から飛び出す。
「……」
飛び出していった店内の入り口付近で佇む一人の少女。
「……あんたも行きなさい。人を殺すというから、あんたを雇ったのよ」
「……わかってる」
少女は……ネオアマゾンズドライバーを手にその場を後にした。
沢芽市はいつも賑やかだった。
深雪さんの話によれば、しばらくは復興の最中だったらしいが、復興は終わり、今は人が平和に……
いや、この平和も束の間。いつ黒の菩提樹がいるのかわからない……。
神妙な顔をしていると、弥生さんが僕の頭をコツンと叩いた。
「こーらっ、怖い顔しないの」
「あ……ごめん」
「もう……」
しばらく歩き、僕と弥生さんはベンチに座った。
「……朱莉ちゃんのこと、悔しい?」
「……後悔は凄くしてる。鈍かった自分が、憎たらしい」
「そっか……けど、私はユーくんに非はないって、ずぅーっと思ってるよ」
「弥生さん……」
弥生さんは僕の頭を撫でる。
「……ありがとう」
こうやって甘やかしてくれる弥生さんが……心の底から愛おしかった。
……キャアアアアアアアアッ‼︎
悲鳴が起きる。僕と弥生さんは立ち上がる。逃げ惑う人混みを潜り抜け、視界に入ったのは……
「アゴゴッ‼︎ ウグォオアッ‼︎」
3体のアマゾン……人を食らい、体から蒸気を噴き出している。
「アマゾン……⁉︎ 何で沢芽に⁉︎」
しかし、妙だ。
人の服を着ている。
こんなアマゾン、見たことがない……。
アマゾンがこちらに気づいた。僕と弥生さんはベルトを装着した。
変身して戦おうとした……その時だ。
……ブオオオオオオ……‼︎
向こうからバイクの集団がやってくる。集団はアマゾンにバイクに跨りながら鉄パイプや体当たりでアマゾン三体を吹っ飛ばす。
「ヒャッハッハー‼︎ オラオラァ‼︎ チームディアスのお通りだー‼︎」
チームディアス……?アマゾン三体が立ち上がると……リーダー格の男がバイクから降り、ヘルメットを取った。
「……へっ。見つけたぜ、アマゾン……ぶっ殺してやんよぉっ‼︎」
リーダー格の青年が取り出したのは……見たことのないロックシードとドライバー。
「え……⁉︎」
僕と朱莉さんは驚愕した。アーマードライダーが、何でアマゾンを知っている?
考えている間も無く、青年がドライバーを装着。ロックシードを解除した。
『レモンストリーム‼︎』
青年の頭上から、光とともに現れたアームズ。ロックシードが腰に装着したドライバーにセットされてロック。
『ロック、オーン‼︎』
軽快なテクノ調の音が響き渡る。アマゾン三体は身構える。
「変身……‼︎」
白い歯を見せながら、青年はベルトに付いた葉の形を象ったハサミ状のレバーを、ロックシードに噛ませる。
『Bite‼︎』
『レモンストリームアームズ‼︎』
男に被さるアームズ。彼の身体が黄色い閃光に包まれ、アームズが展開。
両手に二本の剣を携えた、新たなアーマードライダー。
一歩前に行き、アマゾン三体に言い放つ。
「俺様は
ディアスは駆け出し、アマゾンに剣を叩きつける。
戦闘が始まると……街のモニターに何かが表示された。
「お、おい!アレなんだ⁉︎」
僕たちを含め、その場で傍観していた人々の視線がモニターの方へ。
そこに映っていたのは……青い衣装に身を包んだ女性。
『はーい‼︎ 沢芽市の皆さーん⁉︎ こーんにーちはー‼︎
私はスマートブレインの社長秘書‼︎ 皆だーい好き、スマートレディちゃん二世でーす‼︎』
突然テンションの高い映像。
スマートブレイン。確か最近沢芽市に現れた企業だ。ユグドラシルと協定を結び、技術提供の支援を受けたとか何とか。
画面のスマートレディは続けた。
『はい‼︎ ところで皆さん? そこで暴れている怪物、アマゾンはとーっても危険な怪物です‼︎ 彼らはなんと、人間をバクバクと食い殺しちゃう生き物なんですー‼︎ ふえーん‼︎ スマートレディちゃんもこわーい‼︎』
人を食い殺すというフレーズに怯えるその場の人たち。
しかし、何でスマートブレインがアマゾンの存在を知っている?アマゾン、もといアマゾン細胞のことを知っているのは野座間だけのはず。
『しかし、恐れることはありません‼︎ そんな沢芽に現れた新たな希望‼︎ それこそ、新たなアーマードライダー、アマゾンハンターなのです‼︎』
「⁉︎」
アマゾンハンター……⁉︎
目の前で戦っているアーマードライダー、ディアスもそれだというのか。
『なので皆さま、ご安心を‼︎
アマゾンを見つけ次第、スマートブレイン社のアマゾンハント実行班係まで‼︎ 更にスマートブレインはアマゾンハントを手伝ってくれるハンターも募集中‼︎ 正義のヒーローになりたい、お金ガッポガッポ儲けたい‼︎ そんなあなたも連絡を‼︎ 以上‼︎ スマートレディちゃんの、ナビゲートでーした‼︎』
画面が消えた。
なんてことだ。アマゾンハント。
「一般市民にもアマゾンを狩らせようっていうわけ……とんだブラック企業じゃない」
弥生さんの言う通りだ。そんな、まるでゲーム感覚で危険なことを。
「そらぁっ‼︎」
ディアスの猛攻が続く。ディアスは剣の一本を投げつけた。剣はアマゾン一体の腹部を貫く。ディアスはベルトのスイッチを押し込む。
『レモンストリーム、エクシードチャージ‼︎』
「死に晒せ‼︎」
そのまま駆け出し、突き刺さった剣を握り、更にもう一本を突き刺し……
「おらぁっ‼︎」
真っ二つに斬り裂いた。斬り裂かれたアマゾンは動かなくなり、腐敗したかようになる。
もう2体のアマゾンが怯み、辺りを見渡し……
「‼︎」
こちらと目があった。マズイ、襲ってくる。
「ユーくん‼︎」
「う、うん‼︎」
アマゾン2体が飛びかかってきた。僕たちはドライバーのグリップを捻る。
「「アマゾン‼︎」」
『Zeta……‼︎』『Delta……‼︎』
放った蒸気で吹っ飛ぶアマゾン。僕たちは変身。
青いボディの僕、アマゾンゼータ。黄色のボディのアマゾンデルタ。
周りの人たちが驚くが、今は気にしてる場合じゃない。僕たちはアマゾンに向かって駆け出す。
「ウオオオオオオオオッ‼︎」
活性化した細胞が咆哮を促す。僕は新種のアマゾンに飛びかかる。
アマゾンゼータとアマゾンデルタの登場に、ディアスは驚きながらも眺める。
「アイツら……『シータ』の仲間か?」
ディアスは剣を持ち直して肩に担ぐ。
「……ま、ザコは任せるか」
「ガアアアアウッ‼︎」
肩に爪を突き刺し、地面を引きずり回して壁に叩きつける。
ここで仕留める‼︎
僕は壁に叩きつけたアマゾンの首元に爪を抉り込ませ、グリップを捻った。
『Violent Crush……‼︎』
「オオオオオオオオオオッ‼︎」
首から下にかけて大きく引き裂く。アマゾンは体の原型をとどめきれず、その場に崩れ落ちて腐敗した。
「ハァ……ハァ……ッ‼︎」
「そらっ‼︎」
あしらうようにアマゾンの攻撃をいなして打撃を叩き込む。
新種のアマゾンだからって警戒したけど、大したことないかも。
「ゴォアッ‼︎」
大振りなスイング。身を低くして躱し、勢いよく飛び回し蹴り。
「ほいっと‼︎」
「ゴゥッ⁉︎」
アマゾンが怯んだ。グリップを捻る。
「チェックメイト‼︎」
『Violent Strike……‼︎』
「シャァアアアアアアッ‼︎」
鋭いサマーソルトキック。その後すかさず裏回し蹴りを叩き込む。アマゾンは吹っ飛び、上下半身真っ二つになった状態で看板に張り付き、腐った。
「ふう」
私はユーくんに駆け寄った。
「ユーくん、終わったよ」
弥生さんも終わったようだ。変身を解こうとしたその時。
「ハアアアアアアッ‼︎」
アーマードライダーが僕に剣を叩きつけた。僕は斬撃をくらいその場に崩れ落ちる。
「ゆっ、ユーくん‼︎」
「たぁっ‼︎」
ディアスのキックがアマゾンデルタを吹っ飛ばす。
ディアスは僕の首を掴んで持ち上げた。
「か、はっ……‼︎ なん、で……‼︎」
「てめぇ、『シータ』と同じ奴か? そのベルト、ヤツのものとは違うが……」
シータ……何のことだ?
頭が回らない。
「な、何を……」
「ま、関係ないな……どの道ここでぶっ殺すんだからよぉっ‼︎」
「ゆっ、ユーくん‼︎」
地面に投げ飛ばされる。ディアスは僕を目掛けて剣を振り上げた。弥生さんの叫びに手を伸ばすも届かない。
……キィィイイイッ‼︎
激しいブレーキ音。
ディアスはその音に振り返る。
「⁉︎ てめぇ……」
ディアスが僕から離れた隙に、弥生さんが駆け寄って僕の身体を起こしてくれた。
そして、バイクのブレーキ音の主を見た……。
「え……?」
白いジャングレイダーから降り、ヘルメットを取り、現れたのは……白いショートヘアの少女。その瞳は血のように紅く、その姿は人ならざる者のようだった。
「やっぱり、こいつらの味方って訳か……‼︎」
ディアスが身構える。
少女は……腰の大きめなバッグに手を入れて……見慣れないベルトを取り出した。
アマゾンのドライバー? いや、あんな形のドライバーは見たことがない。
少女はドライバーを装着。ポケットから注射器のようなものを取り出し、ドライバーにセット。レバーを上げた。
『……アマゾン』
そのまま、注射器の中の液体がドライバーに注入された。
『Xeno・Theta』
電子音とともに、少女の体から蒸気が吹き出す。
蒸気が消えると、そこにいたのは……
「⁉︎」
アマゾン。
機械的なアーマーを装着した、白いボディに赤い目。
まるで、アルビノだ。
白いアマゾンの登場に張り詰める空気。
ディアスと白いアマゾンの睨み合い。
僕の頭は、理解が追いつかなかった。
ただ、これだけはわかる。
始まったのだ。
危険な戦いが。
平和だった街に、再び脅威が迫っていた。
Next Target……
「あなたが、必要」
「僕は人間だ‼︎ 人は喰わない‼︎」
「俺はまた……間に合わなかった……っ‼︎」
「効率が悪いですね、全く」
「変身‼︎」
『オレンジストリームアームズ‼︎』
episode.14 Target