真っ白な天井…。
なんの匂いも、生き物の気配も、体の感覚さえない。
どこまでも広がり続ける白い空間……。
俺は、この空間に来たことがある。
何十年も前だったり、何百年も前だったり、何千年も前だったり……もう数えきれないほどに何回も。
――そして、この空間に来て、毎回俺は思う。
――ああ、また俺は死んだんだな、と。
もはや自分の死んでしまったことに対する驚きや悲しみはない。
そもそも生前の記憶がほとんどないのだ。
そんな覚えてもいない生前について悔やんだり、悲しんだりする気分にはなれない。
死んだらそこで終わりなのだ。
今までのすべては終わったことなのだ。
終わったことよりも、次を、考えなくてはいけない。
この永延と広がる白い空間は、終わりの場所であり、これからが始まるの場所でもあるのだから。
◆
――意識が、浮上する。
永い夢から覚めるように、ゆっくりと感覚が広がっていく。
新たに生まれた自分の魂と肉体を認識していく。
胸から、心臓の鼓動が伝わってくる。
心臓の鼓動に合わせて、血液が全身に伝わっていくのがわかる。
小さくて短い手足。まだ開けられない目。口を閉じられたまま、肺はほとんど動いてない。肌からは水のようなものを通して温かさが伝わってくる。
体の中心にあるヘソの辺りから何かが体へと流れ込んできていた。
――どうやら俺は、無事に新たな世界へと転生を果たしたらしい。
記憶はないが、知識で理解できる。
ここは、母親の子宮のなかなのだと。
――そして、今まさにこれから俺が生まれようとしているんだと。
◆
出産は安産だったらしく、特に何事もなく母親からこの世界へと産み落とされた。
この世界の両親に名づけられた俺の名前は、
まだ生まれてから数週間ぐらいしか経っておらず、現在は母親と赤ちゃんプレイ中だ。横向きに抱っこされた状態でさし出されたおっぱいにしゃぶりつく。
生ぬるくて変に甘い母乳をお腹いっぱいになるまで飲んでいく。
あー……毎回のことだけどコレには慣れないなぁ。
肉体的には赤ん坊でも精神的に純粋な赤ん坊ではない俺は、すでに羞恥心が芽生えているので、母親からの授乳を父親や他人から見られたり、お風呂に入れられて体を現れたり、下の世話をしてもらったりという普通のことにも抵抗を感じてしまうのだ。
「さあ、エイジちゃん。オシメ代えようね~。ふふふっ、かわいい」
あっ、ちょっ! ちょっと、母さん! オシメ代えながら笑わないでよ! どこ見て笑ってるのさ!?
だあっ!? うっ、や、やめろっ! 俺の息子を指で弄ぶなぁあああああぁぁぁ~っ!
「うん、よしっ、完璧♪ じゃあ、お昼寝しようね~」
ニコニコ笑顔の母さんにベビーベッドから抱き上げられて胸に抱かれる。
毎日毎日、母親の愛情を痛いほどに感じられてうれしいけど、一人で自由に動けるようになるまでずっとこの羞恥プレイが続くのかぁ……。
ああ……早く大人になりたい……。
4/18 修正。