<エイジ>
部長と朱乃さんに解放されたのは朝だった。
うん。最近お仕置きオチが恒例となってきてるね!
俺の尻はもう瀕死だよ!
俺いい事したのになんでこんな仕打ちを……、ていうか、アーシアを救ったのって俺なのに、俺の扱い酷くないか?
「じゃあ、アーシア。これからよろしくね」
「よろしくお願いしますわ」
「はい。部長さん」
まだ学校が始まってもいない早朝の部室で部長とにこやかに会話をしている3人。
アーシアは1人ぼっちで居場所がないのことと、友達のイッセーや俺とずっと一緒にいられると言う文字通り部長の悪魔の囁きに乗って、『僧侶』の駒で部長の下僕の転生悪魔になったのだ。
「あら、ちゃんと来たのね」
部長がドアの方へと視線を向ける。
イッセーと木場に小猫ちゃんがそろって立っていた。
「「「おはようございます、部長、朱乃さん」」」
「おはよう」
「おはようございます」
朝の挨拶をして部室に入ってくる三人。
「アーシア! その格好は!」
部室に入ってすぐにアーシアの格好に驚くイッセー。
「彼女は転生悪魔になったのよ。あと、今日からこの学園に転入するから色々とフォローをよろしくね」
部長が説明し、アーシアが一歩前に出て自己紹介を始める。
「アーシア・アルジェントです。『
そう言って礼をした。
「よろしく、アーシアさん」
「よろしくおねがいします」
「よろしくアーシア! 制服、すっごく似合ってるよ! 後で写メを撮ろう!」
木場が爽やかスマイルで、小猫ちゃんがいつもの感じにクールに、イッセーは興奮して飛び跳ねていた。
「ていうか皆、俺のこと無視しすぎじゃないか?」
「うおっ!? いたのかよエイジ」
驚くイッセーだが俺は最初からいましたよ~。優雅に紅茶を飲んでいる部長の反対側のソファーでうつ伏せになって、赤くなった尻を回復させてましたよ。
「まあ、昨日の事は自業自得っていうか、運が悪かったんだよ」
木場が爽やかスマイルを送ってくる。後で覚えてろよ木場!
「アレは先輩が悪いです」
睨みつけてくる小猫ちゃん。俺は悪くないだろ!?
「…………頑張れ」
イッセーが俺の肩に手を置いて呟いたが、顔がムカつく! 完全にアーシアに目線がいってんじゃねぇか! しかもニヤけてるし!
クソ! グレるぞ! グレちまうぞ!
「そう言えば、部長。チェスの駒の数だけ『悪魔の駒』もあるんだったら、俺とエイジの他にも『兵士』があと六人存在できるんですよね? いつかは俺と同じ『兵士』が増えるんですか?」
話を変えやがった!
「いいえ、私の『兵士』はエイジとイッセーだけよ」
「チェスの世界ではこういう格言があるわ。女王の価値は兵士九つ分。戦車の価値は兵士五つ分。騎士と僧侶の価値は兵士三つ分。そんなふうに価値基準があるんだけど、悪魔に駒においてもそれは同様。転生者においてもこれに似たような現象が適応されるの。騎士の駒を二つ使わないと転生させられない者もいれば、戦車の駒を二つ消費しないといけないものもいる。駒との相性もあるわ。二つ以上異なる駒の役割は与えられないから、駒の使い方は慎重になるのよ。一度消費したら、二度と悪魔に駒を持たせてはくれないから」
うんうん。俺の場合はスペックが高すぎて、普通なら女王の駒を使ったとしても転生させられないんだよ。
不思議そうな顔のイッセーに部長は言葉を続けた。
「イッセーは兵士の駒の大半、七つ使わないと転生させられなかったの」
「七つ!?」
「ええ。七つ使わないと転生されられないと分かったとき。私はあなたを絶対に下僕にしようと思ったの。でも、長らくその理由が判明しなかったわ。今なら納得できる。至高の神器と呼ばれる『
神滅具!? この変態エロ坊主にそんなレア物が宿ってたのか!?
「『紅髪の滅殺姫』と『赤龍帝の籠手』、紅と赤で相性バッチリね。イッセー、エイジ、あなたたちは最強の『兵士』を目指しなさい。あなたたちならそれが出来るはず。だって私の可愛い下僕なんだもの」
部長はイッセーに近づき額にキスを落した。
「これはお呪い。強くおなりなさい」
いいなぁ。
「部長。俺にはないんですか~?」
「あなたはまだ反省していなさい」
「……はい」
うう……やっぱり悪魔だよ~。
「と、あなたを可愛がるのはここまでにしないとね。新人の子に嫉妬されてしまうかもしれないわ」
すると、いつの間にかイッセーの背後にアーシアが立っていて、笑顔を引きつらせていた。
「ア、アーシア……」
「そ、そうですよね……。リ、リアス部長は綺麗ですから、そ、それはイッセーさんもエイジさんも好きになってしまいますよね……。いえ、ダメダメ。こんなことを思ってはいけません! ああ、主よ。私の罪深い心をお許しください」
手を合わせてお祈りポーズのアーシアだが、「あうっ!」と途端に痛みを訴える。
「頭痛がします」
「当たり前よ。悪魔が神に祈ればダメージぐらい受けるわ」
さらりと部長が言う。
「うぅ、そうでした。私、悪魔になっちゃったんでした。神様に顔向けできません」
ちょっと、複雑そうな彼女。
「後悔してる?」
部長がアーシアに訊く。
アーシアは首を横に振る。
「いいえ、ありがとうございます。どんな形でもこうしてイッセーさんやエイジさんと一緒にいられるのが幸せです」
感動! 感動だよ! さすがシスター!
「そう、それならいいわ。今日からあなたも私の下僕悪魔として二人と一緒に働いてもらうから」
「はい! 頑張ります!」
元気よく返事をするアーシア。
「さて、それじゃあ、ささやかな歓迎パーティでも開きましょうか」
そう言うと、部長が指を鳴らす。
すると、テーブルの上に大きなケーキが出現した。
「た、たまには皆で集まって朝からこういうのもいいでしょ? あ、新しい部員もできたことだし、ケーキを作ってみたから、皆で食べましょう」
部長が照れくさくそう言った。
ちなみに、ケーキは昨夜、尻叩きを終えた部長が、残りのお仕置きを朱乃さんにまかせて作られました~。
それからパーティを終え、学園が始まる前に部長、朱乃さん、俺の順で部室にてシャワーを浴びてから授業に向かおうとして足を止める。
そうだ! 家に縛り上げたレイナーレを家においてるから帰らないと!
だけど、アーシアに学園を案内しないといけないから帰れない……。
まあ、同居人が帰ってくる頃だからだいじょ……いや、やばいな。
縛られた美少女なんて、あのエロ猫に餌を与えるようなものだ。
アーシアと夕、レイナーレ。どちらをとるか……。
……………うん。アーシアでいいか!
帰って着てないかもしれないし、レイナーレはお仕置きってことで放置でいいよな!
俺はそのまま教室へと向かい、いつも通りに授業を受け、イッセーと一緒に学園を案内した。
◆
授業を終え、自宅え帰宅する。
俺の家は冥界で賞金稼ぎを行って得た大金を使って建てた3階建てで地下室、冷暖房完備の6LDKでヒノキ風呂までついている。自慢の家だ。
さてと、それじゃあ、レイナーレのとこに行きますか。
玄関で靴を確認すると、靴がないので、あのエロ猫は帰ってきていないか、出かけているかだ。
二階に上がり右側の部屋に入る。
あまり使われておらず、ベッドと簡単な家具しか置いていない部屋で雨戸を締め切り真っ暗だ。
「うぐっ……ひくっ………」
その部屋ですすり泣きが聞こえてきた。
電気をつけて部屋を明るくすると、ベッドの上でボンテージ姿の上から亀甲縛り状態の芋虫で、頬を真っ赤に腫らして号泣しているレイナーレがいた。
うん。拘束状態で放置はないよね。放置は。
「わ、悪かった。帰るのが遅くなった」
「うぅぅ?」
部屋の中に入りレイナーレに近寄ろうとすると、こちらに気づいたレイナーレが叫んだ。
「あ、あなたは!? こ、こないで! こないでよ!! こないでぇぇぇええええ!!」
驚愕の表情を浮かべるレイナーレ。まあ、俺の事を殺したと思っていたのにいきなり現れたら驚くよな~。
しかも、現在縛られ、身動きできずに数時間放置。怖がらないわけがないな。
「安心しろって、拷問とかそんなことしないからさ」
優しくそう言いながらベッドに近づくと、益々レイナーレはパニックになった。
「ご、拷問!? やだっ! ヤダ! ヤダよ! 嫌ぁあああ!!!」
縛り上げられた状態でもがくレイナーレ。縄が食い込んで痛々しいな。
「ほら、大丈夫だって」
落ち着かせようと動けないレイナーレを抱きしめる。
「いや! いや! 嫌だ! うぅっ! ……ひぐっ、ひぐっ……」
最初は首を振りながら逃れようとしていたレイナーレが落ち着きを取り戻し始め、抵抗が止んだ。
………。
……………。
……………………。
なんだろう。温かいお湯みたいなものが太ももを濡らしって! これって……。
「………………」
「………………」
うん。気まずいです。まあ、放置して何時間も経っていたし、部長に殺される寸前だったから、緊張以外でも色々と緩んだんだよね。
「とりあえず、お風呂沸かしてくるな」
そう言いうと、レイナーレは真っ赤になってうなずいた。
さて、風呂を沸かしに行きますか。
◆
あれから、風呂を沸かしレイナーレを風呂に入れた。
うん。俺が風呂に入れた。長い間縛られていた事と、イッセーとの戦闘のダメージで動けないらしく、俺が介護師みたいに洗った。
顔を真っ赤にしていたが、背に腹は変えられないと、涙目で俺に風呂に入れるようにお願いしてきた。
小便まみれはやっぱ嫌だよな。
そのあと、寝巻きを着せて夕食を摂らせ、イッセーに殴られた顔の治療を行う。
「ねえ、なんでさっきみたいに仙術で治さないのよ。この傷が一番痛いんだけど」
椅子に座ったレイナーレの頬を消毒液で湿らせた脱脂綿で消毒していると、不満げに睨んできた。
「ああ、言っていなかったな。俺は、イッセーの友人で、今はリアス・グレモリーの眷属悪魔なんだ。それとアーシアと人形を摩り替えて君の計画をぶち壊した犯人でもあるんだ」
「な、なんですって!?」
椅子から立ち上がり、光の槍を手にするレイナーレ。
「まあ、落ち着け。殺すつもりも危害を加えるつもりはない。部長にも……リアス・グレモリーにも許可を貰っているし、お前の身は俺に一任された」
「っ!」
槍を俺の首に突きつけてくる。
「汚らわしい悪魔が!」
「待てといっているだろう」
ほんの少しだけ体のリミッターを外し、俺は光の槍を掴み、砕く。
「何なのこの魔力!? なっ! なにをしたの!?」
驚きの声を上げ、後ずさるレイナーレ。
まあ、現在の魔力は軽く上級悪魔ぐらいの大きさだし、そりゃあビビるよな。
「もともと俺はお前と比べるほどもないぐらい強いんだ。転生して悪魔になって光が弱点になったとしても、そんな弱点関係なしにお前を屠れるんだよ」
「でも、あの時は!」
「公園で腹を刺された時か? それは、体にリミッターをかけていて身体能力を人間まで落していたからだし、刺されたぐらいじゃ死なない」
「…………あなた何者なの?」
「俺か? 俺はそうだな……、とりあえず冥界の賞金稼ぎとでも言っておこう」
「あ、あたしをどうするつもりなの?」
「ああ、それは……」
どうしよう。ただ単に部長に殺されそうになったところを助けたるために言っただけだし、まあ、逃がしてもいいんだけど、その後、俺は部長と朱乃さんからお仕置きされるよな……。
「お前行くあてはあるのか?」
「…………ないわよ。計画も失敗しちゃったし……。アザゼル様にもシェムハザ様にも完全に愛想をつかされたでしょうし……。仲間も死んじゃったし……、いっそ殺して欲しいわ」
どんどん落ち込んでいき、両手で顔を覆い泣き始めた。
「うーん……、それなら俺がお前を貰おう」
「えっ?」
「そうだな。部長風に言うと、どうせ死ぬなら、俺が拾ってやろう。お前の命。俺のために生きな」
「……なっ?」
驚いて俺を見上げるレイナーレの頬に手を添える。
「とりあえずは先に、アーシアやグレモリー眷属のみんなに危害を加えないことを約束してくれ」
「…………」
レイナーレはしばらく考え込むと、しぶしぶ首を縦に振った。
「契約成立だな」
そう言ってレイナーレの首に黒いチョーカーをつける。
「こ、これは……魔法がかかってるの?」
突然首につけられたチョーカーを触りながら訊いてきた。
「いや、単なるファション。まあ、俺のモノみたいな印付けかな」
「…………」
レイナーレがほんの少しだけ顔を赤らめた。
まあ、『隷属の首輪』とか言う無理やり相手に言う事を聞かせる魔具も持ってるけど、それを使っても面白くないからな。
「まあ、これからレイナーレにはこの家の管理やメイドみたいな仕事をしてもらうよ」
「メイド?」
「ああ。主人の替わりに家事をする仕事だが、詳しくはネットで調べえくれ」
「…………は、はい」
「それじゃあ、治療を続けるぞ。仙術を使えば一瞬で治るが、それではイッセーがアーシアを助けに行った意味がなくなるし。お前があいつを殺ろした仕返しとして、その顔の痛みを受けるんだ。まあ、傷が残るようだったら、俺の術でそれは治してやるから」
「…………あなたは私を恨んでいないの? 前にあった時のあなたは人間だったけど、今のあなたは……」
「ああ、お前に刺されたのをきっかけに悪魔に転生したな」
そう言うとレイナーレが俯いた。
「まあ、気にするな。刺されても死なないと言ったろ? それに悪魔になったからといっても、今とあまり変わらないからな」
「でも……」
「もういいだろ。それよりもそろそろ寝よう。今日は久々に部長から悪魔の仕事の休みを貰ったんだ。それに、お前もゆっくり寝たいだろう?」
「…………」
レイナーレを先ほどの空き部屋へと連れて行く。
「これからはこの部屋が君の部屋だ。ああ、部屋とシーツも魔法で綺麗にしたから、安心してくれ。じゃあ、おやすみ」
「えっ、あっ……」
何か言いたそうなレイナーレ。
「どうかしたか? 部屋が気に入らないなら他の部屋を……」
「監視とかはしないの?」
「監視? しないけど?」
「逃げるかもしれないわよ」
睨みつけてくるが、虚勢だと一目で分かる。
「うむ。24時間レイナーレを監視して、あんなところやこんなところを観察するのは楽しそうだが、嫌だろう?」
「い、嫌よ!」
「だからしない。プライベートというか、脅して無理やり痴態を見るのは趣味じゃないからな。まあ、あまり深く考えないでいいさ。リアス・グレモリーに『責任を持つ』って言ったから、逃げたら場合は追うが、拷問や殺したりはしない」
レイナーレの頭にポンッポンッと、二、三度軽く手を置く。
「今夜は安心して寝るといい。じゃあ、おやすみレイナーレ」
「…………お、おやすみなさい……」
聞き取れるか聞き取れないぐらいの小声だったが、レイナーレは挨拶を返してくれた。
◆
レイナーレと別れて数時間が経ち、夜が完全に更け、真上に丸い月が昇った頃。3階にある俺の部屋の窓が開いた。
音もなく気配すらないが、リミッターをかけ忘れて身体能力がかなり上昇した俺の感覚は侵入者を捕らえていた。
侵入者はゆっくりとベッドに侵入してくる。
そう、足元からゆっくり、ゆっくりと、頭を目指してすすすと這い上がる。
侵入者が俺の胸へとたどり着いた瞬間。俺は目を開ける。
「にゃにゃ、やっぱり起きてたにゃん♪」
「黒歌……」
黒い着物に身を包み、頭にネコミミを生やした猫又よりも高位な猫ショウという妖怪で、今は転生悪魔ではぐれ悪魔。そして、俺の使い魔でもある。
「にゃ? エイジ、悪魔になってるにゃ? それにこの臭いは……」
俺の腹に乗っかって両手を俺の胸におき、くんくんと臭いを嗅いできた。
「ああ、成り行きで悪魔になってな」
「エイジも悪魔! これでずっと一緒にいられるにゃ♪」
喜びながら首筋をざらざらした舌で舐めてくる。
「こら、万年発情猫。今日は疲れえるから休ませてくれ」
「ふふふっ、こっちのほうはすっごく元気なのにゃ♪」
起き上がり、腹に跨り、器用に2つの尻尾でペニスに触れてくる。
着物の帯を解き、胸元を開き、自分自身で豊満に実った双房を取り出して、俺の胸に擦り付けてくる。
「まったく。今日はほんとに疲れてるから休ませてくれ。ここのところ徹夜続きでまともに寝てないんだ」
「にゃ!? 黒歌のこと嫌いになったのかにゃ!?」
「嫌いじゃないって。疲れてるだけ。明日には回復するから、今日のところは添い寝で我慢してくれ」
涙目になる黒歌を腹から退かし、横に寝かせて腕枕をしてやる。
するとすぐに笑顔になって、尻尾の拘束からペニスを解放して抱きついてきた。
「うにゃ~、仕方ないにゃあ。久々に欲しかったけど、我慢するにゃ」
「ありがと、黒歌。それじゃあ、おやすみ」
「おやすみにゃ♪」
黒歌の体温と、押し付けられる双房に身をゆだねて再び俺は眠りについた。